JP2564537B2 - 黒リン−シリコン結晶体 - Google Patents
黒リン−シリコン結晶体Info
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- JP2564537B2 JP2564537B2 JP62072295A JP7229587A JP2564537B2 JP 2564537 B2 JP2564537 B2 JP 2564537B2 JP 62072295 A JP62072295 A JP 62072295A JP 7229587 A JP7229587 A JP 7229587A JP 2564537 B2 JP2564537 B2 JP 2564537B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規な黒リン−シリコン結晶体に係り、特に
金属的性質が付与された黒リン−シリコン結晶体に関す
るものである。
金属的性質が付与された黒リン−シリコン結晶体に関す
るものである。
[従来の技術] 従来より、黒リンはリン元素の同素体の中で最も安定
した元素であり、他のリン元素の単体が全て電気絶縁体
的性質を有しているのに対して、該黒リンは室温での導
電率が約1Ω-1cm-1で、かつ、バンドギャップが0.35eV
の半導体的性質を有していることが知られている。
した元素であり、他のリン元素の単体が全て電気絶縁体
的性質を有しているのに対して、該黒リンは室温での導
電率が約1Ω-1cm-1で、かつ、バンドギャップが0.35eV
の半導体的性質を有していることが知られている。
このような半導体的性質を有する黒リンは、金属的性
質を有していないために各種素材として利用し難く、そ
れ故、現在までに、該黒リンに金属的な性質を賦与する
ためのいくつかの試みがなされてきた。
質を有していないために各種素材として利用し難く、そ
れ故、現在までに、該黒リンに金属的な性質を賦与する
ためのいくつかの試みがなされてきた。
例えば、本発明者等は先に黒リンの層状構造に着目し
て、黒リン−ヨウ素層間化合物を製造することによっ
て、該黒リン−ヨウ素層間化合物が金属的な挙動を示す
ことを見い出し、特願昭60−207275号として出願した。
て、黒リン−ヨウ素層間化合物を製造することによっ
て、該黒リン−ヨウ素層間化合物が金属的な挙動を示す
ことを見い出し、特願昭60−207275号として出願した。
また、前記黒リン結晶中のリン原子の一部を砒素原子
で置き換えることにより、リン・砒素合金も得られてい
る(城谷ほか:日本物理学会1986年秋の分科会講演予稿
集、第2分冊、第211頁参照)。
で置き換えることにより、リン・砒素合金も得られてい
る(城谷ほか:日本物理学会1986年秋の分科会講演予稿
集、第2分冊、第211頁参照)。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、このようなリン・砒素合金は、前記黒
リンと同様に半導体的性質を有しており、しかも、砒素
原子という人体に非常に有害な物質を含有しているため
に、電子材料などとして利用されるための実用化段階で
大きな制約を受ている。
リンと同様に半導体的性質を有しており、しかも、砒素
原子という人体に非常に有害な物質を含有しているため
に、電子材料などとして利用されるための実用化段階で
大きな制約を受ている。
このような現況であるため、本発明者等は、前述のご
とき制約を有しない他の元素を前記黒リン結晶中に取り
込むことによって新規な黒リン結晶体を製造することを
目的として種々の検討を行ったところ、例えば、常温で
気体の物質、すなわち、水素、酸素、窒素、ハロゲン、
希ガス等の元素では黒リン結晶中に取り込むことができ
ず、また、アルカリ金属等の反応性の高い元素では直接
リン原子と反応してしまって、かかる目的とは異る化合
物を形成してしまい、黒リン結晶中に他の元素を取り込
むことはできなかった。
とき制約を有しない他の元素を前記黒リン結晶中に取り
込むことによって新規な黒リン結晶体を製造することを
目的として種々の検討を行ったところ、例えば、常温で
気体の物質、すなわち、水素、酸素、窒素、ハロゲン、
希ガス等の元素では黒リン結晶中に取り込むことができ
ず、また、アルカリ金属等の反応性の高い元素では直接
リン原子と反応してしまって、かかる目的とは異る化合
物を形成してしまい、黒リン結晶中に他の元素を取り込
むことはできなかった。
[問題点を解決するための手段] 本発明者等は、黒リン本来の結晶構造を維持したまま
で新たな結晶を得るために、鋭意研究したところ、周期
律表においてリンと同じ第5族の元素ではないが、原子
の大きさがリンと殆ど同じであるシリコン原子に着目
し、リンとシリコンを反応させて、新規な黒リン−シリ
コン結晶体を得ることに成功した。そしてその組成およ
び物性を明らかにしたところ、金属的性質を有している
ことが判明し、本発明を完成した。
で新たな結晶を得るために、鋭意研究したところ、周期
律表においてリンと同じ第5族の元素ではないが、原子
の大きさがリンと殆ど同じであるシリコン原子に着目
し、リンとシリコンを反応させて、新規な黒リン−シリ
コン結晶体を得ることに成功した。そしてその組成およ
び物性を明らかにしたところ、金属的性質を有している
ことが判明し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、黒リン結晶体において、該結晶
体中にシリコンが原子状またはクラスター状で含有され
ていることを特徴とする黒リン−シリコン結晶体であ
る。
体中にシリコンが原子状またはクラスター状で含有され
ていることを特徴とする黒リン−シリコン結晶体であ
る。
[発明の具体的説明] 黒リン 本発明の黒リン−シリコン結晶体を合成するためのリ
ンとしては、どのような種類のリンでもよく、例えば、
黄リン、白リン、赤リン、黒リンなどを用いることがで
きる。
ンとしては、どのような種類のリンでもよく、例えば、
黄リン、白リン、赤リン、黒リンなどを用いることがで
きる。
シリコン 本発明において使用されるシリコンとしては一般に高
純度のシリコンが用いられる。
純度のシリコンが用いられる。
結晶体の製造 本発明の黒リン−シリコン結晶体は、リンとシリコン
をこれら原子と合金を形成しない金属、例えば、ビスマ
スと共に脱空気した封管中でヘリウムガスの存在下に高
温に加熱溶解させた後、ゆっくり冷却することにより、
金属、すなわちビスマスの固化時の収縮力によってシリ
コン原子を黒リン結晶体中に含有させるか、ダイヤモン
ドの製造装置のごとき超高圧高温装置を用いて前記リン
とシリコンを加圧下に加熱することによって、黒リン−
シリコン結晶体を製造することができる。
をこれら原子と合金を形成しない金属、例えば、ビスマ
スと共に脱空気した封管中でヘリウムガスの存在下に高
温に加熱溶解させた後、ゆっくり冷却することにより、
金属、すなわちビスマスの固化時の収縮力によってシリ
コン原子を黒リン結晶体中に含有させるか、ダイヤモン
ドの製造装置のごとき超高圧高温装置を用いて前記リン
とシリコンを加圧下に加熱することによって、黒リン−
シリコン結晶体を製造することができる。
また、本発明の黒リン−シリコン結晶体にはアルカリ
金属、ハロゲン、金属塩化物、ルイス酸などの第三成分
を付加することにより層間化合物を形成することもでき
る。
金属、ハロゲン、金属塩化物、ルイス酸などの第三成分
を付加することにより層間化合物を形成することもでき
る。
黒リン−シリコン結晶体の性質 本発明の黒リン−シリコン結晶体中に含有するシリコ
ン原子の組成は電子線マイクロアナライザー(EPMA)に
よって決定できる。該黒リン−シリコン結晶体中のシリ
コンの割合は、一般に50重量%以下、好ましくは10重量
%以下の量で含有されている。
ン原子の組成は電子線マイクロアナライザー(EPMA)に
よって決定できる。該黒リン−シリコン結晶体中のシリ
コンの割合は、一般に50重量%以下、好ましくは10重量
%以下の量で含有されている。
ここでいう原子状とはシリコン原子のことであり、ク
ラスター状とはシリコン原子の原子集合体のことであ
る。
ラスター状とはシリコン原子の原子集合体のことであ
る。
このようにして製造された本発明の黒リン−シリコン
結晶体は、該結晶体中にシリコンを含有しているため、
金属的な挙動を示す。したがって、例えば、電気抵抗の
温度依存性を測定することにより、黒リン結晶中にシリ
コンが原子状またはクラスター状で含有していることが
容易に判断することができる。これは半導体的な特性を
示す黒リン結晶体との比較した場合顕著な相違である。
結晶体は、該結晶体中にシリコンを含有しているため、
金属的な挙動を示す。したがって、例えば、電気抵抗の
温度依存性を測定することにより、黒リン結晶中にシリ
コンが原子状またはクラスター状で含有していることが
容易に判断することができる。これは半導体的な特性を
示す黒リン結晶体との比較した場合顕著な相違である。
[実施例] 市販の白リン1g、99.999%のシリコン0.5g及びビスマ
ス400gを石英管に入れて120℃、10-6Torrで10時間脱気
乾燥した後、1/2気圧のヘリウムガスを該石英管に導入
して封管した。この封管石英管を電気炉に入れて550℃
で48時間保った後、0.1℃/分の速度で徐冷した。次
に、この生成物中のビスマスを30重量%の硝酸で溶かす
ことによって黒リン−シリコン結晶体を回収した。
ス400gを石英管に入れて120℃、10-6Torrで10時間脱気
乾燥した後、1/2気圧のヘリウムガスを該石英管に導入
して封管した。この封管石英管を電気炉に入れて550℃
で48時間保った後、0.1℃/分の速度で徐冷した。次
に、この生成物中のビスマスを30重量%の硝酸で溶かす
ことによって黒リン−シリコン結晶体を回収した。
この黒リン−シリコン結晶体の組成を電子線マイクロ
アナライザーにより解析した結果、黒リン結晶中に1重
量%のシリコンが含まれていることが認められた。
アナライザーにより解析した結果、黒リン結晶中に1重
量%のシリコンが含まれていることが認められた。
得られた結晶に金線を金ペーストで固定し、0.1μA
の定電流を流し、四端子法で電圧を測定する方法で温度
を変化させながら電気抵抗を測定した。その結果を黒リ
ン結晶体での同様の測定結果と共に第1図に示す。
の定電流を流し、四端子法で電圧を測定する方法で温度
を変化させながら電気抵抗を測定した。その結果を黒リ
ン結晶体での同様の測定結果と共に第1図に示す。
第1図の結果から、本発明の黒リン−シリコン結晶体
は、半導体的な電気特性を有する黒リン結晶体と全く異
なる金属的な電気特性を有するものであることが理解で
きる。
は、半導体的な電気特性を有する黒リン結晶体と全く異
なる金属的な電気特性を有するものであることが理解で
きる。
[発明の効果] 本発明の黒リン−シリコン結晶体は、従来の黒リン結
晶体自身とは全く異なる電気的性質を有し、しかも、空
気中において極低温から400℃程度までの温度において
安定であることから、超電導性材料、ジョセフソン素
子、磁気シールド材、光−電気あるいは光−磁気変換素
子、スイッチング素子センサー、表示素子等の実用的価
値の大きい高機能電子材料として大きな展開が期待でき
る。
晶体自身とは全く異なる電気的性質を有し、しかも、空
気中において極低温から400℃程度までの温度において
安定であることから、超電導性材料、ジョセフソン素
子、磁気シールド材、光−電気あるいは光−磁気変換素
子、スイッチング素子センサー、表示素子等の実用的価
値の大きい高機能電子材料として大きな展開が期待でき
る。
第1図は本発明の黒リン−シリコン結晶体及び黒リン結
晶体の電気抵抗比の温度変化を測定した結果を表わす。
晶体の電気抵抗比の温度変化を測定した結果を表わす。
Claims (1)
- 【請求項1】黒リン結晶体において、該結晶体中にシリ
コンが原子状またはクラスター状で含有されていること
を特徴とする黒リン−シリコン結晶体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62072295A JP2564537B2 (ja) | 1987-03-26 | 1987-03-26 | 黒リン−シリコン結晶体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62072295A JP2564537B2 (ja) | 1987-03-26 | 1987-03-26 | 黒リン−シリコン結晶体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63236707A JPS63236707A (ja) | 1988-10-03 |
JP2564537B2 true JP2564537B2 (ja) | 1996-12-18 |
Family
ID=13485129
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62072295A Expired - Fee Related JP2564537B2 (ja) | 1987-03-26 | 1987-03-26 | 黒リン−シリコン結晶体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2564537B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4749661B2 (ja) | 2003-10-15 | 2011-08-17 | 住友重機械工業株式会社 | 単結晶引上げ装置用超電導磁石装置における冷凍機の装着構造及び冷凍機のメンテナンス方法 |
CN108059137B (zh) * | 2017-12-04 | 2020-09-08 | 中国科学院电工研究所 | 一种黑磷纳米材料的制备方法 |
CN111204723A (zh) * | 2020-03-15 | 2020-05-29 | 深圳市中科墨磷科技有限公司 | 一种低能耗高效制备黑磷微晶的方法 |
CN111875342B (zh) * | 2020-08-06 | 2022-04-12 | 南京理工大学 | 纳米气凝胶建筑保温材料及其制备方法 |
-
1987
- 1987-03-26 JP JP62072295A patent/JP2564537B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63236707A (ja) | 1988-10-03 |
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Legal Events
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |