JP2563806Y2 - 紡糸口金 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本考案は中空繊維に関し、さらに
詳細には、分離装置として又はバイオリアクター用とし
て有用な、中空フィラメントの中空部分内のコアと共紡
糸した中空繊維及びかかる繊維を共紡糸するための紡糸
口金に関するものである。 【０００２】 【従来技術及びその課題】中空繊維膜バイオリアクター
は公知であって、懸濁した又は固定化した酵素あるいは
細胞培養物からの物質の生産において、有用性を有して
いる。細胞又は酵素は中空繊維内又はその外側に配置し
てあり、反応基質を細胞又は酵素に供給しながら、所望
の生成物を取り出す。細胞培養物は、好気性又は嫌気性
の細胞並びに光合成植物あるいは細菌の細胞を包含す
る。バイオリアクターのコンパクトな構成のために、こ
のような膜の人手による製造には、特に長くて細い二重
中空フィラメントの場合に、費用と時間がかかる。バイ
オリアクターの効果的な操作におけるもう一つの限定因
子は、系中に適切な基質の水準を与えるべき能力であ
る。これらの基質は、細胞の増殖のための栄養物、効率
的な酵素機能のための補足因子、光合成反応のための光
及び所望の生成物のための前駆物質を包含する。加うる
に、種々のエネルギー源（電気的、機械的、光、熱）は
細胞の増殖、酵素の活性、膜の透過性を制御することが
でき、従ってバイオリアクターの制御又は効率に対して
大きな影響を有していることを知られている。 【０００３】 【課題を解決するための手段】細胞又は酵素をフィラメ
ントのどちらかの環状の通路中に位置させ且つ基質をそ
こに添加すると共にフィラメントの通過中に又はフィラ
メントの外側で生じる生成物を除去するという用途にお
いて使用するための中空内中空フィラメントの共紡糸に
よって、かかる中空繊維膜を製造するための比較的低コ
ストの方法が考案された。膜壁の組成物は、壁を通じる
物質の拡散を容易にすると共に、固定化が望ましい場合
には、細胞又は酵素の効率的な付着を可能とするように
選択する。同様に、中空内中空フィラメントは、流体の
通過のために外側の環状の通路を使用することにより、
流体膜装置として用いることもできる。この流体は流体
膜として働らくことができる。環状の通路のどちらかを
熱エネルギーの輸送のために用いることもできる。 【０００４】その上に、内側、すなわち、コアフィラメ
ントが充実している場合（ｓｏｌｉｄ）には、内側フィ
ラメントを、光伝達性繊維又は導電性の繊維とすること
によって、それぞれ、充実した繊維（ｓｏｌｉｄ ｆｉ
ｂｅｒ）を取り巻く環状の通路中に光又は電荷を導い
て、バイオリアクター又は分離プロセスの機能を調節す
ることができる。 【０００５】このようなフィラメントの製造のための紡
糸口金は、毛細管によって連絡させた上方及び下方の表
面を有する板から成っている。毛細管は二つの同心的な
環状の通路から成っており且つ環状の両通路を橋かけす
る多数の支柱を伴っている。一具体例においては、中空
内中空フィラメントは、紡糸口金の下方の表面において
環状の両通路に橋かけすることによって形成させた中断
させた弧から流出する重合体流を合着させることによっ
て形成させる。紡糸口金の別の具体例は、内側及び外側
の中空フィラメントの中空部分への通風を提供し且つそ
の他の具体例においては通風及び合着の種々の組合わせ
を用いて共紡糸した二重中空フィラメントを提供するこ
とができる。それぞれの場合に、このようなフィラメン
トの共紡糸のために用いる紡糸口金は、中空繊維の形成
のために適用される公知の多部材紡糸口金の欠点を有し
ていない単一部材の紡糸口金である。 【０００６】 【考案の実施の形態】図１〜図４を参照すると、紡糸口
金２０は、紡糸すべき１種又はそれ以上の重合体組成物
を供給するためのフィルターパック中に取り付けるため
に適応している。紡糸口金２０は、板２２から成ってお
り且つその上方及び下方の表面２６、２８を連絡する毛
細管２４を有している。毛細管は、二つの同心的な環状
の通路３０、３２環状の通路３２内に同心的に位置する
中心の空腔３４及び環状の通路３０、３２の間に位置さ
せた第二の空腔３６から成っている。紡糸口金に対して
構造的な一体性を与えるために環状の両通路の回りに角
度的な（ａｎｇｕｌａｒ）配置で、それぞれ、環状の通
路３０、３２に橋をかけている複数の支柱３８、３９が
存在している。これらの支柱３８、３９は、部分的に環
状の両通路を通してのびており且つその角度的な配置で
放射的に整列している。空腔の通気のために紡糸口金の
下面２８から２本の整列する支柱３８、３９を通して穴
４０が空腔３４、３６へとのびている。 【０００７】操作においては、溶融した重合体組成物が
最初に紡糸口金の上面２６の凹所２６ａ中に動き、次い
で環状の通路３０中に均一に分布して中空のフィラメン
トを形成する。同時に別の重合体組成物を環状の通路３
２に供給して通路３０から生じた中空のフィラメント内
に別の中空フィラメントを形成させる。重合体が毛細管
の出口末端から流出するときに、部分的な真空を与えて
穴４０を通じて室空気の空腔３４、３６へ且つ内側及び
外側の中空フィラメント中への重力流を生じさせる。 【０００８】図５及び図６中に示すように本考案の紡糸
口金の別の具体例においては、毛細管２４′の空腔３４
のみに穴４０を通じて通気し（空腔３６は省かれてい
る）且つ環状の通路３０′は、その通路３０の出口にお
いて区分したオリフィスを与えるように、部材４２（図
６においては線６−６に対し回転させたように示してあ
る）によって下面２８において橋かけしてある。この毛
細管は、環状の通路３０′を通じる中空フィラメントの
合着紡糸と環状の通路３２を通じる中空フィラメントの
吐出紡糸を兼ねている。 【０００９】図７及び図８に示す本考案の紡糸口金のさ
らに別の具体例においては、毛細管２４″の空腔３６の
みに穴４０を通じて通気し（空腔３４は省いてある）且
つ環状の通路３２は、通路３２′の出口において区分し
た弧オリフィスを与えるように部材４４（図８において
は線８−８に対して回転させたように示してある）によ
って下面２８において橋かけしてある。この毛細管は環
状の通路３２を通じる合着紡糸と環状の通路３０を通じ
る吐出紡糸の両方を兼ねている。 【００１０】図９〜図１０に示すさらに別の具体例にお
いては、毛細管２４″′の両通路３０′、３２′は、空
腔３４、３６及び穴４０を省き且つ通路３０、３２の出
口において区分した弧オリフィスを形成するように下面
２８において橋かけ部材４２、４４（何れも図１０にお
いては線１０−１０に対し回転させたように示してあ
る）を有する環状の通路３０、３２を提供することによ
って二重中空フィメントの合着紡糸に対して適応してい
る。 【００１１】図１１及び図１２に示す具体例は、中空内
に充実したフィラメントを有する合着した中空フィラメ
ントの共紡糸を提供する。充実したフィラメントは導電
性であるか又は光伝達性を有する重合体から紡糸するこ
とができる。この具体例においては、毛細管５０は、中
心の穴５４から分離し且つそれを囲んでいる環状の通路
５２から成っている。支柱５６は環状の通路５２に橋を
かけ且つ部分的に通路を通じてのびており、一方、部材
５７（図１２においては線１２−１２に対して回転して
あるように示している）は表面５８において通路に橋か
けすることによって通路５２の出口に区分したオリフィ
スを提供している。中心の穴５４は十字形のオリフィス
６０として紡糸口金の下面５８で終っている。通路５２
と中心の穴５４には異なる重合体組成物を供給する。通
路５２から生じる中空のフィラメントは、オリフィス６
０から押出した重合体によって生成する充実した十字形
のコアを伴なっている。 【００１２】支柱３８及び３９は、部分的に環状の通路
３０、３２を通してのびているように図示し且つ説明し
たが、支柱３８、３９は完全に通路中にのびていてもよ
いということを了解すべきである。 【００１３】 【実施例】実施例１ この実施例は、中空内中空二成分繊維の共紡糸を説明す
る。使用する紡糸口金は、図１〜図４に示す種類の６毛
細管二重通風紡糸口金であった。この紡糸口金毛細管
は、下記の寸法を有していた。 外側の環状重合体通路
３０は、内径＝０．２００インチ、幅 ＝０．００５イ
ンチ、長さ＝０．０２０インチであった。内側の環状重
合体通路３２は、内径＝０．０９６インチ、幅 ＝０．
００５インチ、長さ＝０．０２０インチであった。 【００１４】内側及び外側の中空フィラメントを、それ
ぞれ、ハーキュレス社のテキスタイル級６５２３Ｆポリ
プロピレン（メルトインデックス＝３〜４．５）及びポ
リエチレンテレフタレート（ＬＲＶ＝２１．４）から共
紡糸した。ポリエチレンテレフタレートは、つや消し剤
として０．３％のＴｉＯ_２を含有していた。両重合体を
別々に加熱区域スクリュー溶融機中で２７５℃の温度で
溶融したのち、２６８℃に保った紡糸口金を通じて押出
した。内側フィラメントを形成するポリプロピレン重合
体は０．９ｇ／分／通路の速度で供給し且つ外側フィラ
メントを形成するポリエチレンテレフタレート重合体は
３．３ｇ／分／通路の速度で供給した。紡糸口金からフ
ィラメントを押出したのちに、それらを室温の交差空気
流によって冷却し且つ接触仕上げロール上に通じて、そ
こで紡糸仕上剤（エーロゾル（商標）ＯＴ及びメルポー
ル（商標）１４５２で乳化させたステアリリン酸アルキ
ルエステル潤滑剤の１０％溶液）を付与することによっ
て多フィラメント束中の付着を達成した。次いでフィラ
メントを収斂ガイドを用いて集合させて３００ｍｐｍの
速度でボビン上に巻き取った。フィラメントを薄い断片
に切断して２００×の光学顕微鏡下に観察し、図１３に
示すような中空内中空フィラメントであることを認め
た。内側の中空フィラメント６０は外側の中空フィラメ
ント６４の内側表面６２から自由（すなわち融着してい
ない）であった。 【００１５】実施例２ この実施例は中空フィラメント内の導電性充実フィラメ
ントの共紡糸を説明する。使用した紡糸口金は図１１及
び図１２に示した種類の重合体合着外側リングを有して
いる６毛細管紡糸口金であった。三つの毛細管は三葉形
の内側重合体オリフィスを含有し、三つの毛細管は十字
形の内側重合体オリフィスを含有していた。紡糸口金毛
細管は下記の寸法を有していた。 【００１６】外側環状重合体通路５２は、外径＝０．１
８９インチ、幅＝０．００６インチ、支柱長さ＝０．０
１１インチ、長さ＝０．０２５インチであった。 【００１７】内側重合体オリフィス６０は、アーム長さ
＝０．００３５インチ、スロット幅＝０．００３イン
チ、長さ＝０．０１２インチであった。 【００１８】内側フィラメントはポリエチレン中の導電
性カーボンブラックの混合物から成り、それをポリエチ
レンテレフタレート（ＬＲＶ＝２３．５）外側フィラメ
ントと共紡糸した。カーボンブラックは内側フィラメン
トの重量で２８％であった。内側及び外側のフィラメン
トの重合体を、加熱区域スクリュー溶融機中で、別々に
２７０℃の温度で溶融して、２６８℃に保った紡糸口金
を通じて押出した。内側フィラメントを形成するカーボ
ンブラック／ポリエチレン重合体は０．８３ｇ／分／オ
リフィスの速度で供給し且つ外側のフィラメントを形成
するポリエチレンテレフタレート重合体は３．８５ｇ／
分／通路の速度で供給した。 【００１９】フィラメントを紡糸口金から押出したの
ち、それらを室温の交差空気流で冷却し且つ接触仕上げ
ロール上を通過させて、そこで実施例１におけると同様
な紡糸仕上げ剤を付与して多フィラメント束中の付着を
達成した。次いでフィラメントを収斂ガイドの使用によ
って集合させて１２００ｍｐｍでボビンに巻き取った。
フィラメントを切断し、切断端を５００×の倍率の走査
電子顕微鏡を用いて調べて、図１４に示すように中空フ
ィラメント内の充実フィラメントから成ることが認めら
れた。内側のフィラメント７０は中空フィラメント７４
の内側表面７２から自由（すなわち、融着していない）
であった。 【００２０】実施例３ この実施例は中空フィラメント内の比較的透明な充実フ
ィラメントの共紡糸を記す。使用した紡糸口金は実施例
２に記したものと同一であった。 【００２１】内側及び外側フィラメントは、それぞれ、
ポリプロピレン（メルトインデックス＝３〜４．５）及
びポリエチレンテレフタレート（ＬＲＶ＝２３．５）か
ら共紡糸した。ポリエチレンテレフタレートは、つや消
し剤として０．３％のＴｉＯ_２を含有していた。両重合
体を別々に加熱区域スクリュー溶融機中で２８０℃の温
度で溶融したのち、２６５℃に保った紡糸口金を通じて
押出した。内側のフィラメントを形成するポリプロピレ
ン重合体は４．２ｇ／分／オリフィスの速度で供給し且
つ外側のフィラメントを形成するポリエチレンテレフタ
レート重合体は４．９５ｇ／分／通路の速度で供給し
た。 【００２２】紡糸口金からフィラメントを押出したの
ち、それらを室温の交差空気流で冷却し且つ適触仕上げ
ロール上を通過させて、そこで実施例１におけると同様
な仕上げ剤を付与して多フィラメント束中の付着を達成
した。次いでフィラメントを収斂ガイドの使用によって
集合させたのち、３００ｍｐｍでボビン上に巻き取っ
た。フィラメントを薄い断片に切断して６００×の倍率
の光学顕微鏡を用いて観察した結果、図１５に示すよう
な中空フィラメント内の充実したフィラメントから成る
ことが認められた。充実フィラメント８０は中空フィラ
メント８４の内側表面８２から自由（すなわち、融着し
ていない）であった。

【図面の簡単な説明】 【図１】本考案の紡糸口金の、側立面図。 【図２】本考案の紡糸口金の下面図、及び下面からみ
た、紡糸口金毛細管の拡大図（Ａ）である。 【図３】本考案の紡糸口金の上面図、及び上面からみ
た、紡糸口金毛細管の拡大図（Ａ）である。 【図４】線４−４に沿って取った、図３の毛細管の拡大
断面図である。 【図５】紡糸口金の下面からみた、本考案の紡糸口金毛
細管の別の具体例である。 【図６】線６−６に沿って取った、図５の毛細管の拡大
断面図である。 【図７】紡糸口金の下面からみた、本考案の紡糸口金毛
細管の別の具体例である。 【図８】線８−８に沿って取った、図７の毛細管の断面
図である。 【図９】紡糸口金の下面からみた、本考案に対して有用
な紡糸口金毛細管の別の具体例である。 【図１０】線１０−１０に沿って取った、図９の毛細管
の断面図である。 【図１１】紡糸口金の下面からみた、本考案に対して有
用な紡糸口金毛細管の別の具体例である。 【図１２】線１２−１２に沿って取った、図１１の毛細
管の断面図である。 【図１３】本考案のフィラメントの断面の２００〜６０
０×に拡大した顕微鏡写真である。 【図１４】本考案のフィラメントの断面の２００〜６０
０×に拡大した顕微鏡写真である。 【図１５】本考案のフィラメントの断面の２００〜６０
０×に拡大した顕微鏡写真である。 【符号の説明】 ２０ 紡糸口 ２２ 板 ２４ 毛細管 ２６ 上面 ３０ 通路 ３２ 通路 ３８ 支柱 ３９ 支柱 ４０ 穴 ４２ 部材 ５０ 毛細管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−109610（ＪＰ，Ａ) 実開 昭48−69908（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭34−6056（ＪＰ，Ｂ１) 特公 昭48−17203（ＪＰ，Ｂ１)

Claims (1)

1. (57)【実用新案登録請求の範囲】 １．毛細管によって連絡している上方及び下方の表面を
   有する板を具備し、 該毛細管が、二つの同心的な環状の通路と、内側の環状
   の通路内に同心的に配置した中心の空腔と、該環状の両
   通路間に配置した第二の空腔と、該環状の両通路の回り
   で角度的な配置で該環状の両通路に橋をかける複数の支
   柱とから形成されており、 該支柱が、該環状の両通路を通して延び、該角度的な配
   置において放射的に整列しており、 一つの穴が、該下方の表面から二つの整列した橋かけ部
   材を通して該空腔まで延びており、 単一部材として構成されていることを特徴とする、それ
   自体内に共紡糸したフィラメントを含有している中空フ
   ィラメントの製造のための紡糸口金。