JP2563641Y2 - 自動車用シートのアームレスト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、自動車用シートのアー
ムレストの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】通常自動車用のシート１は、図５に示さ
れるように、着座席であるシートボトム１２と背凭れで
あるシートバック１１とから構成されている。このよう
なシート１のシートバック１１には肘休めのためのアー
ムレスト２が設けられていることが多い。

【０００３】従来、アームレスト２は、シートバック１
１の側部に車幅方向に突出して設けられた水平軸３にヒ
ンジカバー４を介して回動自在に軸支され、水平軸３の
先端はワッシャ３３を介してナット３４が螺着され、ア
ームレスト２が水平軸３から脱落するのを抑止するよう
に構成されている。上記ヒンジカバー４はアームレスト
２とシートバック１１との間に設けられる各種の構成物
を外部の視野から遮閉するために用いられるものであ
る。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、従来の上記
のようなアームレスト２においては、シートバック１１
に予め埋設された水平軸３の突出部に、シートバック１
１やアームレスト２とは全く別体のヒンジカバー４を組
み付けなければならないため、組付け工程における組付
け性はあまり良好であるとは言えなかった。

【０００５】本考案は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、組付け性が向上したアーム
レストを提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案の請求項１に係る
自動車用シートのアームレストは、自動車用シートのシ
ートバックの側部に設けられた水平軸周りに回動自在に
軸支されたアームレストにおいて、シートバックの側部
にはシートバックと一体の水平軸が車幅方向に突出して
設けられ、アームレストには上記水平軸に嵌め込まれる
パイプがアームレストと一体となるように内設され、上
記パイプのシートバック側の端部外周にはヒンジカバー
がアームレストに一体に取り付けられ、アームレストが
シートバックに装着された状態でアームレストとシート
バックとの間隙部に位置する部分の上記水平軸は上記ヒ
ンジカバーによって覆われていることを特徴とするもの
である。

【０００７】

【作用】上記請求項１記載の自動車用シートのアームレ
ストによれば、シートバックの側部にはシートバックと
一体の水平軸が車幅方向に突出して設けられ、アームレ
ストには上記水平軸に嵌め込まれるパイプがアームレス
トと一体となるように内設され、上記パイプのシートバ
ック側の端部外周にはヒンジカバーがアームレストに一
体に取り付けられ、アームレストがシートバックに装着
された状態でアームレストとシートバックとの間隙部に
位置する部分の上記水平軸は上記ヒンジカバーによって
覆われているように構成されているため、ヒンジカバー
が付設されたアームレストをシートバックの側部から突
出した水平軸に嵌め込むことによって簡単にアームレス
トをシートバックに組み付けることができる。

【０００８】

【実施例】図１は本考案に係る自動車用アームレストの
分解斜視図であり、図２はアームレストが直立状態の図
１のＡ−Ａ視の断面図である。なお、図１において、二
点鎖線はアームレスト２が水平軸３シートバック１１の
側部に収納された状態を示し、実線で示すアームレスト
２はシートバック１１の前方に突出するように引き出さ
れた状態を示している。

【０００９】図１に示すように、自動車用のシート１
は、シートバック１１とシートボトム１２とから構成さ
れている。シートバック１１の内部には骨格であるフレ
ーム１３が内設されており、その外方側部にはブラケッ
ト１４が固設されている。このブラケット１４の中央部
には、図２に示すように、嵌合孔１４ａが穿孔され、こ
の嵌合孔１４ａには水平軸３の基端側が嵌挿され、ブラ
ケット１４の裏側で溶接されて（溶接部３ａ）水平軸３
がブラケット１４に固設されている。

【００１０】また、嵌合孔１４ａを中心とした斜めの対
角線上に一対の係止ロッド１４ｂが設けられており、シ
ートバック１１のトリム１５による被覆はブラケット１
４の中央部表面を除いて行われ、この中央部表面は外部
に露出した状態となっている。

【００１１】一方、アームレスト２の基端部には、車幅
方向に水平に貫通しかつアームレスト２と一体とされた
パイプ２１が内設されている。そして、アームレスト２
と一体のパイプ２１に差し込まれた状態で、ヒンジカバ
ー４とロックアッシイ５とがアームレスト２のフレーム
２２に一体にビス止めされている。

【００１２】すなわち、アームレスト２のシートバック
１１側の側面は、アームレスト２のフレーム２２が露出
しており、このフレーム２２にはロックアッシイ５がビ
ス５１によって取り付けられ、このロックアッシイ５の
中央部には水平軸３の基端部が貫通するのに適した貫通
孔５２が穿孔されており、この貫通孔５２の上下には前
記ブラケット１４に立設された係止ロッド１４ｂに対応
する一対の三日月形のガイド溝５３が設けられている。
このガイド溝５３は中心角がほぼ１１０°乃至１２０°
の円弧を形成するように設定されている。

【００１３】このパイプ２１が水平軸３に嵌め込まれ、
アームレスト２は水平軸３周りに回動自在に軸支された
状態に設定されている。そして、水平軸３の遊端側には
雄螺子３２が螺設されており、この雄螺子３２にはワッ
シャ３３を介してナット３４が螺着され、このナット３
４を締め付けることによってアームレスト２はシートバ
ック１１に回動自在に取り付けられた状態になってい
る。

【００１４】上記ロックアッシイ５の周縁部は右方に折
り曲げられて右方に向かって内ふところが形成され、そ
の中には、図３および図４に示すように、中央部で折れ
曲がった平板状の係止プレート５５が設けられている。
この係止プレート５５は、ロックアッシイ５に設けられ
た支持軸５４に軸支され、ロックアッシイ５の内面に沿
って上記支持軸５４周りに回動自在とされている。そし
て、この係止プレート５５の先端部にはコイルバネ５６
の一端が取り付けられ、その他端はロックアッシイ５の
一部に取り付けられ、このコイルバネ５６によって係止
プレート５５は支持軸５４周りに反時計方向に付勢され
ている。

【００１５】ロックアッシイ５のシートバック１１側の
側面にはヒンジカバー４がビス４１によって取り付けら
れている。このヒンジカバー４の中央部には円孔４２が
設けられ、この円孔４２の直径はブラケット１４に設け
られた一対の係止ロッド１４ｂ間の距離より若干大きめ
とされている。そして、円孔４２の周囲にはシートバッ
ク１１側に突出したスリーブ４ａが設けられ、このスリ
ーブ４ａはシートバック１１のトリム１５を押える役目
を担っている。

【００１６】このようにロックアッシイ５およびヒンジ
カバー４がアームレスト２のシートバック１１側の側部
に付設された状態で、図２に示すように、ヒンジカバー
４の表面はドーナツ状にアームレストトリム２４によっ
て被覆されている。

【００１７】水平軸３の右端の更に右方には、雄螺子３
２、ワッシャ３３およびナット３４からなるアームレス
ト２の水平軸３への締結部分を外部から見えないように
閉止するリッド２３が設けられている。

【００１８】次ぎに、図３および図４を基に本考案に係
るロックアッシイ５とブラケット１４の係止ロッド１４
ｂとの位置関係について説明する。図３はアームレスト
２がシートバック１１の側部に直立した場合のロックア
ッシイ５の状態を示す側面視の説明図であり、図４は、
アームレスト２がシートバック１１の前方（左方）に倒
された場合のロックアッシイ５の状態を示す側面視の説
明図である。

【００１９】まず、アームレスト２が直立している場合
は、図３に示されるように、ロックアッシイ５の上方の
ガイド溝５３の左端に上方の係止ロッド１４ｂが位置
し、下方のガイド溝５３の右端に下方の係止ロッド１４
ｂが位置し、これによってアームレスト２がそれ以上時
計方向に回動しないようにしている。

【００２０】また、下方の係止ロッド１４ｂは、係止プ
レート５５の曲折部分の内側に設けられた係止溝５５ａ
に嵌合し、コイルバネ５６によって係止プレート５５は
支持軸５４周りに時計方向に付勢され、下方の係止ロッ
ド１４ｂは係止プレート５５の係止溝５５ａに嵌合し、
これによってアームレスト２が前方に倒れないようにて
係止されている。

【００２１】このような状態のアームレスト２に対し
て、水平軸３周りに反時計方向の力を加えると、係止ロ
ッド１４ｂは係止溝５５ａの前方の山を乗り越えるよう
に係止プレート５５を押圧するため、係止プレート５５
はコイルバネ５６の付勢力に抗して支持軸５４周りに反
時計方向に回動し、係止ロッド１４ｂの係止溝５５ａに
対する係止は外れてアームレスト２は水平軸３周りに反
時計方向に回動し、以後係止ロッド１４ｂは係止プレー
ト５５の内側面に沿って相対移動し、図４に示されるよ
うに、アームレスト２は前方に突出した状態となる。こ
の場合、係止プレート５５のガイド溝５３の一端は係止
ロッド１４ｂに当止して、アームレスト２がこれ以上回
動するのを阻止している。

【００２２】すなわち、アームレスト２が前方に倒され
ている状態においては、図４に示されるように、ロック
アッシイ５の上記上方のガイド溝５３はシートバック１
１の水平軸３周りの反時計方向の回動に伴って左方に位
置するようになり、その上端に上方の係止ロッド１４ｂ
が位置し、同様に上記下方のガイド溝５３は右方に位置
するようになり、その下端に下方の係止ロッド１４ｂが
位置した状態になっている。そして、下方の係止ロッド
１４ｂは、係止プレート５５の曲折部分の内側に設けら
れた係止溝５５ａから外れて下方の直線部分に当接して
いる。

【００２３】本考案に係るアームレストは以上のように
構成されているので、アームレスト２をシートバック１
１に組み付けるに際しては、予めヒンジカバー４および
ロックアッシイ５が付設されたアームレスト２のパイプ
２１を水平軸３に嵌め込み、ワッシャ３３を介してナッ
ト３４を締結することにより、アームレスト２をシート
バック１１の側部に簡単に取り付けることができる。

【００２４】このように、予めヒンジカバー４はアーム
レスト２に一体に取り付けられているため、従来のよう
に別途ヒンジカバーを用意し、この別体のヒンジカバー
をアームレスト２の水平軸３周りに組付けてからアーム
レスト２を水平軸３に装着するという面倒な操作を行う
ことなくアームレスト２をシートバック１１に組付ける
ことができる。そして、上記の組付けられた状態でヒン
ジカバー４によりアームレスト２とシートバック１１と
の間隙部分は被覆された状態を現出している。

【００２５】シートバック１１の前方に突出した図４に
示される状態のアームレスト２を直立させてシートバッ
ク１１の側部に収納するときは、以上と逆にアームレス
ト２を水平軸３周りに時計方向に回動させればよい。そ
うすれば、係止ロッド１４ｂは係止プレート５５の内側
面を滑るように相対的に移動してアームレスト２がほぼ
直立した状態で係止溝５５ａに嵌合し、安定したアーム
レスト２の直立状態を設定することができる。

【００２６】

【考案の効果】以上説明したように本考案の自動車用シ
ートのアームレストは、シートバックの側部にはシート
バックと一体の水平軸が車幅方向に突出して設けられ、
アームレストには上記水平軸に嵌め込まれるパイプがア
ームレストと一体となるように内設され、上記パイプの
シートバック側の端部外周にはヒンジカバーがアームレ
ストに一体に取り付けられ、アームレストがシートバッ
クに装着された状態でアームレストとシートバックとの
間隙部に位置する部分の上記水平軸は上記ヒンジカバー
によって覆われているように構成されているため、ヒン
ジカバーが付設されたアームレストをシートバックの側
部から突出した水平軸に嵌め込むことによって簡単にア
ームレストをシートバックに組み付けることができる。

【００２７】また、アームレストの側部には予めヒンジ
カバーとロックアッシイとが組み付けられており、それ
をシートバックのブラケットに対応させるだけで両者の
位置関係は確定するため、従来のように上記の位置関係
確定のための無駄な気使いは不要となり、その分組み付
け時間の短縮に寄与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る自動車用アームレストの分解斜視
図である。

【図２】アームレストがシートバックに固定された状態
を示す図１のＡ−Ａ視の断面図である。

【図３】アームレストがシートバックの側部に直立した
場合のロックアッシイの状態を示す側面視の説明図であ
る。

【図４】アームレストがシートバックの前方（左方）に
倒された場合のロックアッシイの状態を示す側面視の説
明図である。

【図５】従来の自動車用アームレストの分解斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ シート １１ シートバック １２ シートボトム １３、２２ フレーム １４ ブラケット １４ａ 嵌合孔 １４ｂ 係止ロッド １５ シートバックトリム ２ アームレスト ２１ パイプ ２３ リッド ２４ アームレストトリム ３ 水平軸 ３ａ 溶接部 ３２ 雄螺子 ３３ ワッシャ ３４ ナット ４ ヒンジカバー ４ａ スリーブ ４１、５１ ビス ４２ 円孔 ５ ロックアッシイ ５２ 貫通孔 ５３ ガイド溝 ５４ 支持軸 ５５ 係止プレート ５６ コイルバネ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車用シートのシートバックの側部に
   設けられた水平軸周りに回動自在に軸支されたアームレ
   ストにおいて、シートバックの側部にはシートバックと
   一体の水平軸が車幅方向に突出して設けられ、アームレ
   ストには上記水平軸に嵌め込まれるパイプがアームレス
   トと一体となるように内設され、上記パイプのシートバ
   ック側の端部外周にはヒンジカバーがアームレストに一
   体に取り付けられ、アームレストがシートバックに装着
   された状態でアームレストとシートバックとの間隙部に
   位置する部分の上記水平軸は上記ヒンジカバーによって
   覆われていることを特徴とする自動車用シートのアーム
   レスト。