JP2562875Y2 - ロータリープレス機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、回動板に二以上の下こ
てをその位置を交替するように取付け、その一の位置に
おいて下こて上で衣類の載置作業を行うと共に、他の一
の位置において下こて上に上こてを離接して衣類をプレ
スする、ロータリープレス機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来この種のプレス機においては、作業
者は作業位置における下こての長縁に沿った位置に立
ち、下こて上への衣類の載置作業や、既にプレスされた
衣類の取出し作業を行っていた。

【０００３】そしてこのロータリープレス機に各種の作
動をなさしめるためのスイッチ類は、作業者の立つ位置
の前又は横の位置に押しボタンスイッチが設けられ、そ
れらのスイッチを操作することにより上こての上下動や
回動板の回動動作を制御するようになっているのが通例
であった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながらこの種の
ロータリープレス機においては、回動板に下こてが取付
けられ、その下こては作業が容易なように、通常作業者
に対して横長となるように配置されている。

【０００５】そして下こての位置を交替するために回動
板が回動すると、下こての両端部が最も外側を通ること
となるため、その回動の途中で下こてが作業者の体に当
り、極めて危険であった。

【０００６】また作業者に下こてが当らないように、下
こてから離れた位置に作業者が立つように設計すると、
下こて上に衣類を載置したり下こて上の衣類を取除く作
業を行うためには、作業者は前屈みになって大きく腕を
伸して行わねばならず、作業しにくく、また不自然な姿
勢で作業するため疲れ易い。

【０００７】本考案はかかる事情に鑑みなされたもので
あって、下こて上への衣類の載置や取除きの作業は、作
業者が下こてに近付いて自然な姿勢で且つ容易に行うこ
とができると共に、回動板を回動させるときには作業者
に下こてから離れさせ、安全に作業できるようにするこ
とを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決する手段】而して本考案は、フレームに対
して回動可能に支持された回動板に二以上の下こてを取
付け、回動板を回動させることにより下こての位置を交
替するようになし、その一の位置において下こて上に衣
類の載置作業を行うと共に、他の一の位置において下こ
て上に上こてを離接して下こて上の衣類をプレスするロ
ータリープレス機において、前記回動板を始動するスイ
ッチが前記作業位置における下こての前縁に沿って設け
られたバーであって、当該バーを前方に引出すことによ
り回動板の回動を始動せしめたことを特徴とするもので
ある。

【０００９】

【実施例】以下本考案の実施例を図面に従って説明す
る。

【００１０】図面は本考案の一実施例としてのズボンプ
レス機を示すものであって、１はフレームである。該フ
レーム１は下部フレーム２と、該下部フレーム２の後部
上方に張出した上部フレーム３とよりなっており、上部
フレーム３は下部フレーム２の後端に立設された支柱４
に支えられている。

【００１１】また下部フレーム２の中央部と上部フレー
ム３の前端部との間には回動軸５が立設されており、該
回動軸５には回動板６が回動自在に軸支されている。そ
してその回動板６の両端部には、それぞれ下こて７が取
付けられており、回動板６が回動することにより、両下
こて７がその位置を交替し、作業位置Ａとプレス位置Ｂ
との間を互い違いに往復するようになっている。

【００１２】８は各下こて７の上部に設けられた中マッ
トであって、回動板６の中央部において回動自在に支持
された支軸１２に取付けられ、当該支軸１２を回動させ
ることにより下こて７に対して離接するようになってい
る。

【００１３】而して該中マット８は、略Ｕ字状の枠体９
内にマット１０が配置され、当該マット１０と枠体９と
はスプリング１１で連結されている。枠体９は前記下こ
て７の外周を取巻く位置に設けられ、中マット８を下こ
て７に重ねたとき、マット１０が下こて７の上面に圧接
されるようになっている。

【００１４】１３はディストリビューターであって、回
動板６の下部に取付けられており、回動板６と共に回動
する各種部材に供給する、圧縮空気、スチーム、バキュ
ームなどを、このディストリビューター１３を介して分
配し、コントロールするようになっている。

【００１５】１４は回動板６を回動させるエアーシリン
ダーであって、基部がフレーム１に対して回動自在に取
付けられ、先端はディストリビューター１３の下部の偏
心位置に回動自在に取付けられている。

【００１６】而して図４に実線で示す状態から、エアー
シリンダー１４を収縮させることにより回動板６が時計
方向に回動する。そして回動板６の回動が９０°を越え
た後エアーシリンダー１４を伸長させてさらに同方向に
回動させ、鎖線で示す状態まで回動させることにより、
回動板６は１８０°回動し、二つの下こて７の位置が入
替る。

【００１７】また鎖線の状態から再度エアーシリンダー
１４の収縮と伸長とを行うことにより、回動板６は反時
計方向に１８０°回動し、下こて７の位置が入替ってエ
アーシリンダー１４は再度実線の位置に戻る。

【００１８】１５は上こてであって、プレス位置Ｂにお
ける下こて７の上方に設けられ、上部フレーム３に取付
けられたエアーシリンダー１６により、上方から下こて
７に離接するようになっている。

【００１９】１７は下部フレーム２の前端部に設けられ
た操作テーブルであって、作業位置Ａにおける下こて７
の前縁下部に沿って配置されており、該操作テーブル１
７上には、作業位置Ａにおける中マット８の開閉を制御
する押しボタンスイッチ１８や停止スイッチを初めとし
て、その他のプレス機を制御する各種のスイッチ類が配
置されている。

【００２０】而して１９は、回動板６の回動を制御する
引出しスイッチである。該引出しスイッチ１９は、操作
テーブル１７の前縁下部に沿って左右の延びるバー２０
を有しており、該バー２０の両端に取付けられた支持杆
２１が下部フレーム２に対して摺動自在に支持されてい
る。

【００２１】そしてこのバー２０を前方に引出すことに
より、引出しスイッチ１９が作動して、回動板６の回動
を始動するようになっている。回動板６が回動している
あいだは引出しスイッチ１９は引出された状態にロック
され、回動板６の回動が終了した後はバー２０を押し
て、操作テーブル１７の下に押込むことができるように
なっている。

【００２２】回動板６が回動すると、下こて７の両端部
は図１において鎖線ａで示される軌跡を描くが、引出し
スイッチ１９を作動させたとき、バー２０が前記軌跡ａ
の最も前方の位置よりもさらに前方にまで引出すことに
より、回動板６が始動するようにするのが好ましい。

【００２３】前記下こて７は、こて体２２の一端部に台
２３を一体的に取付けており、前記中マット８及び上こ
て１５は、下こて７のこて体２２の上面に対して重なる
如く離接するようになっている。

【００２４】２４はフレーム１の後部側方に設けられた
衣類取出し装置であり、２５は該衣類取出し装置２４の
前部から作業位置Ａの側方まで伸びるように配置された
コンベア装置２５であって、プレス位置Ｂにおいてプレ
スされた衣類を衣類取出し装置２４で側方に引出して取
出し、それをコンベア装置２５で前方の作業位置Ａの側
方にまで搬送するようになっている。

【００２５】

【作用】次に上記実施例に基いて、本考案のズボンプレ
ス機の作用を説明する。

【００２６】本考案においては、作業者は作業位置Ａに
おける操作テーブル１７の前方に立って作業する。この
とき引出しスイッチ１９はバー２０が操作テーブル１７
の下方に押込まれており、作業者は操作テーブル１７の
前縁まで接近し、下こて７に近付いて作業することがで
きる。

【００２７】ここで、作業位置Ａにおいて中マット８を
上方に回動させ、下こて７上を開く。そして下こて７上
に衣類としてのズボン２６を、両脚部をこて体２２上
に、腰部を台２３上に載置する。

【００２８】而して前記実施例においては、下こて７上
において先ずズボン２６の下側の脚部を延ばして、形を
整える。そして押しボタンスイッチ１８を操作して中マ
ット８を回動させて下こて７上に重ね、当該中マット８
と下こて７との間に延ばした脚部を挾む。

【００２９】次いでその中マット８上においてズボン２
６の上側の脚部を延ばして形を整える。ズボン２６の腰
部は台２３上において形を整える。すなわちズボン２６
は、その両脚部間に中マット８を挾み、腰部を台２３上
に載置した状態で、下こて７上に載置される。

【００３０】次いでこの状態において引出しスイッチ１
９を操作する。すなわち作業者がバー２０を把持して前
方に引出す。このときバー２０は操作テーブル１７の前
縁から前方に張出すので、作業者は必然的に前方に退か
なければ、引出しスイッチ１９を操作することができな
い。

【００３１】すなわち図１において、鎖線で示されたバ
ー２０の位置よりも、作業者が前方に退くこととなり、
下こて７の軌跡ａの範囲内に、作業者の身体が有ること
ができない。

【００３２】而して引出しスイッチ１９を操作すると、
図４におけるエアーシリンダー１４が作動して収縮し、
回動板６を時計方向に回動させる。回動板６の回動角度
が９０°を越えた後エアーシリンダー１４を伸長させ
て、回動板６を１８０°回動させる。

【００３３】この回動板６の回動過程において、下こて
７はその最外部は軌跡ａに沿って移動するが、その軌跡
ａの内側の作業者の身体が有ることがないので、下こて
７が作業者の身体に当たることがない。

【００３４】また実施例のように回動板６の回転中は引
出しスイッチ１９を引出された状態にロックすることに
より、誤ってバー２０を押して作業者の身体が前記軌跡
ａ内に入るのを防止できる。

【００３５】そして回動板６が１８０°回動すると、二
つの下こて７の位置が入替り、先の工程において作業位
置Ａでズボン２６を載置した下こて７は、反対側のプレ
ス位置Ｂに来る。

【００３６】ここでプレス位置Ｂにおいて上こて１５を
下動させて下こて７上のズボン２６を所定の時間プレス
する。

【００３７】プレスが終了したならば、上こて１５を上
動させ、衣類取出し装置２４でズボン２６を取出し、コ
ンベア装置２５で前方に搬送する。

【００３８】一方、これらの工程の間に、作業位置Ａに
おいては、下こて７上に新しいズボン２６が載置され、
両脚部間に中マット８が挾まれて、プレスの準備が整え
られている。このとき引出しスイッチ１９は、バー２０
を操作テーブル１７の下部に押込んで自然な姿勢で作業
できる。

【００３９】そこで引出しスイッチ１９を操作し、再度
エアーシリンダー１４を作動させると、今度は回動板６
を反時計方向に１８０°回動さ、二つの下こて７は作業
位置Ａとプレス位置Ｂとの間で位置を交替する。

【００４０】以下これらの工程を繰返すことにより、作
業位置Ａにおいて下こて７上にズボン２６を載置し、そ
の下こて７をプレス位置Ｂに送り、そのプレス位置Ｂに
おいて上こて１５が下動してプレスし、プレスされたズ
ボン２６は衣類取出し装置２４で取出され、コンベア装
置２５で前方に搬送され、これらの一連の工程が繰返さ
れるのである。

【００４１】

【考案の効果】本考案によれば、回動板６を回動させて
下こて７の位置を入替るためには、バー２０を引出して
引出しスイッチ１９を操作する必要があり、そのバー２
０を引出すためには、操作テーブル１７の前に立った作
業者はバー２０の邪魔にならないように退く必要があ
る。

【００４２】従って下こて７の最外部の軌跡ａの内側に
作業者が居るときには、作業者の身体が邪魔になってバ
ー２０を引出すことができず、回動板６が回動すること
がなく、また回動板６が回動するときには、下こて７の
最外部の軌跡ａの内側に作業者が居ることができないの
であって、下こて７が作業者の身体に当たる恐れがな
く、安全に回動させることができる。

【００４３】また回動板６が回動しておらず作業位置Ａ
の下こて７が静止した状態においては、バー２０は操作
テーブル１７の前縁に沿って押込まれており、作業者は
下こて７に十分に近付いてズボン２６の載置作業などを
行うことができ、自然な姿勢で容易に作業することがで
きる。

【００４４】なお以上の説明においては、本考案をズボ
ンプレス機として説明したが、ズボン専用のプレス機に
限らず、汎用のプレス機や、その他の衣料品の専用プレ
ス機に適用することもできる。またこの場合には、実施
例に示したような中マット８は不必要である。

【００４５】また前述の実施例では、下こて７が二つ設
けられたロータリープレス機であるが、下こて７の数は
二つに限らず、三つ以上の下こて７を有するものとする
こともできる。

【００４６】また先の実施例では衣類取出し装置２４及
びコンベア装置２５が設けられているが、これらの装置
は本考案に不可欠のものではない。これらの衣類取出し
装置２４及びコンベア装置２５を設けない場合において
は、プレス位置Ｂにおいてプレスされたズボン２６は、
下こて７に載置されたままで作業位置Ａに戻り、そこで
手作業により下こて７から除去される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案のプレス機の一実施例の平面図

【図２】 図１のプレス機の正面図

【図３】 図１のプレス機の側面図

【図４】 図１のプレス機における下こての回動機構を
示す、主要部の拡大平面図

【符号の説明】

Ａ 作業位置 Ｂ プレス位置 １ フレーム ６ 回動板 ７ 下こて １５ 上こて １９ 引出しスイッチ ２０ バー ２６ 衣類（ズボン）

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フレーム（１）に対して回動可能に支持
   された回動板（６）に二以上の下こて（７）を取付け、
   回動板（６）を回動させることにより下こて（７）の位
   置を交替するようになし、その一の位置（Ａ）において
   下こて（７）上に衣類（２６）の載置作業を行うと共
   に、他の一の位置（Ｂ）において下こて（７）上に上こ
   て（１５）を離接して下こて（７）上の衣類（２６）を
   プレスするロータリープレス機において、前記回動板
   （６）を始動するスイッチが前記作業位置（Ａ）におけ
   る下こて（７）の前縁に沿って設けられたバー（２０）
   であって、当該バー（２０）を前方に引出すことにより
   回動板（６）の回動を始動せしめたことを特徴とする、
   ロータリープレス機