JP2562844B2 - 円周流式燃料ポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、例えば自動車用内燃機関などに用いら
れ、円周流式の液体ポンプを有している円周流式燃料ポ
ンプに関するものである。

［従来の技術］ 第２図は例えば特開昭60−79193号公報に示された従
来の車両用円周流式燃料ポンプを示す縦断面図、第３図
は第２図のIII−III線に沿う矢視断面図である。

図において、ポンプ本体（１）は、給電部（２），モ
ータ（３），円周流式のポンプ部（４）及び外筒（５）
により構成されている。モータ（３）の回転軸（3a）
は、給電部（２）の第１の軸受（2a）とポンプ部（４）
の第２の軸受（4a）とにより支承されている。

ポンプ部（４）は、ポンプケーシング（41），インペ
ラ（42）及びポンプカバー（43）からなっている。これ
らのうち、ポンプケーシング（41）は外筒（５）内に圧
入されている。また、ポンプカバー（43）は、外筒
（５）の開口端部にかしめられて固定されている。そし
て、ポンプケーシング（41）とポンプカバー（43）との
間に、インペラ（42）が配置されている。このインペラ
（42）には、略Ｄ字状の孔（42b）が設けられており、
この孔（42b）の円形部分の中心Ｑは、インペラ（42）
の中心ｐと一致している。そして、この孔（42b）に回
転軸（3a）の先端部が係合している。回転軸（3a）の先
端部は、孔（42b）と同様に断面略Ｄ字状になっている
が、孔（42b）より僅かに小空になっている。

ポンプケーシング（41）及びポンプカバー（43）に
は、インペラ（42）の外周縁部に沿って円周状の燃料流
路（44）が形成されている。この燃料流路（44）に臨ん
だインペラ（42）の外周縁部には、ポンプ作用を為す羽
根部（42a）が多数設けられている。

燃料流路（44）の上流端は、ポンプカバー（43）に設
けられた燃料の吸入口（45）に連通している。一方、燃
料流路（44）の下流端は、ポンプケーシング（41）に設
けられた吐出口（46）及びモータ室を介して、給電部
（２）に設けられた導出部（21）に連通している。ま
た、燃料流路（44）の上流端と下流端とは、ポンプケー
シング（41）に設けられた流路隔壁（41a）を介して隣
合っている。この流路隔壁（41a）は、インペラ（42）
の外周縁部に対して、微小隙間（６）をおいて対向して
いる。

次に、動作について説明する。モータ（３）は、外部
電源から給電部（２）を介して給電されることにより回
転する。これにより、その回転軸（3a）に係合したイン
ペラ（42）が回転してポンプとして働き、その結果、吸
入口（45）から燃料が吸入される。吸入された燃料は、
燃料流路（44）→吐出口（46）→モータ室→導出部（2
1）と流れ、エンジン（図示せず）等へ供給される。

また、燃料流路（44）の下流端に流れた燃料は、その
ほとんどが流路隔壁（41a）に衝突して吐出口（46）へ
と流れるが、その一部は微小隙間（６）を通って燃料流
路（44）の上流端に戻る。

ところで、第３図に示すように、インペラ（42）を図
の時計方向に回転させた場合、回転軸（3a）の先端部と
孔（42b）とが略Ｄ字状であり、かつ回転軸（3a）の先
端部の方が孔（42b）より僅かに小径であるため、回転
軸（3a）の断面の円形部分の中心Ｏとインペラ（42）の
中心Ｐとは、回転軸（3a）と孔（42b）との間の間隔の
ほぼ半分、即ちΔｒずれて係合する。この回転軸（3a）
の先端部の断面径と孔（42b）の径との差は、30〜50μ
ｍ程度が適当である。従って、上記した偏心量Δｒは、
15〜25μｍ程度となり、インペラ（42）の図中（Ａ）の
部分と（Ｂ）の部分とでは、微小隙間（６）の大きさが
30〜50μｍ変化することになる。

［発明が解決しようとする課題］ 上記のように構成された従来の円周流式燃料ポンプに
おいては、微小隙間（６）の大きさがインペラ（42）の
回転とともに変化するため、エンジン等へ供給される燃
料圧力に微小変動（脈動）が生じたり、ポンプ本体
（１）に微振動が発生し、ポンプ本体（１）の取付部品
や燃料供給配管と共振・共鳴して不快音を発生したりす
るなどの問題点があった。

この発明は、上記のような問題点を解決することを課
題としてなされたものであり、インペラと流路隔壁との
間の微小隙間の大きさの変動を小さくすることができ、
これにより燃料圧力の脈動を防止でき、かつポンプ本体
の微振動を防止して、不快音の発生を防止することがで
きる円周流式燃料ポンプを得ることを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この発明に係る円周流式燃料ポンプは、孔の径と回転
軸の断面径との差に応じて、孔の中心をインペラの中心
に対して偏心させたものである。

［作用］ この発明においては、インペラの孔の中心を偏心させ
ることにより、回転時のインペラの中心と回転軸の中心
とを一致させる。

［実施例］ 以下、この発明の実施例を図について説明する。第１
図はこの発明の一実施例による車両用円周流式燃料ポン
プのポンプ部の断面図であり、第２図及び第３図と同一
又は相当部分には同一符号を付し、その説明を省略す
る。

図において、インペラ（42）の孔（42b）の中心Ｑ
は、インペラ（42）の中心Ｐに対して、孔（42b）の弦
の方向にΔｒだけ偏心している。これにより、回転時の
インペラ（42）の中心Ｐは、回転軸（3a）の中心Ｏにほ
ぼ一致している。このような偏心量Δｒは、従来例でも
述べたように、孔（42b）の円形部分の直径と回転軸（3
a）の断面の円形部分の直径との差が30〜50μｍ程度で
あるので、その半分程度、即ち20μｍ程度とするのが適
当である。

上記のように構成された車両用円周流式燃料ポンプに
おいては、回転時のインペラ（42）の中心Ｐが、回転軸
（3a）の中心Ｏにほぼ一致しているので、インペラ（4
2）の回転時の微小隙間（６）の大きさの変化が小さ
い。例えば、上記のようにΔｒを20μｍとした場合、イ
ンペラ（42）の図中（Ａ）の部分と（Ｂ）の部分とでの
微小隙間（６）の大きさの差は、10μｍ程度に抑えられ
る。通常、微小隙間（６）の設定値は50μｍ前後である
ので、従来に比べその変動はかなり小さくなっている。

これにより、エンジン等へ供給される燃料圧力の変動
が小さくなり、またモータ（３）にかかる負荷も安定す
るため、円周流式燃料ポンプとしての性能が安定して信
頼性が高くなる。また、ポンプ本体（１）の微振動が防
止されて不快音の発生も防止される。

なお、上記実施例では車両用円周流式燃料ポンプを示
したが、この発明は車両用以外の円周流式燃料ポンプに
も適用できることは言うまでもない。

［発明の効果］ 以上説明したように、この発明の円周流式燃料ポンプ
は、孔の径と回転軸の断面径との差に応じて、孔の中心
をインペラの中心に対して偏心させ、回転時のインペラ
の中心と回転軸の中心とを一致させるようにしたので、
燃料流路の上下流端間を連通する微小隙間の大きさの変
動を小さくすることができ、これにより燃料の吐出圧力
の脈動を防止でき、かつモータにかかる負荷を安定させ
ることができ、この結果性能を安定させて信頼性を向上
させることができるなどの効果を奏する。また、ポンプ
本体の微振動を防止して、不快音の発生を防止すること
ができるという効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す断面図、第２図は従
来例を示す縦断面図、第３図は第２図のIII−III線に沿
う矢視断面図である。 図において、（3a）は回転軸、（42）はインペラ、（42
b）は孔、またO,P及びＱはそれぞれ回転軸，インペラ，
及び孔の中心である。 なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】インペラに設けられた孔に、前記孔よりも
   小径の回転軸を係合させて前記インペラを回転させる円
   周流式燃料ポンプにおいて、回転時の前記インペラの中
   心が前記回転軸の中心に重なるように、前記孔の径と前
   記回転軸の断面径との差に応じて、前記孔の中心が前記
   インペラの中心に対して偏心していることを特徴とする
   円周流式燃料ポンプ。