JP6361583B2 - 燃料ポンプ - Google Patents
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Description
この種の燃料ポンプでは、ポンプ室の燃料は、インペラと共に回転するにしたがって昇圧され、また、吸入孔側よりも吐出孔側が高圧となる。そのため、インペラが燃料から受ける圧力は、周方向において差があり、また、軸方向においても差がある。したがって、インペラは傾きながら回転する。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、インペラおよびケースの摩耗を抑制できる燃料ポンプを提供することである。
出力端部の外壁面は、周方向において異なる箇所に形成されている一対の第1平面を含む。嵌合穴の内壁面は、周方向において異なる箇所に形成されている一対の第2平面を含む。一方の第1平面と一方の第2平面とのクリアランスは、回転軸とインペラとが同心である状態において、軸方向の片側から他の側へ向かうにしたがって大きくなっている。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による燃料ポンプは、車両の燃料タンク内に設置されるインタンク式のポンプであり、図1の下部に示す吸入口14から燃料を吸入して昇圧し、図1の上部に示す吐出口18から図示しないエンジンに吐出する。
先ず、燃料ポンプ10の全体構成について図1〜図3を参照して説明する。
燃料ポンプ10は、外郭と駆動部と昇圧部とに大別される。外郭は、ハウジング11、吸入側カバー12および吐出側カバー15から構成されている。
吸入側カバー12は、ハウジング11の一端部に設けられている。また、吸入側カバー12は、軸方向へ貫通する吸入孔13を有する。吸入口14は、吸入孔13の入口である。
吐出側カバー15は、ハウジング11の他端部に設けられている。また、吐出側カバー15は、ハウジング11外へ突き出す筒部16を形成し、当該筒部16の内側に形成された吐出流路17を有する。吐出口18は、吐出流路17の出口である。吐出側カバー15の中央部には軸受19が設けられている。
固定子21は、ハウジング11内に設けられており、ステータコア23、インシュレータ24、巻線25および端子26を有する。ステータコア23は、磁性材料から成り、筒状のヨーク部27と、ヨーク部27から径方向内側に突き出す複数のティース部28とを形成している。インシュレータ24は、ステータコア23のティース部28に装着されている。巻線25は、インシュレータ24に巻回されている。本実施形態では、巻線25は、U相巻線部とV相巻線部とW相巻線部とを含む。端子26は、3つ設けられ、各相の巻線部を外部の制御装置に接続可能である。
回転子22は、固定子21の内側に設けられており、回転軸31、ロータコア32および複数の磁石33〜36を有する。回転軸31は、軸受19および後述の軸受43により回転可能に支持されている。ロータコア32は、筒状であり、回転軸31に嵌合して固定されている。磁石33〜36は、ロータコア32の外周部に設けられている。各磁石33〜36は、径方向外側の極性が周方向で交互に異なるよう設けられている。
ケーシング38は、有底筒状に形成されており、固定子21と吸入側カバー12との間に設けられ、吸入側カバー12と組み合わされている。また、ケーシング38は、吸入側カバー12との間にポンプ室41を区画形成している。ケーシング38の中央部には通孔42が形成されている。この通孔42には軸受43が嵌め込まれている。回転軸31の出力端部37は、軸受43を挿通してポンプ室41内に突き出している。
次に、燃料ポンプ10の特徴構成について図1、図4〜図8を参照して説明する。なお、図4〜図8は、構成を分かり易くするために模式的に示されている。図面に示された各部の寸法、角度および寸法比は、必ずしも正確なものではない。
図4〜図6に示すように、出力端部37の外壁面は、周方向において異なる二箇所であって、回転軸31の軸心AX1を間に置いた二箇所に形成されている一対の第1平面51、52を含む。第1実施形態では、両方の第1平面51、52は軸心AX1と平行である。さらに、第1平面51は第1平面52と平行である。
つまり、出力端部37は、互いに平行な一対の第1平面51、52を有する二面取り形状の軸である。この二面取り形状の軸は、Iカット軸またはダブルDカット軸とも称される。
(S12−S11)/L1≧0.0055・・・(1)
(S22−S21)/L2≧0.0055・・・(2)
(S32−S31)/L3≧0.0055・・・(3)
(S42−S41)/L4≧0.0055・・・(4)
以上説明したように、第1実施形態では、出力端部37の外壁面は、周方向において異なる箇所に形成されている一対の第1平面51、52を含む。嵌合穴44の内壁面は、周方向において異なる箇所に形成されている一対の第2平面61、62を含む。一方の第1平面51と一方の第2平面61との第1クリアランス65は、回転軸31とインペラ39とが同心である状態において、軸方向の片側から他の側へ向かうにしたがって大きくなっている。
このような出力端部37とインペラ39は、回転軸31が回転すると、ほぼ全周において互いに二箇所で接触する。そのため、インペラ39は、より一層、傾きを緩和するように動き易い。
そのため、回転軸31およびインペラ39が公差内で小さめに作られつつ、ポンプ室41および嵌合穴44が公差内で大きめに作られ、回転軸31およびインペラ39が最大限に傾いた場合であっても、第1平面51と第2平面61との間うち軸方向の他の側、および、第1平面52と第2平面62との間のうち軸方向の他の側には、確実に隙間が確保される。
そのため、第1曲面53と第2曲面63との接触、および、第1曲面54と第2曲面64との接触によってインペラ39の揺動が阻害されることを抑制できる。
そのため、第1平面51、52を機械加工により形成する場合、その加工が容易である。
本発明の第2実施形態では、図9に示すように、第1クリアランス65および第2クリアランス66は、回転軸31とインペラ71とが同心である状態において、第1実施形態と同様に軸方向の片側から他の側へ向かうにしたがって大きくなっている。
本発明の第3実施形態では、図11に示すように、第1クリアランス82および第2クリアランス83は、回転軸31とインペラ81とが同心である状態において、軸方向の片側から他の側へ向かって変化しない。つまり、一方の第1平面84と一方の第2平面85との間隔、および、他方の第1平面86と他方の第2平面87との間隔は、軸方向において一定である。両方の第2平面85、87は、インペラ81の軸心AX2と平行である。
本発明の第4実施形態では、図13に示すように、インペラ90の第2平面91、92は軸心AX2と平行である。また、図14に示すように、インペラ90の第2曲面93、94の曲率中心は軸心AX2と一致する。すなわち、第2曲面93、94は、軸心AX2を中心とする仮想的な円筒面に沿うよう形成されている。
本発明の他の実施形態では、出力端部の外壁面は、一対の第1平面および一対の第1曲面から構成されるのみならず、一対の第1平面と、1または複数の他の平面とから構成されてもよい。要するに、出力端部の外壁面は一対の第1平面を含んでいればよい。
本発明の他の実施形態では、一対の第1平面は、互いに平行でなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、第1?第4クリアランスは、回転軸とインペラとが同心である状態において、軸方向の吸入孔側から吐出孔側へ向かうにしたがって大きくなっていてもよい。
本発明の他の実施形態では、出力端部の外壁面の平面と曲面との角部、または、平面と平面との角部は、丸みを帯びていてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
31・・・回転軸 37・・・出力端部
39・・・インペラ 41・・・ポンプ室
44・・・嵌合穴 47・・・吐出孔
48・・・ケース
51、52、96、97・・・第1平面
61、62、91、92・・・第2平面
65、101・・・第1クリアランス(クリアランス)
Claims (10)
- モータ(20)と、
前記モータの回転軸(31)の出力端部(37)に嵌合している嵌合穴(44)を有するインペラ(39)と、
前記インペラを収容しているポンプ室(41)、前記ポンプ室から軸方向の一方へ貫通している吸入孔(13)、および、前記ポンプ室から軸方向の他方へ貫通している吐出孔(47)を有するケース(48)と、
を備え、
前記出力端部の外壁面は、周方向において異なる箇所に形成されている一対の第1平面(51、52、96、97)を含み、
前記嵌合穴の内壁面は、周方向において異なる箇所に形成されている一対の第2平面(61、62、91、92)を含み、
一方の前記第1平面と一方の前記第2平面とのクリアランス(65、101)は、前記回転軸と前記インペラとが同心である状態において、軸方向の片側から他の側へ向かうにしたがって大きくなっていることを特徴とする燃料ポンプ。 - 他方の前記第1平面と他方の前記第2平面とのクリアランス(66、102)は、前記回転軸と前記インペラとが同心である状態において、軸方向の片側から他の側へ向かうにしたがって大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の燃料ポンプ。
- 前記出力端部は、回転軸が回転するとき前記嵌合穴の内壁面に二点接触することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料ポンプ。
- 一方の前記第1平面と一方の前記第2平面とのクリアランスを第1クリアランスと呼び、他方の前記第1平面と他方の前記第2平面とのクリアランスを第2クリアランスと呼ぶ場合において、
前記回転軸と前記インペラとが同心である状態において、前記第1クリアランスの前記軸方向の片側の端の間隔をS11とし、前記第1クリアランスの前記軸方向の他の側の端の間隔をS12とし、前記第1クリアランスの軸方向の長さをL1とすると、
(S12−S11)/L1≧0.0055
であり、
前記回転軸と前記インペラとが同心である状態において、前記第2クリアランスの前記軸方向の片側の端の間隔をS21とし、前記第2クリアランスの前記軸方向の他の側の端の間隔をS22とし、前記第2クリアランスの軸方向の長さをL2とすると、
(S22−S21)/L2≧0.0055
であることを特徴とする請求項2に記載の燃料ポンプ。 - 前記出力端部の外壁面は、周方向において一方の前記第1平面と他方の前記第1平面との間に位置し、且つ、径方向の外側へ凸となる一対の第1曲面(53、54、98、99)を含み、
前記嵌合穴の内壁面は、周方向において一方の前記第2平面と他方の前記第2平面との間に位置し、且つ、径方向の外側へ凹となる一対の第2曲面(63、64、93、94)を含み、
一方の前記第1曲面と一方の前記第2曲面とのクリアランス(67、103)は、前記回転軸と前記インペラとが同心である状態において、軸方向の片側から他の側へ向かうにしたがって大きくなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。 - 他方の前記第1曲面と他方の前記第2曲面とのクリアランス(68、104)は、前記回転軸と前記インペラとが同心である状態において、軸方向の片側から他の側へ向かうにしたがって大きくなっていることを特徴とする請求項5に記載の燃料ポンプ。
- モータと、
前記モータの回転軸の出力端部に嵌合している嵌合穴を有するインペラと、
前記インペラを収容しているポンプ室、前記ポンプ室から軸方向の一方へ貫通している吸入孔、および、前記ポンプ室から軸方向の他方へ貫通している吐出孔を有するケースと、
を備え、
前記出力端部の外壁面は、周方向において異なる箇所に形成されている一対の第1平面(84、86)と、周方向において一方の前記第1平面と他方の前記第1平面との間に位置し、且つ、径方向の外側へ凸となる一対の第1曲面(53、54)とを含み、
前記嵌合穴の内壁面は、周方向において異なる箇所に形成されている一対の第2平面(85、87)と、周方向において一方の前記第2平面と他方の前記第2平面との間に位置し、且つ、径方向の外側へ凹となる一対の第2曲面(63、64)を含み、
一方の前記第1曲面と一方の前記第2曲面とのクリアランス(67)は、前記回転軸と前記インペラとが同心である状態において、軸方向の片側から他の側へ向かうにしたがって大きくなっていることを特徴とする燃料ポンプ。 - 他方の前記第1平面と他方の前記第2平面とのクリアランス(68)は、前記回転軸と前記インペラとが同心である状態において、軸方向の片側から他の側へ向かうにしたがって大きくなっていることを特徴とする請求項7に記載の燃料ポンプ。
- 両方の前記第1平面(51、52、84、86)は前記回転軸の軸心と平行であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
- 前記軸方向の片側とは、前記インペラに対する前記吐出孔側であり、
前記軸方向の他の側とは、前記インペラに対する前記吸入孔側であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
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