JP2562288B2 - 鞍乗型車両 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明はエンジンの吸気装置に関するものである。

〔従来技術〕

一般に、車両に搭載されたエンジンの吸気装置は、混
合気を形成するための気化器と、その上流側に設けた空
気清浄器からなり、これらの間が吸気管によって接続さ
れた構成になっている。ところが、上記吸気管は他の機
器とのレイアウトの関係で長くしたり、細くしたり、或
いは途中で屈曲させたりしなければならないことがあ
る。しかし、このような形状の吸気管では、吸気が空気
清浄器から気化器へ至るまでの通気抵抗が大となり、絞
り弁を操作するときのエンジンの応答特性（レスポン
ス）を悪くしてしまう問題がある。

一般に、自動二輪車や自動三輪車などの鞍乗型車両で
はその吸気系機器はエンジンから車両後方に向けて気化
器、空気清浄器を順次にほぼ水平状に配設し、比較的低
い位置にある。

しかし、沼地、冠水地等の不整地を走行する鞍乗型車
両の場合には、車両が水をかぶることによって末端の空
気清浄器の空気取入口に水が進入してエンジン不調を来
すことがある。

この対策としては空気清浄器を車両の高い場所に置け
ばよいが、吸気通路を屈曲させたりせねばならなくなる
ため通気抵抗が大きくなり、前述の如くエンジンの応答
特性を悪化し、必ずしも良い対策とはいえなかった。

〔発明の目的〕

本願発明の目的は上述のような問題を解決し、空気清
浄器を高い場所に配置しても、エンジン応答特性を高く
するようにした鞍乗型車両を提供することにある。

〔発明の構成〕

上記目的を達成する本願発明の鞍乗型車両は、直立型
シリンダで吸気通路を後方へ延設するようにしたエンジ
ンを搭載した鞍乗型車両において、 前記吸気通路に設けた絞り弁の吸気側に実質的に後方
へ直線状に延びる吸気管を接続し、この吸気管の上流側
開口に空間部を直接臨ませた吸気チヤンバを設け、この
吸気チヤンバを屈折部として、さらに、ほぼ直線状の吸
気管を介して前記エンジンの上方に配置した空気清浄器
に連設したことを特徴とするものである。

〔実施例〕

以下、本発明を図に示す実施例により説明する。

第２図は本発明による吸気装置を設けた前１輪、後２
輪の自動三輪車（鞍乗型車両）であって、１は車体フレ
ーム、２は前輪、３は左右に一対設けられた後輪、４は
シトである。５は車体フレーム１のほゞ中央に搭載され
た２サイクル・エンジンで、その吸気装置として気化器
６、空気清浄器７が設けられている。エンジン５は、第
１図に示すように直立型シリンダであり、また空気清浄
器７は、このエンジン５の上方に位置すると共に、シー
ト４の前方にカバーに覆われて設置され、そのため吸気
通路が第１図に示すようなフック状に屈折した形状にな
っている。また、燃料タンク８は、シート４の後部下方
に設置されている。

第１図に詳細を示すように、図示しない絞り弁を有す
る気化器６の吸気側には、実質的に直線状に形成された
短管からなる吸気管９が後方へ延びるように接続され、
その上流側に吸気チャンバ11が設けられいる。この吸気
チャンバ11は、その容積の大きな空間部を吸気管９の上
流側開口に直接臨ませるように設置されている。さら
に、この吸気チャンバ11から斜め上方へ延びる別の吸気
管10が接続され、上方の空気清浄器７に連通している。
上記上流側の吸気管10は、下流側の吸気管９に対し、吸
気チャンパ11を介してフック状に屈折した状態に接続さ
れている。

上述した構成の車両では、空気清浄器７がエンジン５
上方向の高い位置に置かれているので、沼地等を走行し
ても空気清浄器７の空気取入口に水が進入しないように
することができる。また、エンジン５を運転すると、吸
気管9,10には吸気行程ごとに吸気が間欠流となって流れ
るが、吸気行程終了直後の吸気チャンバ11内は負圧状態
になっているため、後続する吸気がその吸気チャンバ11
に一時的に貯溜された状態になる。この貯溜された吸気
は、次の吸気行程のとき、空気清浄器７から供給される
吸気に先立って直ちに気化器６へ吸引され、エンジン５
へ供給される。

しかも、上記吸気チャンバ11は、枝管などの連通管を
介して吸気管９に接続されるのではなく、その空間部を
吸気管９に上流側開口に直接臨ませるようにし、かつ吸
気管９は大きな屈曲をもたず、ほゞ直線状に形成されて
いるため、上述のように空間部に一時的に貯溜された吸
気は、大きな抵抗を受けることなく直ちに絞り弁を内設
する気化器６およびエンジン５へ導入される。したがっ
て、絞り弁の開閉操作に対し、エンジン５を極めて速い
応答特性で運転することができる。

また、上述したように空気清浄器７をエンジン５上方
向の高い場所に配置した吸気装置では、吸気管10,9は互
いに接続する大きな屈折部分において大きな吸気抵抗を
発生することになるが、上述のように吸気チャンバ11を
上記屈折部分に配置することによって、大きな吸気抵抗
の発生を抑制し、エンジン５の応答特性を最も効果的に
向上することができる。

〔発明の効果〕

上述したように本発明の鞍乗型車両は、吸気通路に設
けた絞り弁の吸気側に実質的に後方へ直線状に延びる吸
気管を接続し、この吸気管の上流側開口に空間部を直接
臨ませた吸気チヤンバを設け、この吸気チヤンバを屈折
部として、さらにほぼ直線状の吸気管を介してエンジン
の上方に配置した空気清浄器に連設する構成にしたの
で、 高い位置の空気清浄器に水が進入しないようにするこ
とができ、しかも、吸気チヤンバの上下流の吸気管がい
ずれも直線状のためその吸気抵抗を低減させ、さらに、
空気清浄器を上方に配置したことにより吸気通路に屈曲
部は形成されるが、上記吸気チャンバに一時的に貯溜さ
れた吸気を、次の吸気行程において、大きな吸気抵抗を
受けることなく直ちに絞り弁およびエンジンへ供給する
ことができ、それによってエンジンの応答特性を向上す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例による吸気装置とエンジンを一
部断面にして示す側面図、第２図は第１図の吸気装置を
有するエンジンを搭載した自動三輪車の側面図である。 ５……エンジン、６……（絞り弁を内設する）気化器、
７……空気清浄器、9,10……吸気管、11……吸気チャン
バ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】直立型シリンダで吸気通路を後方へ延設す
   るようにしたエンジンを搭載した鞍乗型車両において、
   前記吸気通路に設けた絞り弁の吸気側に実質的に後方へ
   直線状に延びる吸気管を接続し、この吸気管の上流側開
   口に空間部を直接臨ませた吸気チヤンバを設け、この吸
   気チヤンバを屈折部として、さらにほぼ直線状の吸気管
   を介して前記エンジンの上方に配置した空気清浄器に連
   設したことを特徴とする鞍乗型車両。