JP2561316Y2 - 中継用ルーフドレインの水跳ね防止構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、主にマンション等の高
層住宅のバルコニーやベランダ等に雨水等の排水のため
に設置利用される中継用ルーフドレインの水跳ね防止構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、中継用ルーフドレインは、受皿
部及びこの中央から下方に突出開口する接続筒部を有す
る略漏斗状のドレイン本体をバルコニー等のコンクリー
トスラブに埋設固定すると共に、このドレイン本体の受
皿部上にストレーナをビス止め等により脱着可能に取付
けた構成で、ドレイン本体の接続筒部に下階側から下部
竪樋を接続し、ストレーナには上部竪樋を接続する。

【０００３】この中継用ルーフドレインのストレーナ
は、配管工事の際に必要な上部竪樋のやり返し距離を吸
収するために備えられている。つまり、上部竪樋は下端
をドレイン本体上に接合して鉛直に立ち上げ、この状態
で押し上げて上端部を上階側コンクリートスラブ内のド
レインの接続筒部に下から差し込み接続して固定すると
言ったやり返し作業を行う。このやり返し距離の分だけ
竪樋の長さが不足し、この竪樋の下端がドレイン本体か
ら浮き上がるように離間してしまうので、その間のつな
ぎとして所要高さの縦型筒状のストレーナを備えてい
る。

【０００４】また、このストレーナは、コンクリートス
ラブ上の雨水等を集水して下部竪樋に流すために、周壁
部に多数の幅広スリット状の集水用通水孔を有した構成
とされている。

【０００５】こうした中継用ルーフドレインを設置使用
した場合、上階側から上部竪樋を介し流れ落ちる雨水が
ドレイン本体の受皿部上面に当たってストレーナの集水
用通水孔から外に飛び跳ね、その周辺を濡らして汚して
しまう不具合があった。

【０００６】そこで、この防止対策として、例えば実開
昭６３−１２５３７号公報に示されている如く、中継用
ルーフドレインのストレーナに、この上端から一体に内
側に折り返し且つ下端開口がドレイン本体の接続筒部内
径より小径となるテーパー状筒部を設けたものが提案さ
れている。このテーパー状筒部の存在により、上部竪樋
から流れ落ちて来る雨水をドレイン本体の受皿部上面に
当てずに該ドレイン本体の接続筒部内に落とし込み、雨
水の外へ飛び跳ねを防止する。

【０００７】また、例えば実開昭６３−１１７９２２号
公報に示されている如く、中継用ルーフドレインのスト
レーナの内側に、別体的に前述同様のテーパー状筒体を
遊嵌し、このテーパー状筒体の上部を竪樋下端に被嵌す
る状態に接続すると共に、ストレーナの外側からねじ込
むビスで固定した構成のものが提案されている。これで
も前者のものと同様に雨水の外へ飛び跳ねを防止するこ
とができる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】ところで、前者の提案
のものの場合、ストレーナの内側に一体的にテーパー状
筒部が存在し、このテーパー内面部に上部竪樋の下端部
が突き当たることから、この上部竪樋の配管工事のやり
返し距離をストレーナが全く吸収できず、上階側コンク
リートスラブのドレインとの間での配管工事が不可能と
なる問題がある。

【０００９】一方、後者の提案の場合、ストレーナの内
側に別体のテーパー状筒部を遊嵌しているが、このテー
パー内面部に上部竪樋の下端部が突き当たることから、
この場合でも上部竪樋の配管工事の必要十分なやり返し
距離を吸収できず、配管工事が非常に困難となる問題が
ある。

【００１０】また、この後者の提案の場合、別体のテー
パー状筒体が浮き上がった状態でストレーナに対しビス
の押し付けで固定しているので、そのテーパー状筒体が
振動等により落ち込んでドレイン本体の接続筒部上に嵌
まり込み、コンクリートスラブ上の雨水等がストレーナ
の集水用通水孔からドレイン本体の受皿部上に流れ込ん
でも下部竪樋方に落流していかなくなる問題が発生す
る。

【００１１】また、前者の提案の一体型テーパー状筒部
のものは勿論のこと、後者の提案のもの別体型テーパー
状筒体でも、ストレーナと同様の肉厚で且つテーパー状
筒形をなすので、製作が面倒でコスト高を招く上に、そ
の肉厚では既存の中継用ルーフドレインのストレーナと
上部竪樋との間に介在できず、ストレーナなどを改造し
なければ適用できない。

【００１２】本考案は前記事情に鑑みなされ、その目的
とするところは、ドレイン本体周辺からの集水機能を維
持しながらも、上部竪樋からいきよいよく落流する雨水
のストレーナ外部への飛び跳ねを防止できると共に、上
部竪樋のやり返し作業に何ら支障がなく配管工事が楽に
でき、しかも既存の中継用ルーフドレインにも適用でき
る非常に安価で実用性に優れた中継用ルーフドレインの
水跳ね防止構造を提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本考案の中継用ルーフド
レインの水跳ね防止構造は、前記目的を達成するため
に、開閉可能な割形筒状で、中継用ルーフドレインのド
レイン本体上のストレーナの下部小幅部分を残しそれよ
り上側外周部を覆う状態に装着可能な水跳ね防止カバー
を備えたことを特徴とする。

【００１４】

【作用】前記構成の中継用ルーフドレインの水跳ね防止
構造であれば、ドレイン本体周辺からの雨水等は、該ド
レイン本体の受皿部上から水跳ね防止カバーの下側を通
りストレーナの周壁部の集水用通水孔より内側に集水さ
れて、ドレイン本体の接続筒部より下部竪樋に落流して
行く。

【００１５】一方、上部竪樋からいきよいよく落流する
雨水は、そのままストレーナの内側からドレイン本体の
接続筒部に入って下部竪樋に流れ落ちて行く。その際、
雨水の一部はドレイン本体の受皿部上面に当たって飛び
跳ねてストレーナの周壁部の集水用通水孔より外に跳ね
出ようとするが、その外周部が水跳ね防止カバーにより
覆われているので、このカバーにより雨水の外部へ飛び
跳ねが防止されるようになる。

【００１６】また、水跳ね防止カバーは、開閉可能な割
形筒状で、ドレイン本体上のストレーナの外周部を覆う
状態に装着可能なものであるから、後付けが自由で、上
部竪樋のやり返し作業に何ら支障がなく配管工事が楽に
できると共に、既存の中継用ルーフドレインにもそのま
ま簡便に適用できるようになる。

【００１７】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図１及び図２に従
い説明する。まず、図１は左側半分を断面した組立施工
状態図で、図中１は中継用ルーフドレインを示し、２は
そのドレイン本体で、大径な受皿部２ａと、この中央か
ら下方に突出開口する接続筒部２ｂを有する略漏斗状と
されていると共に、受皿部２Ａ上面の内外方向ほぼ中間
部位に円環状に亘り堤状の突条２ｃを有し、この突条２
ｃに複数の切欠２ｄが円周方向に間隔を存して形成され
ている。このドレイン本体２はバルコニー等のコンクリ
ートスラブＡにアンカーボルト３と共に埋設固定されて
いる。図中４は前記ドレイン本体２の受皿部２ａ上の突
条２ｃの内側に載置してビス５により脱着可能に取付け
られたストレーナで、このストレーナはややテーパー状
をなす所要高さ寸法の縦型筒状をなし、周壁部に多数の
縦長幅広スリット状の集水用通水孔４ａを有した構成で
ある。これらドレイン本体２とストレーナ４はそれぞれ
鋳鉄品である。

【００１８】こうした中継用ルーフドレイン１のドレイ
ン本体２の接続筒部２ｂの外周には、位置決め用の円筒
状のスペーサ６が該ドレイン本体２と一緒にコンクリー
トスラブＡに埋設固定され、このスペーサ６とドレイン
本体２の接続筒部２ｂとの間に構成される空間に下部竪
樋７が下階側から差し込まれて該接続筒部２ｂと接続さ
れている。また、ドレイン本体２上のストレーナ４には
上部竪樋８が差し込み接続され、複数本の止めねじ９に
より押え付け固定されている。ここまでは既存の中継用
ルーフドレインと同様である。

【００１９】ここで、前記ドレイン本体２上のストレー
ナ４の外周に水跳ね防止カバー１０が装着されている。
この水跳ね防止カバー１０は、図２に展開状態を示す如
く、左右一対の半割り成形部材１１，１２よりなる開閉
可能な割形台形筒状をなす。その両半割り成形部材１
１，１２は硬質ゴムや合成樹脂等の材料により他がいに
同一構造に成形されたもので、各々下端外周に鍔状の裾
部１１ａ，１２ａを有すると共に、上端に内側に折曲す
る肩面部１１ｂ，１２ｂを介して起立する襟部１１ｃ，
１２ｃを有している。この上端襟部１１ｃ，１２ｃを前
記上部竪樋８の外周面に接合すると共に、下端裾部１１
ａ，１２ａを前記ドレイン本体２の受皿部２ａの突条２
ｃ上面に載せることで、ストレーナ４の下部小幅部分を
残しそれより上側外周部を覆う構成となっている。ま
た、この左右の半割り成形部材１１，１２は互いの合致
接合端の上下部合計４箇所にフランジ部１１ｄをそれぞ
れ有し、その両半割り成形部材１１，１２の周方向ー端
側の各フランジ部１１ｄ，１２ｄには先端を少し大径に
したほぞ１３が一体に突出成形されていると共に、周方
向他端側の各フランジ部１１ｄ，１２ｄには開口端を少
し狭めたほぞ穴１４とがそれぞれ形成されている。これ
らほぞ穴１４にほぞ１３を圧入嵌合することで左右の半
割り成形部材１１，１２を互いに合致結合して一つの台
形筒状に一体化できる構成である。

【００２０】しかして、前述の構成の水跳ね防止カバー
１０を用いるには、まず、従来同様に上部竪樋８の配管
を行う。つまり、ドレイン本体２から離したストレーナ
４の内側に上部竪樋８の下端部を深く差し込み、この状
態で上部竪樋８を立ち上げながら、ストレーナ４を横に
ずらしてドレイン本体２の受け皿部２ａ上にセットする
と共に、該上部竪樋８を鉛直状態で押し上げて上端部を
図示しない上階側コンクリートスラブ内のドレインの接
続筒部に下から差し込むようにやり返し作業を行って接
続する。そしてその上部竪樋８を建屋壁等にバンド等に
より固定すると共に、止めねじ９により押え付け固定
し、更にストレーナ４をビス５によりドレイン本体２上
に位置決め固定する。

【００２１】この状態で水跳ね防止カバー１０をストレ
ーナ４の外周に多い被せるように装着する。即ち、水跳
ね防止カバー１０の左右一対の半割り成形部材１１，１
２を上部竪樋８の外周に両側から抱き付けるようにし
て、その両者の半割り成形部材１１，１２相互の各ほぞ
１３を対向する各ほぞ穴１４に圧入嵌合することで、該
左右の半割り成形部材１１，１２を互いに合致結合す
る。こうして一つの台形筒状とした水跳ね防止カバー１
０を上部竪樋８の外周に沿ってスライド差せる如く押し
下げれば、この下端裾部１１ａ，１２ａがドレイン本体
２の受皿部２ａの突条２ｃ上面に載り、上端襟部１１
ｃ，１２ｃが上部竪樋８の外周面に接合する状態となっ
て、ストレーナ４の下部小幅部分を残しそれより上側外
周部を覆う状態に装着できる。

【００２２】こうして配管施工並びに水跳ね防止カバー
１０の装着が完了し、ドレイン本体２の周辺からの雨水
等は、該ドレイン本体２の受皿部２ａ上の水跳ね防止カ
バー１０の下側（突条２ｃの切欠２ｄ）を通りストレー
ナ４の周壁部の集水用通水孔４ａを介して内側に集水さ
れ、ドレイン本体２の接続筒部２ｂより下部竪樋７に落
流して行く。これで集水機能が維持される。

【００２３】一方、上部竪樋８からいきよいよく落流す
る雨水は、そのままストレーナ４の内側からドレイン本
体２の接続筒部２ｂに入って下部竪樋７に流れ落ちて行
く。その際、雨水の一部はドレイン本体４の受皿部２ａ
上面に当たって飛び跳ね、ストレーナ４の周壁部の集水
用通水孔４ａより外に跳ね出ようとするが、その外周部
が水跳ね防止カバー１０により覆われているので、この
カバー１０により雨水が外部へ飛び跳ねることがなくな
り、雨水でルーフドレイン１周辺を濡らして汚す心配が
なくなる。

【００２４】また、水跳ね防止カバー１０は、開閉可能
な割形筒状で、ドレイン本体２上のストレーナ４の外周
部を覆う状態に装着可能なものであるから、後付けが自
由で、上部竪樋８のやり返し作業に何ら支障がなく配管
工事が楽にできると共に、既存の中継用ルーフドレイン
にもそのまま簡便に適用できるようになる。となる。

【００２５】

【考案の効果】本考案の中継用ルーフドレインの水跳ね
防止構造は、前述の如く構成したから、ドレイン本体周
辺からの集水機能を維持しながらも、上部竪樋からいき
よいよく落流する雨水のストレーナ外部への飛び跳ねを
防止できると共に、上部竪樋のやり返し作業に何ら支障
がなく配管工事が楽にでき、しかも既存の中継用ルーフ
ドレインにも適用できる非常に安価で実用性に優れたも
のとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の中継用ルーフドレインの水跳ね防止構
造の一実施例を示す左側半分を断面した組立施工状態
図。

【図２】同上実施例に用いた水跳ね防止カバー単独の分
解斜視図。

【符号の説明】

２…ドレイン本体、２ａ…受皿部、４…ストレーナ、８
…上部竪樋、１０…水跳ね防止カバー。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 開閉可能な割形筒状で、中継用ルーフド
   レインのドレイン本体上のストレーナの下部小幅部分を
   残しそれより上側外周部を覆う状態に装着可能な水跳ね
   防止カバーを備えたことを特徴とする中継用ルーフドレ
   インの水跳ね防止構造。