JP2561206B2 - 根域制限容器 - Google Patents

根域制限容器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農作物、園芸草木及び
樹木等の根の成育する根域を制限することができる容器
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、多数の農作物、園芸、植木などに
おいて、一旦、種を別の容器に撒いて芽を出した苗をあ
る程度まで育成してから、田畑、庭、山地等の別の土地
に植え替えて栽培することが行われている。しかしなが
ら、苗床、ポットなどの苗育成用容器で苗を育成すると
きに、根が伸び過ぎて根腐れ、ルーピング等の苗の成育
上の不都合及び植え替え操作上の不都合が発生する。す
なわち、例えば、なし、りんご等の樹木系作物の苗木の
ポット栽培においては、ポットの内壁に沿って根がトグ
ロを巻いて(ルーピング)、腐敗したりする。又、例え
ば、稲等の苗床などでは、苗床の排水穴等から根が外に
伸びて、苗床の底の排水穴に絡み付く、この根が容器に
引っ掛かり、苗を苗床から分取して自動的に田植えをす
る操作などが困難となる。さらに、一般的に、最初には
えた太い根の成育に栄養を奪われるため、植え替え後の
成長に役立つ細い根毛の生育が十分でないなどの問題点
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、苗の成育の際に、根の成長する範囲を制
限する作用を有する植物育成用容器を提供することを目
的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、従来より植物
に対して成長阻害作用があるとされていた銅化合物の内
の、水不溶性銅化合物、特に水酸化第2銅が、苗の根の
先端の成長を銅化合物が存在する近辺で停止する作用を
有するが、銅化合物から少し距離がある位置ではまった
く影響なく、全体として見れば苗根の総成長度及び植え
替え後の植物の成長は返って増大する点に着目し、内面
に水酸化第2銅を含有する水不溶性銅化合物層を有する
育苗容器に想到し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、次の各項の発明よりなる。 (1)水酸化第2銅を含有する水不溶性銅化合物層を少
なくとも内壁の一部に保持していることを特徴とする根
域制限容器。 (2)水不溶性銅化合物層がシートに水酸化第2銅を含
有させたものであることを特徴とする項1記載の根域制
限容器。 (3)水不溶性銅化合物層が水酸化第2銅分散液を内面
の全部又は一部に塗布したものであることを特徴とする
項1記載の根域制限容器。 (4)容器が稲、野菜用苗床であることを特徴とする項
1、2又は3記載の根域制限容器。 (5)容器が紙製又は不織布製であり、これに水酸化第
2銅分散液を含有させたことを特徴とする項1、2、3
又は4記載の根域制限容器。
【0005】本発明の水不溶性銅化合物層に用いる銅化
合物としては、作用効果の点及びシートに含有させる操
作の容易性の点から水酸化第2銅を使用する。水酸化第
2銅は、水に不溶性であるため、使用中に溶解して効力
が低下することはない。この不溶性銅化合物は、微粉末
状として、含有させることによって、少量で均一に容器
内面に根域制限性を付与することができる。本発明育苗
容器は、内壁の一部又は全部に銅化合物層を保持するも
のであるが、その保持の態様は大別して3通りある。そ
の第1の態様は、可撓性シートに銅化合物を含有させ
て、これを育苗容器内面に間接的に設置するものであ
り、第2の態様は、銅化合物を容器内面に直接塗布又は
銅化合物液に容器を浸漬して容器内面に銅化合物のコー
ティング層を設けるものであり、第3の態様は、容器の
材質内に銅化合物を含有させ、その一部を表面に露出さ
せる態様、例えば、容器がプラスチック製容器、発泡ス
チレン製容器などの場合に、該プラスチック製容器を成
形する樹脂組成物中に銅化合物の粉末を前以てブレンド
して、容器の材質全体に均一に混合された銅化合物の一
部が内壁表面に露出して銅化合物層を形成する態様及び
紙製、不織布の容器を製造する場合に、原材料中に銅化
合物を混入させておく態様がある。
【0006】本発明第1の態様の容器に用いる根域制限
性シートは、可撓性があり、不溶性銅化合物をシート内
部又は表面に保持できるシートであれば特に制限はない
が、例えば、天然紙製シート、プラスチック製合成紙、
合成有機繊維又は無機繊維類の合繊紙若しくは化繊紙な
どの紙製シート並びに天然繊維、合成有機繊維、無機繊
維の製不織布、並びに、合成樹脂フイルム若しくは合成
ゴムシートなどを用いることができる。この内、紙製シ
ートが最も安価で、銅分散液を表面に塗布するのが容易
で銅化合物層が安定して保持できる点及びそのまま土中
に放棄しても環境を破壊しない点でも望ましい。紙製シ
ートは、洋紙、和紙、板紙、合成紙、合繊紙、化繊紙な
ど使用することができる。本発明第一態様の容器に用い
る根域制限シートは、例えば、容器の内壁に接着させて
使用するのに便利なように、裏面に接着剤などを塗布し
て剥離紙をその上に貼着したものを用いると本発明容器
の製造に便利である。本発明容器に用いるシートの製造
方法は、水不溶性銅化合物微粉末を澱粉等の水溶性高分
子であって、糊剤及び分散剤として作用するものととと
もに水中に懸濁させて、これにシートを浸漬若しくはシ
ートで分散液を濾過して、銅化合物をシート表面若しく
は内部に含有させてから、該シートを乾燥することによ
って製造することができる。
【0007】また、水溶性銅化合物に紙製シートを浸漬
してから、沈澱剤を添加してシート中に銅化合物を沈澱
析出させる方法で製造することもできる。本発明根域制
限シートの最も効率的な製造方法は、不溶性銅化合物の
分散液を調製して、この分散液を、例えば、ローラに付
着させてシートの表面に転写塗布して乾燥して本発明根
域制限シートを製造する方法である。不溶性銅化合物の
分散液は、水に不溶性銅化合物の微粉末を、水性高分
子、可溶化剤を添加して、銅化合物の水分散液を調製す
ることができる。根域制限シート製造用の銅化合物分散
液に用いる水性高分子は、例えば、アラビヤゴム、トラ
ガカントゴム、テキストリン、カゼイン、セラック、蜂
蜜、水飴などの天然物、亜硫酸パルプ廃液などの銅化合
物微粉末を水中に分散させる作用を有する高分子化合物
を使用することができる。すなわち、当該分散液に用い
る水性高分子は、水溶性樹脂、コロイダルディスパージ
ョン型樹脂及びエマルジョン型樹脂に分類することがで
きる。当該水溶性樹脂としては、例えば、デンプン、デ
キストリン、アルギン酸塩などの水溶性天然高分子、セ
ルロースエステル、セルロースエーテルなどの水溶性天
然物誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチル
エーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシ
ド、ポリアクリル酸などの水溶性合成樹脂を使用するこ
とができる。当該コロイダルディスパージョン型樹脂と
しては、例えば、セラック、スチレン化セラック、スチ
レンマレイン酸樹脂、ロジンマレイン酸樹脂、カゼイン
(α−プロテン)、カゼイン誘導体、アクリル共重合体
などを使用することができる。
【0008】当該エマルジョン型樹脂としては、例え
ば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹
脂、合成ゴムラテックスなどの乳化重合樹脂及び例え
ば、ポリウレタン、ポリエステル、アルキッド樹脂、エ
ポキシエステル、ロジンエポキシエステルなどの乳化性
樹脂を使用することができる。本発明第1態様容器製造
に用いる分散液には、水性高分子の可溶化剤を適宜添加
することができる。水性高分子が酸性基を有する場合
は、アンモニヤ又は有機アミン、例えば、モルホリン、
モノエタノールアミンなどを添加するのが特に望まし
い。さらに、当該分散液には、所望により、例えば、ア
ルコール、アセトンなどの水性高分子の溶解性又は親水
性を増加する水溶性溶剤及び、例えば、ワックスなどの
乾燥後の銅化合物の保持を安定化するために耐摩耗性向
上剤を添加したり、さらに塗布工程に便利なように消泡
剤を添加することができる。当該分散液は、水不溶性銅
化合物を10〜50重量%、水性高分子2〜15重量%
を含有するものを好適に使用することができる。使用す
る水性高分子の種類によって、所望により、可溶化剤と
して、例えば、有機アミン又はアンモニアなどを1〜5
重量%、さらに助溶剤としてエタノールなどの水溶性溶
剤を1〜30重量%含有させることができる。本発明容
器に用いる根域制限シートは、例えば、銅化合物分散液
に一部を浸漬したロールを回転させて、ロール表面に付
着した水不溶性銅化合物分散液をシートの方に連続的に
転写するコーティング方式で、シート表面に分散液を均
一に付着させ、これを乾燥して根域制限シートを製造す
ることができる。このコーティング方式として、公知の
コーティング方式、例えば、エアドクタコータ、ブレー
ドコータ、スクイズコータ、ナイフコータ、含浸コー
タ、グラビアコータ、スプレーコータ、カレンダーコー
タ、カーテンコータなどの連続的に銅化合物分散液を均
一に塗布することができる。
【0009】当該根域制限シートは、銅化合物に換算し
て、0.1〜50g/m2の銅化合物を含有させたものを
使用することができる。付着量が少ないと効果が低下
し、50g/m2以上にしても付着量に比例する効果が
ないので効率的でない。本発明容器に用いる根域制限シ
ートは、苗ポット、稲などの公知の苗床の内壁または底
面、植木鉢その他の植物育成容器若しくはポットの側面
又は底面に接着剤で貼り付け若しくは単に設置して、そ
の上に土を入れて使用する。また、紙製又は不織布の根
域制限シートで容器の内面形状に一致する容器状物を作
成してこれを容器の内面に嵌合させることもできる。本
発明の第2の態様の容器は、上記根域制限シートに用い
た水性分散液をはじめとして、通常の塗料組成物又はイ
ンキ組成物の顔料の代わりに銅化合物の粉末を添加して
分散させた分散液を塗料塗布方式で、容器内面に塗布す
ることができる。銅分散液としては、有機溶剤中の分散
液又は水性ラテックス分散液などを好適に使用すること
ができる。本発明第2の態様の容器は、容器の内壁に通
常の塗料の塗装方法によって塗装することができ、特
に、スプレー方式、浸漬方式で塗装するのが好適であ
る。水性分散液又は有機溶剤分散液を塗布する場合に
は、前以て、これらに低沸点噴射剤を添加したエアゾー
ル液を調製して、これを公知の一重又は二重缶式エアゾ
ール容器に入れて用意しておき、これをエアゾール方式
で吹き付けるのが特に便利である。エアゾール液として
は、上記銅化合物分散液100重量部に公知の噴射剤、
例えば、LPG、ブタン等の低沸点炭化水素を、5〜2
0重量部、好ましくは、8〜15重量部を配合して使用
することができる。
【0010】本発明第2の態様の内、紙などの親水性材
質を用いる場合は、水分散液として、上記水分散液の濃
度を適当に選択して用いる方法が好適である。また、ど
のような容器の場合でも、上記銅化合物分散液に容器を
浸漬して乾燥することによって簡単に容器表面に根域制
限性を付与することができる。この場合、容器外側に銅
化合物層を付着させないように、浸漬操作において、外
側表面をフイルムがマスクして行うことができる。ま
た、植物育成容器として、紙製又は不織布製の容器を用
いる場合は、上記1又は3のいずれかの態様で製造した
根域制限性シートで、公知の植木鉢形状、トレー形状、
ポット形状を作成して、これをそのまま育苗容器として
使用することができる。この場合は紙として、腰のある
丈夫なものが望ましい。また、まず通常の紙又は不織布
の容器を製造してから、上記第2の態様で内面に銅化合
物層を付着させることができる。また、樹木用の大きい
ポットとしは、不織布製の袋ポットが適しており、袋自
体は自立性がないが、これに土壌を入れることによっ
て、ポット袋に自立性が付与される。このような袋も本
発明容器に該当する。また、本発明根域制限容器におい
て、容器底面の排水穴の上に、前記根域制限シートの中
で排水性のある根域制限シート又は上記銅化合物を表面
に付着させた固体粒状物、例えば、ゼオライト、砂等の
粒状物又はロックウール、合成繊維等の綿状物に銅化合
物を付着させたものを設置して、排水性を維持しながら
排水穴から植物の根が外に伸びるのを防止することがで
きる。本発明の根域制限容器としては、稲苗床、なす、
きゅうり、白菜などの野菜用ポット、樹木の苗木栽培用
ポット、園芸用花木などの育成ポットなどに適用するこ
とができる。
【0011】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。 実施例1 根域制限紙シートの製造 水酸化第2銅分散液の調製 水酸化第2銅40.2重量部に、水性ビヒクル21.5重
量部、及び水5.3重量部を加えて、均一に混練してか
ら、さらに、水性ビヒクル33.0重量部を添加して均
一に撹拌した。ここに用いた水性ビヒクルは、酸価16
0、融点120℃のアクリル樹脂25重量部、28%ア
ンモニア水5重量部、エチルアルコール14重量部及び
水56重量部からなる水性ビヒクルを用いた。上記の処
方で製造した水性分散液を坪量30g/m2の長尺の再
生紙の上に、印刷用ローラによって転写方式で塗布して
乾燥して製造した。得られた根域制限紙シートの乾燥後
の坪量40g/m2となり、付着量は10g/m2であっ
た。
【0012】実施例2 稲用根域制限育苗容器の作成及
び苗の育成試験 図1に示す苗床は通常の稲用の箱型の苗床3に実施例1
で得た根域制限シートを底に水溶性接着剤により貼着し
て乾燥した。苗床の箱の内側の寸法は、内側の縦57.
5cm、横27.5cm、内面の深さ3cmである。これは実
際に現在稲作に使用されているプラスチック製容器3で
あって、底面に水はけ用の細穴4が多数空けられてお
り、この苗床で育成した苗をそのまま田植え機に積ん
で、田植え作業を自動的に行うことができるものであ
る。図1の苗床は従来より稲用苗床に用いられていたプ
ラスチック製苗床の底に、本発明の根域制限紙シートを
図2の断面に示すように水溶性接着剤で貼着した根域制
限シートのシート1の上に銅化合物層2があり、銅化合
物層2の面を上に向けて接着したものである。この根域
制限苗床3個の上に常法通り、育苗培土を入れて、常法
により稲の籾種を撒き苗を通常の条件で、15日間で苗
を温室で育成した。
【0013】根域制限シートを貼着した苗床で苗を育成
した場合には、根の成育が紙シートの位置で停止して、
紙を突き抜けるものは全くなく、苗床の端の苗の草部分
を手で持って引き剥がすと、根域制限シートの上はそっ
くりと苗側についたまま剥がれ苗床の底になにも残らな
かった。比較のために、水酸化第2銅分散液を塗布しな
かった同一の再生紙を使用した苗床3個を実施例の苗床
の隣に設置して同一期間、同一条件で苗を育成した。比
較例の方は、紙製シートを破って根が細穴から容器の外
にまで伸びたものもあった。これを同様に草部分を持っ
て上に剥がすと、苗の根が苗床にへばり付き比較例の総
ての苗床の底面の50%以上の面積が苗の根、紙及び土
で汚れた状態になった。一部の苗根が容器の穴から外に
まではみ出しており、これは苗を苗床から田植え機で自
動的に分取するときに根が底に引っ掛かり田植え操作に
支障を来すおそれがある。
【0014】さらに、根域制限紙シートを貼着した苗床
で育成した稲苗と、比較例の苗床で成育した苗とを無差
別に12本採取して、根の成育及び地上の草部分の成長
程度を調べた。比較例の苗床の方の根の平均長さは、
5.6cmであり、草部分の平均高さは9.6cmであった。
これに対して、根域制限紙を使用した苗床の方の根の平
均長さは3.4cmであり、草部分の平均高さは9.9cmで
あった。根域制限紙を使用した苗床で得た苗の根は長さ
は短いが根の全体の密生度は変わらなかった。そして、
草部分の成長は、根域制限紙を使用した方が大きい点か
ら、根域制限紙によって苗の生育が阻害されていないと
結論することができる。
【0015】実施例3 根域制限シートに対する苗根の
挙動を示す試験 実施例で用いた同一の水酸化第2銅分散液をNo2濾紙
の上に水酸化第2銅が15g/m2になるように塗布し
て乾燥した。図3断面図に示すように、直径10cm、深
さ15cmの略円筒形状のポット20個に、5cmの深さに
育苗培土を入れ、その上に、上記で得た水酸化第2銅を
塗布した濾紙シート1を銅化合物層2を上にして置き、
さらに7cmの土を入れた。このポットに白菜の種6を表
面から2cmの深さに撒き、定植の1月後に苗を取り出し
て、苗の状態を目視観察により調べた。上記ポットの内
10個には、濾紙として、直径2mmの細穴を2個/cm2
で設けたものを用いた。比較のために、水酸化第2銅の
塗布処理のない無穴の濾紙を用いたポット10個による
栽培も同一の温室で行った。3種の群の苗の状態は、地
上の草部分の生育状況は、3種とも平均最大葉長として
約25.8cmであり、根の総量は目視観察で差異がなか
った。
【0016】苗の根の状態は、濾紙の上に存在する根及
び濾紙下に存在する根を単位体積当たりの根の密度とし
て、目視により観察した。無処理の濾紙を用いた場合に
は、根は濾紙の存在に無関係に土の中に均一の密度で根
が生育していた。この比較実験によって、栽培中の吸水
によって濡れた濾紙は土と同一の作用であり、根の成長
状況に全く影響しなかった。水酸化第2銅を塗布した無
穴濾紙では、濾紙を貫通している根は一例もなかった。
しかし、穴を設けた濾紙では、細穴から濾紙の下に根が
伸びていて、濾紙の下では通常の根の生育状況を示して
いた。この栽培試験から本発明の根域制限シートの根域
制限作用として次のことが分かる。 根域制限シートは、苗の発育には悪影響を与えない。 根の先端は水酸化第2銅を塗布したシートに接すると
成長が停止する。 2mm程度の穴があれば、根の先端は通過して、通過後
は根域制限シートの影響なく成長する。
【0017】実施例4 根域制限シートの製造 炭酸第2銅の平均粒径5μの微粉末40重量部、セラッ
ク水性ワニス50重量部、水10重量部を混合して、炭
酸第2銅の分散液を調製した。ここに用いたセラック水
性ワニスは、セラック33重量%、モルホリン2重量
%、エタノール13重量%、水52重量%からなるもの
である。この炭酸第2銅分散液を実施例1と同様にロー
ラで、坪量100g/m2のグラビヤ用紙に塗布して、
これを乾燥して坪量120g/m2の根域制限シートを
得た。このシートを実施例2と同一の稲苗床に貼着し
て、同様の操作を用いて稲苗を栽培した。苗を引き剥が
した苗床の状態は、実施例2と殆ど同様に奇麗に剥がれ
た。 実施例5 直径6cm、高さ8cmの植木鉢状プラスチック製ポット1
0個の内側面及び底面に、実施例1で得た水酸化第2銅
分散液をスプレーガンで噴霧塗装した。このポットの底
に実施例1で製造した根域制限シートを設置して、その
上に育苗培土5cmを入れて、白菜の種を蒔いて、1月
間、実施例3と同一の場所で同様に育成した。地上物の
苗の生育程度及び根の総量は、実施例3の比較例の苗と
と変わりなかったが、本実施例の苗は比較例と比べて細
根が密に成長していることが観察された。
【0018】
【発明の効果】本発明根域制限容器は、植物の成長に悪
影響を与えないで、植物の根の成長する根域を容器内に
制限することができ、これによって樹木、作物の栽培、
特に、植え替えをする稲作の苗床及び多くの作物若しく
は樹木の苗のポット栽培等に多くの利点が得られ、農林
業における広い用途が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明根域制限シートを用いた稲用苗
床の斜視図である。
【図2】図2は、同苗床の断面図である。
【図3】図3は、本発明根域制限シートの効果の試験に
用いた苗用鉢の断面図である。
【符号の説明】
1 シート 2 銅化合物層 3 苗床 4 排水穴 5 ポット 6 種 7 土

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸化第2銅を含有する水不溶性銅化合物
    層を少なくとも内壁の一部に保持していることを特徴と
    する根域制限容器。
  2. 【請求項2】水不溶性銅化合物層がシートに水酸化第2
    銅を含有させたものであることを特徴とする請求項1記
    載の根域制限容器。
  3. 【請求項3】水不溶性銅化合物層が水酸化第2銅分散液
    を内面の全部又は一部に塗布したものであることを特徴
    とする請求項1記載の根域制限容器。
  4. 【請求項4】容器が稲、野菜用苗床であることを特徴と
    する請求項1、2又は3記載の根域制限容器。
  5. 【請求項5】容器が紙製又は不織布製であり、これに水
    酸化第2銅分散液を含有させたことを特徴とする請求項
    1、2、3又は4記載の根域制限容器。
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