JP2561121Y2 - 防音室の音場内装構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、防音室の音場内装構造
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ピアノや楽器を演奏するための音楽室或
は音や映像を楽しむための娯楽室等用として、防音装置
を備えた部屋の要求が近時高まりつつある。この種の防
音室は、音場空間を形成するために従来例えば図４に示
すように壁ａ又は音反射パネルの表面の一部に木枠ｂを
組み、その木枠内に吸音材ｃを充填すると共に、表面に
化粧クロスｄを貼って反射部と吸音部とを形成したもの
がある。又、図５に示すように、音反射パネルＡと吸音
パネルＢをそれぞれ別体に形成し、これらのパネルを適
宜組み合わせて防音室の壁面或は天井面に貼着した構造
のものもある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前記従来例のうち前者
（音反射パネルの一部に吸音部を形成するもの）は、吸
音部が音反射パネルの前面に出っ張るので壁や天井面が
平面状態にならず段差が生じてすっきりせず、平面状態
とするには全面が吸音部となって反射部が隠れてしまい
音場処理効果が減退することになる。後者（それぞれ別
体に形成した音反射パネルＡと吸音パネルＢを組み合わ
せるもの）は、壁や天井面を平面状態に仕上げることは
可能であるが、音反射パネルＡと吸音パネルＢとに厚さ
ムラがあるとパネル間で段差が生じ易く、またパネル自
体が厚く（３０mm程度）なって取り扱い上不便であり、
施工もし難くなる。又、きめの細かい音場処理をするた
めには、各パネルの幅を広く形成することはできず、特
殊サイズとなって製造上不利である。

【０００４】本考案は、このような従来の問題点を解決
するためになされ、１枚のパネルで反射機能と吸音機能
の両機能を備え、薄く軽量で取り扱い上便利であって施
工もし易く、パネル間で見えがかり差や段差が生じるこ
となく綺麗な表面仕上りが得られ、しかもパネル幅を広
く形成してもきめの細かい音場処理を確保できるように
した、防音室の音場内装構造を提供することを課題とし
たものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この課題を技術的に解決
するための手段として、本考案は、音反射パネルの一部
を切り抜いて、この音反射パネルと表面が略面一となる
ように吸音材を充填することにより反射部と吸音部とを
併設した薄い表面パネルを形成し、この表面パネルを防
音室の壁又は天井に内貼りした硬めの吸音材の表面に取
り付けた構造を要旨とするものである。

【０００６】

【作 用】表面パネルは、通常の化粧合板程度の厚さで
軽いため使い勝手が極めて良好であり、防音室の内装の
仕上がりが綺麗にでき、かつ反射部と吸音部とを兼備し
ているのでパネルの幅を広く形成しても優れた音場処理
効果が得られる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の実施例を添付図面に基づいて
詳説する。図１において、１は合板や木質成形板等を主
体とする厚さ４〜１０mmの音反射パネルであり、その一
部を切り抜いて吸音材２を充填してある。

【０００８】前記吸音材２は、例えばグラスマットやグ
ラスウール、又はフェルトや不織布等の比較的軟らかい
材質を用いて前記音反射パネル１と同一厚さとなるよう
に切り抜き部１ａ内に充填保持させる。

【０００９】３は音反射パネル１の表面側に貼着した吸
音シートであり、不織布、フェルト、ガラスペーパー等
であってその厚さは０．１〜５mm程度に薄く形成されて
いる。この吸音シート３は、前記吸音材２が透けて見え
ないように裏面又は全体に黒っぽい色を施し、なるべく
表面は化粧クロス４の色に合わせるようにすると好まし
い。

【００１０】４は前記吸音シート３の上に被着した化粧
クロスであり、通気性の良い布やガラスクロス等で形成
され、その端部は前記音反射パネル１の裏面側に巻き込
んで上下左右の端面が露出しないようにしてある。

【００１１】このようにして形成された表面パネル５
は、厚さが８〜１５mmで幅は９００mm、長さは１８００
〜２４００mmに形成され、１枚のパネルで反射機能と吸
音機能の両方を兼ね備えている。即ち、図２に示すよう
に前記音反射パネル１そのものが反射部Ｖとなり、前記
吸音材２を充填した切り抜き部１ａが吸音部Ｑとなるか
らである。この場合、１枚の表面パネル５における吸音
部Ｑの位置と大きさと数は任意に設定することができ、
同一タイプのもので統一する他に、異なるタイプの表面
パネル５′と適宜組み合わせて使用することもできる。

【００１２】前記表面パネル５を取り付けるには、図３
に示すように防音室の壁６や天井の内側に木枠７を組ん
でその内部にグラスウール等の硬めの吸音材８を詰める
ことで内貼り９を形成し、その内貼り９の表面に仮釘や
カクシ釘等で表面パネル５を順次隙間なく貼り付ける。
この時、壁６や天井の一部に表面パネル５を取り付ける
のではなく、壁６や天井の全面に前記内貼り９を介して
取り付けるので、従来のように壁や天井の一部に段差が
生じることはない。

【００１３】表面パネル５は、薄くて軽いので取り扱い
が簡単であり、通常の内装用化粧合板と同様に壁や天井
に容易に取り付けることができ、かつパネルの幅が前記
のように広幅（９００mm）なので作業性に優れており、
能率良く施工することができる。

【００１４】更に、１枚の表面パネル５の中に反射部Ｖ
と吸音部Ｑとを有しているので、パネルの幅が広くても
きめ細かな音場処理を行うことができ、設計通りの理想
的な防音室を容易に形成することができる。

【００１５】

【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
反射部と吸音部を兼ね備えた薄くて軽い表面パネルを形
成し、この表面パネルを防音室の壁や天井の内貼りとし
て設けた硬めの吸音材の表面に貼着した構造であるか
ら、取り扱いが便利で施工もし易く、パネル間で見えが
かり差や段差が生じることなく綺麗な表面仕上がりが得
られると共に、室内を広く使うことができ、しかもパネ
ル幅を広く形成してもきめの細かい音場処理を確保でき
る等の優れた効果を奏する。又、１枚の表面パネル内に
反射部と吸音部とが併設されているので、表面パネル１
枚ごとに自由に反射部と吸音部とのバランスをとること
ができ、室内に装着する場合、狭い部屋であっても場所
を取らずに理想的な音場設計ができる等の効果も奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例を示す表面パネルの断面図
である。

【図２】 表面パネルの正面図である。

【図３】 表面パネルの取付状態を示す一部の断面図で
ある。

【図４】 従来例を示すもので、(イ) は断面図、(ロ) は
正面図である。

【図５】 他の従来例を示す説明図である。

【符号の説明】

１…音反射パネル １ａ…切り抜き部 ２…吸音材
３…吸音シート４…化粧クロス ５…表面パネル
６…壁 ７…木枠 ８…硬めの吸音材 ９…内
貼り Ｖ…反射部 Ｑ…吸音部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】音反射パネルの一部を切り抜いて、この音
   反射パネルと表面が略面一となるように吸音材を充填す
   ることにより反射部と吸音部とを併設した薄い表面パネ
   ルを形成し、この表面パネルを防音室の壁又は天井に内
   貼りした硬めの吸音材の表面に取り付けたことを特徴と
   する防音室の音場内装構造。