JP2560967Y2 - 汎用内燃機関の消音器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、汎用内燃機関から排出
される排気ガスを浄化する機能を有する汎用内燃機関の
消音器に関するものである。

【０００２】

【従来技術および解決しようとする課題】環境保全の面
から自動車に搭載されている内燃機関から排出される排
気ガスのみならず、小型の汎用内燃機関から排出される
排気ガス中のＨＣ、ＣＯ、ＮＯｘ等の有害ガスを除去す
る要請が高まってきている。また汎用内燃機関では利用
分野が多岐に亘り色々な設置個所に運搬する必要上、燃
料タンク、消音器等の補機をコンパクトにまとめなけれ
ばならないが、排気ガス中の有害ガスを除去する排気ガ
ス浄化装置をこれらの補機の外に付設するとなると、そ
の分だけ余分のスペースを必要とし、機関の小型軽量化
が困難であった。

【０００３】

【課題を解決するための手段および効果】本考案は、こ
のような難点を克服した汎用内燃機関の消音器の改良に
係り、上下に２分割された上部ケーシングおよび下部ケ
ーシングの合せ面でセパレータの外周部が挟み込まれて
カシメ付けされてなる汎用内燃機関の消音器において、
前記上下両ケーシングの内面に、それぞれ吸音材および
布状排気ガス浄化触媒を順次重ね合され、その内面にさ
らに多数の孔または空隙を有する押え材が押え付けら
れ、前記セパレータは２枚の仕切板でもって中空に形成
され、該２枚の仕切板の外周縁部は、相互に重ね合され
た状態で、前記押え部材の外周縁部とともに、前記上部
ケーシングおよび下部ケーシングの端縁部にその全周に
亘り直接的に一体にカシメ付けされたことを特徴とする
ものである。

【０００４】本考案は、前記したように構成されている
ので、消音器本体内空間を前記セパレータで仕切ったチ
ャンバー内に流入した排気ガスは、前記押え材の孔また
は空隙を介して前記布状排気ガス浄化触媒に触れること
ができ、このため、排気ガス中のＨＣ、ＣＯ、ＮＯｘ等
の有害ガスが浄化、還元反応を起して除去される。また
本考案においては、前記チャンバー内に流入した排気ガ
スの圧力は、前記押え材の孔または空隙および布状排気
ガス浄化触媒を介して前記吸音材に作用し、該排気ガス
の圧力変動は該布状排気ガス浄化触媒および吸音材に吸
収され、排気騒音が低減する。 さらに本考案では、特別
な排気ガス浄化装置を付設しなくても、排気ガス浄化機
能を有するため、公害防止処理を施した前記汎用内燃機
関の補機のレイアウトが楽となり、該汎用内燃機関の小
型軽量化とコストダウンとを容易に遂行することができ
る。

【０００５】さらにまた本考案では、前記セパレータは
２枚の仕切板でもって中空に形成されているため、消音
器本体内の空間は複数の空間に分割され、該複数の分割
空気に排気ガスが流れて、排気脈動が吸収され、充分な
消音効果が得られる。

【０００６】しかも本考案においては、前記２枚の仕切
板の外周縁部は、前記押え材の外周縁部とともに、相互
に重ね合された状態で、前記上部ケーシングおよび下部
ケーシングの端縁部にその全周に亘り直接的に一体にカ
シメ付けされたため、前記押え材、２枚の仕切板および
上，下部ケーシングは相互に強固にかつ気密に結合さ
れ、振動、衝撃力等を前記消音器が受けても、これら押
え材、仕切板および上、下部ケーシングは相互に分離す
ることもなければ、ケーシング内の排気ガスが外部へ漏
洩することもない。 そして本考案では、１回のカシメ付
け作業で前記押え材、２枚の仕切板および上，下部ケー
シングが結合されるため、消音器の組付け作業性が著し
く向上し、大巾なコストダウンが可能となる。

【０００７】

【実 施 例】以下、図１ないし図３に図示された本考
案の一実施例について説明する。排気ガス浄化機能を有
する消音器１の本体２は、上下に２分割された薄鋼板製
の上部ケーシング３と下部ケーシング４とよりなり、該
上部ケーシング３および下部ケーシング４の内面にグラ
スウール等の吸音材５とその内面に布状排気ガス浄化触
媒６とが重ねられて添接され、さらにその内面に多数の
小孔８を設けた鋼製のパンチングボード７が当てがわ
れ、上部ケーシング３および下部ケーシング４の合せ面
に、セパレータ９の外周部を挟持しているパンチングボ
ード７の外周部が接触した状態で、上部ケーシング３お
よび下部ケーシング４をカシメ付けることにより、吸音
材５、排気ガス浄化触媒体６、パンチングボード７およ
びセパレータ９が本体２に一体に装着され、本体２内は
セパレータ９によって上下の第１チャンバー10および第
２チャンバー11に仕切られている。

【０００８】なお布状排気ガス浄化触媒６は、サスファ
イバー、グラスウール等の耐熱性繊維の布にＡｌ_２Ｏ_３
をコーティングし、白金、ロジウム、セシウム等の貴金
属触媒を担持させることによって構成されている。また
セパレータ９は、上下２枚の薄鋼板製の仕切板１２、１
３の中央一側部を上下に半円筒状に膨出させて排気通路
１４を形成するとともに、該半円筒状の排気通路１４に
連なって仕切板１２、１３の他側部を上下に箱状に膨出
させて第３チャンバー１５を形成し、かつ第１チャンバ
ー１０の両側部を相互に密接に合せて仕切片１６を形成
し、前記第３チャンバー１５を囲む上方の仕切板１３の
他側部に連通小孔１７を多数設けるとともに、仕切板１
２、１３の仕切片１６にも連通小孔１８を多数設ける。

【０００９】さらに下部ケーシング４の略中央部に入口
開口19にＬ状に曲った排気管20の上端が接続するように
排気管20の上端を下部ケーシング４に一体に装着し、排
気管20の下端を図示されない汎用内燃機関の排気ポート
に接続する。さらにまた排気通路14内には、多数の小孔
21を設けたパンチングボード製の円管22が同心状に嵌合
されている。

【００１０】図１ないし図３に図示の実施例は前記した
ように構成されているので、図示されない汎用内燃機関
が運転を始めて、排気ポートから排気管20を介して第１
チャンバー10内に排気ガスが流入すると、排気ガスが膨
張して減圧されるとともに排気脈動が弱められ、さらに
仕切板12、仕切板13の仕切片16の連通小孔18を介して第
２チャンバー11内に流入し、連通小孔18の絞り効果で排
気脈動が吸収され、さらにまた第２チャンバー11内より
連通小孔17を介して第３チャンバー15内に流入し、それ
から排気通路14より大気中に排出される。

【００１１】このように、第１チャンバー10、第２チャ
ンバー11および第３チャンバー15で３段階に亘って排気
ガスが減圧されるとともに、吸音材５および排気ガス浄
化触媒体６によって排気脈動が吸収されるので、排気の
騒音レベルが著しく低い水準に低下する。

【００１２】また本体２の内面には、パンチングボード
７の小孔８を介して排気ガス浄化触媒体６が露出して、
排気ガスがこの排気ガス浄化触媒体６に接触することが
できるので、排気ガス中のＨＣ、ＣＯが酸化され、また
ＮＯｘが還元されて、有害ガスが除去され、排気ガスが
浄化される。

【００１３】図１ないし図３に図示の実施例では、多数
の小孔８を有するパンチングボード７で吸音材５および
排気ガス浄化触媒体６を押付けていたが、図４に図示す
るように、間隙24を多数有するエキスパンドメタル23で
吸音材５および排気ガス浄化触媒体６を押付けるように
構成してもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る汎用内燃機関の消音器の一実施例
を図示した縦断側面図である。

【図２】図１のII−II線に沿って截断した横断側面図で
ある。

【図３】その要部拡大断面図である。

【図４】他の実施例の要部拡大断面図である。

【符号の説明】

１…消音器、２…本体、３…上部ケーシング、４…下部
ケーシング、５…吸音材、６…布状排気ガス浄化触媒、
７…パンチングボード、８…小孔、９…セパレータ、10
…第１チャンバー、11…第２チャンバー、12，13…仕切
板、14…排気通路、15…第３チャンバー、16…仕切片、
17，18…連通小孔、19…入口開口、20…排気管、21…小
孔、22…円管、23…エキスパンドメタル、24…間隙。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−159722（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−31340（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−114724（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−64713（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下に２分割された上部ケーシングおよ
   び下部ケーシングの合せ面でセパレータの外周部が挾み
   込まれてカシメ付けされてなる汎用内燃機関の消音器に
   おいて、前記上下両ケーシングの内面に、それぞれ吸音
   材および布状排気ガス浄化触媒を順次重ね合され、その
   内面にさらに多数の孔または空隙を有する押え材が押え
   付けられ、前記セパレータは２枚の仕切板でもって中空
   に形成され、該２枚の仕切板の外周縁部は、相互に重ね
   合された状態で、前記押え部材の外周縁部とともに、前
   記上部ケーシングおよび下部ケーシングの端縁部にその
   全周に亘り直接的に一体にカシメ付けされたことを特徴
   とする汎用内燃機関の消音器。