JP2560803Y2 - コンパクト容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンパクト容器に関す
るもので、より具体的には容器本体と蓋体とをそれぞれ
の後端部で開閉自在に結合し、容器本体および蓋体の前
端部にプッシュピースを配設してなるコンパクト容器に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のプッシュピースの押圧に
より蓋体を開放するようなコンパクト容器としては、実
開昭６３−１９６６０６号公報に示されるような容器が
公知となっている。このコンパクト容器では、容器本体
の前端縁部に切欠凹所を形成してその奥面に第１の係合
突起を設け、一方蓋体の前端縁部に爪片を垂設してその
内面に第２の係合突起を設け、この第１の係合突起と第
２の係合突起との係合によって蓋体が止錠状態を占める
ようになっている。

【０００３】また、容器本体の切欠凹所を底面側まで切
欠して形成し、蓋体の前端部にプッシュピースの上端部
を結合してプッシュピースを前後に揺動可能にし、プッ
シュピースの下端部を爪片の前方から切欠凹所の前方を
通り切欠凹所の底面側まで延出させている。さらに、プ
ッシュピースの下端部あるいは切欠凹所の内面の少なく
ともいずれか一方を傾斜面として形成し、プッシュピー
スの下方部を内方に押圧した時に、この傾斜面によって
プッシュピースが上方へ押し上げられ、第１の係合突起
と第２の係合突起との係合が外され、それにより蓋体が
開くようになっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
コンパクト容器にあっては、蓋体を開く際にプッシュピ
ースの下方部を内方に押圧したときに、傾斜面によって
プッシュピースが上方へ押し上げられ、それによって第
１の係合突起と第２の係合突起の係合を外して蓋体をあ
けるようになっているため、互いに係合する第１の係合
突起と第２の係合突起の形状および突出量が正確に形成
されかつ組立てられていなければならない。すなわち両
者の係合が強すぎると、係合を解除するのに強い力が必
要になり、操作性が悪く、また両者の係合が弱いと、コ
ンパクト容器を落下させた場合など不必要なときにコン
パクト容器が開いてしまうといった問題点があった。

【０００５】本考案はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、容器本体と蓋体との係合を確実なも
のとし、かつ使用の際には従来のように蓋体をあけるの
に大きな力を必要とせず、極めて簡単なワンタッチ操作
で蓋体を確実に開放することのできるコンパクト容器を
提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本考案は、容器本体と蓋体とをそれぞれの後端部で
開閉自在に結合し、容器本体および蓋体の前端部にプッ
シュピースを配設してなるコンパクト容器において、容
器本体の前端縁部に切欠凹所を容器本体の底面側まで切
欠して形成し、切欠凹所の奥面内方に凹所を形成すると
ともに該凹所の内面に第１の係合突起を設け、蓋体の前
端部に弾性変形可能なプッシュピースの上端部を結合し
てプッシュピースを前後に揺動自在にし、プッシュピー
スの内方にはかぎ部を延長形成し、かぎ部の先端には容
器本体の第１の係合突起と係合可能な第２の係合突起を
形成し、プッシュピースの下端部を切欠凹所の底面側ま
で延出するように形成し、プッシュピースの下端部と切
欠凹所の内面の少なくともいずれか一方を傾斜面として
形成し、蓋体の閉止状態では第１の係合突起と第２の係
合突起との係合によって蓋体が止錠状態をしめ、使用時
にはプッシュピースを内方に押圧して第２の係合突起を
水平移動して第１の係合突起との係合から離脱し、かつ
傾斜面によって蓋体が上方へ押し上げられるようになっ
ている。

【０００７】

【作用】前記構成を有する本考案によれば、プッシュピ
ースを内方に押圧すると、プッシュピースの弾性変形に
より、かぎ部に形成された第２の係合突起は容器本体の
内方に水平移動して第１の係合突起との係合から離脱
し、蓋体の止錠が解除される。同時にヒンジ部を支点と
してプッシュピースの下端が容器本体の切欠凹所に形成
された傾斜面に沿って上昇し、これによってプッシュピ
ースと一体的に結合された蓋体も上方へ押し上げられ、
開放されることとなる。

【０００８】

【実施例】以下、本考案の好適実施例につき添付図面に
基づいて詳細に説明する。図１は本考案に係るコンパク
ト容器の斜視図であり、１０は容器本体を示す。この容
器本体１０の上面には、図１および図３に示されるよう
に、化粧料を収納するための凹部１１が形成されてい
る。また、容器本体１０の前端縁中央部は、上方，前方
および下方前端部が切欠され、ここに切欠凹所１２が形
成されている。この切欠凹所１２の奥面は、その上方部
が垂直壁１３となり、またその下方部が前方へ向けて下
降する傾斜面１４となっている。さらに、この切欠凹所
１２の奥面の中央部内方には、上方に開口した凹所１５
が切欠形成されている。そして、この凹所１５の前端部
側壁面には、第１の係合突起１６が凹所１５の内方に向
かって一体的に突出形成されている。

【０００９】また、容器本体１０の後端部中央には凹状
切欠部１７が設けられ、ここに蓋体２０の蝶番突片２１
が挿入され、この蝶番突片２１はピン２２によって容器
本体１０に枢着されている。

【００１０】蓋体２０は、その内面に形成された凹所２
０ａに鏡２３を接着してなり、その前端縁中央部は、上
方，前方および下方前端部が切欠され、ここに切欠凹所
２４が形成されている。この切欠凹所２４に形成された
爪片２５の外面は前方へ向けて下降する傾斜面となって
いる。そして、この爪片２５の上端中央部には透孔２６
が穿設され、この透孔２６の内奥には係止孔２７が形成
されている。この透孔２６および係止孔２７には円弧状
に弯曲したプッシュピース３０の断面かぎ状に形成され
た上端部３１が圧入され、圧入後は爪片２５に係止して
引き抜けないようになっている。

【００１１】この実施例では、プッシュピース３０は弾
性変形可能な合成樹脂から形成され、その上端部３１に
切欠きを設けた上端ヒンジ部３２が形成されて、プッシ
ュピース３０の揺動支点を構成する。そして、プッシュ
ピース３０を押圧すると、弾性変形により上端ヒンジ部
３２を支点としてその下方部が内方へ自在に揺動し、押
圧を解除すると、弾性復帰し得るようになっている。

【００１２】このプッシュピース３０は、爪片２５の前
方から容器本体１０の切欠凹所１２の前方を通り、切欠
凹所１２の底面側まで延出するように形成され、その下
端部３３は、図３に示される蓋体２０の止錠状態におい
て、切欠凹所１２の爪片下方に位置する傾斜面１４の下
端付近に当接している。

【００１３】また、プッシュピース３０の中央部内面に
は、内方に向かって延出し、さらに下方に向かって曲折
したかぎ部３４が一体形成されている。そして、このか
ぎ部３４の先端外面には容器本体１０の第１の係合突起
１６と係合可能な第２の係合突起３５が一体的に形成さ
れている。このかぎ部３４は、図４に示されるように、
蓋体２０を閉じたときに容器本体１０の上面と蓋体２０
の下面との間に形成される間隙に位置し、その先端は容
器本体１０の凹所１５内に入り、前記第１の係合突起１
６と第２の係合突起３５とが係合して蓋体２０が止錠さ
れるようになっている。なお、凹所１５の奥行きは、こ
のかぎ部３４が挿入され、さらに内方に移動可能な寸法
に形成されている。

【００１４】さらに、プッシュピース３０の前端部は、
蓋体２０および容器本体１０の前端部における弯曲率と
同一の弯曲率をもって形成され、図２に示されるよう
に、蓋体２０の止錠位置においてプッシュピース３０の
両側端部は蓋体２０および容器本体１０と段差なく滑ら
かに連接するようになっている。

【００１５】前記の構成を有するコンパクト容器の蓋体
２０の止錠位置から蓋体２０を開放するには、プッシュ
ピース３０の略中央部を内方に押圧する。このようにす
ると、図５に示されるように、プッシュピース３０の弾
性変形によりかぎ部３４の第２の係合突起３５は容器本
体１０の内方へ回動して第１の係合突起１６との係合か
ら離脱し、蓋体２０の止錠が解除される。同時にプッシ
ュピース３０の上端部３１に形成された上端ヒンジ部３
２を支点として、プッシュピース３０の下端部３３が容
器本体１０の切欠凹所１２の傾斜面１４に沿って上昇
し、これによってプッシュピース３０と一体的に結合さ
れた蓋体２０も上方へ押し上げられ、開放される。この
プッシュピース３０に加えていた力を解除すると、プッ
シュピース３０はもとの状態に復帰し、次いで蓋体２０
を閉じると前記第１の係合突起１６と第２の係合突起３
５とが係合して蓋体２０は止錠される。

【００１６】なお、本実施例では、容器本体１０の切欠
凹所１２の下方部に傾斜面１４を形成しているが、この
傾斜面１４を角部とし、当接するプッシュピース３０の
下端部３３に傾斜面を形成しても、同様の効果が得られ
る。

【００１７】

【考案の効果】以上詳細に説明したように、本考案に係
るコンパクト容器によれば、プッシュピースを内方に押
圧すると、プッシュピースの弾性変形により、かぎ部に
形成された第２の係合突起は容器本体の内方に水平移動
して第１の係合突起との係合から離脱し、蓋体の止錠が
解除される。同時にヒンジ部を支点としてプッシュピー
スの下端が容器本体の切欠凹所に形成された傾斜面に沿
って上昇し、これによってプッシュピースと一体的に結
合された蓋体も上方へ押し上げられ、開放されるので、
使用の際には従来のように蓋体をあけるのに大きな力を
必要とせず、極めて簡単なワンタッチ操作で蓋体を容器
本体から確実に開放することができる。

【００１８】また、通常は容器本体に形成されている第
１の係合突起と蓋体に一体的に設けられているプッシュ
ピースの第２の係合突起との係合によって容器本体と蓋
体とは確実に止錠されているので、コンパクト容器を落
下させた場合などコンパクト容器が不必要なときに開い
てしまうといった問題点も解消される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るコンパクト容器の蓋体を開放した
状態の斜視図である。

【図２】本考案に係るコンパクト容器の蓋体を閉止した
状態の斜視図である。

【図３】図２の縦断面図である。

【図４】図２の要部拡大縦断面図である。

【図５】図１の要部拡大縦断面図である。

【符号の説明】

１０ 容器本体 １２ 切欠凹所 １４ 傾斜面 １４ 凹所 １６ 第１の係合突起 ２０ 蓋体 ３０ プッシュピース ３１ 上端部 ３２ 上端ヒンジ部 ３３ 下端部 ３４ かぎ部 ３５ 第２の係合突
起

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器本体と蓋体とをそれぞれの後端部で
   開閉自在に結合し、該容器本体および該蓋体の前端部に
   プッシュピースを配設してなるコンパクト容器におい
   て、 該容器本体の前端縁部に切欠凹所を該容器本体の底面側
   まで切欠して形成し、該切欠凹所の奥面内方に凹所を形
   成するとともに該凹所の内面に第１の係合突起を設け、 該蓋体の前端部に弾性変形可能なプッシュピースの上端
   部を結合して該プッシュピースを前後に揺動自在にし、 該プッシュピースの内方にはかぎ部を延長形成し、該か
   ぎ部の先端には該容器本体の該第１の係合突起と係合可
   能な第２の係合突起を形成し、 該プッシュピースの下端部を該切欠凹所の底面側まで延
   出するように形成し、該プッシュピースの下端部と該切
   欠凹所の内面の少なくともいずれか一方を傾斜面として
   形成し、 該蓋体の閉止状態では該第１の係合突起と該第２の係合
   突起との係合によって該蓋体が止錠状態をしめ、 使用時には該プッシュピースを内方に押圧して該第２の
   係合突起を水平移動して該第１の係合突起との係合から
   離脱し、かつ該傾斜面によって該蓋体が上方へ押し上げ
   られる、 ことを特徴とするコンパクト容器。