JP2560794Y2 - 電磁弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、電磁弁に関し、特に、ソレノイド形のパイ
ロット弁を２個有する電磁弁に適用して有効な技術に関
する。

〔従来の技術〕

この種の電磁弁としては、たとえば、以下に示すよう
なものがある。

すなわち、この電磁弁は、ダブルソレノイド形のもの
で、パイロット圧により摺動するピストンで主軸を移動
させて作動流体の流動方向を切換える主弁と、この主弁
の両側にそれぞれ設けられ、パイロットエアの流動方向
を切換えるソレノイド形のパイロット弁とを備えたもの
である。

そして、各パイロット弁に手動操作装置が設けられ、
この手動操作装置はパイロット弁が使用不可能なとき、
パイロット弁のプランジャを手動により移動させ、パイ
ロットエアの流動方向を切換えできるようにしたもので
ある。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、前記した従来の電磁弁の構造では、主弁の両
側にそれぞれソレノイド形のパイロット弁を設けた構造
であるので、電磁弁の両側にそれぞれ配線しなければな
らず、配線の取回しに手間がかかるという問題があっ
た。

また、主弁の両側にそれぞれソレノイド形のパイロッ
ト弁を設けた構造であるので、大形化を招来するという
問題があった。

そこで、この問題点に対処するために、主弁の一側に
２個のパイロット弁を集積させる集積タイプの構造が考
えられる。

しかし、このような集積タイプの構造では、２個の手
動操作装置をともに上向きに指向させるためには、２台
分の幅が必要になるという問題があった。

また、幅を１台分とすると、２個のパイロット弁を上
下に重ねなければならず、それでは、下側のパイロット
弁用の手動操作装置を上方に指向させると、構造が非常
に複雑となる。このため上方からの手動による操作が困
難になるという問題があった。

本考案は、前記問題点に着目してなされたもので、そ
の目的は、簡易な構造により、省配線化および小形化を
図ることのできる電磁弁を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の電磁弁の構造はパイロット圧により摺動する
ピストンで主軸を移動させて作動流体の流動方向を切換
える主弁と、パイロット流体の流動方向を切換える第１
および第２のパイロット弁と、手動によりパイロット流
体の流動方向を切換える第１および第２の手動操作装置
とを備えた電磁弁であって、前記主弁の長さ方向の一側
に前記第１および第２のパイロット弁を前記主弁の幅内
において前記主弁の高さ方向に重ねた状態で集積させる
とともに、前記第１および第２の手動操作装置を前記第
１および第２のパイロット弁の前記重ね方向に指向させ
て前記主弁の幅内に設けた構造としたものである。

この場合、前記第１の手動操作装置は、第１のパイロ
ット弁のプランジャを移動させるテーパ部を備えた構造
とし、第２の手動操作装置は、３方向の切換により第２
のピストン側流体室にパイロット流体を供給する弁体を
備えた構造としたものである。

〔作用〕

前記した本考案の電磁弁によれば、主弁の長さ方向の
一側に第１および第２のパイロット弁を前記主弁の幅内
において前記主弁の高さ方向に重ねた状態で集積させる
とともに、第１および第２の手動操作装置を前記第１お
よび第２のパイロット弁の前記重ね方向に指向させて前
記主弁の幅内に設けた構造としたので、主弁の長さ方向
の一側に第１および第２のパイロット弁が主弁の高さ方
向に重ねた状態で集積されているにもかかわらず、第１
および第２の手動操作装置を一方向、すなわち前記第１
および第２のパイロット弁の前記重ね方向から手動によ
り操作することができる。

したがって、省配線化および小形化を図ることができ
る。

この場合、前記第１の手動操作装置は、第１のパイロ
ット弁のプランジャを移動させるテーパ部を備えた構造
とし、第２の手動操作装置は、３方向の切換により第２
のピストン側流体室にパイロット流体を供給する弁体を
備えた構造としたので、簡易な構造により、前記効果を
あげることができる。

本考案の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、
本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろ
う。

〔実施例〕

第１図は本考案の実施例である電磁弁を示す断面図で
ある。

本実施例における電磁弁は、ダブルソレノイド形、間
接作動方式、２位置方式のもので、主弁１の右側に２個
のパイロット弁3a,3bを上下に重ねた状態で集積させた
ものである。

詳しくは、前記主弁１は、主弁本体４の中心に軸孔５
を有し、この軸孔５に連通する入力ポートＰ、第１およ
び第２の出力ポートA,B、第１および第２の排出ポートR
a,Rbが形成されている。軸孔５にスプール状の主軸９が
摺動自在に設けられ、この主軸９には小径部9aと大径部
9bとが交互に形成され、この大径部9bにシール10が嵌着
されている。

軸孔５に連通するパイロット通路６の右側は分岐して
第１および第２のパイロット弁3a,3bにおける第１およ
び第２のポペット側流体室17a,17bに開口され、開口端
部に第１および第２のポペット側弁座12a,12bが形成さ
れている。

前記第１および第２のパイロット弁3a,3bは、パイロ
ット弁本体11およびソレノイド部22を有し、このソレノ
イド部22は、ボビン23内に固定コア14と、この固定コア
14に磁気的に引付けるプランジャ15a,15bとを備え、こ
のプランジャ15a,15bは前記ポペット側流体室17a、17b
内に突出し、先端部にポペット19a,19bが嵌着され、プ
ランジャばね24の付勢力により、ポペット19a,19bはポ
ペット側弁座12a,12bに押付けられている。

前記ボビン23の外周には通電により固定コア14に磁力
を発生させるソレノイドコイル25が巻装され、このソレ
ノイドコイル25はソレノイドカバー26で覆われている。

第１および第２のポペット側流体室17a,17bはパイロ
ット通路6a,6bを介して第１および第２のフラッパ側流
体室27a,27bに連通されている。

第１のフラッパ側流体室27aは第１のピストン側流体
室18aに連通され、第２のフラッパ側流体室27bは第２の
手動操作装置2bの軸孔5bの下端部に連通されている。

第１および第２のフラッパ側流体室27a,27bでは、第
１および第２のフラッパ20a,20bはフラッパばね29の付
勢力により第１および第２のフラッパ側弁座13a,13bに
押付けられ、プランジャ15a,15bと連動するプランジャ
ピン16a,16bにより離反させることができるようになっ
ている。

前記第１および第２のフラッパ側弁座13a,13bはパイ
ロット通路6cを介してパイロット排出ポート28に連通さ
れている。

スペーサ８およびエンドカバー７に形成される第１お
よび第２のピストン側流体室18a,18b内のパイロット圧
により摺動する第１および第２のピストン21a,21bで主
軸９を駆動できるようになっている。

前記第１および第２の手動操作装置2a,2bは手動によ
りパイロットエアの流動方向を切換えるもので、パイロ
ット弁本体11およびエンドカバー７内に配置され、とも
に上向きに指向している。

詳しくは、第１の手動操作装置2aは軸孔5a内に操作軸
30を有している。この操作軸30の下端にテーパ部31が形
成され、このテーパ部31は第１のパイロット弁3aのプラ
ンジャ15aを右方向に移動させる機能を有する。

前記操作軸30は、操作部32、係止部33、嵌着溝34、フ
ランジ部35が形成されている。

前記嵌着溝34にＯリング36が嵌着され、フランジ部35
と軸孔5aの底部との間にばね37が設けられ、係止部33は
ストッパピン38とで、操作部32がばね37の付勢力により
軸孔5aの開口端部より突出するのを阻止する機能を有す
る。

第２の手動操作装置2bは、軸孔5b内に操作軸30を有し
ている。この操作軸30は、操作部32、係止部33、弁体39
およびフランジ部35が形成されている。

前記操作部32にＯリング36が嵌着され、弁体39は外周
面に嵌着したシール10aを有し、フランジ部35と軸孔5b
の底部との間にばね37が設けられている。

前記係止部33はストッパピン38とでばね37の付勢力に
より操作部32が軸孔5bの開口端部より突出するのを阻止
する機能を有する。

前記弁体39は平常状態ではポート40より上側に位置し
てパイロット通路６からのパイロットエアの流入を阻止
し、動作状態ではポート40より下側に位置し、第２のピ
ストン側流体室18bにパイロット通路６からのパイロッ
トエアを供給する機能を有する。

次に、本実施例の作用を説明する。

第１のパイロット弁3aをOFFにし、かつ第２のパイロ
ット弁3bをONにすると、第１図に示すように、第１のパ
イロット弁3aでは、第１のプランジャ15aがプランジャ
ばね24の付勢力により固定コア14から離間する。このた
め第１のポペット19aが第１のポペット側弁座12aに押付
けられるので、第１のポペット側弁座12aは閉じ、第１
のフラッパ20aがフラッパばね29の付勢力に抗して第１
のフラッパ側弁座13aから離間し、第１のフラッパ側弁
座13aが開く。

第２のパイロット弁3bでは、第２のプランジャ15bが
プランジャばね24の付勢力に抗して固定コア14に磁気的
に吸引される。このため第２のポペット19bが第２のポ
ペット側弁座12bから離間するので、第２のポペット側
弁座12bは開き、第２のフラッパ20bがフラッパばね29の
付勢力により第２のフラッパ側弁座13bに押付けられ、
第２のフラッパ側弁座13bが閉じる。

その結果、第１のピストン側流体室18a内のパイロッ
トエアはパイロット通路6a、第１のフラッパ側弁座13
a、パイロット通路6cを経てパイロット排出ポート28か
ら排出可能な状態となる。

入力ポートＰからの圧縮エアは、軸孔５、パイロット
通路６を経て第２のポペット側流体室17bにのみ流入
し、さらにパイロット通路6b、第２の手動操作装置2bの
軸孔5bを経てポート40から第２のピストン側流体室18b
に供給される。

第２のピストン側流体室18b内のパイロットエアのパ
イロット圧により、第２のピストン21bが右方向に移動
し、これに伴い、主軸９も右方向に移動し、ストローク
右端の位置で停止する。

このように、主軸９がストローク右端の位置にあると
きは、入力ポートＰから圧縮エアは軸孔５を経て第２の
出力ポートＢからアクチュエータに供給される。また、
アクチュエータからの圧縮エアは第１の出力ポートＡ、
軸孔５を経て第１の排出ポートRaから排出される。

次いで、第２のパイロット弁3bをOFFにし、かつ第
１のパイロット弁3aをONにすると、前記の場合と逆のプ
ロセスにより、主軸９は左方向に移動し、ストローク左
端の位置で停止する。

このように、主軸９がストローク左端の位置にあると
きは、入力ポートＰからの圧縮エアは軸孔５を経て第１
の出力ポートＡからアクチュエータに供給される。ま
た、アクチュエータからの圧縮エアは第２の出力ポート
Ｂ、軸孔５を経て第２の排出ポートRbから排出される。

ここで、第１のパイロット弁3aの使用不能により第１
の手動操作装置2aを使って手動で第１のパイロット弁3a
を開弁させる場合、第１の手動操作装置2aにおいて、操
作部32を手動により押下げると、操作軸30が下向きに移
動し、これに伴い、テーパ部31も下向きに移動し、第１
のプランジャ15aに当たり、その後は、テーパ作用によ
り、第１のプランジャ15aは固定コア14側へ移動し、こ
れにより第１のパイロット弁3aは開弁状態となる。

また、第２のパイロット弁3bは使用不能により第１の
手動操作装置2aを使って手動で第２のパイロット弁3bに
代えて、第２のピストン側流体室18bにパイロットエア
を供給する場合、第２の手動操作装置2bにおいて、操作
部32を手動により押下げると、操作軸30が下向きに移動
し、これに伴い、弁体39が下向きに移動し、ポート40を
越え、パイロット通路６内のパイロットエアは軸孔5bを
経てポート40から第２のピストン側流体室18bに供給さ
れる。

このように、主弁１の右側に第１および第２のパイロ
ット弁3a,3bが上下に重ねた状態で集積されているにも
かかわらず、第１および第２の手動操作装置2a,2bを上
方から手動により操作することができる。

したがって、省配線化および小形化を図ることができ
る。

また、前記第１の手動操作装置2aは、第１のパイロッ
ト弁3aのプランジャ15aを移動させるテーパ部31を備え
た構造とし、第２の手動操作装置2bは、３方向の切換に
より第２のピストン側流体室18bにパイロットエアを供
給する弁体39を備えた構造としたので、簡易な構造によ
り、前記効果をあげることができる。

以上、本考案を実施例に基づき具体的に説明したが、
本考案は前記実施例に限定されるものではなく、その要
旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうま
でもない。

たとえば、前記実施例では、２位置方式の電磁弁の場
合について説明したが、これに限らず、３位置方式の電
磁弁に適用することができる。

以上の説明では、主として本考案者によってなされた
考案をその利用分野である空気圧用の電磁弁に適用した
場合について説明したが、これに限らず、油圧用の電磁
弁にも広く適用することができる。

〔考案の効果〕

本願において開示される考案のうち、代表的なものに
よって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおり
である。

（１）．主弁の長さ方向の一側に第１および第２のパイ
ロット弁を前記主弁の幅内において前記主弁の高さ方向
に重ねた状態で集積させるとともに、前記第１および第
２の手動操作装置を前記第１および第２のパイロット弁
の前記重ね方向に指向させて前記主弁の幅内に設けた構
造としたので、主弁の長さ方向の一側に第１および第２
のパイロット弁が主弁の高さ方向に重ねた状態で集積さ
せているにもかかわらず、第１および第２の手動操作装
置を一方向、すなわち、前記第１および第２のパイロッ
ト弁の重ね方向から手動により操作することができる上
に、第１および第２のパイロット弁が主弁の高さ方向に
重ねられているので、電磁弁の幅が１台分より大きくな
ることがない。

（２）．したがって、省配線化および小形化を図ること
ができる。

（３）．前記（１）の場合、前記第１の手動操作装置
は、第１のパイロット弁のプランジャを移動させるテー
パ部を備えた構造とし、第２の手動操作装置は、３方向
の切換により第２のピストン側流体室にパイロット流体
を供給する弁体を備えた構造としたので、簡易な構造に
より、前記効果をあげることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例である電磁弁を示す断面図であ
る。 １……主弁、2a……第１の手動操作装置、2b……第２の
手動操作装置、3a……第１のパイロット弁、3b……第２
のパイロット弁、４……主弁本体、５……軸孔、5a……
軸孔、5b……軸孔、６……パイロット通路、6a……パイ
ロット通路、6b……パイロット通路、6c……パイロット
通路、７……エンドカバー、８……スペーサ、９……主
軸、9a……小径部、9b……大径部、10……シール、10a
……シール、11……パイロット弁本体、12a……第１の
ポペット側弁座、12b……第２のポペット側弁座、13a…
…第１のフラッパ側弁座、13b……第２のフラッパ側弁
座、14……固定コア、15a……第１のプランジャ、15b…
…第２のプランジャ、16a……プランジャピン、16b……
プランジャピン、17a……第１のポペット側流体室、17b
……第２のポペット側流体室、18a……第１のピストン
側流体室、18b……第２のピストン側流体室、19a……第
１のポペット、19b……第２のポペット、20a……第１の
フラッパ、20b……第２のフラッパ、21a……第１のピス
トン、21b……第２のピストン、22……ソレノイド部、2
3……ボビン、24……プランジャばね、25……ソレノイ
ドコイル、26……ソレノイドカバー、27a……第１のフ
ラッパ側流体室、27b……第２のフラッパ側流体室、28
……パイロット排出ポート、29……フラッパばね、30…
…操作軸、31……テーパ部、32……操作部、33……係止
部、34……嵌着溝、35……フランジ部、36……Ｏリン
グ、37……ばね、38……ストッパピン、39……弁体、40
……ポート、Ｐ……入力ポート、Ａ……第１の出力ポー
ト、Ｂ……第２の出力ポート、Ra……第１の排出ポー
ト、Rb……第２の排出ポート。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】パイロット圧により摺動するピストンで主
   軸を移動させて作動流体の流動方向を切換える主弁と、
   パイロット流体の流動方向を切換える第１および第２の
   パイロット弁と、手動によりパイロット流体の流動方向
   を切換える第１および第２の手動操作装置とを備えた電
   磁弁であって、前記主弁の長さ方向の一側に前記第１お
   よび第２のパイロット弁を前記主弁の幅内において前記
   主弁の高さ方向に重ねた状態で集積させるとともに、前
   記第１および第２の手動操作装置を前記第１および第２
   のパイロット弁の前記重ね方向に指向させて前記主弁の
   幅内に設けたことを特徴とする電磁弁。
2. 【請求項２】前記第１の手動操作装置は、前記第１のパ
   イロット弁のプランジャを移動させるテーパ部を備えた
   構造とし、前記第２の手動操作装置は、３方向の切換に
   より第２のピストン側流体室にパイロット流体を供給す
   る弁体を備えた構造としたことを特徴とする請求項１記
   載の電磁弁。