JP2559812Y2 - 車両用ディスクブレーキのキャリパボディ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、車両用ディスクブレー
キのキャリパボディに関し、詳しくはハンガーピンや、
２つのキャリパ半体の連結ボルト、キャリパボディをブ
ラケットに支持させる摺動ピン又は取付ボルト等の大径
の頭部を有する軸部材を複数本ディスク軸方向に設けた
車両用ディスクブレーキのキャリパボディに関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、実開平４−１７４０号公報に開
示された車両用ディスクブレーキは、図５に示されるよ
うに、ディスクロータ１の両面にそれぞれ配置される２
つのキャリパ半体を４本の連結ボルト２で連結してキャ
リパボディ３を形成し、該キャリパボディ３のディスク
外周側中央部に摩擦パッドを吊持するハンガーピン４を
挿通するとともに、キャリパボディ３を車体に固設され
るブラケット５に摺動ピン６，６にてディスク軸方向に
移動可能に支持している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上述のキャリ
パボディは、ハンガーピンの両側にディスク外周に沿っ
てそれぞれ２本の連結ボルトを間隔をあけて配し、さら
に外側の連結ボルトから間隔をあけて摺動ピンを配設し
ているので、キャリパボディのディスク周方向の幅が広
くなり、キャリパボディが大型になって重量的に不利で
あった。

【０００４】そこで本考案は、軽量でコンパクトなキャ
リパボディを提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため本考案は、摩擦パッドを吊持するハンガーピンや、
ディスクロータの両面にそれぞれ配置される２つのキャ
リパ半体の連結ボルト、キャリパボディをブラケットに
支持させる摺動ピン等の大径の頭部を有する軸部材を複
数本ディスク軸方向に設けた車両用ディスクブレーキの
キャリパボディにおいて、前記軸部材の頭部が当接する
座面を、隣接する軸部材の座面と一部を重ね、一方の座
面を他方の座面よりもディスク軸方向に段差を設けて形
成し、段差の高い座面に、段差の低い座面に当接する頭
部の回動用凹部を形成したことを特徴としている。

【０００６】

【作 用】上記構成によれば、段差の低い座面に当接す
る軸部材の頭部に、段差の高い座面に当接する軸部材の
頭部を一部オーバーラップさせることができるので、隣
接する軸部材の間隔を狭くして、キャリパボディを小型
軽量化できる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。

【０００８】ディスクロータ１０の外周を跨いで配置さ
れるキャリパボディ１１は、ディスクロータ１０の一面
側に配置される作用部側キャリパ半体１１ａと、ディス
クロータ１０の他面側に配置される反作用部側キャリパ
半体１１ｂとを４本の連結ボルト１２で連結して構成さ
れている。

【０００９】作用部側キャリパ半体１１ａは、ピストン
１３を液密かつディスク軸方向に移動可能に嵌挿したシ
リンダ孔１１ｃを有し、反作用部側キャリパ半体１１ｂ
は、反力爪１１ｄを有しており、両者をディスクロータ
１０の外周で連結するブリッジ部１１ｅの中央部には、
天井開口部１１ｆが形成されている。

【００１０】天井開口部１１ｆのディスク内周側には、
ディスクロータ１０を挟んで対向配置される一対の摩擦
パッド１４，１４が、天井開口部１１ｆの中央の両キャ
リパ半体１１ａ，１１ｂ間に掛け渡されるハンガーピン
１５に吊持されている。

【００１１】前記４本の連結ボルト１２は、天井開口部
１１ｆの両側にそれぞれ２本づつ配設されており、各連
結ボルト１２は、軸部１２ａよりも大径の頭部１２ｂを
有し、作用部側キャリパ半体１１ａ側から挿通されて軸
部１２ａ先端のねじ部１２ｃを反作用部側キャリパ半体
１１ｂに螺着し、頭部１２ｂを作用部側キャリパ半体１
１ａの座面１１ｇに当接して作用部側キャリパ半体１１
ａと反作用部側キャリパ半体１１ｂとを連結している。

【００１２】また、外側の連結ボルト１２のさらに外側
には、車体に固設されるブラケット１６にキャリパボデ
ィ１１をディスク軸方向に移動可能に支持する摺動ピン
１７がそれぞれ配設されている。

【００１３】摺動ピン１７は、軸部１７ａよりも大径の
頭部１７ｂを有し、軸部１７ａの頭部１７ｂ側に、軸部
１７ａよりも大径で頭部１７ｂよりも小径のねじ部１７
ｃを、軸部１７ａの先端にねじ部１７ｄをそれぞれ形成
しており、作用部側キャリパ半体１１ａに形成された支
持腕１１ｈにねじ部１７ｃを螺着し、軸部１７ａをブラ
ケット１６の案内孔１６ａに挿通して、ねじ部１７ｄを
反作用部側キャリパ半体１１ｂに螺着し、頭部１７ｂを
支持腕１１ｇの座面１１ｉに当接している。

【００１４】支持腕１１ｇの座面１１ｉは、外側の連結
ボルト１２の頭部１２ｂが当接する座面１１ｇよりもデ
ィスク軸方向に高く、かつ、座面１１ｇと一部を重ねて
形成され、座面１１ｇと重なる部分に連結ボルト１２の
頭部１２ｂの回動用凹部１１ｊを形成している。

【００１５】このように構成することにより、外側の連
結ボルト１２の頭部１２ｂと摺動ピン１７の頭部１７ｂ
が一部オーバーラップしてキャリパボディ１１に螺着さ
れるので、外側の連結ボルト１２と摺動ピン１７との間
隔を短くでき、キャリパボディ１１のディスク周方向の
幅を短縮して、キャリパボディ１１を軽量でコンパクト
なものすることができる。

【００１６】尚、上記実施例では、連結ボルト１２と摺
動ピン１７との間隔を短くすることで説明したが、本考
案は、連結ボルト１２同士の間隔を短くすることでも良
く、また、各連結ボルト１２と摺動ピン１７の配設位置
によっては、キャリパボディ１１のディスク径方向の幅
を短くでき、また、ピンスライド型キャリパに限らず、
対向ピストン型キャリパの連結ボルトや取付ボルトの間
隔を短くしてキャリパボディを小型軽量化できる。

【００１７】さらに、連結ボルト、摺動ピン、ハンガー
ピン、取付ボルト等の軸部材の頭部を一部オーバーラッ
プさせることにより、低い方の座面に当接する軸部材の
脱落防止を図れる。

【００１８】

【考案の効果】以上説明したように本考案は、摩擦パッ
ドを吊持するハンガーピンや、ディスクロータの両面に
それぞれ配置される２つのキャリパ半体の連結ボルト、
キャリパボディをブラケットに支持させる摺動ピン等の
大径の頭部を有する軸部材を複数本ディスク軸方向に設
けた車両用ディスクブレーキのキャリパボディにおい
て、前記軸部材の頭部が当接する座面を、隣接する軸部
材の座面と一部を重ね、一方の座面を他方の座面よりも
ディスク軸方向に段差を設けて形成し、段差の高い座面
に、段差の低い座面に当接する頭部の回動用凹部を形成
したので、段差の低い座面に当接する軸部材の頭部に、
段差の高い座面に当接する軸部材の頭部を一部オーバー
ラップさせることができるので、隣接する軸部材の間隔
を狭くして、キャリパボディを小型軽量化できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例を示す図２のＩ−Ｉ矢視図
である。

【図２】 同じくキャリパボディの正面図である。

【図３】 同じく図１のIII−III断面図である。

【図４】 同じく図２のII−II断面図である。

【図５】 従来のキャリパボディの正面図である。

【符号の説明】

１０…ディスクロータ、１１…キャリパボディ、１１ａ
…作用部側キャリパ半体、１１ｂ…反作用部側キャリパ
半体、１１ｇ…連結ボルトの頭部が当接する座面、１１
ｉ…摺動ピンの頭部が当接する座面、１１ｊ…連結ボル
トの頭部回動用凹部、１２…連結ボルト、１２ｂ…連結
ボルトの頭部、１７…摺動ピン、１７ｂ…摺動ピンの頭
部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 摩擦パッドを吊持するハンガーピンや、
   ディスクロータの両面にそれぞれ配置される２つのキャ
   リパ半体の連結ボルト、キャリパボディをブラケットに
   支持させる摺動ピン等の大径の頭部を有する軸部材を複
   数本ディスク軸方向に設けた車両用ディスクブレーキの
   キャリパボディにおいて、前記軸部材の頭部が当接する
   座面を、隣接する軸部材の座面と一部を重ね、一方の座
   面を他方の座面よりもディスク軸方向に段差を設けて形
   成し、段差の高い座面に、段差の低い座面に当接する頭
   部の回動用凹部を形成したことを特徴とする車両用ディ
   スクブレーキのキャリパボディ。