JP2558916B2 - 酸化鉄黒色顔料顆粒、その製造方法及びその使用 - Google Patents

酸化鉄黒色顔料顆粒、その製造方法及びその使用

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は取扱い過程で安定な分散剤を含まない酸化鉄
黒色顔料顆粒、その製造法及びその使用に関する。
酸化鉄黒色顔料はマグネタイト構造を有する2価及び
3価の鉄酸化物より成る。それらは、鉄(II)塩溶液か
ら1段階または2段階の沈澱工程により、または金属鉄
でニトロベンゼンを還元するアニリン法(Ullmanns Enc
yklopdie der techn.Chem.4th edition,18巻、603
頁、Verlag Chemie Weinheim,1979)によって製造され
る。
通常、製造工程において水性相中に中間生成物として
得られる酸化鉄黒色顔料は、フイルターケーキの形態
で、乾燥されそして使用分野に応じ大程度または小程度
に粉砕される。かくして、ラツカーまたはプラスチツク
の着色に用いられる酸化鉄黒色顔料はコンクリートの着
色用に用いられるものよりも更に強力な粉砕に付さなけ
ればならない。これらはただ顔料粉末を与えるように適
度に粉砕される。
現今酸化鉄黒色顔料は原則としてこの粉末形態で用い
られているが、それらは粉塵を生成し易くそして計量す
るのが困難である故に、欠点を有する。
粉塵のない顆粒を製造するための常法、例えば比較的
粗大な顆粒を円板造粒機により、または比較的微細な顆
粒をスプレー乾燥機中における霧状化によって製造する
方法は、バインダーを添加して顆粒を生成させる酸化鉄
黒色顔料の場合に限って成功する、なぜならそうしない
と顆粒は十分な強度を有せずそして容易に崩壊するから
である。
バインダーの添加もまた相当な欠点を有する。バイン
ダーの種類に依存して、水溶性成分の割合が所望の水準
を超え、そのためこれらの顔料顆粒は広く汎用すること
ができない。もう一方で、その結合力のためにそれらは
顔料の分散挙動に対し悪い影響を与える。
従って、ドイツ特許出願公開第3619363号は、コンク
リート着色のため、分散剤を添加した顔料顆粒の使用を
提案している。
本発明の目的は、汎用することができそして上記欠点
を有しない安定な酸化鉄黒色顔料顆粒を提供することで
ある。これらの酸化鉄黒色顔料は経済的な方法で得られ
るべきである。
この目的は、酸化鉄黒の水性懸濁液をスプレー(spra
ying)または霧状化(atomisation)によって顔料顆粒
へ形成させそして得られた顆粒を加熱することによって
達成される。事実、顆粒の強度及び流れ挙動は加熱によ
って改善されることが見出された。強度における増大は
孔質顆粒を崩壊なしに取扱い可能ならしめるのに十分で
ある。他方において、この強度における増大は分散性、
特にコンクリート中における分散性に悪い影響を与える
ほどに大きくはない。
かくして本発明は、酸化鉄黒色顔料懸濁液をスプレー
または霧状化し、その際得られた酸化鉄黒色顔料顆粒を
加熱することにより、取扱いに安定な、分散剤−不含の
酸化鉄顔料を製造する方法に関する。
加熱は好ましくは、400℃〜800℃、好ましくは500℃
〜700℃で、穏和な還元性、不活性、または穏和な酸化
性の雰囲気中で行なわれる。酸化性黒色顔料懸濁液は有
利には固形分含量50〜75重量%を有する。
本発明の目的に対し、1容量%までの水素含量は穏和
な還元性でありそして3容量%までの酸素含量は穏和な
酸化性である。
所要の加熱時間は非常に短いから、本発明による方法
は1工程段階で実施することができる。この目的のため
には熱−ガススプレー反応器、例えば反応サイクロン、
が特に適する。スプレー反応器中における加熱は滞留時
間5秒以下、場合により実質的にもつと短時間例えば1
秒以下で完了する。しかしながら、本発明方法はまた2
工程段階に分けることがもき、即ち特殊設計されたスプ
レー乾燥器中で固形分含量50〜75%の水性懸濁液から顆
粒の製造、及び下流の装置例えば回転管状炉中における
加熱、の2段階に分けることができる。この場合有利に
は、滞留時間は5分〜1時間、好ましくは10〜30分保持
されるべきである。原則的にはもつと長い滞留時間も悪
い影響を与えない。上記2段階工程において、加熱を高
温室中フラツシユ焼によって行なうことももちろん可
能である。
本発明方法のもう一つの利点は、熱−ガススプレー反
応器中1段階における霧状化及び加熱の好ましい態様に
おいて、顔料顆粒の所望の加熱温度(400〜800℃)以上
の過熱は起こらないことである。過熱が顔料品質に対し
悪い影響をもつことは知られており、なぜなら焼結の結
果としてカラー強度が著しく低減するからである。
特に良好な結果は顆粒形成が1−材料ノズルを介しス
プレー乾燥器中で行なわれるときに得られる。1−材料
ノズルを用いると、2−材料ノズルを用いまたは廻転−
デイスク霧状化器を用いるときよりも大きい顆粒を得る
ことができる。
もしまだ加熱されていない顆粒を一時的に貯蔵するこ
とを必要とするならば、顆粒の製造工程でバインダーを
添加することが奨められる。本発明によれば、好ましく
はここで、後の加熱段階で分解するバインダー、好まし
くはポリアクリル酸のアンモニウム塩を、好ましくは0.
1〜1重量%の量で用いることである。この場合穏和な
酸化性雰囲気中における加熱が有利である。
粉末ではなく顆粒が加熱帯域中に存在するけれども、
この場合もまた顔料品質において達成される改善がドイ
ツ特許公開第3620333号に記載されているもの、即ち黒
色顔料の色調及び着色強度における改善、と同じ基準で
あることは驚くべきことである。
もし微細化した顔料を望むならば、本発明による顆粒
は有利に粉砕に付することもできる。従って、別に分離
した製造工程は不要である。
本発明はまた本発明方法によって得られる酸化鉄黒色
顔料顆粒に関する。スプレー乾燥により得られる顆粒は
霧状化方法及び使用懸濁液の固形分濃度に依存して、凝
集体の大きさ5〜500μm、好ましくは100〜300μmを
有することが好ましい。使用懸濁液の顔料含量が高い
程、得られる顆粒の径は大きい。
もし懸濁液が流動床スプレー法に付されるならば凝集
体の大きさは200〜5000μmである。本発明方法のもう
一つの利点は、得られる酸化鉄黒色顔料は、高含量の水
溶性塩を有しないから、広く汎用することができること
である。
本発明は更に本発明による酸化鉄黒色顔料顆粒を建築
材料、特にコンクリート成分、繊維セメント成分、漆
喰、接続密閉材料、敷石または石畳を着色するのに使用
することに関する。
下記の実施例は本発明方法を更に詳しく説明するため
のものであるが、本発明はこれによって限定されるもの
ではない。
記載の実施例の場合、DIN4ビーカー(1974年4月のDI
N53,211)を用いる流出時間の検定を試験すべき粉末に
類似適用した。
実施例1 50重量%の固体(バイフエロツクス(Bayferrox)120
Nの前駆体、バイエル社の市販品)を含む酸化鉄黒の水
性懸濁液を窒素で操作する2−材料ノズルを介し反応サ
イクロンへ10l/hの割合で供給した。反応バーナーを空
気の僅かな不足量で操作した。反応温度は700℃であっ
た。得られた顔料はFeIII/FeIIの重量比1.9〜2.0を有
し、青味を帯びた色彩を有し、そしてバイフエロツクス
330(バイエル社工業製品)よりも高いカラー強度を有
した。顆粒の径は10〜100μmであり、BET表面積は13m2
/gであった。セメント中への分散性は満足すべきもので
あった。
実施例2 実施例1からの酸化鉄黒水性懸濁液1時間当り30lを
1.1mmオリフイスを有する1−材料ノズルを介しスプレ
ー乾燥器中で、初圧4バールのもとに霧状化した。天然
ガス及び大過剰の空気で操作する大面積バーナーから、
煙道ガスが500℃の温度で乾燥器中に入った。排出ガス
温度130℃で顔料温度は約90℃であった。
150〜250μmの径を有する褐色を帯びた顆粒が1時間
当り24kg得られた。湿気含量は1〜5重量%であった。
4mmDINカップからの流出速度は61秒であった。
得られた顆粒を次いで長さ2m、径30cmの回転管状炉一
供給した。炉は天然ガスバーナーで間接的に加熱され
た。回転速度は5rpmであり、傾斜は1.5%であった。3.5
容量%の空気と混合した。窒素(4m3(S.T.P.)/時)
を炉中へ顆粒に対し向流的に通した。生成物中の最高温
度は680℃であった。得られた顆粒は冷却後導入生成物
と事実上同じ径分布を有した。嵩密度は0.93kg/lであっ
た。セメント混合物中で分散性は良好であった。対照例
顔料のバイフエロツクス330(バイエル社の工業製品)
よりも色調は青くそしてカラー強度はより高かった。BE
T表面積は132m/gであり、FeIII/FeII重量比は2であっ
た。4mmDINカツプからの流出量は僅か53秒であった。
本発明の主なる特徴及び態様は以下の通りである。
1.酸化鉄黒色顔料懸濁液をスプレーまたは霧状化するこ
とにより取扱い過程で安定な分散剤−不含の酸化鉄黒色
顔料顆粒を製造する方法であって、得られる酸化鉄黒色
顔料顆粒を加熱することを特徴とする方法。
2.加熱を穏和な還元性、不活性または穏和な酸化性の雰
囲気中において400〜800℃で行なう上記第1項記載の方
法。
3.加熱を500〜700℃で行なう、上記第2項記載の方法。
4.酸化鉄黒色顔料懸濁液が固形分含量50〜75重量%を有
する上記第1項記載の方法。
5.酸化鉄黒色顔料懸濁液が熱的に不安定な有機化合物を
含有する上記第1項記載の方法。
6.熱的に不安定な有機化合物が0.1〜1重量%の量で存
在するポリアクリル酸のアンモニウム塩である上記第5
項記載の方法。
7,顆粒の形成及び加熱を一工程段階で行なう上記第1項
記載の方法。
8.該一工程段階を熱ガススプレー反応器中で行なう上記
第7項記載の方法。
9.顆粒の形成及び加熱を二つの分離した段階で行なう上
記第1項記載の方法。
10.顆粒の形成段階をスプレー乾燥器中で行ないそして
加熱段階を廻転管状炉中で行なう上記第9項記載の方
法。
11.顆粒の形成を1−材料ノズルを介してスプレー乾燥
器中で行なう上記第10項記載の方法。
12.上記第1項記載の方法により得られる酸化鉄黒色顔
料顆粒。
13.上記第2項記載の方法により得られる酸化鉄黒色顔
料顆粒。
14.上記第3項記載の方法により得られる酸化鉄黒色顔
料顆粒。
15.上記第8項記載の方法により得られる酸化鉄黒色顔
料顆粒。
16.上記第9項記載の方法により得られる酸化鉄黒色顔
料顆粒。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化鉄黒色顔料懸濁液をスプレーまたは霧
    状化し、次いで得られる酸化鉄黒色顔料顆粒を穏和な還
    元性、不活性または穏和な酸化性の雰囲気中で400〜800
    ℃において加熱することを特徴とする、分散剤を含まな
    い取扱い中安定な酸化鉄黒色顔料顆粒の製造方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の方法により得
    られる酸化鉄黒色顔料顆粒。
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