JP2558911B2 - 金属帯材の連続湿式処理装置 - Google Patents

金属帯材の連続湿式処理装置

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JP2558911B2
JP2558911B2 JP2045625A JP4562590A JP2558911B2 JP 2558911 B2 JP2558911 B2 JP 2558911B2 JP 2045625 A JP2045625 A JP 2045625A JP 4562590 A JP4562590 A JP 4562590A JP 2558911 B2 JP2558911 B2 JP 2558911B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は製鉄所等において金属帯材を連続湿式処理す
るための装置に関するもので、詳しくは金属帯材をミス
ト雰囲気中で処理する装置の改善に関するものである。
〈従来の技術〉 例えば、金属帯材(以下単に帯材という)表面に電気
めっきを行う場合、帯材を電気めっき槽に導き陽極と陰
極とを用いてめっき液中の金属イオンを帯材表面にめっ
きする。
このめっき槽には、ラジアル型のものと水平型のもの
があるが、ここではラジアルめっき槽の例を第6図によ
り説明する。
第6図はラジアルめっき槽の側面図であり、帯材1は
メインロール2へ入側デフレクタロール3を介して導か
れ、出側デフレクタロール3′を介して矢印F方向に搬
出される。4は陽極であり5、5は陰極となるコンダク
タロールである。めっき槽は、めっき槽下部タンク6と
めっき槽上部タンク7で形成され、さらに、デフレクタ
ロール5、5′上部には覆い(以下カバーという)8、
8′が設置されており、該カバー8、8′内には、帯材
1の表面を湿潤状態に維持するためにミストを噴霧する
スプレーノズル9、9′を内装している。
上述の如く、スプレーノズル9、9′はミストを噴霧
し、帯材1の表面を湿潤状態にするが、同時にカバー
8、8′内にも充満し、カバー内面に付着する。また、
めっき槽内は雰囲気温度が60〜70℃であり、発生したフ
ュームがデフレクタロール3、3′上のカバー8、8′
内にも充満し、該フュームが凝縮して水滴となりカバー
内面に付着する。
これ等、カバー内面に付着した水滴は、だんだん成長
して大粒の水滴となって帯材表面に滴下する。この滴下
液はめっき槽の入側であれ、また出側であれ、製品品質
に重大な影響を及ぼすため、極力排除する必要がある。
そこで、帯材表面に滴下する滴下液を防止する手段と
して、例えば特開昭61−441845号公報に開示されたよう
に、帯材表面の直上に伸縮カバーを設けるものもあり、
また、一般的にはカバー内面に傾斜を設けたものが使用
されている。
〈発明が解決しようとする課題〉 上記特開昭61−44185号公報に示された技術では、帯
材とカバー間に存在するフューム等はやはり凝縮滴下す
るため、カバー自体にさらに改善を要することで問題が
ある。また、従来一般的に使用されている傾斜付カバー
では、液滴の雫を生じさせないためには45°程度の傾斜
が必要であるが、設置場所によっては、スペースが無い
あるいは他の機器との取り合い等の制約により十分な傾
斜を設けることができないという問題がしばしば発生し
ていた。
本発明は、かかる従来の技術の課題を有利に解決し、
帯材表面へ滴下する滴下液を未然に排除可能なカバーを
備えた金属帯材の連続湿式処理装置を提供することを目
的とする。
〈課題を解決するための手段〉 本発明は、金属帯材の連続湿式処理装置において、該
処理装置で発生する飛散処理液またはフュームの散逸を
防止するための覆いの内面を、ゴム、アクリル樹脂、不
織布から選ばれた材料とするとともに、該材料の微視的
表面形態を最大高さ(Rmax)が10μm以上の凹凸の粗面
とし、前記覆いの内面を水平面に対し5°以上の傾斜を
有する斜面とし、かつ、前記覆いが天板を有し、該天板
の内面は水平面に対し5°以上、30°未満の傾斜を有す
る斜面とし、より好ましくは、上記粗面が、交差するハ
ケ目状の、最大高さ(Rmax)(以下凹凸の高さまたは凹
凸の深さと記す)が10μm以上の規則的な凹凸の粗面と
することによって、上記従来技術の課題を解決した。
〈作用〉 本発明者らは、カバー内面に付着した液滴の流動性を
向上すれば滴下液を防止できることに着目し、流動性を
向上させる条件について調査を行った。
その結果、カバー内面の材質を不着液との濡れ性の良
好な材質のものにし、さらにその表面を粗面にする必要
があること、こうすることによって、カバー内面の傾斜
は水平面に対し5°以上あれば雫が落下しないことが判
った。
第3図に各種材料からなる板材について、その板材下
面の付着液がどのような挙動をするかを調査した結果を
示す。また同時に第1表にこの板材における水滴の滴下
限界角度を示す。
なお、水滴の滴下限界角度とは、その角度以上の場
合、水滴が滴下しない角度を示す。
これらの実験はまず板材を傾斜させて支持し、その下
面に一定流量の水を0.1/min・m2の条件でミストスプ
レーノズルで噴霧し、水滴が落下する時点と、流動し始
めた時点から5sec後噴霧を中止し、板材下面を伝って流
れた水を集めてその量を計測した。この間に噴霧した全
水量をQ、流れた水の量をQ1とし、その比Q1/Qが1に近
いほど付着水が流れ易いことになる。
第3図において、ゴムBと、アクリル樹脂と、不織布
とが好結果を示し、不織布以外は凹凸の高さが20μmの
粗面としたものである。そしていずれも第1表に示すよ
うに、傾斜αが5°以上で水滴が落下することがなかっ
たにもかかわらず、傾斜10°程度でQ1/Qが収束している
のは全ての水が流下したのではなく、板下面に付着した
まま残留しているためである。
また、ゴムAと、ファイバ強化プラスチックと、塩化
ビニールは表面平滑のまま実験を行ったが、前2者では
いずれもαが10°までは全量滴下し、塩化ビニールはα
が20°までは全量滴下した。そして第1表に示すよう
に、ゴムAと塩化ビニールはαが50°以上、ファイバ強
化プラスチックでは30°以上では滴下することがなかっ
た。なお、この3材質は水との濡れ性が悪いため、板に
付着して残留する水量が多くなっている。
この濡れ性の一つの目安として、水滴接触角度βを調
べて第1表に併記した。水滴接触角度とは第4図に示す
ように、板面S上に水滴Wを置いたときに、該水滴Wの
側面と板面Sとの成す角度であり、板面と水滴の表面張
力に依存する。なおゴムB、アクリル樹脂、不織布はい
ずれもβが小さい。ただし、ゴムBの表面が平滑状態の
ときは、凹凸を付けた場合よりかなり大きくなっている
(第1表の括弧内)。
次に、板面の凹凸の高さ(凹凸の深さ)と傾斜角との
関係を調べた。その結果を第5図に示す。この実験はゴ
ムBに微視的ないろいろの粗面を形成し、水滴が落下し
始める角度αを求めた。
同図で斜線を施した部分では水滴の落下が見られた。
この図から粗面の凹凸の高さ(凹凸の深さ)は10μm以
上でなければ余り効果がないことが判る。
以上の調査結果から、本発明に使用するカバー内面
は、その内面に付着する液とできるだけ濡れ性がよいこ
と、そして、その微視的表面粗さは10μm以上の凹凸の
高さ(凹凸の深さ)の粗面にすること、また、この内面
は5°以上の傾斜を有する斜面にする必要があることが
判明した。
なお、表面粗さの上限は加工その他の点から最大0.5m
m程度であり、また実験結果から粗面の形態は交差する
ハケ目状の規則的な凹凸の粗面であることが最も好まし
いことも判った。
〈実施例〉 第1図、第2図により、前記第6図に示したラジアル
めっき槽のデフレクタロール上部カバーの例を説明す
る。第1図はカバー11の斜視図で、12はのぞき窓、13は
ミストスプレーノズルの挿入口、14は胴部16、16′を伝
って流下する付着液を受けてライン外に排除するための
樋で、必要に応じて取り付ける。
天板15はラインと直角方向にθの傾斜が、また胴部
16、16′と庇部17、17′にもそれぞれライン方向の傾斜
θ、θが付けられて斜面となっている。上記角度θ
、θは7°、θは40°にしてある。
また、この例では胴部16、16′に樋14が取り付けら
れ、第2図に拡大して示すようにライン方向にθ、ラ
インと直角方向にθの角度が付けられ、この角度
θ、θはそれぞれ6°にしてある。
なお、天板15はラインと直角方向のみに、また胴部1
6、16′と庇部17、17′はライン方向のみに傾斜させた
が、これは天板15ではライン方向に、胴部16、16′と庇
部17、17′はラインと直角方向にのみ傾斜を付けてもよ
く、また両方向につけてもよいものである。いずれにし
ても斜面を伝って流れた液が帯材1の表面上に流れ落ち
ないように誘導する必要がある。
このようにカバーを鋼板で製作し、その内面に厚さ1m
mのゴムをライニングした。このゴムは前記ゴムBに相
当するもので、表面に交差するハケ目状の20μmの凹凸
を有するゴム板であり、接着剤により鋼板面に貼付し
た。
このようにして製作したデフレクタロールのカバーで
ラジアルめっき槽の前後のデフレクタロール上部を覆っ
て使用したところ、カバー内面にミストの付着や、フュ
ームの凝縮液滴の付着があったにもかかわらず、これら
が滴下液となって帯材表面に滴下する現象は全く見られ
なかった。
なお、上述の説明はラジアルめっき槽に本発明を適用
した例について述べたが、他の、例えば酸洗設備等の表
面処理装置や、湿式処理装置を有する非鉄金属の連続処
理ライン等にも適用できることはもちろんである。
〈発明の効果〉 本発明は、上記した如く連続湿式処理装置において、
処理液のミストや、フュームの凝縮液が金属帯材表面に
滴下することを完全に防止することができるから、製品
の品質を滴下液により損なうことがなく、しかもカバー
の改善のみでこの目的が達成できるため安価であり、産
業上そのもたらす効果は非常に大きいものである。
また、本発明によれば、覆いの天板の内面の水平面に
対する角度を30°未満とするため、前記した他の機器と
の取り合い等の制約により十分な傾斜を設けることがで
きない場合にも、飛散処理液またはフュームの散逸を防
止するための覆いを設置することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を適用したラジアルめっき槽のデフレク
タロールカバーの斜視図、第2図は第1図の部分拡大図
であり、第3図は板の傾斜角度と板下面を流れる水量と
の関係を示す図面で、第4図は水滴接触角の説明図、第
5図は板の傾斜角度と板表面凹凸深さとの関係を示す図
面であり、第6図はラジアルめっき槽の説明図である。 1…帯材、3…デフレクタロール、11…カバー、15…天
板、16、16′…胴部、17、17′…庇部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 17/04 C25D 17/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属帯材の連続湿式処理装置において、該
    処理装置で発生する飛散処理液またはフュームの散逸を
    防止するための覆いの内面を、ゴム、アクリル樹脂、不
    織布から選ばれた材料とするとともに、該材料の微視的
    表面形態を最大高さ(Rmax)が10μm以上の凹凸の粗面
    とし、前記覆いの内面を水平面に対し5°以上の傾斜を
    有する斜面とし、かつ、前記覆いが天板を有し、該天板
    の内面は水平面に対し5°以上、30°未満の傾斜を有す
    る斜面としたことを特徴とする金属帯材の連続湿式処理
    装置。
  2. 【請求項2】上記粗面が、交差するハケ目状の、最大高
    さ(Rmax)が10μm以上の規則的な凹凸の粗面であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の金属帯材の
    連続湿式処理装置。
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