JP2558743Y2 - パチンコ機における前枠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】この考案は、パチンコ機にお
ける前枠に関し、更に詳しくは、遊技機に必要とされる
各種の主要遊技構成部材を装備し得る前枠に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】周知のように従来から実施されているパ
チンコ機では、外郭保持枠をなす外枠の開口前面側に、
開閉搭載枠をなす前枠が開閉および着脱可能に組付けら
れている。この前枠の正面上部の開口には遊技盤が配設
される一方、前側に上球皿,下球皿および打球発射装置
等が装着され、後側にアウト球,セーフ球および賞球の
処理をなす機構セット盤が着脱可能に装備されている。
そして、上球皿内の遊技球を発射レールの発射部位に１
球ずつ送込み、遊技盤の案内レール内の遊技領域に打出
してゲームを行ない得るようになっており、このゲーム
中において遊技領域で発生したセーフ球に対して払出さ
れる賞球が上球皿側へ優先的に排出され、上球皿側の満
杯状態以後には余剰分として下球皿側へ排出されてその
まま収容(貯留)されるようになっている。また、パチン
コゲーム中に発生したファール球、つまり発射部位から
１球ずつ打出されたものの、打球力不足等に起因して遊
技領域内に適正に到達し得ないまま案内レールに沿って
降下し、発射レールの上端と案内レールの下端との間に
開設されたファール口内に転落した非遊技球や、機内の
点検等にあたり上球皿を開放した際にこぼれ落ちた賞球
については、前枠の正面内側における球回収経路から一
旦裏側へ排出されて最終的には下球皿側へ戻されるよう
になっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、本件出願人
を除く多くのメーカで実施されるパチンコ機の前枠は、
所要厚さの合板からなる木材成形製が主流となってい
る。従って、払出された余剰賞球分やファール球および
こぼれ球を下球皿側へ排出案内するために、支持盤部の
略中央部に開設されて該下球皿に連通するセット口の裏
側に、「バケット」とも称されている大型の連絡収容器を
装着している。すなわち、木材製の前記前枠と合成樹脂
製の前記連絡収容器とを別々に製作した後、更に夫々を
ビス等で組付けなければならないので、パチンコ機の生
産性の向上が図り難くコスト高になる欠点が指摘され
る。

【０００４】また、前記連絡収容器は、セット口の開口
後面に合わせて前枠裏側に直接ビス等で取着されて下球
皿側に連絡される容器と、機構セット盤の副排出路に連
絡される球受け具と、こぼれ球(ファール球を含む)用の
球回収経路に連絡される球戻し具とを夫々別々に成形し
て組立てるため、製作に手間が掛かって更なるコスト高
の要因となっている。しかも、この連絡収容器は、複数
の部品からなるユニット化した複合収容体であるもの
の、全体の外郭形状サイズが大きくなり、その割には内
部の実体容積(球の収容空間)が有効に広くできない欠点
もあった。

【０００５】

【考案の目的】本考案は、前述した課題を好適に解決す
るべく新規に提案されたもので、パチンコゲーム中に払
出されて下球皿側へ排出される賞球の排出収容部分を一
体に成形した合成樹脂成形製の前枠を提供することを目
的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本考案は、外枠に組付けられる合
成樹脂成形製の前枠の正面側に遊技球用の上球皿および
賞球用の下球皿が装備される一方、前枠の正面内部に遊
技盤がセットされ、前枠の裏側に賞球の排出装置および
排出経路を備えた機構セット盤がセットされたパチンコ
機にあって、前記前枠の正面内部に球回収経路が成形さ
れる一方、前枠の正面内部に成形された支持盤部の略中
央部に前記下球皿の皿部と連絡されるセット口が開設さ
れ、このセット口の裏側に向けて賞球用の排出収容筒部
が一体に突設成形されて、同排出収容筒部の開口後面側
を、前記球回収経路および前記機構セット盤における賞
球用の排出経路に適宜連絡可能にしたことを特徴とす
る。

【０００７】

【作用】前枠は、合成樹脂を材質として一体成形され、
下部の支持盤部の略中央部に、前面側に装備される下球
皿に連通するセット口が開設されている。支持盤部の裏
側におけるセット口の開口後端には、該支持盤部と一体
に成形された角筒形の排出収容筒部が後方へ延出してい
る。この排出収容筒部の後端部は、機構セット盤におけ
る副排出路の下端に取付けた小型の連絡収容器と適宜連
絡されると共に、前枠内側に成形された球回収経路に戻
し樋部が連絡される。パチンコゲームにおいて生じた賞
球は、上球皿へ優先的に排出され、充満以降では余剰賞
球分が副排出路に排出される。そして副排出路から排出
された余剰賞球分は、前記排出収容筒部を介して下球皿
の皿部内に排出される。また遊技領域に向けて打出され
たものの、打球力不足等に起因して遊技領域内に到達し
得なかったファール球および上球皿が開放された際にこ
ぼれ落ちたこぼれ球は、前記排出収容筒部を介して下球
皿の皿部内に排出される。

【０００８】

【考案の実施の形態】次に、本考案に係るパチンコ機に
おける前枠につき、好適な実施例を挙げて添付図面を参
照しながら、以下詳細に説明する。なお本実施例のパチ
ンコ機に実施される各種の遊技用構成部材の搭載枠用と
される前枠は、全体的に合成樹脂加工成形されたものを
前提にして例示する。

【０００９】本考案に係る前枠２は、外郭保持枠用とも
される外枠１の開口前面に着脱および開閉可能に組付け
られるものであって、図３〜図６に示すように、その主
要構成部として、外枠１の開口前面に適合する外形サイ
ズとされて内側に窓口４を開設した枠体３と、この枠体
３の正面内側に位置されて遊技盤用のセット面域６を開
設した収容枠体５と、セット面域６の下方に位置されて
遊技盤と整合される遊技補助盤７とが一体成形されてい
る。そして枠体３下部に一体成形された支持盤部３Ａ
に、下球皿用のセット口８や打球発射装置用のセット孔
９等が成形され、また遊技補助盤７の各部に、賞球用の
球出口１０、こぼれ球やファール球の球回収経路として
の球回収路１１および球戻し口１２、打球杆用のセット
口１３、そしてアウト球用の通出路１４等が夫々成形さ
れている。

【００１０】なお窓口４の下底内面に、球戻し面４Ａが
球戻し口１２に向けて適宜斜状に形成されている。また
セット面域６の内周囲には、遊技盤用の位置決め部１５
や係止保持部１６等が成形されている。その余の細部に
至る構造については、詳細な記述を省略して図示のみに
止める。ちなみに収容枠体５は、単独成形されて枠体３
裏側に組付けられるタイプもある。

【００１１】前述した前枠２の各部に設置される各種の
遊技用構成部材の主要なものとしては、図１〜図３に示
すように、枠体３の窓口４の開口周囲に取着された窓枠
１７に、ガラス扉１８および前面開閉板１９が組付けら
れ、この前面開閉板１９の前側と内側(後側)に上球皿２
０と球送り装置２３が夫々セットされており、また枠体
３の支持盤部３Ａに、補助支盤２４を利用して下球皿２
６と打球発射装置２８が夫々装備されている。なお、前
面開閉板１９の左部内側に前記球出口１０に連通可能と
された排出筒２２が突設されて、その開口前面を上球皿
２０の皿部２１上流側に臨ませている(図５参照)。また
補助支盤２４は、下球皿２６および打球発射装置２８の
操作部２９を予じめセットしたもとで、支持盤部３Ａの
前面に装着されて、その中央部に開設した球排出口２５
を前記セット口８内に合わせると共に、下球皿２６の皿
部２７に連絡している。何れの皿２０,２６について
も、球抜き手段３２,３３が付設されている。

【００１２】そして前記収容枠体５のセット面域６に、
円形状の案内レール３５内の遊技領域３６に各種の遊技
部材３７やアウト口３８を設けた遊技盤３４が着脱可能
にセットされて、遊技補助盤７の上面に整合されてい
る。またこの収容枠体５の裏側に、機構セット盤３９が
着脱または開閉可能にセットされている。このセット盤
３９では、図２および図５に示すように、アウト球用の
排出路４０とセーフ球用の処理路４１等が区画形成され
ていると共に、処理路４１の下流部にセーフ球検出処理
装置４２が組付られており、また賞球貯留送出経路部４
３および賞球排出装置４４等が設置されている。そして
賞球排出装置４４の下方に、排出経路として、前記上球
皿２０側の球出口１０に連絡された主排出路４５と、こ
れより分岐連設されて前記下球皿２６側の球排出口２５
に連絡された余剰賞球用の副排出路４６とが成形されて
いる。なおアウト球、セーフ球、賞球に係る夫々の通路
４０,４１,４５,４６等は、裏側に取着されたカバー部
材４７で全面的に覆蓋されている。また副排出路４６の
所要部位に、賞球の充満状態を検知した際に、前記打球
発射装置２８側に停止(打止め)用信号を発信するための
賞球充満検知機構４８が付設されている。

【００１３】一方遊技補助盤７の右側前面に発射レール
４９が設置されて、その下端部の発射部位Ｐに前記打球
発射装置２８の打球作動部３０の打球杆３１を臨ませ得
るようになっており、そして発射レール４９上端と前記
案内レール３５下端との間に、適宜離隔広さのファール
球用の戻し口５０が構成されて、前記球戻し口１２側に
連絡されている。また同補助盤７の左側前面にスピーカ
用のセット部材５１が着脱可能にセットされている。こ
のセット部材５１では、補助盤７前面に定着されるケー
ス本体５２と、音声透過用のスリット口５４等を有する
開閉蓋５３との間に、スピーカ５５および音量調整器５
６を内蔵してユニット化されており、そして両者５２,
５３に亘って形成された球受け排出口５７を、前記球出
口１０下方に臨ませると共に、球回収路１１に連絡した
状態でセットされている(図３,図５参照)。

【００１４】前述した前枠２のセット口８裏側に突出成
形された排出収容筒部６１には、機構セット盤３９の副
排出路４６下端に取付セットされて、余剰排出された賞
球や回収されたファール球およびこぼれ球を受入れて下
球皿２６側へ排出し得る連絡収容器６４が、着脱可能に
整合セットされるようになっている。すなわち図３〜図
６に示すように、排出収容筒部６１は、前枠２の支持盤
部３Ａの裏側において、セット口８の開口後端から連続
に延長した角筒形に一体成形されており、その内部には
前後に開口してセット口８に連通された排出収容路６２
が成形され、また上部後端に戻し口６３が開設されてい
る。なおこの排出収容筒部６１は、前記遊技補助盤７後
面と同一奥行の長さに成形され、その底内面がセット口
８の底内面に対して適宜上段位置(前記補助支盤２４の
球排出口２５の底内面よりも高い位置)から流出勾配と
されている例を示す。

【００１５】これに対して前記連絡収容器６４は、合成
樹脂加工成形に基いて図７に示すように、賞球用の収容
室６６および球受け口６７を有する横長箱形状の収容箱
部６５と、この収容箱部６５の上部前側に延出された庇
板部６８上に起立して球受け口７０および球戻し路７１
を有する角筒形状の戻し樋部６９とが一体に成形されて
いる。そして収容箱部６５の開口前側の周囲にフランジ
部７２が、また同箱部６５の底板部前端縁に案内舌縁部
７３が夫々成形されていると共に、球受け口６７の前上
縁に沿って当て片部７４が、また収容箱部６５の開口前
面上部に球規制部７５が夫々成形されている。そして連
絡収容器６４は、球受け口６７を機構セット盤３９の副
排出路４６の出口に整合連絡して、この状態で該機構セ
ット盤３６にビス等により固定するようになっている。
なお同球受け口６７の後面は、前記カバー部材４７の下
端部分で覆蓋されている。また、図６中符号７６は、ア
ースを示す。

【００１６】このように副排出路４６の下端出口に取着
セットされた連絡収容器６４は、図４,図５,図６に示す
ように、フランジ部７２、案内舌縁部７３、球規制部７
５、庇板部６８を、同収容筒部６１の開口後端、底内面
後縁、上部面に夫々合わせた状態で、該フランジ部７２
を前記排出収容筒部６１にビス７６等により取着され
る。この状態にあっては、収容箱部６５の収容室６６が
排出収容路６２の開口後面に対して互いの底内面に適宜
段差を以って整合されている一方、戻し樋部６９の球受
け口７０が前記遊技補助盤７の球戻し口１２内に前向き
で整合連絡されていると共に、球戻し路７１が戻し口６
３と縦通連絡されている。また同セット盤３９における
アウト球用の排出路４０およびセーフ球用の処理路４１
は、遊技補助盤７の裏側で上下に区画位置されている
(図５参照)。

【００１７】

【実施例の作用】前述した本実施例のパチンコ機におい
て、本来のパチンコゲームの開始(継続)にあたっては、
上球皿２０内に投入(収容)された遊技用のパチンコ球が
先行順に球送り装置２３内に通入しているもとで、打球
発射装置２８の操作部２９を操作することにより、同装
置２８の打球作動部３０による打球作動と、これにタイ
ミングを合わせた球送り装置２３による球送り作動との
協働により、遊技球が１球ずつ順次発射レール４９の発
射部位Ｐに送込まれて打球杆３１で打出され、発射レー
ル４９から遊技盤３４の案内レール３５に沿って遊技領
域３６内に打込まれる。そして同領域３６内の遊技球
は、入賞口に入ったセーフ球と、アウト口３８に入った
アウト球とに区分されて、夫々の経路４１,１４,４０か
ら最終的には機裏側へ排出処理される。

【００１８】このようなパチンコゲームにあって、夫々
のセーフ球がセーフ球検出処理装置４２で１球ずつ検出
処理されることに基いて、賞球排出装置４４の作動によ
り設定数単位毎に払出された賞球は、主排出路４５から
球出口１０および排出筒２２を介して上球皿２０の皿部
２１へ優先的に排出され、充満以降では余剰賞球分が副
排出路４６から連絡収容器６４および球排出口２５を介
して下球皿２６の皿部２７へ排出される。またファール
球、つまり発射部位Ｐから１球ずつ打出(発射)されたも
のの、打球力不足等に起因して遊技領域３６内に到達し
得なかった非遊技球は、ファール球として戻し口５０内
に転落してそのまま前枠２の球戻し面４Ａ上に落下した
後、球戻し口１２から下球皿２６側へ戻される。一方、
機内の点検、修理等にあたり前面開閉板１９と共に上球
皿２０が開放された際に、球出口１０または排出筒２２
からこぼれ落ちた賞球は、セット部材５１の球受け排出
口５７内に受入れられて球回収路１１、球戻し面４Ａ、
および球戻し口１２を介して下球皿２６側へ戻される。

【００１９】またこのような球排出処理状態にあって、
下球皿２６側に排出された球(主として余剰賞球分)が皿
部２７、次いで球排出口２５内に亘り充満した以降にお
いて、新たに排出された余剰賞球分を、排出収容路６２
から収容室６６内に順次収容し得る。そして収容室６６
の前面上部に位置する球規制部７５を利用して排出収容
路６２内の上部に未収容空間を残すと共に、戻し口６３
を開口させたままの状態に規制して、多くの賞球分を収
容室６６内に好適に貯留し得る。この球貯留状態にあっ
て、ファール球およびこぼれ球については、排出収容路
６２内の上部、戻し口６３、球戻し路７１、球受け口７
０内に亘って相当数を受入れて収容することができるも
のである。

【００２０】ちなみに連絡収容器６４の収容室６６内に
余剰賞球分が充満した以降において、新たに排出された
余剰賞球分は、前記副排出路４６から主排出路４５の上
流路に亘り収容(貯留)可能とされる。一方これらの貯留
球は、任意時点の球抜き操作あるいは前記賞球充満検知
機構４８の充満検知作動に基く打球発射装置２８の休止
状態(一時的な作動不能による打止め)を目安とした球抜
き操作において、球抜き手段３３を開放することによ
り、下球皿２６の皿部２７から機外に用意される球箱
(図示しない)へ抜出すことができる。

【００２１】前述したように本実施例の前枠では、支持
盤部３Ａのセット口８から後方へ延出する排出収容筒部
６１を一体に成形したことにより、機構セット盤３９の
副排出路４６に取着した小型の連絡収容器６４を単に連
結するだけの構成であるので、構成を簡単にして製作
(成形)を簡素化し得る。しかも、前記排出収容筒部６１
と連絡収容器６４との直接整合形態により、双方６１,
６４内における球の実体容積をできるだけ大きくして
(下球皿２６の皿部２７の半分以上)多くの排出球を貯留
し得ることにより、下球皿２６に対する好適な補助収容
部としても実施できる。

【００２２】

【考案の効果】以上説明した如く、本考案に係るパチン
コ機における前枠によれば、前枠を合成樹脂製とするこ
とで、支持盤部のセット口から後方へ延出する排出収容
筒部を該前枠と一体に成形することができる。従って、
排出収容筒部と機構セット盤の副排出路とを適宜に連絡
して、構成を簡単にして製作(成形)の簡素化を図り得る
と共に製作コストの大幅な低減が可能となる。しかも、
排出収容筒部の実体収容容積を容易に大きくし得るの
で、多くの排出球を貯留することが可能となり、下球皿
に対する好適な補助収容部としても実施できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】パチンコ機全体を略示する正面図である。

【図２】パチンコ機全体を略示して一部開蓋した背面図
である。

【図３】前枠の主要部を示す正面図である。

【図４】前枠の主要部を示す背面図である。

【図５】図１中のＶ-Ｖ線に基く側断面図である。

【図６】賞球用貯留部および下球皿側を主に示す平断面
図である。

【図７】賞球用貯留部を分解して示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 外枠 ２ 前枠 ３Ａ 支持盤部 ８ セット口 １１ 球回収路 １２ 球戻し口 ２０ 上球皿 ２６ 下球皿 ２７ 皿部 ３４ 遊技盤 ３９ 機構セット盤 ４４ 賞球排出装置 ４５ 主排出路 ４６ 副排出路 ６１ 排出収容筒部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外枠(1)に組付けられる合成樹脂成形製
   の前枠(2)の正面側に、遊技球用の上球皿(20)および賞
   球用の下球皿(26)が装備される一方、前枠(2)の正面内
   部に遊技盤(34)がセットされ、前枠(2)の裏側に賞球の
   排出装置(44)および排出経路(45,46)を備えた機構セッ
   ト盤(39)がセットされたパチンコ機にあって、 前記前枠(2)の正面内部に球回収経路(11,12)が成形され
   る一方、前枠(2)の正面内部に成形された支持盤部(3A)
   の略中央部に前記下球皿(26)の皿部(27)と連絡されるセ
   ット口(8)が開設され、このセット口(8)の裏側に向けて
   賞球用の排出収容筒部(61)が一体に突設成形されて、同
   排出収容筒部(61)の開口後面側を、前記球回収経路(11,
   12)および前記機構セット盤(39)における賞球用の排出
   経路(46)に適宜連絡可能にしたことを特徴とするパチン
   コ機における前枠。