JP2558280B2 - 地熱水の処理方法 - Google Patents

地熱水の処理方法

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  • Removal Of Specific Substances (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、地熱水の処理方法に関し、更に詳しくは地
熱水中の主にシリカからなる不溶成分を浮選処理により
分離・除去することからなる地熱水の処理方法に関する
ものである。
[従来の技術] 地下深部の高温蒸気や熱水(以下、地熱水という。)
を利用して得られる地熱エネルギーは、長期的に安定し
たクリーンな資源であり、高温の蒸気は発電に、温水は
空調暖房・温室暖房・農産物加工等に多目的な利用が進
められている。
一方、この地熱水にはナトリウム、カリウム、カルシ
ウム、マグネシウム、鉄等の塩化物、硫酸塩、炭酸塩、
リン酸塩やシリカなど多くの無機物質、特にシリカが多
量に溶解している。地熱水を利用する場合、その利用過
程において、必ず地熱水温度の低下が生じ、高温の地熱
水に溶存していた前記無機物質、特にシリカが多量に析
出し、輸送配管、熱交換器、還元#等にスケールとなっ
て付着し、大きな問題となっている。
このような主にシリカからなるスケール(以下、シリ
カ系不溶成分という。)の配管等への付着を防止する方
法として、 地熱水に酸を添加しpHを低下させる方法。
地熱水にアルミニウム、鉄、カルシウム等の多価金
属化合物を添加し、シリカ系不溶成分を凝集沈澱させる
方法。
地熱水を一旦滞留槽に導入し、シリカ系不溶成分が
十分に凝集沈澱するまで滞留させる方法。
地熱水に界面活性剤、水溶性ポリマー、無機および
有機のリン酸塩、キレート剤等の薬剤を添加して、無機
物質特にシリカの析出を抑制する方法。
地熱水にラウリルアミン塩、タローアミン塩のよう
な長鎖アルキルアミン系のカチオン界面活性剤を添加し
て、シリカ系不溶成分を浮選除去する方法。など多くの
試みがなされている。
しかし、の方法では、pHの低下による配管等の腐食
の問題があった。およびの方法では、凝集沈澱工程
中のエネルギー損失が大きく不経済であった。の方法
では、無機物質の析出を完全に抑えることが難しく十分
な効果が得られていなかった。の方法は、地熱水中に
共存する無機イオンが少ない場合には比較的有効である
が、共存する無機イオンが多い場合には浮選除去効果が
不十分であった。一般に地熱水中には多量の無機イオン
が含まれており、したがって前記カチオン界面活性剤の
添加量を増しても満足な結果が得られず、また最適pHに
コントロールしないと性能が低下するという問題があっ
た。
このように従来の方法では多くの問題があり、経済的
で実用性のある地熱水の処理方法の開発が望まれてい
る。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は上記問題点を解決するものである。
したがって、本発明の目的は、地熱水の利用過程にお
いて地熱水から析出してくるシリカ系不溶成分を効果的
に分離除去し、これらシリカ系不溶成分の配管等への付
着を阻止して、地熱水の利用を円滑にするための地熱水
の処理方法を提供することにある。また、本発明は、地
熱水中に多量の無機イオンが共存していたり、或いは地
熱水のpHを調整する手間を省略した場合でも、特定の共
重合体を地熱水に少量添加するだけですぐれたシリカ系
不溶成分の分離除去効果が達成できる、経済的な地熱水
の処理方法を提供することを目的とするものである。
[問題点を解決するための手段および作用] 本発明は、一般式(I) (ただし式中、R1は水素またはメチル基、Yは−0−ま
たは−NH−、Aは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数
2〜4のヒドロキシアルキレン基またはフェニレン基、
R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアル
キル基または炭素数7〜10のアラルキル基である。) または、一般式(II) (ただし式中、R1は水素またはメチル基、Yは−0−ま
たは−NH−、Aは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数
2〜4のヒドロキシアルキレン基またはフェニレン基、
R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12の
アルキル基または炭素数7〜10のアラルキル基、X
対アニオンである。) で表わせる構造単位(A)の少なくとも一種と 一般式(III) [ただし式中、R5は水素またはメチル基、Zは炭素数6
〜8のアリール基、 (ただしnは2〜4の整数、mは0または1〜20の整
数)、 −O−R6または−O−C−R6であり、R6は炭素数1〜18
のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素
数7〜10のアラルキル基または炭素数6〜18のアリール
基である。] で表わされる構造単位(B)の少なくとも1種とを主構
成単位として含み、かつ構造単位(A)と構造単位
(B)のモル比が2:98〜95:5の範囲である共重合体
(C)を地熱水に添加し、浮選処理して地熱水中のシリ
カ系不溶成分を分離除去することを特徴とする地熱水の
処理方法に関するものである。
一般式(I)および一般式(II)中のAにおけるアル
キレン基として具体例を挙げれば、−CH2−,−CH2CH2
−,−CH2CH2CH2−,−CH2−CH(CH3)−など、ヒドロ
キシアルキレン基としては−CH2CH(OH)CH2−などであ
り、また、R2,R3およびR4におけるアルキル基としては
メチル,エチル,n−プロピル,iso−プロピル,n−ブチ
ル,iso−ブチル,sec−ブチル,2−エチルヘキシル,n−ド
デシル基など、アラルキル基としてはベンジル基,ジメ
チルベンジル基、フェネチル基などである。また、一般
式(II)中のX で表される対アニオンとしては、C
l ,Br ,I ,CH3SO4 ,HSO4 ,CH3COO ,C6H5COO ,CH
3C6H4SO3 などを具体例として挙げることができる。
さらに、一般式(III)中のZにおけるアリール基と
して具体例を挙げれば、フェニル基,メチルフェニル基
などであり、また、Zにおける各有機基中のR6としては
メチル,エチル,n−プロピル,iso−プロピル,n−ブチ
ル,iso−ブチル,sec−ブチル,2−エチルヘキシル,n−ド
デシル基などのアルキル基;シクロヘキシル,ジメチル
シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ベンジル,
ジメチルベンジル,フェネチル基などのアラルキル基;
フェニル,メチルフェニル,ナフチル基などのアリール
基がある。なお、一般式(III)中のCnH2nOなる
原子団はエチレンオキシド,プロピレンオキシド,ブチ
レンオキシドの2価の開環基あるいはそれらのアルキレ
ンオキシドの開環重合体の2価の重合体鎖を示す。
本発明において用いられる共重合体(C)は、前記一
般式(I)または(II)で表わされる構造単位(A)と
前記一般式(III)で表わされる構造単位(B)とを主
構成単位としてなるものであるが、このような共重合体
を得る方法には特に制限はなく、従来公知のあらゆる方
法を使用することができるが、例えば次に示すイまたは
ロの方法などによって得ることができる。
イ 重合することにより一般式(I)または(II)で表
わされる構造単位(A)となるビニル単量体と一般式
(III)で表わされる構造単位(B)となるビニル単量
体とを、必要によりその他の単量体の共存下に共重合す
る方法。
ロ 前記一般式(III)で表わされる構造単位(B)を
含有し、かつアミノエチル化反応などにより前記一般式
(I)または(II)で表わされる構造単位(A)に転換
することが可能な構造単位を有する重合体を、アミノエ
チル化反応、エステル交換反応、アミド交換反応または
マンニッヒ反応により変性する方法。
イの方法における構造単位(A)となるビニル単量体
としては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート,ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート,
ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート,2−ヒド
ロキシジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート,
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド,ジメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド,2−ヒドロキ
シジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど
があり、またこれらの単量体をメチルクロライド,メチ
ルブロマイド,エチルクロライド,エチルブロマイド,
ベンジルクロライド,ベンジルブロマイド,ジメチル硫
酸、ジエチル硫酸などの従来公知の四級化剤と反応させ
て得られる四級化物があり、これらの1種または2種以
上を用いることができる。
構造単位(B)となるビニル単量体としては、例えば
メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレ
ート,n−プロピル(メタ)アクリレート,iso−プロピル
(メタ)アクリレート,n−ブチル(メタ)アクリレー
ト,iso−ブチル(メタ)アクリレート,sec−ブチル(メ
タ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ
ート,n−オクチル(メタ)アクリレート,ドデシル(メ
タ)アクリレート,オクタデシル(メタ)アクリレー
ト,シクロヘキシル(メタ)アクリレート,ベンジル
(メタ)アクリレート,メトキシ(ポリ)プロピレング
リコール(メタ)アクリレート,フェノキシ(ポリ)エ
チレングリコール(メタ)アクレート,ドデシル(メ
タ)アクルアミド,スチレン,p−メチルスチレン,プロ
ピルビニルエーテル,酢酸ビニルなどを挙げることがで
き、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。
ロの方法における変性に供せられる重合体としては、
1)アミノエチル化反応されるものとして前記構造単位
(B)となるビニル単量体と(メタ)アクリル酸との共
重合体、例えばメチル(メタ)アクリレート−(メタ)
アクリル酸共重合体やスチレン−(メタ)アクリル酸共
重合体、2)エステル交換反応されるものとして、例え
ばメチル(メタ)アクリレート重合体やエチル(メタ)
アクリレート重合体等のエステル結合含有重合体、3)
アミド交換反応あるいはマンニッヒ反応されるものとし
て前記構造単位(B)となるビニル単量体と(メタ)ア
クリルアミドの共重合体、例えばメチル(メタ)アクリ
レート−(メタ)アクリルアミド共重合体やスチレン−
(メタ)アクリルアミド共重合体などが挙げられる。
また、共重合体(C)中の構造単位(A)と構造単位
(B)のモル比は、2:98〜95:5、好ましくは5:95〜90:1
0の範囲である。
構造単位(A)の構成比率が2モル%より小さいと、
浮選処理時の地熱水中の無機イオンや地熱水のpHの影響
を受けやすくなり、例えば1000ppm程度の塩素イオン濃
度を有する一般の地熱水やpH8以上の地熱水に対して、
十分なシリカ系不溶成分の分離除去効果が得られない。
逆に構造単位(A)の構成比率が95モル%より大きすぎ
ると、得られる共重合体を地熱水に添加して浮選処理し
た際に、シリカ系不溶成分が完全に浮上しないで地熱水
中に一部残存する結果、十分な分離除去効果が得られな
い。
本発明において用いられる共重合体(C)は、構造単
位(A)と構造単位(B)とを主構成単位とするもので
あるが、構造単位(A)および(B)以外に、本発明の
効果を損なわない範囲、好ましくは共重合体中20重量%
未満の範囲で他の構造単位が含まれていてもよい。この
ような他の構造単位を構成するビニル単量体としては、
(メタ)アクリル酸,(メタ)アクリルアミド,N−メチ
ロール(メタ)アクリルアミド,アクリロニトリルなど
が挙げられる。
共重合体(C)の分子量としては、広い範囲のものが
採用できるが、1,000〜1,000,000、好ましくは2,000〜5
00,000のものが望ましい。
本発明において共重合体(C)を製造するには、例え
ば前記イまたロの方法を採用すればよい。
イの方法においてビニル単量体を共重合体するには、
従来公知の手順に従い、例えばビニル単量体を溶液中で
溶媒重合したりあるいは塊状重合すればよい。また、重
合後に共重合体を酸で中和したり四級化剤により第4級
アンモニウム塩としてから地熱水に添加使用することも
できる。
重合に使用される溶媒としては、例えば水;メチルア
ルコール,エチルアルコール,イソプロピルアルコール
等の低級アルコール;ベンゼン,トルエン,キシレン,
シクロヘキサン,n−ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族
炭化水素;酢酸エチル;アセトン,メチルエチルケトン
等のケトン化合物及び上記溶媒の混合物等が挙げられ
る。また、必要であれば、これらの溶媒は重合中あるい
は重合後に分離除去または他の溶媒と置換することがで
きる。
重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウムや過
硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化ベンゾイル等の過
酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ
化合物が用いられる。
重合温度は、用いられる溶媒や重合開始剤により適宜
定められるが、通常0〜150℃の範囲で行なわれる。
共重合体の中和あるいは四級化は、重合後そのまま、
または他の溶媒と置換後従来公知の剤により行なう。中
和剤としては酢酸,塩酸,硫酸等が挙げられる。また、
四級化剤としては、メチルクロライド,エチルブロマイ
ド,ジメチル硫酸,ベンジルクロライドなどが挙げられ
る。
ロの方法において変性に供せられる重合体は、イの方
法に採用したのと同様の手順によって、対応する単量体
を重合することによって得ることができる。
アミノエチル化反応により変成して本発明の地熱水の
処理に有効な共重合体(C)を得るには、例えば前記し
た構造単位(B)となるビニル単量体と(メタ)アクリ
ル酸との共重合体を好ましくはアルコール等の溶媒中で
エチレンイミンと反応させてアミノエチル化し、必要で
あればさらに中和あるいは四級化を行なえばよい。
また、メチル(メタ)アクリレート重合体等のエステ
ル結合含有重合体は、例えばヒドロキシエチルジメチル
アミン,ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド等と従来公知の方法でエステル交換反応を行なう
ことにより、本発明の地熱水の処理に有効な共重合体
(C)に変性できる。
さらに、構造単位(B)となるビニル単量体と(メ
タ)アクリルアミドの共重合体、例えばスチレン−(メ
タ)アクリルアミド共重合体等は、アミノプロピルジメ
チルアミン,アミノプロピルトリメチルアンモニウムク
ロライド等とのアミド交換反応、あるいはホルマリンと
ジメチルアミンとを作用させるマンニッヒ反応により変
性して本発明の地熱水の処理に有効な共重合体(C)と
することができる。
本発明の方法を実施するには、地熱水に前もって共重
合体(C)を添加し撹拌後に浮選機に供給するか或いは
地熱水と共重合体(C)を同時に浮選機に供給し、泡沫
を導入して地熱水の上層に浮上してきたシリカ系不溶成
分を分離・除去すればよい。
この際、地熱水に添加される共重合体(C)の使用量
は限定されるものではなく、地熱水中に無機物質、特に
シリカの含有量や析出してきた不溶成分の粒度によって
適宜増減することができる。一般に、その使用量は1〜
1,000ppmの範囲である。
また、本発明の方法において、浮選処理の際に通常用
いられる各種起泡剤や捕収剤、酸・アルカリ等のpH調整
剤等を共重合体(C)と併用しても何らさしつかえな
い。
[発明の効果] 本発明の地熱水の処理方法によれば、特定の共重合体
を地熱水に少量添加して浮選処理するという極めて簡単
な操作で、高濃度の無機イオンを含有する地熱水からシ
リカ系不溶成分を高い効率で分離除去することができ
る。
したがって、本発明の方法により処理された地熱水を
地熱発電などに利用すれば、の利用過程において輸送配
管、熱交換器、還元#などにシリカスケールが付着する
ことがなく、地熱エネルギーの利用効果を高めることが
可能となる。
また、本発明の方法では、処理に先立って地熱水のpH
を調整するという煩雑な操作も不要であり、さらに処理
時の地熱水温度が80℃以上という高温でも、何らシリカ
系不溶成分の分離除去効果が損なわれない。
[実施例] 以下、本発明を参考例、実施例および比較例を挙げて
説明するが、もちろん本発明はこれだけに限定されるも
のではない。
参考例1 容量1.5のオートクレーブ(SUS316製)にイソプロ
ピルアルコール(以下、IPAという。)200gを仕込み、
容器内を窒素ガスで置換したのち100℃に昇温した。
このオートクレーブにビニル単量体としてメチルメタ
クリレート80.0g(0.8モル)とジメチルアミノエチルメ
タクリレート125.6g(0.8モル)の混合液を1時間かけ
て供給した。また同時に、重合開始剤として2,2′−ア
ゾビスイソブチロニトリル1.50gをIPA50gに溶解した液
を1.5時間かけて供給した。重合反応開始後2時間で反
応を停止し冷却し、共重合体のIPA溶液を得た。各単量
体の転化率は、ガスクロマトグラフィーで分析した結
果、いずれも99.5%以上であった。
次に、この共重合体のIPA溶液を塩酸水溶液で中和し
てpH6.0とした後、IPAを留去して、共重合体(1)の水
溶液を得た。この共重合体(1)の分子量をGPC法でポ
リエチレングリコールを標品として測定した結果、33,0
00であった。
参考例2 容量1.5のオートクレーブ(SUS316製)にトルエン1
50g、メチルメタクリレート80.0g(0.8モル)、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート125.6g(0.8モル)およ
び2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.30gを仕込み、
容器内を窒素ガスで置換したのち70℃に昇温した。昇温
開始後8時間で反応液の粘度が上昇し撹拌が困難になっ
たので、トルエン75gを追加し、さらに5時間反応させ
て、共重合体のトルエン溶液を得た。各単量体の転化率
はガスクロマトグラフィーで分析した結果、いずれも9
8.5%以上であった。
次に、この共重合体のトルエン溶液を塩酸水溶液で中
和してpH6.0とした後、トルエンを留去して、共重合体
(2)の水溶液を得た。この共重合体(2)の分子量を
GPC法でポリエチレングリコールを標品として測定した
結果、210,000であった。
参考例3 参考例1において、ビニル単量体としてメチルメタク
リレート180.0g(1.8モル)とジメチルアミノエチルメ
タクリレート28.3g(0.18モル)の混合液を使用した以
外は同様の方法で、分子量32,000の共重合体(3)の水
溶液を得た。
参考例4 参考例1において、ビニル単量体としてn−ブチルメ
タクリレート127.8g(0.9モル)とジメチルアミノエチ
ルメタクリレート94.2g(0.6モル)の混合液を使用した
以外は同様の方法で、分子量37,000の共重合体(4)の
水溶液を得た。
参考例5 参考例1において、ビニル単量体としてn−ブチルメ
タクリレート56.8g(0.4モル)とジメチルアミノエチル
メタクリレート188.4g(1.2モル)の混合液を使用した
以外は同様の方法で、分子量40,000の共重合体(5)の
水溶液を得た。
参考例6 参考例1において、ビニル単量体としてn−ブチルメ
タクリレート56.8g(0.4モル)とジメチルアミノエチル
メタクリレート188.4g(1.2モル)の混合液を、また2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル14.0gを使用した以外
は同様の方法で、分子量4,300の共重合体(6)の水溶
液を得た。
参考例7 参考例1において、ビニル単量体としてn−ブチルメ
タクリレート153.6g(1.2モル)とジメチルアミノエチ
ルアクリレート114.4g(0.8モル)の混合液を使用した
以外は同様の方法で、分子量42,000の共重合体(7)の
水溶液を得た。
参考例8 参考例1において、ビニル単量体としてn−ドデシメ
タクリレート101.6g(0.4モル)とジメチルアミノエチ
ルメタクリレート94.2g(0.6モル)の混合液を使用した
以外は同様の方法で、分子量33,000の共重合体(8)の
水溶液を得た。
参考例9 参考例1と同様の方法で重合して得られた共重合体の
IPA溶液にメチルクロライドをバブリングして共重合体
の四級化を行い(四級化率約90%)、その後IPAを水に
置換して、分子量35,000の共重合体(9)の水溶液を得
た。
参考例10 参考例1において、ビニル単量体としてn−ドデシル
ポリエチレングリコールメタクリレート(1分子当り平
均3モルのエチレンオキシド単位を含むもの)154.4g
(0.4モル)とジメチルアミノエチルメタクリレート94.
2g(0.6モル)の混合液を使用した以外は同様の方法
で、分子量40,000の共重合体(10)の水溶液を得た。
参考例11 参考例1において、ビニル単量体としてn−ドデシル
アクリルアミド96.0g(0.4モル)およびジメチルアミノ
エチルメタクリレート94.2g(0.6モル)の混合液を使用
した以外は同様の方法で、分子量32,000の共重合体(1
1)の水溶液を得た。
参考例12 参考例1において、ビニル単量体としてスチレン83.2
g(0.8モル)とジメチルアミノエチルメタクリレート18
8.4g(1.2モル)の混合液を使用した以外は同様の方法
で、分子量42,000の共重合体(12)の水溶液を得た。
参考例13 参考例1において、ビニル単量体としてn−ブチルメ
タクリレート127.8g(0.9モル)とメタクリル酸51.6g
(0.6モル)の混合液を使用した以外は同様の方法で共
重合体のIPA溶液を得た。各単量体の転化率はいずれも9
9.5%以上であった。
次に、この共重合体のIPA溶液を35℃に保ちながら、
そこへエチレンイミン28.4g(0.6モル)を2時間かけて
供給し、さらに75℃に昇温して5時間保持して、共重合
体をアミノエチル化した。なお、得られたアミノエチル
化共重合体の未反応カルボキシル基は8モル%であっ
た。
このアミノエチル化共重合体のIPA溶液を塩酸水溶液
で中和してpH6.0とした後、IPAを留去して、共重合体
(13)の水溶液を得た。この共重合体(13)の分子量を
GPC法で測定した結果、32,000であった。
参考例14 参考例1において、ビニル単量体としてスチレン62.4
g(0.6モル)とアクリルアミド99.4g(1.4モル)の混合
液を用いた以外は同様の方法で、共重合体のIPA溶液を
得た。この溶液よりIPAを留去し、水に置換して10重量
%水溶液としたのち、共重合体のマンニッヒ反応を行な
った。マンニッヒ反応は、得られた共重合体水溶液を水
酸化カルシウムでpH12に調節したのち、37重量%のホル
マリン水溶液114g(1.4モル)を加え、40℃で1時間メ
チロール化反応し、次いで、ジメチルアミンの50重量%
水溶液144g(1.6モル)を加え、さらに40℃で2時間反
応して行った。なお、未反応のアクリルアミドは8モル
%であった。得られたマンニッヒ反応生成物を塩酸水溶
液でpH6.0とし、分子量27,000の共重合体(14)を得
た。
参考例15 参考例1において、ビニル単量体としてジメチルアミ
ノエチルメタクリレート219.8g(1.4モル)を使用した
以外は同様の方法で、分子量36,000の比較用重合体
(1)の水溶液を得た。
実施例1〜14 本発明の処理方法を評価するための合成地熱水を次の
ようにして調製した。
メタケイ酸ナトリウムの9水和物(Na2SiO3・9H2O)4
7.3g(SiO2として1g)、塩化ナトリウム(NaCl)15g、
塩化カリウム(KCl)2gおよび硫酸ナトリウム(Na2S
O4)0.5gをイオン交換水500gに溶解し塩酸水溶液でpHを
7.0とした。次いでこの溶液に、塩化カルシウム(CaC
l2)1.5gおよび塩化マグネシウム(MgCl2)0.02gを100g
のイオン交換水に溶解した溶液を加え、塩酸水溶液でpH
6.5とした後、イオン交換水で希釈して全量を1000gと
し、合成地熱水とした。
この合成地熱水を80℃に1時間維持した後、これに参
考例1〜14で得られた共重合体(1)〜(14)の水溶液
をそれぞれ共重合体(1)〜(14)が100ppmとなるよう
に添加して被処理液とした。この被処理液を直ちに浮選
機に供給し、被処理液の液温を80℃に保ちながら5分間
空気を導入し、被処理液の上層に浮上してきた重合シリ
カを分離・除去した。
浮選後の被処理液中の全シリカ(SiO2)量および浮選
後に被処理液を0.45ミクロンのメンブランフィルターで
瀘過して得た瀘液中の溶解シリカをモリブデンイエロー
法により定量し、全シリカ濃度と溶解シリカ濃度との差
から浮選後の被処理液中に残留する重合シリカ量を測定
した。残留する重合シリカ量の測定結果を第1表に示し
た。この値が小さいほど地熱水の処理効果が高いことを
示している。
比較例1〜3 実施例1〜14において、共重合体(1)〜(14)の替
りに参考例15で得られた比較用重合体(1)、ラウリル
アミン塩酸塩およびタローアミン塩酸塩を100ppmとなる
ように使用する以外は同様の方法で処理を行い、処理効
果を評価した。残留する重合シリカ量の測定結果を第1
表に示した。
第1表より明らかなように、本発明の処理方法は、地
熱水中に高濃度の塩類が共存し、かつ高温の地熱水であ
っても、従来の長鎖アルキルアミン塩酸塩あるいはジメ
チルアミノエチルメタクリレートのホモ重合体である比
較用重合体(1)を用いた処理方法に比べ、シリカ系不
溶成分の分離除去効果が各段にすぐれていることがわか
る。
実施例15 実施例1と同様にして共重合体(1)を用いて得られ
た80℃の浮選後の被処理液約800mlを、外とう部に50℃
の温水が流通しているリービッヒ型冷却管からなる熱交
換器内に導き、5ml/分の流量で熱交換器内を流下させ
た。被処理液の流下後に、被処理液が接していた熱交換
器壁面を観察したところ、汚れなどの異常は全く認めら
れなかった。
比較例4 実施例15において、熱交換器内を流下させる液として
比較例1と同様にして比較用重合体(1)を用いて得ら
れた80℃の浮選後の被処理液を使用する以外は、同様の
操作を行い、熱交換器壁面の汚れを観察した。その結
果、被処理液が接していた熱交換器壁面の全面にわたっ
て白色固体の析出が認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 220/60 MNH C08F 220/60 MNH 290/06 MRS 290/06 MRS (72)発明者 穂積 義幸 川崎市川崎区千鳥町14番1号 日本触媒 化学工業株式会社川崎研究所内 (72)発明者 渡辺 文雄 川崎市川崎区千鳥町14番1号 日本触媒 化学工業株式会社川崎研究所内 (56)参考文献 特開 昭55−162362(JP,A) 特開 昭58−55065(JP,A) 特開 昭62−289250(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (ただし式中、R1は水素またはメチル基、Yは−0−ま
    たは−NH−、Aは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数
    2〜4のヒドロキシアルキレン基またはフェニレン基、
    R2およびR3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアル
    キル基または炭素数7〜10のアラルキル基である。) または、一般式(II) (ただし式中、R1は水素またはメチル基、Yは−0−ま
    たは−NH−、Aは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数
    2〜4のヒドロキシアルキレン基またはフェニレン基、
    R2,R3およびR4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12の
    アルキル基または炭素数7〜10のアラルキル基、X
    対アニオンである。) で表わされる構造単位(A)の少なくとも一種と 一般式(III) [ただし式中、R5は水素またはメチル基、Zは炭素数6
    〜8のアリール基、 (ただしnは2〜4の整数、mは0または1〜20の整
    数)、 −O−R6または−O−C−R6であり、R6は炭素数1〜18
    のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素
    数7〜10のアラルキル基または炭素数6〜18のアリール
    基である。] で表わされる構造単位(B)の少なくとも1種とを主構
    成単位として含み、かつ構造単位(A)と構造単位
    (B)のモル比が2:98〜95:5の範囲である共重合体
    (C)を地熱水に添加し、浮選処理して地熱水中のシリ
    カ系不溶成分を分離除去することを特徴とする地熱水の
    処理方法。
  2. 【請求項2】構造単位(A)と構造単位(B)との合計
    量の共重合体(C)中の構成比率が80重量%以上である
    特許請求の範囲第1項記載の地熱水の処理方法。
  3. 【請求項3】共重合体(C)の分子量が1,000〜1,000,0
    00である特許請求の範囲第1項記載の地熱水の処理方
    法。
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