JP2557984Y2 - はんだ付け装置の不活性ガス雰囲気形成装置 - Google Patents

はんだ付け装置の不活性ガス雰囲気形成装置

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JP2557984Y2
JP2557984Y2 JP7035093U JP7035093U JP2557984Y2 JP 2557984 Y2 JP2557984 Y2 JP 2557984Y2 JP 7035093 U JP7035093 U JP 7035093U JP 7035093 U JP7035093 U JP 7035093U JP 2557984 Y2 JP2557984 Y2 JP 2557984Y2
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義昭 橘
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、はんだ槽近傍のはんだ
付けプロセス環境のみに低酸素濃度の不活性ガス雰囲気
を形成するはんだ付け装置のガス雰囲気形成装置に関す
るもので、特に、チャンバの容積が小さいにもかかわら
ず雰囲気封止性を高くしたものである。
【0002】
【従来の技術】窒素(N2 )等の不活性ガス雰囲気中で
はんだ付けを行う装置としては、例えば、本出願人によ
る特願平4−353879号に記載されているように、
予備加熱器およびはんだ槽をトンネル状のチャンバで覆
うとともに、さらに、トンネル状チャンバを配線基板の
搬送路に沿って延長して設けた構成としたものがある。
そして、チャンバの下側および上側の内面には、配線基
板の搬送方向と交差する方向で、かつ配線基板の搬送路
へ向けて複数枚の仕切板を設け、いわゆるラビリンス
(labyrinth )流路を形成している。
【0003】このラビリンス流路は、トンネル状のチャ
ンバは管路を形成するので、流体の流通に対して管路の
断面積と長さ等で決まる流通抵抗と、ラビリンス流路固
有の流通抵抗とを有している。したがって、チャンバ内
に供給された不活性ガスがチャンバの外へ流出し難くな
るとともに、チャンバの外の大気がチャンバ内へ流入し
難くなる。その結果、チャンバ内のはんだ付けプロセス
の環境を低酸素濃度の不活性ガス雰囲気に保持すること
を可能としている。
【0004】また、上記出願には、不活性ガスの供給位
置や不活性ガスの供給・噴出方向が重要であることと、
それらの最適技術を特有のチャンバ構造として実現した
ことが開示されている。
【0005】すなわち、配線基板のはんだ付けが終了す
る位置から配線基板の搬送方向に対して後方の位置に不
活性ガスを供給するノズルを設け、その際にノズルはラ
ビリンス流路を形成する複数枚の仕切板の間に設けた構
成とし、不活性ガスが仕切板相互の間から配線基板の搬
送路へ向かって噴出する方向を、配線基板の搬送方向と
は逆方向となるように構成している。
【0006】ところで、配線基板の搬送にともなってチ
ャンバ内の雰囲気は、配線基板や搬送コンベア、または
配線基板を装着したキャリア等の走行方向へ誘引されて
チャンバ外へ引き出される方向へ流動する。そこで、不
活性ガスの噴出方向を配線基板の搬送方向とは逆方向と
なるように構成することで、そのような流出方向の雰囲
気流動を抑制し、雰囲気封止性を高めるようにしてい
る。
【0007】また、いわゆる無洗浄フラックスや水溶性
フラックス等の開発が急速度に進み、はんだ付け後の残
渣が極めて少ないフラックスや、水で容易に洗浄可能な
フラックス、あるいは、はんだ付け後の残渣が高分子樹
脂膜に変化するフラックス等が実用段階に達し、はんだ
付け工程のみを低酸素濃度の不活性ガス雰囲気に保持す
るだけで、良好なはんだ付け特性を確保しつつ配線基板
のフロン洗浄が不要となりつつある。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】ところで、低酸素濃度
の不活性ガス雰囲気中ではんだ付けを行う目的は、少量
のフラックスで良好なはんだ付け特性を確保することが
でき、はんだ付け作業後に配線基板を洗浄する必要がな
いからであり、また、はんだ融液の表面張力が低下する
ことで、いわゆるマイクロソルダリングを実現する上で
の必須の環境が得られるためである。
【0009】このようなはんだ付けプロセスの環境を実
現する上では、従来技術の技術思想に顕現されているよ
うに、配線基板の加熱を行う工程全体を不活性ガス雰囲
気にすることが最も望ましい。すなわち、予備加熱工程
およびはんだ付け工程を含めて低酸素濃度の不活性ガス
雰囲気に保持することが望ましい。
【0010】しかしながら、はんだ付け装置を上記のよ
うな低酸素濃度の不活性ガス雰囲気にすることは大規模
のチャンバが必要となり、このことがはんだ付け装置の
部品および製造コストを押し上げ、装置価格を高騰させ
ることになる。すなわち、不活性ガス雰囲気中でのはん
だ付け工程を実現するためには、従来から使用されてき
たはんだ付け装置を廃棄して新たに高額の設備投資を行
う必要があるという問題点があった。
【0011】一方、大気中ではんだ付けを行うはんだ付
け装置は装置価格は低廉であるが、はんだ融液が酸化す
る際に鉛が大気中に拡散し、鉛公害の原因となるという
問題点があった。
【0012】本考案は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、はんだ槽のはんだ融液で配線基板には
んだ付けを行う領域に封止性の高いチャンバを設けて不
活性ガスの雰囲気を保持することにより、はんだ付け装
置の低コスト化と、はんだ融液の酸化を防止して鉛公害
の発生を抑えたはんだ付け装置の不活性ガス雰囲気形成
装置を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本考案にかかるはんだ付
け装置の不活性ガス雰囲気形成装置は、チャンバの出口
側に、前記チャンバ内に不活性ガスを供給する不活性ガ
ス供給室が形成され、この不活性ガス供給室内に前記搬
送コンベアに対して前記チャンバの上部側と下部側に前
記配線基板の搬送方向と交差する方向で前記搬送コンベ
アに向けて突出する断面U字状の口筐がその開口方向を
回動自在にして設けられ、前記口筐の内部に前記不活性
ガスを噴出するノズルが設けられ、さらに、前記チャン
バ内の前記はんだ槽の領域の上側内壁に前記配線基板の
搬送方向と交差する方向に板面が並び、かつ前記搬送コ
ンベアに向けて突出する方向に複数枚の抑止板が並設さ
れているものである。
【0014】また、はんだ槽の領域に設けられた抑止板
が回動可能に設けられたものである。
【0015】また、チャンバは、その入口および出口の
少なくとも一方に配線基板の搬送方向と交差する方向に
板面が並び、かつ搬送コンベアに向けて突出する方向に
複数枚の抑止板が並設されたものである。
【0016】さらに、チャンバは、搬送コンベアに対し
て上側チャンバと下側チャンバとに分割可能に形成され
たものである。
【0017】
【作用】本考案においては、不活性ガス供給室内の口筐
のノズルから不活性ガスを配線基板の搬送方向と逆方向
に噴出し、はんだ槽領域に設けた抑止板によりはんだ槽
領域における不活性ガス雰囲気の封止性を向上させるこ
とができる。
【0018】また、はんだ槽領域の抑止板が回動可能で
あるため、チャンバ内の不活性ガス雰囲気の流動状態を
最適状態に調整することができる。
【0019】また、チャンバの入口または出口に抑止板
が並設されているので、いわゆるラビリンス流路が形成
されるので、チャンバ内の不活性ガスの流出と、外気が
チャンバ内に流入するのを抑止することができる。
【0020】また、チャンバを分割して上側チャンバと
下側チャンバに形成したことにより、チャンバの取付工
事とメンテナンスが容易にできる。
【0021】
【実施例】図1は本考案の第1の実施例を示す側断面図
で、はんだ付け装置のはんだ槽部分のみを示し、予備加
熱装置やフラックス装置等は省略してある。この図にお
いて、1は配線基板、2は前記配線基板1を矢印A方向
に搬送する搬送コンベア、3ははんだ槽で、はんだ融液
4が収容され、はんだ融液4を噴流する1次噴流槽5と
2次噴流槽6が設けられている。なお、はんだ融液4を
噴流せしめる羽根車,モータ等の加圧装置や加熱用のヒ
ータ等の図示は省略してある。7はチャンバで、はんだ
槽3の領域を窒素(N2 )等の不活性ガスによる低酸素
濃度の雰囲気に保持するものであって、上側チャンバ7
Aと下側チャンバ7Bとからなり、かつ搬送コンベア2
が貫通し、配線基板1が搬入,搬出される入口8と出口
9が形成されている。10は前記はんだ融液4の液面を
封止してチャンバ7内を不活性ガス雰囲気に保持するた
めのスカート部で、はんだ融液4に浸漬されている。1
1は前記チャンバ7の入口8側の上側チャンバ7Aと下
側チャンバ7Bとにそれぞれ固定され、ラビリンス流路
を形成した複数枚の抑止板で、板状部材からなり、配線
基板1の搬送方向(矢印A方向)と交差する方向に板面
が並び、かつ搬送コンベア2に向けて突出する方向に設
けられている。12は前記チャンバ7の出口9側に形成
された不活性ガス供給室で、不活性ガスを供給する断面
がU字状をして、一方が開口した口筐13がチャンバ7
の上側チャンバ7Aと下側チャンバ7Bの壁体にそれぞ
れ開口部分と反対側の外側が密接して設けられている。
14は前記口筐13内に設けられたノズルで、パイプに
より形成され、不活性ガスを噴出するもので、口筐13
とノズル14は後に詳細に説明するが同一軸心を中心と
してそれぞれ別個に回動可能としてある。15は前記は
んだ槽3の領域にあって、上側チャンバ7Aに所定の間
隔で複数枚設けられた回動可能の抑止板で、板状部材か
らなり、配線基板1の搬送方向(矢印A方向)と交差す
る方向に板面が並んで設けられている。16は回動軸
で、前記抑止板15と一体に形成され、上側チャンバ7
Aの壁面に回動可能に支持されている。
【0022】なお、図1では、はんだ槽3には1次噴流
槽5と2次噴流槽6を設けた例を示したが、1次噴流槽
5または2次噴流槽6のいずれか1つであっても良く、
さらに、フローディップ槽のみであっても良い。また、
搬送コンベア2はキャリアレス式またはキャリア式のい
ずれであっても良い。
【0023】図2は図1のI−I線による断面図、図3
は図1の口筐13の詳細を拡大して示す斜視図で、図1
において例示する4つの口筐13のうちの1つを示す。
これらの図において、図1と同一符号は同一部分を示
す。なお、図2では、一例として配線基板1の保持爪1
7を備えたキャリアレス型の搬送コンベア2を装備した
搬送装置18を示している。すなわち、チャンバ7は搬
送コンベア2を挟んで上側チャンバ7Aと下側チャンバ
7Bとに分割可能な構造であり、口筐13に固着された
中空の口筐用支軸21を挿通する口筐用軸受22が上側
チャンバ7Aおよび下側チャンバ7Bとにそれぞれ固着
されている。そして口筐用軸受22には口筐13の回動
方向を調節した後、口筐用支軸21を固定するつまみ付
きの固定ネジ23を設けてある。
【0024】口筐13は断面形状がU字状、つまり開口
形状が長方形であり、開口部24の長手方向は搬送コン
ベア2に交差する矢印A方向で、かつ矢印A方向へ向け
て配設する構造のものである。また、図3からも判るよ
うに、口筐13は垂直断面は「U」字状の形状で、口筐
13の底部には不活性ガスを供給するパイプ形のノズル
14が設けられ、不活性ガスを噴出する噴出孔25が形
成されている。そして、ノズル14は中空の口筐用支軸
21を挿通する構造で保持する構成である。なお、口筐
用支軸21にはノズル14の回動方向を調節し固定する
つまみ付きの固定ネジ26を設けてある。
【0025】また、口筐13のチャンバ7への組み立て
を容易にするために、口筐用支軸21を口筐13へ固着
するためにねじ込み、あるいはフランジ付としてこのフ
ランジをビスやナットで開口部24側から固定するよう
にするとよい。口筐用軸受22のチャンバ7への取り付
けも同様に取り外しできるようにしておくのがよい。
【0026】図4は図1の抑止板15の回動機構を示す
斜視図で、図1と同一符号は同一部分を示し、抑止板1
5を固着した回動軸16は上側チャンバ7Aに設けた軸
受27に回動可能に支軸され、回動軸16は上側チャン
バ7Aの上壁内面に密接している構造である。他方、回
動軸16と抑止板15は、回動軸16の長手方向に延長
された部分が折り曲げられて形成された操作レバー28
を回動させることによってその方向を可変・調節するこ
とができる。なお、抑止板15の軸受27には、回動軸
16と抑止板15の方向を調節した後、固定するつまみ
付きの固定ねじ29を設けてある。なお、組み立てに際
しては、例えば、回動軸16を軸受27に挿通後、回動
軸16に抑止板15をビス等(図示せず)で固定すれば
よい。
【0027】次に、動作について説明する。
【0028】図1は抑止板15および口筐13の第1の
調節例を示してある。
【0029】すなわち、4個の口筐13はそれぞれ上下
対称に配線基板1の搬送方向(矢印A方向)とは逆方向
のはんだ槽3側を向き、それぞれの方向も同一に揃えて
いる。一方、回動可能の抑止板15は、入口8側の2枚
が配線基板1の搬送方向(矢印A方向)に対して垂直の
方向へ向き、他の4枚はやや入口8側方向へ向くように
調節してある。
【0030】以上のように調節することによって、口筐
13から噴出した不活性ガスは搬送コンベア2に沿って
その搬送方向(矢印A方向)とは逆方向へ流れる層流を
形成し、2次噴流槽6から1次噴流槽5に到達し、配線
基板1とはんだ融液4が接触する領域に、低酸素濃度の
不活性ガス雰囲気を形成する。そして、1次噴流槽5か
ら入口8側へ流れる不活性ガスの層流は、前記垂直方向
に向いている2枚の抑止板15により減速され、さら
に、入口8側のラビリンス流路を形成する抑止板11に
よって封止され、チャンバ7内の不活性ガスの流出と、
外気がチャンバ7内に流入するのが防止される。
【0031】なお、搬送コンベア2の搬送速度がさらに
速くなった場合には、口筐13の方向を、さらに回動し
てチャンバ7の内側のはんだ槽3側へ向くように調節す
れば、搬送コンベア2や配線基板1による不活性ガスの
雰囲気の引き出しを抑制して平衡し、不活性ガス雰囲気
の封止性を高水準に保持することができる。
【0032】また、ノズル14からの不活性ガス噴出量
および噴出速度、さらに口筐13からの不活性ガス噴出
量および噴出速度によっても、口筐13の最適方向およ
び抑止板15の最適方向も変わる。要するに、配線基板
1にはんだ融液4が接触する領域に低酸素濃度の不活性
ガス雰囲気を形成しつつ、チャンバ7内の不活性ガス雰
囲気がチャンバ7の外へ流出する量と、チャンバ7外の
大気がチャンバ7内へ流入する量とが最小となる平衡点
を求めるようにすればよいのである。
【0033】図5は、図1の実施例の第2の調節例を示
す図で、図1と同一符号は同一部分を示す。
【0034】第2の調節例が第1の調節例と相違する点
は、出口9側の口筐13の方向がやや搬送コンベア2寄
りに向いている点である。
【0035】したがって、出口9側の口筐13から噴出
する不活性ガスは、その一部がチャンバ7の出口9側へ
流れるようになり、出口9からの大気の流入抑制力を高
めることができる。そのため、はんだ槽3側の口筐13
から噴出する不活性ガスの噴出量(噴出速度)を増加し
て、配線基板1とはんだ融液4とが接触する領域への不
活性ガス層流の供給量を第1の調節例と同水準に維持す
ることが望ましい。これによって、チャンバ7の出口9
側および入口8側の雰囲気封止性を一層高めることがで
きる。
【0036】図6は、図1の実施例の第3の調節例を示
す図で、図1と同一符号は同一部分を示す。
【0037】第3の調節例が第1の調節例と相違する点
は、回動可能な抑止板15の方向を順次に変えている点
である。
【0038】したがって、口筐13から噴出して層流を
形成する不活性ガスは、1次噴流槽5と2次噴流槽6の
噴流波に到達しつつ順次に減速し、最終的に入口8側の
抑止板11のラビリンス流路によって封止される。この
ような調節例は、配線基板1に大型の部品が搭載されて
いる場合に有効である。
【0039】すなわち、大型部品はチャンバ7内の雰囲
気を外部へ引き出し易いので、2次噴流槽6の領域にお
ける層流速度を高めて置くことにより、1次噴流槽5の
領域へも十分な不活性ガスを供給し、低酸素濃度の不活
性ガス雰囲気を形成することを可能としている。また、
雰囲気を封止するための平衡点も最適化される。
【0040】図7は、図1の実施例の第4の調節例を示
す図で、図1と同一符号は同一部分を示す。
【0041】第4の調節例が第1の調節例と相違する点
は、回動可能な抑止板15の方向を全て搬送コンベア2
に対して垂直方向に向け、はんだ槽3側の口筐13は搬
送コンベア2の方向に対向するように向け、出口9側の
口筐13は配線基板1の搬送方向(矢印A方向)とは逆
方向を向けた点である。
【0042】このような調節例は、配線基板1の搬送速
度が一般的な搬送速度(例えば、1m/分)よりも相対
的に遅い場合(例えば、0.6m/分)や配線基板1の
プリヒート(図示せず)の温度が一般的な温度(例え
ば、80〜120℃)よりも相対的に高い場合(例え
ば、150℃)、はんだ融液4の温度が一般的な温度
(例えば、250℃)よりも相対的に高い場合(例え
ば、350℃)、等のときに有効である。すなわち、抑
止板15によって雰囲気の熱対流抑制力が大きくなるか
らである。また、はんだ槽3側の口筐13の熱対流抑制
力も増大するので、総体として雰囲気封止性を良好に保
つことができる。
【0043】そしてこの場合、はんだ槽3側の口筐13
から噴出する不活性ガスの噴出量(噴出速度)を相対的
に小さく、出口9側の口筐13から噴出する不活性ガス
の噴出量(噴出速度)を相対的に大きくすることによっ
て、各噴流槽5,6へ向かって流れる不活性ガスの層流
は第1の調節例と同一水準に保持することができる。
【0044】図8(a)〜(d)は、ノズル14の方向
に対する口筐13の指向性の例を示す側断面図で、ノズ
ル14の噴出孔25から噴出する不活性ガスの噴出方向
を調節した際の、口筐13から噴出する不活性ガスの指
向性を説明するものである。なお、不活性ガスの指向性
を噴出速度分布で示している。
【0045】図8(a)は、ノズル14の噴出孔25が
口筐13の開口部24の方向へ向いている例であり、こ
の場合は、放射状の指向性を示す。
【0046】図8(b)は、ノズル14の噴出孔25が
口筐13の底部方向へ向いている例であり、この場合
は、口筐13の両側部に指向性を示す。
【0047】図8(c)は、ノズル14の噴出孔25が
口筐13の開口方向へ斜めに向いている例であり、この
場合は、噴出孔25側の口筐13の側面部に指向性を示
す。
【0048】図8(d)は、ノズル14の噴出孔25が
口筐13の底部方向で斜めに向いている例であり、この
場合は、噴出孔25側の口筐13の側面部にやや指向性
を示し、他方の側部には強い指向性は示さない。
【0049】このように、ノズル14の不活性ガス噴出
方向を調節することによって、口筐13から噴出する不
活性ガスの指向性を可変することができる。そのため、
口筐13の方向調節と併せて不活性ガス噴出指向性を調
節することにより、層流形成と封止性を調節し、選択す
ることができるようになる。
【0050】例えば、図1の第1の調節例および図6の
第3の調節例においては、はんだ槽3側の口筐13の指
向性に図8(c)を選択し、出口9側の口筐13の指向
性に図8(a)を選択すれば、はんだ槽3側の口筐13
から噴出する不活性ガスの流れが出口9側の口筐13か
ら噴出する不活性ガスの流れを加速させるように作用
し、良好な層流を形成することができる。
【0051】また、図5の第2の調節例においては、は
んだ槽3側の口筐13の指向性に図8(c)を選択し、
出口9側の口筐13の指向性に図8(b)を選択すれ
ば、図8(b)の指向性は2つのピークを有するので、
出口9側の口筐13から噴出する不活性ガスの一方のピ
ークははんだ槽3側の口筐13から噴出する不活性ガス
の流れを加速し、他方のピークはチャンバ7の出口9に
封止性を与えることができる。
【0052】図7の第4の調節例においては、はんだ槽
3側の口筐13の指向性に図8(b)を選択し、出口9
側の口筐13の指向性に図8(c)を選択すれば、はん
だ槽3側の口筐13においては指向性の2つのピークが
2重のガスカーテンを形成するように作動し、出口9側
の口筐13から噴出する不活性ガスによって層流を形成
することができる。
【0053】なお、図8(d)の口筐13の指向性は、
図8(b)の2つのピークの相対比を可変した関係にあ
る。そのため、第2の調節例の出口9側の口筐13や第
4の調節例のはんだ槽3側の口筐13の指向性を僅かに
調節する際に有効である。
【0054】以上のような第1の調節例〜第4の調節例
および図8(a)〜(d)に例示する調節例は、調節例
の一例を示しただけであり、結論的には、配線基板1の
搬送速度やプリヒート温度、配線基板1に搭載された部
品形状と大きさ、はんだ融液4の温度、等々のはんだ付
けプロセス環境のパラメータの変化に対応して、不活性
ガス供給室12から各噴流槽5,6のはんだ融液4と配
線基板1とが接触する領域への不活性ガスの層流形成と
供給、チャンバ7の雰囲気封止性とが最適となるように
調節すればよい。
【0055】図9は、本考案の第2の実施例を示す側断
面図である。
【0056】すなわち、図1の第1の実施例と相違する
点は、チャンバ7の入口8に搬送コンベア2を挟んで形
成した図1の抑止板11によるラビリンス流路を備えて
いない点である。このような構成は、チャンバ7の入口
8の開口面積が小さい場合に有効である。すなわち、配
線基板1に搭載される部品の大きさ(特に高さ)が小さ
い場合には、このような構成の雰囲気形成装置で十分で
ある。ちなみに、表面実装部品で構成される配線基板1
が一般化している今日の状況がこれに当たる。
【0057】図10は、本考案の第3の実施例を示す側
断面図である。
【0058】すなわち、図1の第1の実施例と相違する
点は、チャンバ7の入口8には搬送コンベア2を挟んで
形成した図1の抑止板11によるラビリンス流路を備え
ていないが、チャンバ7の出口9に搬送コンベア2を挟
んで形成した抑止板11によるラビリンス流路を備えて
いる点である。
【0059】このような構成は、配線基板1の搬送速度
が速い場合に有効である。すなわち、配線基板1や搬送
コンベア2により不活性ガスがチャンバ7から流出する
のを大幅に抑制することができるからである。
【0060】なお、この第3の実施例において、チャン
バ7の入口8側にも搬送コンベア2を挟んで形成した抑
止板11によるラビリンス流路を備えた構成とすること
もできる。これにより大気がチャンバ7内へ流入するの
を大幅に抑制することができるようになる。
【0061】図11は、本考案の第4の実施例を示す側
断面図である。
【0062】すなわち、図1の第1の実施例と相違する
点は、はんだ融液4と配線基板1とを接触させる領域の
上方のチャンバ7の壁に設けた抑止板31が回動しない
構成である点である。つまり、抑止板31をチャンバ7
に直接固定するか、あるいは図1の回動軸16が回動し
ないように固定されているものである。
【0063】配線基板1の搬送速度やプリヒート温度、
配線基板1に搭載される部品の大きさ、溶融はんだの温
度、等に極端な変化がない場合はこのような構成で十分
である。
【0064】本考案は、以上のような第1の実施例〜第
4の実施例を組み合わせて構成できることは、当然であ
る。すなわち、はんだ付けプロセス環境に合わせた最適
構成を選択すればよい。
【0065】
【考案の効果】以上説明したように本考案は、チャンバ
の出口側に、前記チャンバ内に不活性ガスを供給する不
活性ガス供給室が形成され、この不活性ガス供給室内に
前記搬送コンベアに対して前記チャンバの上部側と下部
側に前記配線基板の搬送方向と交差する方向で前記搬送
コンベアに向けて突出する断面U字状の口筐がその開口
方向を回動自在に設けられ、前記口筐の内部に前記不活
性ガスを噴出するノズルがその噴出方向を可変として設
けられ、さらに、前記チャンバ内の前記はんだ槽の領域
の上側内壁に前記配線基板の搬送方向と交差する方向に
板面が並び、かつ前記搬送コンベアに向けて突出する方
向に複数枚の抑止板が並設されているので、口筐の開口
方向とノズルの噴出方向とを調整することで不活性ガス
の層流形成と供給、ならびにチャンバの雰囲気封止性と
を最適に選ぶことができるため、はんだ槽領域における
不活性ガス雰囲気を安定に保持でき、そのためチャンバ
全体を小さくできるため、はんだ付け装置の低コスト化
と在来のはんだ付け装置への適用が可能となる。さら
に、はんだ融液の酸化が防止できるので、鉛公害の発生
を抑制し、正常なはんだ付けの環境を実現できる利点を
有する。
【0066】また、はんだ槽の領域に設けられた抑止板
が回動可能に設けられたので、チャンバ内の不活性ガス
雰囲気の流動状態を容易に調整が容易にできる利点を有
する。
【0067】また、チャンバは、その入口および出口の
少なくとも一方に配線基板の搬送方向と交差する方向
で、かつ搬送コンベアに向けて突出する方向に固定され
た複数枚の抑止板が形成されたので、チャンバ内の不活
性ガスの流出とチャンバ内の外気が流入するのを防止で
きチャンバ内の封止性を一層高く保持できる利点を有す
る。
【0068】さらに、チャンバは、搬送コンベアに対し
て上側チャンバと下側チャンバとに分割可能に形成され
たので、チャンバの取付工事とメンテナンスが容易で、
経費が節減できる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案にかかるはんだ付け装置の不活性ガス雰
囲気形成装置の第1の実施例を示す側断面図である。
【図2】図1の実施例のI−I線による断面図である。
【図3】図1の実施例の口筐の詳細を拡大して示す斜視
図である。
【図4】図1の実施例の抑止板の回動機構を示す斜視図
である。
【図5】図1の実施例の第2の調節例を説明するための
面図である。
【図6】図1の実施例の第3の調節例を説明するための
面図である。
【図7】図1の実施例の第4の調節例を説明するための
面図である。
【図8】図1の実施例のノズルの方向と口筐の指向性の
例を示す側断面図である。
【図9】本考案にかかるはんだ付け装置の不活性ガス雰
囲気形成装置の第2の実施例を示す側断面図である。
【図10】本考案にかかるはんだ付け装置の不活性ガス
雰囲気形成装置の第3の実施例を示す側断面図である。
【図11】本考案にかかるはんだ付け装置の不活性ガス
雰囲気形成装置の第4の実施例を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 配線基板 2 搬送コンベア 3 はんだ槽 4 はんだ融液 7 チャンバ 7A 上側チャンバ 7B 下側チャンバ 8 入口 9 出口 11 抑止板 12 不活性ガス供給室 13 口筐 14 ノズル 15 抑止板 16 回動軸 24 開口部

Claims (4)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 搬送コンベアで搬送される配線基板には
    んだ付けを行うはんだ槽の領域を不活性ガスの雰囲気に
    保持するチャンバを備えたはんだ付け装置の不活性ガス
    雰囲気形成装置であって、 前記チャンバの出口側に、前記チャンバ内に不活性ガス
    を供給する不活性ガス供給室が形成され、この不活性ガ
    ス供給室内に前記搬送コンベアに対して前記チャンバの
    上部側と下部側に前記配線基板の搬送方向と交差する方
    向で前記搬送コンベアに向けて突出する断面U字状の口
    筐がその開口方向を回動自在にして設けられ、前記口筐
    の内部に前記不活性ガスを噴出するノズルがその噴出方
    向を可変として設けられ、さらに、前記チャンバ内の前
    記はんだ槽の領域の上側内壁に前記配線基板の搬送方向
    と交差する方向に板面が並び、かつ前記搬送コンベアに
    向けて突出する方向に複数枚の抑止板が並設されている
    ことを特徴とするはんだ付け装置の不活性ガス雰囲気形
    成装置。
  2. 【請求項2】 はんだ槽の領域に設けられた抑止板が回
    動可能に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の
    はんだ付け装置の不活性ガス雰囲気形成装置。
  3. 【請求項3】 チャンバは、その入口および出口の少な
    くとも一方に配線基板の搬送方向と交差する方向に板面
    が並び、かつ搬送コンベアに向けて突出する方向に複数
    枚の抑止板が並設されたことを特徴とする請求項1また
    は2記載のはんだ付け装置の不活性ガス雰囲気形成装
    置。
  4. 【請求項4】 チャンバは、搬送コンベアに対して上側
    チャンバと下側チャンバとに分割可能に形成されたこと
    を特徴とする請求項1及至3のいずれかに記載のはんだ
    付け装置の不活性ガス雰囲気形成装置。
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