JP2557748B2 - ポジ型レジスト材料 - Google Patents

ポジ型レジスト材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子線やX線等の高エ
ネルギー線に対して高い感度を有し、非常に解像性の良
いパタンを形成することができる、微細加工技術に適し
たアルカリ現像型のポジ型レジスト材料に関する。
【0002】
【従来の技術】LSIの高集積化と高速度化に伴い、パ
タンルールの微細化が求められているが、現在汎用技術
として用いられている光露光では、光源の波長に由来す
る本質的な解像度の限界に近付きつつある。g線(43
6nm)若しくはi線(365nm)を光源とする光露光で
は、おおよそ0.5μmのパタンルールが限界とされて
おり、これを用いて製作したLSIの集積度は、16M
ビットDRAM相当までとなる。しかし、LSIの試作
は既にこの段階にまできており、更なる微細化技術の開
発が急務となっている。このような背景により、次世代
の微細加工技術としてX線リソグラフィが有望視されて
いる。X線リソグラフィは、0.2〜0.3μmの加工
も可能であり、近接効果の影響が小さいために単層レジ
ストでも、基板に対して垂直に近い側壁を有するパタン
の形成が可能である。また、一括にパタンを転写するこ
とができるために、電子線リソグラフィよりもスループ
ットの点で有利である。近年、X線の光源として高輝度
なシンクロトロン光(SR光)を利用する段になり、従
来よりもX線強度が1桁以上強くなったが、量産技術と
して用いられるには、まだまだスループットが低く、そ
のために、高感度なレジスト材料が要望されている。
【0003】近年開発された、酸を触媒として化学増幅
( chemicalamplification )を行うレジスト材料〔例え
ば、リュー(Liu) ら、ジャーナル オブ バキューム
サイエンス アンド テクノロジー(J.Vac. Sci. Te
chnol.) 、第B6巻、第379頁(1988)〕は、従
来の高感度レジストと同等以上の感度を有し、しかも解
像性が高く、ドライエッチング耐性も高い、優れた特徴
を有する。そのため、X線リソグラフィには特に有望な
レジスト材料である。ネガ型レジストとしてはシプリー
(Shipley) 社が、ノボラック樹脂とメラミン化合物と酸
発生剤からなる3成分化学増幅レジスト(商品名 SAL60
1ER7) を既に商品化している。しかし、化学増幅系のポ
ジ型レジストはいまだ商品化されたものはない。LSI
の製造工程上、配線やゲート形成などはネガ型レジスト
で対応できるが、コンタクトホール形成は、ネガ型レジ
ストを用いたのではカブリやすいために微細な加工がむ
ずかしく、ポジ型レジストがはるかに適している。その
ため、高性能なポジ型レジストが強く要望されている。
【0004】従来、イトー(Ito) らは、ポリヒドロキシ
スチレンのOH基をt−ブトキシカルボニル基(tBo
c基)で保護したPBOCSTという樹脂に、オニウム
塩を加えてポジ型の化学増幅レジストを開発している。
しかし、用いているオニウム塩は金属成分としてアンチ
モンを含む〔参考文献:ポリマース イン エレクトロ
ニクス、ACS シンポジウム シリーズ ( Polymers
in Electronics, ACS symposium Series)第242回
(アメリカ化学会、ワシントン DC.1984)、第
11頁〕。基板への汚染を避けるために、一般的には、
レジスト材料中の金属成分は嫌われる。そのためにPB
OCSTレジストはプロセス上好ましいものではない。
上野らはポリ(p−スチレンオキシテトラヒドロピラニ
ル)を主成分とし、酸発生剤を加えた遠紫外線ポジ型レ
ジストを発表している(参考;第36回応用物理学会関
連連合講演会、1989年、1p−k−7)。しかし、
本発明者らの検討によれば、この材料系は電子線やX線
に対してはポジネガ反転しやすく、マージンが狭い。以
上のような、OH基を酸で分解しやすい保護基で保護し
た樹脂と酸発生剤からなる2成分系ポジ型レジストで
は、現像液に溶解するようになるためには、多くの保護
基を分解する必要がある。その際に、膜厚変化や膜内の
応力あるいは気泡の発生等を引起こす可能性が高い。化
学増幅ポジ型レジストとしては、機能をより分化させた
3成分系、すなわち、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻害
剤、酸発生剤からなる材料系の方が、酸が分解すべき溶
解阻害剤の量が小量でよいため、上述のような膜厚変化
や気泡発生等をより少なくすることが可能であり、精密
な微細加工にはより有用と推定される。3成分ポジ型レ
ジストとしては、ヘキスト社がノボラック樹脂に溶解阻
害剤としてアセタール化合物を添加し、更に酸発生剤を
添加したレジスト材料−RAY/PE−をX線リソグラ
フィ用に開発している〔参考:J.リングナウ(J.Li
ngnau)ら、ポリマース フォア マイクロエレクトロニ
クス( Polymers forMicroelectronics)(東京、198
9)、セッションA−40〕。しかし、RAY/PFは
室温で化学増幅を行うために、レジスト感度はX線露光
後の放置時間に著しく依存する。実用に供するに当って
は、露光と現像の工程間の時間を定常的に厳密制御する
ことには困難が伴うため、パタンの寸法制御性がむずか
しく、プロセス適用性が極めて乏しい材料である。ま
た、露光量変化に対するパタン寸法変化が大きく、露光
量マージンが小さい短所がある〔参考:G.ツゥイッカ
ー(G.Zwicker)ら、ジャーナル オブ バキューム
サイエンス アンド テクノロジー、第B7巻、第16
42頁(1989)〕。
【0005】一般に化学増幅を行うためには、露光後熱
処理(post exposure baking;PEB)を必要とするも
のが多い。レジストプロセス工程は室温放置で化学増幅
を行う材料系よりも1工程増えるものの、露光と現像の
間の時間制御が緩くて良くなるため、レジスト特性の制
御がより容易であるという特徴がある。
【0006】また、化学増幅過程で加水分解を行う系で
は、加水分解反応に水を必要とするので、レジスト材料
中に水分を含んでいることが必要となる。一般に、レジ
スト材料の塗布溶媒には酢酸エトキシエチルのような、
水と混合しない有機溶媒を用いることが多く、レジスト
の樹脂自身も水と相溶しにくい材料が多い。このような
材料系に水を所定量混合させることは容易ではなく、ま
た、混合させることができるにしても、制御すべき成分
が増えることになるので、系がより複雑になり好ましい
ものではない。一方、tBoc基の分解反応は、tBo
c基と触媒である酸の2成分で反応が進み、第3成分と
しての水を必要としないため、反応が単純であり、化学
増幅に利用するには好都合である。
【0007】ノボラック樹脂の溶解性を阻害する溶解阻
害剤としては、カルボン酸のt−ブチルエステルやフェ
ノール類のt−ブチルカーボネートが好ましいことが公
開されている(クリベロら、特開昭63−27829
号)。しかし、t−ブチルエステルに関しては詳しい記
述がなされているのに対し、t−ブチルカーボネートに
関しては詳しい記述がない。また、電子線やX線に対す
る感応性に関して詳しい記述がなく、パタンの解像性は
光露光で1μmまでしか得られていない。電子線やX線
によるパタン形成は光露光よりも高い解像性を得られる
ことが一般的な常識ではあるが、化学増幅系レジストの
場合には、露光により生成する酸が化学増幅過程で未露
光部に拡散して広がって未露光部まで感光させてしまう
恐れがあり、電子線やX線でパタン形成を行っても、必
ずしも微細なパタンが得られるとは限らない。本発明者
らは、少なくとも本発明におけるような3成分ポジ型レ
ジストの場合、条件によっては酸は0.1〜0.5μm
も拡散することを見出している。また、tBoc基が分
解して生成するカルボニウムイオンが活性な芳香族環と
結合する架橋反応が進む場合もある(アレンら、特開昭
63−231442号)。このようなことから、t−ブ
チルカーボネートやt−ブチルエステルなどの、酸で分
解する時にカルボニウムイオンを生成する溶解阻害剤を
用いた化学増幅ポジ型レジストでは、1μm程度までの
パタン形成にはあまり特別な材料組成を必要としなくて
も、0.5μm程度のパタン形成には材料組成はかなり
限定されなければ達成できず、ましてや、0.2〜0.
1μmのパタン形成が可能なレジストは非常に特殊なも
のである。また、この際に、特定された材料を用いれば
必ず微細なパタンが形成できるとは限らず、レジスト材
料と共に、パタン形成方法も、酸の拡散と架橋を抑える
ように行う必要があり、微細パタン形成には、レジスト
材料とパタン形成方法の両者共に重要である。
【0008】また、従来の化学増幅系ポジ型レジスト
は、電子線やX線でパタン形成を行うと、パタンがオー
バーハング状になりやすい欠点を有していた。これは、
レジスト表面の溶解性が低下するためと考えられる〔参
考;K.G.チオン(K.G.Chiong) ら、ジャーナル
オブ バキューム サイエンス アンド テクノロジ
ー、第B7巻、(6)、第1771頁(1989)〕。
オーバーハング形状は、パタン寸法制御をむずかしく
し、ドライエッチングを用いた基板加工に際しても、寸
法制御性を損ねる。また、パタン下部が細るのでパタン
の倒壊を招きやすい。このオーバーハング形状はまだ改
善されておらず、したがって、従来技術は満足できるも
のではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
ノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレンをベース樹脂
とした、電子線及びX線に感度を有する化学増幅系ポジ
型レジストは、従来数多く発表されているが、いずれの
ものも問題点を含んでおり、いまだ実用に供することが
むずかしいのが現状である。また、解像性の点でも、
0.2〜0.1μmを解像し、金属成分を含まない化学
増幅ポジ型レジストは、いまだに開発されていない。本
発明の目的は、従来技術を上回る、高感度、高解像性、
プロセス適用性に優れた高エネルギー線露光用のポジ型
レジスト材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明はポジ型レジスト材料に関する発明であって、ノボ
ラック樹脂(A)、溶解阻害剤(B)、及び酸発生剤
(C)の3成分を含む、アルカリ水溶液で現像可能な高
エネルギー線感応ポジ型レジストにおいて、該溶解阻害
剤が1分子中に1個以上のt−ブトキシカルボニルオキ
シ基を含み、該酸発生剤が下記一般式I: で表されるビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウ
ムトリフルオロメチルスルホネートであり、重量分率
が、0.07≦B≦0.40、0.005≦C≦0.1
5、0.55≦A、A+B+C=1、であり、かつ該ノ
ボラック樹脂が、クレゾール構造としてp−クレゾール
を20%以下しか含まないものであることを特徴とす
る。
【0011】本発明の第1の特徴は酸発生剤として、式
(I)で表される、金属成分を含まないオニウム塩を用
いることである。
【0012】トリフルオロメチルスルホネートのオニウ
ム塩としては、上記式(I)で表される化合物のほか
に、下記式III 〜VIで表される化合物:
【0013】
【0014】等が特開昭62−277417号、同63
−27829号各公報において公開されている。しか
し、(III) はエチルセロソルブアセテートや乳酸エチル
等のレジストの塗布に好適な溶媒に対して溶解性が低
く、せいぜい0.5g/dl程度しか溶けないため、レジ
スト中に適量を混合することが困難である。(IV)は室温
でオイル状であるために精製がむずかしく、これを酸発
生剤として用いるレジスト材料はロット間で特性が変化
しやすい。(V)は結晶性であるために純度の高いもの
を得ることができ、また、塗布溶媒への溶解性も比較的
良好である。少なくとも0.6g/dlは溶解する。しか
しこれを用いてノボラック樹脂とtBoc溶解阻害剤と
の3成分レジストを作製すると、tBoc溶解阻害剤の
種類によらず、1〜4μC/cm2 の露光量で膜減りする
ものの、露光部が完全に溶解する前にネガ反転してしま
い、ポジ型にはならなかった。このようなネガ反転に関
しては、シュレゲル(Schlegel)らも述べており(参考文
献;1990年春季第37回応用物理学会関連連合講演
会28p−ZE−4)、トリフルオロメチルスルホネー
ト系のオニウム塩はノボラック樹脂とtBoc溶解阻害
剤とを含む3成分ポジ型レジストには有用でないこと
が、これまでの常識であった。(VI)は、フォトレジスト
用酸発生剤として実施例が公開されているが(特開昭6
3−27829号)、解像性は高くない。また、(VI)の
合成例は既知ではないために、合成が容易ではなく、酸
発生剤としての特性もよくわかっていない。
【0015】従来、化学増幅レジスト用酸発生剤には、
オニウム塩、ハロゲン含有化合物、ニトロベンジルエス
テル等が有用であることが知られている。しかし、tB
oc基を分解するにはオニウム塩を用いるのが最も具合
がよい。ニトロベンジルエステルは、電子線やX線に対
しては分解効率が悪く、したがって感度が低い。分解時
に酸としてハロゲン化水素を生成するハロゲン含有化合
物は、ハロゲン化水素によるtBoc基の分解効率が悪
いために、tBoc基を分解するための酸発生剤として
は適当ではない。オニウム塩はアニオン部だけでなくカ
チオン部の構造によっても物性が大きく変る。
【0016】従来、化学増幅レジスト用酸発生剤で最も
実用性のあるオニウム塩は、芳香族スルホニウム塩であ
るとされている(参考;笈川ら、第37回応用物理学会
関連連合講演会、1990年、28p−PD−2)、し
かし、上述したように、トリフルオロメタンスルホン酸
のスルホニウム塩は、tBoc化合物を溶解阻害剤とす
る3成分系ポジ型レジストの酸発生剤としては実用に供
さない。本発明者らは、有機のオニウム塩で、レジスト
塗布溶媒への溶解性が高く、ノボラック樹脂とtBoc
溶解阻害剤と酸発生剤の3成分からなるポジ型レジスト
材料に用いた場合に良好なポジ型特性を示す酸発生剤を
鋭意検討した。その結果、(I)に示すビス(p−t−
ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスル
ホネートが良好な特性を示すことを見出した。(I)は
結晶性で再結晶により精製することができ、酢酸エトキ
シエチルに代表されるレジスト塗布溶媒への溶解性がよ
い。少なくとも4.5g/dlは溶解する。また、(I)
のオルトノボラック樹脂とtBoc溶解阻害剤を含む3
成分レジストに対し、30kVの加速電圧で電子線描画を
行うと、多くのtBoc溶解阻害剤に対して、良好な酸
発生剤として機能し、D0 感度が3〜20μC/cm2
度になり、少なくとも72μC/cm2 まではポジネガ型
反転しなかった。本発明のレジストにおける(I)の含
量は0.5〜15wt%が好適である。0.5%未満でも
ポジ型のレジスト特性を示すが感度が低い。酸発生剤の
含量が増加すると、レジスト感度は高感度化する傾向を
示し、コントラスト(γ)は向上した。15%より多く
てもポジ型のレジスト特性を示すが、含量の増加による
更なる高感度化が期待できないこと、(I)は高価な試
薬であること、レジスト内の低分子成分の増加はレジス
ト膜の機械的強度を低下させること、等により(I)の
含量は15%以下が好適である。
【0017】(I)を用いた、本発明によるところのレ
ジスト材料は、溶解阻害剤として、1分子中に1個以上
のt−ブトキシカルボニルオキシ基を含む化合物を用い
る。より好ましくは、1分子中に芳香環を2個以上含
み、かつ2個以上のtBoc基を含むものがよい。更
に、より強い溶解阻害効果を得るという観点からは、分
子内における1つ以上の分子内回転により、tBoc基
の空間的位置の自由度が高いものが望ましい。溶解阻害
剤による溶解阻害効果は、マトリックス樹脂と溶解阻害
剤との水素結合、より詳しくは、フェノール性OH基と
tBocとの水素結合によって発現するものと推定され
る。効果的な溶解阻害剤を発現するには、1溶解阻害剤
分子が2つ以上の水素結合に関与して、樹脂と溶解阻害
剤を水素結合で網目状にネットワークを形成することが
重要である。ノボラック樹脂の主鎖は比較的剛直であ
り、樹脂のOH基の空間的配置に自由度が乏しい。その
ため、離れているOH基を水素結合で結びつけるため
に、溶解阻害剤分子が適度な大きさを持ち、分子内に2
つ以上のtBoc基を有することが望ましい。更には、
マトリックス内で樹脂のOH基とより強い水素結合を形
成できるように、tBoc基を分子内回転で空間的によ
り良い位置に配置できるように溶解阻害剤が、溶解阻害
効果を高めるためにはよい。溶解阻害剤の含量は、7〜
40wt%がよい。7%未満では溶解阻害効果が小さく、
40%より多くては、レジストの機械的強度や耐熱性が
低下する。
【0018】本発明者らは、従来より既知であるtBo
c溶解阻害剤のほか、テトラヒドロキシベンゾフェノン
をtBoc化したもの、ノボラック樹脂やポリ(p−ヒ
ドロキシスチレン)のOH基をtBoc化した分子量が
1000以上の高分子化合物も溶解阻害剤として有用で
あることを見出した。通常、構造の異なる高分子同士は
相溶しにくいものであるが、上述の2つの高分子溶解阻
害剤は、本発明における含有量の範囲ではノボラック樹
脂と相溶した。また、該高分子溶解阻害剤の溶解阻害効
果は低分子型溶解阻害剤よりもはるかに大きく、したが
って、現像による未露光部の膜減りが極めて小さいレジ
ストが作製可能であった。また、該高分子溶解阻害剤を
用いた本発明によるところの3成分レジストは、レジス
トの機械的強度や耐熱性が低分子溶解阻害剤を用いた場
合よりも優れている特長を有した。
【0019】ノボラック樹脂とジアゾナフトキノン感光
剤からなる汎用のフォトレジストでは、ノボラック樹脂
の構造によってレジスト特性が変ることは常識となって
いる。これは、感光剤のジアゾナフトキノンがアルカリ
雰囲気下でノボラック樹脂とアゾカップリング反応して
溶解阻害効果を発現する際に、そのアゾカップリング反
応がクレゾール異性体に依存するためであり、o−クレ
ゾールを原料とするo−ノボラック樹脂はジアゾナフト
キノンによる溶解阻害剤を受けにくいのに対して、p−
クレゾールを含むノボラック樹脂はジアゾナフトキノン
による溶解阻害を強く受ける。o−ノボラック樹脂は溶
解性が良く、p−クレゾールを含むと溶解性が低下す
る。m−クレゾールはo−あるいはp−異性体のような
特異な性質を顕著には発現しない。また、o−ノボラッ
ク樹脂は軟化点が低い。このような理由により、従来の
フォトレジスト用ノボラック樹脂では、通常、m−クレ
ゾールとp−クレゾールを主成分として組合せたノボラ
ック樹脂が用いられる。
【0020】しかし、化学増幅系レジストの場合、ノボ
ラック樹脂の構造とレジスト特性の相関はこれまで明ら
かとなっていない。本発明者らは、溶解阻害剤及び酸発
生剤とノボラック樹脂との相互作用について鋭意検討し
た結果、p−クレゾール構造が溶解阻害効果や解像性に
重大な影響を及ぼすことを見出した。すなわち、ノボラ
ック樹脂がそのクレゾール構造としてp−クレゾールを
多く含む場合には溶解阻害剤による溶解阻害効果は高く
なって未露光部の残膜率が高くなるものの、解像性が低
下することがわかった。そしてp−クレゾール構造を2
0%以下に抑えると良好なレジスト特性が得られること
がわかった。
【0021】更に、非常に限定される組成において、極
めて良好なレジスト特性が得られる材料を見出した。す
なわち、下記の2種類のレジスト組成である。その1
は、溶解阻害剤が下記式II: で表される化合物であり、該ノボラック樹脂がクレゾー
ル構造としてo−クレゾールを80%以上含むものであ
り、p−クレゾールを20%以下しか含まないものであ
って、かつ、重量分率が、0.12≦B≦0.25、
0.03≦C≦0.08、A+B+C=1、であること
を特徴とするレジスト材料である。その2は、溶解阻害
剤が同じく式(II)で表される化合物であり、該ノボラッ
ク樹脂がクレゾール構造としてm−クレゾールを80%
以上含むものであり、p−クレゾールを20%以下しか
含まないものであって、かつ、重量分率が、0.10≦
B≦0.30、0.01≦C≦0.05、A+B+C=
1、であることを特徴とするレジスト材料である。上記
のように、主成分となるノボラック樹脂の構造により、
適当な組成分率が若干異なる。
【0022】また、ノボラック樹脂の分子量によって、
本発明のレジストの解像性や耐熱性が若干変った。すな
わち、重量平均分子量(以下では単に分子量と記す)8
000程度の比較的高い分子量のものを用いると解像性
は低下するものの耐熱性が向上し、分子量1000程度
の低い分子量のものを用いると解像性が向上するものの
耐熱性が低下した。また、分子量分散が大きいと解像性
は低下した。しかし、このような傾向は従来のフォトレ
ジスト等において常識となっている。分子量が1万を越
えるノボラック樹脂の合成は困難であり、通常はせいぜ
い分子量1000から8000の間のノボラック樹脂が
レジスト用に用いられ、ネガ型レジストの場合は比較的
低分子のものが、ポジ型の場合には比較的分子量が高い
ものが利用されている。本発明においては分子量は特に
限定するものではないが、分子量は 2000から80
00、分子量分散が5以下のものが、総合的見地から好
ましい特性を示した。
【0023】本発明のレジストが高解像性を発現する原
因を検討した結果、tBoc溶解阻害剤の溶解阻害効果
はノボラック樹脂の構造によっても変わり、o−ノボラ
ックよりm−ノボラックひいてはp−クレゾール構造を
含むノボラック樹脂の方が溶解阻害効果が強く発現され
るが、同時にノボラック樹脂の構造は露光部の溶解性回
復に大きく影響することがわかった。すなわち、o−ノ
ボラック樹脂やm−ノボラック樹脂を用いた該レジスト
の場合では、露光部の現像液への溶解速度はノボラック
樹脂の溶解速度とほぼ等しくなるまで回復するのに対し
て、m−/p−ノボラック樹脂や、o−/p−ノボラッ
ク樹脂を用いた場合は、露光部の現像液への溶解速度
が、ノボラック樹脂の溶解速度にまで回復しにくく、p
−クレゾール成分が増えるにつれこの傾向は著しくな
る。tBoc基は酸触媒存在下で分解する際に、カルボ
ニウムイオンを生成し、これがノボラック樹脂に吸電子
的に反応して架橋も起きる可能性がある。本発明者らの
検討により、この架橋反応は特にp−クレゾール構造の
含有量に伴って起きやすくなり、それに従ってレジスト
の解像性が低下することが判明した。架橋反応を抑える
にはノボラック樹脂のp−クレゾール構造を20%以下
にすることが必須であり、より望ましいのはp−クレゾ
ール構造を含まないノボラック樹脂を用いることであ
る。
【0024】また、溶解阻害剤も架橋反応に関係するこ
とがわかった。種々のtBoc溶解阻害剤を検討した結
果、式(II)に示す材料が現像時の溶解速度が最も大き
く、架橋反応が進みにくいことが判明した。この材料に
おいてのみ、0.1μmのパタン形成可能であるほど高
解像性が達成でき、更にオーバーハングにほとんどなら
ないパタンを形成することができた。この高解像性を発
現させるためには、材料組成をかなり限定する必要があ
り、p−クレゾール成分を20%以下に制限したノボラ
ック樹脂を用い、o−クレゾール主体の場合において
は、溶解阻害剤(II) の量は12%以上25%以下、酸
発生剤(I)の量は3%以上8%以下であり、m−クレ
ゾール主体の場合においては溶解阻害剤(II)の量は10
%以上30%以下、酸発生剤(I)の量は1%以上5%
以下であることを必要とする。酸発生剤が上記制限範囲
より多くなると、レジストと大気中の酸素若しくは水分
との相互作用により、o−クレゾール主体のレジストの
場合、パタン形状がオーバーハング状に極めてなりやす
くなる。m−クレゾール主体の場合はパタン形成が困難
となる。また溶解阻害剤若しくは酸発生剤のどちらかが
範囲未満であると、現像時の膜減りが大きい。溶解阻害
剤のみ範囲超である場合はPEB条件が必然的に厳しく
なるので解像性が低下する。
【0025】本発明のレジストを用いたパタン形成は以
下のようにして行うことができる。本レジストの溶液を
基板にスピン塗布し、プリークを行う。この際、窒素
気流下でプリベークを行うことが、オーバーハングのパ
タン形状にならないようにする上で望ましい。次いで、
高エネルギー線をパタン状に照射する。この際、酸発生
剤が分解して酸を生成する。PEBを行うことにより、
酸を触媒としてtBoc基が分解し、溶解阻害効果が消
失する。このPEBも窒素気流下で行うことが望まし
い。アルカリ水溶液で現像し、水でリンスすることによ
りポジ型レジストを得る。
【0026】このPEBの際に、触媒となる酸はtBo
c基の分解を促進するが、同時に拡散して広がってゆ
く。露光部から未露光部への酸の拡散は、潜像としての
酸の濃度プロファイルを劣化させる。X線露光によって
形成したパタンの広がりを検討したところ、酸の拡散は
PEBの条件によっては0.5μmにも及ぶことが解っ
た。そのため、0.2〜0.3μm程度のパタンを形成
するには、材料と共にPEB条件も非常に重要であるこ
とがわかった。tBoc基の分解は、温度と分解の活性
化エネルギーが反応速度を決めるのに対し、拡散は温度
と共にマトリックスの状態に強く依存する。特に、マト
リックスのガラス転移温度以上でPEBを行うと急速に
酸は拡散し、微細パタンの形成は困難となる。PEB条
件を緩めればマトリックスのカゴ効果により酸の拡散は
押えることが出来るが、tBoc基の分解が進みにくく
なる。そのため、適当なPEB条件で、酸の拡散を押え
つつ、tBoc基の分解を効果的に行うことが、微細パ
タン形成上非常に重要となる。
【0027】本発明者らは以上の考えかたに従い、PE
B条件の最適化を検討したところ、特にPEB温度が酸
の拡散に重要であり、55℃以上75℃以下でPEBを
行うと酸の拡散を抑えつつ効果的にtBoc基を分解す
ることができ、微細パタンの形成に有用であることが解
った。PEB時間も需要な因子であるが、時間制御の容
易さも考慮して、1〜5分間が適当であるため、幅広く
条件を振ることが実際上むずかしい。PEB温度が55
℃未満では、tBoc基の分解が容易に進まず低感度に
なり、75℃より高いと酸の拡散が大きくなり、解像性
が急激に低下した。このような、PEB条件が厳しくな
るにつれ解像性が低下することには強い相関があると考
えられるが、マトリックス材料や材料構成が異なれば最
適なPEB条件も異なると思われる。本発明のどのよう
な材料組成のレジストに対しても、この温度範囲でのP
EBが高解像のパタン形成には有利であったが、0.1
〜0.2μmの微細パタンを解像するには、前記各例に
示すような限られたレジスト材料でのみ達成可能であ
り、微細パタン形成には材料とパタン形成方法の両者が
共に重要である。
【0028】
【実施例】詳細を以下の実施例で説明する。なお、OH
基のtBoc化はペプチド合成では良く用いられる官能
基の保護方法であり、ピリジン溶液中で2炭酸ジt−ブ
チルと反応させることにより簡単に行うことができる。
実施例1〜22では分子量が約4000、分子量分散
2.8のオルトノボラック樹脂を用いた。レジスト塗布
溶媒として、本実施例では酢酸エトキシエチルを用いた
が、塗布溶媒は特に限定するものではなく、乳酸エチル
やプロピレングリコールモノメチルエーテル等の、人体
に対して安全性の高い溶媒でもなんら差支えない。
【0029】 実施例1 ノボラック樹脂 81重量部 2,2−ビス〔p−(t−ブトキシカルボニルオキシ) フェニル〕プロパン 14重量部 酸発生剤(I) 5重量部 酢酸エトキシエチル 400重量部 からなるレジスト溶液をシリコン基板に2000rpm で
スピン塗布し、ホットプレート上にて85℃で1分間プ
リベークした。膜厚は0.7μmであった。加速電圧3
0kVの電子線で描画したのち、85℃で3分間PEBを
行った。1.5%のテトラメチルアンモニウムヒドロキ
シド(TMAH)の水溶液で1分間現像を
【0030】 実施例2 ノボラック樹脂 81重量部 1,3,5−トリス(t−ブトキシカルボニルオキシ) ベンゼン 14重量部 酸発生剤(I) 5重量部 酢酸エトキシエチル 400重量部 からなるレジスト溶液を作製し、実施例1と同様に評価
した。その結果、電子線感度は6.6μC/cm2 、軟X
線感度は620mJ/cm2 であった。本レジストは未露
光時において現像液に対して約1nm/sの溶解速度を示
した。X線露光や電子線描画によって実施例1と同程度
の解像性を有していることを確認した。X線露光では垂
直な側壁をもつパタンを形成することができた。
【0031】 実施例3 ノボラック樹脂 81重量部 分子量約2500のポリ(p−t−ブトキシカルボニル オキシスチレン) 14重量部 酸発生剤(I) 5重量部 酢酸エトキシエチル 400重量部 からなるレジスト溶液を実施例1と同様な方法で評価し
た。但し、現像は1.8%TMAH水溶液で1分間行っ
た。その結果、ポジ型の特性を示すことを確認し、電子
線感度は10μC/cm2 であった。軟X線感度は900
mJ/cm2 であった。本レジストは、実施例1で用いた
現像条件に対しては全く膜減りを示さず、未露光部の溶
解速度は0.1nm/s以下であった。このことにより、
本溶解阻害剤は、実施例1及び2の低分子溶解阻害剤よ
りもはるかに溶解阻害効果が高いことがわかった。
【0032】 実施例4 ノボラック樹脂 81重量部 分子量2000のノボラック樹脂のOH基をtBoc化 して得られる高分子溶解阻害剤 14重量部 酸発生剤(I) 5重量部 酢酸エトキシエチル 400重量部 からなるレジスト溶液を実施例3と同様な方法で評価し
た。PEBは110℃で30秒間行った。その結果、ポ
ジ型の特性を示すことを確認し、電子線感度は31μC
/cm2 であった。本レジストも実施例1の現像条件に対
しては全く膜減りを示さず、未露光部の溶解速度は0.
1nm/s以下であった。実施例3、4から、高分子溶解
阻害剤が低分子溶解阻害剤よりもはるかに高い溶解阻害
能を有していることがわかった。
【0033】実施例5〜12 ノボラック樹脂 81重量部、溶解阻害剤 14重量
部、(I)5重量部、酢酸エトキシエチル 400重量
部からなるレジスト溶液について、溶解阻害剤を変えて
電子線感度を評価した結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】実施例13〜22 ノボラック樹脂、2,2−ビス〔p−(t−ブトキシカ
ルボニルオキシ)フェニル〕プロパン、酸発生剤(I)
を含むレジスト溶液を用い、各成分の分率を変えて、電
子線レジスト特性を検討した。表2に結果を示す。85
℃で3分間PEBし、現像は1.5%TMAH水溶液を
用いて1分間行った。
【0036】
【表2】表 2
【0037】実施例13〜15では感度はあまり変化し
なかった。未露光部の残膜は溶解阻害剤濃度が高いほど
よく、実施例13ではほぼ100%残膜していが、実施
例16では87%の残膜しかなかった。酸発生剤は溶解
阻害能を有する。実施例17では酸発生剤濃度が0.5
%と低いために、未露光部の残膜は30%程度しかなか
った。実施例19では未露光部の残膜は95%以上であ
り実施例20と21ではほぼ100%であった。酸発生
剤の濃度が高くなるに従い、コントラスト(γ値)は高
くなったが、実施例20と21ではほぼ同じとなり、γ
値は6以上となった。実施例22では十分な溶解阻害効
果が得られず、1.2%水溶液で現像した。また、実施
例22では未露光部の残膜が20%程度であったが、溶
解阻害剤として実施例3及び4に示す高分子溶解阻害剤
を用いると、この成分比でも85%以上の残膜が得られ
た。
【0038】 実施例23 メタクレゾールノボラック樹脂 82.5重量部 2,2−ビス〔p−(t−ブトキシカルボニルオキシ) フェニルプロパン 14重量部 酸発生剤(I) 3.5重量部 酢酸エトキシエチル 400 重量部 からなるレジスト溶液をシリコン基板に2000rpm で
スピン塗布し、ホットプレート上にて85℃で1分間プ
リベークした。膜厚は0.5μmであった。30kVの電
子線で描画したのち、65℃で2分間PEBを行った。
2.1%のTMAH水溶液で2分間現像を行い、水で3
0秒間リンスした。ポジ型の特性を示し、D0 感度は8
μC/cm2 であった。電子線で0.2μmまで解像し
た。軟X線でのパタン形成では0.1μmのホールも形
成することができた。
【0039】 実施例24 パラクレゾールとメタクレゾールを原料とするノボラック樹脂 (パラクレゾール:メタクレゾール=2:8) 69重量部 2,2−ビス〔p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニ ル〕プロパン 29重量部 酸発生剤(I) 2重量部 酢酸エトキシエチル 400重量部 からなるレジスト溶液をシリコン基板に2000rpm で
スピン塗布し、ホットプレート上にて85℃で1分間プ
リベークした。膜厚は0.5μmであった。30kVの電
子線で描画したのち、85℃で1分間PEBを行った。
2.4%のTMAH水溶液で2分間現像を行い、水で3
0秒間リンスした。ポジ型の特性を示し、D0 感度は
1.7μC/cm2 であった。ここで用いたノボラック樹
脂は、現像液に対して30nm/sの溶解速度を示した
が、露光部の溶解速度は約6nm/sしかなかった。未露
光部の膜減りは0.03μm程度であった。しかし、5
8μC/cm2 以上でネガ反転による残膜が見られた。5
μC/cm2 のドーズで0.5μmが解像し、ほぼ垂直に
近い側壁を有するパタンが電子線で描画で形成すること
ができた。また、軟X線感度は160mJ/cm2 であっ
た。
【0040】 実施例25 実施例24で用いたノボラック樹脂 83重量部 2,2−ビス〔p−(t−ブトキシカルボニルオキシ) フェニル〕プロパン 14重量部 酸発生剤(I) 3重量部 酢酸エトキシエチル 400重量部 からなるレジスト溶液を作製し、実施例24と同様に評
価した。ポジ型のパタン形成が可能であり0.3μmま
で解像した。軟X線露光では0.2μmのホールも形成
することができた。実施例23、24で用いたノボラッ
ク樹脂は、実施例1〜22で用いたオルトノボラック樹
脂よりも、溶解阻害剤による溶解阻害効果を強く受けや
すかった。しかし、それを用いたレジストは架橋しやす
い性質も有していた。酸発生剤の量を5%とするとレジ
ストの現像液に対する溶解性が低下し、パタン形成が困
難であった。また、1%未満では感度が低下した。
【0041】 実施例26 パラクレゾールとオルトクレゾールを原料とするノボラック樹脂 (パラクレゾール:オルトクレゾール=2:8) 81重量部 2,2−ビス〔p−(t−ブトキシカルボニルオキシ) フェニル〕プロパン 14重量部 酸発生剤(I) 5重量部 酢酸エトキシエチル 400重量部 からなるレジスト溶液を実施例1と同様に評価した。但
し、現像は1.8%TMAH水溶液で1分間行った。電
子線感度は7μC/cm2 であり、少なくとも72μC/
cm2 まではネガ反転しなかった。電子線で0.3μmま
で解像した。軟X線露光では0.2μmのパタンも形成
することができた。
【0042】実施例27(参考例) 実施例26において、パラクレゾール:オルトクレゾー
ル=3:7のノボラック樹脂を用いた場合は、現像は
3.0%TMAH水溶液で1分間行った。電子線感度は
10μC/cmであったが、解像性はせいぜい0.7
μmであり、しかもパタンは台形状であった。溶解速度
を評価すると、ノボラック樹脂自体は110nm/sで
あったが、レジストの露光部は15nm/sであった。
【0043】実施例28〜34 ノボラック樹脂に溶解阻害剤を15wt%加えたものとノ
ボラック樹脂自身との溶解速度の比から、溶解阻害効果
を評価した。測定は、基板に塗布、プリベークしたの
ち、現像液に30〜120秒間浸漬して膜減り量を求
め、溶解速度比を求めた。現像液は、o−ノボラック
(三菱油化、XH)に対してはTMAH1.5%水溶
液、m−ノボラック(三菱化成)に対してはTMAH
2.1%水溶液、m−/p−ノボラック(m:p=8:
2)に対してはTMAH2.4%水溶液を用いた。表3
に結果を示す。
【0044】
【表3】
【0045】p−クレゾール成分が含まれると溶解速度
が低下し、したがって溶解阻害効果が大きくでる傾向が
あった。また、芳香環が1つの場合は、溶解阻害効果が
小さかった。また実施例29、30、32、33の場合
のように、対称性がよくて剛直であり、レジストマトリ
ックス中においてtBoc基の空間的配置の自由度が低
いと考えられる溶解阻害剤は、低い溶解阻害効果を示し
た。
【0046】実施例35 実施例1において、PEB条件を65℃、1分間とした
ところ、電子線感度は12μC/cm2 に低下したが、
0.2μmの解像性が得られた。X線感度はほとんど変
化せず、440mJ/cm2 であった。これは、酸の拡散
が電子線描画ラインのピッチ以下に抑えられていたため
に微視的な領域でtBoc基の分解が不均一になり、見
掛上感度が低下したものと思われる。X線露光では、微
視的に見ても露光部では酸の分布は均一であり、そのた
め、感度低下は起きなかったと推定される。
【0047】実施例36〜44 オルトノボラック樹脂、酸発生剤(I)、溶解阻害剤(I
I)で、組成比を変え、膜厚を0.4〜0.5μmとし
て、レジスト特性を調べた。表4に結果を示す。PEB
は65℃で1〜2分行い、現像は1.5%TMAH水溶
液で1分間行った。
【0048】
【表4】表 4
【0049】12%≦溶解阻害剤≦25%,3%≦酸発
生剤≦8%,範囲内で良好な解像性と感度が得られた。
また、この範囲のレジストは、オーバーハングになりに
くく、パタン形状もよかった。分子量分布が5以上のノ
ボラック樹脂を用いた場合では、未露光部の膜減りが大
きくなり、微細パタンが倒れやすい傾向を示した。ま
た、分子量が1300のノボラック樹脂を用いた場合で
は、解像性がよく、実施例37の組成で用いた場合、よ
り矩形に近いパタン形状を示した。また、分子量が80
00より大きいノボラック樹脂を用いた場合では解像性
がわずかに低下したものの、実施例37の組成で用いて
も0.2μmは充分に解像しており、耐熱性は低分子の
ノボラックを用いた場合よりも向上した。
【0050】実施例45〜49実施例37のレジストを
用いて、PEB条件の影響を調べた。表5に結果を示
す。
【0051】
【表5】表 5
【0052】PEB温度が55℃以上75℃以下で熱処
理を行うと高い解像性が得られた。PEB温度が該範囲
より高い場合には酸の拡散により解像性が低下した。P
EB温度が該範囲未満ではtBoc基の分解が充分では
なく、感度が低くなり、またレジストコントラスト(γ
値)も低下して解像性も良くなかった。
【0053】
【発明の効果】本発明により得られたポジ型レジスト
は、高エネルギー線に感応し、感度、解像性、プラズマ
エッチング耐性に優れている。また、パタンがオーバー
ハング状になりにくく、寸法制御性に優れている。金属
元素を含まない材料系であること、化学増幅過程でPE
Bを必要とするためにレジスト特性の露光後経時依存性
が小さいこと、化学増幅過程で水を必要としないため系
がより単純であること、等の特徴を有する。本発明のレ
ジスト材料を用いることにより、高感度で高解像性のパ
タンを得ることができ、特に電子線やX線等の高エネル
ギー線を用いた微細加工に有用である。
フロントページの続き (72)発明者 斉藤 虎夫 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−27829(JP,A) 特開 昭63−250642(JP,A) 特開 昭62−229138(JP,A) 特開 昭63−88546(JP,A) 特開 昭63−276047(JP,A) 特開 平4−37760(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノボラック樹脂(A)、溶解阻害剤
    (B)、及び酸発生剤(C)の3成分を含む、アルカリ
    水溶液で現像可能な高エネルギー線感応ポジ型レジスト
    において、該溶解阻害剤が1分子中に1個以上のt−ブ
    トキシカルボニルオキシ基を含み、該酸発生剤が下記一
    般式I: で表されるビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウ
    ムトリフルオロメチルスルホネートであり、重量分率
    が、0.07≦B≦0.40、0.005≦C≦0.1
    5、0.55≦A、A+B+C=1、であり、かつ該ノ
    ボラック樹脂が、クレゾール構造としてp−クレゾール
    を20%以下しか含まないものであることを特徴とする
    レジスト材料。
  2. 【請求項2】 該溶解阻害剤が下記式II: で表される化合物であり、該ノボラック樹脂がクレゾー
    ル構造としてo−クレゾールを80%以上含むものであ
    り、かつ、重量分率が、0.12≦B≦0.25、0.
    03≦C≦0.08、A+B+C=1、であることを特
    徴とする請求項に記載のレジスト材料。
  3. 【請求項3】 該溶解阻害剤が、請求項に記載の式I
    Iで表される化合物であり、該ノボラック樹脂がクレゾ
    ール構造としてm−クレゾールを80%以上含むもので
    あり、かつ、重量分率が、0.10≦B≦0.30、
    0.01≦C≦0.05、A+B+C=1、であること
    を特徴とする請求項に記載のレジスト材料。
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