JP2557132B2 - 軸用磁性流体シール - Google Patents

軸用磁性流体シール

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は軸方向に逐次連設された複数個のシールギャ
ップ及び磁性流体をシールギャップへ半径方向に送るた
めの穴を具備する軸用磁性流体シールに関する。
〔従来の技術及び解決すべき課題〕
上記の磁性流体シールは米国特許第4,598,914号によ
り公知である。これを第３図に示す。一対の円筒形磁石
32が軸31を取り囲んでいる。この磁石32は、ベアリング
の機能を行なう磁気ベアリングである。磁石の内面32a
に矢はず模様の溝33が形成されている。この溝33は、磁
性流体の動的圧力を生み出すためのものである。磁石の
内面32aと軸の外面31aとの間にギャップＣが形成され、
このギャップＣ内に磁性流体34が充填されている。一方
の磁石32を貫通して軸方向に通路35が形成され、この通
路35の内端に半径方向の通路36が接続されている。これ
ら通路35、36は、磁性流体の供給路を構成し、磁性流体
は通路内に噴射されて供給されたのち、シール37により
開口が閉じられる。磁性流体は、磁石32の磁気力により
ギャップ内に保持される。軸31が回転すると、動的圧力
を生み出す溝33のポンプ作用により、磁性流体の34の半
径方向圧力が生じる。この半径方向圧力は、一対の磁石
32の中央（接合部分）で最高レベルとなり、一方で一対
の磁石32の両端部で弱められる。それ故に、磁力と共働
して、磁性流体34の外側への漏れは阻止され、動的力の
発生により軸31は磁石32の中央に支持される。先公知の
磁性流体シールの圧力保持力はあまり十分でない。
軸方向に順次続く複数個のシールギャップが軸を同心
に取囲む軸用磁性流体シールが米国特許第4,526,382号
により公知である。個別シールギャップは空隙によって
互いに隔離されているので、個別シールギャップに収容
された磁性流体分は互いに独立に、かつカスケード配列
として作用する。このため磁性流体シールは良好な圧力
保持力を有する。ところが個別シールギャップへ磁性流
体を所要の配給精度で供給することは極めて難しく、複
雑な補助用具を使用して初めて可能である。従って目的
のための使用時に磁性流体の損失が現れるときは磁性流
体シール全体を定期的に解体して、新しいシールと取換
えなければならない。
本発明の目的とするところは、シールギャップへの磁
性流体の送入が著しく簡素化され、使用者の手元で行う
ことができる、圧力保持力が良好な磁性流体シールを提
供することである。
〔課題を解決するための手段〕
この目的は本発明に基づきシールギャップ及び該シー
ルギャップに磁性流体を半径方向に送るための穴を具備
する軸用磁性流体シールにおいて、 ポールピースの円筒面が軸を同心に取り囲み、 軸との間にシールギャップを形成する環状突起が軸方
向に間隔を置いて複数個前記円筒面に突設され、 磁性流体の供給穴が各環状突起に各独立に配属され、 各供給穴の一端が接続する底部を備える中央貯蔵室が
前記ポールピースに配設され、 各供給穴と前記中央貯蔵室との連通を遮断するべく前
記底部を覆う各供給穴に共通の中央閉鎖部材が前記中央
貯蔵室に着脱可能に備っていることを特徴とする磁性流
体シールにより達成される。従属請求項は有利な実施態
様に関するものである。
本発明に基づく磁性流体シールにおいては軸がポール
ピースの円筒面によって同心に取り囲まれ、シールギャ
ップを形成する環状突起が軸方向に間隔を置いて複数個
円筒面に突設され、各環状突起毎に他の穴に対して分離
された独立の磁性流体供給穴が配属されている。このた
めに特別の費用は必要でない。少なくとも必要量と同じ
程度の量の磁性流体を個々の穴に送入しさえすればよ
い。シールギャップへの供給は、そこに作用する磁力を
利用して自動的に行われる。その場合すこぶる正確な配
給という利点だけでなく、磁性流体の損失があればシー
ルギャップの自動補充が行われという別の利点が更に生
じる。
本発明によれば、穴を中央貯蔵室から一斉に充填する
ことができ、中央貯蔵室内に配置される中央閉鎖部材で
一斉に閉鎖することができるように構成されている。こ
れによってすべてのシールギャップの適切な充填を保証
することに関して大幅な簡素化が生じる。
軸方向に見て穴が個別環状突起のおおむね中央に接続
するならば、個別シールギャップへの磁性流体の充填が
特に迅速確実に行われる。これに対して穴の実際直径は
基本的にあまり重要でない。しかし被密封軸の回転数が
極めて高い場合に故障を回避する上で、シールギャップ
が当該の穴の直径の約３倍ないし30倍、好ましくは８倍
ないし16倍の大きさの長さを有するならば有利であるこ
とが判明した。
穴を毛管作用性開口部として形成してもよい。これに
よって極めて高い回転数のときにシールギャップの区域
で働く力により生ずる穴の方向への液圧伝達がほとんど
不可能になる。シールギャップのすべての部分区域が磁
性流体で均一に充填されるようにするために、穴がシー
ルギャップにおおむね垂直に接続するならば有利である
ことが判明した。
〔実施例〕
次に添付の図面に基づいて本発明の主題を詳しく説明
する。
第１図に示す磁性流体シールは、相対回転し得る磁化
可能な軸１をシールするためのものである。軸方向に磁
化された環状磁石２の２つの極は直接取付けた円環状の
磁極片、すなわちポールピース15によって軸の方向へか
つ半径方向に延長され、ポールピース15はその円筒面13
に軸方向間隔を有し軸を同心に取り囲む環状突起14を具
備する。こうして軸１の方向に順次続くシールギャップ
の間に空隙８が設けられるから、個別シールギャップが
互いに独立に作用することとなる。個別シールギャップ
は垂直に接続する穴５によって、磁性流体を収容する共
通の貯蔵室６と連通する。なお、図１に於いては、貯蔵
室６内には閉鎖部材11及び止めねじ９が配置されてい
る。シールギャップ３への磁性流体４の充填に際して、
中央貯蔵室６に収容された磁性流体４はシールギャップ
の区域で働く磁界の作用で自動的に穴５を通ってシール
ギャップ３の方向へ移動させられる。磁性流体はシール
ギャップ３にほぼ図示のように、かつ周方向に均等に分
布し、シールギャップを液密にする。シールギャップ３
に収容された磁性流体を４で示す。
シールギャップの充填に続いて、穴５の貯蔵室側開口
部を閉鎖部材11で閉鎖し、液圧的に互いに隔離する。こ
れによって被密封室内の高い圧力の液密が得られる。そ
の後、貯蔵室６に止めねじ９を配置する。その結果、図
１に示すように、中央貯蔵室６内には閉鎖部材11及び止
めねじ９が配置され、それら中央貯蔵室６内の各部材の
間、即ちポールピース15と閉鎖部材11との間や、閉鎖部
材11と止めねじ９との間、及び閉鎖部材11の毛管孔12内
に磁性流体が収容されたまま残る。
閉鎖部材11と止めねじ９を毛管孔12が貫通する。毛管
孔12は互い違いに、かつ穴の開口部に相対的にずらせて
配設されており、穴５を閉鎖したときにその中に過圧が
生じないことを保証する。
第２図には第１図に示した磁性流体シールの個別シー
ルギャップの縦断面拡大図が示されている。長さを
ｂ）、穴の直径をｈ）で示す。
〔発明の効果〕
本発明は、以上説明したように構成されているので、
以下に述べるような効果を奏する。
各供給穴の一端が接続する底部を備える中央貯蔵室を
ポールピースに配設することにより、貯蔵室とポールピ
ースを一体的に構成することができ、また貯蔵室と各供
給穴とを連絡する配管を廃止することができるから、簡
素化されたかつ小型の磁性流体シールが実現できる。
また、中央貯蔵室に備る中央閉鎖部材は、供給穴と中
央貯蔵室との連通を遮断して供給穴を通って中央貯蔵室
側に向おうとする磁性流体の動きを阻止することによ
り、磁性流体のシールギャップからの逸失を防止し、ま
た磁性流体シールの圧力保持力を向上することができ
る。
更に、各独立の個々の供給穴に必要量だけ磁性流体を
供給することにより、必要とされるシールギャップのみ
に磁性流体を供給することができる。更にまた、各供給
穴と連通する中央貯蔵室に磁性流体を供給することによ
り、全てのシールギャップに同時に磁性流体を供給する
こともできる。シールギャップへの供給は供給穴を介し
て正確かつ確実に行なうことができる。
また、ポールピースの円筒面が軸を同心に取り囲み、
軸との間にシールギャップを形成する環状突起が軸方向
に間隔を置いて複数個前記円筒面に突設されていること
により、磁性流体シールが軸方向に多数並設されたカス
ケード配列の多段シールが構成され、これによりシール
効果の高い磁性流体シールが実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
第１図は磁性流体シールの縦断面図、第２図は第１図に
示した磁性流体シールの拡大部分図、第３図は従来の磁
性流体シールの縦断面図を示す。 １…軸 ３…シールギャップ ４…磁性流体 ５…穴 ６…貯蔵室 11…閉鎖部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フリッツ・ヘック ドイツ連邦共和国6940ヴァインハイム, カイザーシュトラーセ・８ (72)発明者 ロルフ・フォークト ドイツ連邦共和国6836オフターシャイ ム，プランクシュタタール・シュトラー セ・15 (56)参考文献 特開 昭62−177366（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−65883（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−162663（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】シールギャップ及び該シールギャップに磁
    性流体を半径方向に送るための穴を具備する軸用磁性流
    体シールにおいて、 ポールピース（15）の円筒面（13）が軸（１）を同心に
    取り囲み、 軸（１）との間にシールギャップ（３）を形成する環状
    突起（14）が軸方向に間隔を置いて複数個前記円筒面
    （13）に突設され、 磁性流体（４）の供給穴（５）が各環状突起（14）に各
    独立に配属され、 各供給穴（５）の一端が接続する底部を備える中央貯蔵
    室（６）が前記ポールピース（15）に配設され、 各供給穴（５）と前記中央貯蔵室（６）との連通を遮断
    するべく前記底部を覆う各供給穴（５）に共通の中央閉
    鎖部材（11）が前記中央貯蔵室（６）に着脱可能に備っ
    ていることを特徴とする磁性流体シール。
  2. 【請求項２】供給穴（５）は、環状突起（14）の中央に
    配属されていることを特徴とする請求項１に記載の磁性
    流体シール。
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