JP2557125B2 - 泡沫浮遊選鉱による有価鉱物の回収法 - Google Patents

泡沫浮遊選鉱による有価鉱物の回収法

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【発明の詳細な説明】 本発明は,泡沫浮遊選鉱による鉱物の回収に関する。
浮遊選鉱は,微細鉱物固体(例えば微粉状鉱石)を液
体中に懸濁してなる混合物を処理するプロセスであり,
液体中にガスを導入(又は必要に応じてその場で供給)
して液体の上部にある特定の固体を含有した泡状の塊を
生成させ,そして鉱石の他の懸濁したままの(泡沫化さ
れていない)固体成分を液体中に残すことによって,固
体の一部が他の微細鉱物固体(例えば,シリカ,珪質脈
石,クレー,及び鉱石中に存在している他の類似物質
等)から分離される。浮遊選鉱は,異なる物質の固体粒
子を懸濁状態にて含んだ液体中にガスを導入すると,ガ
スの一部がある特定の懸濁固体に付着し(他の固体には
付着しない),付着したガスを有する粒子が液体より軽
くなる,という原理に基づいている。従って,これらの
粒子は液体の上部に浮き上がって泡沫を形成する。
泡沫浮遊選鉱によって処理される鉱物及びそれる付き
ものの脈石は,一般に適切な分離ができるだけの十分な
疎水性又は親水性を有していない。このため,泡沫浮遊
選鉱においては,分離を可能とするのに必要な性質を新
たにつくり出すか又は増強するために,種々の化学薬剤
が使用されることが多い。異なる有価鉱物の疎水性を,
従って浮遊適性を高めるために,捕収剤が使用される。
捕収剤は,(1)存在する他の鉱物種を比較的除外して
所望の鉱物種に結びつく能力;(2)泡沫浮遊選鉱につ
きものの乱流状態や剪断状態において結合を保持する能
力;そして(3)必要な程度の分離ができるよう所望の
鉱物種を充分に疎水性にする能力;を有していなければ
ならない。
捕収剤の他にも,他の多くの化学薬剤が使用される。
こうした追加使用される薬剤の種類の例としては,起泡
剤,抑制剤,pH調整剤(例えば石灰やソーダ),分散
剤,及び種々の促進剤や活性剤等がある。抑制剤は,種
々の鉱物種の親水性を高めるために,従ってそれらの浮
遊を抑制するために使用される。起泡剤は,ある程度安
定な(semi−stable)泡沫の生成を促進するために浮遊
選鉱系に加えられる薬剤である。抑制剤や捕収剤とは異
なり,起泡剤は鉱物粒子に結合したり,あるいは吸着さ
れたりする必要はない。
泡沫浮遊選鉱は,少なくとも20世紀初頭以来,鉱業に
おいて広く利用されている。多種多様な化合物が,泡沫
浮遊選鉱において捕収剤,起泡剤,及び他の薬剤として
有用であることが示されている。例えば,キサントゲン
酸エステル,単純なアルキルアミン,アルキルサルフェ
ート,アルキルスルホネート,カルボン酸,及び脂肪酸
等が,有用な捕収剤として広く受け入れられている。起
泡剤として有用な薬剤としては,メチルイソブチルカル
ビノールやグリコールエーテル等の低分子量アルコール
がある。ある特定の浮遊選鉱操作において使用する添加
剤は,鉱石の性質,浮遊選鉱が行われる条件,回収すべ
き鉱物の種類,及び併用される他の添加剤,に従って選
択される。
多くの化学薬剤が,泡沫浮遊選鉱において有用性を有
するものとして当技術者にはよく知られているけれど
も,公知の薬剤の有効性は,浮遊選鉱にかけられる鉱石
の種類並びに浮遊選鉱の条件によって大きく変わる,と
いうことも知られている。さらに,選択性,すなわち望
ましくない鉱物種を除外して望ましい鉱物種を選択的に
浮遊させる能力には特に問題がある。
鉱物類及びそれらに関連した鉱石類は,一般には硫化
物又は酸化物として類別され,後者のグループには炭酸
塩,水酸化物,硫酸塩,及びケイ酸塩が含まれる。現在
存在している鉱物はその大部分が酸化物鉱石中に含有さ
れているけれども,泡沫浮遊選鉱システムの多くは硫化
物鉱石に適用されている。酸化物鉱物の浮遊選鉱は,硫
化物鉱物の浮遊選鉱に比べて相当難しいとされており,
酸化物鉱石の回収においては,ほとんどの浮遊選鉱プロ
セスの有効性が制限されている。
鉱物(酸化物及び硫化物)の回収に対する主要なポイ
ントは選択性にある。カルボン酸,アルキルサルフェー
ト,及びアルキルスルホネート等,公知の捕収剤のいく
つかは,酸化物鉱石に対する有効な捕収剤であるとされ
ている。確かに,現行の捕収剤は,硫化物の浮遊選鉱に
おいては有用であることが知られている。しかしなが
ら,これらの捕収剤を使用すると,回収そのものは満足
できるとしても,所望の有価鉱物に対する選択性は要望
しているほどには高くなく,酸化物の浮遊選鉱の場合に
は,その選択性はあまり良くない。すなわち,回収され
た鉱物中に含まれている所望の鉱物のグレード又はパー
セントはかなり低い。
従って,硫化物鉱石及び酸化物鉱石の浮遊選鉱におい
て選択性を増大させる方法の必要性が依然として叫ばれ
ている。
本発明は泡沫浮遊選鉱によって有価鉱物を回収する方
法であって,シリカ又は珪質脈石を含有し且つ水性スラ
リーの状態になっている粒状鉱石を,回収すべき鉱物が
浮遊するような条件下で泡沫浮遊選鉱にて処理すること
を含み,このとき,エタノールアミン;プロパノールア
ミン;ブタノールアミン;乳酸;グリコール酸;β−ヒ
ドロキシ−1−プロパンスルホン酸;エチレングリコー
ル;ジエチレングリコール;プロピレングリコール;ジ
プロピレングリコール;グリセロール;トリヒドロキシ
安息香酸;ヒドロキシ安息香酸;ブチレングリコール;
ジブチレングリコール;ジエタノールアミン;ジプロパ
ノールアミン;トリプロパノールアミン;トリエタノー
ルアミン;トリブタノールアミン;スクロース;グリコ
ース;及びブドウ糖などの単純な糖アルコール;を含む
群から選ばれる有効量のヒドロキシ含有化合物を使用す
ることによって,シリカ又は珪質脈石の浮遊が抑制され
る,という前記回収法を提供する。本発明の泡沫浮遊選
鉱プロセスはさらに,捕収剤,起泡剤,及び当業界に公
知の他の浮遊選鉱用薬剤を使用する。
選択性が改良されるということは,回収される鉱物の
トータル量及び/又は回収される鉱物のグレードがアッ
プすると共に,回収されない(すなわち水相中に残留す
る)シリカ又は珪質脈石の量も増大する,ということを
意味する。従って,本発明のプロセスによって,シリカ
及び/又は珪質脈石を所望の有価鉱物から分離する能力
が高められる。すなわち,シリカ又は珪質脈石が浮遊す
る傾向が弱まる。
本発明の浮遊選鉱プロセスは,酸化物鉱物も含めた種
々の鉱物を泡沫浮遊選鉱によって回収するのに有用であ
る。
本発明の浮遊選鉱プロセスは,種々の鉱石から有価鉱
物を回収するのに有用である。ここで言う鉱石とは,地
中から採鉱されたまま鉱物を表わし,脈石と混ぜ合わさ
れた鉱物含有種を含む。脈石は殆どあるいは全く価値が
なく,有価鉱物から分離しなければならない物質であ
る。本発明においては,脈石は特にシリカと珪質物質を
含んだ物質である。
当技術者にはよく知られているが,異なるタイプの鉱
石に対しては異なるタイプの捕収剤が有効である。酸化
物鉱石の浮遊選鉱においては,ある特定のアニオン性捕
収剤が特に有効であることが見出されている。本発明の
プロセスによって処理することのできる酸化物鉱物は,
酸化物だけでなく,炭酸塩,硫酸塩,及びケイ酸塩を含
んでいる。酸化物鉱石の浮遊選鉱におけるその有効性の
他に,本発明の浮遊選鉱プロセスにおけるアニオン性捕
収剤は,硫化物鉱石及び酸化物/硫化物混合鉱石に対し
ても有効であることが見出されている。
本発明のプロセスを使用して浮遊させることのできる
酸化物鉱石の例としては,酸化鉄,酸化ニッケル,酸化
リン,酸化銅,及び酸化チタン等があるが,これらに限
定されない。本発明のプロセスを使用して浮遊させるこ
とのできる他の種類の酵素含有鉱物としては,方解石や
ドロマイト等の炭酸塩,及びボーキサイト等の水酸化物
がある。
後述するアニオン性捕収剤を使用した本発明のプロセ
スは,種々の硫化物鉱石の浮遊選鉱に対しても有用であ
る。本発明のプロセスによって浮遊させることのできる
硫化物鉱石の例としては,黄銅鉱,輝銅鉱,方鉛鉱,黄
鉄鉱,閃亜鉛鉱,及び硫鉄ニッケル鉱等を含んだ鉱石が
あるが,これらに限定されない。
金,銀,及び白金族金属(白金,ルテニウム,ロジウ
ム,パラシウム,オスミウム,及びイリジウムを含む)
のような貴金属も,本発明のプロセスによって回収する
ことができる。例えば,このような金属は,酸化物鉱石
及び/又は硫化物鉱石に付随して見出されることがあ
る。例えば,白金はしばしば単硫鉄鉱に付随して見出さ
れる。本発明のプロセスによって,このような金属を高
収率で回収することができる。
本発明のプロセスを使用して泡沫浮遊選鉱に付すこと
のできる酸化物鉱石の例としては,錫石,赤鉄鉱,赤銅
鉱,バレライト,方解石,滑石,カオリン,燐灰石,ド
ロマイト,ボーキサイト,スピネル,コランダム,ラテ
ライト,藍銅鉱,ルチル,磁鉄鉱,コロンバイト,チタ
ン鉄鉱,菱亜鉛鉱,硫酸鉛鉱,灰重石,クロム鉄鉱,箔
鉛鉱,軟マンガン鉱,孔雀石,珪孔雀石,紅亜鉛鉱,マ
シコット,鉄マンガン鉱,鋭錐石,板チタン石,酸化タ
ングステン鉱,閃ウラン鉱,ゴム石,水滑石,水マンガ
ン鉱,硬マンガン鉱,針鉄鉱,褐鉄鉱,金緑石,マイク
ロ石,タンタライト,及びサマルスカイト等を含んだ鉱
石があるが,これらに限定されない。当技術者には,本
発明の泡沫浮遊選鉱プロセスが酸化物鉱石を含んださら
に他の鉱石を処理するのにも有用であることがわかり,
このとき酸化物とは,酸化物鉱石や硫化物鉱石だけでな
く,炭酸塩,水酸化物,硫酸塩,及びケイ酸塩を含むも
のと定義される。
アニオン性チオール捕収剤を使用した本発明のプロセ
スが有用であるような鉱石としては,銅,亜鉛,モリブ
デン,コバルト,ニッケル,鉛,砒素,銀,クロム,
金,白金,ウラン,及びこれらの混合物を含有した硫化
物鉱石がある。本発明の組成物とプロセスを使用した泡
沫浮遊選鉱によって濃縮することのできる金属含有硫化
物鉱物の例としては,銅藍(CuS),輝銅鉱(Cu2S),
黄銅鉱(CuFeS2),班銅鉱(Cu5FeS4),バレライト(C
u2Fe4S7又はCu3Fe4S7),四面銅鉱(Cu3SbS2),硫砒銅
鉱(Cu3(As2Sb)S4),砒四面銅鉱(Cu12As4S13),キ
ューバナイト(Cu2SFe4S5),水タンバン(Cu4(OH)6S
O4),アントレライト(Cu3SO4(OH)),ファマチナ
イト(Cu3(SbAs)S4),及び車骨鉱(PbCuSbS3)等の
銅保有鉱物;方鉛鉱(PbS)等の鉛保有鉱物;輝安鉱(S
b2S3)等のアンチモン保有鉱物;閃亜鉛鉱(ZnS)等の
亜鉛保有鉱物;脆安銀鉱(Ag5SbS4)や輝銀鉱(Ag2S)
等の銀保有鉱物;ドーブレーライト(FeSCrS3)等のク
ロム保有鉱物;硫鉄ニッケル鉱〔(FeNi)9S8〕等のニ
ッケル保有鉱物;輝水鉛鉱(MoS2)等のモリブデン保有
鉱物;並びにクーパー鉱〔Pt(AsS)〕等の白金及び
パラジウム保有鉱物;がある。好ましい金属含有硫化物
鉱物としては,輝水鉛鉱(MoS2),黄銅鉱(CuFeS2),
輝銅鉱(Cu2S),方鉛鉱(PbS),閃亜鉛鉱(ZnS),班
銅鉱(Cu5FeS4),及び硫鉄ニッケル鉱〔(FeNi)9S8
等がある。
硫化処理した金属を含有した酸化物鉱物は,鉱物に硫
化物鉱物の特性が付与されるよう,硫化処理された鉱物
である。このように処理された鉱物は,硫化物鉱物を回
収する捕収剤を使用した泡沫浮遊選鉱にて回収すること
ができる。硫化処理を行うと,硫化物鉱物の特性を有す
る酸化物鉱物が得られる。酸化物鉱物を,酸化物鉱物と
反応してイオウ結合を形成する化合物と接触させること
によって,酸化物鉱物が硫化処理される。こうした方法
は,当業界ではよく知られている。このような化合物と
しては,水硫化ナトリウム,硫酸,及び関連のイオウ含
有塩(例えば塩化ナトリウム)等がある。
硫化処理金属を含有した酸化物鉱物及び後述のチオー
ル捕収剤を使用したプロセスが有用であるような酸化物
鉱物としては,銅,アルミニウム,鉄,チタン,マグネ
シウム,クロム,タングステン,モリブデン,マンガ
ン,錫,ウラン,及びこれらの混合物,を含んだ酸化物
鉱物がある。後述するチオール捕収剤を使用した泡沫浮
遊選鉱によって硫化処理することのできる金属含有鉱物
の例としては,孔雀石(Cu2(OH)2CO3),藍銅鉱(Cu3
(OH)(CO3),赤銅鉱(Cu2O),緑塩銅鉱(Cuz
Cl(OH)),黒銅鉱(CuO),及び珪孔雀石(CuSi
O3)等の銅保有鉱物;コランダム等のアルミニウム保有
鉱物;紅亜鉛鉱(ZnO)や菱亜鉛鉱(ZnCO3)等の亜鉛保
有鉱物;鉄マンガン重石〔(FezMn)WO4〕等のタングス
テン保有鉱物;ブンゼナイト(NiO)等のニッケル保有
鉱物;水鉛鉛鉱(PbMoO4)やパウエライト(CaMoO4)等
のモリブデン保有鉱物;赤鉄鉱や磁鉄鉱等の鉄含有鉱
物;クロム鉄鉱(FeOCr2O3)等のクロム含有鉱物;チタ
ン鉄鉱等の鉄・チタン含有鉱物;スピネル等のマグネシ
ウム・アルミニウム含有鉱物;ルチル等のチタン含有鉱
物;軟マンガン鉱等のマンガン含有鉱物;錫石等の錫含
有鉱物;並びに閃ウラン鉱,瀝青ウラン鉱(U2O5(U
3O8)),及びゴム石(UO3nH2O)等のウラン含有鉱物;
がある。
本プロセスにおいてチオール捕収剤の使用が有用であ
るような他の金属含有鉱物としては,シルバニア鉱(Au
AgTe2)やカラベライト(AuTe)等の金含有鉱物;砒白
金鉱(PtAs2)等の白金・パラジウム保有鉱物;及びテ
ルル銀鉱(AgTe2)等の銀保有鉱物;がある。さらに,
金属状態にて産出される金属(例えば金,銀,及び銅)
も含まれる。
本発明の好ましい実施態様においては,銅を含有した
硫化物鉱物,ニッケルを含有した硫化物鉱物,鉛を含有
した硫化物鉱物,亜鉛を含有した硫化物鉱物,又はモリ
ブデンを含有した硫化物鉱物が回収される。さらに好ま
しい実施態様においては,銅を含有した硫化鉱物が回収
される。
鉱石は,酸化物鉱石として,又は硫化物鉱石として常
に純粋に存在するわけではない。天然に産出する鉱石
は,イオウ含有鉱物と酸素含有鉱物の両方(そして場合
によっては貴金属も)を含むことがある。本発明のプロ
セスによって,このような鉱石中に見出される酸化物か
ら金属を回収することができる。回収は二段階の浮遊選
鉱によって行われ,このとき第一段階は,主として硫化
物鉱物を回収するための従来の硫化物浮遊選鉱からな
り,浮遊選鉱の第二段階は,主として酸化物鉱物を回収
するためのアニオン性捕収剤を使用した本発明のプロセ
スを利用する。これとは別に,本発明のプロセスによっ
て,種々のタイプの鉱物を同時に回収することもでき
る。
天然に見出される鉱石の浮遊選鉱の他に,本発明の浮
遊選鉱プロセスは,他の供給源からの酸化物及び硫化物
の浮遊選鉱に対しても有用である。例えば,種々のプロ
セス(重液選鉱,磁気選鉱,金属加工,及び石油精製
等)からの廃物は酸化物及び/又は硫化物を含有してお
り,これらは本発明の浮遊選鉱プロセスを使用すること
によって回収することができる。
本発明のプロセスに対しては,種々のアニオン性捕収
剤が有用である。アニオン性捕収剤のアニオン部分は,
カルボン酸,スルホン酸,硫酸,リン酸,又はホスホン
酸から誘導される。さらに,アニオン性捕収剤は疎水性
である。その疎水性は,飽和もしくは不飽和のヒドロカ
ルビル部分,又は飽和もしくは不飽和の置換ヒドロカル
ビル部分から誘導される。適切なヒドロカルビル部分の
例としては,直鎖又は枝分かれ鎖のアルキル,アリール
アルキル,及びアルキルアリール基がある。ヒドロカル
ビル基に対する置換基の例としては,アルコキシ基,エ
ーテル基,アミノ基,ヒドロキシル基,及びカルボキシ
ル基等があるが,これらに限定されない。ヒドロカルビ
ル部分が不飽和である場合,該ヒドロカルビル部分はエ
チレン性不飽和があるのが好ましい。さらに,アニオン
界面活性剤は,化合物の混合物であってもよいことに留
意しなければならい。
アニオン性捕収剤は,使用条件下にていずれの形態の
ほうが溶解性が良いか,という点に応じて酸の形態又は
塩の形態において使用される。アニオン性捕収剤の適切
な形態は,使用する捕収剤の種類及び浮遊選鉱プロセス
における他の条件に応じて変わる。本発明において有用
なアニオン性捕収剤のあるものは使用条件下において酸
の形態にて溶解するが,他のものは塩の形態にて溶解す
る,ということを当技術者は熟知している。例えば,オ
レイン酸は酸の形態で使用するのが好ましく,飽和カル
ボン酸は塩の形態で使用するのが好ましい。本発明のア
ニオン性捕収剤が塩の形態で使用される場合,対イオン
は,カルシウムイオン,マグネシウムイオン,ナトリウ
ムイオン,カリウムイオン,又はアンモニウムイオン等
のいずれであってもよい。前述したように,適切な対イ
オンの選択は,使用するアニオン性捕収剤の種類及びそ
の溶解性によって決まる。一般には,対イオンはナトリ
ウムイオン,カリウムイオン,又はアンモニウムイオン
であるのが好ましい。
適切なアニオン性捕収剤の例としては,リノレン酸,
オレイン酸,ラウリン酸,リノール酸,オクタン酸,カ
プリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン
酸,アラキン酸,ベヘン酸,2−ナフタレンスルホン酸,
ラウリル硫酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム,ド
デカンスルホン酸ナトリウム(dodecane sodium sulfon
ic acid),ヘキサデシルスルホン酸,ドデシル硫酸ナ
トリウム,ドデシルホスフェート,ドデシルホスホン酸
の塩化物誘導体,2−ナフトエ酸,ピメリン酸,ドデシル
ベンゼンスルホネート,及びこれらの混合物等がある
が,これらに限定されない。
カルボン酸やスルホン酸から誘導されるものも好まし
いアニオン性捕収剤に含まれる。カルボン酸から誘導さ
れるアニオン性界面活性剤の場合,オレイン酸,リノー
ル酸,及びリノレン酸等の不飽和酸,又はこれらの混合
物が好ましい。これらカルボン酸混合物の例としては,
トール油やヤシ油がある。
アニオン性捕収剤がスルホン酸から誘導される場合,
アルキル又はアルキルアリールスルホン酸を使用するの
が好ましい。好ましいスルホン酸の例としては,ドデシ
ルベンゼンスルホン酸,ドデシルスルホン酸,アルキル
化ジフェニルオキシドモノスルホン酸,及びこれらの混
合物等がある。
本発明のチオール捕収剤は,チオカーボネート,チオ
ノカルバメート(thionocarbamate),チオカルボアニ
リド,チオホスフェート,チオホスフィネート,メルカ
プタン,キサントゲンホルメート,キサントゲン酸エス
テル,及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合
物である。
好ましいチオカーボネートは,構造式 (式中,R1は独立にC1-20であって,好ましくはC2-16,さ
らに好ましくはC3-12アルキル基であり;Z1とZ2はそれぞ
れ独立にイオウ原子又は酸素原子であり;そしてM+はア
ルカリ金属カチオンである)で表わされるアルキルチオ
カーボネートである。上記構造式で表わされる化合物と
しては,アルキルチオカーボネート(Z1とZ2が酸素であ
る),アルキルジチオカーボネート(Z1が酸素で,Z2
イオウである),及びアルキルトリチオカーボネート
(Z1とZ2がイオウである)がある。
好ましいアルキルモノチオカーボネートの例として
は,エチルモノチオ炭酸ナトリウム,イソプロピルモノ
チオ炭酸ナトリウム,イソブチルモノチオ炭酸ナトリウ
ム,アミルモノチオ炭酸ナトリウム,エチルモノチオ炭
酸カリウム,イソプロピルモノチオ炭酸カリウム,イソ
ブチルモノチオ炭酸カリウム,及びアミルモノチオ炭酸
カリウム等がある。好ましいアルキルジチオカーボネー
トとしては,エチルジチオ炭酸カリウム,エチルジチオ
炭酸ナトリウム,アミルジチオ炭酸カリウム,アミルジ
チオ炭酸ナトリウム,イソプロピルジチオ炭酸カリウ
ム,イソプロピルジチオ炭酸ナトリウム,sec−ブチルジ
チオ炭酸ナトリウム,sec−ブチルジチオ炭酸カリウム,
イソブチルジチオ炭酸ナトリウム,及びイソブチルジチ
オ炭酸カリウム等がある。アルキルトリチオカーボネー
トの例としては,イソブチルトリチオ炭酸ナトリウム及
びイソブチルトリチオ炭酸カリウム等がある。多くの場
合,アルキルモノチオカーボネート,アルキルジチオカ
ーボネート,及びアルキルトリチオカーボネートの混合
物を使用するのが好ましい。
好ましいチオノカルバメートは,式 (式中,各R2はそれぞれ独立にC1-10であって,好まし
くはC1-4,さらに好ましくはC1-3アルキル基であり;Yは
−S-M+又は−OR3であって,このときR3はC1-10,好まし
くはC2-6,さらに好ましくはC3-4アルキル基であり;aは
1又は2の整数であり;そしてbは0又は1の整数であ
って,このときa+b=2でなければならない)で表わ
されるチオノカルバメートである。
好ましいチオノカルバメートとしては,ジアルキルジ
チオカルバメート(a=2,b=0,そしてYは−S-M+であ
る)及びアルキルチオノカルバメート(a=1,b=1,そ
してYは−OR3である)がある。好ましいジアルキルジ
チオカルバメートの例としては,メチルブチルジチオカ
ルバメート,メチルイソブチルジチオカルバメート,メ
チルsec−ブチルチオカルバメート,メチルプロピルジ
チオカルバメート,メチルイソプロピルジチオカルバメ
ート,エチルブチルジチオカルバメート,エチルイソブ
チルジチオカルバメート,エチルsec−ブチルジチオカ
ルバメート,エチルプロピルジチオカルバメート,及び
エチルイソプロピルジチオカルバメート等がある。好ま
しいアルキルチオノカルバメートの例としては,N−メチ
ルブチルチオノカルバメート,N−メチルイソブチルチオ
ノカルバメート,N−メチルsec−ブチルチオノカルバメ
ート,N−メチルプロピルチオノカルバメート,N−メチル
イソプロピルチオノカルバメート,N−メチルブチルチオ
ノカルバメート,N−エチルイソブチルチオノカルバメー
ト,N−エチルsec−ブチルチオノカルバメート,N−エチ
ルプロピルチオノカルバメート,及びN−エチルイソプ
ロピルチオノカルバメート等がある。上記化合物のうち
では,N−エチルイソプロピルチオノカルバメート及びN
−エチルイソブチルチオノカルバメートが最も好まし
い。
本発明において有用なチオホスフェートは,一般構造
〔式中,各R4はそれぞれ独立に水素又はC1-10アルキル
(好ましくはC2-8アルキル)又はアリール(好ましくは
6〜10個の炭素原子を有するアリール基,さらに好まし
くはクレジル基)であり;Zは酸素又はイオウであり;そ
してMはアルカリ金属カチオンである〕で表わされるチ
オホスフェートである。
好ましいチオホスフェートとしては,モノアルキルジ
チオホスフェート(一方のR4が水素であり,他方のR4
C1-10アルキルであり,そしてZがSである),及びジ
アルキルモノチオホスフェート(R4が共にC1-10アルキ
ルであって,Zが0である)がある。
好ましいモノアルキルジチオホスフェートの例として
は,エチルジチオホスフェート,プロピルジチオホスフ
ェート,イソプロピルジチオホスフェート,ブチルジチ
オホスフェート,sec−ブチルジチオホスフェート,及び
イソブチルジチオホスフェート等がある。ジアルキルジ
チオホスフェート又はアリールジチオホスフェートの例
としては,ジエチルジチオリン酸ナトリウム,ジ−sec
−ブチルジチオリン酸ナトリウム,ジイソブチルジチオ
リン酸ナトリウム,及びジイソアミルジチオリン酸ナト
リウム等がある。好ましいモノチオホスフェートとして
は,ジエチルモノリン酸ナトリウム,ジ−sec−ブチル
モノチオリン酸ナトリウム,ジイソブチルモノチオリン
酸ナトリウム,及びジイソアミルモノチオリン酸ナトリ
ウム等がある。
チオカルボアニリド(ジアルキリチオウレア)は,一
般構造式 〔式中,各R5はそれぞれ独立にH又はC1-6(好ましくは
C1-3)のヒドロカルビル基である〕で表わされる化合物
である。
チオホスフィネートは,一般構造式 〔式中,M+は前記にて規定した通りであり;各R6はそれ
ぞれ独立にアルキル基又はアリール基(好ましくは1〜
12個の炭素原子を有するアルキル基,さらに好ましくは
1〜8個の炭素原子を有するアルキル基,最も好ましく
はイソブチル基)である〕で表わされる化合物である。
メルカプタン捕収剤は,好ましくは,一般式 R7−S−H 〔式中,R7はアルキル基(好ましくは少なくとも10個の
炭素原子を有するアルキル基,さらに好ましくは10〜16
個の炭素原子を有するアルキル基)である〕で表わされ
る化合物である。
キサントゲンホルメートは,一般構造式 〔式中,R8は1〜7個(好ましくは2〜6個)の炭素原
子を有するアルキル基であり;R9は1〜6個(好ましく
は2〜4個,さらに好ましくは2又は3個)の炭素原子
を有するアルキル基である〕で表わされる化合物であ
る。
キサントゲン酸エステルは,一般構造式 〔式中,R10はアリル基であり;R11は1〜7個の炭素原子
を有するアルキル基である)で表わされる化合物であ
る。
捕収剤として使用される好ましいチオール化合物は,
回収率が極めて高いこと及び有価鉱物に対する選択性が
高いことから,チオカーボネート,チオノカルバメー
ト,及びチオホスフェートである。
当技術者には公知となっていることであるが,上記の
チオール捕収剤は,硫化物鉱物又は硫化処理された酸化
物鉱物の浮遊選鉱に対して特に有用である。上記の他の
アニオン性捕収剤はある特定の硫化物鉱物の浮遊選鉱に
対して有用であるが,さらに酸化物鉱物の浮遊選鉱に対
しても極めて有用である。
本発明のプロセスにおいて有用なヒドロキシ含有化合
物は,少なくとも1つの−OH部分を有する化合物であ
る。本ヒドロキシ含有化合物は,使用条件下にて本質的
に起泡しないよう選択される。本発明の目的に対し,非
起泡化合物とは,使用条件下における起泡作用が最小で
あるような化合物を言う。当技術者にはよく知られてい
ることであるが,アルコールのような単純なヒドロキシ
含有化合物について考察してみると,その起泡能力は一
般に,炭素原子数が最高約6個又は7個までは,アルコ
ールの炭素原子数が増えるにつれて増大する。炭素原子
数がこの点に達すると,アルコールの起泡剤として有効
性は低下する。従って,ある使用条件下においては,オ
クタノール,ノナノール,デカノール,ウンデカノー
ル,及びドデカノール等の一価アルコール類が,非起泡
性のヒドロキシ含有化合物として有用である。比較的高
純度の水を使用した実験室規模の検討により,これらの
アルコール類は,本発明のプロセスにおいて非起泡性で
あり且つ有用である,ということが見出されている。し
かしながら,殆どの実際的な使用条件下においては,こ
れらのアルコール類はかなり起泡を示し,従ってこれら
の使用は好ましくない。
本発明のプロセスにおいて有用なヒドロキシ含有化合
物としては,エタノールアミン,プロパノールアミン,
ブタノールアミン,乳酸,グリコール酸,β−ヒドロキ
シ−1−プロパンスルホン酸,エチレングリコール,ジ
エチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピ
レングリコール,グリセロール,トリヒドロキシ安息香
酸,ヒドロキシ安息香酸,ブチレングリコール,ジブチ
レングリコール,ジエタノールアミン,ジプロパノール
アミン,トリプロパノールアミン,トリエタノールアミ
ン,並びにスクロース,グリコース,及びブドウ糖のよ
うな単純な糖アルコール等がある。
より好ましい実施態様においては,ヒドロキシ含有化
合物はアルカノールアミンであり,さらに好ましくは低
級アルカノールアミンである。本発明のプロセスにおい
て有用な低級アルカノールアミンの例としては,エタノ
ールアミン,プロパノールアミン,ブタノールアミン,
ジエタノールアミン,ジプロパノールアミン,トリプロ
パノールアミン,トリエタノールアミン,及びこれらの
混合物等があるが,これらに限定されない。
本発明のプロセスにおいて有用なアルカノールアミン
は工業的に製造されている。当技術者には公知のことで
あるが,市販のアルカノールアミンは種々の異なる純度
を有する。例えば,市販のジエタノールアミンは,種々
の量のエタノールアミン及び/又はトリエタノールアミ
ンを含有している。このようなアルカノールアミンで
も,本発明のプロセスにおいては適切に使用しうる。
ヒドロキシ含有化合物は,フロートセル(floatcel
l)中に直接加えてもよいし,あるいは粉砕工程時に加
えてもよい。好ましい添加時間は,浮遊化される鉱石の
種類,存在している他の薬剤,及び使用される処理シス
テムに応じて変わる。ヒドロキシ含有化合物は,浮遊選
鉱プロセスに加える前に捕収剤と予備混合されない。ヒ
ドロキシ含有化合物は,捕収剤とは別々に浮遊選鉱プロ
セスに加えるものが好ましい。さらに,ヒドロキシ含有
化合物は,捕収剤を加える前に加えるのが好ましい。ヒ
ドロキシ含有化合物は,例えば粉砕工程時に加えられ
る。
捕収剤は,所望の有価金属が回収されるようないかな
る濃度にても使用することができる。特に,使用する濃
度は,回収すべき鉱物の種類,泡沫浮遊選鉱にて処理さ
れる鉱石のグレード,及び回収すべき鉱物の所望の品質
によって決まる。投入レベルを決定する際に考慮すべき
さらなるファクターとしては,処理される鉱石の表面積
がある。当技術者には公知のことであるが,粒径が小さ
くなるほど,充分な回収率とグレードを得るのに必要な
捕収剤の量は多くなる。
捕収剤の濃度は,好ましくは少なくとも約0.001kg/メ
ートルトンであり,さらに好ましくは少なくとも約0.00
5kg/メートルトンである。捕収剤のトータル濃度は約5.
0kg/メートルトン以下であるのが好ましく,さらに好ま
しくは約2.5kg/メートルトン以下である。さらに,捕収
剤の濃度は少なくとも約0.005kg/メートルトンであって
且つ約0.100kg/メートルトン以下であるのが好ましい。
一般には,低めの濃度範囲から始め,徐々に濃度を上げ
て最適の性能を得るのが好ましい。
本発明において有用なヒドロキシ含有化合物の濃度
は,好ましくは少なくとも約0.001kg/メートルトンであ
って且つ約5.0kg/メートルトン以下である。さらに好ま
しい濃度は,少なくとも約0.005kg/メートルトンであっ
て且つ約0.500kg/メートルトンである。前述したよう
に,一般には低めの濃度範囲から始め,徐々に濃度を上
げて最適の性能を得るのが好ましい。硫化物鉱物の浮遊
選鉱においてチオール捕収剤が使用される場合には,こ
のことは特に重要である。なぜなら,一般的な傾向とし
て,選択性は全体としての回収率の犠牲のもとに上昇す
るからである。
ある鉱物の回収においては,複数の段階にて浮遊選鉱
システムに捕収剤を加えるのが有利であることが見出さ
れている。複数の段階にて加えるということは,捕収剤
の全投入量の一部が加えられる;泡沫の濃縮物が捕集さ
れる;捕収剤の他の部分が加えられる;そして泡沫の濃
縮物が再び捕集される;ということを意味する。複数段
階の添加を数回繰り返して,最適の回収とグレードを得
ることができる。捕収剤が加えられる段階の数は,実際
上及び経済上の制約によってのみ限定される。約6段階
以下にて加えるのが好ましい。
本発明の浮遊選鉱プロセスにおいては,本発明の捕収
剤及びヒドロキシ含有化合物の他に,他の捕収剤も含め
て,従来の添加剤を使用することができる。このような
添加剤の例としては,抑制剤や分散剤がある。これらの
添加剤に加えて起泡剤があり,この起泡剤を使用するの
も好ましい。起泡剤は当業界ではよく知られているが,
本発明の目的上,これについて以下に言及する。有用な
起泡剤の例としては,C5-8アルコール,パイン油,クレ
ゾール,ポリプロピレングリコールのC1-6アルキルエー
テル,ポリプロピレングリコールのジヒドロキシレー
ト,グリコール脂肪酸,ソープ,アルキルアリールスル
ホネート,及びこれらの混合物等があるが,これらに限
定されない。
本発明のアニオン性捕収剤を使用する場合,浮遊選鉱
プロセスにおいてはpHが重要な役割を果す。本発明のア
ニオン性捕収剤の性質は,回収すべき特定の酸化物鉱物
の電荷特性(charge characteristics)に関係する。従
って,本発明の泡沫浮遊選鉱プロセスにおいては,pHが
重要な役割を果たす。ある特定の理論付けを行うつもり
はないが,アニオン性捕収剤は,鉱物表面との電荷相互
作用を通して少なくとも部分的には酸化物に結合すると
考えられる。従って,本発明のプロセスにおいては,酸
化物鉱物の電荷が結合にとって適切であるようなpH条件
が必要とされる。
浮遊選鉱システムにおけるpHは,当技術者に公知の種
々の方法によって調節することができる。pHを調節する
のに通常使用される薬剤は石灰である。しかしながら,
本発明のプロセスにおいては,水酸化カリウム,水酸化
ナトリウム,及び炭酸ナトリウム等の薬剤,並びに一価
のカチオンを有する他の薬剤を使用してpHを調節するの
が好ましい。水酸化マグネシウムや水酸化カルシウム等
の二価のカチオンを有する薬剤も使用することができる
が好ましくない。なぜなら,これらの薬剤を使用する
と,より多くの量の捕収剤を使用することが必要となる
からである。アニオン性捕収剤がスルホン酸や硫酸から
誘導される場合,二価のカチオン及び/又は金属カチオ
ンが存在していてもあまり影響はない,ということに留
意しなければならない。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが,本発明は
これによって限定されるものではない。特に明記しない
限り,部及びパーセントは全て重量基準である。
以下の実施例は,ハリモンドチューブによる浮遊選
鉱,及び実験室規模の浮遊選鉱槽にて行った浮遊選鉱に
関する検討を含む。ハリモンドチューブにより浮遊選鉱
は捕収剤を選別する簡単な方法であるが,実際の浮遊選
鉱において選別された捕収剤が必ずしも好適であるとは
限らない,という点に留意しなければならない。ハリモ
ンドチューブによる浮遊選鉱では,実際の浮遊選鉱にお
いて生じる剪断状態又は撹拌状態は含まれず,また起泡
剤の影響も調べられない。従って,ハリモンドチューブ
による浮遊選鉱において有効な捕収剤が,実際の浮遊選
鉱においては必ずしも有効であるとは限らない。経験に
よれば,ハリモンドチューブにおいて満足できる回収を
得るのに必要な捕収剤の投入量は,浮遊選鉱槽による試
験において必要とされる投入量よりしばしばかなり多
い,という点に留意しなければならない。従って,ハリ
モンドチューブによる検討では,実際の浮遊選鉱槽にお
いて必要とされる投入量を正確に予測することはできな
い。
実施例1−孔雀石とシリカに対するハリモンドチューブ
による浮遊選鉱 本実施例では,ハリモンドチューブを使用して,銅の
浮遊選鉱に及ぼす種々の捕収剤の影響を調べた。約1.1g
の(1)孔雀石〔Cu2CO3(OH)の式を有する銅酸化物
鉱物〕又は(2)シリカを約−90〜+120のU.S.メッシ
ュに分類し,約20mlの脱イオン水と共に小さなボトル中
に入れた。本混合物を30秒振盪し,懸濁状態の微細固体
又はスライムを含有した水相をデカントした。この脱ス
ライム工程を数回繰り返した。
150mlの脱イオン水を250mlのガラスビーカー中に入れ
た。次いで,0.10モル濃度の硝酸カリウム水溶液2.0mlを
緩衝用電解質として加えた。0.10N HCl及び/又は0.10N
NaOHを添加すことによって,pHを約10.0に調節した。次
に,脱スライム処理した鉱物1.0gを脱イオン水と共に加
えて,全容積を約180mlとした。捕収剤とヒドロキシ含
有化合物(下記の第I表に記載)を加え,15分撹拌して
状態調節した。pHを観察し,必要に応じて調節した。
180mlチューブの基部において中空ニードルが取り付
けられるように設計されたハリモンドチューブ中に,こ
のスラリーを移した。スラリーをハリモンドチューブに
加えた後,5インチ(12.7cm)Hgの減圧を10分間,該チュ
ーブの開口部にかけた。この減圧により,該チューブの
基部に挿入した中空ニードルを介してチューブ中に気泡
が入り込んだ。浮遊選鉱操作中,200回転/分(RPM)に
設定された電磁撹拌機を使用して撹拌を行った。
浮遊した物質と浮遊しない物質をスラリーから濾別
し,100℃でオーブン乾燥した。各部分を秤量した。各試
験が終了した後,次の試験を始める前に,装置全てを濃
塩酸で洗浄してから0.10NのNaOHと脱イオン水ですすぎ
洗いした。
上記の手順を使用することにより,そして捕収剤とヒ
ドロキシ含有化合物の種類を変えることにより得られた
結果は第I表に示す。記載されている孔雀石とシリカの
回収量は,ハリモンドチューブ中に入れた初期鉱物量に
対する分率(fractional portion)で表示されている。
従って,1.00の回収量とは,目的とする鉱物の全てが回
収されたことを表わす。各試験に対して銅とシリカの回
収量がそれぞれ記載されているが,これらのデータは,
実際には同一の条件にて行われた2つの別の実験に基づ
いたものである,ということに留意しなければならな
い。さらに,シリカの回収量が低いということは,銅に
対する選択性がよいことを示していると考えられる。銅
の回収に関して与えられた値はほぼ±0.05の範囲で正確
であり,またシリカの回収に関して与えられた値はほぼ
±0.03の範囲で正確である。
第I表のデータから,本発明が,ハリモンドチューブ
においては広範囲にわたって有効性を示すことがわか
る。さらに第I表のデータから,ヒドロキシ含有化合物
は単独では一般に捕収剤として充分に機能しないことが
わかる。
実施例2−珪孔雀石とシリカに対するハリモンドチュー
ブによる浮遊選鉱 孔雀石の代わりに珪孔雀石(Cu2H2Si2O5(OH))を
使用したこと以外は,実施例1に記載の手順に従って行
った。さらに,いくつかの場合においては,異なる捕収
剤とヒドロキシ含有化合物を使用した。得られた結果を
第II表に示す。
第II表のデータは,実施例1に関して述べた種々の制
限条件内にて,ハリモンドチューブによる浮遊選鉱にお
ける珪孔雀石からの銅の回収において本発明が一般に有
効であることを示している。これらの実験結果から,ヒ
ドロキシ含有化合物とアニオン界面活性剤を使用する
と,どちらかの成分だけを使用した場合に比較して,銅
の回収量が増大するか,又はシリカの回収量が低下する
か,又はその両方が起こる。
実施例3−混合銅酸化物鉱石の浮遊選鉱 本実施例においては,実験室用の浮遊選鉱槽における
銅鉱石の浮遊選鉱に及ぼす,種々の捕収剤及びヒドロキ
シ含有化合物の影響を検討した。1サンプル当たり500g
を含有した中央アフリカからの銅のサンプルを用意し
た。本鉱石は約76重量%の孔雀石を含有し,残分は珪孔
雀石と輝銅鉱から構成されている。500gの鉱石を257gの
脱イオン水と共に,ロッドミル中にて,約60RPMで2分
間粉砕処理した。
次いで,得られたパルプを脱スライム処理した。パル
プ浮遊選鉱槽中に入れた。槽に水を満たし,炭酸ナトリ
ウムを使用してスラリーのpHを9.2に調整し,そして5
分間撹拌した。槽中の固体を120秒で沈降させ,微粉固
体を含有した水相をデカントした。このプロセスを4回
繰り返した。この脱スライム処理したパルプを実験8に
て使用した。実験1〜7においては,この脱スライム工
程を省略した。
自動パドル除去システム(automatic paddle removal
system)を取り付けた1500mlのアジテアー・フローテ
ーション・セル(Agitair Flotaion cell)中に,パル
プを移した。必要に応じて炭酸ナトリウムを加えること
により,スラリーのpHを9.2に調整した。第III表に記載
の捕収剤とヒドロキシ含有化合物を,第III表に明記し
た量にて別々にスラリーに加え,各添加終了後に1分
間,スラリーを状態調節した。ポリグリコールエーテル
起泡剤を乾燥鉱石1トン当たり40gの量にて加え,スラ
リーをさらに1分間状態調節した。
浮遊選鉱槽を1150RPMで撹拌し,4.5/分の速度で空
気を導入した。空気が最初に槽中に導入された後,泡沫
濃厚物のサンプルを1.0〜6.0分の間隔で集めた。尾鉱の
サンプルと濃厚物のサンプルを乾燥し,計量し,そして
微粉砕して分析に供した。微粉砕した後,酸を使用して
これらサンプルを溶解し,DCプラズマ分光計によって銅
の含量を測定した。分析データを使用して回収分率を求
め,また標準的な質量平衡式(mass balance formula
s)を使用してグレードを決定した。
このようにして得られたデータを以下の第III表に示
す。
第III表のデータは,実際の浮遊選鉱条件に近い条件
下において,本発明が有効であることを示している。実
験1(本発明の実施様態ではない)は,現在工業的に行
われているものに近い。実験3,5及び7(本発明の実施
例である)は,銅の回収に対して本発明のプロセスが有
効であることを示している。
実施例4−珪孔雀石鉱石の浮遊選鉱 中央アフリカからの鉱石を500g含有した一連のサンプ
ルを作製した。本鉱石は,珪孔雀石を90%以上含み,残
部は他の銅酸化物鉱物と脈石から構成されている。500
−gサンプルを脱イオン水と共に,ロッドミル中にて,
約60RPMで6分間砕処理した。こうして得られたパルプ
を,自動パドル除去システムを取り付けた1500ml容量の
アジテアー浮遊選鉱槽に移した。炭酸ナトリウム又はHC
lを加えることによって,スラリーのpHを調整した。ス
ラリーの形態における天然鉱石のpHは7.8であった。第I
V表に記載のヒドロキシ含有化合物を添加した後,スラ
リーを1分間状態調節した。捕収剤を加えてから,さら
に1分間状態調節した。ポリクリコールエーテル起泡剤
を,乾燥鉱石1トン当たり20gの量にて加えた後,さら
に1分間状態調節した。
浮遊選鉱槽を1150RPMで撹拌し,4.5/分の速度で空
気を導入した。空気が最初に槽中に導入された後,泡沫
濃厚物のサンプルを1.0〜6.0分の間隔で集めた。濃厚物
のサンプルと尾鉱のサンプルを乾燥し,計量し,分析用
に微粉砕し,そして酸を使用して溶解した。DCプラズマ
分光計により銅の含量を測定した。分析データを使用し
て回収分率を求め,また標準的な質量平衡式を用いてグ
レードを決定した。このようにして得られた結果を以下
の第IV表に示す。
第IV表のデータは,本発明の捕収剤組成物が一般に有
効であることを示している。実験2は,現在業界におい
て標準的に行われているものに近い。
実施例5−鉄酸化物鉱石の浮遊選鉱 ミシガンからの鉄酸化物鉱石を600g含有した一連のサ
ンプルを作製した。本鉱石は,赤鉄鉱,マルタイト,針
鉄鉱,及び磁鉄鉱の各鉱物種の混合物を含んでいる。各
600−gサンプルを脱イオン水と共に,ロッドミル中に
て,約60RPMで10分間粉砕処理した。こうして得られた
パルプを,自動パドル除去システムを取り付けた300ml
容量のアジテアー浮遊選鉱槽に移した。炭酸ナトリウム
を使用して,スラリーのpHを天然状態における7.3から
8.5に調整した。ヒドロキシ含有化合物(使用する場
合)を加え,スラリーを1分間状態調節した。次いで捕
収剤を加えてから,さらに1分間状態調節した。ポリグ
リコールエーテル起泡剤を,乾燥鉱石1トン当たり40g
の量にて加えた後,さらに1分間状態調節した。
浮遊選鉱槽を900RPMで撹拌し,9.0/分の割合で空気
を導入した。空気が最初に槽中に導入された後,泡沫濃
厚物のサンプルを1.0〜6.0分の間隔で集めた。泡沫濃厚
物のサンプルと尾鉱のサンプルを乾燥し,計量し,そし
て分析用に微粉砕した。次いでこれらを酸中に溶解し,D
Cプラズマ分光計により鉄の含量を測定した。分析デー
タを使用して回収率を求め,また標準的な質量平衡式を
用いてグレードを算出した。このようにして得られた結
果を以下の第V表に示す。
第V表のデータは,高いグレードの鉄を高い回収量に
て得るのに本発明が有効であることを示している。
実施例6−アリゾナ銅酸化物鉱石の浮遊選鉱 アリゾナからの−60メッシュ銅鉱石について一連の30
gサンプルを作製した。本鉱石は非常に微細であって,
浮遊させるのが極めて困難であることに留意しなければ
ならない。本鉱石の有価成分の組成は,藍銅鉱〔Cu3(C
O3)(OH)〕が約60%,孔雀石〔Cu2CO3(OH)〕が
35%,そして輝銅鉱〔Cu2S〕が5%である。鉱石の各サ
ンプルを15gの脱イオン水と共に,ロッドミル(直径2.5
インチ,ロッド0.5インチ)(直径6.35cm,ロッド1.27c
m)中にて240回転で粉砕処理した。こうして得られたパ
ルプを,300ml容量の浮遊選鉱槽に移した。
特に明記しない限り,スラリーのpHは天然鉱石のpH8.
0のままとした。第VI表に記載のヒドロキシ含有化合物
を加えた後,スラリーを1分間状態調節した。次いで,
捕収剤を加えてさらに1分間状態調節した。ポリグリコ
ールエーテル起泡剤を,乾燥鉱石1トン当たり0.050gの
量にて加えた後,さらに1分間状態調節した。
浮遊選鉱槽を1800RPMで撹拌し,2.7/分の割合にて
空気を導入した。空気が最初に槽中に導入された後,標
準的なハンドパドリング(hand paddling)によって泡
沫濃厚物のサンプルを1.0〜6.0分の間隔で集めた。泡沫
濃厚物のサンプルと尾鉱のサンプルを乾燥し,前記実施
例に記載の如く分析した。このようにして得られた結果
を以下の第VI表に示す。
第VI表のデータは,浮遊選鉱が困難であるとされてい
るアリゾナ銅酸化物鉱石の浮遊選鉱において,本発明の
捕収剤組成物が有効であることを示している。
実施例7−銅酸化物/銅硫化物混合鉱石の浮遊選鉱 カナダからの−10メッシュ銅鉱石について一連の30g
サンプルを作製した。本鉱石の有価成分の組成は,孔雀
石〔Cu2CO3(OH)〕が約50%,そして黄銅鉱〔CuFe
S2〕が50%である。各サンプルを15gの脱イオン水と共
に,ロッドミル(直径2.5インチ,ロッド0.5インチ)中
にて1000回転で粉砕処理した。こうして得られたパルプ
を,300ml容量の浮遊選鉱槽に移した。炭酸ナトリウムを
加えることにより,スラリーのpHを9.0に調節した。ヒ
ドロキシ含有化合物,捕収剤,及び起泡剤を,前記実施
例に記載の如く加えた。
実施例6に記載の手順に従って,浮遊選鉱槽を操作
し,サンプルを作製し,そして分析を行った。得られた
結果を以下の第VII表に示す。
第VII表のデータは,銅酸化物/銅硫化物混合鉱石の
浮遊選鉱において,本発明が一般的に有効であることを
示している。
実施例8−コランダムの浮遊選鉱 コランダム(Al2O3)とシリカ(SiO2)の−10メッシ
ュ混合物について一連の30gサンプルを作製した。サン
プルを2000回転にて粉砕処理したこと以外は,実施例7
に記載の手順に従って各サンプルを粉砕して300ml容量
の浮遊選鉱槽に移した。スラリーのpHは,天然状態にお
けるpH7.4のままとした。捕収剤,ヒドロキシ含有化合
物,及び起泡剤を加え,実施例7に記載の如く浮遊選鉱
槽を操作した。実施例7に記載の如くサンプルを作製
し,乾燥し,計量し,微粉砕処理し,そしてX線蛍光分
析によりアルミニウムの含量を測定した。得られた結果
を以下の第VIII表に示す。
第VIII表のデータは,浮遊選鉱によるシリカからのア
ルミニウムの分離において,本発明が有効であることを
示している。
実施例9−種々の酸化物鉱石の浮遊選鉱 実施例1の銅鉱石の代わりに種々の酸化物鉱石を使用
したこと以外は,実施例1に記載の一般的な手順に従っ
て行った。得られた結果を以下の第IX表に示す。
本実施例は,広範囲の酸化物鉱物及び硫化物鉱物の浮
遊選鉱において,本発明が有効であることを示してい
る。さらに,これらの種々の鉱物をシリカ(天然に産す
る鉱石中にこれらの鉱物と共に見出される主要な脈石成
分)から区別する能力も示されている。
実施例10 本実施例では,各実験において単一の鉱物試験片だけ
を使用したこと以外は,実施例1に記載のハリモンドチ
ューブによる一般的な手順に従って行った〔10%の孔雀
石(又は10%の珪孔雀石)と90%のシリカを予備混合し
たサンプルについて行うことからなる特定の試験〕。実
施例3に記載の酸溶解法とDCプラズマ分光法を使用し,
泡沫濃厚物と尾鉱について銅の分析を行った。孔雀石に
対して得られた結果を第Xa表に,また珪孔雀石に対して
得られた結果を第Xb表に示す。
第Xa表と第Xb表から,多くのヒドロキシ含有化合物
は,浮遊選鉱されるシリカ脈石の量を減らすのに,また
銅の回収分率とグレードを上げるのに有効であることが
わかる。
実施例11 10%のルチル(TiO2)と90%のシリカ(SiO2)の−10
メッシュ(U.S.)混合物を30g含有した一連のサンプル
を作製した。本実施例の手順の他の部分は,実施例6に
て行った手順と全く同じである。
第XI表のデータは,チタンの回収分率とグレードをア
ップさせるのに,本発明が有効であることを示してい
る。
実施例12−燐灰石とシリカの分離 10%の燐灰石〔Ca5(Cl1F)(PO4〕と90%のシリ
カ(SiO2)の−10メッシュ(U.S.)混合物について一連
の30gサンプルを作製した。他の手順は,実施例6に記
載の手順と全く同じである。天然鉱石のスラリーのpHは
7.1である。
上記のデータから,本発明のヒドロキシ含有化合物を
オレイン酸(燐灰石の浮遊選鉱に対して従来使用されて
いる捕収剤)と併用すると,オレイン酸単独の場合より
良好なグレードが得られ,且つ速やかな浮遊選鉱操作が
可能となる。いずれの捕収剤を使用しても燐灰石の回収
分率は高いが,本発明のヒドロキシ含有化合物を使用し
た場合はいずれも若干の改良が認められた。同様に,各
場合においてグレードが改良され,実験1ではかなりの
改良が見られる。
実施例13−黄銅鉱銅鉱石の浮遊選鉱 本実施例では,実験室用浮遊選鉱槽における銅鉱石の
浮遊選鉱に及ぼす種々のアルカノールアミンの影響につ
いて検討した。西カナダからの銅鉱石を含んだ500gサン
プルを作製した。本鉱石は比較的グレードが高く,相当
量のシリカ脈石を含有していた。本鉱石の500gを275gの
脱イオン水と共に2.5cmをロッドを有するロッドミル中
にて,約60RPMで約7分間粉砕処理した。第I表に示し
たものを除いて,粉砕工程の前にアルカノールアミンを
ロッドミルに加えた。さらにミルに石灰を加えて,引き
続き浮遊選鉱を行うための所望のpHとした。
こうして得られたパルプを,自動パドル除去システム
を取り付けた1500ml容量のアジテアー浮遊選鉱槽に移し
た。槽は1150RPMで撹拌した。必要な場合は,追加の石
灰を加えることによって,スラリーのpHを8.5に調整し
た。第XIII表において特に明記されていない場合は,捕
収剤としてアミルキサントゲン酸カリウムを8g/トンの
量にてスラリーに加え,そしてスラリーを1分間状態調
節した。次いでポリグリコールエーテル起泡剤を乾燥鉱
石1トン当たり18gの量にて加え,スラリーをさらに1
分間状態調節した。
浮遊選鉱槽を1150RPMで撹拌し,4.5/分の割合で空
気を導入した。空気を最初に槽中に導入した後,8分の間
隔で泡沫濃厚物のサンプルを集めた。尾鉱と泡沫濃厚物
のサンプルをオーブン中で一晩乾燥し,計量し,そして
分析用に微粉砕処理した。微粉砕した後,酸を使用して
これらを溶解し,DCプラズマ分光計を使用して銅の含量
を測定した。分析データを使用して回収分率を求め,そ
して標準的な質量平衡式を用いてグレードを決定した。
回収分率は,存在するある特定の金属の回収された分量
(fractional amount)を表わす。選択性は,銅の回収
分率をシリカ脈石の回収分率で除すことによって求め
た。
このようにして得られたデータを以下の第XIII表に示
す。
第XIII表のデータから,本発明のプロセスは,シリカ
脈石の回収分率を減らすのに,従って浮遊選鉱プロセス
における選択性を増大させるのに有効であることがわか
る。これらのデータはさらに,本発明のプロセスを使用
すると,所望の銅鉱物の回収分率が低下することがあ
る,ということを示している。実験3,17,20の比較に
て,アミンを浮遊選鉱槽中でなく粉砕ミル中に加える
と,又はアミンを捕収剤と同時に加えると,高いグレー
ドの銅が最高の回収分率で得られることがわかる。
実施例14−混合銅鉱石の浮遊選鉱 ネバダからの混合銅硫化物鉱石について一連の30gサ
ンプルを作製した。本鉱石の有価成分の組成は,約0.25
重量%が銅,約0.004重量%がモリブデン,そして約4g/
メートルトンが金である。鉱石の各サンプルを,スイン
グミル中にて約20秒間乾燥粉砕して,100メッシュより約
12%大きくした。こうして得られた鉱石を300ml容量の
浮遊選鉱槽に移し,水で希釈した。
石灰を加えてスラリーのpHを8.5に調整した。第XIV表
に記載のアルカノールアミンを加え,スラリーを1分間
状態調節した。次いで,第1の部分の捕収剤イソプロピ
ルキサントゲン酸ナトリウム(鉱石の1メートルトン当
たり0.050kg)を加えて,さらに1分間状態調節した。
次に,ポリグリコールエーテル起泡剤を,乾燥鉱石1ト
ン当たり0.020gに相当する量にて加え,スラリーをさら
に1分間状態調節した。
浮遊選鉱槽を1800RPMで撹拌し,2.7/分の割合で空
気を導入した。空気を最初に槽中に導入してから2.0分
後において,標準的なハンドパドリングにより泡沫濃厚
物のサンプルを集めた。次いで,第2の部分の捕収剤
(鉱石の1メートルトン当たり0.025kg)を加えて1分
間状態調節し,そして6分後に泡沫濃厚物を集めた。泡
沫濃厚物と尾鉱のサンプルを合わせて乾燥し,そして前
記実施例に記載の如く分析を行った。得られた結果を第
XIV表に示す。いずれの場合も,銅,金,モリブデン,
及びシリカの回収分率は,2分間隔と6分間隔で回収され
たトータル量を表わす。
上記のデータは,回収される有価鉱物のグレードを上
げるのに本発明のプロセスが有効であることを示してい
る。
実施例15−銅硫化物/銅酸化物混合鉱石の浮遊選鉱 南アフリカ産出の銅硫化物/銅酸化物混合鉱石を使用
し,実施例13に記載の一般的な手順に従った。本発明の
プロセスによって銅硫化物鉱石の浮遊選鉱を行い,残り
の酸化物鉱石はその後の工程(例えば,浸出や酸化物の
浮遊選鉱)にて回収した。本鉱石に含まれている硫化物
鉱物は非常に少なく,全鉱石の約0.22重量%以下であっ
た。
実施例13に記載の手順に対する1つの変形は,該鉱石
を700回転で粉砕して100メッシュより13%大きなサイズ
分布とする方法である。捕収剤としては,アミルキサン
トゲン酸カリウムを鉱石1メートルトン当たり0.025kg
の濃度にて使用した。いずれの場合においても使用した
アルカノールアミンはジエタノールアミンであり,その
使用量は第XV表に記載してある通りである。得られた結
果を下記の第XV表に示す。
上記のデータから,本発明のプロセスを適用すると,
シリカ脈石の回収分率が低下することがわかる。この特
定の鉱石の場合,アルカノールアミンの投入量が最も少
ないときでも,鉛と亜鉛の所望の有価金属の回収率が低
下する。
実施例16−捕収剤とヒドロキシ含有化合物の添加順序及
び添加方法の影響 別の供給源からの燐灰石を含む鉱石を使用したこと,
及び本鉱石が約30%の燐灰石と約70%のシリカを含有し
ていること以外は,実施例6に記載の手順に従って行っ
た。各実験において使用したヒドロキシ含有化合物はジ
エタノールアミンであり,アニオン性捕収剤はオレイン
酸であった。各実験に対して,ジエタノールアミンとオ
レイン酸を浮遊選鉱システムに添加する方法を変えた。
実験1においては,ジエタノールアミンを浮遊選鉱槽に
加えて1分間状態調節した。次いでオレイン酸を添加し
てさらに1分間状態調節した。実験2においては,添加
の順序を逆にした。実験3においては,ジエタノールア
ミンとオレイン酸を,槽に対して同時且つほぼ同じ場所
に加え,1分間状態調節した。実験4においては,ジエタ
ノールアミンとオレイン酸を別の容器にて混合して,塩
を形成された(塩の形成は発熱によってわかる)。これ
を浮遊選鉱槽に加えて,1分間状態調節した。実験5にお
いては,未反応のオレイン酸とジエタノールアミンの代
わりに,過剰の脂肪酸とジエタノールアミンとの縮合物
(ダウケミカル社からM−210として市販されている)
を使用した。実験6と7においては,オレイン酸のみを
使用した。得られた結果を第XVI表に示す。
実験1〜3(本発明の実施態様である)により,本発
明のプロセスが燐の回収に有効であることがわかる。実
験4は,本発明の成分を予備混合すると,燐の回収率が
オレイン酸単独の場合より実質的に低くなる,というこ
とを示している。実験5から,脂肪酸/ジエタノールア
ミン縮合物は本プロセスに対して有効ではないことがわ
かる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ドナルド・ユージーン・レオナード アメリカ合衆国ミシガン州48883,シェ パード,イースト・コー・ロード 9478 (72)発明者 ベイシル・スチュアート・フィー カナダ国オンタリオ州エヌ7エス・2エ ヌ2,サーニア,ヒルクレスト・ドライ ブ 1276 (56)参考文献 特開 昭49−23705(JP,A) 特開 昭55−132653(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリカ又は珪質脈石を含有し且つ水性スラ
    リーの状態になっている粒状鉱石を、捕収剤の存在にお
    いて回収すべき鉱物が浮遊するような条件下で泡沫浮遊
    選鉱にて処理することを含み、 このとき、エタノールアミン;プロパノールアミン;ブ
    タノールアミン;乳酸;グリコール酸;β−ヒドロキシ
    −1−プロパンスルホン酸;エチレングリコール;ジエ
    チレングリコール;プロピレングリコール;ジプロピレ
    ングリコール;グリセロール;トリフドロキシ安息香
    酸;ヒドロキシ安息香酸;ブチレングリコール;ジブチ
    レングリコール;ジエタノールアミン;ジプロパノール
    アミン;トリプロパノールアミン;トリエタノールアミ
    ン;トリブタノールアミン;スクロース;グリコース;
    及びブドウ糖;並びにこれらの混合物;から選ばれるヒ
    ドロキシ含有化合物によってシリカ又は珪質脈石の浮遊
    が抑制される、泡沫浮遊選鉱による有価鉱物の回収法。
  2. 【請求項2】前記ヒドロキシ含有化合物が、エタノール
    アミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ジエ
    タノールアミン、ジプロパノールアミン、ジプタノール
    アミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミ
    ン、トリブタノールアミン、及びこれらの混合物から選
    ばれる、請求項1記載の回収法。
  3. 【請求項3】カルボン酸、スルホン酸、硫酸、リン酸、
    及びホスホン酸から選ばれる酸から誘導されるアニオン
    性捕収剤を含む請求項1又は2に記載の回収法。
  4. 【請求項4】前記アニオン性捕収剤が、アルキルスルホ
    ン酸、アルキルアリールスルホン酸、これらの酸の塩、
    及びこれらの混合物を含む、請求項3記載の回収法。
  5. 【請求項5】前記アニオン性捕収剤がが、アルキルベン
    ゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルフェニ
    ルオキシドモノスルホン酸、これらの酸の塩、及びこれ
    らの混合物から選ばれる、請求項3記載の回収法。
  6. 【請求項6】前記アニオン性捕収剤が、リレノン酸、オ
    レイン酸、ラウリン酸、リノール酸、オクタン酸、カプ
    リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
    アラキン酸、ベヘン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ラ
    ウリル硫酸ナトリウム、ウム、ドデシルホスフェート、
    ドデシルホスホン酸の塩化物誘導体、2−ナフトエ酸、
    ピメリン酸、11−アミノドデカン酸、ドデシルベンジル
    スルホン酸、ヘキサデシルスルホン酸、これらの酸の
    塩、及びこれらの混合物から選ばれる、請求項3記載の
    回収法。
  7. 【請求項7】チオカーボネート、チオノカルバメート、
    チオカルボアニリド、チオホスフェート、チオホスフィ
    ネート、メルカプタン、キサントゲンホルメート、キサ
    ントゲン酸エステル、及びこれらの混合物から選ばれる
    チオール捕収剤を含む、請求項1又は2に記載の回収
    法。
  8. 【請求項8】前記ヒドロキシ含有化合物がアルキレング
    リコール又はアルキレングリコールの混合物である、請
    求項1記載の回収法。
  9. 【請求項9】前記アルキレングリコールが、エチレング
    リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
    ル、又はこれらの混合物である、請求項8記載の回収
    法。
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