JP2556981B2 - 慣性飛込機構付の始動装置 - Google Patents

慣性飛込機構付の始動装置

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JP2556981B2
JP2556981B2 JP62315691A JP31569187A JP2556981B2 JP 2556981 B2 JP2556981 B2 JP 2556981B2 JP 62315691 A JP62315691 A JP 62315691A JP 31569187 A JP31569187 A JP 31569187A JP 2556981 B2 JP2556981 B2 JP 2556981B2
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望 高田
一壽 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、スタータモータのシャフトの雄側ヘリカ
ルスプラインに雌側ヘリカルスプラインを噛合せた慣性
飛込機構付の始動装置に関する。
(従来の技術) ヘリカルスプライン構造は各種産業機械や車両等に広
く適用され、例えば、車両では内燃機関を駆動する始動
装置の慣性飛込機構に適用されている。
この始動装置の慣性飛込機構は第11図及び第12図に示
すように、図示しないスタータモータの駆動で回転する
シャフト100がピニオン101に挿通され、このピニオン10
1のハウジングにゴムリング102を介してフランジ付筒体
103が装着され、フランジ付筒体103はサークリップ1042
で抜け止めされている。第12図において、ゴムシリンダ
102は、外周面及び左側面(他側面)でピニオン101のハ
ウジングに接触し、内周面の右半分余及び右側面(一側
面)でフランジ付筒体103と接触し、これらの接触面を
介して回転力が伝動される。フランジ付筒体103の内周
面に形成された雌側ヘリカルスプライン105は、シャフ
ト100の雄側ヘリカルスプライン106に噛合されている。
従って、スタータモータの駆動でシャフト100が回転
すると、シャフト100に回転自在に支持されたフランジ
付筒体103のピニオン101は、その慣性力のため、シャフ
ト100の回転によっても回転することがなく、図示しな
いスプリングに抗してシャフト100に対し軸方向に移動
する。これにより、ピニオン101の係合歯101aが図示し
ないクランク軸に連結したリングギヤと噛み合い、ピニ
オン101がシャフト100の図示しない段部に当接して軸方
向の移動が阻止され、その結果ピニオン101とシャフト1
00は、一体的に回転する。
(発明の目的) ところで、このピニオン101に嵌合したフランジ付筒
体103の雌側ヘリカルスプライン105を形成するには、例
えはフランジ付筒体103を固定した状態で、その内面を
ヘリカルブローチにて切削加工して形成している。しか
し、この切削加工をするには高価なヘリカルブローチ及
びブローチ盤を用意せねばならず、又切削加工のため多
大な工数を要する等の問題点がある。
この発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、始動
装置の慣性飛込機構に用いられる雌側ヘリカルスプライ
ンについて、生産性の向上を可能にするヘリカルスプラ
イン構造を提供することを目的としている。
(目的を達成するための手段) この発明は前記の目的を達成するために、慣性飛込付
機構の始動装置において、板状部材に所定径の円形孔を
形成し、この円形孔の外周部に周方向に所定間隔の逃げ
溝を複数形成し、この逃げ溝間の内径端部をそれぞれ同
一方向へ所定角度ねじって雌側ヘリカルスプラインを形
成し、ピニオンの嵌合部に一体的に設けたハウジングに
ゴムリングを介して、板状部材に雌側ヘリカルスプライ
ンが形成されたヘリカルプレートを固定し、スタータモ
ータのシャフトに雄側ヘリカルスプラインを形成し、ピ
ニオンの雌側ヘリカルスプラインをシャフトの雄側ヘリ
カルスプラインに噛合するようになしたことを特徴とし
ている。
(作用) この発明では、慣性飛込機構付の始動装置において、
板状部材に形成される雌側ヘリカルスプラインが、プレ
ス加工によって形成することが可能になり、ピニオンの
嵌合部に一体的に設けたハウジングにゴムリングを介し
て、板状部材に雌側ヘリカルスプラインが形成されたヘ
リカルプレートを固定し、スタータモータのシャフトに
雄側ヘリカルスプラインを形成し、ピニオンの雌側ヘリ
カルスプラインをシャフトの雄側ヘリカスプラインに噛
合させた。スタータモータのシャフトが回転すると、雌
側ヘリカルスプラインと雄側ヘリカルスプラインとの噛
合せにより、回転力が直線方向の力に変換され、ピニオ
ン・雌側ヘリカルスプラインが移動する。
(実施例) 以下、この発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に
説明する。
第1図はこの発明のヘリカルスプライン構造を適用し
たピニオンの断面図、第2図はヘリカルプレートの斜視
図、第3図はその平面図、第4図は第3図のIV−IV断面
図、第5図はヘリカルプレートの歯部の拡大図、第6図
は第5図のVI−VI断面図、第7図はヘリカルスプライン
の噛合状態を示す断面図である。
シャフト1には雄側ヘリカルスプライン2が形成され
ている。ピニオン3にシャフト1が挿通され、このピニ
オン3の一端部に嵌合歯3aが形成されている。また、ピ
ニオン3の他方の内部にはハウジング3bが形成されてお
り、このハウジング3bにゴムリング4を介して板状部材
であるヘリカルプレート5が装着されて、このヘリカル
プレート5はサークリップ6で抜け止めされている。
前記ヘリカルプレート5は第2図及び第3図に示すよ
うに中心部に所定径の円形孔5aを形成し、次にこの円形
孔5aの外周部に周方向に沿った所定間隔の逃げ溝5bを複
数形成し、更にこの逃げ溝5b間の内径端部(所定長さの
円弧部)をそれぞれヘリカルプレート5のプレート面に
対して同一方向(第5図では時計方向)へ所定角度ねじ
って複数の歯部5cとなし、このようにして雌側ヘリカル
スプライン7が形成されている。この雌側ヘリカルスプ
ライン7の歯部5cの形状は軸方向から見て相互に重なら
ないようになっており、しかも歯部5cの内側端の両面側
5dが面取りされ、シャフト1の雄側ヘリカルスプライン
2との接触面積を増加させている。また、ヘリカルプレ
ート5の歯部5cの軸方向の幅Dは、ヘリカルプレート5
の幅より僅かに広い程度に短縮されている。
実際には、このヘリカルプレート5の加工は、板どり
を行ない、プレス加工によって外径5e、円形孔5a及び逃
げ溝5bを同時に形成する。この後、同様にプレス加工
で、逃げ溝5b間の内径端部をそれぞれプレート面に対し
て所定角度ねじって歯部5cを形成する。そして、プレス
加工によって、歯部5cの内側端の両面側を塑成変形して
面取りされ、この面取りは前工程のねじり加工の際に同
時に行なってもよい。
このようにプレス加工されたヘリカルプレート5を熱
処理して、例えば衝撃に対する強さ、更にこの衝撃に対
する強さと表面の硬さとを同時に与えている。
このヘリカルプレート5の雌側ヘリカルスプライン7
の歯部5cがシャフト1の雄側ヘリカルスプライン2の谷
部2aに噛合し、歯部5cの間の逃げ溝5bにはシャフト1の
雄側ヘリカルスプライン2の山部2bが噛合する。
従って、例えば、シャフト1を回転させると、シャフ
ト1の雄側ヘリカルスプライン2とヘリカルプレート5
の雌側ヘリカルスプライン7とによって回転力が直線方
向の力に変換され、ヘリカルプレート5が軸方向へ移動
され、ピニオン2が移動する。
第8図乃至第10図の車両の始動装置の慣性飛込構造に
適用した例を示している。
この始動装置のスタータモータ10のシャフト1には雄
側ヘリカルスプライン2が形成され、このシャフト1の
雄側ヘリカルスプライン2にピニオン3の雌側ヘリカル
スプライン7が噛合されている。第10図に示すように、
このピニオン3は前記第1図乃至第7図に示したものと
同様に構成されている。シャフト1の先端部に嵌合され
たストッパピニオン11はサークリップ12で抜け止めさ
れ、このストッパピニオン11とピニオン3との間にはス
プリング13が縮設されている。ピニオン3の嵌合歯3aは
その軸方向の移動によって、内燃機関のクランク軸と連
結されたリングギヤ14に噛合可能になっている。
従ってスタータモータ10を駆動させると、シャフト1
が回転するが慣性力によりピニオン3は回転しないの
で、ピニオン3がスプリング13に抗してストッパピニオ
ン11の方向へ移動する。これにより、第9図に示すよう
にピニオン3がストッパピニオン11に当接して移動が規
制され、ピニオン3の嵌合部3aがリングギヤ14に係合
し、スタータモータ10の回転力がヘリカルプレート5、
ピニオン3を介してリングギヤ14に伝達され、図示しな
いクランク軸を強制的に回転させ内燃機関を駆動する。
内燃機関が起動すると、クランク軸の回転速度が大き
くなり、ピニオン3からリングギヤ14へ動力が伝達され
なくなり、逆にピニオン3がリングギヤ14により駆動さ
れ、ヘリカルスプラインにより伝動される軸線方向の力
及びスプリング13のスプリング力によってピニオン3が
元の位置に復帰してリングギヤ14から外れ、スタータモ
ータ10とリングギヤ14との連結が解除される。
(発明の効果) この発明では、板状部材の所定径の円形孔を形成し、
この円形孔の外周部に周方向に所定間隔の逃げ溝を複数
形成し、この逃げ溝間の内径端部をそれぞれ同一方向へ
所定角度ねじって雌側ヘリカルスプラインを形成し、こ
の雌側ヘリカルスプラインをシャフトの雄側ヘリカルス
プラインに噛合するようになした。従って、雌側ヘリカ
ルスプラインをプレス加工によって形成することが可能
になり、従来のようにブローチ加工を用いる必要がな
く、簡単かつ安価に製作される。
また、この発明では、ピニオンの嵌合部に一体的に設
けたハウジングにゴムリングを介して、板状部材に雌側
ヘリカルスプラインが形成されたヘリカルプレートを固
定し、スタータモータのシャフトに雄側ヘリカルスプラ
インを形成し、ピニオンの雌側ヘリカルスプラインをシ
ャフトの雄側ヘリカルスプラインに噛合するようになし
た。従って、ゴムリングに荷重が加わるとき、ゴムが半
径方向内側に容易に弾性変形するので、エネルギーを十
分吸収して機械的な衝撃を緩和する。しかも、ゴムリン
グの一側面でヘリカルプレートと接触し、かつゴムリン
グの他側面と外周面でピニオンのハウジングに接触し、
弾性変形の能力を維持しつつ、これらの接触面を介して
回転力が十分に伝動される。これに対して、第12図に示
す従来例では、ゴムリングの内周面の半分余がフランジ
付筒体で覆われているので、ゴムリングに荷重が加わる
とき、ゴムが半径方向内側に弾性変形し難く、十分にエ
ネルギーを吸収して機械的な衝撃を緩和することが困難
である。また、ゴムリングに作用する摩擦力が、第12図
に示す従来例では、ゴムリングの摩擦面が縦面と横面と
の両面となるのに対して、この発明の場合にはゴムリン
グの縦面のみになり、弾性変形の管理が容易である。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例のヘリカルスプライン構造を
適用したピニオンの断面図、第2図はヘリカルプレート
の斜視図、第3図はその平面図、第4図は第3図のIV−
IV断面図、第5図はヘリカルプレートの歯部の拡大図、
第6図は第5図のVI−VI断面図、第7図はヘリカルスプ
ラインの噛合状態を示す断面図、第8図乃至第10図は車
両の始動装置にヘリカルスプライン機構を適用した例を
示し、第8図は作動前の状態を示す図、第9図は作動状
態を示す図、第10図は噛合状態を示す図、第11図及び第
12図は従来のヘリカルスプライン機構を示し、第11図は
雌ヘリカルスプラインを形成した筒体の斜視図、第12図
はこの筒体を嵌合したピニオンの断面図である。 図中、符号1はシャフト、2は雄側ヘリカルスプライ
ン、3はピニオン、3bはハウジング、4はゴムリング、
5はヘリカルプレート、5aは円形孔、5bは逃げ溝、5cは
歯部、6はサークリップ、7は雌側ヘリカルスプライ
ン、10はスタータモータである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板状部材に所定径の円形孔を形成し、この
    円形孔の外周部に周方向に所定間隔の逃げ溝を複数形成
    し、この逃げ溝間の内径端部をそれぞれ同一方向へ所定
    角度ねじって雌側ヘリカルスプラインを形成し、ピニオ
    ンの嵌合部に一体的に設けたハウジングにゴムリングを
    介して、板状部材に雌側ヘリカルスプラインが形成され
    たヘリカルプレートを固定し、スタータモータのシャフ
    トに雄側ヘリカルスプラインを形成し、ピニオンの雌側
    ヘリカルスプラインをシャフトの雄側ヘリカルスプライ
    ンに噛合するようになしたことを特徴とする慣性飛込機
    構付の始動装置。
JP62315691A 1987-12-14 1987-12-14 慣性飛込機構付の始動装置 Expired - Lifetime JP2556981B2 (ja)

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JP2007028883A (ja) * 2005-06-16 2007-02-01 Sumitomo Heavy Ind Ltd ギヤドモータ及びギヤドモータ用軸部材

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