JP2556905B2 - 飛しょう体の試験装置 - Google Patents

飛しょう体の試験装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ロケット等の飛しょう体に搭載された姿勢
制御装置の性能試験を行う試験装置に関する。
従来の技術 例えば姿勢制御装置としてジェットベーン方式のTVC
(Thrust Vectol Control)装置を備えたロケットの性
能試験システムとして第5図に示す構造のものがある。
これは同図に示すように、TVC装置51を備えたロケット
モータ52を6分力スタンド53に位置決め固定する一方、
実機状態ではロケットモータ52とともに機体に搭載され
る慣性センサ(ジャイロ)54を直交3軸の回転自由度を
もつ揺動台55に乗せ、誘導飛行制御機能部としてのオー
トパイロット56に対し外部から機体姿勢角コマンドθc
を与えるようにしたものである。TVC装置51は第5図の
ほか第6図に示すように、ノズル57のスロート部58の後
流側に複数の可動式のジェットベーン59を配設し、この
ジェットベーン59の傾きをアクチュエータ60によって変
えることで推力の方向を制御するものである。
そして、オートパイロット56の出力である舵角コマン
ドδcに基づいてTVC装置51を作動させるとともに、そ
の時のピッチ,ヨーおよびロール方向のモーメントMを
6分力スタンド53で検出して外部計算機61に取り込む。
外部計算機61では、上記のピッチ,ヨーおよびロール方
向のモーメントMによって特定される姿勢の飛しょう体
に慣性センサ54が搭載されていると仮定したときのこの
慣性センサ54の姿勢を演算して求め、慣性センサ54がそ
の姿勢となるように揺動台55の各軸の駆動系に対し回転
角コマンドJcを与える。その結果、慣性センサ54の出力
がオートパイロット56にフィードバックされることにな
る。第7図は第5図の各要素をブロック化して表したブ
ロック回路図で、破線Fで囲まれた領域が本試験システ
ムでの評価要素となる(この類似構造は例えば特開昭58
−189537号公報に開示されている)。
発明が解決しようとする課題 しかしながら従来の試験システムにおいては、ピッチ
およびロール方向といった機体の実際の動きを伴ってい
ないばかりでなく、慣性センサ54の姿勢も揺動台55によ
って模擬的につくり出しているにすぎないため、実際の
機体の動きによるTVC装置51への影響を的確にとらえる
ことが困難で、また6分力スタンド53の計測誤差や外部
計算機61の演算誤差、さらには揺動台55の機械的損失等
の影響のために試験結果の信頼性向上に限界があり、実
際の飛しょう状態と同等の試験結果を得ることは困難で
あった。
本発明は以上のような問題点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、慣性センサや誘導飛行制
御機能部および姿勢制御装置等を搭載した実機を使って
機体ピッチ方向および機体ロール方向の動きを伴いつつ
実際の飛しょう状態と同等の条件下で性能試験を行える
ようにした試験装置を提供することにある。
課題を解決するための手段 本発明は、飛しょう体に機体ピッチ方向および機体ロ
ール方向の回転自由度を持たせながら飛しょう体に搭載
された姿勢制御装置の性能試験を行う装置であって、飛
しょう体を機体ピッチ方向および機体ロール方向のうち
いずれか一方の自由度方向に回転自在に軸受支持する支
持体を、ベース部材に対し他方の自由度方向に回転自在
に軸受支持させてある。そして、飛しょう体の台上ピッ
チ姿勢角および台上ロール姿勢角を個別に検出する姿勢
角センサと、飛しょう体が受ける空気力を模擬的につく
りだして機体ピッチ方向のモーメントとして付与する模
擬空気力付与装置とを備えている。
作用 この構造によると、第1図に示すように実際の飛しょ
う体を試験装置にセットして起動させると、飛しょう体
に搭載された各制御機能部のはたらきにより姿勢制御装
置が実際の飛しょう状態と同様に作動し、同時に飛しょ
う体は試験装置のベース部材に対してピッチおよびロー
ル方向の自由度を有しているために各自由度方向の変位
を伴うことになる。その際、飛しょう体の台上ピッチ姿
勢角および台上ロール姿勢角がそれぞれの姿勢角センサ
によって個別に検出される一方、模擬空気力付与装置に
よって模擬的につくりだされた空気力が機体ピッチ方向
のモーメントとして付与される。そして、慣性センサや
誘導飛行制御機能部等の各制御機能部を予め外部の計測
表示機能部に接続しておくことにより、各制御機能部の
出力信号をモニタリングして姿勢制御装置のはたらきを
評価できる。
実施例 第1図〜第4図は本発明の試験装置を用いた試験シス
テムの一実施例を示す図である。第1図において、2は
飛しょう体としてのロケット1の機体、3は機体2を位
置決め支持する試験装置、4は試験装置3に支持された
機体2に機体ピッチ方向Pの模擬空気力を付与するため
の模擬空気力付与装置である。
機体2は第5図および第6図に示したものと同様の姿
勢制御装置としてジェットベーン方式のTVC装置5を備
えるほか、第3図に示すように慣性センサ(ジャイロ)
6や誘導飛行制御機能部としてのオートパイロット7お
よびロケットモータ8等、実際の飛しょうに必要な全て
の機能を搭載している。
試験装置3は、第1図および第2図に示すようにベー
ス部材としてのテーブル9に一対の脚部10を立設し、こ
の脚部10,10間に支持体11を支持させたもので、支持体1
1には第2図に示すようにロケット1の機体2先端部に
設けられたベアリング12および機体2の重心位置Qをは
さんで2箇所に設けられたベアリング13を介してロケッ
ト1が機体ロール方向Rに回転自在に軸受支持されてい
る。また、支持体11自体は機体重心位置Qを通る軸線l
上に配設したピッチ軸回りのベアリング14を介して脚部
10に回転自在に軸受支持されており、支持体11に支持さ
れたロケット1全体としては機体ロール方向Rおよび機
体ピッチ方向Pの直交2軸の回転自由度を有している。
試験装置3のロール軸およびピッチ軸線上にはそれぞ
れに姿勢角センサとして位置検出器15,16が取り付けら
れており、これらの位置検出器15,16により第3図に示
すように試験装置3に対するロケット1の台上ピッチ姿
勢角βおよび台上ロール姿勢角βが検出されて外部
計算機17の計測表示機能部18に入力される。
支持体11に支持されるロケット1は第3図に示すよう
に予め外部計算機17の試験制御機能部19と接続されてお
り、試験制御機能部19からロケット1の各搭載機器に対
して起動指令やロケットモータ8の点火指令が与えられ
たのち、慣性センサ6およびオートパイロット7の出
力、ならびにTVC装置5の舵角モニタ信号が試験制御機
能部19を通して計測表示機能部18に入力される。
TVC装置5の舵角はTVC装置5に付設した図示外の舵角
センサによって検出され、この検出信号が舵角モニタ信
号として計測表示機能部18に入力される。20は入出力信
号を切り換えるマルチプレクサである。
ここで、ロケット1と外部計算機17とを相互に接続し
ているケーブルがロケット1の回転変位の抵抗となるこ
とがないように、各ケーブルは試験装置3の軸体21の内
部および機体2の先端中空部を通して導出される。
模擬空気力付与装置4は、実際の飛しょう時にロケッ
ト1の機体2が受ける空気力を模擬的につくり出して機
体2のピッチ方向Pのモーメントとして付与するための
もので、第4図に示すように上位の外部計算機17の模擬
空気力制御機能部22からのモーメントコマンドMcを受け
てモータ23を回転駆動するコントローラ24と、モータ23
の回転出力により歯車列25,26を介して回転駆動される
出力軸27と、出力軸27と歯車列25,26との間に介装され
たトーションバー28とから構成される。出力軸27は試験
装置3の軸体21に着脱可能に連結される。そして、コン
トローラ24はフィードバック要素としてトーションバー
28の中間に配設されたモーメントセンサ29を備えてお
り、モーメントコマンドMcに応じた回転モーメントが出
力軸27および軸体21を介して機体2にピッチ方向Pのモ
ーメントとして加えられるようになっている。
このように構成された性能試験システムにおいては、
第3図に示すように外部計算機17の試験制御機能部19か
ら慣性センサ6およびオートパイロット7に対し起動指
令を与えるとともにロケットモータ8に対し点火指令を
与えると、ロケットモータ8が作動して所定の推力を発
生する一方、オートパイロット7では試験制御機能部19
からの姿勢角コマンドと慣性センサ6からの出力とに基
づいて所定の演算を行い、試験制御機能部19は機体2の
姿勢制御のためにTVC装置5に対し舵角コマンドδ
δを与える。その結果、第6図と同様にTVC装置5の
ジェットベーン59(第6図参照)がそれぞれ傾動変位し
てロケットモータ8が発生する推力の方向を制御し、そ
のピッチ制御機能およびロール制御機能によってロケッ
ト1は機体ピッチ方向Pおよび機体ロール方向Rの回転
運動を伴うことになる。
そして、機体2の台上ピッチ角βおよび台上ロール
角βは位置検出器15,16により検出されて計測表示機
能部18に可視表示され、同時にTVC装置5の実際の舵角
も前述した図示外のセンサにより検出されて計測表示機
能部18に可視表示される。
一方、模擬空気力制御機能部22では機体2の姿勢に応
じ実際の飛しょう時と同等の模擬空気力を演算して求
め、機体2に模擬空気力を付与するべく模擬空気力制御
機能部22は模擬空気力付与装置4に対しモーメントコマ
ンドMcを与える。模擬空気力付与装置4ではモーメント
コマンドMcに応じて、支持体11に連結されている出力軸
27を回転駆動させ、模擬空気力として機体2のピッチ方
向Pの回転モーメントを付与する。この模擬空気力によ
る機体2の姿勢変化に慣性センサ6が反応し、模擬空気
力による影響をキャンセルするように上記のTVC装置5
が作動する。
そして、慣性センサ6の出力およびオートパイロット
7の出力は台上ピッチ角βP,台上ロール角βおよび実
舵角モニタ信号とともに外部計算機17の計測表示機能部
18に可視表示され、同時にプリンタ30によって記録され
る。
ここで、模擬空気力を必要としない場合には軸体21と
模擬空気力付与装置4の出力軸27との連結を解除して使
用することもできる。
発明の効果 以上のように本発明によれば、実際の飛しょう体を使
ってピッチおよびロール方向の運動を伴いながら実際の
飛しょう時と同等の条件下で試験を行うことができるた
め、実際の機体の姿勢変化を加味した姿勢制御装置の性
能評価を行うことができるようになり、試験結果の信頼
性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の試験装置の一実施例を示す斜視図、第
2図は第1図の水平断面図、第3図は上記の試験装置を
含む試験システム全体の構成説明図、第4図は第1図に
示す模擬空気力付与装置の構成説明図、第5図は従来の
試験システムの一例を示す構成説明図、第6図は姿勢制
御装置としてのTVC装置の構成説明図、第7図は第5図
の試験システムをブロック化したブロック回路図であ
る。 1……飛しょう体としてのロケット、2……機体、3…
…試験装置、4……模擬空気力付与装置、5……姿勢制
御装置としてのTVC装置、6……慣性センサ、7……誘
導飛行制御機能部としてのオートパイロット、8……ロ
ケットモータ、9……ベース部材としてのテーブル、10
……脚部、11……支持体、12,13,14……ベアリング、1
5,16……位置検出器(姿勢角センサ)、17……外部計算
機、18……計測表示機能部、19……試験制御機能部、21
……軸体、P……機体ピッチ方向、R……機体ロール方
向。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】飛しょう体に機体ピッチ方向および機体ロ
    ール方向の回転自由度を持たせながら飛しょう体に搭載
    された姿勢制御装置の性能試験を行う装置であって、 飛しょう体を機体ピッチ方向および機体ロール方向のう
    ちいずれか一方の自由度方向に回転自在に軸受支持する
    支持体を、ベース部材に対し他方の自由度方向に回転自
    在に軸受支持させるとともに、 飛しょう体の台上ピッチ姿勢角および台上ロール姿勢角
    を個別に検出する姿勢角センサと、飛しょう体が受ける
    空気力を模擬的につくりだして機体ピッチ方向のモーメ
    ントとして付与する模擬空気力付与装置とを備えたこと
    を特徴とする飛しょう体の試験装置。
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