JP2556860Y2 - 薬液容器のための複合蓋 - Google Patents

薬液容器のための複合蓋

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JP2556860Y2
JP2556860Y2 JP1991072468U JP7246891U JP2556860Y2 JP 2556860 Y2 JP2556860 Y2 JP 2556860Y2 JP 1991072468 U JP1991072468 U JP 1991072468U JP 7246891 U JP7246891 U JP 7246891U JP 2556860 Y2 JP2556860 Y2 JP 2556860Y2
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裕児 叶野
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、薬液容器のための複合
蓋、更に詳しくは、口頸部の外周面には環状係止あご部
が形成されている薬液容器のための、中栓、この中栓に
被嵌される内蓋及び内蓋に被嵌される外蓋を具備する複
合蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】点滴用薬液或いは注射用薬液の如き薬液
のための薬液容器のための蓋として、当業者には周知の
如く、中栓、内蓋及び外蓋を含む複合蓋が広く実用に供
されている。かかる複合蓋を開示している先行文献とし
ては、実公昭56−6114号公報、実公昭58−26
915号公報、特開昭60−77873号公報、特開昭
60−240660号公報、特開昭62−220453
号公報、特公昭61−3690号公報、実公昭62−3
6764号公報及実公平2−2917号公報を挙げるこ
とができる。
【0003】従来の複合蓋において、合成乃至天然ゴム
から形成される中栓は、円形主部とこの主部の下面から
垂下する円筒形垂下部とを含んでいる。かかる中栓は薬
液容器の口頸部に、その垂下部を薬液容器の口頸部内に
挿入せしめ、その主部の周縁部下面を口頸部の上面に密
接せしめて、装着される。適宜の金属薄板から形成され
る内蓋は、中栓の主部の上面周縁部を覆う環状天面壁と
この天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを含
んでいる。かかる内蓋は中栓に被嵌せしめて口頸部に装
着され、内蓋のスカート壁の内面は半径方向内側に折り
曲げられて口頸部の係止あご部に係止せしめられる。適
宜の金属薄板或いは適宜の合成樹脂から形成される外蓋
は、内蓋の環状天面壁の中央に配設されている開口を覆
う円形天面壁を有する。かかる外蓋は内蓋に被嵌せしめ
て口頸部に装着され、そして適宜の連結手段を介して内
蓋に分離自在に連結され、或いはその天面壁の周縁から
垂下するスカート壁を有する場合にはその下端部を半径
方向内側に折り曲げて内蓋のスカート壁の下端部を介し
て口頸部の係止あご部に係止される。
【0004】薬液容器に収容されている薬液を使用する
際には、口頸部から外蓋を離脱せしめ、内蓋の天面壁の
中央に形成されている開口を通して中栓の主部中央部を
露呈せしめる。そして、中栓の主部中央部に点滴用輸液
管或いは注射針を貫通せしめる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】薬液容器のための複合
蓋においては、(1)薬液容器内に収容されている薬液
を使用する際に看護婦等が薬液容器の口頸部から外蓋を
充分容易に離脱せしめて中栓を露呈せしめることができ
る、(2)レトルト処理(例えば110度Cで15分間
の加熱殺菌処理)において中栓の上面等に水滴等が進入
することが充分確実に防止される、(3)薬液を使用し
た後においては、薬液容器の再使用のために口頸部から
内蓋及び中栓を充分容易に離脱せしめることができる、
という要件を充足することが望まれる。そしてまた、
(4)外蓋を離脱せしめることによって露呈された中栓
の主部中央部に点滴用輸液管或いは注射針を貫通せしめ
る際に、金属薄板の鋭い切断縁によって指等を損傷する
虞が充分確実に防止されることも望まれる。然るに、従
来の複合蓋においては、製作コストの著しい上昇を伴う
ことなく上記要件(1)(2)(3)(4)を満足する
ことができなかった。
【0006】本考案は上記事実に鑑みてなされたもので
あり、その主たる技術的課題は、製作コストの著しい上
昇等の問題を付随せしめることなく、少なくとも上記要
件(1)(2)(3)を充足する複合蓋を提供すること
である。
【0007】本考案の他の技術的課題は、製作コストの
著しい上昇等の問題を付随せしめることなく、上記要件
(1)(2)(3)に加えて上記要件(4)をも充足す
る複合蓋を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記主たる課題を解決す
るために、本考案によれば、口頸部の外周面には環状係
止あご部が形成されている薬液容器のための、中栓、該
中栓に被嵌される内蓋及び該内蓋に被嵌される外蓋を具
備する複合蓋にして、 該中栓は周縁部の下面が該口頸部
の頂面に密接せしめられる円形主部と、該主部の下面か
ら垂下し該口頸部内に挿入せしめられる円筒形垂下部と
を含み、該主部と該垂下部とはゴムから一体に形成され
ており、 該内蓋は該中栓の該主部の上面周縁部を覆う環
状天面壁と、該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカー
ト壁とを含み、該天面壁と該スカート壁とは金属薄板か
ら一体に形成されており、該スカート壁の下端部が半径
方向内側に折り曲げられて該係止あご部に係止せしめら
れ、該内蓋には更に一対の弱化ラインが形成され且つ該
一対の弱化ライン間の領域には把持片が付設されてお
り、 該外蓋は円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する
円筒形スカート壁とを含み、該天面壁と該スカート壁と
は金属薄板から一体に形成されており、該スカート壁の
下端部が半径方向内側に折り曲げられて該内蓋の該スカ
ート壁の下端部を介して該口頸部の該係止あご部に係止
せしめられ、該外蓋には更に該スカート壁の下端から該
スカート壁を横切って延び、そして更に該天面壁を延び
る一対の弱化ラインが形成され且つ該一対の弱化ライン
間において該スカート壁の下端から突出する把持片が付
設されており、 そして更に、 該内蓋の該把持片は該内蓋
の該スカート壁の下端から突出し、該外蓋の該把持片に
よって覆われている、又は 該内蓋の該把持片は該内蓋の
該環状天面壁の内周縁から半径方向内方に突出して該環
状天面壁内に位置せしめられており、該外蓋の該天面壁
によって被われている、 ことを特徴とする複合蓋が提供
される。
【0009】
【0010】また、本考案によれば、上記他の技術的課
題を解決する複合蓋として、口頸部の外周面には環状係
止あご部が形成されている薬液容器のための、中栓、該
中栓に被嵌される内蓋及び該内蓋に被嵌される外蓋を具
備する複合蓋にして、 該中栓は周縁部の下面が該口頸部
の頂面に密接せしめられる円形主部と、該主部の下面か
ら垂下し該口頸部内に挿入せしめられる円筒形垂下部と
を含み、該主部と該垂下部とはゴムから一体に形成され
ており、 該内蓋は該中栓の該主部の上面周縁部を覆う環
状天面壁と、該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカー
ト壁とを含み、該天面壁と該スカート壁とは金属薄板か
ら一体に形成されており、該スカート壁の下端部が半径
方向内側に折り曲げられて該係止あご部に係止せしめら
れ、該内蓋には更に一対の弱化ラインが形成され且つ該
一対の弱化ライン間の領域には把持片が付設されてお
り、 該外蓋は円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する
円筒形スカート壁とを含み、該天面壁と該スカート壁と
は金属薄板から一体に形成されており、該スカート壁の
下端部が半径方向内側に折り曲げられて該内蓋の該スカ
ート壁の下端部を介して該口頸部の該係止あご部に係止
せしめられ、該外蓋には更に該スカート壁の下端から該
スカート壁を横切って延び、そして更に該天面壁を延び
る一対の弱化ラインが形成され且つ該一対の弱化ライン
間において該スカート壁の下端から突出する把持片が付
設されており、 内蓋の該環状天面壁における該一対の
弱化ライン間の領域には透孔が形成されており、そし
て、合成樹脂から一体に形成された補助蓋を更に具備
し、該補助蓋は該中栓の該主部の上面周縁部を覆う環状
フランジ部と、該環状フランジ部の内周縁から上方に該
内蓋の該環状天面壁内を通って延びる円筒壁と、該円筒
壁の上面を覆う天面壁と、該環状フランジ部の上面から
該内蓋の該環状天面壁に形成されている該透孔を通って
上方に延びる連結部と、該連結部の上端に接続され且つ
該内蓋の該環状天面壁の上面上を延在せしめられている
環状把持部とを有し、該天面壁には環状弱化ラインが形
成されており、該環状弱化ラインによって囲繞された中
央領域は該外蓋の該天面壁の内面に接着されており、薬
液容器の該口頸部から該外蓋を離脱せしめる際には該補
助蓋の該天面壁に形成されている該環状弱化ラインが破
断されて該環状弱化ラインに囲繞された中央領域は該外
蓋と共に該口頸部から離脱され、該補助蓋の該環状把持
部が該内蓋の該把持片を構成し、該環状把持部をを引っ
張ることによって該内蓋の該一対の弱化ラインが破断さ
れる ことを特徴とする複合蓋が提供される
【0011】
【作用】上記主たる技術的課題を解決する本考案の複合
蓋においては、内蓋と外蓋との双方の少なくとも主要部
を金属薄板から形成している故に、製作コストの著しい
上昇等の問題を付随せしめることなく、レトルト処理に
おいて中栓の上面等に水滴等が進入することを充分確実
に防止することができる。外蓋には一対の弱化ラインが
形成されていると共に、かかる一対の弱化ライン間の領
域に把持片が付設されている故に、把持片を引っ張って
一対の弱化ラインを破断せしめることによって、充分容
易に外蓋を薬液容器の口頸部から離脱せしめることがで
きる。内蓋にも一対の弱化ラインが形成されていると共
に、かかる一対の弱化ライン間の領域に把持片が付設さ
れている故に、把持片を引っ張って一対の弱化ラインを
破断せしめることによって、内蓋も充分容易に薬液容器
の口頸部から離脱せしめることができる。内蓋が薬液容
器の口頸部から離脱せしめられると、中栓はそのまま薬
液容器の口頸部から充分容易に離脱することができる。
【0012】また、上記他の技術的課題を解決する本考
案の複合蓋においては、合成樹脂製補助蓋の円筒壁が内
蓋の環状天面壁の内側を上下方向に延び、従って中栓の
主部中央部に点滴用輸液管或いは注射針を貫通せしめる
際に、指等が内蓋の環状天面壁の内側縁(かかる内側縁
は通常金属薄板にプレス加工による打抜きを施すことに
よって形成され、従って鋭い切断縁を形成している)に
接触することが確実に防止される。
【0013】
【実施例】以下、本考案に従って構成された複合蓋の好
適実施例について、添付図面を参照して詳細に説明す
る。
【0014】図1乃至図5は、本考案に従って構成され
た複合蓋の第一の実施例を図示している。全体を番号2
で示す複合蓋は、薬液容器の口頸部4に適用される。ガ
ラス或いは適宜の合成樹脂から形成することができる薬
液容器の口頸部4は略円筒形状であり、その外周面には
半径方向に膨出した環状係止あご部6が形成されてい
る。複合蓋2は、中栓8、内蓋10及び外蓋12を具備
している。
【0015】主として図1及び図5を参照して説明する
と、適宜の合成ゴム或いは天然ゴムから一体に形成する
ことができる中栓8は、円形主部14とこの主部14の
下面から垂下する円筒形垂下部16とを有する。主部1
4の外径は口頸部4の外径と略同一であり、垂下部16
の外径は口頸部4の内径と略同一である。主部14の中
央部には、複数個の薄肉部、即ち中心に位置する1個の
薄肉部18とこの薄肉部18の周囲に等間隔をおいて配
置された3個の薄肉部20が形成されている。それ自体
は周知の形態である中栓8は、その垂下部16を口頸部
4内に挿入しその主部14の周縁部下面を口頸部4の上
面に密接せしめて、口頸部4に装着される。点滴用輸液
管或いは注射針(図示していない)は、薄肉部18又は
20を貫通せしめて薬液容器内に進入せしめられる。
【0016】図1及び図3を参照して説明すると、図示
の内蓋10はアルミニウム薄板、クロム酸処理鋼薄板或
いはブリキ薄板の如き適宜の金属薄板から一体に形成さ
れている。この内蓋10は環状天面壁22とこの天面壁
22の周縁から垂下する円筒形スカート壁24を有す
る。環状天面壁22内には比較的大きな円形開口26が
規定されている。天面壁22及びスカート壁24には一
対の弱化ライン28及び30が形成されている。金属材
料を局部的に薄くせしめて形成される所謂スコアでよい
弱化ライン28及び30は、周方向に所定間隔をおいて
スカート壁24の下端から実質上平行にスカート壁24
を横切って延び、次いで環状天面壁22を相互に逆方向
に円弧状に延びている。一対の弱化ライン28及び30
間においてスカート壁24の下端から略矩形状の把持片
32が下方に突出せしめられている。把持片32には横
方向に延びる3本の補強突条34が間隔をおいて形成さ
れている。かような内蓋10は、次に詳述する外蓋12
と所要通りに組み合わされた後に、既に薬液が収容され
中栓8が装着されている口頸部4に被嵌され、スカート
壁24の下端部が半径方向内側に折り曲げて口頸部4の
係止あご部6に係止せしめられ、かくして口頸部4に装
着される。所望ならば、内蓋10を外蓋12とは別個に
口頸部4に装着し、しかる後に外蓋12を口頸部4に装
着することもできる。
【0017】図1及び図2を参照して説明を続けると、
外蓋12も内蓋10と同様にアルミニウム薄板、クロム
酸処理鋼薄板或いはブリキ薄板の如き適宜の金属薄板か
ら一体に形成されている。この外蓋12は円形天面壁3
6とこの天面壁36の周縁から垂下する円筒形スカート
壁38とを有する。天面壁36の周縁部は中央部に対し
て幾分隆起せしめられている、換言すれば中央部は周縁
部に対して幾分沈降せしめられている。そして、天面壁
36の隆起周縁部の内面には、塩化ビニル樹脂の如き軟
質合成樹脂から形成されているのが好都合である環状密
封ライナ40が施されている。外蓋12の天面壁36及
びスカート壁38には一対の弱化ライン42及び44が
形成されている。内蓋10の弱化ライン28及び30と
同様に金属材料を局部的に薄くせしめて形成される所謂
スコアでよい弱化ライン42及び44は、周方向に所定
間隔をおいてスカート壁38の下端から実質上平行にス
カート壁38を横切って延び、次いで天面壁36をその
周縁部に沿って相互に逆方向に円弧状に延びている。一
対の弱化ライン42及び44間においてスカート壁38
の下端から把持片46が下方に突出せしめられている。
この把持片46は略矩形状の連結基部とリング状主部と
を有する。かような外蓋12は内蓋10に被嵌されてこ
れと組み合わされる。この際には、図2から理解される
通り、内蓋10の把持片32と外蓋12の把持片46と
の周方向位置が相互に整合せしめられ、外蓋12の把持
片46が内蓋10の把持片32を覆うようにせしめる。
内蓋10に外蓋12を組み合わした後に、既に薬液が収
容され中栓8が装着されている口頸部4に内蓋10及び
外蓋12が被嵌され、外蓋12にスカート壁38の下端
部が内蓋10のスカート壁24の下端部と共に半径方向
内側に折り曲げられ、かくして内蓋10のスカート壁2
4の下端部を介して外蓋12のスカート壁38の下端部
が口頸部4の係止あご部6に係止される。外蓋12の天
面壁36の周縁部内面に施された密封ライナ40は内蓋
10の天面壁22に密接せしめられ、両者間を密封す
る。
【0018】口頸部4に複合蓋2が被嵌された薬液容器
は通常レトルト処理される。この際には高温蒸気に晒さ
れるが、内蓋10及び外蓋12が金属薄板製である故に
熱変形を受けず所要形状に維持され続ける。加えて、図
示の実施例においては、外蓋12の天面壁36の周縁部
内面に施された密封ライナ40が内蓋10の天面壁22
に密接されている。それ故に、外蓋12と内蓋10との
間から中栓8の主部14の上面に蒸気乃至水滴が進入す
ることが充分効果的に防止される。
【0019】薬液容器内に収容されている薬液を点滴或
いは注射に使用する時には、外蓋12の把持片46、更
に詳しくはそのリング状主部に指を掛けて上方乃至後方
に引っ張り、図3に示す如く、一対の弱化ライン42及
び44を破断せしめて口頸部4に対する外蓋12の係止
を部分的に解除し、口頸部4から外蓋12を離脱せしめ
る。口頸部4から外蓋12が離脱せしめられると、中栓
8の主部14の上面中央部が露呈され、従ってその薄肉
部18乃至20に点滴用輸液管或いは注射針(図示して
いない)を貫通せしめ、かくして薬液容器内に収容され
ている薬液を点滴或いは注射液として使用することがで
きる。
【0020】薬液を使用した後においては、回収された
薬液容器の口頸部4に装着され続けている内蓋10の把
持片32を把持して上方乃至後方に引っ張る。かくし
て、図4及び図5に示す如く、内蓋10の一対の弱化ラ
イン28及び30を破断せしめて口頸部4に対する内蓋
10の係止を部分的に解除し、口頸部4から内蓋10を
離脱せしめる。そして更に、中栓8を上方に引っ張って
口頸部4から離脱せしめる。外蓋12のみならず内蓋1
0及び中栓8も離脱された薬液容器は消毒洗浄の後に再
利用することができる。本考案に従って構成された複合
蓋2においては、内蓋10にも一対の弱化ライン28及
び30が形成されていると共に、この一対の弱化ライン
28及び30間の領域に把持片32が付設されている故
に、内蓋10及び中栓8をも充分容易に薬液容器の口頸
部4から離脱せしめることができる。
【0021】而して、内蓋10に形成されている一対の
弱化ライン28及び30は図示の形態のものに限られる
ことなく適宜の形態のものでよく、例えばスカート壁2
4と環状天面壁22とを相互に実質上平行に延在する形
態にせしめて、一対の弱化ラインを破断せしめると把持
片と共に両者間の領域が内蓋10の他の部分から完全に
分離されるようになすこともできる。
【0022】図6乃至図10は、本考案に従って構成さ
れた複合蓋の第二の実施例を図示している。この第二の
実施例の複合蓋102は、中栓108、内蓋110及び
外蓋112に加えて、更に補強部材113を具備してい
る。アルミニウム薄板、クロム酸処理鋼薄板或いはブリ
キ薄板の如き適宜の金属薄板から一体に形成されている
のが好都合である補強部材113は、環状天面壁115
とこの天面壁115の周縁から垂下するスカート壁11
7とを有する。かような補強部材113は中栓108に
被嵌され、天面壁115及びスカート壁117が夫々中
栓108の主部114の上面周縁部及び周側面を覆う。
かような補強部材113は、上述したレトルト処理の際
に薬液容器内に生成される高圧によって中栓108の主
部114が上方にドーム状に膨出する所謂ドーミング現
象の発生を効果的に防止する。
【0023】第二の実施例における内蓋110において
は、図8に明確に図示する如く、一対の弱化ライン12
8及び130の一方128は、環状天面壁122の内側
縁から半径方向外方に天面壁122の外周縁まで半径状
に延び、次いでスカート壁124の下端まで実質上鉛直
に延びている。他方の弱化ライン130は、環状天面壁
122の内側縁から半径方向外方に天面122の外周
縁まで半径状に延び、次いでスカート壁124の上端か
ら弧状に延びている。一対の弱化ライン128及び13
0間の領域に付設されている把持片132は、天面壁1
22の内側縁から半径方向内方に突出する連結部を介し
て連結されているリング形状部から構成されている。内
蓋110に一体に形成されているリング形状部から構成
されている把持片132は環状天面壁122内に位置せ
しめられており、内蓋110に外蓋112が被嵌される
と、外蓋112の円形天面壁136が内蓋110の把持
片132を覆う。薬液容器の口頸部104から内蓋11
0を離脱せしめる際には、把持片132のリング形状部
に指を掛けて上方乃至外方に引っ張って一対の弱化ライ
ン128及び130を破断せしめ、そして更に把持片1
32を図9及び図10において上方から見て反時計方向
に引っ張ればよい。
【0024】図6乃至図10に示す第二の実施例の上述
した点以外の構成乃至作用は、図1乃至図5に示す第一
の実施例と実質上同一であり、従ってこれらについての
説明は重複を避けるために省略する。
【0025】図11乃至図16は、本考案に従って構成
された複合蓋202の第三の実施例を図示している。こ
の第三の実施例においては、図11及び図13に図示す
る如く、適宜の金属薄板から形成されている内蓋210
は環状天面壁222とこの天面壁222の周縁から垂下
する円筒形スカート壁224を有する。環状天面壁22
2には環状凹部223が形成されている。図11から明
確に理解される通り、上記環状凹部223の突出下面は
中栓208の主部214の上面周縁部に密接せしめられ
る。一対の弱化ライン228及び230は、天面壁22
2の内側縁から半径方向外方に天面壁222の外周縁ま
で相互実質上平行に半径状に延び、次いでスカート壁
224の下端まで実質上鉛直に相互に実質上平行に延び
ている。かかる一対の弱化ライン228及び230間の
領域において、天面壁222の内側縁近傍には透孔23
1が形成されている。
【0026】第三の実施例においては、更に、金属薄板
から形成された内蓋210を成形型内に配置して適宜の
合成樹脂から射出乃至圧縮成形される合成樹脂製補助蓋
248が配設されている。図11、図13、図14と共
に図16を参照して説明すると、合成樹脂から一体に形
成される補助蓋248は中栓208の主部214の上面
周縁部を覆う環状フランジ部250と、この環状フラン
ジ部250の内周縁から上方に内蓋210の環状天面壁
222の中央に形成されている円形開口226を通って
延びる円筒壁252と、かかる円筒壁252の上面を覆
う円形天面壁254とを有する。補助蓋248は、更
に、上記環状フランジ部250の上面から内蓋210の
天面壁222に形成されている上記透孔231を通って
上方に延びる柱状連結部256と、この連結部256を
介して上記環状フランジ部250に連結され且つ内蓋2
10の天面壁222の上面上を延在する環状把持部25
8とを有する。天面壁254の周縁には厚さを局部的に
低減することによって形成されている環状弱化ライン2
60が形成されている。
【0027】第三の実施例における補助蓋248の天面
壁254における、上記環状弱化ライン260によって
囲繞された中央領域は、適宜の接着剤を介して外蓋21
2の天面壁236の内面に接着される。一方、内蓋21
0の天面壁222の下方に位置する環状フランジ部25
0は、内蓋210の天面壁222の内面に対して非接着
状態乃至容易に離脱され得る弱接着状態にせしめられて
いる。
【0028】上述した第三の実施例においては、補助蓋
248によって中栓208の主部214の上面が覆わ
れ、それ故にレトルト処理の際に中栓208の主部21
4の上面に蒸気乃至水滴が進入することが一層確実に防
止される。薬液容器に収容されている薬液を使用するた
めに外蓋212を口頸部204から離脱せしめる際に
は、補助蓋248の天面壁254に形成されている環状
弱化ライン260が破断され、天面壁254の中央領域
は外蓋212の天面壁236の内面に接着され続けて外
蓋212と共に口頸部204から離脱される。そして、
補助蓋248の天面壁254における除去された中央領
域を介して中栓208の主部214の中央部が露呈され
る。かかる状態において中栓208に主部214の中央
部における薄肉部218乃至220に点滴用輸液管乃至
注射針が貫通せしめられるが、かかる貫通操作の際には
補助蓋248の円筒壁252等の存在により、内蓋21
0の環状天面壁222の内側縁に指が接触することが確
実に防止される。従って、内蓋210の環状天面壁22
2の内側縁が金属薄板の鋭い切断縁であっても、かかる
切断縁によって指を損傷せしめる虞が確実に回避され
る。
【0029】薬液を使用した後においては、補助蓋24
8の環状把持部258に指を掛けて上方乃至外方に引っ
張る。かくすると、図14に図示する通り、補助蓋24
8の環状フランジ部250も上方乃至外方に引っ張ら
れ、幾分か弾性的に変形して内蓋210の環状天面壁2
22の下方から引き出される。環状把持部258を更に
外方に引っ張ると、図15に図示する如く、内蓋210
の一対の弱化ライン228及び230が破断され、内蓋
210における一対の弱化ライン228及び230間の
領域と共に補助蓋248が内蓋210から除去され、内
蓋210の係止が部分的に解除される。かような次第で
あるので、第三の実施例においては、補助蓋248の環
状把持部258が内蓋210に付設された把持片を構成
する。上記の通りにして内蓋210の係止が部分的に解
除された後においては、内蓋210の残部を充分容易に
口頸部204から除去し、そして更に中栓208をも口
頸部204から充分容易に除去することができる。
【0030】所望ならば、補助蓋248の環状フランジ
部250に連結部256を囲繞する環状弱化ラインを形
成し、内蓋210の一対の弱化ライン228及び230
を破断する際には、上記環状弱化ラインが破断されて環
状把持部258及び連結部256のみが補助蓋248の
他の部分から分離されて、一対の弱化ライン228及び
230の破断と共に口頸部204から離脱されるように
なすこともできる。
【0031】第三の実施例における上述した点以外の構
成及び作用は、図1乃至図5を参照して説明した第一の
実施例と実質上同一であるので、説明を省略する。
【0032】
【考案の効果】本考案の複合蓋においては、(1)薬液
容器内に収容されている薬液を使用する際には、充分容
易に外蓋を薬液容器の口頸部から離脱せしめて中栓の主
部中央部を露呈せしめることができ、(2)複合蓋を装
着した状態で薬液容器をレトルト処理する時に、中栓の
主部上面に水蒸気乃至水滴が進入することが充分確実に
防止され、(3)薬液を使用した後においては、充分容
易に内蓋及び中栓を薬液容器の口頸部から離脱すること
ができ、そしてまた(4)中栓の主部中央部に点滴用輸
液管或いは注射針を貫通せしめる際に、内蓋の環状天面
壁の内側縁によって指を損傷することが充分確実に防止
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に従って構成された複合蓋の第一の実施
例を薬液容器の口頸部に装着した状態を示す断面図。
【図2】図1の複合蓋を薬液容器の口頸部に装着した状
態を示す斜面図。
【図3】図2に図示する状態から外蓋を離脱した状態を
示す斜面図。
【図4】図3に示す状態から更に内蓋の一対の弱化ライ
ンを破断せしめた状態を示す斜面図。
【図5】図4に示す状態から更に内蓋を離脱せしめた状
態を示す斜面図。
【図6】本考案に従って構成された複合蓋の第二の実施
例を薬液容器の口頸部に装着した状態を示す断面図。
【図7】図6の複合蓋を薬液容器の口頸部に装着した状
態を示す斜面図。
【図8】図7に図示する状態から外蓋を離脱した状態を
示す斜面図。
【図9】図8に示す状態から更に内蓋の一対の弱化ライ
ンを破断せしめた状態を示す斜面図。
【図10】図9に示す状態から更に内蓋を離脱せしめた
状態を示す斜面図。
【図11】本考案に従って構成された複合蓋の第三の実
施例を薬液容器の口頸部に装着した状態を示す断面図。
【図12】図11の複合蓋を薬液容器の口頸部に装着し
た状態を示す斜面図。
【図13】図12に図示する状態から外蓋を離脱した状
態を示す斜面図。
【図14】図13に示す状態から更に内蓋の一対の弱化
ラインを破断せしめた状態を示す斜面図。
【図15】図14に示す状態から更に内蓋を離脱せしめ
た状態を示す斜面図。
【図16】図11に示す複合蓋における補助蓋と内蓋と
の関係を示す斜面図。
【符号の説明】
2:複合蓋 4:薬液容器の口頸部 6:口頸部の係止あご部 8:中栓 10:内蓋 12:外蓋 14:中栓の円形主部 16:中栓の円筒形垂下部 22:内蓋の環状天面壁 24:内蓋の円筒形スカート壁 28:内蓋の弱化ライン 30:内蓋の弱化ライン 32:内蓋の把持片 36:外蓋の円形天面壁 38:外蓋の円筒形スカート壁 42:外蓋の弱化ライン 44:外蓋の弱化ライン 46:外蓋の把持片 102:複合蓋 104:薬液容器の口頸部 108:中栓 110:内蓋 112:外蓋 128:内蓋の弱化ライン 130:内蓋の弱化ライン 132:内蓋の把持片 202:複合蓋 204:薬液容器の口頸部 208:中栓 210:内蓋 212:外蓋 214:中栓の環状主部 222:内蓋の環状天面壁 224:内蓋の円筒形スカート壁 228:内蓋の弱化ライン 230:内蓋の弱化ライン 231:内蓋の透孔 248:補助蓋 250:補助蓋の環状フランジ部 252:補助蓋の円筒壁 254:補助蓋の円形天面壁 256:補助蓋の連結部 258:補助蓋の環状把持部 260:補助蓋の天面壁における弱化ライン

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 口頸部の外周面には環状係止あご部が形
    成されている薬液容器のための、中栓、該中栓に被嵌さ
    れる内蓋及び該内蓋に被嵌される外蓋を具備する複合蓋
    にして、 該中栓は周縁部の下面が該口頸部の頂面に密接せしめら
    れる円形主部と、該主部の下面から垂下し該口頸部内に
    挿入せしめられる円筒形垂下部とを含み、該主部と該垂
    下部とはゴムから一体に形成されており、 該内蓋は該中栓の該主部の上面周縁部を覆う環状天面壁
    と、該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを
    含み、該天面壁と該スカート壁とは金属薄板から一体に
    形成されており、該スカート壁の下端部が半径方向内側
    に折り曲げられて該係止あご部に係止せしめられ、該内
    蓋には更に一対の弱化ラインが形成され且つ該一対の弱
    化ライン間の領域には把持片が付設されており、 該外蓋は円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する円筒
    形スカート壁とを含み、該天面壁と該スカート壁とは金
    属薄板から一体に形成されており、該スカート壁の下端
    部が半径方向内側に折り曲げられて該内蓋の該スカート
    壁の下端部を介して該口頸部の該係止あご部に係止せし
    められ、該外蓋には更に該スカート壁の下端から該スカ
    ート壁を横切って延び、そして更に該天面壁を延びる一
    対の弱化ラインが形成され且つ該一対の弱化ライン間に
    おいて該スカート壁の下端から突出する把持片が付設さ
    れており、 該内蓋の該把持片は該内蓋の該スカート壁の下端から突
    出し、該外蓋の該把持片によって覆われている、 ことを特徴とする複合蓋。
  2. 【請求項2】 口頸部の外周面には環状係止あご部が形
    成されている薬液容器のための、中栓、該中栓に被嵌さ
    れる内蓋及び該内蓋に被嵌される外蓋を具備する複合蓋
    にして、 該中栓は周縁部の下面が該口頸部の頂面に密接せしめら
    れる円形主部と、該主部の下面から垂下し該口頸部内に
    挿入せしめられる円筒形垂下部とを含み、該主部と該垂
    下部とはゴムから一体に形成されており、 該内蓋は該中栓の該主部の上面周縁部を覆う環状天面壁
    と、該天面壁の周縁か ら垂下する円筒形スカート壁とを
    含み、該天面壁と該スカート壁とは金属薄板から一体に
    形成されており、該スカート壁の下端部が半径方向内側
    に折り曲げられて該係止あご部に係止せしめられ、該内
    蓋には更に一対の弱化ラインが形成され且つ該一対の弱
    化ライン間の領域には把持片が付設されており、 該外蓋は円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する円筒
    形スカート壁とを含み、該天面壁と該スカート壁とは金
    属薄板から一体に形成されており、該スカート壁の下端
    部が半径方向内側に折り曲げられて該内蓋の該スカート
    壁の下端部を介して該口頸部の該係止あご部に係止せし
    められ、該外蓋には更に該スカート壁の下端から該スカ
    ート壁を横切って延び、そして更に該天面壁を延びる一
    対の弱化ラインが形成され且つ該一対の弱化ライン間に
    おいて該スカート壁の下端から突出する把持片が付設さ
    れており、 該内蓋の該把持片は該内蓋の該環状天面壁の内周縁から
    半径方向内方に突出して該環状天面壁内に位置せしめら
    れており、該外蓋の該天面壁によって被われている、 ことを特徴とする複合蓋。
  3. 【請求項3】 口頸部の外周面には環状係止あご部が形
    成されている薬液容器のための、中栓、該中栓に被嵌さ
    れる内蓋及び該内蓋に被嵌される外蓋を具備する複合蓋
    にして、 該中栓は周縁部の下面が該口頸部の頂面に密接せしめら
    れる円形主部と、該主部の下面から垂下し該口頸部内に
    挿入せしめられる円筒形垂下部とを含み、該主部と該垂
    下部とはゴムから一体に形成されており、 該内蓋は該中栓の該主部の上面周縁部を覆う環状天面壁
    と、該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを
    含み、該天面壁と該スカート壁とは金属薄板から一体に
    形成されており、該スカート壁の下端部が半径方向内側
    に折り曲げられて該係止あご部に係止せしめられ、該内
    蓋には更に一対の弱化ラインが形成され且つ該一対の弱
    化ライン間の領域には把持片が付設されており、 該外蓋は円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する円筒
    形スカート壁とを含み、該天面壁と該スカート壁とは金
    属薄板から一体に形成されており、該スカート壁の下端
    部が半径方向内側に折り曲げられて該内蓋の該スカート
    壁の下端部を介 して該口頸部の該係止あご部に係止せし
    められ、該外蓋には更に該スカート壁の下端から該スカ
    ート壁を横切って延び、そして更に該天面壁を延びる一
    対の弱化ラインが形成され且つ該一対の弱化ライン間に
    おいて該スカート壁の下端から突出する把持片が付設さ
    れており、 該内蓋の該環状天面壁における該一対の弱化ライン間の
    領域には透孔が形成されており、そして、合成樹脂から
    一体に形成された補助蓋を更に具備し、該補助蓋は該中
    栓の該主部の上面周縁部を覆う環状フランジ部と、該環
    状フランジ部の内周縁から上方に該内蓋の該環状天面壁
    内を通って延びる円筒壁と、該円筒壁の上面を覆う天面
    壁と、該環状フランジ部の上面から該内蓋の該環状天面
    壁に形成されている該透孔を通って上方に延びる連結部
    と、該連結部の上端に接続され且つ該内蓋の該環状天面
    壁の上面上を延在せしめられている環状把持部とを有
    し、該天面壁には環状弱化ラインが形成されており、該
    環状弱化ラインによって囲繞された中央領域は該外蓋の
    該天面壁の内面に接着されており、薬液容器の該口頸部
    から該外蓋を離脱せしめる際には該補助蓋の該天面壁に
    形成されている該環状弱化ラインが破断されて該環状弱
    化ラインに囲繞された中央領域は該外蓋と共に該口頸部
    から離脱され、該補助蓋の該環状把持部が該内蓋の該把
    持片を構成し、該環状把持部をを引っ張ることによって
    該内蓋の該一対の弱化ラインが破断される、 ことを特徴とする複合蓋。
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