JP2556198Y2 - ウインチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、小型，軽量なウインチ
の改善に関する。

【０００２】

【従来の技術】一端に操作レバーをもつ作動軸の両端部
を基枠に軸架するとともに、前記作動軸の中途部に設け
た螺子部にウインチドラム駆動用の歯車を螺合させ、こ
の歯車と作動軸に形成した座との間に、ラチェット歯車
をわずかな間隙を介して回動可能に介装せしめ、前記操
作レバーの正転，逆転作用により歯車を螺子の作用で往
復移行してラチェット歯車と作動軸との結合を断続さ
せ、ドラムに巻回せるワイヤーなどの索条を巻取，巻戻
しするようにした小型軽量のウインチは知られている。
（例えば、実公昭５７−９３５４号公報参照）

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上述した従来技術に
は、次のような課題がある。 （ａ）ウインチドラムの両軸端が基枠に軸支されている
ため、重量物の全荷重が軸と基枠の軸支点に印加され
る。従って、たとえ小型軽量化を目的としたウインチで
あっても、基枠に強度が要求されることから剛性の大き
な素材を使用せざるを得ず全体の軽量化は望めない。 （ｂ）操作レバーによる作動軸の回動が歯車伝動機構を
介してウインチドラムに伝達されるため、重量物の荷重
によりウインチドラム軸が撓むような場合には、歯車の
噛合関係が解かれ歯車が空転して回動の伝達に支障を生
じ、また、部品点数が多く全体の構成が複雑化されると
いう不都合がある。

【０００４】本考案の目的は、重量物の略全荷重を円筒
ケースの円筒部に印加せしめるとともに、回動軸とロー
ルを直結することにより構造の簡易化と軽量化の図れる
ウインチを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】従来技術の課題を解決す
る本考案の構成は、操作レバーにより回動される回動軸
を軸架した円筒ケース内に、両側に該円筒ケースの円筒
内面に接触ガイドされるロールフランジをもち、かつ、
ワイヤーなど索条の巻取り，巻戻し用のロールを回動可
能に設けるとともに、このロールを前記回動軸に螺合せ
しめ、一方、前記ロールの一側端面と回動軸に設けた座
板との間に、わずかな間隙を介して逆転防止手段をもつ
ラチェット歯車を回動可能に介装したものである。

【０００６】

【実施例】次に、図面について本考案実施例の詳細を説
明する。図１は一部切欠正面図、図２は図１のＡ−Ａ線
の断面図、図３はラチェット歯車と逆転防止爪との関係
を示す要部の一部切欠正面図である。

【０００７】１は、シリンダ構造からなる円筒ケースで
あって、該円筒ケース１の上部には吊架部材２が設けて
ある。３は、前記円筒ケース１の一側にとりつけた側壁
４に片持ち軸支した回動軸で、該回動軸３の外側端に
は、クランク構造の操作レバー５の係合筒６が嵌係合す
るナット構造の係合部７が設けてある。また、前記円筒
ケース１内に介入している前記回動軸３の前部約半分長
には角螺子部３ａを形成するとともに、回動軸３の後部
に径大部３ｂを形成し、この径大部３ｂによって形成さ
れた外側方の段面３ｃを前記側壁４の内面に係合当接せ
しめる。図中８は、前記段面３ｃとの作用で回動軸３が
これの軸方向に移動するのを阻止するためのワッシャー
である。また、前記径大部３ｂによって形成された内側
方の段面３ｄには、回動軸３に嵌合された円板状の座板
９の外側面が係合当接されるとともに、該座板９は回動
軸３に溶接固定されている。

【０００８】前記回動軸３に形成した角螺子部３ａにワ
イヤーの巻取り，巻戻し用のロール１０を螺合せしめ、
このロール１０の両側部には、前記円筒ケース１の円筒
内面に接触ガイドされる径大のロールフランジ１０ａを
一体に形成する。そして、前記座板９の内側面と前記ロ
ール１０の一側端面間に、外側面周縁にラチェット歯１
１ａを設けたラチェット歯車１１をわずかな間隙を介し
て介装せしめる。また、このラチェット歯車１１は前記
回動軸３に回動可能に遊嵌されている。１２は、前記ラ
チェット歯車１１のラチェット歯１１ａに係合した逆転
防止爪で、この逆転防止爪１２を前記円筒ケース１の側
壁４の内面に設けた爪受１３にスライド可能に保持す
る。図中１４は逆転防止爪１２をラチェット歯１１ａに
押圧付勢するスプリングである。

【０００９】前記ロール１０の一側には、これに巻取
り，巻戻しされるワイヤー１５の一端が固定してある。
詳しくは、ロール１０の一側にこれの中心軸線方向に向
け穿設した孔１６が設けてあり、更に、この孔１６の軸
線と直交する軸線をもつ止めネジ１７が孔１６を貫通す
るようロール１０に螺合されている。この止めネジ１７
に前記ワイヤー１５端に形成したループ部１５ａが係嵌
止着してある。また、前記円筒ケース１の一側下部に
は、前記両ロールフランジ１０ａの内側面間隔と略同巾
のワイヤー通口１８を設ける。

【００１０】上記実施例では、回動軸３の一端部を円筒
ケース１の一方の側壁４に片持ち軸支した構造を示した
が、前記回動軸３の両端部を側壁に軸支しても同様な作
用効果が得られることから、図示実施例のものに特定さ
れることはない。

【００１１】また、実施例における前記角螺子部３ａは
１条構造であるが、この角螺子部３ａを多条構造とする
ことによりロール１０の螺進抵抗を小さくし、操作レバ
ー５による回動軸３の回動が軽快に行えることから、図
示のものに特定はされないし、更に、角螺子構造にも特
定されるものでない。

【００１２】

【作用の説明】次に、上記実施例に基いてその作用を説
明する。図１の状態で操作ハンドル５によりロール１０
をワイヤー１５の巻取り方向に回動させると、ａ矢印に
示すように螺子の作用でロール１０が紙面右方向に移動
し、フリーの状態にあったラチェット歯車１１は座板９
とロール１０の一側面間に挟着固定せしめられる。従っ
て、操作レバー５の回動によりロール１０を回動してワ
イヤー１５が巻取られ、ワイヤー１５端に吊架せる重量
物（図示略）は所定の高さまで揚上され、例えば、トラ
ックなどの荷台（図示略）に積荷される。このとき、重
量物の荷重はロールフランジ１０ａとシリンダ構造の円
筒ケース１の円筒内面に印加されるし、また、作業者が
操作レバー５から手を離しても、ラチェット歯１１ａに
逆転防止爪１２が係合しているため、自重による重量物
の下降は阻止される。

【００１３】次に、トラックなどの荷台上の重量物を荷
降しする場合には、ワイヤー１５の端部を重量物にかけ
回し連結したのち、操作レバー５を回動して重量物を荷
台上から若干揚上したのちこの重量物を旋回して荷台の
側方に誘導する。次いで、操作レバー５によって回動軸
３をワイヤー１５の巻戻し方向に回動すると、螺子の作
用でロール１０はｂ矢印方向、つまり、紙面左方向に移
動し、挟着固定していたラチェット歯車１１を再びフリ
ーとする。この作用でロール１０は重量物の重量によっ
て自動的にワイヤー１５の巻戻し方向に回動し、重量物
は降下する。しかしながら、ロール１０は操作レバー５
の角螺子部３ａに螺合されているので、ロール１０の巻
戻し方向回動と不動状態にある角螺子部３ａの作用によ
ってロール１０は、再びａ矢印方向に移動するととも
に、ラチェット歯車１１を再び拘束し、このラチェット
歯車１１のラチェット歯１１ａと逆転防止爪１２の作用
でロール１０の巻戻し作用は中断する。しかしながら、
操作レバー５を巻戻し方向に連続回動することにより、
ロール１０によるラチェット歯車１１の拘束は瞬時に解
消せしめられ、重量物は中断することなく連続的に下降
荷降しされる。

【００１４】

【考案の効果】上述のように本考案の構成によれば、次
のような効果が得られる。 （ａ）重量物の揚上荷重を、ワイヤーを巻取り，巻戻し
するロールのロールフランジと、円筒ケースの円筒内面
との接触部位に印加し、ロールを回動する回動軸の軸支
部に荷重を印加させることがきわめて少ないので、強度
上の設計が容易で、使用する材料も肉薄ですむことから
軽量化が合理的に図れる。 （ｂ）従来技術のように、回動軸の駆動を伝達機構を介
してウインチドラムに伝動することなく、ロールを回動
軸に直結したので、部品点数を大巾に削減し全体の軽量
化が更に一層図れるとともに、全体の小型化が合理的に
なしうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一部切欠正面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線の断面図である。

【図３】ラチェット歯車と逆転防止爪との関係を示す要
部の一部切欠正面図である。

【符号の説明】

１ 円筒ケース ３ 回動軸 ４ 側壁 ５ 操作レバー ８ ワッシャー ９ 座板 １０ ロール １０ａ ロールフランジ １１ ラチェット歯車 １１ａ ラチェット歯 １２ 逆転防止爪 １５ ワイヤー

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 操作レバーにより回動される回動軸を軸
   架した円筒ケース内に、両側に該円筒ケースの円筒内面
   に接触ガイドされるロールフランジをもち、かつ、ワイ
   ヤーなど索条の巻取り，巻戻し用のロールを回動可能に
   設けるとともに、このロールを前記回動軸に螺合せし
   め、一方、前記ロールの一側端面と回動軸に設けた座板
   との間に、わずかな間隙を介して逆転防止手段をもつラ
   チェット歯車を回動可能に介装したことを特徴とするウ
   インチ。