JP2555769Y2 - 背貼り機に於けるテープカッター制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、粘着テープを使用し
て書類等に背貼りを施す背貼り機に関するものであり、
特に、粘着テープロールから引き出した粘着テープを切
断する背貼り機に於けるテープカッター制御装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、背貼り用の粘着テープを使用して
書類を綴じる背貼り機は種々の形態のものが知られてい
る。一つは、先ず書類等をホチキス等によって綴じた後
に、一方の表紙の縁部へ人手によって粘着テープを貼着
し、続いて、書類の綴じ合わせ部分をガイド板に沿って
移送し、ガイド板によって粘着テープを書類の背及び裏
表紙に圧着させるものがある。

【０００３】一方、粘着テープのロールから冊子の寸法
に合わせて粘着テープを送り出し、粘着テープの給送か
ら切断、背貼りまでを自動的に行うようにした背貼り機
も提案されている。此種の背貼り機のテープカッター装
置は、カム機構により駆動されるテープカッターをフレ
ーム等のカッター受け面に圧接して、テープカッターと
カッター受け面の間に位置する粘着テープを押し切りす
るように構成されている。図１０は前記カム機構のカム
線図であり、カッター受け面の位置Ｆを越えてテープカ
ッターが駆動されることにより切断荷重が粘着テープに
作用して粘着テープが押し切りされる。ここで、柔軟な
粘着テープを確実に押し切りするためには或る程度の長
さの切断荷重作用時間ｔが必要であり、この作用時間ｔ
が不足すると切断不良が発生する。依って、カムの運動
ストロークＳを充分にとるとともに、テープカッターや
カッター受け面が応力により撓んで粘着テープに作用す
る切断荷重が減少しないようにテープカッターやフレー
ムの剛性を強化して切断荷重作用時間ｔ並びに切断荷重
を確保している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】前述した背貼り装置の
テープカッター装置において、テープカッターがカッタ
ー受け面の位置Ｆを越える運動ストロークＳと切断荷重
作用時間ｔとは図１０に示すようにほぼ比例するので、
充分な切断荷重作用時間ｔを与えるためにはカッターの
ストロークＳをカッター受け面の位置Ｆを相当に越える
ように設定しなければならない。従って、テープカッタ
ーがカッター受け面に圧接する際のピーク圧力Ｐが高
く、テープカッターやフレームの剛性を相応に強化する
必要があり、背貼り装置の小型軽量化の妨げになる。

【０００５】そこで、この考案は充分な切断荷重作用時
間ｔを確保して確実な剪断性能を有し、且つ背貼り機の
大型化や重量の増加を回避できるテープカッター装置を
提供して背貼り装置の小型軽量化に寄与することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この考案は上記目的を達
成するために、粘着テープを送出する送りローラと送り
出された前記粘着テープを押し切るテープカッターとカ
ッター駆動機構を設けた背貼り機に於いて、前記粘着テ
ープへ一定の切断荷重を間欠的若しくは連続的に一定時
間付与する制御手段を設けたことを特徴とする背貼り機
に於けるテープカッター制御装置を提案するものであ
る。

【０００７】

【作用】テープ送り機構によって所定の長さの粘着テー
プが繰り出されると、テープカッターが駆動され、カッ
ター受け面上の粘着テープへテープカッターが圧接され
る。テープカッターの圧力は、予め設定された一定の切
断荷重で一定時間連続的若しくは間欠的に付与され、粘
着テープの切断に要する時間経過後に圧力は解除され
る。テープカッターの圧力を制限して切断荷重のピーク
を低下できるのでフレームやテープカッター等に加わる
応力が減少し、小型軽量化が可能になる。

【０００８】

【実施例】以下、この考案の一実施例を図に従って詳述
する。図１は背貼り機１１を示し、符号１２はベースで
ある。ベース１２に固設した左右のフレーム１３，１４
には、図 に示すように前方（図１中手前）から固定テ
ーブル１５とスライドテーブル１６と粘着テープ１７を
案内するガイドレール１８が取付けられている。スライ
ドテーブル１６は前後に一定範囲摺動できるように装着
され、ばね（図示せず）によって後方（図５中左）へ付
勢されている。固定テーブル１５とスライドテーブル１
６の上方には夫々クランプ１９，２０が配設されてお
り、之等のクランプ１９，２０並びにガイドレール１８
は、図１に示す左右のフレーム１３，１４に開穿したガ
イド溝（図示せず）と、左右のカムプレート２１，２１
のカム溝（図示せず）に係合されており、クランプ１
９，２０はモータ（図示せず）によって駆動されるカム
プレート２１，２１の動きによりガイド溝に沿って昇降
し、後述する背貼り工程において図示した位置から下降
して冊子２２を固定テーブル１５とスライドテーブル１
６に挟圧するものである。

【０００９】また、左右のフレーム１３，１４間には冊
子２２の位置決め用のガイド板２３が左右スライド自在
に設けられている。ガイド板２３にはホトセンサ等のテ
ープ検出センサ２４が設けられ、給送された粘着テープ
１７の先端をテープ検出センサ２４が検出してテープ送
りを停止するように構成されている。右側のフレーム１
４の外側には固定ガイドレール２５とガイドローラ２６
及びテープホルダ２７が配置されている。テープホルダ
２７の下方にはキャプスタンローラ２８とアイドラロー
ラ２９とキャプスタンモータ（図示せず）とが配置さ
れ、本体カバー３０には裏紙排出口３１が設けられてい
る。

【００１０】固定ガイドレール２５の前後を跨いで設け
たテープカッター３２は、図２に示すようにカッター駆
動機構である偏心カム３３へダンパーリンク３４を介し
て連結され、同図において時計方向に回動されて先端部
に装着したカッターブレード３５がカムプレート２１並
びにフレーム１４に夫々開穿した孔３６，３７内に進入
し、フレーム１４の孔３７の内側縁部に設けた切り起こ
し部３８に圧接して粘着テープ１７をフレーム１４の内
側面の位置ＣＰで押し切りするものである。ダンパーリ
ンク３４はコイルばね３９によって伸長方向に付勢され
ており、コイルばね３９の設定圧以上の圧力が加わるこ
とによって収縮し、カッターブレード３５の圧接力を前
記設定圧に制限する。

【００１１】カッター駆動機構は、テープ検出センサ２
４の出力信号に応じて、図１に示す制御装置４０によっ
て制御される。カッターブレード３５がフレーム１４の
切り起こし部３８に圧接し、図３の破線で示すカッター
ストローク線図Ｃのようにテープカッター３２が上死点
に達した時点ｔ₁ で、制御装置４０は偏心カム３３の回
転を一定時間停止させる。このとき、カッターブレード
３５の剪断力は、前述したダンパーリンク３４によって
一定値に制限されるので、切断荷重の作用は図３中実線
で示すように一定圧力で一定時間ｔα保持される。

【００１２】図４は他の実施例を示し、制御装置４０は
テープカッター３２のストロークが上死点を越えた時点
で偏心カム３３を任意の回数反転し、上死点を複数回通
過させて間欠的に切断荷重を付与し、切断荷重作用時間
（t₁，t₂，…， t_n ）の合計で粘着テープ１７の切断に
要する時間を確保している。図５に示すようにテープホ
ルダ２７に装填する長巻の背貼り用粘着テープ１７は、
粘着層４１に貼着した裏紙を長手方向に二分割されてお
り、細幅の裏紙４２ａと太幅の裏紙４２ｂの幅の比率は
１対２程度となっている。そして、テープホルダ２７へ
装填した状態において細幅の裏紙４２ａがガイドレール
１８側に位置し、太幅の裏紙４２ｂがスライドテーブル
１６側に対向するように形成されている。

【００１３】この粘着テープ１７の先端をテープホルダ
２７から引出して太幅の裏紙４２ｂのみを粘着層４１か
ら剥離し、図１に示すように太幅の裏紙４２ｂをガイド
ローラ２６によって方向変換してキャプスタンローラ２
８とアイドラローラ２９との間に挿入する。粘着テープ
１７の先端部は、固定ガイドレール２５を通じてガイド
レール１８の案内溝４３へ挿入し、キャプスタンローラ
２８を駆動すると、粘着テープ１７は裏紙４２ａ，４２
ｂと一体的にテープホルダ２７から引出され、ガイドロ
ーラ２６の位置で粘着テープ１７と太幅の裏紙４２ｂと
が分離されて、細幅の裏紙４２ａを貼着した粘着テープ
１７がガイドレール１８の案内溝４３内へ給送される。
そして、太幅の裏紙４２ｂは裏紙排出口３１から外部へ
排出される。

【００１４】スライドテーブル１６の後方に配置された
ガイドレール１８は、図６乃至図９に示すように上側部
材４４と、上側部材４４の下面に当接する下側部材４５
とからなり、下側部材４５の上面ガイド壁は３段階の階
段状に形成され、上側部材４４とによって形成される案
内溝４３の幅は開口側から中間部迄が広く、中間部から
奥が狭小となっている。

【００１５】ガイドレール１８は、図１に示すカムプレ
ート２１，２１の動きによりガイド溝に沿って上下及び
前後に一定範囲移動されるとともに、カム機構のカムプ
レート２１，２１の運動によって、図８に示すように上
側部材４４に対し下側部材４５を回動して案内溝４３の
開口幅を縮小することができる。次に、背貼り機１１の
動作を説明する。粘着テープ１７の給送から背貼り完了
までの一連の動作は前述した制御装置４０によって逐次
制御される。先ず、綴じるべき書類等の冊子２２をホチ
キスで仮綴じし、この仮綴じ部分をスライドテーブル１
６の後縁部に合わせてスライドテーブル１６上に載置
し、図１に示すようにガイド板２３を冊子２２の左端部
に当接させる。スタートスイッチ（図示せず）等により
制御装置４０に動作開始指令を入力すると、キャプスタ
ンローラ２８が駆動されて太幅の裏紙４２ｂを剥離され
た粘着テープ１７がガイドレール１８の案内溝４３内へ
給送される。このとき、図６に示すように粘着テープ１
７の粘着層露出部４６は、案内溝４３の幅広部４３ａに
位置し、裏紙４２ａを貼付した部分が狭小な奥部４３ｂ
に保持されるので粘着層露出部４６が下側部材４５に接
着することはない。

【００１６】そして、粘着テープ１７の先端がテープ検
出センサ２４の位置に達すると、制御装置４０がキャプ
スタンローラ２８の駆動を停止し、テープカッター３２
を回動させることによって粘着テープ１７は冊子２２の
寸法に合わせて切断される。続いて、クランプ１９，２
０が図６に示す状態から下降され、図７に示すように粘
着テープ１７の粘着層露出部４６を冊子２２の表紙に圧
着する。そして、同図に示すようにカム機構によってガ
イドレール１８が下降されて冊子２２の背に粘着テープ
１７が貼られる。ガイドレール１８は、ガイドレール１
８の上面とスライドテーブル１６の上面とがほぼ一致す
るまで下降される。

【００１７】次に、図８に示すようにガイドレール１８
の下側部材４５が回動されて案内溝４３の開口幅が縮小
され、図９に示すようにガイドレール１８が前方へ駆動
されて前端部にてスライドテーブル１６を押圧し、スラ
イドテーブル１６を後退させる。このとき、クランプ２
０によって固定テーブル１５へ圧接されている冊子２２
は移動せず、粘着テープ１７の一側部もクランプ１９に
よって挟圧されているのでガイドレール１８の移動に伴
って案内溝４３から粘着テープ１７が引出される。そし
て、粘着テープ１７は、ガイドレール１８の上側部材４
４の角部によってしごかれつつ引出されるため細幅の裏
紙４２ａが剥離され、粘着テープ１７はガイドレール１
８の上面部によって冊子２２の裏表紙へ圧着される。

【００１８】続いて、カムプレート２１，２１の復帰動
作によりガイドレール１８やクランプ１９，２０が初期
位置に復帰して全工程を終了する。尚、この考案は上記
一実施例に限定すべきものではなく、制御装置４０によ
る電気的制御に代えて偏心カム３３の形状を変更するこ
とによって図３並びに図４に示したカム線図Ｃを機械的
に実現することもできる。また、テープカッターやカッ
ター駆動機構の構成等も種々の改変が可能であり、この
考案がそれらの改変されたものに及ぶことは当然であ
る。

【００１９】

【考案の効果】この考案は、上記一実施例において詳述
したように、テープカッターを予め設定された一定の切
断荷重で粘着テープの切断に要する一定時間連続的若し
くは間欠的に付与して粘着テープを切断するので切断荷
重のピークを低下できる。よって、フレームやテープカ
ッターの応力を制限して切断荷重作用時間を確保するこ
とができ、フレームやテープカッターを特別に高剛性化
する必要がなく、背貼り装置の小型軽量化に寄与できる
実用的価値ある考案である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の背貼り装置の正面図。

【図２】テープカッター部分を示す正面図。

【図３】テープカッターの運動と切断荷重の遷移を示す
グラフ。

【図４】他の実施例におけるテープカッターの運動と切
断荷重の遷移を示すグラフ。

【図５】背貼り用粘着テープの斜視図。

【図６】背貼り装置の動作を説明するための要部断面
図。

【図７】背貼り装置の動作を説明するための要部断面
図。

【図８】背貼り装置の動作を説明するための要部断面
図。

【図９】背貼り装置の動作を説明するための要部断面
図。

【図１０】従来のテープカッターの運動と切断荷重の遷
移を示すグラフ。

【符号の説明】 １１ 背貼り機 １２ ベース １３，１４ フレーム １５ 固定テーブル １６ スライドテーブル １７ 粘着テープ １８ ガイドレール １９，２０ クランプ ２１ カムプレート ２２ 冊子 ２４ テープ検出センサ ２５ 固定ガイドレール ２７ キャプスタンローラ ２８ アイドラローラ ３２ テープカッター ３３ 偏心カム ３４ ダンパーリンク ３５ カッターブレード ３６，３７ 孔 ３８ 切起こし部 ３９ コイルばね ４０ 制御装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 樋口 一雄 東京都中央区日本橋箱崎町６番６号 マ ックス株式会社内 (72)考案者 今井 真二 東京都中央区日本橋箱崎町６番６号 マ ックス株式会社内

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 粘着テープ（１７）を送出する送りロー
   ラ（２８，２９）と送り出された前記粘着テープ（１
   ７）を押し切るテープカッター（３２）とカッター駆動
   機構（３３）を設けた背貼り機に於いて、前記粘着テー
   プ（１７）へ一定の切断荷重を間欠的若しくは連続的に
   一定時間付与する制御手段（３４，３９，４０）を設け
   たことを特徴とする背貼り機に於けるテープカッター制
   御装置。