JP2555415Y2 - ボイラの薬液注入装置 - Google Patents

ボイラの薬液注入装置

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JP2555415Y2 JP4155992U JP4155992U JP2555415Y2 JP 2555415 Y2 JP2555415 Y2 JP 2555415Y2 JP 4155992 U JP4155992 U JP 4155992U JP 4155992 U JP4155992 U JP 4155992U JP 2555415 Y2 JP2555415 Y2 JP 2555415Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は主として小型貫流ボイラ
の薬液注入に使用されるものであり、薬液の注入位置と
注入方法を変えることにより、安価で取扱が容易であ
り、しかも安定した薬液の注入が出来るようにしたボイ
ラの薬液注入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、小型多管式貫流ボイラ等の薬
液注入装置は図3及び図4に示す如く、給水ポンプ1の
上流側若しくは下流側位置に薬液注入口2を設け、制御
装置3からの信号Qにより給水ポンプ1を駆動して給水
タンク4から補給水5をボイラの下部ヘッダ6aへ圧送
すると共に、前記給水ポンプ1に連動して薬液注入ポン
プ7を駆動し、薬液タンク8から薬液9を補給水5内へ
注入するように構成されている。尚、図3及び図4に於
いて6bはボイラの上部ヘッダ、10・11は給水逆止
弁、12は給水入口弁、13は給水ストレーナ、14は
薬注用バックプレッシャーバルブである。
【0003】即ち、図3の薬液注入装置は給水ポンプ1
の2次側(吐出側)へ薬液9を注入するものであり、
注入部の圧力が正圧であるため薬液9の吐出量が安定し
易いこと、給水ポンプ1の材質が薬液9によって制約
されないこと等の点で優れている。しかし、当該方式の
薬液注入装置には、注入部の圧力が高いため、高揚程
の薬注ポンプが必要なこと、注入部の圧力が蒸気圧力
の影響を直接に受けること、液ラインの気泡や空気が
抜け難いこと、給水入口弁12の操作ミスによって
は、注入部の圧力が給水ポンプ1の締切り圧力まで上昇
してしまうこと等の点に難点がある。
【0004】一方、図4の薬液注入装置は給水ポンプ1
の1次側(吸込側)へ薬液9を注入するものであり、前
記図3の装置とは逆に、注入部の圧力が低いため、低
揚程の薬液注入ポンプでよいこと、薬液ラインの気泡
や空気が抜け易いこと等の長所を有しているものの、
注入点の圧力が負圧になるため、薬液9が吸い上げられ
たり、或いは薬液注入ポンプの吐出量が不安定になり易
いこと、給水ポンプ等の使用材質が薬液9によって制
約されること等の点に難点を有する。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】上述の如く、従前の薬
液注入装置には夫々一長一短があり、取扱の容易化や注
入の安定化、製造コストの引下げ等を同時に達成するこ
とが困難である。また、従前の薬液注入装置では、薬液
注入ポンプ7と給水ポンプ1の駆動時間が夫々同じ時間
に設定されており、薬液注入ポンプ7の運転時間は相当
長時間になっている。その結果、ボイラが小型の場合に
は、薬注流量が少なくなるため高性能な定量ポンプが必
要となり、ポンプ費が高価になると共に、給水ポンプ1
が経年変化によって性能低下が起こると、給水ポンプ1
の運転時間と同時に薬液注入ポンプ7の方の運転時間も
長くなり、必然的に薬液9の過剰注入を生ずると言う問
題がある。本考案は従前の薬液注入装置に於ける上述の
如き問題を解決せんとするものであり、所定流量の薬液
9を正確に且つ安定に注入することができると共に、取
扱が容易で、しかも高価な給水ポンプや薬液注入ポンプ
を必要とせず、製造コストの大幅な引き下げを可能とし
たボイラの薬液注入装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願考案は、制御装置3
からの制御信号Qにより給水ポンプ1を駆動してボイラ
の下部ヘッダ6aへ補給水5を圧送すると共に、給水ポ
ンプ1の駆動中に薬液注入ポンプ7を駆動して補給水5
内へ薬液9を注入するようにしたボイラの薬液注入装置
に於いて、前記給水ポンプ1をカスケード型ポンプと
し、当該給水ポンプ1のポンプケーシング16の低圧部
位に薬液注入口2を穿設し、当該薬液注入口2より補給
水5内へ薬液9を注入すると共に、給水ポンプ1の運転
時間Tを薬液注入ポンプ7の運転時間Sより長く設定し
たことを考案の基本構成とするものである。
【0007】
【作用】ボイラの水面が低下すると、制御装置3からの
ポンプ信号Qにより給水ポンプ1と薬液注入ポンプ7が
同時に駆動される。ボイラの蒸発量に応じて予め定めた
量の薬液9が注入されると、薬液注入ポンプ7の方は運
転を停止する。また、ボイラの水面が所定レベルにまで
上昇すると、給水ポンプ1が運転を停止する。この時、
薬液注入ポンプ7の薬液注入流量と給水ポンプ1の給水
流量とは、給水ポンプ1の運転時間Tの方が、薬液注入
ポンプ7の運転時間Sよりも約15〜20秒間以上長く
なるように設定されており、その結果、薬液注入ポンプ
7の方が先に運転を停止する。薬液注入口2が給水ポン
プ1のケーシング16の低圧部に設けられているため、
薬液9は容易にしかも安定した状態で補給水5内へ注入
されていく。また、薬液9の注入完了後も給水ポンプ1
が約15〜20秒間以上運転されるため、給水ポンプ1
の内部等は完全に補給水5によって洗浄されることにな
り、給水ポンプ1等の使用材料が特に制約を受けること
はない。
【0008】
【実施例】以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明
する。図1は本考案に係るボイラの薬液注入装置の全体
系統図であり、図2は本考案で使用する給水ポンプの一
部破断正面図である。尚、図1に於いて、前記図3及び
図4と同じ部位には、同一の参照番号が付されている。
【0009】図1を参照して、本件考案は薬液注入部と
補給水部と制御部とから形成されており、前記薬液注入
部は薬液タンク8、薬液吸込みキット15、薬液注入ポ
ンプ7及び薬注用バックプレッシャバルブ14等より形
成されている。尚、本実施例では薬液タンク8として薬
液の運搬並びに販売用の10〜50l程度の小形容器を
そのまま使用しており、これに薬液吸込みキット15を
取付けて薬液の略全量を吸入するようにしている。その
結果、危険な薬品の補充等の取扱を避けることが出来る
と共に、薬品の補充の遅れ等による薬注ポンプ7のエア
ー抜き操作等の回数を大幅に減らすことが出来る。ま
た、前記薬液注入ポンプ7は、ボイラへの一回の補給水
量(即ちボイラの蒸発量)に応じて予め定めた量の薬液
9を、約10秒〜40秒のポンプ運転時間S内に補給水
5内へ注入できる能力を有しており、その吐出圧は、後
述するように薬液注入口2に於ける圧力が約1kg/c
2 以下と低いため、ボイラの最高使用圧力の約1/2
程度の揚程のポンプが選定されている。更に、バックプ
レッシャーバルブ14は、約1kg/cm2 程度の背圧
を給水ポンプ1側にかけるように設定されており、これ
によって薬液注入量の安定化とボイラ側の真空による薬
液9の吸込みの防止が計られている。
【0010】前記補給水部は給水ポンプ1、給水タンク
4、給水逆止弁10,11等より形成されている。また
本考案では、給水ポンプ1として所謂カスケード型のポ
ンプが使用されており、図2に示す如く、当該給水ポン
プ1のポンプケーシング16に薬液注入口2が穿設され
ている。即ち、圧力が比較的低くて薬液の注入が容易に
且つ安定して行い得る薬液の注入点は、給水ポンプ1の
上流側及び下流側には理論的に存在せず、最終的にはポ
ンプ本体の内部に適量位置が存在することになる。
【0011】
【表1】
【0012】表1は、カスケード型ポンプのポンプケー
シング16の薬液注入口2(即ち、ポンプケーシング1
6内への補給水吸引孔Pから、ポンプの回転方向へ回転
角で約90°の位置)内方に於ける圧力と給水ポンプの
吐出圧との実測値を示すものである。当該薬液注入口2
の位置であれば、補給水の圧力が約1kg/cm2 以下
となり、薬液注入ポンプ7の低揚程化と取扱の容易化、
注入量の安定化等の達成が可能となる。尚、実測の結果
によれば、前記吸引孔Pからの回転角θが約60°〜1
50°の範囲内に薬液注入口2を設ければ、上記低揚程
化や注入量の安定化等を計れることが判明している。
尚、図2に於いて、17は給水入口、18は給水出口、
19は羽根車、20はポンプシャフトである。
【0013】前記制御装置3は水位制御装置21とポン
プ制御盤22とから形成されており、更に、水位制御装
置21は、ボイラの上・下両ヘッダ6a,6b間に連結
した水位制御筒23と電極棒24とから形成されてい
る。また、前記ポンプ制御盤22は、水位制御装置21
からの信号を受けて給水ポンプ1と薬液注入ポンプ7の
運転制御を行う。尚、本実施例では、ボイラ水面が一定
レベルにまで下降すると両ポンプ1,7が同時に作動さ
れ、且つ給水ポンプ1の方は30〜60秒間の運転時間
に、また薬液注入ポンプ7の方は給水ポンプ1より約2
0秒以上運転時間が短くなるように設定されている。
【0014】
【表2】
【0015】本考案では、薬液注入ポンプ7の停止後に
約20秒間以上給水ポンプ1が作動されるため、高pH
の薬液9の注入に対しても、銅系材料の使用が可能とな
る。表2は、給水ポンプ1の給水出口18に於ける補給
水5のpH値を示すものであり、所定量の清缶剤9の注
入を完了した後、給水ポンプ1を約20秒間運転するこ
とにより、補給水5のpH値は9. 5にまで低下する。
また、薬液注入ポンプ7の作動時間を短く設定している
ため、薬注量が極端に微量になることがなく、適当な吐
出量範囲内に於ける薬液注入が可能となる。
【0016】
【考案の効果】本考案に於いては、給水ポンプのポンプ
ケーシングの低圧部位に薬液注入口を穿設し、当該注入
口から薬液を注入すると共に、薬液注入ポンプの停止後
も一定時間以上給水ポンプを運転する構成としている。
その結果、薬液注入ポンプの低揚程化並びに適正吐出流
量の選定、取扱操作の容易化、注入量の安定化等が可能
になると共に、給水ポンプや給水系資材が特に薬液注入
によって制約を受けることもなくなり、コスト減を計る
ことができる。また、本考案に於いて、薬液注入ポンプ
の作動時間をボイラ蒸発量に応じた一定時間とした場合
には、従前の薬液注入装置のように、給水ポンプの経年
変化の影響を受けて薬液注入量が過剰になるような不都
合が皆無となる。本考案は上述の通り、簡単な構成にも
拘わらず優れた実用的効用を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係るボイラの薬液注入装置の全体系統
図である。
【図2】本考案で使用する給水用のカスケード型ポンプ
の一部を破断した正面図である。
【図3】従前のボイラの薬液注入装置の一例を示すもの
である。
【図4】従前のボイラの薬液注入装置の他の例を示すも
のである。
【符号の説明】
1は給水ポンプ、2は薬液注入口、3は制御装置、4は
給水タンク、5は補給水、6aはボイラの下部ヘッダ、
6bは上部ヘッダ、7は薬液注入ポンプ、8は薬液タン
ク、9は薬液、10,11は給水逆止弁、12は給水入
口弁、13は給水ストレーナ、14は薬注用バックプレ
ッシャーバルブ、15は薬液吸込みキット、16はポン
プケーシング、17はポンプ給水入口、18はポンプ給
水出口、19は羽根車、20はシャフト、21は水位制
御装置、22はポンプ制御盤、23は水位制御筒、24
は電極棒、Qはポンプ制御信号、Tは給水ポンプの運転
時間、Sは薬液注入ポンプの運転時間、Pは補給水吸引
孔。

Claims (5)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御装置(3)からのポンプ制御信号
    (Q)により給水ポンプ(1)を駆動してボイラの下部
    ヘッダ(6a)へ補給水(5)を圧送すると共に、給水
    ポンプ(1)の駆動中に薬液注入ポンプ(7)を駆動し
    て補給水(5)内へ薬液(9)を注入するようにしたボ
    イラの薬液注入装置に於いて、前記給水ポンプ(1)を
    カスケード型ポンプとし、当該給水ポンプ(1)のポン
    プケーシング(16)の低圧部位に薬液注入口(2)を
    穿設し、当該薬液注入口(2)より補給水(5)内へ薬
    液(9)を注入すると共に、給水ポンプ(1)の運転時
    間(T)を薬液注入ポンプ(7)の運転時間(S)より
    長く設定したことを特徴とするボイラの薬液注入装置。
  2. 【請求項2】 薬液注入口(2)を、ポンプケーシング
    (16)の補給水吸引孔(P)からポンプ回転方向へ回
    転角で約60°〜150°離間した位置に穿設するよう
    にした請求項1に記載のボイラの薬液注入装置。
  3. 【請求項3】 制御装置(3)を、ボイラの上・下両ヘ
    ッダ(6a)・(6b)間に設けた水位制御筒(23)
    及び電極棒(24)から成る水位制御装置(21)とポ
    ンプ制御盤(22)とから形成すると共に、前記ポンプ
    制御盤(22)からの信号(Q)により給水ポンプ
    (1)と薬液注入ポンプ(7)とを同時に起動し、且つ
    給水ポンプ(1)の運転時間(T)が薬液注入ポンプ
    (7)の運転時間(S)より約15秒間以上長い制御装
    置とした請求項1に記載のボイラの薬液注入装置。
  4. 【請求項4】 ポンプ制御盤(22)を、薬液注入ポン
    プ(7)の運転時間(S)を約10〜40秒間に、また
    給水ポンプ(1)の運転時間(T)を薬液注入ポンプ
    (7)の運転時間(S)よりも約15〜25秒間長く設
    定したポンプ制御盤とした請求項3に記載のボイラの薬
    液注入装置。
  5. 【請求項5】 ポンプ制御盤(22)を、ボイラの運転
    開始時のみ薬液注入ポンプ(7)のON時間を30〜1
    20秒間とし、薬液の初期投入の機能を持たせた請求項
    1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載のボイラの
    薬液注入装置。
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