JP2554098Y2 - スピニングリール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は回転枠の一方の支持腕
に、糸案内部を有するアームカムを、他方の支持腕に揺
動アームを、夫々、取り付け、前記アームカムと前記揺
動アームとに亘ってベールアームを掛け渡すとともに、
前記他方の支持腕の外面を覆うカバー体を設けてあるス
ピニングリールに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のスピニングリールにおいては、
ベールアームを回転枠の回転軸芯よりも正面視において
一方に寄せた糸巻き取り姿勢に切換て、糸の巻き取り回
転を行う為に、また、アームカムが糸案内部を有する為
に、回転バランスが悪いところから、回転枠や実願平３
−４００８６号に示すように、揺動アームにバランス手
段を施したものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】このようにバランス手
段を用いて回転不釣り合い量を解消する構成をとっては
いるが、回転枠にバランス手段を施す場合には、回転枠
の回転中心より離れた位置には装着しにくいものである
から、重量のあるかつ嵩張るバランス手段を施す必要が
あり、その設置スペースを選定するのに工夫を要するも
のである。また、揺動アームに取り付けるものにあって
は、揺動アーム自体が嵩張り重いものとなる為に、ベー
ルアームを糸巻き取り姿勢と糸解放姿勢とに切り換える
際に、操作抵抗が大きく改善の余地があった。本考案の
目的は、バランス手段を施すについて、設置スペースを
見出し易く、かつ、ベールアームの姿勢変更操作を容易
に行うことができ、併せて、揺動アームに対する糸絡み
を抑制することのできるスピニングリールを提供する点
にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案による特徴構成は
前記カバー体の先端部を前記揺動アームの外面にカバー
する状態に位置させるとともに、そのカバー体の先端部
にバランス手段を設けてある点にあり、その作用効果は
次の通りである。

【０００５】

【作用】〔イ〕 揺動アームより回転枠軸芯より遠い位
置にあるカバー体の先端部にバランス手段を設けてある
ので、バランス手段として軽量小型のものでよい。 〔ロ〕 バランス手段をカバー体に設けたので、揺動ア
ームはバランス手段を設ける必要がなく、それだけ嵩張
らないものにできる。 〔ハ〕 バランス手段を設けるにカバー体の先端部で揺
動アームの外面をカバーしている、その先端部に設ける
ことにしているので、カバー体が揺動アームに対してカ
バーしていない従来構成において見られた、カバー体と
揺動アーム外面との段差部位で起こり易い糸絡みを抑制
できる。

【０００６】

【考案の効果】作用〔イ〕により、バランス手段の設置
スペースを見出し易く、かつ、作用〔ロ〕により、バラ
ンス手段のない分軽量状態を維持でき、ベールアームの
姿勢切換を操作性よく行え、更に、作用〔ハ〕により、
糸絡みまでも効果的に抑制できるに至った。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図１及び図２に示すように、ハンドル１を備えた
リール本体２の前部にベールアーム３を備えた回転枠
４、釣り糸（図示せず）を巻き取るスプール５夫々を配
置すると共に、リール本体２の前部にハンドル１からの
動力を回転枠４に伝える筒軸６、この筒軸６に形成した
ピニオン７、ピンオン７に咬合して駆動すべくハンドル
軸８に取り付けられたメインギヤ９、スプールを支持す
るスプール軸１０、スプール軸１０と平行に架設された
螺旋軸１１、螺旋軸１１に動力伝達する伝動ギヤ１２、
スプール５と一体で螺旋軸１１と咬合して移動する摺動
子１３でオシレーティング機構Ａを形成し、スピニング
リールを構成している。

【０００８】前記回転枠４を筒状の基端部とこの基端部
より前後軸芯Ｘ方向に沿って延出された支持腕４Ａ，４
Ａとで構成し、この支持腕４Ａ，４Ａを回転軸芯Ｘを挟
んで略対向する位置に配置し、一方の支持腕４Ａに取り
付けられ糸案内部としてのラインローラ１６を有するア
ームカム１４と、他方の支持腕４Ａに取り付けた揺動ア
ーム１５との間に前記ベールアーム３を取り付けて、こ
のベールアーム３を解放姿勢と巻き取り姿勢とに切換自
在に構成する。

【０００９】次に、糸繰り出し方向への回転枠４の回転
を阻止するストッパ機構Ｂについて説明する。図４及び
図５に示すように、回転枠４の内周面に内歯式ラチェッ
ト歯１７を形成するとともに、このラチェット歯１７に
係合して回転枠４の糸繰り出し（逆転）方向への回転を
阻止するラチェット爪１８を軸支し、筒軸６にカラー１
９を一体回転可能に外嵌し、このカラー１９に回転カム
体２０を遊嵌し、更に、回転カム体２０にカラー１９に
軽い圧接状態で巻き付けたスプリング２１の先端を係合
固定している。是によって、回転枠４がいずれかの方向
に回転すると、カラー１９と一体で回転するスプリング
２１によって、回転カム体２０を同方向に駆動する。ま
た、回転カム体２０の近くに切換カム２２を設け、この
切換カム２２で回転カム体２０の揺動範囲を変更設定す
るとともに、回転カム体２０の糸巻き取り方向への揺動
を停止させるストッパ２３を設けてある。以上のような
構成より、図４に示すように、切換カム２２を図上左に
倒すと、回転カム体２０は回転枠４が正逆いずれの方向
に回転しても切換カム２２とストッパ２３との狭い範囲
でのみ揺動して、その範囲内でラチェット爪１８を非係
合姿勢に維持する。一方、図５に示すように、切換カム
２２を図上右に倒すと、回転カム体２０は回転枠４が逆
方向に回転すると、切換カム２２の姿勢が変わった分だ
け大きく揺動して、ラチェット爪１８に対する作用を解
除し、ラチェット歯１７に対する係合を許容する。この
ように、回転カム体２０に切換カム２２を作用させる構
成によって、逆転時のみ回転を阻止する状態と、いずれ
の方向へも回転を許容する状態とに切り換えることがで
きる。

【００１０】摺動子１３の構造について説明する。図６
に示すように、リール本体２の左側面にその内部空間を
開閉可能な側壁カバー２４を設けるとともに、側壁カバ
ー２４を解放して摺動子１３を内部空間に挿入すること
を可能に構成し、底面に形成した開口を覆う底壁カバー
２５を設けてある。摺動子１３に螺旋軸１１及びスプー
ル軸１０を挿通する孔を形成するとともに、スプール軸
１０を挿通しこのスプール軸１０と摺動子本体とをボル
ト連結することによって、一体化してある。スプール軸
１０の挿通孔と直交する方向に形成された孔に、螺旋軸
１１の螺旋溝に係合する係合子と調節用座金を挿通し、
係合子及び調節用座金をおさえる押さえ板２６をボルト
によって固定している。底壁カバー２５を解放姿勢にし
て、このボルト、係合子、及び、調節用座金を内部空間
内に挿入するようにしてある。

【００１１】次に、揺動アーム１５に対する構成につい
て説明する。図１乃至図３に示すように、揺動アーム１
５を軸支する他方の支持腕４Ａの内部空間を覆うカバー
体２７を着脱自在に装着する。このカバー体２７は、揺
動アーム１５の後方に位置する基端部２７Ｂと揺動アー
ム１５の揺動基端を覆う先端部２７Ａとからなり、揺動
アーム１５の揺動基端外面よりも、その基端部２７Ａの
外面を回転軸芯側に位置させて外方への突出を小さくす
るともに、揺動アーム１５の基端より外方に位置する先
端部２７Ａに掛けて滑らかな曲面で繋いである。このよ
うにカバー体２７の先端部２７Ａと支持腕４Ａとで挟み
込み、支持腕４Ａ側から挿通するボルト３１を先端部２
７Ａまで貫通させて揺動アーム１５を揺動可能に軸支す
る。バランス手段としての亜鉛等のバランスウエイト２
８を樹脂製のカバー体の先端部２７Ａにインサート成形
して埋め込んである。このバランスウエイト２８によっ
て、回転枠４の回転バランスを良好なものにでき、回転
作動を円滑に行い得る。このバランスウエイト２８の取
り付ける位置としては、図３に示すように、揺動アーム
１５の回転中心Ｙを挟んでベールアーム３の存在側とは
反対側に位置させるのがよい。前記バランスウエイト２
８の重量は、アームカム１４の重量と釣り合うように設
定する。そして、回転枠４の円筒部先端と円筒部基端と
の二箇所に夫々バランスウエイト２９，３０を配置し
て、回転枠４自体の重量アンバランスを相殺するようか
つアームカム１４と揺動アーム１５を含む全体系の重量
アンバランスを解消し、回転枠４の静的・動的回転バラ
ンスを採るようにしてもよい。

【００１２】〔別実施例〕 カバー体２７を取り付ける構成としては、図７に示
すように、支持腕４Ａよりボルト３１で回転可能に支持
するとともに、前記ピンに軸芯を一致させた支持ピンで
支持する構成をとり、この支持ピンがカバー体２７の先
端部２７Ａにインサート成形されたバランスウエイト２
８であってもよい。 カバー体２７自体を金属で成形し、先端部２７Ａを
重くしてバランスウエイトに兼用してもよい。 カバー体２７としては、先端部２７Ａと基端部２７
Ｂとの外面を段差のない平面にしてもよい。

【００１３】尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面と
の対照を便利にするために符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】リールの縦断側面図

【図２】リールの正面図

【図３】回転枠の一部切欠き上面図

【図４】ラチェット爪を非係合姿勢に維持する状態を示
す縦断側面図

【図５】ラチェット爪を係合姿勢に切り換える状態を示
す縦断側面図

【図６】摺動子を示す縦断背面図

【図７】カバー体に設けられたバランスウエイトの別実
施例を示す一部切欠き背面図

【符号の説明】

３ ベールアーム ４ 回転枠 ４Ａ 支持腕 １４ アームカム １５ 揺動アーム １６ 糸案内部 ２７ カバー体 ２７Ａ 先端部 ２８ バランス手段

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転枠（４）の一方の支持腕（４Ａ）
   に、糸案内部（１６）を有するアームカム（１４）を、
   他方の支持腕（４Ａ）に揺動アーム（１５）を、夫々、
   取り付け、前記アームカム（１４）と前記揺動アーム
   （１５）とに亘ってベールアーム（３）を掛け渡すとと
   もに、前記他方の支持腕（４Ａ）の外面を覆うカバー体
   （２７）を設けてあるスピニングリールであって、 前記カバー体（２７）の先端部（２７Ａ）を前記揺動ア
   ーム（１５）の外面にカバーする状態で位置させるとと
   もに、そのカバー体（２７）の先端部（２７Ａ）にバラ
   ンス手段（２８）を設けてあるスピニングリール。
2. 【請求項２】 前記バランス手段（２８）が、前記カバ
   ー体（２７）の先端部（２７Ａ）にインサート成形され
   た金属である請求項１記載のスピニングリール。