JP2553218B2 - 積層布帛及び該布帛からなる成形体の製造方法 - Google Patents

積層布帛及び該布帛からなる成形体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は縫製加工あるいは成型加工を簡略化し、形態
の安定な布帛製品を製造する方法に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、熱バインダー繊維を混用した布帛製品には多く
の提案がある。例えば、不織布構成繊維に熱バインダー
繊維を混用し、熱処理で繊維間を接着固定して得た製品
として、衛生材のフエーシング材、衣服の芯地などがあ
る。また、低融点繊維を含む繊維絡合不織布を加熱絞り
成型加工して不織布成形体を製造する方法が特公昭63−
543号公報に提案されており、熱可塑性ポリエステルと
それより低軟化点熱可塑性ポリエステルが4層以上に張
り合わされた自己融着性ポリエステウ複合繊維を集束
し、熱処理して繊維間を接着した糸条を編織工程を経て
布帛とすることが特開昭63−243325号公報に提案されて
いる。その他、布帛にポリウレタンなどの樹脂を含浸し
て得たシート状物をプレス絞り成型加工することも既に
実施されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の低融点重合体を有する熱バインダー繊維を混用
した繊維からなる布帛は、染色・処理加工などの加工時
の乾燥、裁断、縫製などの摩擦熱などで接着硬化してし
まい、良好な縫製加工品あるいは成型加工品を得ること
ができない。更に、得られた製品も表面がプラスチツク
ス様の冷やかな感じのもので、布の暖かみを有する落ち
着いたものではない。
本発明は、染色加工および縫製加工あるいは成型加工
が容易で、良好な外観および形態と布の暖かみを有し、
洗濯しても型崩れしない成形体の製造方法とその原料と
なる積層布帛を提供することを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
即ち、本発明は、200℃以下の温度で軟化又は溶融す
る熱可塑性繊維を10重量%以上含有する布帛Iと該熱可
塑性繊維が軟化又は溶融しはじめる温度では実質的に軟
化又は溶融することのない繊維からなる布帛IIとが、該
熱可塑性繊維よりも20℃以上低い温度で熱接着性を示す
ホツトメルト接着剤で接着されてなる積層布帛及び、該
積層布帛を、布帛Iを構成する熱可塑性繊維の軟化又は
溶融する温度以上の温度でプレス成形又は型成形するこ
とを特徴とする成形体の製造方法である。
本発明において、布帛Iを構成する繊維には、200℃
以下、好ましくは200℃〜110℃の温度で軟化又は溶融す
る熱可塑性繊維が10重量%以上含まれていることが必須
である。10重量%より少ないと、例えば、カツプ状の成
形体としても形態保持性が悪く、型くずれしやすいもの
となつてしまうので、好ましくは30重量%〜80重量%が
望まれる。
布帛Iに使用される上記の熱可塑性繊維としては、例
えば、ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、エ
チレンオクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン酢
酸ビニル共重合体あるいはその酸化物などのオレフイン
系重合体、ポリエキサメチレンテレフタレートあるいは
その共重合体、ブチレンイソフタレート共重合体、10−
ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、変成ナイロン
などのポリアミド、スチレン共重合体、塩化ビニル系重
合体などの熱可塑性重合体から選ばれた重合体を単独紡
糸あるいは混合紡糸して得た繊維を挙げることができ、
また、鞘成分として、例えば、上記低融点の熱可塑性重
合体を用い、芯成分として、高融点重合体、例えば、ポ
リエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート共
重合体、ポリブチレンテレフタレート、などのポリエス
テル、6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、
ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチ
レンテレフタルアミドなどのポリアミドなどの熱可塑性
重合体から選ばれた少なくとも1種類の重合体を用い、
芯鞘型複合紡糸法で紡糸して得た芯鞘型複合繊維を使用
してもよい。好ましい軟化溶融温度が前述のとおり200
〜110℃の範囲の重合体であり、この温度が高いと熱成
形に高温を要し、布帛IIの繊維を損なうことがある。一
方、該温度が低いと縫製加工時に融着・硬化はもとよ
り、製品が型崩れし易くなり好ましくない。この繊維の
繊度は2〜20デニールのものが使用され、必要に応じ
て、例えば、布帛IIの構成繊維と混用して紡績糸または
フイラメント加工糸とし、これらを用いて織布や網布と
したり、ステープル繊維あるいはフイラメントから作ら
れた不織布あるいは繊維絡合不織布などの布帛とするこ
とができる。この布帛Iの重量は所望する成形体から適
宜決められるが、一般に、布帛重量は50〜500g/m2の範
囲である。
本発明において布帛IIを構成する繊維は、合成繊維、
再生繊維及び天然繊維よりなる群から選ばれた少なくと
も1種以上の繊維であり、合成繊維としては、例えば、
ポリエチレンテレフタレート繊維、エチレンテレフタレ
ート共重合体繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、
全芳香族ポリエステル繊維などのポリエステル繊維、6
−ナイロン繊維、66−ナイロン繊維、610−ナイロン繊
維、芳香族ポリアミド繊維などのポリアミド繊維、ポリ
アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維などを使
用することができる。これらの繊維は、布帛Iに含まれ
る熱可塑性繊維が軟化又は溶融しはじめる温度では実質
的に軟化又は溶融しないものでなければならず、好まし
くは20℃以上、特に30℃以上の軟化又は溶融温度の差が
あることが望まれる。加熱成形時に布帛IIの構成繊維が
溶融したりすると成形体表面がフイルムライタになり、
布帛の有する風合が出せなくなるので注意しなければな
らない。
布帛IIはこのような繊維を用いて紡績糸またはフイラ
メント加工糸として製編織して得た織布、編布、立毛編
織物やステープル繊維あるいはフイラメントから作られ
た不織布などの布帛である。この布帛IIを構成する繊維
の繊度や布帛の重量などは所望する成形体から適宜決め
られるが、一般に、繊度は1〜15デニール、布帛重量は
50〜500g/m2の範囲である。
次に、布帛Iと布帛IIを接着するホツトメルト接着剤
は、布帛Iを構成する熱可塑性繊維の融点又は軟化点よ
り20℃以上低い融点の重合体からなり、好ましい融点は
180〜70℃の範囲にある重合体あるいは重合体組成物か
らなるものである。このホツトメルト接着剤は、例え
ば、ポリエチレン組成物、エチレン共重合体あるいはそ
の組成物、エチレン酢酸ビニル共重合体あるいはその酸
化物またはそれらの組成物、酢酸ビニル共重合体または
その組成物、ポリアミドあるいはその組成物、変成ポリ
アミドあるいはその組成物、ポリエステルあるいはその
組成物などから選ばれた接着剤であり、布帛Iと布帛II
とを夫々構成する繊維の組み合わせによつて適宜選ぶこ
とができる。このホツトメルト接着剤は布帛Iと布帛II
の積層面に点状、線状、被膜状に付与したり、粉末ある
いはフイルムとしてこれを挿入して布帛Iと布帛IIを積
層し、接着剤の接着温度で処理して布帛を積層接着する
ことができる。
得られた積層布帛は、必要に応じて、布帛IIを染色し
たり、繊維立毛面を形成あるいは立毛面を整毛するなど
の処理を行つて、成形体を製造するために所望の形状に
裁断し、例えば、布帛IIを表面として縫製する。縫製し
た縫製品は布帛Iを構成する熱可塑性繊維の軟化、溶融
温度以上の温度でプレス成形して縫製品を成形体とする
ことができる。または、積層布帛を所定の大きさに裁断
し、所望の形状の金型に供給し、布帛1を構成する熱可
塑性繊維の軟化・溶融温度以上の温度で成型して成形体
とする。
次に、本発明の積層布帛およびそれからなる成形体を
図面で説明する。
第1図は本発明の積層布帛の断面構造の模式図で、1
は積層布帛、2は布帛II、3は布帛I、4はホツトメル
ト接着剤である。第2図は本発明の布帛からなる成形体
の例示であるブラジヤーカツプ部分の断面構造の模式図
で、5は積層布帛、6は積層布帛の布帛II、7は積層布
帛の布帛I、8はバンドである。
本発明の積層布帛を使用した成形体は、例えば、帽
子、ブラジヤー、被服用のパツト類、臑当てなどの体の
保護具、ケース類、鞄類、機器・物品等の保護材などと
して使用できる。
〔実施例〕
次に、本発明の実施態様を具体的な実施例で説明す
る。なお、実施例中の部および%はことわりのない限
り、重量に関するものである。
実施例1 繊度2drのポリエチレンテレフタレート繊維(1)
(融点269℃)の紡績糸を製織して織布(布帛II)とし
た。一方、芯成分重合体にポリエチレンテレフタレート
45部、鞘成分重合体にヘキサメチレンテレフタレート系
共重合ポリエステル(融点145℃)55部からなる単繊度3
drの芯鞘型複合繊維(2)40部と、ポリエチレンテレフ
タレート繊維(1)60部を混綿した繊維を紡績糸とし、
製織して織布(布帛I)とした。この布帛Iと布帛IIを
接着するホツトメルト接着材としてポリエステル系樹脂
組成物(融点121℃)をホツトメルトコーター法で布帛
Iの面に点状に塗布し、次いで布帛IIを積層した後、12
5℃の熱風処理し、続いてプレス接着して積層布帛を得
た。この積層布帛は分散染料でベージュ色に染色し、乾
燥した後、ブラジヤーカツプの金型で温度150℃でプレ
ス成形して第2図に示したブラジヤーカツプを作り、さ
らに縫製加工してブラジヤーとした。この製品は形態の
安定性がよく、繰り返し洗濯しても形態保持性が優れて
いた。
実施例2 実施例1の積層布帛を帽子の構成片に裁断し、裁片を
ミシン縫製し、次いで分散染料で温度98℃のキヤリアー
染色で所望の色に製品染めし、乾燥後、帽子型のアイロ
ンプレスを150℃で掛けて成型した。得られた製品は形
態が安定で繰り返し洗濯でも形態保持性が優れていた。
実施例3 繊度2.5drの糸染めしたポリエチレンテレフタレート
繊維の紡績糸を用いてモケツト調布帛(布帛II)を製織
した。一方、繊度6drのポリエチレンテレフタレート繊
維(3)50部と、低融点重合体繊維として繊度6drのヘ
キサメチレンテレフタレート系共重合ポリエステル繊維
(4)(融点145℃)50部を混綿し、乾式法で平均重量2
50g/m2の繊維ウエブを作り、ニードルパンチ処理して繊
維絡合不織布(布帛I)を得た。次いで繊維絡合不織布
に、ホツトメルト接着剤としてポリエステル系樹脂組成
物(融点121℃)のフイルムを載置し、更に、モケツト
調布帛を積層して、温度130℃の熱風加熱炉で加熱処理
後、ロールプレスして繊維立毛面を有する積層布帛を得
た。この積層布帛は椅子の成型金型で温度150℃でプレ
ス成型して椅子の一定成形を行つた。このものは意匠
性、賦形性、形態安定性に優れたものであつた。
〔発明の効果〕
本発明の積層布帛は、染色加工および縫製加工あるい
は成型加工が容易で、かつ加工か簡略化され、得られた
成形体製品は良好な外観および形態と布的暖かみを有
し、安定な形態を保持し、洗濯しても型崩れしない成形
体である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の積層布帛の断面構造の模式図、第2図
は本発明の布帛からなる成形体の例示としてブラジヤー
カツプ部分の断面構造を示す模式図である。 1:積層布帛 2:布帛II 3:布帛I 4:ホツトメルト接着剤 5:積層布帛 6:布帛II 7:布帛I 8:バンド

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】200℃以下の温度で軟化又は溶融する熱可
    塑性繊維を10重量%以上含有する布帛Iと該熱可塑性繊
    維が軟化又は溶融しはじめる温度では実質的に軟化又は
    溶融することのない繊維からなる布帛IIとが、該熱可塑
    性繊維よりも20℃以上低い温度で熱接着性を示すホツト
    メルト接着剤で接着されてなる積層布帛。
  2. 【請求項2】請求項(1)に記載の積層布帛を、布帛I
    を構成する熱可塑性繊維の軟化又は溶融する温度以上の
    温度でプレス成形又は型成形することを特徴とする成形
    体の製造方法。
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