JP2552592Y2 - 超音波測定装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、ドラム缶詰廃棄物固
化体の検査に適用される超音波測定装置に関するもので
あり、特にドラム缶内容物を透過して伝搬した信号だけ
を適確に得るのに使用されるものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、セメント固化体、アスファルト等
を充填したドラム缶詰廃棄物固化体の内容物の測定（例
えば、セメント固化体の強度の推測等）は、ドラム缶を
介して側面から超音波を伝搬させ、内容物を伝搬する超
音波の伝搬速度を測定したり、内容物の有無等を確認す
る為に同様の伝搬信号の有無を調べる方法によって行な
われている。

【０００３】上記従来の超音波による測定装置は、図５
に示すように構成されている。内容物１が詰められたド
ラム缶容器２の側面に超音波発信子３及び超音波受信子
４を接触させ、発信器５で発生させたパルス信号を超音
波発信子３に供給し、超音波受信子４の受信信号を信号
検出器６に入力している。そして、この信号検出器６の
検出信号を発信器５からのパルス信号と共に伝搬時間測
定器７に入力している。

【０００４】上記超音波測定装置を使用して検査を行な
う場合には、発信器５で発生させたパルス信号（電気パ
ルス）を超音波発信子３により超音波に変換し、その超
音波をドラム缶容器２を介して超音波受信子４で受信す
る。信号検出器６及び伝搬時間測定器７は、発信器５で
発生したパルス信号、及び超音波受信子４により受信し
た信号から内容物１を伝搬する透過信号の検出、内容物
１を伝搬する伝搬時間の測定等を行なう。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記従来の超
音波測定装置では、ドラム缶容器２の内容物１の状態、
又はその有無に係わりなく、超音波発信子３から発信さ
れた超音波の一部は、ドラム缶容器２が薄板材であるた
め板波となって容器２の外周面を伝搬し、超音波受信子
４に受信される。この結果、容器２の外周面を伝搬する
信号と、内容物１を透過して伝搬する信号との識別が困
難になり、内容物１の有無の判断を誤るという問題があ
った。

【０００６】この考案は、上記の問題を解決するために
なされたもので、ドラム缶容器等の測定対象物の外周面
を伝搬する超音波信号の影響を受けること無く、ドラム
缶内容物を透過伝搬した信号だけを適確に得ることがで
き、内容物の有無の判断を誤りなく行なうことができる
超音波測定装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この考案に係る超音波測
定装置は、パルス信号を発生する発信器と、この発信器
から出力されるパルス信号を連続的に周波数が変化する
信号に変換する分散遅延変換手段と、この分散遅延変換
手段から出力される信号を超音波に変換して内容物を充
填した容器に送信する超音波発信子と、上記容器及び内
容物を伝搬した超音波を受信する超音波受信子と、この
超音波受信子により受信した超音波を逆変換してパルス
信号を得る逆分散遅延変換手段と、この逆分散遅延変換
手段の出力信号により内容物を透過伝搬した超音波信号
のみを検出する信号検出手段とを備えたことを特徴とす
る。

【０００８】

【作用】発信器で発生させたパルス信号（電気パルス）
は、分散遅延変換器で分散変換されて連続的に周波数が
変化する信号となり、超音波発信子で発信されて測定対
象の内部及び外周面を伝搬することになる。測定対象の
内部を透過伝搬した超音波は、発信した時のままの波形
で超音波受信子に受信された後、一種の相関器である逆
分散遅延変換器によりパルス信号に逆変換される。この
逆分散遅延変換器の出力信号により、パルス信号の検出
や、伝搬時間が測定される。

【０００９】一方、測定対象物の外周面を伝搬した超音
波は、板波であるため周波数によって伝搬速度が異なる
ことから、発信した時の波形に変化を生じ、逆分散遅延
変化器でも相関が得られず、パルス信号が得られない。
従って、ドラム缶容器外周面を伝搬する超音波信号の影
響を受けることなく、ドラム缶内容物を透過伝搬した信
号だけを適確に得ることができる。

【００１０】

【実施例】以下、図面を参照してこの考案の一実施例を
説明する。図１に示すように測定対象の内容物（例えば
セメント固化体）１は、例えば約１．６ mm t の薄板材
からなるドラム缶容器２に詰められている。ドラム缶容
器２の側面には、広帯域の超音波発信子３及び超音波受
信子４が装着される。上記超音波発信子３には、発信器
５から出力されるパルス信号（電気パルス）が分散遅延
変換器１１を介して供給される。

【００１１】そして、超音波受信子４の受信信号は、逆
分散遅延変換器１２を介して信号検出器６に入力され、
この信号検出器６の検出信号は伝搬時間測定器７に送ら
れる。また、信号検出器６及び伝搬時間測定器７には、
発信器５からパルス信号が入力される。

【００１２】次に上記実施例の動作を図１ないし図３を
参照して説明する。図２は測定対象を伝搬する超音波の
伝搬状況を示し、図３は各部の信号波形を示している。
発信器５から出力される図３（ａ）に示すパルス信号ａ
は、分散遅延変換器１１で分散変換されて図３（ｂ）に
示すように連続的に周波数が変化する信号ｂとなり、超
音波発信子３に入力される。従って、超音波発信子３か
らは、図３（ｃ）に示すように分散遅延変換器１１で変
換された信号ｂと同じ波形、つまり、異なる周波数成分
を持つ超音波ｃが出力される。

【００１３】上記超音波発信子３から発信された超音波
ｃは、図２に示すように内容物１を透過して伝搬する
（信号２１）と共に、ドラム缶容器２が薄板材であるた
めに一部が板波２２となって容器２の外周面を伝搬し、
超音波受信子４により受信される。

【００１４】上記ドラム缶内容物１を透過伝搬した超音
波２１は、発信した時のままの波形で超音波受信子４に
より受信された後、一種の相関器である逆分散遅延変換
器１２により図３（ｄ）に示すパルス信号（電気パル
ス）ｄに逆変換され、信号検出器６及び伝搬時間測定器
７に送られて、信号検出並びに伝搬時間が測定される。
即ち、伝搬時間測定器７は、発信器５がパルスを発信し
たタイミングと信号検出器６が信号を検出したタイミン
グによって、超音波が測定対象を伝搬する伝搬時間を測
定する。

【００１５】一方、ドラム缶容器２の外周面を伝搬する
超音波２２は、板波であるため図４に示すように周波数
によって伝搬速度が異なっている。この結果、超音波発
信子３から出力される超音波、即ち異なる周波数成分を
持つ超音波は、伝搬するに伴って波形に変化を生じるこ
とになる。上記図４は、板波の周波数と伝搬速度の関係
を示した説明図である。

【００１６】上記のように伝搬に伴って波形に変化を生
じた信号は、超音波受信子４で受信されて逆分散遅延変
換器１２に送られても、相関が得られないことからパル
ス信号が得られないことになる。従って、ドラム缶容器
２の外周面を伝搬する超音波２２が超音波受信子４によ
り受信されても、その影響を受けることがなくなり、ド
ラム缶内容物１を透過伝搬した超音波だけを適確に得る
ことができる。

【００１７】

【考案の効果】以上詳記したようにこの考案によれば、
測定対象物の外周面を伝搬する超音波信号の影響を受け
ること無く、容器の内容物を透過伝搬した信号だけを適
確に得ることができ、内容物の有無の判断を誤ること無
く正確に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に係る超音波測定装置を示
す構成図。

【図２】同実施例における超音波の伝搬状況説明図。

【図３】同実施例における各部分の信号波形図。

【図４】板波の周波数と伝搬速度の関係を示す図。

【図５】従来の超音波測定装置を示す構成図。

【符号の説明】

１…ドラム缶内容物、２…ドラム缶容器、３…超音波発
信子、４…超音波受信子、５…発信器、６…信号検出
器、７…伝搬時間測定器、１１…分散遅延変換器、１２
…逆分散遅延変換器。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パルス信号を発生する発信器と、この発
   信器から出力されるパルス信号を連続的に周波数が変化
   する信号に変換する分散遅延変換手段と、この分散遅延
   変換手段から出力される信号を超音波に変換して内容物
   を充填した容器に送信する超音波発信子と、上記容器及
   び内容物を伝搬した超音波を受信する超音波受信子と、
   この超音波受信子により受信した超音波を逆変換してパ
   ルス信号を得る逆分散遅延変換手段と、この逆分散遅延
   変換手段の出力信号により内容物を透過伝搬した超音波
   信号のみを検出する信号検出手段とを具備したことを特
   徴とする超音波測定装置。