JP2551744Y2 - 田植機の揺動型車輪跡消し装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、田植機の車輪跡消し装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、田植機の作業中において発生する
車輪跡を消す方法としては、植付部の下部にフロートを
取り付けて表土を均平する方法が一般的であり、他に、
フロートの代わりにロータリーを取り付けて、表土を掻
き上げることによって車輪跡消しや均平を行う方法も見
られる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、フロートによ
る車輪跡消しに関しては、特に高速度での作業時におい
て、田面上の水が多い場合や土壌が軟質の場合等に泥水
の押しによる強い水流が発生して、既植付苗を倒してし
まうという不具合が生じたのであり、また、フロートの
抑え力が弱いことによる車輪跡の消し残しが生じるとい
うこともあったのである。また、ロータリーを用いた車
輪跡消しにおいては、進行方向のみを掻き上げる構造な
ので、跡消しが不完全になるのである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、以上のような
不具合を解決する為に次のような手段を用いるものであ
る。即ち、田植機の後輪とフロート部との間に進行方向
に対して左右方向に揺動させるレーキ型の車輪跡消し装
置を配置し、該車輪跡消し装置を本機より駆動したもの
である。

【０００５】

【実施例】次に添付の図面に示した実施例を説明する。
図１は本考案を用いた田植機の側面図、図２は揺動型車
輪跡消し装置Ｃの構成を示す平面図、図３は同じく斜視
図、図４は揺動型車輪跡消し装置Ｃ’の構成を示す斜視
図、図５は接地用爪１５の爪止め具１４への取り付け構
造を示す側面断面図である。

【０００６】まず田植機の全体構造について、図１にて
説明する。走行機Ａの後部に植付機Ｂを昇降可能に装着
しているものであり、該植付機Ｂは、走行機のエンジン
駆動力を伝動する駆動ケース１より苗載台３を左右に摺
動し、チェーンケース２を介して植付爪４を回転させて
植付作業を行うものである。

【０００７】苗載台２の下部は、フロート部となってい
る。即ち、苗載台２の下部においてフロート支持棒５が
各チェーンケース２の下部位置にて横設されており、該
フロート支持棒５において、中央にはセンターフロート
６を吊設し、その左右にはサイドフロートを吊設可能と
している。センターフロート６は、植付けの安定ととも
に植付け深さを調節する機能を持つものである。サイド
フロートは、通常においては走行機の後輪ＲＷの後方に
位置させて、圃場面を均平するものである。しかし、高
速作業時においてサイドフロートを用いると、泥水の押
しを発生してしまう。一方、該フロートのない状態で作
業をしたのでは、車輪跡を消すことができないのであ
る。

【０００８】本考案では、サイドフロートの代わりに、
後輪ＲＷの後部において、左右揺動型車輪跡消し装置Ｃ
又はＣ’を配置するものである。先ず、車輪跡消し装置
Ｃの構成について図１乃至図３により説明する。走行機
Ａの後端に支持部材７を設けてその後面にギアボックス
８を設け、該ギアボックス８にＰＴＯ軸より動力を入力
して植付機Ｂに駆動力を伝達する出力軸８ａと、揺動型
車輪跡消し装置Ｃに駆動力を伝達する出力軸８ｂを突設
している。そして、出力軸８ｂに回転体９を該出力軸と
一体に回転する如くに取り付け、該回転体９の中心より
一定距離離れた偏心箇所より軸部９ａを突設させ、該軸
部９ａにクランクアーム１０を枢結し、該クランクアー
ム１０他端に摺動体１１の前端を枢支し、該摺動体１１
は機体より後方へ突出したリンク１３にステー１３ａを
介して固定した揺動ガイド部材１２の溝内を貫通させて
配置している。

【０００９】このような構成により、出力軸８ｂの回転
とともに回転体９及び軸部９ａが回転することによっ
て、クランクアーム１０を介して揺動ガイド部材１２の
溝内を摺動体１１が左右に摺動するのである。また、該
出力軸８ｂの駆動は、図２の如く、ギアボックス８内に
て植付機Ｂを駆動する出力軸８ａに連動させるものと
し、該揺動型車輪跡消し装置Ｃの駆動切換えが、植付機
Ｂの駆動用の植付クラッチレバー１６による操作にて行
われるものである。なお、該摺動体１１の揺動幅を変更
するには、回転体９における軸部９ａの出力軸８ｂから
の距離を変更する方法、また、クランクアーム１０の長
さを変更する方法等が考えられる。

【００１０】前記摺動体１１の後端に支持ロッド１１ａ
を垂設して爪取付杆１４に連結固定し、爪取付杆１４の
左右端側で、後輪ＲＷの後方位置に、田面に接地して車
輪跡消しを行う接地用爪１５・１５・・・が複数個レー
キ状に取り付けられている。該爪取付杆１４は前記リン
ク１３後端に横設したレール１３ｂに嵌合されて溝内を
摺動体１１の左右動により摺動するものである。また、
該接地用爪１５は「し」字状に構成して上端を図５に示
す如く、爪取付杆１４後面に垂直に固設したパイプ１４
ａ・１４ａ・・・に挿入して枢支し、左右回動自在に支
持されているのである。

【００１１】そして、前述の如く摺動体１１が左右に摺
動するのに伴い、爪取付杆１４が摺動して、接地用爪１
５が田面上を揺動することによって車輪跡消しを行うの
である。この際、接地用爪１５が爪止め具１４に対して
固定した状態であると、田面上にて、泥を滑らかに左右
に移動させることができず、移動させた泥が接地用爪１
５の揺動範囲の境界線に滞って、かえって該接地用爪１
５による掻き跡を残してしまうようになるが、左右回動
自在であることにより、滑らかに泥を左右に移動させ
て、田面上に掻き跡を残さず、滑らかな車輪跡消しが可
能となるのであり、揺動幅も大きくなるので、跡消し
が、より確実になるのである。また、田面の状況に合わ
せて、該接地用爪１５を異なる長さのものに変更するこ
とにより、該接地用爪１５の回動幅、即ち、均平の幅を
変更することができるのである。なお、リンク１３を植
付装置の昇降装置にリンクを介して連結し、該リンクの
長さを調節することによりレール１３ｂの高さを変更で
きるのであり、これによって、揺動型車輪跡消し装置Ｃ
の高さを調節するものである。

【００１２】次に、車輪跡消し装置Ｃ’について図４に
て説明する。車輪跡消し装置Ｃは、爪取付杆１４を揺動
し、接地用爪１５を爪取付杆１４に対して枢支するとい
う構成であるが、車輪跡消し装置Ｃ’は、接地用爪１５
自体を揺動させる構成となっており、走行機Ａの支持部
材７より揺動ガイド部材１２に摺動体１１を貫通させる
までの部材の配置は、該車輪跡消し装置Ｃと同様であ
る。本実施例では爪取付杆１４をリンク１３後端に固定
しており、摺動体１１後端に垂設した支持ロッド１１ａ
下端に揺動板１６を固定し、一方、接地用爪１５上端に
アーム１７を固設して、該アーム１７先端に穿設した長
孔に前記揺動板１６上に突出したピンを挿入している。
このように構成することにより、走行機Ａよりの駆動力
にて揺動板１６が揺動し、爪取付杆１４は固定されたま
ま、アーム１７を介して、接地用爪１５が左右に回動す
るものである。したがって、前進と共に接地用爪１５が
パイプ１４ａを中心に回動して車輪跡消し及び均平を行
うのである。

【００１３】

【考案の効果】本考案は、以上のような構造及び実施例
を有しているので、以下のような効果を奏するものであ
る。即ち、請求項の如く構成したことにより、従来、ロ
ータリーによるものでは、田植機の進行方向のみの田面
を掻き上げ、左右方向に泥を移動させることができなか
ったのであるが、本考案においては、左右方向に接地用
爪を揺動させることによって泥を左右方向にも移動さ
せ、より確実な車輪跡消し及び均平が可能となるのであ
る。また、圃場条件に合わせて、リンク比や接地用爪を
取り替えて、泥の移動量を調節できるので、効果的な車
輪跡消し及び均平が可能である。また、左右揺動して田
面を均平するものなので、一方向のみに泥水を押して大
きな泥水流を発生させるフロートの如き泥水流は発生せ
ず、隣接苗の被害も防止されるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を用いた田植機の側面図である。

【図２】揺動型車輪跡消し装置Ｃの構成を示す平面図で
ある。

【図３】同じく斜視図である。

【図４】揺動型車輪跡消し装置Ｃ’の構成を示す斜視図
である。

【図５】接地用爪１５の爪止め具１４に対する取り付け
構造を示す側面断面図である。

【符号の説明】

Ａ 走行機 Ｂ 植付機 Ｃ，Ｃ’ 揺動型車輪跡消し装置 ８ ギアボックス ９ 回転体 ９ａ 軸部 １０ クランクアーム １１ 摺動体 １２ 揺動ガイド部材 １３ リンク １４ 爪取付杆 １５ 接地用爪

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 田植機の後輪とフロート部との間に進行
   方向に対して左右方向に揺動させるレーキ型の車輪跡消
   し装置を配置し、該車輪跡消し装置を本機より駆動した
   ことを特徴とする田植機の揺動型車輪跡消し装置。