JP2550841Y2 - 同期機の電気ブレーキ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は同期機の電気ブレーキ装
置に係り、特にブラシなし励磁方式同期機の電気ブレー
キ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図２は従来のブラシなし励磁方式同期機
の電気ブレーキ装置を示すもので、同図において１は交
流励磁機で電機子２と励磁巻線３からなる。４は回転整
流器、５は界磁抵抗、６は同期機で界磁巻線７と固定子
８からなる。１０，１１は同期機６の出力母線９に接続
された交流しゃ断器、１３は励磁用変圧器１２を介して
出力母線９に接続された整流器である。交流励磁機１の
電機子２，回転整流器４，抵抗５および同期機６の界磁
巻線７によって回転部１４が形成される。

【０００３】図２の電気ブレーキ装置によれば、交流し
ゃ断器１０を開とした後、一度無励磁としてから交流し
ゃ断器１１を閉とする。励磁装置の自動電流調整装置に
より短絡電流一定制御として定格電流を流して、機械損
および電機子銅損により速やかに停止させる。すなわ
ち、図３に示すようなブレーキ特性によって停止時間の
短縮が図られる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】慣性の大きなブラシな
し励磁方式同期機（例えば、水車発電機，レシプロコン
プレッサ駆動用同期電動機など）を電気ブレーキにより
停止させる場合、交流励磁機の誘起電圧は、回転数の低
下とともに減少する。従って、交流励磁機の励磁制御は
回転数に反比例させて増加させる必要がある。例えば、
２０％回転数の時に交流励磁機の界磁は５倍の強め励磁
が必要となる。このため、強め励磁により交流励磁機の
磁路を飽和させないように、鉄心の大きさ２〜３倍程度
にする必要があり不経済であった。

【０００５】本考案は上述の点に鑑みてなされたもの
で、その目的は複数の回転整流器を必要に応じて直並列
切り換えすることにより、経済的で高性能な電気ブレー
キ装置を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は上記目的を達成
するために、交流電力を回転整流手段により整流し、こ
の整流された電力を同期機の界磁巻線に供給して該同期
機の回転数を制御するようにした電気ブレーキ装置にお
いて、前記回転整流手段を、複数個の回転整流器と、こ
れらの回転整流器を直／並列に切り換える直並列切換回
路によって同期機の電気ブレーキ装置を構成する。

【０００７】

【作用】交流励磁機の交流出力電力を複数個の回転整流
器に入力する。これらの回転整流器を必要に応じて直／
並列切り換えして同期機の界磁巻線に界磁電流を供給す
る。

【０００８】

【実施例】以下に本考案の実施例を図１を参照しながら
説明する。

【０００９】図１は本考案の実施例による同期機の電気
ブレーキ装置を示すもので、図２のものと同一又は相当
部分には同一符号が付されている。本実施例において
は、交流励磁機１の電機子は２並列回路とし各々に独立
した回転整流器を接続するものである。

【００１０】すなわち、交流励磁機１の電機子２ａには
第１の回転整流器４ａと第２の回転整流器４ｂが接続さ
れている。第１，第２の回転整流器４ａと４ｂは直並列
切換回路１７を介して並列又は直列に接続されている。

【００１１】直並列切換回路１７は第１〜第３のスイッ
チ素子であるゲートターンオフサイリスタ１５ａ〜１５
ｃからなり、これらのゲートターンオフサイリスタ（Ｇ
ＴＯ）１５ａ〜１５ｂにはそれぞれ抵抗１６が並列接続
されている。ＧＴＯ１５ａのアノードは回転整流器４ｂ
の負極側に接続され、カソードは回転整流器４ａの負極
側に接続されている。ＧＴＯ１５ｂのアノードは回転整
流器４ｂの正極側に接続され、カソードは回転整流器４
ａの正極側に接続されている。また、ＧＴＯ１５ｃのア
ノードは回転整流器４ｂの負極側に、カソードは回転整
流器４ａの正極側に接続されている。ＧＴＯ１５ａ〜１
５ｃのゲート信号は回転トランス１８の固定側１８ａ，
回転側１８ｂを介して供給される。

【００１２】図１の電気ブレーキ装置によれば、運転時
は直並列切換回路１７のＧＴＯ１５ｃをオフにしＧＴＯ
１５ａとＧＴＯ１５ｂをオンとし、回転整流器４ａと４
ｂを直流側で並列させて界磁巻線７に主機定格電流を流
す。

【００１３】停止に入って回転数が同期機６の回転数が
５０％以下となってから、ＧＴＯ１５ａと１５ｂをオフ
にし、その後ＧＴＯ１５ｃをオンにして回転整流器４ａ
と４ｂを直列接続に切り換える。ＧＴＯのオン，オフは
回転トランス１８等を使用して静止部から非接触で行
う。また、定格短絡電流を流すために必要な主機界磁電
流は定格界磁電流の５０〜７０％であるため、回転整流
器４ａと４ｂを直列にしてその許容電流が半減しても支
障は無く、このため回転整流器を大きくする必要はな
い。

【００１４】さらに、回転整流器４ａ，４ｂを並列から
直列に切り換えることにより、同期機６の回転数が定格
回転数の５０％回転数にて主機励磁電圧は定格回転数時
と同一の界磁電圧が得られ、交流励磁機１の体格を２〜
３倍にすることなく、充分な制動効果が得られる。

【００１５】

【考案の効果】本考案は、上述の如くであって、ブラシ
なし励磁方式の同期機において、回転整流手段を、複数
個の回転整流器と、直並列切換回路によって構成し、必
要に応じて複数個の回転整流器を直／並列に切り換える
ようにしたから有効な制動効果を有すると共に経済的な
電気ブレーキ装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例による同期機の電気ブレーキ装
置の回路図。

【図２】従来の同期機の電気ブレーキ装置の回路図。

【図３】同期機のブレーキ特性図。

【符号の説明】

１…交流励磁機、２ａ…電機子、３…励磁巻線、４ａ…
第１の回転整流器、４ｂ…第２の回転整流器、５…界磁
抵抗、６…同期機、７…界磁巻線、８…固定子、１２…
励磁用変圧器、１３…整流器、１４…回転部、１５ａ〜
１５ｃ…ゲートターンオフサイリスタ、１６…抵抗、１
７…直並列切換回路、１８…回転トランス。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 交流電力を回転整流手段により整流し、
   この整流された電力を同期機の界磁巻線に供給して該同
   期機の回転数を制御するようにした電気ブレーキ装置に
   おいて、前記回転整流手段を、複数個の回転整流器と、
   これらの回転整流器を直／並列に切り換える直並列切換
   回路によって構成したことを特徴とする同期機の電気ブ
   レーキ装置。