JP2550528B2 - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射装置

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JP2550528B2 JP61135056A JP13505686A JP2550528B2 JP 2550528 B2 JP2550528 B2 JP 2550528B2 JP 61135056 A JP61135056 A JP 61135056A JP 13505686 A JP13505686 A JP 13505686A JP 2550528 B2 JP2550528 B2 JP 2550528B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はピエゾ圧電素子によって制御油圧を発生さ
せ開弁させるタイプの燃料噴射装置に関する。
〔従来の技術〕
ディーゼル機関の燃料噴射装置として、燃料ポンプ
と、ピエゾ圧電素子によって駆動される燃料噴射弁とを
備えたものが提案されている。燃料ポンプからの燃料経
路に蓄圧室があり、ポンプからの燃料の圧力脈動の抑制
を意図している。燃料ポンプからの一定圧は燃料噴射弁
のニードルに加わり、ピエゾ圧電素子の伸縮によって発
生される油圧がニードルに働くことによって開弁及び燃
料噴射が行われる。この定圧型の燃料噴射装置では、燃
料噴射量は、燃料噴射弁の開弁時間、即ちピエゾ圧電素
子に燃料噴射弁を開弁させるための電圧信号を与えてい
る時間に正確に比例する。そのため、燃料噴射量は燃料
噴射弁の開弁時間で決定することができる。定圧型の燃
料噴射装置としては、例えば先願であるが特願昭60−14
0417号を参照されたい。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来の定圧型の燃料噴射装置では、蓄圧室を設置する
ことにより燃料圧力の脈動防止を図っているが、その容
積は限界がある。そのため、燃料噴射弁の開閉により、
燃料噴射ポンプから燃料噴射弁のニードルまでの燃料通
路に発生する圧力波を完全には抑制することができな
い。圧力波があると実質的に定圧噴射ではなくなり、噴
射率の一定制御が困難となり、噴射時間と噴射量との間
の線型性が不良となり、更には意図しない不整噴射が起
こる等の問題点があった。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明によれば、一定の燃料圧を発生させるための
燃料ポンプと、内燃機関の各気筒に設けられ、ピエゾ圧
電素子からの制御油圧により開弁される燃料噴射弁とを
有した燃料噴射装置において、燃料ポンプに近接した燃
料供給配管に第1の蓄圧室を設置し、各燃料噴射弁のニ
ードルに近接して第2の蓄圧室を設置し、燃料供給配管
中には第1の蓄圧室及び第2の蓄圧室との燃料の自由な
行き来を阻害する絞りやチェック弁等の手段は存在せ
ず、第1の蓄圧室及び第2の蓄圧室はそれぞれが脈動抑
制機能を達成するようにされ、かつ前記第2の蓄圧室は
第1の蓄圧室の下流側において燃料供給配管に接続され
ていることを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置が提供
される。
〔実施例〕
第1図において、7はディーゼル機関のシリンダヘッ
ドであり、燃料噴射弁孔7Aを有し、この燃料噴射弁7Aに
燃料噴射弁9が挿入取付される。燃料噴射弁9は、本体
10と、スペーサ12と、ノズル14とを有し、これらは縦に
接続され、ノズルホルダ16によって相互に締結固定され
る。ニードル28はノズルホルダ16内を上下可動に設置さ
れ、ノズルホルダ16の下端に形成される噴口30が開閉さ
れる。ノズルホルダ14に燃料溜室31が形成され、この燃
料溜室31はニードル28がリフトしたとき噴口30に連通さ
れ、燃料噴射が行われる。ノズルホルダ14、スペーサ1
2、本体10に相互に連通する燃料通路32,34,36が形成さ
れ、シリンダヘッド7にねじ止めされるユニオン38を介
して燃料供給配管40に接続される。燃料供給配管40は燃
料ポンプ42を介して燃料タンク44に接続される。
燃料噴射弁の本体10内においてニードル28に直列に加
圧ピン44及び制御ロッド46が端同士で接触するように配
置される。圧縮ばね47は加圧ピン44を図の下方に、即ち
ニードル28の閉弁方向に付勢している。制御ロッド46の
上端面に燃料室48が形成され、この燃料室48は燃料通路
50を介して燃料通路36に連通される。そのため、制御ロ
ッド46は、ポンプ42からの燃料圧によって下方に、即
ち、ニードル28の閉弁方向に付勢される。制御ロッド46
の下端に加圧室51が形成される。
本体10の上端に油圧ピストン54が左右摺動自在に嵌合
される。油圧ピストン54の左側に油圧室56が形成され、
この油圧室56が加圧室51に連通される。加圧室51へは油
圧ピストン54によって発生される油圧が作用し、この油
圧によって制御ロッド46は上向きに付勢され、これはニ
ードル28の開弁方向である。
60は油圧ピストン54を駆動するための駆動装置であ
り、ケーシング62と、ケーシング62内に配置されるピエ
ゾ圧電素子64とより成る。圧電素子64の左端はプレート
66によってピストン54に連結され、右端はプレート68が
配置され、圧電素子64への通電用のリード線70を有して
いる。圧電素子64は薄板状の圧電素子の積層構造として
構成される。圧電素子64は通電することにより伸張し、
その結果、加圧室56の液体は加圧され、制御ロッド46を
上昇せしめるような力が発生される。そして、通電を解
除することにより、圧電素子64は基の状態まで収縮し、
加圧室56の圧力は低下される。このような圧電素子64の
伸張、収縮は極めて高速度で達成され、燃料噴射作動の
高い応答性を得ることができる。
加圧室56に圧力がかかっていない状態では、ニードル
28には、燃料室48より制御ロッド46に作用される下向き
の力、圧縮ばね47より加圧ピン44に作用する下向きの
力、及び燃料溜室31よりニードル28に作用する上向きの
力が加わる。そして、下向きの力の総和が上向きの力よ
り幾分大きくなるように、制御ロッド46の受圧面46aの
面積、圧縮ばね47の圧力、ニードル28の受圧面28aの面
積が決められる。そのため、圧電素子64に通電しない通
常時は閉弁される。圧電素子64に通電されるとピストン
54が左行することによりポンプ室56に発生した圧力が加
圧室51より制御ロッド46に上向きに作用し、その結果、
油圧室56で発生する油圧力としてはそれ程大きくないに
も関わらず上向きの力が優勢になりニードル28はリフト
され、噴口30より燃料が噴射される。
この発明によれば、燃料ポンプ42から噴口30に至る燃
料配管系の圧力を一定化するため燃料ポンプ42に近接し
て第1の蓄圧室80が設置される。さらに、第2の蓄圧室
91が設けられる。第2の蓄圧室91は、燃料噴射弁9の本
体10内に形成されるダンパ室90を有し、このダンパ室90
は燃料通路50に連通される。ダンパ室90の上端はピスト
ン92によって形成される。ピストン92はOリング94によ
ってシールされる。ピストン92はばね96によって下降付
勢されると同時に、ピストン94の上側の上側の空間98に
は窒息ガス等の気体が封入される。
この発明のように、蓄圧室42、及び第2の蓄圧室91を
設置することにより、燃料ポンプ42から噴口30に至る燃
料配管の圧力を一定に保持することができ、燃料ポンプ
42からの供給燃料圧力が一定であることによって、燃料
噴射量は燃料噴射弁の開時間のみで決められ、所期の噴
射率特性を確保することができる。
ニードル開弁時に発生する圧力波はダンパ室90に伝達
されると、ダンパピストン92に作用する。このとき、ピ
ストン92は、圧力に応じて上昇し、ばね96及び空間98内
の可圧縮気体の弾性力に応じた緩衝力を発揮する。その
結果、圧力波は消失され、圧力脈動を防止することがで
きる。従来は蓄圧室80のみの設置であったが、この場合
蓄圧室80の大きさには限界があり、かつそこまでの距離
が長いため、圧力波の完全な抑制は困難であった。即
ち、閉弁時に発生する圧力波は蓄圧室の容積が小さい場
合そこで完全に減衰させることはできず、ノズルに向か
って反射される。圧力波が帰って来るまでの時間tは、 t=(2l/a) となり、ここにlは蓄圧室までの距離、aは音速であ
る。そして、閉弁開始から終了までに要する時間をt
a(第2図(イ))としたとき、ta<tの条件では燃料
圧の脈動が発生し、次サイクルの噴射に影響し、かつ噴
射による圧力脈動が増幅され(ロ)、噴射率が第2図
(ハ)のように波打つ特性となる。この発明では第2の
蓄圧室91を設置することにより圧力波を消失させること
が可能であり、第2図(ハ)の噴射率特性に見られる波
打ち状態を解消することができる。
また圧力脈動が抑制されることから、この発明では噴
射時間と噴射量との線型性を良好とすることができる。
圧力脈動があると噴射時間に対する噴射量の特性の線型
性が悪化する。即ち、ニードルに正圧波が作用するとす
れば、ニードルの閉弁時間が遅れ、逆に膨脹波が作用し
た場合は閉止時間が早まり、第3図において理想的な直
線特性をnとすれば、これからmのように外れてくる。
理想特性からの外れを、電気的な補正回路で行うとする
と、回路的に複雑となり、技術的な困難を伴う。
また、圧力波が抑制されることにより不整噴射を防止
することができる。即ち、アキュムレータ91がないとす
れば、ニードル閉弁時に燃料の流れが急に停止すること
によりニードル先端で圧力波が第4図(イ)のように発
生する。このとき、ニードルは閉止し、蓄圧室側は開放
であるのでその圧力脈動の周期は、 t=(4l)/a となり、前の場合の2倍である。ニードル閉止時に発生
した正弦波はt秒経過後に帰ってくるためニードルを開
放しようとする力が働き、高圧下でこの現象が発生した
場合は、第4図(ロ)のqのように、ニードルが開き意
図しない噴射である不整噴射となる。不整噴射は周知の
ようにスモークや、出力制御性の不良や、騒音の原因と
なる。
実施例では第2の蓄圧室91を燃料噴射弁9の本体中に
設置しており、これは燃料噴射弁の取付形状を若干変更
するだけでよいことから、費用をかけることなく最大の
脈動低減効果を得ることができる。しかし、燃料噴射弁
と一体に構成する必要はなく、別設でも好い。
更に、第2の蓄圧室91は各気筒毎に設置する必要はな
く、全気筒で共通させたり、または一部の気筒で共通さ
せたりすることもできる。
〔効 果〕
この発明によれば第1蓄圧室80の下流において燃料供
給配管に接続される第2蓄圧室90を設けることにより、
燃料供給系の脈動を第1蓄圧室80により完全に吸収でき
なかった場合にニードルの手前で第2蓄圧室により吸収
することにより脈動がニードルのリフトに影響する恐れ
を解消することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の燃料噴射装置の構成を示す図。 第2図から第4図は従来の燃料噴射装置における作動を
説明する図。 7……シリンダヘッド 9……燃料噴射弁 28……ニードル 40……燃料供給配管 42……燃料ポンプ 44……加圧ピン 46……制御ロッド 60……駆動装置 64……ピエゾ圧電素子 80……第1の蓄圧室 91……第2の蓄圧室

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一定の燃料圧を発生させるための燃料ポン
    プと、内燃機関の各気筒に設けられ、ピエゾ圧電素子か
    らの制御油圧により開弁される燃料噴射弁とを有した燃
    料噴射装置において、燃料ポンプに近接した燃料供給配
    管に第1の蓄圧室を設置し、各燃料噴射弁のニードルに
    近接して第2の蓄圧室を設置し、燃料供給配管中には第
    1の蓄圧室及び第2の蓄圧室との燃料の自由な行き来を
    阻害する絞りやチェック弁等の手段は存在せず、第1の
    蓄圧室及び第2の蓄圧室はそれぞれが脈動抑制機能を達
    成するようにされ、かつ前記第2の蓄圧室は第1の蓄圧
    室の下流側において燃料供給配管に接続されていること
    を特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
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