JP2550156Y2 - コンクリート型枠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は傾斜状の砂防ダム、堰
堤、擁壁などの頂部において鉛直、つまり地表面に対し
て垂直な上方継足し壁をコンクリート打設により形成す
べく使用される型枠に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、傾斜した砂防ダム等の頂部に鉛直
な壁部分が継ぎ足される場合には、傾斜した被擁護面に
沿う平坦な補助板材を、既設コンクリート壁上端と鉛直
の型枠下部との間に介在させ、継足し壁をコンクリート
打設により形成したのち該補助板材を除去するという工
法が一般的であった。としたものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】したがって、従来のこ
の種の工事にあっては、補助板材の取付け作業が煩鎖な
ばかりでなく、コンクリート打設後における該板材の除
去はなおざりにされ、放置されることも多く、被擁護面
とコンクリート壁上部背面との間の一体化に支障を来す
恐れもあった。

【０００４】そこで、本考案は、このような従来の工法
が有していた問題点を解決するために、前記補助板材
（以下「フラップ」と称する）を鉛直面形成用の型枠本
体部へ枢着することによって、作業能率の向上を図るこ
とを目的とし、打設生コンクリートが硬化した後では該
本体部の除去と同時に自動的に除去できるフラップを備
えた型枠を提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】該目的を達成するための
本考案の構成を、実施例に対応する図１〜図２を用いて
説明すると、本考案の型枠は、生コンクリートの側圧に
耐える長方形の主板(1）の３辺から垂直に縁部(2),(2)
を立設し、該縁部にはそれぞれボルト挿通穴(3)を穿設
すると共に、該主板(1)の残りの１辺には該主板と同幅
を有し同様に生コンクリートの側圧に耐えるフラップ
(4)を枢着(5)し、前記縁部(2)の立設側とは反対の側に
おいて該フラップ(4)と前記主板(1)との間の設定角度
(θ)を変更自在とした構造である。なお、主板およびフ
ラップは鋼板製であってもよいが、ＦＲＰ（繊維強化プ
ラスチック）や木製の硬質合板など任意の他の材質であ
ってもよい。しかも、主板とフラップを別の材質とする
ことも勿論可能である。

【０００６】

【作用】本考案は、このような構造としたものであるか
ら、例えば砂防ダム等の既設コンクート壁の頂部におい
て、被擁護斜面に平行に且つ該面との間に所定の間隔を
おいてフラップを斜めにセットし、その上方で鉛直方向
にセットされる型枠主板の背面および該フラップの背面
と被擁護面との間に砂礫、例えばグリ石等を充填し、要
すれば該主板の上方に連結される他の型枠、並びにこれ
ら主板と他の型枠の前方にセットされる更に他の型枠と
の間へ、生コンクリートを流し込むという方法で使用で
きるものである。

【０００７】従って、本考案の型枠は、何ら煩鎖な作業
を伴うことなく主板のセットと同時にフラップを傾斜状
にセットでき、除去の際にも該フラップは主板に付随し
て自動的に除去することができる。その結果、作業能率
向上に好都合なばかりでなく、砂防ダム等に背面の一体
化を確実に保証できる点においても好都合である。

【０００８】

【実施例】以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明
すると、図１は本考案型枠(K)の分解斜視図であり、生
コンクリートの側圧に耐える鋼板製の長方形の主板(1)
には、その３辺から垂直に縁部(2),(2)が立設されてい
る。そして該縁部(2)には、他の型枠(L)（図３）への連
結のためのボルト挿通穴(3)を夫々穿設してある。

【０００９】前記主板(1)の残りの１辺(1a)には、該主
板と同幅を有し同様に生コンクリートの側圧に耐えるべ
く、 例えば３〜６mm厚のＦＲＰ板からなるフラップ(4)
を枢着(5)してある。この枢着構造(5)は、 一般の蝶番と
同様に、 前記１辺(1a)に沿い形成した小円筒部分(1b),
(1b)を、 前記フラップ(4)の対応した１辺(4a)に同様に
形成した小円筒部分(4b),(4b)に噛み合わせ、 位置整合
した各円筒部分(1b),(4b)へ鋼棒(6)を差し通したもので
ある。

【００１０】したがって、 前記縁部(2)の立設側とは反
対の側において、 該フラップ(4)と前記主板(1)との間の
設定角度(θ)は広範囲で任意に変更自在である。 つま
り、 コンクリート打設面側に向かって折れ曲がり自在な
平板状フラップが型枠主板へ枢支されているわけであ
る。

【００１１】本考案型枠(K)の使用例を図３に示す。 こ
の場合には、 前以て定寸(T)、 たとえば５０cmの高さに
製造されているコンクリートブロック(B)をコンクリー
ト(C)で逐次固めつつ積み上げ、 かつ被擁護面(Y)との間
には下方への排水などの目的で砂礫例えばグリ石(G)を
充填しつつ形成した砂防ダム、 の既設コンクート壁の頂
部において、鉛直継足し壁部分(E)が形成される。 なお
コンクリーブロック(B)は、 その６角柱形の頭部を外面
に出し、該頭部に連なる先細り円錐台または角錐台形の
脚部を被擁護面(Y)の方へ向けた姿勢をとらせるもので
ある。

【００１２】そして該壁部分のためのコンクリート打設
に当たっては、 被擁護斜面(Y)に平行に且つ該面との間
に所定の間隔をおいてフラップ(4)を斜めにセットし、
その上方では型枠主板(1)が鉛直姿勢をとるようセット
される。

【００１３】前記主板(1)の背面および該フラップ(4)の
背面と、 被擁護面(Y)の表面との間には同様にグリ石(G)
が適宜量充填され、要すれば該主板(1)の上方には他の
型枠(L)を連結する。 これら主板(1)と他の型枠(L)の前
方に、 セパレーター(S)を用いセットされる更に他の型
枠(M),(M)との間へ、生コンクリート(N)を流し込む。 な
お、 セパレーター(S)は一端側を型枠(M),(M)の、 前記本
考案における縁部(2)と同様の縁部の間へ通してナット
(n)で締め、 他端側も同様に縁部(2),(2)間へ通し、 Ｃ字
形ジョイント(J)により固定するものである。

【００１４】生コンクリート(N)が硬化した後、 前記の
各型枠(K),(L),(M),(M)を矢印(y)で示す如くに取外す
（図３）が、 本考案の型枠(K)は前記フラップ(4)を伴っ
て取り出される。 その際、 グリ石(G)がクッションの役
割をするから、 傾斜した砂防壁から鉛直継足し壁部分
(E)への移行域における該部分(E)の傾斜面(e)が該フラ
ップ(4)の引き上げを困難にする恐れはない。

【００１５】以上本考案の代表的と思われる実施例につ
いて説明したが、本考案は必ずしもこれらの実施例構造
のみに限定されるものではなく、本考案にいう前記の構
成要件を備え、かつ、本考案にいう目的を達成し、以下
にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施す
ることができるものである。

【００１６】

【考案の効果】以上の説明から既に明らかなように、本
考案は、コンクリート打設面側に向かって折れ曲がり自
在な平板状フラップが型枠主板へ枢支された構造の型枠
を提供するものであるから、傾斜コンクリート壁の上端
から鉛直継足し壁を正確かつ容易に延設でき、実用上の
効果は顕著である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示した分解斜視図。

【図２】本考案品の中央縦断面図。

【図３】使用状況を示した断面図。

【符号の説明】

(1) 主板 (2) 縁部 (3) ボルト挿通穴 (4) フラップ (5) 枢着構造 (K) 型枠 (θ) 主板とフラップとの間の角度

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 生コンクリートの側圧に耐える長方形の
   主板(1)の３辺から垂直に縁部(2),(2)を立設し、該縁部
   にはそれぞれボルト挿通穴(3)を穿設すると共に、該主
   板(1)の残りの１辺には該主板と同幅を有し同様に生コ
   ンクリートの側圧に耐えるフラップ(4)を枢着(5)し、前
   記縁部(2)の立設側とは反対の側において該フラップ(4)
   と前記主板(1)との間の設定角度(θ)を任意に可変とし
   たことを特徴とするコンクリート型枠。