JP2549173B2 - 光学活性のdー2ー(4ーヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステルの製造方法 - Google Patents
光学活性のdー2ー(4ーヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステルの製造方法Info
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Description
(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステルを
工業的に製造する方法に関する。
テルは、イネ科植物に選択的に強い殺草力を示す除草剤
である、2−(フェノキシ)プロピオン酸系除草剤の重
要な中間体である。
はラセミ体に比較して著しく優れた除草活性を有する。
そして、この光学活性は、中間体であるd−2−(4−
ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステルに由来し
ているので、高化学純度でかつ高光学純度の該化合物を
工業的に製造することは非常に有意義である。
エステルを製造する従来技術としては、特開昭61−1589
47号公報に記載された方法(以下、「従来法A」とい
う)がある。
カリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)とハイドロキノン
またはそのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)と
を、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウ
ム)の存在下に水溶媒中で反応させ、反応生成物として
d−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸ジ
アルカリ金属塩(例えば、ジナトリウム塩)を含む水溶
液を得、次いでこの水溶液に塩酸等の鉱酸を加えてpH調
整後、メチルイソブチルケトン等の有機溶媒で抽出分液
して、得られる有機層中のd−2−(4−ヒドロキシフ
ェノキシ)プロピオン酸を、目的にあったアルコールと
公知の方法によってエステル化反応させ、目的生成物で
ある光学活性のd−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)
プロピオン酸エステルを製造する方法である。
問題点がある。
は、d−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン
酸の合成反応において、水の量および温度をある範囲内
に制御する必要があるが、例えば、l−2−クロロプロ
ピオン酸ナトリウム塩の水溶液とハイドロキノンジナト
リウム塩の水溶液とを原料にして反応させる場合、l−
2−クロロプロピオン酸ナトリウム塩の水溶液およびハ
イドロキノンジナトリウム塩の水溶液は共に高濃度で高
粘度のスラリー溶液であるため、工業的に正確に水の量
を測定し制御することは困難である。
制御したとしても、目的物であるd−2−(4−ヒドロ
キシフェノキシ)プロピオン酸以外に、l−2−(4−
ヒドロキフェノキシ)プロピオン酸、2,2′−(p−フ
ェニレジオキシ)ジプロピオン酸およびその他の酸性物
質やハイドロキノン等の非酸性物質などの不純物が多く
含まれており、この不純物を含有している有機層をその
ままエステル化するために、得られたd−2−(4−ヒ
ドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステルは化学純
度、光学純度共に低く、高化学純度で高光学純度のもの
を得るためには、エステル化後に面倒な精製工程を必要
とするという問題がある。
−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エス
テルの光学純度は、その原料の一つであるl−2−ハロ
プロピオン酸エステルの光学純度に大部分依存している
が、工業的に製造されたl−2−ハロプロピオン酸エス
テルの光学純度は、バラツキが大きく、市販品の光学純
度が、せいぜい92%e.e.(エナンチオエキセス)程度で
あること、および反応工程中にラセミ化が起こるなどの
ために、かなり注意深く操作を行っても、得られたd−
2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステ
ルの光学純度は、出発原料のl−2−ハロプロピオン酸
エステルの光学純度より1〜3%e.e.程度低い値とな
る。
(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸を再結晶化
して精製し、次いでエステル化することにより、高純度
のd−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸
エステル類を製造する方法(以下、「従来法B」とい
う)が開示されている。
2′−(p−フェニレンジオキシ)ジプロピオン酸を含
む粗d−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン
酸の結晶に、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族
炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒および水などの溶媒
から選ばれた少なくとも1種の溶媒を加えて、50〜150
℃程度で加熱溶解し、得られた溶液を約30分〜数時間か
けて0℃〜室温に徐冷して再結晶化し、析出した結晶を
濾過・分離して高純度のd−2−(4−ヒドロキシフェ
ノキシ)プロピオン酸を得た後、これを常法でエステル
化して、目的にあった高純度のd−2−(4−ヒドロキ
シフェノキシ)プロピオン酸エステルを製造する方法で
ある。
ンと、l−2−ハロプロピオン酸との反応により得られ
るd−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸
を、副生物の2,2′−(p−フェニレンジオキシ)ジプ
ロピオン酸を含んだままで一旦結晶化し、得られた結晶
を加熱溶解して再び溶液とした後再結晶化するために、
エネルギーコスト的に損であると共に、d−2−(4−
ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸の再結晶化工程を
同エステルの製造プロセスの一工程と見た場合、一連の
製造プロセスは工程が煩雑であり、また、同エステルの
連続的な製造が困難であるという問題がある。
ステルの光学純度や、反応時の水の量および温度に影響
を受けずに、高化学純度でかつ高光学純度のd−2−
(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステルを
工業的に連続製造する方法を提供することにある。
またはそのアルカリ金属塩とを、アルカリ金属水酸化物
の存在下に水溶媒中で反応させて、d−2−(4−ヒド
ロキシフェノキシ)プロピオン酸アルカリ金属塩を含む
水溶液を得、 (b) この水溶液に酸を加えて酸性にし、さらに有機
溶媒で抽出分液して第1水層を分離除去し、 (c) 得られた第1有機層をアルカリ金属水酸化物水
溶液で中和分液して、d−2−(4−ヒドロキシフェノ
キシ)プロピオン酸アルカリ金属塩を含む第2水層を
得、 (d) 該第2水層に、再び酸を加えて酸性にした後、 (e) 該酸性の第3水層を濃縮し、得られた濃縮水溶
液を冷却して光学活性のd−2−(4−ヒドロキシフェ
ノキシ)プロピオン酸を選択的に晶出させ、そして、 (f) 得られた結晶を酸触媒の存在下にエステル化す
る、 ことを特徴とする光学活性のd−2−(4−ヒドロキシ
フェノキシ)プロピオン酸エステルの製造方法である。
工程の順を追って詳しく説明する。
である。
キシ)プロピオン酸エステルの製造法は、第1図に示す
ように、合成工程、第1酸性化工程、無機塩除去工程、
ハイドロキノン除去工程、第2酸性化工程、晶析分離工
程およびエステル化工程の7工程からなる。
テルをアルカリ金属水酸化物水溶液中で加水分解して、
l−2−ハロプロピオン酸を生成させるとともに、副生
する対応するアルコールを留去し、単離したl−2−ハ
ロプロピオン酸と、ハイドロキノンまたはそのアルカリ
金属塩とを、アルカリ金属水酸化物の存在下に水溶媒中
で反応させ、d−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プ
ロピオン酸ジアルカル金属塩を生成させる工程であり、
「従来法A」と同様に実施される。
ロキシフェノキシ)プロピオン酸ジアルカリ金属塩[以
下、本発明の好ましい態様であるd−2−(4−ヒドロ
キシフェノキシ)プロピオン酸ジナトリウム塩として表
す]の水溶液に、酸を加えて酸性化する工程である。
ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸ジナトリウム塩
は、d−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン
酸に変化すると共に、鉱酸のナトリウム塩が副生する。
酸添加後の酸性水溶液のpH値、酸の添加方法等は、上述
した本工程の目的を達成できるものであれば、特に限定
されるものではなく、常法によって行うことができる。
溶液を有機溶媒で抽出して、第1有機層と第1水層とに
分液し、第1有機層から第1水層を分離して廃水として
系外に排出することにより、該第1水層中に移行した無
機塩、すなわち前記「合成工程」での反応により生成し
たハロゲン化アルカリ金属塩、および前記「第1酸性化
工程」で生成した鉱酸のナトリウム塩を除去する工程で
ある。
2段抽出で行うが、その抽出温度、抽出時間、抽出後の
分液のための静置時間等の抽出分液操作条件や抽出方法
等は、特に限定されるものではなく、通常の液体抽出法
における抽出分液操作において採用される方法でよい。
酸性水溶液中に含まれるd−2−(4−ヒドロキシフェ
ノキシ)プロピオン酸に対する溶解度が高く、しかも水
との相互溶解度の低いものであれば、どんな有機溶媒で
も使用できるが、特にメチルイソブチルケトンの使用が
抽出効率および分液性の良さのために好ましい。
や前記酸性の水溶液中に含まれるd−2−(4−ヒドロ
キシフェノキシ)プロピオン酸の抽出率をどの程度にす
るかなどによっても左右されるが、「従来法A」で使用
されている程度でよい。
−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸の晶析分離を容
易にするために、前記「無機塩除去工程」で得られた第
1有機層中に含まれているハイドロキノンを除去する工
程である。
れた第1有機層中にアルカリ金属水酸化物の水溶液に加
えて中和し、該第1有機層中に含まれているd−2−
(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸を、そのナ
トリウム塩にする。
中和方法、添加するアルカリ金属水酸化物水溶液の種
類、濃度および量、中和液のpH値、アルカリ金属水酸化
物の水溶液を添加後の熟成時間等)は、通常の中和操作
と同様であり、特殊な条件は必要としない。
前記「合成工程」で使用したものと同種のものを使用す
るのが好ましく、経済性や次の「第2酸性化工程」で生
じる無機塩の水への溶解度等から、特に水酸化ナトリウ
ム水溶液の使用が好ましい。
してハイドロキノン等の非酸性不純物を含む第2有機層
と、主としてd−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プ
ロピオン酸ナトリウム塩を含む第2水層とに分液する。
去した第2水層は、次の「第2酸性化工程」に供給す
る。
離された第2有機層は、溶媒回収工程に供給され、濃
縮、蒸留等の公知の方法により有機溶媒が回収される。
は、本発明の方法の特徴となる工程であり、本発明の重
要な工程である。
た第2水層には、d−2−(4−ヒドロキシフェノキ
シ)プロピオン酸ナトリウム塩以外に、l−2(4−ヒ
ドロキシフェノキシ)プロピオン酸ナトリウム塩、2,
2′−(p−フェニレンジオキシ)ジプロピオン酸ジナ
トリウム塩等の不純物が含まれているので、「第2酸性
化工程」と次の「晶析分離工程」とによって、第3水層
から目的物であるd−2−(4−ヒドロキシフェノキ
シ)プロピオン酸を選択的に晶析させた後、得られた結
晶を「エステル化工程」に導くことにより、高化学純度
かつ高光学純度のd−2−(4−ヒドロキシフェノキ
シ)プロピオン酸エステルが得られる。
槽に供給し、20〜50℃、好ましくは25〜35℃の温度下
に、必要に応じて冷却・攪拌しながら、前記第2水層中
に酸を、得られた第3水層のpH値が1.0〜3.0、好ましく
は1.5〜2.5、さらに好ましくは2.0〜2.2の酸性状態にな
るように添加するのが好ましい。すなわち、第3水層の
pH値が3.0を超える酸性状態下では、d−2−(4−ヒ
ドロキシフェノキシ)プロピオン酸の当量点に達してい
ないため、次の「晶析分離工程」でのd−2−(4−ヒ
ドロキシフェノキシ)プロピオン酸の晶析回収率が悪
く、そして第3水層のpH値が1.0未満の酸性状態下で
は、d−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン
酸の当量点を過ぎているために、酸の添加量をそれ以上
増量しても、次の「晶析分離工程」でのd−2−(4−
ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸の晶析回収率の向
上は望めない。
−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸ナト
リウム塩および2,2′−(p−フェニレンジオキシ)ジ
プロピオン酸ジナトリウム塩は、それぞれ遊離の酸に変
化すると共に、無機塩、すなわち鉱酸のナトリウム塩が
副生する。
の攪拌槽で良い。冷却方法も前記酸性化槽に内部蛇管そ
の他の内部冷却装置や外部ジャケットその他の外部冷却
装置などを設け、間接的に冷却する方法が好ましい。ま
た、酸性化槽の材質は、「第1酸性化工程」における酸
性化槽と同様、例えばガラスライニング材などの耐酸材
料で構成するのが好ましい。
酸性化工程」で使用するものと同種のものを使用するの
が好ましく、硫酸、硝酸、塩酸など鉱酸の使用が好まし
いが、使用される装置の材質、取扱いの容易さ、経済性
等の面から特に硫酸の使用が好ましい。
化工程」で使用するものと同濃度のものを使用しても良
いが、pH調整の容易さや次の「晶析分離工程」等におけ
る経済性、操作の容易性等から、30〜98重量%、好まし
くは50〜70重量%である。
の濃度が上記の濃度範囲になるような量比で同時に添加
してもよいし、または上記濃度に予め製造した鉱酸水溶
液を添加してもよい。
よび「結晶分離工程」からなり、前述したように、d−
およびl−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオ
ン酸、2,2′−(p−フェニレンジオキシ)ジプロピオ
ン酸および無機塩、(例えば、硫酸ナトリウム)等を含
む酸性の第3水層から目的物であるd−2−(4−ヒド
ロキシフェノキシ)プロピオン酸の結晶を選択的に得る
ことを目的としている。
−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸の濃度を調整す
るために、前記酸性の第3水層を濃縮する。
て、第3水層中に含まれる無機塩が析出しない程度にす
る必要があり、第3水層の濃縮によって得られた濃縮水
溶液中の水に対する無機塩の重量比が0.1〜0.5、好まし
くは0.2〜0.3になる程度に濃縮する。
何れにおいても可能であるが、減圧濃縮では、後の「結
晶分離工程」において含液率の小さい大きな結晶が得ら
れるので特に好ましい。そして、減圧濃縮の場合、50〜
150Torr、好ましくは70〜110Torr程度の減悪化に行うの
がよい。
濃縮時の圧力等によって異なるが、50〜150Torrの減圧
下に濃縮を行う場合には、40〜70℃、特に50〜60℃で行
うのが好ましい。
縮水溶液を、d−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プ
ロピオン酸の晶析温度まで冷却し、温度による水に対す
る溶解度の差を利用して、d−2−(4−ヒドロキシフ
ェノキシ)プロピオン酸の結晶を析出させる。
合と同様、鉱酸のナトリウム塩が析出しないように、10
〜40℃、好ましくは20〜30℃にするのが好ましい。
けられた内部蛇管その他の内部冷却装置や外部ジャケッ
トその他の外部冷却装置などによる間接冷却法、あるい
は第3水層の濃縮時の有機溶媒および水の蒸発潜熱を利
用して濃縮操作と冷却・晶析操作とを同時に行う方法、
その他工業的に通常用いられる冷却方法にて、約30分〜
5時間、好ましくは1〜3時間かけて前記冷却・晶析温
度まで徐冷するのが好ましい。さらに好ましくは、攪拌
しながら、上記冷却・晶析操作を行うのがよく、その場
合、前記晶析装置に攪拌機を設けて、例えば、30〜100
r.p.m.程度のゆっくりした攪拌速度で攪拌しながら冷却
してもよいし、濃縮水溶液を外部循環することにより攪
拌し、その外部循環系にクーラーを設けて冷却してもよ
い。
晶析缶のような特殊な構造は必要なく、前記「第2酸性
化工程」における酸性化槽と同様、通常の攪拌槽で良
い。また、前記晶析装置の材質も、前記酸性化槽と同様
に、例えばガラスライニング材などの耐酸材料の使用が
好ましい。
・晶析温度を、前述の如く鉱酸のナトリウム塩が析出し
ないように設定するのは、「冷却晶析工程」において、
鉱酸のナトリウム塩が目的物であるd−2−(4−ヒド
ロキシフェノキシ)プロピオン酸の結晶と共に析出する
と、後の「エステル化工程」において、それが酸触媒の
活性を弱めるように働き、エステル化反応に悪影響を与
えること、また、析出した鉱酸のナトリウム塩は結晶水
をもっているために、エステル化前にトルエン等の有機
溶媒により共沸脱水することが必要になるなどの理由か
らである。
にして、選択的に析出したd−2−(4−ヒドロキシフ
ェノキシ)プロピオン酸の結晶を含む水溶液(以下に、
結晶含有水溶液という)は、次の「結晶分離工程」に供
給され、d−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピ
オン酸の結晶が濾過・分離される。
離機を使用してもよいし、フィルターによってもよい
し、その他結晶を容易に分離できる方法であれば、どの
ような方法でもよい。しかし、前記濃縮水溶液の冷却・
晶析の際の冷却温度によっては、結晶の周囲にl−2−
(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸、2,2′−
(p−フェニレンジオキシ)ジプロピオン酸等の不順物
がオイル状に付着しており、このオイル状不純物は遠心
分離で簡単に除くことができるので、遠心分離機の使用
が好ましい。
d−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸の
湿った結晶をエステル化して、光学活性のd−2−(4
−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステルを生成
させる工程である。
A」と同様の方法を採用することができ、例えば、d−
2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸の結晶
を、トルエン等の溶媒中において、硫酸等の酸触媒の存
在下、目的にあったアルコール類と共沸脱水しながらエ
ステル化反応させることによって、目的物であるd−2
−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステル
が得られる。なお、このエステル化反応は、共沸水が切
れるまで行うのが好ましい。
行われるために、得られたd−2−(4−ヒドロキシフ
ェノキシ)プロピオン酸エステルの溶媒溶液を、前記酸
触媒と等量のアルカリ金属の炭酸塩、好ましくは重曹に
よって中和した後、濃縮して未反応のアルコール類およ
び前記溶媒のほぼ全量を留去する。
方法における最終工程であり、前記「エステル化工程」
よりのd−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオ
ン酸エステルの濃縮溶液から、蒸留等公知の方法によっ
て、化学純度および光学純度共に優れた光学活性のd−
2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステ
ルを得る工程である。
の処理槽のうち、幾つかは兼用することが可能であり、
設備的にかなりの簡略化を図ることができる。
ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸を、それを不純物
とともに含有する水溶液より選択的に結晶化させ、得ら
れる結晶をエステル化することにより、少なくとも95重
量%以上の化学純度で、かつ少なくとも96%e.e.以上の
光学純度であるd−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)
プロピオン酸エステルが連続的に得られる。
さらに詳しく説明するが、これらは本発明の方法を何ら
限定するものではない。
よび最終物のd−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プ
ロピオン酸エステルの化学純度は、液体クロマトグラフ
ィーにより決定した。また、原料であるl−2−ハロプ
ロピオン酸エステルおよび最終物のd−2−4−ヒドロ
キシフェノキシ)プロピオン酸エステルの光学純度は、
光学分割カラムを使用した液体クロマトグラフィーによ
り決定した。
e.)5.88kg(48mol)と水7.79kgの混合液に、攪拌冷却
下20〜30℃で、48重量%の苛性ソーダ水溶液4.08kg(49
mol)を滴加し、加水分解反応させた。その後、エバポ
レーターで、反応生成物から生成したメタノールおよび
水を留去した。留去トラップ量は6.4kgであった。そこ
で、エバポレーター中の残液に水を加えてl−2−クロ
ロプロピオン酸ナトリウムのスラリー溶液11.0kgを得
た。
記する)6.60kg(60mol)と48重量%の苛性ソーダ水溶
液11.0kg(132mol)との反応により製造したハイドロキ
ノンジナトリウム塩のスラリー溶液中に、攪拌冷却しな
がら加え、30〜40℃で15時間反応させた後さらに2時間
熟成させた。
5.5kg(72mol)を加え、pH値1.5の酸性状態にした後、
さらに、この反応液にメチルイソブチルケトン(以下、
MIBKと略記する)10.6kgを加えて攪拌抽出し、分液し
て、得られた水層を再度MIBK5.4kgで攪拌抽出、分液し
た。
層の合計量は28.0kgで、その組成比は、HQ:7.7重量%
[2.15kg(2.0mol)]、2−(4−ヒドロキシフェノキ
シ)プロピオン酸(以下、HPPAと略記する)22.9重量%
[6.41kg(35.2mol)]、2,2′−(p−フェニレンジオ
キシ)ジブロピオン酸(以下、PDPAと略記する)1.83重
量%[0.51kg(2.0mol)]であり、そして、HPPA/PDPA
の値(重量比)は12.6であった。
([HPPA含有量;91.1g(0.5mol)]に水200gを混合し、
攪拌冷却下、30重量%の苛性ソーダ水溶液でpH値7.5に
調整してHPPAを水層に抽出し、分液後、該水層に70重量
%の硫酸水溶液を滴加して、該水層のpH値を2.0に再度
調整した。
に濃縮して、残留するMIBK及び水を計100g留去した。さ
らに、残液に水100gを加えて、生成した硫酸ナトリウム
の水に対する重量比を0.2とした後、20℃まで冷却し、
硫酸ナトリウムの結晶が出ないようにして81.6gの湿っ
た結晶を遠心分離により分離した。この結晶中のHPPAは
74.9gで、HPPA/PDPAの値(重量比)は89であった。
及びエタノール41.2gの混合溶液中に仕込み、HPPAをエ
ステル化した。
d−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エ
チル(以下、D−HPPEと略記する)の溶液88.4gを得
た。その化学純度は96.5重量%(D−HPPE純分;84.7
g)、光学純度は98.5%e.e.であった。
液を実施例1と同量用い、30重量%の苛性ソーダ水溶液
でpH値7.5に調整し、分液して得られた水層を、70重量
%の硫酸水溶液でpH2.5に調整した以外は、実施例1と
全く同様にして、D−HPPE溶液を製造した。
晶中のHPPAは66.1gで、HPPA/PDPAの値(重量比)は1153
であった。
PE溶液は76.1gでその化学純度は99.2重量%(D−HPPE
純分;75.3g)、光学純度は99.6%e.e.であった。
液を実施例1と同量用い、30重量%の苛性ソーダ水溶液
でpH値7.5に調整し、分液するまでは実施例1と同様に
行った。
1.5の酸性状態にして、さらにMIKB200gを加え、HPPAをM
IBK層に攪拌抽出し、分液した。
て、MIBKを留去した後、該濃縮液中にトルエン330g、濃
硫酸1.2g及びエタノール61.8gを仕込んで、HPPAをエス
テル化した。
HPPEの溶液95.2gを得た。その化学純度は90.6重量%
(D−HPPE純分:83.3g)、光学純度は93.2%e.e.であっ
た。
4.2%e.e.)7.92kg(48mol)と水7.79kgの混合液に、攪
拌冷却下30〜35℃で、48重量%の苛性ソーダ水溶液4.08
kg(49mol)を滴加し、加水分解反応させた。その後を
添加しながらイソブタノールおよび水を計12.0kg留去
し、l−2−クロロプロピオン酸ナトリウムのスラリー
溶液11.8kgを得た。
ナトリウム塩のスラリー溶液と反応させた後、該反応溶
液中に残留しているイソブタノールを濃縮して除き、さ
らに実施例1と同様にしてMIBKで2回抽出分液操作を行
った。
の量は28.5kgで、その組成比はHQ;7.82重量%[2.23kg
(2.07mol)]、HPPA;22.0重量%[6.27kg(34.4mo
l)]PDPA;2.07重量%[0.59kg(2.31mol)であり、そ
して、HPPA/PDPAの値(重量比)は10.6であった。
1g(0.5mol)]用い、更に実施例1と同様の処理を行
い、D−HPPEの溶液89.3gを得た。その化学純度は96.2
重量%(D−HPPE純分;85.2g)、光学純度は98.3%e.e.
であった。
料液を実施例3と同量使用し、そしてHPPAをメタノール
でエステル化した以外は、実施例3と同様にしてd−2
(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸メチル(以
下、D−HPPMと略記する)の溶液84.2gを得た。この化
学純度は97.0重量%(D−HPPM純分;80.9g)、光学純度
は98.2%e.e.であった。
料液を実施例3と同量使用し、そしてHPPAをブタノール
でエステル化した以外は実施例3と同様にして、d−2
−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸n−ブチ
ル(以下、D−HPPBと略記する)の溶液101.2gを得た。
その化学純度および光学純度は、それぞれ95.8重量%
(D−HPPB純分;95.9g)および97.8%e.e.であった。
イソブチルを用いた以外は実施例3と同様にして、MIBK
による抽出分液までの処理を行い、MIBK層を得た。
量%[2.17kg(2.02mol)]、HPPA;21.1重量%[5.90kg
(32.4mol)]、PDPA;3.57重量%[1.00kg(3.92mo
l)]であり、そして、HPPA/PDPAの値(重量比)は5.9
であった。
る)を432g[HPPA含有量;91.1g(0.5mol)]用い、さら
に実施例1と同様の処理を行い、D−HPPEの溶液80.0g
を得た。その化学純度は96.7重量%(D−HPPE純分;76.
4g)、光学純度は97.6%e.e.であった。
料液を実施例6と同量使用した以外は、比較例1と同様
の処理を行ってD−HPPE溶液を製造した。
8.0重量%(D−HPPE純分;79.3g)、光学純度は83.8%
e.e.であった。
ある。
Claims (1)
- 【請求項1】(a) l−2−ハロプロピオン酸と、ハ
イドロキノンまたはそのアルカリ金属塩とを、アルカリ
金属水酸化物の存在下に水溶媒中で反応させて、d−2
−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸アルカリ
金属塩を含む水溶液を得、 (b) この水溶液に酸を加えて酸性にし、さらに、有
機溶媒で抽出分液して第1水層を分離除去し、 (c) 得られた第1有機層をアルカリ金属水酸化物水
溶液で中和分液して、d−2−(4−ヒドロキシフェノ
キシ)プロピオン酸アルカリ金属塩を含む第2水層を
得、 (d) 該第2水層に、再び酸を加えて酸性にした後、 (e) 該酸性の第3水層を濃縮し、得られた濃縮水溶
液を冷却して光学活性のd−2−(4−ヒドロキシフェ
ノキシ)プロピオン酸を選択的に晶出させ、そして、 (f) 得られた結晶を酸触媒の存在下にエステル化す
る、 ことを特徴とする光学活性のd−2−(4−ヒドロキシ
フェノキシ)プロピオン酸エステルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1132894A JP2549173B2 (ja) | 1989-05-29 | 1989-05-29 | 光学活性のdー2ー(4ーヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1132894A JP2549173B2 (ja) | 1989-05-29 | 1989-05-29 | 光学活性のdー2ー(4ーヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステルの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02311444A JPH02311444A (ja) | 1990-12-27 |
JP2549173B2 true JP2549173B2 (ja) | 1996-10-30 |
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ID=15092038
Family Applications (1)
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JP1132894A Expired - Lifetime JP2549173B2 (ja) | 1989-05-29 | 1989-05-29 | 光学活性のdー2ー(4ーヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エステルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2549173B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8800830B2 (en) | 2007-04-06 | 2014-08-12 | Honda Motor Co., Ltd. | Electrical device mounting structure on a motorcycle |
Families Citing this family (2)
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CN109651140A (zh) * | 2018-12-12 | 2019-04-19 | 江苏中旗科技股份有限公司 | 一种氰氟草酯原药的合成方法 |
-
1989
- 1989-05-29 JP JP1132894A patent/JP2549173B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US8800830B2 (en) | 2007-04-06 | 2014-08-12 | Honda Motor Co., Ltd. | Electrical device mounting structure on a motorcycle |
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