JP2548841B2 - コンバインの刈取前処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、クローラ式走行機体に
対して上下揺動自在に支持された刈取フレームの前端に
刈取装置を高さ調節自在に設けるとともに、その後方に
刈取られた穀稈を中央側に寄せ集めるオーガと、寄せ集
められた穀稈を後部脱穀装置に向けて搬送する搬送コン
ベアとを備えたコンバインの刈取前処理装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記コンバインの刈取前処理装置におい
て、従来では、例えば特開平２−６０５１６号公報に開
示されているように、前記オーガの後方下方に第２刈取
装置を配設し、この第２刈取装置を後方上方の横軸芯周
りで上下揺動自在に機体フレームに枢支するとともに、
刈取フレームの昇降揺動に伴って連動昇降させる機械的
連係機構を設け、第２刈取装置は支持フレームに一体揺
動すべく固定支持する構造となっていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来構造は、刈取
った穀稈の全量を脱穀装置に投入して脱穀するよう構成
したコンバインにおいて、植立穀稈が長稈の場合にはワ
ラ屑の量が多く脱穀処理効率を低下させるので、不必要
な長稈部分を除く穂先部分のみを刈取り、脱穀装置に搬
送するよう構成するとともに、圃場に残った長い切り株
を第２刈取装置により短く刈取るようにして、次回耕耘
時の作業性等を考慮したものである。

【０００４】ところが、上記従来構造においては、例え
ば植立穀稈が短稈で、かつ比較的脱粒し易い穀稈である
場合に、機体前端の第１刈取装置を低位置に設定して短
く刈取る際には、第２刈取装置を相対的に上方揺動させ
て格納する必要があるが、上記従来構造では、その格納
姿勢において、第２刈取装置の先端がオーガの底板に接
当して刈取フレームよりも下方側に突出してしまい、低
刈時に第２刈取装置が地面に接触して損傷するおそれが
高く、改善の余地があった。本発明は、上記不具合点を
解消することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴構成は、冒
頭に記載したコンバインの刈取前処理装置において、前
記刈取装置よりも後方で、かつ、前記刈取フレームの下
方位置に、補助刈取装置を、支持アームを介して前記刈
取フレームに上下揺動自在に取付けるとともに、前記刈
取フレームに対する前記補助刈取装置の上下動に伴って
該補助刈取装置の相対前後傾斜姿勢を変化させるリンク
機構を備えてある点にある。

【０００６】

【作用】刈取フレームの前端に設けられる刈取装置のよ
り植立穀稈の低位置を刈取るために刈取フレームを下降
揺動させる際に、補助刈取装置を相対上昇揺動させる
と、前記リンク機構により補助刈取装置の相対前後姿勢
が変化するので、刈取フレームの屈曲姿勢に沿わせて、
脱穀装置と刈取フレームとの連結部分の空スペースに有
効に格納させることができる。

【０００７】

【発明の効果】従って、植立作物の状況に応じて、前端
の刈取装置による刈取高さを高低に使い分け使用するこ
とが可能なものでありながら、機体全長を大型化するこ
となく、低刈時における補助刈取装置の地面への接触に
よる損傷のおそれの少ないものできた。

【０００８】

【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図６
に全稈投入型コンバインを示している。このコンバイン
は、クローラ走行装置１を備えた機体２上に脱穀装置３
を搭載するとともに、機体前部に刈取前処理装置４を昇
降自在に連結して構成してある。脱穀装置３は、機体前
後軸芯周りで駆動回動する扱胴５により投入された刈取
穀稈を扱き処理する扱室６を備えるとともに、扱室６の
下方に、扱き処理されてコンケーブ７から漏下した処理
物を穀粒選別する選別部８を配設して構成してある。刈
取前処理装置４は、植立穀稈の穂先部を掻き込む回転リ
ール９を設け、走行機体２に対して上下揺動自在に支持
された刈取フレーム１０の前端にバリカン型刈取装置１
１を高さ調節自在に設けるとともに、その後方に刈取ら
れた穀稈を中央側に寄せ集めるオーガ１２と、寄せ集め
られた穀稈を後部脱穀装置３に向けて搬送する搬送コン
ベア１３とを備えて構成してある。つまり、刈取フレー
ム１０は脱穀装置３に前部に横軸芯Ｐ４周りで揺動自在
に枢支して、油圧シリンダ（図示せず）の駆動により駆
動昇降するよう構成し、油圧シリンダを制御駆動して刈
取高さを変更できるよう構成してある。

【０００９】そして、前記刈取装置１１よりも後方で、
かつ、前記刈取フレーム１０の下方位置に、支持アーム
１５を介して前記刈取フレーム１０に上下揺動自在に補
助刈取装置１６を取付けてある。この補助刈取装置１６
は、脱穀装置３における脱穀処理効率を向上させるため
に、前端部の刈取装置１１を、植立穀稈の穂先部のみを
刈取り脱穀装置３に投入する高刈姿勢に設定した場合に
圃場に残る長い株を短く刈取ることができるようにした
ものである。詳述すると、図１に示すように、刈取フレ
ーム１０の一部を構成する前記搬送コンベア１３の底板
にブラケット１７を介して回動自在に支持した筒状支持
フレーム１８に、補助刈取装置１６の左右一対の第１支
持アーム１５ａを一体連結してある。各第１支持アーム
１５ａの先端部には刈幅全域に亘るパイプフレーム１９
を架設連結し、パイプフレーム１９の左右両端に夫々第
２支持アーム１５ｂを連結し、各第２支持アーム１５ｂ
の先端部に亘り補助刈取装置１６を架設してある。又、
この補助刈取装置１６は電動シリンダ２０により前記筒
状支持フレーム１８の軸芯周りで昇降揺動駆動するよう
構成してある。第１支持アーム１５ａと第２支持アーム
１５ｂとにより前記支持アーム１５を構成する。

【００１０】次に補助刈取装置１６の駆動系について説
明する。図３に示すように、前記筒状支持フレーム１８
に伝動軸２１を回転自在に内嵌装着するとともに、この
伝動軸２１の一端に搬送コンベア１３の従動軸２２から
伝動チェーン２３を介して動力を伝え、伝動軸２２の他
端側に動力断続用クラッチ２４及び偏芯クランク機構２
５並びに押引きロッド２６を介して、左右第２支持アー
ム１５ｂに亘り回動自在に架設した回転軸２７を往復回
動駆動させ、左右夫々の第２支持アーム１５ｂに備えた
リンク機構２８により横軸回動運動を前後軸回動運動に
変化させて、左右２分割した刈刃を互いに反対方向に往
復駆動して刈取作動を行うよう伝動系を構成してある。

【００１１】前記動力断続用クラッチ２４は、刈取フレ
ーム１０の昇降揺動に伴って自動的に入切操作するよう
構成してある。詳述すると、図４，図５に示すように、
クラッチ操作アーム２９を天秤軸芯Ｙ周りで天秤揺動自
在に設け、このクラッチ操作アーム２９をバネ３０によ
りクラッチ入り付勢するとともに、揺動式接当部材３１
の接当規制によりバネ力に抗してクラッチ切り状態に切
り換えるよう構成し、この揺動式接当部材３１の揺動端
側と搬送コンベア１３の揺動支点Ｐ４から偏芯した位置
とに亘りロッド３２を架設して、刈取前処理装置４が最
下降位置にある状態から所定角度上昇する範囲におい
て、クラッチ入り作動し、所定角度以上上昇すると、自
動でクラッチ切り作動するよう構成してある。又、前記
クラッチ操作アーム２９は、手動操作レバー３３により
人為的に切り操作可能に構成してある。尚、前記所定角
度は、通常の高刈状態角度〔約６度〕を超える角度〔約
１６度〕に設定して、確実な入り切りを行えるよう構成
してある。

【００１２】そして、前記電動シリンダ２０の駆動によ
る前記刈取フレーム１０に対する前記補助刈取装置１６
の上下動に伴って該補助刈取装置１６の相対前後傾斜姿
勢を変化させるリンク機構Ｒを備えてある。詳述する
と、図１に示すように、補助刈取装置１６の左右支持部
３４を前記各第２支持アーム１５ｂに横軸芯Ｐ２周りで
回動自在に枢支するとともに、伝動軸２１支持用のブラ
ケット１７に固定の連結部３５と、一方側の第１支持ア
ーム１５ａと第２支持アーム１５ｂとに亘り回動自在に
架設支持された回動ロッド３６に固定のアーム３７との
間を押引きロッド３８を介して枢支連結し、前記第２支
持アーム１５ｂの横側部において前記回動ロッド３６と
一体回動するアーム３９と、補助刈取装置１６の左右支
持部３４の支点後部側箇所とを連動部材４０を介して連
動連結してある。補助刈取装置１６の左右支持部３４、
連動部材４０、回動ロッド３６、各アーム３７，３９に
より前記リンク機構Ｒを構成する。このように構成する
と、補助刈取装置１６の相対上昇に伴い、昇降揺動支点
Ｐ１とリンク機構Ｒの基端側枢支点Ｐ３の偏りに起因し
て、補助刈取装置１６の前後傾斜姿勢が相対的に下降し
て、オーガ１２の後方下方側に空スペースに有効に格納
できることになり（図２参照）、刈取フレーム１０より
も下方に出っ張ることがなく、作動が円滑で、かつ、構
造が簡単な揺動式昇降機構を採用しても、前端刈取装置
１１により低位置刈取を行う場合でおいても補助刈取装
置１６が突出して損傷するおそれが少なくなる。

【００１３】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】使用状態の補助刈取装置配設部の側面図

【図２】格納状態の補助刈取装置配設部の側面図

【図３】補助刈取装置の駆動系を示す側面図

【図４】クラッチ操作機構の平面図

【図５】クラッチ操作機構の切欠側面図

【図６】コンバインの全体側面図

【符号の説明】

３ 脱穀装置 １０ 刈取フレーム １１ 刈取装置 １２ オーガ １３ 搬送コンベア １５ 支持フレーム １６ 補助刈取装置 Ｒ リンク機構

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クローラ式走行機体に対して上下揺動自
   在に支持された刈取フレーム（１０）の前端に刈取装置
   （１１）を高さ調節自在に設けるとともに、その後方に
   刈取られた穀稈を中央側に寄せ集めるオーガ（１２）
   と、寄せ集められた穀稈を後部脱穀装置（３）に向けて
   搬送する搬送コンベア（１３）とを備えたコンバインの
   刈取前処理装置であって、前記刈取装置（１１）よりも
   後方で、かつ、前記刈取フレーム（１０）の下方位置
   に、補助刈取装置（１６）を、支持アーム（１５）を介
   して前記刈取フレーム（１０）に上下揺動自在に取付け
   るとともに、前記刈取フレーム（１０）に対する前記補
   助刈取装置（１６）の上下動に伴って該補助刈取装置
   （１６）の相対前後傾斜姿勢を変化させるリンク機構
   （Ｒ）を備えてあるコンバインの刈取前処理装置。