JPS6033778Y2 - コンバインの昇降装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本件考案はコンバインの湿田における刈取性能を向上さ
せることを目的とするものである。

コンバインは水田の稲を刈取脱穀することを主作業とす
る装置である。

しかし、水田の中でも耕盤の深い超湿田や湿田での刈取
は、走行は出来たとしてもその他の不具合の為に刈取性
能が低下するのである。

刈取性能の低下は刈取部のみを上下回動する刈取回転方
式の場合も、刈取と脱穀装置と一体的に回動する一体回
動方式の場合にも生ずる。

従来例を示す第６図を参考にしながら説明する。

湿田においては乾田での作業状態より、走行装置が深く
沈んで埋まった状態で走行する。

この為に分草杆２を先端とする刈取装置を埋まってしま
い、稲の根元部に突っ込んでしまう形式となるから、刈
取部を上げて作業を行なうが、回動力式による昇降の為
に全体が斜状態で固定されて作業することとなる。

刈刃５は分草杆２の先端よりも低い位置となるから、地
面に近い地表面で泥と共に稈元を切断することとなり、
刈刃の摩耗を促進する。

掻き込み装置４も根元に近い稈を掻き込むこととなり、
掻き込みと刈取りのタイミングがずれて掻き込み装置に
不測の力がかかる。

これらは刈取が従来方式の昇降の場合に、平行移動する
のではなく回動により上昇させられている為に生じる現
象である。

また、刈取回動の場合は下部搬送装置２８は回動上昇す
るが縦搬送装置３は脱穀装置側に固定されている為に、
この間の間隙が変化し、受継部に稈洩れ等の不具合が生
ずる原因となっているのである。

本件考案はこれらの不具合を解消し、コンバインの湿田
作業性能を向上することを目的とするものである。

添付の図面に示した実施例の構成に基づいて本件考案の
構成を説明すると。

第１図は本件考案のコンバインの全体側面図である。

第２図は第１図のコンバインの刈取搬送装置の拡大図で
ある。

刈取作業は、コンバインの進行に伴い、分草杆２が立毛
状態の稲の株元を分草し、引起し装置１にて倒伏稈を引
起する。

掻き込み装置４にて掻き込み作業をすると同時に刈取装
置５にて刈取る。

株元部は下部搬送装置２８にて縦搬送装置３に至り、縦
搬送装置３からフィードチェーン２０に受継がれる。

殻稈はフィードチェーン２０にて挾持されて脱穀装置１
９内を通過し、脱穀される。

脱穀後の排藁は排藁処理装置２２にて切断処理される。

このような基本構成のコンバインに対して、走行装置２
１と刈取装置の間に油圧シリンダー９を介入し、該油圧
シリンダー９の伸長に係合して引起し装置及び上下搬送
装置、刈取搬送装置等を前方へ傾動させ、回動を水平平
行移動に転換し、更に縦搬送装置の下方を前方に回動し
て、下部搬送装置との受継部を常に接近させるものであ
る。

油圧シリンダー９の近傍とベベルギヤボックス７の突出
部７ａとの間に傾動リンク１１を枢設し、油圧シリンダ
ー９が伸長すると、第３図と第４図に示す如く、ベベル
ギヤボックス８とベベルギヤボックス７の２点で回動し
、刈取前部を水平に近い状態で上下動するのである。

引起しケース１、分草杆２、刈刃５、刈刃駆動筒１５、
ベベルギヤボックス７、引起しケース駆動筒６、引起し
ケース駆動ベベルギヤボックス１６は一体的に枠組され
ており、この仕組が全体として、ベベルギヤボックス７
を回動中心として回動するものである。

ベベルギヤボックス８と駆動筒１４は一体テあり、油圧
シリンダー９の伸長により、ベベルギヤボックス８を回
動の中心として回動する。

縦搬送装置３はベベルギヤボックス８の側方にある回動
しないボックスから縦搬送ベベルギヤボックス１３に動
力が伝えられ、縦搬送駆動筒１７内の軸を経由して駆動
されている。

縦搬送装置３は刈取搬送装置の回動昇降に際しては単純
な回動しかしないのであるが、これでは平行的に回動昇
降する下部搬送装置２８との間に間隙が生ずるので、こ
れも油圧シリンダー９の伸長に連動して下部を回動する
。

装置としては引起しケース駆動筒６の一部より傾動リン
ク１０を出して、縦搬送装置３の一部に枢支し、縦搬送
駆動筒１７を縦搬送ベベルギヤボックス１３との間で回
転自由に支持させて移動する方法と、もう一方は、第５
図の縦搬送回動装置を示す図面の如く、ベベルギヤボッ
クス８回動によって回転するベベルギヤボックス１２ｃ
を設け、この回転力を平歯車１２ｂｉ２Ｃに伝えて縦搬
送駆動筒１７を回動させる方法である。

１２は縦搬送回動ギヤボックスである。第３図は刈取搬
送装部を降ろした状態のリンク関係を示す図面、 第４図は刈取搬送装部を上げた状態のリンク関係を示す
図面、 第５図は縦搬送回動装置を示す図面である。

第６図は従来の刈取搬送装部の回動状態を示す図面であ
り、１８は引起しケース１とベベルギヤボックス８との
間の補強杆である。

以上の如く本考案は、刈取搬送装置全体を、駆動筒１４
と走行装置２１の間に介装した油圧シリンダー９により
、駆動筒１４の基部のベベルギヤボックス８部を中心に
上下動自在に枢支し、駆動筒１４の先端部に配置したベ
ベルギヤボックス７より前方の刈取搬送装置前部を、ベ
ベルギヤボックス７部を中心に更に上下回動可能とし、
前記油圧シリンダー９の伸縮部のうち、駆動筒１４と共
に上下動する側で、駆動筒１４から離れた位置に傾動リ
ンク１１の後端を枢支し、同じく前端を刈取搬送装置前
部に枢結して、刈取搬送装置の回動上昇に伴って、刈取
搬送装置前部を略水平移動の状態で上下動させたので、
次のような効果を奏するものである。

第１に、刈取搬送装置は機体に対して、ベベルギヤボッ
クス８部分で枢支し、１本の油圧シリンダー９により上
下動するにも拘わらず、傾動リンク１１と油圧シリンダ
ー９との連動により、ベベルギヤボックス７から前方部
分が動きで回動されることとなり、簡単な構成で刈取搬
送装置前部を略水平移動の状態で上下動することが出来
たのである。

第２に、従来技術である実公昭５３−２８７６７号開示
の技術の如く、刈取搬送装置全体を水平移動させるので
はなく、刈取搬送装置の後部はベベルギヤボックス８部
を中心とする回動であるので１、縦搬送装置の終端が大
きく上下動することはなく、フィードチェーンとの受は
継ぎ部の！ｍ酷は少なくなったのである。

第３に、湿田において走行装置が泥に沈んだ状態で刈取
作業をする際に、刈取搬送装置を上方へ高く持ち上げて
刈取を行おうとすると、従来の構造では刈刃や引起し装
置も上を向いてしまい刈取りが不可能となるという不具
合いがあったのである。

これに対し本考案の構成によれば、このような場合にも
、刈取搬送装置前部を、略氷平移動に近い状態で上下動
することにより、刈取搬送装置前部は水平に保つことが
出来、正常な刈取りが行えるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本件考案のコンバインの全体側面図、第２図は
本件考案の作用を示す刈取搬送装置の側面図、第３図は
刈取搬送装置を降ろした状態のリンク関係を示す図面、
第４図は上げた状態のリンク関係を示す図面、第５図は
縦搬送装置の回動装置を示す図面、第６図は従来の刈取
搬送装回動装置の作用を示す図面である。 １・・・・・・引起しケース、９・・・・・・油圧シリ
ンダー１０．１１・・・・・・傾動リンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 刈取搬送装置全体を、駆動筒１４と走行装置２１の間に
   介装した油圧シリンダー９により、駆動筒１４の基部の
   ベベルギヤボックス８部を中心に上下回動自在に枢支し
   、駆動筒１４の先端部に配置したベベルギヤボックス７
   より前方の刈取搬送装置前部を、ベベルギヤボックス７
   部を中心に更に上下回動可能とし、前記油圧シリンダー
   ９の伸縮部のうち、駆動筒１４と共に上下動する側で、
   駆動筒１４から離れた位置に傾動リンク１１の後端を枢
   支し、同じく前端を刈取搬送装置前部に枢結して、刈取
   搬送装置の回動上昇に伴って、刈取搬送装置前部を略本
   移動の状態で上下動させたことを特徴とするコンバイン
   の昇降装置。