JP2548785B2 - 電子サイクロトロン共鳴プラズマの化学蒸着装置 - Google Patents

電子サイクロトロン共鳴プラズマの化学蒸着装置

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JP2548785B2 JP63323048A JP32304888A JP2548785B2 JP 2548785 B2 JP2548785 B2 JP 2548785B2 JP 63323048 A JP63323048 A JP 63323048A JP 32304888 A JP32304888 A JP 32304888A JP 2548785 B2 JP2548785 B2 JP 2548785B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はSiO2,Si3N4およびダイヤモンド薄膜、a−Si
薄膜などの絶縁膜、あるいは半導体膜などを形成する化
学蒸着(Chemical Vaper Deposition,以下CVDという)
型薄膜形成やAl2O3,Ta2O5,AlN,あるいはCBN(Cubic Bor
n Nitride,立方晶窒化硼素)などの金属化合物膜のスパ
ッタ型膜形成、並びに、Mo,Wなどの薄膜エッチングなど
で用いられる電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclo
tron Resonance,以下ECRという)プラズマ反応装置に関
するものである。
[従来の技術] 第4図は従来より用いられているECRプラズマCVD装置
を示す概略構成図であり、この装置により例えば窒化シ
リコン薄膜を形成する場合を例に取り説明する。
図示を省略したマグネトロン(マイクロ波発振器)で
発生された2.45GHzのマイクロ波01は、アイソレータ、
方向性結合器、マイクロ波電力計、整合器(いずれも図
示を省略した)などを用いて、導波管により伝播され、
空洞室2に導入される。
空洞室2にはボールアンテナが設置されており、これ
から同軸管3と同軸コネクター4、および、同軸管5を
介してスリット付金属板6にマイクロ波を伝播させる。
なお上記スリット付金属板6の材質はAl,Cu,あるいはSU
304である。
同軸管5を介してスリット付金属板6にマイクロ波が
供給されるとスリット付金属板6のスリット上に定在波
が形成され、プラズマが発生する。
プラズマ生成室7は、プラズマ引出し窓8により反応
容器12とつながっており、この反応容器12は、図示省略
の真空ポンプで薄膜形成に必要な所定の真空度、例えば
10-4Torrに真空引きされている。
第1のガス供給管9は、上記プラズマ生成室7に開口
してN2ガスを供給し、第2のガス供給管10は、環状ステ
ンレス管11を介してSiH4ガスを反応容器12に供給するよ
うになっている。
プラズマ生成室7の外周には冷却管15が巻きつけてあ
り、冷却水16を導入流過させることにより、該プラズマ
生成室7を冷却するようになっている。また、プラズマ
生成室7を囲繞するように磁気コイル17が配置されてい
て、供給される2.45GHzのマイクロ波と電子サイクロト
ロン共鳴を起こすように、磁束密度875ガウスの磁界が
発生される。
なお、試料13は、反応容器12内にプラズマ引出し窓8
と対向する位置へ配置された試料台14上に置かれてい
る。
さて、電子サイクロトロン共鳴は、電子の電荷と質量
をe,m,磁束密度をBで表した場合、電子のサイクロトロ
ン運動の周波数fceが と言う条件を満たすときに発生し、プラズマ生成室7に
強力なプラズマ流18が形成され、プラズマ引出し窓8を
通って反応容器12内に入る。
上記例では、反応ガスとしてN2とSiH4ガスを用いてい
るので、それらのガスはプラズマ流18により解離され
て、SiH3N4の薄膜が試料13表面に堆積する。
このECRプラズマを用いた薄膜形成は、通常行われて
いるCVD薄膜形成に比べて、低ガス圧で高い活性度のプ
ラズマが得られるため、イオン、電子の衝撃効果により
室温で高品質の薄膜を形成出来るなどの特徴を有するも
のである。
なお、ECRプラズマの応用例としては、上記窒化シリ
コン(Si3N4)膜の形成の他に、シリコン(Si膜)、酸
化シリコン(SiO2)膜、あるいは、モリブデンシリサイ
ド(MoSi2)膜などの形成や、エッチングなどに応用さ
れうるものである。
[発明が解決しようとする課題] 図5の(a),(b)に従来装置に用いられているス
リット付金属板と電界強度分布を示す。従来型はマイク
ロ波の供給部が金属板の端にあるため、図に示されるよ
うに電場強度分布は一様にならず生成されるプラズマも
一様な分布にはならない。従ってCVDにおいても均一な
うす膜の形成はできず、実際の成膜には使用困難であっ
た。
(課題を解決するための手段) 本発明に係る電子サイクロトロン共鳴プラズマの化学
蒸着装置はマイクロ波発振器と方向性結合器と導波管と
アンテナと同軸管とスリット付金属板と、プラズマ生成
室と反応容器と磁気コイルを有し、スリット付金属板に
マイクロ波を供給することによりプラズマを発生させる
電子サイクロトロン共鳴プラズマの化学蒸着装置におい
て マイクロ波供給点を前記スリット付金属板の中央に配
し、前記スリット付金属板の形状としてはスリット中央
に付し左右対称に2本の切込を有するスリットを設け、
前記同軸管と前記スリット付金属板の結合は、同軸管の
芯線とスリット付金属板の中央部を結合するとともに、
同軸管の外管部とスリット付金属板の中央部から切込ス
リットをへだてた左右対称部を結合したことを特徴とす
る。
[作 用] スリット付金属板のまわりの電界分布を改善するため
従来のマイクロ波供給点の構造を次のように改造する。
(1) 第2図(a)に示すようにマイクロ波供給点の
位置をスリット付金属板の中央とする。
(2) スリット付金属板の形状として中央を原点に左
右対称に2本のスリットをつける。
(3) 上記スリット中央部とマイクロ波供給用同軸管
の芯線を結合し、上記スリット中央部とスリットをへだ
てた左右対称部を上記同軸管の外管部と結合する。
この改造により均一性のすぐれたプラズマ流を発生さ
せることができる。それに伴ない大面積の基板に一様な
厚みの薄膜を形成できる。
[実施例] 本発明に係る実施例を第1図〜第2図に示す。
第1図において 100は2.45GHzのマイクロ波を発生させるマイクロ波発
振器、101は発生したマイクロ波の反射波によるマイク
ロ波発振器100の破損を防止するアイソレータである。
導波管102の一端は上記マイクロ波発振器100に接続され
ていて、マイクロ波電力計105に接続された方向性結合
器104がその途中に介装され、他端にはマイクロ波のイ
ンピーダンスを調整するスタブチューナ107が接続され
ている。
108は空洞室で、導波管102で伝播されてきたマイクロ
波の定在波を発生する。同軸管110に接続されたボール
アンテナ109は、上記空洞室108に挿入されている。上記
同軸管110の他端は同軸コネクタ111と第2の同軸管112
を介してスリット付金属板113に接続されている。
204はプラズマ生成室で、プラズマ引出し窓209により
反応容器208と連通し、この反応容器208は、図示省略の
排気装置で反応に必要な所定の真空度、例えば10-3ない
し10-8Torrに真空引きされている。
第1のガス供給管205は上記プラズマ生成室204に開口
し、たとえばN2ガスを供給し、第2のガス供給管206
は、環状ステンレス管207を介してたとえばSiH4ガスを
反応容器208に供給するようになっている。
プラズマ生成室204の外周には冷却管212が巻きつけて
あり、冷却水213を導入流過させることにより、該プラ
ズマ生成室204を冷却するように成っている。また、プ
ラズマ生成室204を囲繞するように蒸気コイル214が配置
されていて、該プラズマ生成室204に供給される2.45MHz
のマイクロ波との電子サイクロトロン共鳴を起こすよう
に、磁束密度875ガウスの磁界を発生する。
なお、試料210は反応容器内へプラズマ引出し窓209と
対向する位置に配置された試料台211上におかれてい
る。第2図の(a)(b)は本発明におけるスリット付
金属板113の概略形状と、マイクロ波が供給された時に
生じる電界分布を示した図である。スリット付金属板11
3は金属性の板状部材へ、第2図(a)に示すように中
央部から2本の切り込みを入れy軸に平行な複数の直線
部とその直接部の端部同士をx軸方向に結ぶ部分とから
なるコの字状に曲がりくねったスリットSをy軸に対称
に形成したものである。直線部の1本の長さは、上記マ
イクロ波の半波長となっている。同軸管112の軸線は、
中央部の2本の切り込みに挟まれた部分と結合する。ま
た同軸管112の外管は、2本の切り込みを挟んだ両側の
2ケ所と接続する。
なおスリット付金属板113は絶縁部材により適当な手
段でプラズマ生成室204内に保持する。
さて、マイクロ波発振器100で発生された2.45GHzのマ
イクロ波は、導波管102を介して空洞室108に伝播され
る。空洞室108では、第3図で示すTF10モードのマイク
ロ波の定在波が発生する。すなわち、電界の強さで考え
ると、空洞室108の内壁では振幅ゼロで、中央部で最大
を取るガウシアンモードに近い分布となっている。ボー
ルアンテナ109は空洞室108内の電界強度分布がほぼ一様
である部位に配置されていて、同軸管110と同軸コネタ
ー111および同軸管112を介してスリッド付金属板113に
マイクロ波を伝播させる。ここで、同軸管110と同軸コ
ネクター111および同軸管112の長さ、および、取り付け
方向はマイクロ波の伝播エネルギーを減衰させることな
く伝播する上で重要であり、最適な状態を選ばないと、
スリット付金属板113によるプラズマ発生でのプラズマ
密度とその分布に悪い影響を与える。
本実施例では、上記ボールアンテナ109から同軸管112
の端部までの距離をマイロ波の半波長以下、すなわち、
約6cm以下としている。
同軸管112を介してスリット付金属板113にマイクロ波
が供給されると、直線部のスリットS上に定在波が形成
される。このは場合、直線部のスリットS間の電界の向
きは同方向となるので、スリット付金属板113に沿った
電界強度分布は第2図(b)に示す様になる。プラズマ
の強度分布は電界の強度分布に依存するため均一な薄膜
の製造が可能となる。
スリット付金属板113によるプラズマ発生は、反応容
器208内の圧力を例えば10-4Torrとして、周波数2.45GH
z、出力1ないし3kwのマイクロ波をスリット付金属板11
3に印加する。他方、蒸気コイル214によりスリット付金
属板113中心部の磁界の強さを875ガウスとなるように調
整する。なお、マイクロ波回路系と発生するプラズマの
整合は、スタブチューナ107で取り、このようにする
と、電子サイクロトロン共鳴により、スリット付金属板
113周囲にプラズマが発生する。磁気コイル214の磁界分
布は、スリット付金属板113の位置からプラズマ出口側
の方向に沿って適当な勾配で減少する発散磁界の形にな
っているので、スリット付金属板113で発生したプラズ
マはプラズマ流215となって反応容器208に流出する。
なお、このプラズマ流は、圧力1×10-4Torrで、電子
温度約6eV、電子密度約2×1011cm-3の値をもち、圧力
が上記値より小さくなると電子温度約40eVとなる。
上述したように、スリット付金属板113によって高電
子温度で高プラズマ密度のプラズマ流が得られるが、こ
れを用いた大面積、高品質、高速度の成膜について、従
来の装置と同様に窒化シリコン薄膜の形成を例に取り説
明する。
第1図において、図示を省略した排気装置により反応
容器208内を真空度約10-8Torrにし、その内部の不純物
ガスを十分排気した後、第1のガス供給管205から第1
の反応ガスとしてN2ガスを供給し、第2のガス供給管20
6からは第2の反応ガスとしてSiH4ガスを供給する。な
お、ガス量はそれぞれ50cc/minとし、ガス供給後の反応
容器208内の圧力は2×10-4Torrとした。試料210は試料
台211上に置いてある。また、冷却水213は冷却管212よ
り導入し、プラズマ生成室204を十分冷却する。
このような状態でプラズマ流を発生させ窒化シリコン
膜を形成させた。本実施例によると、プラズマ電子密度
は2×1011cm-3と従来法にくらべ著しく大きな値が得ら
れ、成膜速度も2ないし6A/sec、成膜面積は直径600mm
であった。
この成膜結果を種々解析したところ、概ね次のような
結果が得られた。
窒化シリコン膜の屈曲率は1.9ないし2.0、暗電導率は
(1.0〜2.0)×10-14Ω-1cm-1であった。
本発明に係わるECRプラズマ反応装置を用いると、上
記した窒化シリコン薄膜の形成に限らず、第1・第2の
反応ガスとしてArガスとSiH4ガスを用いればa−Si膜が
形成できる他、O2ガスとSiH4ガスでSiO2膜、MoF6ガスと
SiH4ガスでモリブデンサイドMoSi2、およびArガスとC
H4,H2との混合ガスでダイヤモンド薄膜など、色々な薄
膜形成ができる。
[発明の効果] 本発明に係わる装置は、中央部にマイクロ波供給端を
もうけたスリット付金属板を用いた電子サイクロトロン
共鳴によるマイクロ波放電によりプラズマ流を発生させ
るので従来の装置に比べ、均一性にすぐれたプラズマ流
を発生させることができる。従って大面積の基板に一様
な厚みの薄膜形成反応を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係わる一実施例を示す装置の構成図、
第2図は本発明のスリット付金属板の説明図とその電場
強度分布を示す図、第3図は短形導波管の電磁界分布を
示す図、第4図は従来装置の構成を示す図、第5図は従
来型のスリット付金属板の説明図とその電場強度分布を
示す図である。 100……マイクロ波発振器、102……導波管、109……ボ
ールアンテナ、110,112……同軸管、113スリット付金属
板、204……プラズマ生成室、205……第1のガス供給管
(ガス供給装置)、206……第2のガス供給管(ガス供
給装置)、208……反応器、214……磁気コイル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−170979(JP,A) 特開 平2−137223(JP,A) 特開 昭62−116775(JP,A) 特開 昭63−318099(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マイクロ波発振器と方向性結合器と導波管
    とアンテナと同軸管とスリット付金属板と、プラズマ生
    成室と反応容器と磁気コイルを有し、スリット付金属板
    にマイクロ波を供給することによりプラズマを発生させ
    る電子サイクロトロン共鳴プラズマの化学蒸着装置にお
    いて、 マイクロ波供給点を前記スリット付金属板の中央に配
    し、前記スリット付金属板の形状としてはスリット中央
    に対し左右対称に2本の切込を有するスリットを設け、
    前記同軸管と前記スリット付金属板の結合は、同軸管の
    芯線とスリット付金属板の中央部を結合するとともに、
    同軸管の外管部とスリット付金属板の中央部から切込ス
    リットをへだてた左右対称部を結合したことを特徴とす
    る電子サイクロトロン共鳴プラズマの化学蒸着装置。
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