JP2548464Y2 - 焼却炉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、主に廃棄木材を能率
的にしかも煤煙を発生しないように焼却処理する焼却炉
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の焼却炉として、一次燃焼室と二次
燃焼室の間に煙道を設け、一次燃焼室と煙道に着火装置
を夫々取付けると共に、煙道に燃焼用空気の送風器を取
付け、一次燃焼室で古タイヤを蒸焼きにし、その未燃焼
ガスを煙道に導き、これに空気を送りこみ、未燃焼ガス
を完全燃焼する古タイヤ焼却炉が知られている。（例え
ば特開昭54-58970号公報）

【０００３】又炉体の中間部より上方に投入口を設け、
炉体の上部に煙道を介して煙突を突設し、炉体の下部に
送風口を設け、煙道に煤煙除去用の除塵装置を付設した
ものが知られているし、中間部の投入口より少し上方の
炉周壁に多数の送気孔を穿設し、炉体内の上部に除塵装
置を取り付け、炉体の上壁に煙突を立てた焼却炉も知ら
れている。（例えば特開平2-157508号公報）

【０００４】木造建築物の解体により発生する廃棄木材
の内、一定の太さと長さを有する極小数の廃棄木材は再
利用されるが、それ以外の多量の廃棄木材はトラックに
よって産業廃棄物の集積場まで運ばれ、そのまま集積場
に投棄されるか、産業廃棄物の焼却場まで運ばれ、大型
の焼却炉で焼却処理されていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】焼却炉において古タイ
ヤを焼却した場合、タイヤゴムの一部は焼却時に液化し
て油となるが、その油も燃焼室で燃焼するため、燃焼室
を高価な耐熱構造にしなければならない問題点があると
共に、燃焼室に特別の送風機や着火装置等を付設した
り、排煙口に煤煙除去用の除塵装置等を付設しなければ
ならないので、その分高価になるし維持費も増加する問
題点があった。

【０００６】何れの焼却炉にあっても、ロストルが残骸
によって目詰まりを生じやすく、それにより焼却処理能
率も低下する問題点があった。本考案は、従来技術の有
するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、主に廃棄木材等の焼却材を殆ど
煤煙を出すことなく焼却処分できて、しかも維持費の安
い焼却炉を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本考案の焼却炉は、横長となる煙道の一方に一次燃焼
室を、他方に二次燃焼室を直立し、一次燃焼室の上部に
投入口を、下部に残骸取出口と吸気口を設けると共に、
一次燃焼室と煙道の間に介在する仕切壁に通煙口を開口
し、該通煙口にロストルを取付け、二次燃焼室の上に煙
突を直立し、内部に周知給水装置に接続する水管を取付
け、前記煙道に灰取出口を設け、該投入口に蓋を、両取
出口に扉を開閉可能に夫々軸支し、前記ロストルを、外
形寸法の長い枠板に順次小寸法の枠板を一部が重なるよ
う適宜間隔で支持し、ピラミッド状に構成してあるもの
である。また前記ロストルを、板長さの長い短冊板に順
次小寸法の短冊板を井桁状に、しかも一部が重なるよう
に固着して、ピラミッド状に構成しても良い。

【０００８】

【実施例】以下、本考案における焼却炉の構造を実施例
の図面に基づき説明すると、焼却炉は横長となる煙道５
の一方に一次燃焼室１を、他方に二次燃焼室２を直立
し、一次燃焼室１の上部に投入口11を、下部に残骸取出
口６と吸気口７を設け、一次燃焼室１と煙道５に連通す
る通煙口12にロストル３を備えると共に、二次燃焼室２
の上に煙突21を直立し、内部に水管９を取付け、煙道５
に灰取出口８を形成するものである。

【０００９】一次燃焼室１は炉体10の上部に投入口11を
設け、内面に耐熱材Ｔを着設し、燃焼室１と煙道５の間
に介在する仕切壁1aに通煙口12を開口し、該通煙口12の
上にロストル３を離脱可能に嵌挿し、炉体１の下部に残
骸取出口６と吸気口７を開口し、投入口11に蓋15を開閉
可能に取付けると共に、取出口６に扉16を開閉可能に取
付けるもので、吸気口７を炉体10の数箇所に設けると共
に、扉16にも設けることが望ましい。

【００１０】ロストル３は、例えば図４と図５の如く天
板30と、板幅Ｓが略一定で外形寸法Ｈが略板幅Ｓづつ異
なる複数の枠板４、及び両板30，４を一定間隔で支持す
る支持板31から構成し、上位枠板4aと下位枠板4bが略半
幅で重なるよう、外形寸法Ｈの大きい枠板４から順に支
持固定する一方、最上部に天板30を支持固定して全体が
ピラミッド状を成するもので、天板30と枠板４の間、及
び上下枠板4a，4b間に隙間Ａを形成するものである。

【００１１】図６乃至図９のロストル３は、天板30と板
幅Ｓの帯板より切断した２枚１組の短冊板3a，3bを、略
板幅Ｓづつ異なる板長さＬに数組形成するもので、上位
短冊板3a，3bと下位短冊板3c，3dを略半幅で重なるよ
う、長尺の短冊板3c，3dから井桁状に重ね、その重なり
部を溶着する一方、最上部に天板30を溶着してピラミッ
ド状を成し、天板30と短冊板3a，3bの間、及び上下短冊
板3a，3c間に板厚さｔの隙間Ａを形成するものである。

【００１２】二次燃焼室２は炉体20の上に煙突21を直立
し、煙道５の仕切壁1aに炉体20と連通する通煙口22を開
口し、内部に水管９を配置するもので、該水管９の端部
9a，9bを炉体20より外部に突出し、周知の給水装置を接
続するものである。煙道５は外壁5aの内面に耐熱材Ｔを
着設し、灰取出口８を炉体取出口６の形成側に開口し、
該取出口８に扉18を開閉可能に取付けるものである。

【００１３】蓋15の取付け手段として、例えば炉体10の
後上面に蓋15の後端を軸支し、炉体10の後上方に滑車Ｐ
を回動可能に軸支し、蓋15の先部に金具Ｍを取付け、滑
車Ｐに掛けるロープＲの一端を金具Ｍに結束し、他端に
蓋15の重さに応じた重りＷを取付けるか、蓋15の先部に
持手を取付けるものである。

【００１４】本案焼却炉は上記構造であるから、本案焼
却炉を用いて焼却材Ｄを焼却する場合、投入口11の蓋15
を開放し、投入口11より一次燃焼室１に焼却材Ｄを入れ
て投入口11を閉め、残骸取出口６より焼却材Ｄに火器を
用いて着火する。一度着火すれば、焼却材Ｄが全て燃尽
きるまで燃焼し続ける。

【００１５】着火した焼却材Ｄは、吸気口７より吸引可
能な空気量に応じて燃焼し、その燃焼ガスｇがロストル
３の隙間Ａより煙道５に、煙道５より二次燃焼室２に導
かれ煙突21より外部に排出される。ロストル３は焼却材
Ｄの燃焼熱によって加熱され、少なくとも赤熱状態にな
るため、ロストル３の隙間Ａを通過する未燃焼ガスg1の
殆どは赤熱状態のロストル３に触れて燃焼する。

【００１６】一次燃焼室１よりロストル３を通過し煙道
５に導入された燃焼ガスｇには、未燃焼ガスg1が含まれ
ていることがあるので、灰取出口８より煙道５の内部に
着火物を入れてやれば、未燃焼ガスg1に着火し燃焼ガス
ｇが完全燃焼する。未燃焼ガスg1に一度着火すれば、燃
焼ガスｇの通過が少なくなるまで煙道５の内部で燃焼し
続ける。

【００１７】煙道５で完全燃焼した燃焼ガスｇは、煙道
５より二次燃焼室２に導かれ、二次燃焼室２を経て煙突
21から排出される。尚、予め二次燃焼室２の給水装置を
作動させて、二次燃焼室２をボイラとして使用すること
も可能である。

【００１８】前記の如く、一次燃焼室１で発生した燃焼
ガスｇは、赤熱状態のロストル３及び煙道５を経て完全
燃焼するので、煙突21より排出される燃焼ガスｇは殆ど
無色透明となる。

【００１９】尚、本案の焼却炉は上記構造に限定される
ものではなく、例えばロストル３の下方に通煙口12に挿
入する脚片32を垂下すれば、ロストル３の移動を防止し
得るし、耐熱材Ｔの代わりに耐熱塗料を塗布することも
可能であるし、蓋15の開閉手段に周知技術を応用するこ
とも可能である。更に一次燃焼室１と二次燃焼室２、及
びロストル３の構造等は、本発明の要旨に反しない限り
適宜変更可能である。また、本案における焼却材は、主
に木造建築物の解体により発生する廃棄木材や家庭から
出るゴミ等の焼却する際に比較的高温にならないものを
指すもので、古タイヤ等の焼却する際に比較的高温にな
るものは含まない。

【００２０】

【考案の効果】本案による焼却炉は、一次燃焼室で廃棄
木材等の焼却材を燃焼し、そこで発生した燃焼ガスと未
燃焼ガスを赤熱したロストルを通過させ未燃焼ガスを殆
ど燃焼させて煙道に導き、煙道でわずかに残った未燃焼
ガスに着火し燃焼するものであるから、煤煙を出さずに
完全燃焼する。その結果、廃棄木材の焼却以外に可燃性
一般ごみも煤煙を出さずに経済的にしかも安全に焼却処
理することができる。

【００２１】一次燃焼室の通煙口に設けたロストルは、
外形寸法の長い枠板を最下位にし順次小寸法の枠板を一
部が重なるよう適宜間隔で支持するか、板長さの長い短
冊板を最下位にし順次小寸法の短冊板を井桁状にしかも
一部が重なるように固着し、ピラミッド状に構成するも
のであるから、焼却材を燃焼して発生した燃焼ガスと未
燃焼ガスを通過させるときの接触面が多くなり、その結
果赤熱したロストルによって未燃焼ガスが略燃焼される
ものであり、また、前記ロストルの構造はロストルに対
する焼却材やその燃焼残骸の目詰まりと煙道への落込み
を著しく少なくし、燃焼ガスの通過を永続し得るように
するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案焼却炉の一部を切欠して要部構造を示す側
面図である。

【図２】その横断面図である。

【図３】円形焼却炉の横断面図である。

【図４】ロストルの斜視図である。

【図５】その縦断面図である。

【図６】ロストルの斜視図である。

【図７】ロストルの斜視図である。

【図８】ロストルの縦断面図である。

【図９】ロストルの斜視図である。

【図１０】焼却材の焼却例を示す本案焼却炉の一部切欠
側面図である。

【符号の説明】

１ 一次燃焼室 ２ 二次燃焼室 ３ ロストル、3a,3b,3c,3d 短冊板 ４，4a，4b 枠板 ５ 煙道 ７ 吸気口 ６，８ 取出口 ９ 水管 11 投入口、15 蓋、16，18 扉 21 煙突、12，22 通煙口 Ｍ 金具、Ｐ 滑車、Ｒ ロープ、Ｗ 重り Ｄ 焼却材 Ａ 隙間 Ｈ 枠板の外形寸法、Ｌ 短冊板長さ ｇ 燃焼ガス、g1 未燃焼ガス

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 横長となる煙道（５）の一方に一次燃焼
   室（１）を、他方に二次燃焼室（２）を直立し、一次燃
   焼室の上部に投入口(11)を、下部に残骸取出口（６）と
   吸気口（７）を設けると共に、一次燃焼室と煙道の間に
   介在する仕切壁(1a)に通煙口（12）を開口し、該通煙口
   （12）にロストル（３）を取付け、二次燃焼室（２）の
   上に煙突（21）を直立し、内部に周知給水装置に接続す
   る水管（９）を取付け、前記煙道（５）に灰取出口
   （８）を設け、該投入口（11）に蓋(15)を、両取出口
   （６，８）に扉(16,18）を開閉可能に夫々軸支し、前記
   ロストル（３）を、外形寸法の長い枠板（4b）に順次小
   寸法の枠板（4a）を一部が重なるよう適宜間隔で支持
   し、ピラミッド状に構成したことを特徴とする焼却炉。
2. 【請求項２】 前記ロストル（３）を、板長さの長い短
   冊板（3a，3b）に順次小寸法の短冊板（3c，3d）を井桁
   状に、しかも一部が重なるように固着して、ピラミッド
   状に構成したことを特徴とする請求項１に記載の焼却
   炉。