JP6324482B1 - 焼却炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構造で焼却物を高温焼却し、焼却灰と有害物質の発生量が少なく、清澄な排気ガスとする。【解決手段】焼却炉は、ロストル7を配置している一次燃焼室1の下に二次燃焼室2を配置して一次燃焼室1から下の二次燃焼室2に燃焼ガスを流入し、一次燃焼室1は空気を遮断して焼却物をロストル7の上に供給し、ロストル7は送風隙間11を介して多段に積層している複数の多段プレート9を備え、多段プレート9は頂上縁16の両側に外側に下り勾配に傾斜する多段の傾斜板10があって、下段の傾斜板10Bは上段から外側に突出しており、送風器8がロストル7の内部に強制送風して送風隙間11からの外部に送風して焼却物を焼却する【選択図】図1

Description

本発明は、種々の焼却物を高温で焼却する焼却炉に関し、とくに竹の焼却に最適な焼却炉に関する。
焼却炉は、焼却物を完全燃焼することで、未燃焼物質を残存することなく焼却して焼却灰を少なくし、悪臭、煤塵、ダイオキシン等の種々の有害物質を発生させないで排気ガスを清澄化することが大切である。このことは、燃焼温度を高くして実現できる。このことを実現するために種々の焼却炉が開発されている。(特許文献1参照)
特開2005−337696号公報
特許文献1の焼却炉は、図8に示すように、一次燃焼室の底部に回転するロストル87を設け、ロストル87の中心部には突出部を設けて、この突出部には周囲に空気を噴射する吹き出し口を設けている。さらに、この焼却炉は一次燃焼室の上方に連結している排気筒には二次燃焼室を設けて、ここにバーナーを連結している。
以上の焼却炉は、焼却物を回転するロストル87に供給し、このロストルには中心部に設けた突出部から空気を供給している。一次燃焼室の回転するロストルで燃焼されて発生する燃焼ガスは、一次燃焼室の上に連結している排気筒に設けている二次燃焼室に流入されて二次燃焼して排出される。以上の焼却炉は、回転するロストルに焼却物を供給して燃焼し、ここで発生する燃焼ガスを上昇させて排気筒に設けた二次燃焼室で燃焼して外部に排出するので、ロストルの構造が極めて複雑となる。さらに、以上の焼却炉は、極めて厳しい外的環境にある燃焼室内でロストルを回転させるので、とくに、一次燃焼室内でロストルを回転させるので、ロストルを長期間に渡って安定して回転してするのが難しく、好ましい状態で燃焼させるのが難しい。また、一次燃焼室で発生する高温の燃焼ガスが自然に二次燃焼室に流入して、一次燃焼室に滞在させるのが難しいことから、一次燃焼室の燃焼温度を高くするが難しい欠点もある。
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、極めて簡単な構造としながら、焼却物を極めて高い温度で焼却して未燃焼物質や焼却灰を極力少なくし、さらに悪臭や煤塵やダイオキシン等の種々の有害物質の発生量を減少して排気ガスを清澄化できる焼却炉を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の焼却炉は、一次燃焼室1と、該一次燃焼室1から燃焼ガスが流入される二次燃焼室2とを備え、一次燃焼室1に焼却物を供給して、燃焼ガスを二次燃焼室2を介して外部に排出する。さらに、焼却炉は以下のA〜Jの全ての構成を備えている。
A.一次燃焼室1の上部には焼却物の供給口3が開口され、一次燃焼室1の下に二次燃焼室2を配置して、一次燃焼室1と二次燃焼室2とを区画プレート4で上下に区画している。
B.供給口3は、燃焼ガスの排出と空気の流入とを遮断して焼却物を供給するフィーダ5を連結している。
C.区画プレート4は、一次燃焼室1の燃焼ガスを二次燃焼室2に流入させるガス流路6を開口している。
D.区画プレート4の上であって、供給口3から投入される焼却物の供給位置にロストル7を配置している。
E.一次燃焼室1は、ロストル7に向かって空気を強制送風する送風器8を連結している。
F.ロストル7は、区画プレート4の上に、送風隙間11を介して多段に積層している複数の多段プレート9を備える。
G.多段プレート9は、最上段に配置される最上段の多段プレート9Aと、最上段の多段プレート9Aの下に多段に配置してなる下段の多段プレート9Bとを備える。
H.最上段の多段プレート9Aは、送風器8の送風方向に延びる頂上縁の両側に、外側に向かって下り勾配に傾斜する最上段の傾斜板10Aを有する。
I.下段の多段プレート9Bは、最上段の傾斜板10Aの外側に突出し、かつ外側に向かって下り勾配に傾斜する下段の傾斜板10Bを有する。
J.送風器8は、ロストル7に向かって送風して、多段に積層してなる多段プレート9間の送風隙間11からの外部に送風する。
以上の焼却炉は、極めて簡単な構造としながら、焼却物を極めて高い温度で焼却して未燃焼物質や焼却灰を極力少なくし、さらに悪臭や煤塵やダイオキシン等の種々の有害物質の発生量を減少して排気ガスを清澄にできる特徴がある。それは以上の焼却炉が独得の構造のロストル7を使用して、燃焼ガスの流れを理想的な状態として焼却物を理想的な状態で焼却するからである。
本発明の焼却炉に設けている独得の構造のロストル7は、複数の多段プレート9を備え、複数の多段プレート9を多段に配置して、上下間に送風隙間11を設けており、最上段に配置される最上段の多段プレート9Aは一端から他端に向かって横幅を次第に狭くする先窄み形状として、頂上縁を下り勾配に傾斜する山形として、頂上縁の両側には傾斜板10Aを設けており、さらに、この傾斜板10Aを、頂上縁から両側の側縁に向かって下り勾配に傾斜する形状とし、さらに最上段の多段プレート9Aの下段に配置する下段の多段プレート9Bは、最上段の傾斜板10Aの外側に突出する傾斜板10Bを設けて、この傾斜板10Bも外側に向かって下り勾配に傾斜する形状としている。このロストル7には、空気の流入を阻止しながら供給口3から焼却物が供給され、さらにロストル7は、送風器8から一端に送風される空気を、多段に配置している傾斜板10の間の送風隙間11から外部に送風し、さらにまた、一次燃焼室1の燃焼ガスを排出する二次燃焼室2を一次燃焼室1の下方に配置して、一次燃焼室1から排出される燃焼ガスの排出を制限して、焼却物を高温で焼却する特徴を実現する。
以上の焼却炉は、ロストル7に焼却物を供給して焼却するが、ロストル7に供給された焼却物は、傾斜板10を滑り落ちながら焼却されるが、ロストル7の傾斜板10の上で焼却される焼却物は、多段に配置している傾斜板10の間の送風隙間11を落下しながら焼却されるが、送風隙間11は内部から空気から送風されているので、ここを落下する焼却物は、バラバラに分散される状態で酸素補給されながら落下するので理想的な状態で焼却される。送風隙間11に送風される空気は温度が低いので、流速が速く、流量が多すぎると熱エネルギーが失われて燃焼温度を低下させる原因となるが、以上の焼却炉は、二次燃焼室2を一次燃焼室1の下に配置する独得の構造とするので、燃焼ガスが一次燃焼室1から二次燃焼室2に自然に流入することがなく、送風器8から送風される空気の流量で、一次燃焼室1から二次燃焼室2に流入する燃焼ガスの流量を最適値にコントロールできる。
このことは、傾斜板10を高温に保持しながら焼却物を高温で焼却するために極めて大切である。それは、高温に加熱された傾斜板10は、供給される焼却物を加熱し、焼却物に含まれる水分を蒸発して気化し、気化された水分を分解して水素を発生し、水素を燃焼してさらに燃焼温度を上昇して焼却物を高温焼却するからである。ちなみに本発明者が試作した焼却炉は、一次燃焼室1の燃焼ガスの温度を1310℃と極めて高い温度とすることに成功した。この温度で焼却物を処理できる焼却炉は未燃焼物質や焼却灰は極めて少なく、悪臭や煤塵やダイオキシン等の種々の有害物質の発生をほとんど皆無にして排気ガスを極めて清澄化できる特徴がある。
たとえば、本発明の焼却炉で、竹を焼却しすると、発生する焼却灰の量が極めて少なく、無機の析出物の付着量を極限できる特徴も実現する。従来の焼却炉で竹を焼却すると、竹に含まれる無機質材が内面に多量に付着するために、長期間に渡って焼却処理できなくなるが、本発明の焼却炉は極めて高い温度で焼却することから、無機の析出物の付着量がほとんどなく、焼却灰の発生量も極めて少なくなるので、長期間に渡って竹を焼却できる特徴を実現する。
本発明の焼却炉は、送風器8のモータに供給する電力を調整して送風器8が強制送風する空気の流速と流量とをインバータ12で調整することができる。以上の焼却炉は、インバータ12で強制送風する空気の流速を最適値に調整して、焼却物を理想的な状態で焼却できる特徴がある。
本発明の焼却炉は、最上段の多段プレート9Aを、空気の送風方向に向かって横幅を次第に狭くする先窄み形状とし、さらに空気の送風方向に向かって頂上縁を下り勾配に傾斜する形状とすることができる。この焼却炉は、ロストル7に供給する焼却物を両側と前方に分散して落下して効率よく焼却できる特徴がある。
本発明の焼却炉の区画プレート4は、ロストル7の両側にガス流路6を開口することができる。この焼却炉は、ロストル7で焼却された焼却灰を両側に分散してスムーズに二次燃焼室2に落下できる。また、ロストル7でガス化した燃焼ガスをもスムーズに二次燃焼室2に流入して効率よく二次燃焼できる特徴がある。
本発明の焼却炉は、区画プレート4に複数のロストル7を配置して、各々のロストル7に強制送風して焼却物を焼却する構造とすることができる。この焼却炉は、複数のロストル7で単位時間に多量の焼却物を焼却できる。
本発明の焼却炉は、ガス流路6をロストル7の側縁に沿って開口することで、ロストル7で燃焼される燃焼ガスをよりスムーズに二次燃焼室2に流入できる。
本発明の焼却炉は、下段の多段プレート9Bの傾斜板10をV字状に配置して、両側の傾斜板10をロストル7の両側に配置する形状とすることができ、この構造によって、ロストル7の内部を空洞として、ここに強制送風される空気を多段の送風隙間11から均一に外側に送風して、焼却物を効率よく焼却できる特徴がある。
本発明の実施例にかかる焼却炉の長手方向の断面図である。 図1のII線の水平断面図である。 図1のIII線の垂直断面図である。 図1に示す焼却炉に配置されるロストルの側面図である。 図1に示す焼却炉に配置されるロストルの平面図である。 図1に示す焼却炉に配置されるロストルを後方から見た斜視図である。 図1に示す焼却炉に配置されるロストルを前方から見た斜視図である。 従来の焼却炉の断面図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための焼却炉を例示するものであって、本発明は焼却炉を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
本発明の焼却炉は、焼却物を廃棄の目的で焼却する用途に特定するものでなく、種々の焼却物を焼却して発生する熱エネルギーを有効に利用する目的で使用されるものも含む意味に使用する。
図1ないし図3に示す焼却炉は、一次燃焼室1と、一次燃焼室1から燃焼ガスが流入される二次燃焼室2と、一次燃焼室1に配置しているロストル7と、ロストル7に向かって強制送風する送風器8とを備える。
一次燃焼室1は二次燃焼室2の上に配置され、一次燃焼室1と二次燃焼室2とを区画プレート4で上下に区画している。区画プレート4は水平姿勢に配置されて、区画プレート4の上方を一次燃焼室1、下方を二次燃焼室2としている。区画プレート4は一次燃焼室1から二次燃焼室2に燃焼ガスを流入するガス流路6を開口している。図2の区画プレート4は、両側の隅部と中心部とに三角形のガス流路6を開口している。ガス流路6は、2列に配置されるロストル7の両側に沿って開口されて、ロストル7に供給される焼却物の燃焼ガスを上から下に向かって強制的に流して二次燃焼室2に流入させる。また、ロストル7の上にできる焼却灰も二次燃焼室2に落下させる。ロストル7の両側に接近して開口されるガス流路6は、ロストル7の両側に落下しながら焼却される焼却灰をスムーズに二次燃焼室2に落下させる。
一次燃焼室1は天井に焼却物の供給口3を開口している。供給口3はロストル7の真上にあって、供給口3から供給される焼却物をロストル7の上に落下させる。供給口3は燃焼ガスの排出と空気の流入を遮断して焼却物を供給するフィーダ5から焼却物が供給される。図3のフィーダ5は、供給口3に連結している供給管の途中に連結される。図のフィーダ5は、供給管の途中に上下に離して配置している水平方向に往復運動する2枚のシャッター13と、各々のシャッター13を別々に往復運動させるアクチュエーター14と、アクチュエーター14の往復運動を制御するコントローラー15とを備える。コントローラー15は、アクチュエーター14で2枚のシャッター13を交互に往復運動させて焼却物を供給口3から一次燃焼室1に供給する。コントローラー15は、下のシャッター13を閉じる状態で上のシャッター13を開いて、焼却物を下のシャッター13の上に供給する。その後、上のシャッター13を閉じる状態で、下のシャッター13を開いて、焼却物を一次燃焼室1に落下させる。焼却物を一次燃焼室1に供給した後、下のシャッター13を閉じて上のシャッター13を開き、焼却物を下のシャッター13に供給する動作を繰り返して、焼却物を供給口3から一次燃焼室1に落下させる。以上のフィーダ5は、コントローラー15でアクチュエーター14を制御し、アクチュエーター14が上下にシャッター13を交互に開閉するタイミングを調整して、焼却物の供給量をコントロールする。以上のフィーダ5は、2枚のシャッター13を交互に開閉して焼却物を一次燃焼室1に供給するが、本発明はフィーダ5を以上の構造には特定せず、例えばロータリーフィーダのように、燃焼ガスの流出と空気の供給を遮断しながら焼却物を一次燃焼室に供給できる全てのものが使用できる。フィーダ5には、スクリュウコンベア等のコンベアを介して焼却物が供給される。コントローラー15は、コンベアとフィーダ5を制御して、焼却物の供給量を調整する。
図1ないし図3に示す焼却炉は、区画プレート4の上に2列にロストル7を載せて配置して、各々のロストル7の両側にガス流路6を開口して、ロストル7の上に供給される焼却物の燃焼ガスと焼却灰をガス流路6から二次燃焼室2に落下させる。
図4はロストル7の側面図、図5はロストル7の平面図、図6はロストル7を背面上部から見た斜視図、図7はロストル7の前上から見た斜視図である。これ等の図に示すロストル7は区画プレート4の上に設置される。ロストル7は、送風隙間11を介して多段に積層している複数の多段プレート9を備える。多段プレート9は、強制送風される空気をスムーズに流動できように、後端の両端と、先端部の3カ所を連結バーで連結して送風隙間11を設けている。送風隙間11の間隔は、焼却物の種類や大きさによって最適値に設定される。
たとえば焼却物を破砕した竹チップとするロストル7にあっては、送風隙間11の間隔を、好ましくは約2cm〜5cmとする。図のロストル7は、後端の送風隙間11を広く、先端の送風隙間11を次第に狭くして、最上段の多段プレート9Aを先端に向かって下り勾配に傾斜させている。送風隙間11は、焼却物の種類や大きさによって最適値に設定されるので、たとえば1cm以上、好ましくは1.5cm以上、さらに好ましくは2cm以上であって、好ましくは10cm以下、さらに好ましくは6cm以下の範囲として、最適範囲に調整することができる。さらに、送風隙間11は焼却物の種類や大きさによって以上の範囲よりも小さく、あるいは大きく設定して、焼却物を理想的な状態で焼却できる値に設定することもできる。
多段プレート9は、最上段の多段プレート9Aと、最上段の多段プレート9Aの下に多段に配置している下段の多段プレート9Bとを備える。最上段の多段プレート9Aは、送風器8の送風方向に延びる頂上縁16の両側に、外側に向かって下り勾配に傾斜する最上段の傾斜板10Aを設けている。図6の最上段の多段プレート9Aは、傾斜板10Aが外側に向かって下り勾配に傾斜する傾斜角(α)を、水平面に対して約45度としている。この傾斜角の傾斜板10は、竹を焼却物として、理想的な状態で滑り落としながら高温で焼却できる。焼却物は傾斜板10の上で焼却されながら滑り落ちるので、傾斜角(α)は焼却物の滞在時間を特定する。焼却物の傾斜板10における滞在する時間は、焼却物が焼却されて焼却灰となった状態で滑り落ちるように設定される。傾斜角(α)が大きすぎると滞在時間が短くなって十分に焼却されない状態で傾斜板10から滑り落ち、反対に傾斜角(α)が小さすぎると滞在時間が長くなって焼却灰をスムーズに滑り落とすことができなくなる。
ただし、最上段の傾斜板10Aの傾斜角(α)は、供給される焼却物の物性を考慮して最適値に設定されるので、たとえば、15度よりも大きく60度よりも小さく設定される。傾斜角(α)の大きい傾斜板10は、滑り難い焼却物を供給して好ましい状態で焼却するのに適しており、傾斜角(α)の小さい傾斜板10は、滑り易い焼却物を焼却するのに適している。
図5に示す最上段の多段プレート9Aは、空気の送風方向に向かって横幅を次第に狭くする先窄み形状で、頂上縁16を送風方向に向かって下り勾配に傾斜する形状としている。図4のロストルは、最上段の多段プレート9Aの頂上縁16が、送風方向に向かって下り勾配に傾斜するが、この傾斜角(β)は、水平面に対して15度ないし40度、好ましくは15度ないし30度とする。この傾斜角(β)は、焼却物を両側と前方に均一に分散して落下できる角度に設定される。
最上段の多段プレート9Aは、両側に設けた最上段の傾斜板10Aの横幅を次第に狭くして、送風方向に向かって先窄み形状としている。とくに、図5に示す最上段の傾斜板10Aは、先端部の横幅を送風方向に向かって急激に狭くしている。この形状の最上段の傾斜板10Aは、上に供給される焼却物を両側と送風方向に滑り落としながら焼却するので、上面に供給される焼却物を両側と前方に拡散して効率よく焼却できる特徴がある。ただ、図示しないがが最上段の傾斜板10Aは頂上縁16を下り勾配に傾斜することなく、水平姿勢に配置して、焼却物を両側にのみ滑り落として焼却することもできる。
下段の多段プレート9Bは、最上段の傾斜板10Aの外側に突出し、かつ外側に向かって下り勾配に傾斜する下段の傾斜板10Bを有する。図のロストル7は、下段の多段プレート9Bを複数段に配置して、下段の多段プレート9Bの間に送風隙間11を設けている。下段の傾斜板10Bは、内側の一部を上段の傾斜板10の内側にラップさせて、両側部分を上段の傾斜板10の外側に突出させる形状としている。図に示す下段の傾斜板10Bは、2枚の金属板をV字状に連結して、ロストル7の内部、すなわち最上段の傾斜板10Aの下方であって、下段の傾斜板10Bの内側に空隙を設けている。このロストル7は、空隙に強制送風して多段に配置している傾斜板間の送風隙間11からスムーズに空気を送風できる特徴がある。多段に設けている下段の多段プレート9Bは、送風方向に向かって送風隙間11を狭くして、送風方向に向かって下り勾配に傾斜する姿勢としている。下段の多段プレート9Bが送風方向に向かって下り勾配に傾斜する角度は、下段に向かって次第に小さくしている。下段の多段プレート9Bであって、最下段の傾斜板10Bは区画プレート4との間に、送風方向においてほぼ等しくなる送風隙間11を設けている。
図において3段に配置している下段の多段プレート9Bは、先窄み形状であって、先端縁を送風方向に直交する方向に切断した形状としている。最下段に配置される下段の多段プレート9Bは、ロストル7の最も先端に突出するので、先端縁を送風方向に直交する方向に切断した形状として、一次燃焼室1の壁面と平行に配置している。
図1の焼却炉は、二次燃焼室2の上に一次燃焼室1を配置して、一次燃焼室1と二次燃焼室2の端面に設けた壁面(図1において左側の壁面)を垂直壁17として、二次燃焼室2の上に一次燃焼室1を配置している。二次燃焼室2は燃焼ガスの流動方向に細長い形状であって一次燃焼室1よりも長く、排出側には熱交換器18を配置している。二次燃焼室2の排出側には、煙突19を連結している。
一次燃焼室1は、垂直壁17との対向壁20に送風口を設けて、この送風口に送風器8を連結している。送風器8は外気を一次燃焼室1内に水平方向に噴射して、ロストル7の内部に強制送風する。強制送風される空気は、ロストル7の背面に向かって送風されて、ロストル7の内部に吹き込まれる。ロストル7は、背面から流入される空気を送風隙間11から噴き出すように、背面を対向壁20側に向けて配置している。ロストル7は背面を対向壁20に接近して、あるいは対向壁20に接触する位置に配置される。一次燃焼室1は、空気の送風方向の長さ(L)をたとえばロストル7全長の1〜2倍、好ましくは1.1倍〜1.5倍として、一次燃焼室1に供給される焼却物をロストル7の上で効率よく焼却できる。
送風器8は、ロストル7に供給する空気の風量と風速をコントロールするために、ファンを回転するモータの回転数を調整するインバータ12を接続している。インバータ12はモータに供給する電力を調整して、モータの回転速度をコントロールする。インバータ12は、モータに供給する電圧と周波数とを調整してモータの供給電力を調整する。インバータ12が、モータに供給する電圧と周波数を低くして、供給電力を低くするとモータの回転速度は遅くなる。インバータ12は、モータの回転速度を、定格電圧と定格周波数で回転する規定の回転数よりも低く制限して、ロストル7に強制送風する空気の流速を低下し、流量も少なく調整する。ロストル7の送風隙間11から空気が高速で噴射されると、焼却物を高温に加熱しながら焼却できないからである。とくに、送風器8は強制送風する空気の流速を遅く調整して、送風隙間11から均一に空気を噴出させることが大切である。この状態を実現するために、インバータ12はファンの回転数を低下して、送風器からロストルに噴き出す空気の流速と流速とを制限する。
強制送風する空気の流量は送風器を小型化して実現できる。しかしながら、送風器8から強制送風される空気の流速は、ファンの回転数で特定され、ファンの回転数はモータに供給される交流の周波数で特定されるので、ファンの回転数が変化しない小型の送風器8を使用しても強制送風される空気の流速はほとんど低下しない。したがって、送風器8を小型化して、ロストル7の送風隙間11から噴出される空気の流速を最適値に設定することはできない。
インバータ12でモータの回転数、すなわちファンの回転数を調整する送風器8は、強制送風する空気の流速と流量を変更して最適値に調整できるので、ロストル7に供給される焼却物を理想的な状態で焼却できる。とくに、モータに供給する交流の周波数と電圧の両方を調整するインバータ12は、送風する空気の流速と流量とを大幅に調整できるので、点検窓27から焼却物が焼却される状態を見ながら、あるいは温度センサで燃焼温度を検出しながら、ロストル7に供給する空気の流速と流量とを最適値に調整できる特徴がある。
一次燃焼室1と二次燃焼室2で焼却物を完全燃焼する焼却炉は、一次燃焼室1から排出される燃焼ガスを、二次燃焼室2で二次燃焼して外部に排気する。この焼却炉は、一次燃焼室1で焼却物を完全燃焼することなく二次燃焼室で燃焼して完全燃焼して排気する。一次燃焼室1は、空気の供給量を制限して、流入される空気による燃焼温度の低下を制限して燃焼温度を高く調整して、焼却物を高温で焼却して一部を未燃ガスとして二次燃焼室2に供給し、二次燃焼室2で未燃ガスを焼却して外部に排気する。本発明の焼却炉は、一次燃焼室1の燃焼温度を1300℃以上として、焼却物の一部を未燃ガスとして二次燃焼室2に供給し、二次燃焼室2で二次燃焼して清澄なガスとして煙突から外部に排気することができる。二次燃焼室2は、一次燃焼室1でガス化された未燃ガスを二次燃焼するために、送風口を設けて、ここに第2の送風器28を連結している。
一次燃焼室1は垂直壁17側に燃焼ガスのガス流路6を設けて、未燃ガスを含む燃焼ガスを、一次燃焼室1から二次燃焼室2に流入し、二次燃焼室2の端部に流入される燃焼ガスを他の端部に流動させながら二次燃焼し、その後、熱交換器18を設けた排出側を通過して煙突から外部に排出される。
垂直壁17は、一次燃焼室1と二次燃焼室2の両方に点検窓21を開口している。点検窓21は開閉できる耐熱ガラス(図示せず)でもって、空気の流通を遮断できる状態に閉塞される。一次燃焼室1の点検窓21は、ロストル7に供給した焼却物の焼却状態を観察する。二次燃焼室2の点検窓21は、内部での燃焼状態を点検すると共に、ここから温度センサを挿入して、二次燃焼室2の燃焼温度を検出する。
さらに、二次燃焼室2は、点検窓21の近傍に点火用のバーナー22を連結している。バーナーは一次燃焼室1に焼却物を供給する状態で火炎を噴射して、ロストル7の上に供給された焼却物に点火する。焼却物を点火した後、バーナーは運転を停止して、火炎の噴射を停止する。点火された焼却物が燃焼する熱エネルギーで、次々と供給される焼却物を加熱し、これを気化して高温焼却するからである。竹を粉砕した竹チップを焼却物とする焼却炉は、点火した後バーナーを停止して、竹チップを極めて高温で焼却できる。ちなみに本発明者が試作した焼却炉は、焼却物の竹チップをバーナーを停止する状態で1310℃と極めて高い温度で焼却することに成功した。ただし、焼却温度は図1において、二次燃焼室2の点検窓21から温度センサを内部に挿入して検出した。図1の焼却炉は、バーナーを二次燃焼室に連結しているが、点火用のバーナーは一次燃焼室に設けて、ロストルに供給された焼却物に向かって火炎を噴射して点火することもできる。
二次燃焼室2に設けた送風口には、第2の送風器28が連結される。第2の送風器28は、二次燃焼室2に空気を供給して、一次燃焼室1から二次燃焼室2に流入する燃焼ガスに含まれる、焼却物の一部をガス化した未燃ガスを二次燃焼させる。第2の送風器28も、モータに接続しているインバータ(図示せず)を介して空気の供給量が調整される。このインバータは、二次燃焼室2の燃焼状態を点検窓21から観察し、あるいは燃焼温度を検出し、さらに煙突から排出される排気ガスが清澄な状態となるように、第2の送風器28の空気供給量を調整する。
以上の焼却炉は、以下の工程で運転して種々の焼却物を焼却する。
1.コンベアがフィーダ5を介して焼却物を供給口3から一次燃焼室1に供給する。フィーダ5は、供給口3からの空気の流入や流出を遮断して焼却物をロストル7の上に落下させる。所定量の焼却物を供給した後、フィーダ5は焼却物の供給を停止する。
2.バーナーに点火して、二次燃焼室2に火炎を噴射する。噴射される火炎は二次燃焼室2と一次燃焼室1の内部を加熱すると共に、一部がガス流路6から一次燃焼室1に流入して一次燃焼室1の焼却物に点火する。この状態で、送風器8は、一次燃焼室1に供給する空気の供給量を少なく制限し、あるいは空気の供給を停止して、焼却物が理想的な状態で点火されるようにコントロールする。
送風器8が一次燃焼室1に供給する空気の供給量は、一次燃焼室1の点検窓21から観察してインバータ12で送風器8のモータの回転数をコントロールして調整する。
3.焼却物に点火されて燃焼を開始すると、送風器8が一次燃焼室1に供給する空気の供給量をコントロールする。空気の供給量は、点検窓21からロストル7に載った焼却物の燃焼状態を見て、インバータ12で調整して、焼却物が安定して焼却されるまで調整する。この状態で第2の送風器28の運転を開始して、二次燃焼室2の空気の供給量をインバータ12で調整する。第2の送風器28の空気の供給量は、二次燃焼室2の燃焼状態を点検窓21から観察し、あるいは温度センサで燃焼温度を検出し、さらに煙突から排出される排気ガスが清澄な状態となるように、インバータ12を介してモータの回転数をコントロールして調整する。
4.焼却物が安定して一定の燃焼温度で焼却されるようになると、焼却物の燃焼温度が一定の温度に安定するので、燃焼温度が安定すると、フィーダ5が一定量の焼却物を一次燃焼室1に供給する状態に設定する。この状態において、送風器8と第2の送風器28の空気の供給量は、一次燃焼室1と二次燃焼室2において理想的な状態で燃焼されるように、インバータ12でもってモータの回転数を調整して、最適値に設定される。焼却物が安定して一定の温度で焼却される状態になると、インバータ12はモータの回転数を設定値に保持し、またフィーダ5は焼却物を定量供給して、連続して焼却物を焼却する。
本発明の焼却炉は、焼却物を高温で焼却する用途に便利に使用できる。
1…一次燃焼室
2…二次燃焼室
3…供給口
4…区画プレート
5…フィーダ
6…ガス流路
7…ロストル
8…送風器
9…多段プレート
9A…最上段の多段プレート
9B…下段の多段プレート
10…傾斜板
10A…最上段の傾斜板
10B…下段の傾斜板
11…送風隙間
12…インバータ
13…シャッター
14…アクチュエーター
15…コントローラー
16…頂上縁
17…垂直壁
18…熱交換器
19…煙突
20…対向壁
21…点検窓
22…バーナー
28…第2の送風器
87…ロストル

Claims (7)

  1. 一次燃焼室と、
    前記該一次燃焼室から燃焼ガスが流入される二次燃焼室とを備え、前記該一次燃焼室に焼却物が供給されて、燃焼ガスが前記二次燃焼室を介して外部に排出される焼却炉であって、
    以下のA〜Jの全ての構成を有することを特徴とする焼却炉。
    A.前記該一次燃焼室の上部には焼却物の供給口が開口され、該一次燃焼室の下に前記二次燃焼室が配置されて、前記該一次燃焼室と前記二次燃焼室とを区画プレートで上下に区画している。
    B.前記供給口は、燃焼ガスの排出と空気の流入を遮断して焼却物を供給するフィーダを連結している。
    C.前記区画プレートは、前記該一次燃焼室の燃焼ガスを前記二次燃焼室に流入させるガス流路を開口している。
    D.前記区画プレートの上であって、前記供給口から投入される焼却物の供給位置にロストルを配置している。
    E.前記一次燃焼室は、前記ロストルに向かって空気を強制送風する送風器を連結している。
    F.前記ロストルは、前記区画プレートの上に、送風隙間を介して多段に積層してなる複数の多段プレートを備える。
    G.前記多段プレートは、最上段に配置される最上段の多段プレートと、前記最上段の多段プレートの下に多段に配置してなる下段の多段プレートとを備える。
    H.前記最上段の多段プレートは、前記送風器の送風方向に延びる頂上縁の両側に、外側に向かって下り勾配に傾斜する最上段の傾斜板を有する。
    I.前記下段の多段プレートは、前記最上段の傾斜板の外側に突出し、かつ外側に向かって下り勾配に傾斜する下段の傾斜板を有する。
    J.前記送風器は、前記ロストルに向かって送風して、多段に積層してなる前記多段プレート間の送風隙間からの外部に送風する。
  2. 請求項1に記載される焼却炉であって、
    前記送風器のモータに供給する電力をコントロールして前記送風器の流速と流量とを調整するインバータを備えることをことを特徴とする焼却炉。
  3. 請求項1又は2に記載される焼却炉であって、
    前記最上段の多段プレートは、空気の送風方向に向かって横幅を次第に狭くする先窄み形状であって、空気の送風方向に向かって頂上縁が下り勾配に傾斜することを特徴とする焼却炉。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載される焼却炉であって、
    前記区画プレートが、前記ロストルの両側に前記ガス流路を開口してなることを特徴とする焼却炉。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載される焼却炉であって、
    前記区画プレートに前記ロストルが複数列に配置されて、各々のロストルに強制送風する前記送風器を備えることを特徴とする焼却炉。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載される焼却炉であって、
    前記ガス流路が、前記ロストルの側縁に沿って開口してなることを特徴とする焼却炉。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載される焼却炉であって、
    前記下段の多段プレートが、前記傾斜板をV字状に配置して、両側前記傾斜板を前記ロストルの両側に配置してなることを特徴とする焼却炉。
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