JP2008215719A - 下方ガス化燃焼構造に混合燃焼室を設けたボイラー - Google Patents
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Abstract
【課題】生丸太・生薪・生チップなどの大きさの大小、水分含量の多少など様々な固体バイオマス燃料の煙を出さなく、灰も飛散させることなく正常運転までの立ち上がりが早く、安定した高温燃焼を維持しながら温度制御もできる安価で操作が簡単で維持管理が楽な下方ガス化燃焼ボイラーを提供する。
【解決手段】下方ガス化燃焼構造の一次燃焼室炉床開口部2bとその下に連接する二次燃焼室3の間に混合燃焼室4を設け、一次燃焼室2からの未燃焼ガスと二次燃焼空気を高温混合燃焼することにより煙のない燃焼火炎に変え、側面と底面に水冷壁8を配設した縦長の二次燃焼室3へ燃焼火炎と灰Zを放出し、水冷壁8に放射熱を供給し、灰Zは底面に溜り、燃焼の強弱を制御することによりボイラーの温度制御ができる。
【選択図】 図1
【解決手段】下方ガス化燃焼構造の一次燃焼室炉床開口部2bとその下に連接する二次燃焼室3の間に混合燃焼室4を設け、一次燃焼室2からの未燃焼ガスと二次燃焼空気を高温混合燃焼することにより煙のない燃焼火炎に変え、側面と底面に水冷壁8を配設した縦長の二次燃焼室3へ燃焼火炎と灰Zを放出し、水冷壁8に放射熱を供給し、灰Zは底面に溜り、燃焼の強弱を制御することによりボイラーの温度制御ができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、固体バイオマス燃料を使い、下方ガス化燃焼構造を燃焼部にもつボイラーに関し、大きさの大小、水分含量の多少など種種雑多な個体バイオマス燃料を煙が出ない完全に近い燃焼を実現し伝熱面である水冷壁・煙管・水管の最適な配設により、ボイラー効率が高く、立ち上がりの早いボイラーの新規構造に関するものである。
従来から小丸太・薪・チップ・小枝などを燃料としたボイラーは大型では焼却ボイラー、小型では風呂釜ボイラーなどのたくさんの種類が市販されているが、下方ガス化燃焼構造を燃焼部にもつ、現在日本で市販されているボイラーは、ドイツ・ヘールト社のガシファイヤーとチェコ共和国・アトモス社のガシファイヤー、そして、埼玉県金子農機株式会社がモニター販売している温水ボイラーの3社の製品がある。
この3社のボイラーに共通している点は、一次燃焼室で発生した層流火炎をその下にある厚い耐火材で囲まれた二次燃焼室で、乱流火炎となして、未燃焼ガスをほぼ完全に燃焼させ、発生した高温燃焼ガスの熱を煙管又は水管で熱交換することであり、また、厚い耐火材で囲まれた二次燃焼室の外側に水冷壁または水室があり耐火材が熱く加熱されるとその熱が耐火材を介して供給される構成になっており、火炎の放射熱を、金属の水冷壁又は薄い耐火材で覆われた水冷壁並びに水管に直接的に熱供給して、熱交換するボイラーではない。
この様に全体的に燃焼ガスと耐火材を介した熱伝導での熱交換の構成は3社とも共通であるが、一次燃焼の層流火炎を乱流火炎へと変えて効率的な二次燃焼させる位置と方法が少しずつ違っている。
ヘールト社のボイラーは、一次燃焼室炉床開口部より下に設けられた横円筒形の二次燃焼室に仕切板を設置して上下に分け、一次燃焼室炉床開口部からの下降する層流火炎の流れを、上半分の部分で奥から手前へ二次燃焼空気を供給しながら、乱流火炎に変え、手前から仕切板の下半分の部分へ反転させ下半分の部分で高温燃焼ガスを発生させ奥の方へ送り熱交換する。仕切板の長さは、奥から手前までの3分の2位の長さである。ヘールト社の場合、二次燃焼室を上下に分けた上半分を渦巻き釜、下半分を下部二次燃焼釜と称している。
アトモス社のボイラーは、ヘールト社のボイラー構成と大体同じであるが二次燃焼室の仕切板の長さと、二次燃焼空気の供給箇所が違う。アトモス社の場合、仕切板はヘールト社より短く2分の1位の長さであり、二次燃焼空気の供給はヘールト社の二次燃焼室の渦巻き釜であるのに対し、一次燃焼室の炉床から供給される、つまり、二次燃焼室へ入る直前に供給されるという違いがある。
金子農機株式会社のボイラーは、二次燃焼室の内壁を耐火材で作られた形が横円筒形ではなく、横四角筒形で作られているものの、ボイラー構成は、アトモス社のボイラーと仕切板の長さ、二次燃焼空気の供給箇所も大体同じであり、相違点は、一次燃焼室の炉床開口部の上に凸形立体ロストルを載置したことである。このことにより、二次燃焼空気の安定供給と煙を、おき燃焼層の所で燃焼させ、より高温燃焼化を図り、煙のない二次燃焼を目指したものである。
特許第3799449号
上記のことから固体バイオマス燃料を使い下方ガス化燃焼構造を用いて、いかに煙のない二次燃焼を実現し、燃焼効率をよくするか、また、その燃焼熱を伝熱面へいかに効率よく吸収させボイラー効率を上げるかを、目指して改良してきたものであり、概ね、二次燃焼空気の供給の改良により燃焼効率が改善され、耐火材を介しての水冷壁または水室への熱供給と、排気煙道手前の煙管又は水管による伝熱面からの熱供給とで、ボイラー効率が80%〜90%となりボイラー効率も改善され一応の目的は達成されたものと考えられる。
しかしながら、実際の運転を行ってみると火入れから平常運転までの立ち上がり時間が1時間位と長くかかること、また、燃焼を強くするためエゼクターブロアを強く稼動させると、二次燃焼室の灰を誘引してきて、排気煙道より灰を飛散させること、そして極端な水分含量の多い燃料や乱雑な燃料投入による煙の発生は人為的なものとして別に考えることとして、正常運転中であるにもかかわらず自動温度制御の働きにより、燃焼が種火状態から強中弱と燃焼負荷が様々に変化させられるため、ときどき黒煙や青白い煙が出たり、青い煙が長く続いて出たりして、二次燃焼機能が機敏に追いついていかないという、これらの問題を有している。
立ち上がりの時間がかかる問題については、燃焼火炎温度が一番高い二次燃焼室において、火炎の放射熱を利用し水冷壁または水室に熱供給し早くボイラーの温度を高くする必要がある。
灰の飛散の問題については、灰を800℃〜1000℃の高温で焼いて、灰と灰を結合させ、重くするとともに、底面がエゼクターブロアの誘引の影響が少ない二次燃焼室構造にする必要がある。
ボイラーが正常運転中にもかかわらず、自動温度制御のため黒煙や青白い煙をだす問題については、煙の中の水蒸気、炭化水素類、炭素微粒子が完全に燃焼していないために起こるもので、原因は、二次燃焼機能が低下したためである。均一な燃料による機械的な制御が機敏に対応できる石油燃料系ボイラーと機敏に対応できず少し遅れるバイオマス燃料系ボイラーの違いがここにある。熱負荷に対し機敏に柔軟に対応ができる様にするには、ボイラーが種火状態でも常に800℃以上の熱を保熱する高温燃焼室を二次燃焼室の前段に設け二次燃焼機能向上と補助を図る必要があり、二次燃焼室へ火炎の放出される前の段階で常に水蒸気・炭化水素類・炭素微粒子と二次燃焼空気が混合され、800℃以上の高温と1秒間以上の滞留時間を保ち、水性ガス化反応を起こす焼玉的機能をもった構造の高温保熱混合燃焼室の必要がある。
上記の課題を解決するために実験を重ねた結果、本発明を完成することができた。請求項1の発明により下方ガス化燃焼構造を用いたボイラーにおいて、一次燃焼室の炉床開口部とその下に連設している二次燃焼室との間に、混合燃焼室を設け、一次燃焼室からの燃焼ガス・未燃焼ガス・炎・二次燃焼空気・灰を高温混合燃焼し、煙のない燃焼火炎と適度に焼結した灰を、混合燃焼室噴出口より二次燃焼室へ放出し、燃焼火炎からは、二次燃焼室側面と底面に設けられた水冷壁または水室に放射熱を熱供給し、灰は底面へ降下するという下方ガス化燃焼構造に混合燃焼室を設けたことを特徴とするボイラーが提供される。
請求項2の発明により、混合燃焼室は、全体を耐火材もしくは、内壁を耐火材で作られ熱を保熱する機能をもち、混合燃焼室の入口と混合燃焼室噴出口の位置偏心や断面積の相違、または、混合燃焼室内に渦巻き流を起こすじゃま板・渦巻き翼・焼玉立方体を設け、または、これらの複合形であれ、混合燃焼室構造により、一次燃焼室からの燃焼ガス、未燃焼ガス・炎・二次燃焼空気・灰を、渦巻き流を発生させ、そして、滞留させることにより、未燃焼ガスと二次燃焼空気とを混合し、高温保熱混合燃焼が促進され、灰は飛散の少ない重い灰となるこの様な構造の混合燃焼室をもったことを特徴とするボイラーでる。
請求項3の発明により、混合燃焼室の混合燃焼室噴出口から、二次燃焼室へ燃焼火炎と灰が放出されるのにおいて混合燃焼室噴出口に翼断面形やらせん状の火炎誘導体を設けたり、混合燃焼室噴出口の周囲に火炎誘導カバーを設けたり、または、混合燃焼室噴出口そのものを1個口ではなく何個口かに分離形成し、火炎が中央に集束するよう構成された噴出口にしたりして、燃焼火炎のより一層の集束と方向性の安定を図るための設定がなされた混合燃焼室をもったことを特徴とするボイラーである。
請求項4の発明により混合燃焼室はペレットなどの圧縮成形燃料の酸素要求量の多い燃焼の高温混合燃焼に応えるための十分な酸素供給と、渦巻き流の促進のため混合燃焼室空気供給管を設けたことを特徴とするボイラーである。
請求項5の発明により、二次燃焼室側面と底面に設けられた水冷壁のうち底面に設けられた水冷壁の上に耐火材を用い水冷壁と灰の付着の防止と灰の回収が容易になるよう凹面状または船底状に形成されたことを特徴とするボイラーである。
上記の如く、請求項1記載の発明にあっては一次燃焼室の炉床開口部とその下に連設する二次燃焼室の間に、混合燃焼室を設けたことにより、完全に近い二次燃焼が行なわれ燃焼火炎からは二次燃焼室の側面と底面に設けられた水冷壁に放射熱を熱供給することができ、ボイラーの立ち上がり時間を約半分に短縮できた。完全燃焼火炎の火炎長は短いので、内壁の水冷壁に薄い耐火材を用いる場合と用いない場合とがある。今まで、木質系燃料のボイラーにおいて、小型の風呂釜ボイラーを除いては、火炎の放射熱を直接水冷壁に熱供給するボイラーが見受けられなかったのは、良く燃焼している火炎でも、火炎の先端に炭化水素類、炭素微粒子があり、100℃前後までしか上昇しない水冷壁や水管があると水蒸気、炭化水素類、炭素微粒子が結露し、タールやススとなって付着し、それが厚くなると断熱材として働き、水冷壁や水管の伝熱面としての機能を低下していくためである。以上のことから、本発明の混合燃焼室と二次燃焼室で完全な二次燃焼が行なわれて、煙のない燃焼火炎であるからこそ立ち上がりの時間が約半分になった結果である。そして、その完全な二次燃焼での高温燃焼ガスを煙管に通して熱交換することによりボイラー効率を92%に上げることができた。高温で焼結した灰は重くなって底面へ降下し、エゼクターブロアによる灰の飛散が少なく、構造が簡単で管理のしやすいボイラーを提供できることとなった。
請求項2記載の発明にあたっては、従来は一次燃焼室からの燃焼ガス・未燃焼ガス・炎・二次燃焼空気・灰がゆれのない綺麗な整然とした層流火炎として、二次燃焼室へ放出されると、真直ぐ降下し、底面へつき当たり、四方の側面へ火炎が登り、天井近くで下降する火炎に引かれ、対流のような火炎流を描いて、回転混合し、乱流火炎となり二次燃焼する。そして、高温燃焼ガスとして、伝熱面へ送られ熱交換された後、排気煙道より排出されるというのが今迄の燃焼順序であった。しかし、自動温度制御をかけた場合、一次燃焼室と二次燃焼室は、種火に近い状態から燃焼負荷が様々な状況に置かれ、特に弱から強へ燃焼を切替えた時、温度上昇が遅れ、二次燃焼室の機能が追いついていかない場合に、煙の発生が多く見られた。これを解決するのに混合燃焼室を設けたのは、未燃焼ガス中の炭化水素類と炭素微粒子を二次燃焼空気とで渦巻き流を起こす構造の中で高温混合燃焼させ、水性ガス化反応が起こるよう800℃以上を常に保つため、耐火材によって作られ、熱の保熱と反射を図り、燃焼負荷に対して、機敏に柔軟に反応するためである。実際、試験によると記載されたいかなる混合燃焼室構造であっても、渦巻き流を発生させそして滞留させることにより、未燃焼ガスは、高温燃焼し、煙の発生がなくなった。800℃以上の混合燃焼室の中を通過する灰は、焼結し、灰が溜まらない構造なので降下する。なお、混合燃焼室の入口断面積よりも、混合燃焼室噴出口の断面積が小さい方が、よく渦巻き流が多く発生し、混合が促進され乱流火炎が活発である。
請求項3記載の発明においては、二次燃焼室へ燃焼火炎と灰が放出されるとき、燃焼火炎が前後左右にゆれ、側面に配設してある水冷壁に火炎の先端が触れないようにするために二次燃焼室の中心に火炎を収束し、なおかつ灰を底面中央に降下させるためである。具体的には、翼断面形を応用して外側と内側の気流の流速の違いを利用したり、火炎そのものに回転を与え、ゆれないように直進させたり、火炎を強制的に誘導するカバーを設けたりして火炎を中央に集束する、また、混合燃焼室噴出口そのものを複数個の集合噴出口としその各々噴出口に傾斜をつけたり、大小をつけたりして、火炎が中央に集束するよう構成してもよい。
請求項4の発明においてはペレットなどの圧縮形成燃料は、3倍の体積のバイオマスを圧縮してできているので、3倍の酸素が必要になってくる。しかしながら、実際に使用している下方ガス化燃焼構造のボイラーで燃焼試験をしてみると黒煙が排気煙道より出て、圧倒的に酸素不足を知らされる。いくらエゼクターブロアを強くしても、燃焼量が3分の1にならなければバランスが取れないので一次燃焼室での燃焼量をガイド板で制限して、燃焼した分だけ補充されるように設定して燃焼実験をしたところ、一次・二次燃焼空気量がエゼクターブロアにより吸引されると同時に供給されるということになるため燃焼が強くなり、やはり黒煙が出る結果となった。混合燃焼室へ空気供給管を接続することにより、エゼクターブロアは、一次・二次燃焼空気と、混合燃焼室空気供給管からの空気とを一緒に吸引することになるので、混合燃焼室空気供給管からの増えた分だけ、一次・二次燃焼空気はへることになり、燃焼が安定する結果となった。そして混合燃焼室への角度ある複数個の空気供給により、渦巻き流の促進が図られ煙のない高温混合燃焼が行なわれる。
請求項5記載の発明においては、二次燃焼室側面と底面に設けられた水冷壁のうち底面に設けられた水冷壁の上に耐火材を用い、凹面状、または船底状の灰溜め形状とし、エゼクターブロアの影響が少ない二次燃焼室構造にするとともに、底面水冷壁と灰の付着を防止し、灰の回収をしやすくしたものである。
従来の下方ガス化燃焼構造を用いたボイラーの問題点を解決した本発明のボイラーは、バイオマス燃料の種種雑多な様々のものが利用でき燃料調達コストがゼロか少額の手間賃のみで済み、果樹園や林地に捨てられている剪定枝や間伐材が熱エネルギーに変換できるようになったことである。そして、一回の燃料投入で8時間〜10時間燃焼し続け、温度制御が自動にでき、自動制御による煙の発生を混合燃焼室の働きにより二次燃焼機能を機敏に高めることによりなくしたことは、社会のいろいろな分野に導入できるボイラーとなった。煙の問題が厳しい住宅地域でも、暖房給湯用として、融雪用として、園芸ハウス暖房用として使用でき、なおかつ、灰処理が簡単で灰の飛散も少ない構造のボイラーとなった。小丸太・薪・小枝・チップを主な燃料とするボイラーを実施例1として図1、図2を参照しながら説明し、チップ・ペレットを主な燃料とするボイラーを実施例2として図3を参照しながら説明する。
なお、本発明は、上記実施の形態例に限られるものではなく様々な応用利用が考えられる。例えば、実施例1の混合燃焼室のなかに混合燃焼室焼玉体が納まる形態を実施例2に応用したり、実施例2の混合燃焼室の混合燃焼室焼玉体が凸形立体ロストルの中に頭部をのぞかせている形態を実施例1に応用したりすることが考えられる。
図1から図2の実施例において、ボイラー1は燃料Xを入れる一次燃焼室2と一次燃焼室炉床開口部2bの下に連設する混合燃焼室4とさらにその下の連設する二次燃焼室3から構成される燃焼部と二次燃焼室2の側面と底面に配設された水冷壁8による熱交換部と一次燃焼室2と混合燃焼室4の後ろに配設された煙管11と水室12による熱交換部の二ヶ所でのボイラー部から構成されている。本実施例は、小丸太や薪・チップを燃料Xとし、一次燃焼室2は炉床を船底状に形成され、一次燃焼室炉床開口部2bは細長く形成されており、トンネル状凸形立体ロストル2aが一次燃焼室炉床開口部2bの上に載置されている。その下に連設する混合燃焼室4は、耐火材7で上下二段の組み合わせで細長い空間を設けて作られており、下段に焼玉体支持突起板5aを形成し、その焼玉体支持突起板5aの上に細長い山形をした混合燃焼室焼玉体5を載置し、混合燃焼室噴出口4b断面積が混合燃焼室入口4aと同じかまたは小さく作ってある。
この実施例の混合燃焼室4の働きは、一次燃焼の燃焼ガスと炎によって赤熱した混合燃焼室焼玉体5に未燃焼ガスと二次燃焼空気供給孔3aからの二次燃焼空気を接触させ、加熱するとともに、混合燃焼室4内の側面壁と斜め底面壁へぶつけることにより渦巻き流を発生させ、混合滞留させることにより800℃以上の高温燃焼が促進され、未燃焼ガス成分の水蒸気は水性ガス化反応をおこし酸素と水素に分離し、炭化水素類、炭素微粒子は酸素と結合し、より一層の高温燃焼の発熱がうまれることである。熱は混合燃焼室4の耐火材7に保熱されるとともに、二次燃焼室3へも放出される。二次燃焼が小さく種火状態でも混合燃焼室4は常に高温を保ち、温度制御が働き、急に一次燃焼が強くなっても混合燃焼室4の働きにより二次燃焼機能が追い付き、煙の発生は防がれる。
図3の主な燃料をチップ、ペレットとする、実施例2のボイラーにおいて、ボイラー部は実施例1と同じく二次燃焼室3の側面と底面の水冷壁8の熱交換部分と、一次燃焼室2と混合燃焼室4の燃焼部後ろの煙管11と水室12による熱交換部分の二ヶ所である。燃焼部はペレットを燃焼するために、一次燃焼室2炉床が大きなロート状になっており、燃焼発熱量を大きく確保するため一次燃焼室炉床開口部2bが大きな円形で開口しており、その上に凸形立体ロストル2aが載置されている。混合燃焼室4は、実施例1と同じく耐火材7で上下二段の組み合わせで円筒状の空間を設けて作られており、下段に焼玉体支持突起板5aが形成され、このうえに混合燃焼室焼玉体5を載せている。この混合燃焼室4の中に二次燃焼空気を供給する混合燃焼室空気供給管4cが、混合燃焼室4の外周上部に一周して配設されており必要数が混合燃焼室4と渦巻き流を促進する角度で連通している。一次燃焼室炉床開口部2bと混合燃焼室入口4aが大きな径になるため、混合燃焼室焼玉体5の上半分の部分が円柱状に形成され凸形立体ロストル2aの中に頭部をのぞかせている。相対的に一次燃焼室炉床開口部2bと混合燃焼室焼玉体5のすき間を狭めることにより、このすき間を通る、燃焼ガス、未燃焼ガス、炎、二次燃焼空気、灰Zの流速を速めることになり、重く硬いペレットのおき燃焼のすき間を二次燃焼空気により灰Zを混合燃焼室4内へ強く引く力となり、灰Zを除去し続けることにより、ペレットの燃焼が継続される。混合燃焼室4内の側面壁と混合燃焼室焼玉体5の間を通ることにより、未燃焼ガスは加熱され、混合燃焼室空気供給管4cより、より一層の二次燃焼空気が角度をもって追加され、混合燃焼室4斜め底面壁と混合燃焼室焼玉体5の空間で渦巻き流の発生による乱流火炎により、炭化水素類、炭素微粒子は燃焼する。混合燃焼室噴出口4bに配設された筒状の混合燃焼室翼断面形火炎誘導体6により火炎の流れが整えられ、二次燃焼室3へ燃焼火炎が放出される。灰Zは混合燃焼室4内で高温燃焼ガスの流れにのり800℃以上の高温で焼結され、重くなった灰Zは二次燃焼室3の耐火材7でできた底面へ溜まる。
1 ボイラー本体
2 一次燃焼室
2a 凸形立体ロストル
2b 一次燃焼室炉床開口部
3 二次燃焼室
3a 二次燃焼空気供給孔
4 混合燃焼室
4a 混合燃焼室入口
4b 混合燃焼室噴出口
4c 混合燃焼室空気供給管
4d 混合燃焼室空気供給管調節板
5 混合燃焼室焼玉体
5a 焼玉体支持突起板
6 混合燃焼室翼断面形火炎誘導体
7 耐火材
8 水冷壁
9 保温材
10 燃料投入口
11 煙管
12 水室
13 排気煙道
W 高温燃焼ガスの流れ
X 燃料
Y 炎
Z 灰
2 一次燃焼室
2a 凸形立体ロストル
2b 一次燃焼室炉床開口部
3 二次燃焼室
3a 二次燃焼空気供給孔
4 混合燃焼室
4a 混合燃焼室入口
4b 混合燃焼室噴出口
4c 混合燃焼室空気供給管
4d 混合燃焼室空気供給管調節板
5 混合燃焼室焼玉体
5a 焼玉体支持突起板
6 混合燃焼室翼断面形火炎誘導体
7 耐火材
8 水冷壁
9 保温材
10 燃料投入口
11 煙管
12 水室
13 排気煙道
W 高温燃焼ガスの流れ
X 燃料
Y 炎
Z 灰
Claims (5)
- 固体バイオマス燃料の下方ガス化燃焼構造を用いたボイラーにおいて、一次燃焼室の炉床開口部とその下に設置してある二次燃焼室との間に、混合燃焼室を設け、一次燃焼室からの燃焼ガス・未燃焼ガス・炎・二次燃焼空気・灰を、高温混合燃焼し、煙のない燃焼火炎と適度に焼結した灰を、混合燃焼室噴出口より、二次燃焼室へ放出し、燃焼火炎からは、二次燃焼室側面と底面に設けられた水冷壁に放射熱を熱供給し、灰は底面へ降下するという下方ガス化燃焼構造に混合燃焼室を設けたことを特徴とするボイラー。
- 前記混合燃焼室は、全体を耐火材もしくは内壁を耐火材で作られており、混合燃焼室の入口と混合燃焼室噴出口の位置を偏心させ、断面積を違わせ、または混合燃焼室内に渦巻き流を起こすじゃま板・渦巻き翼・焼玉立方体を設け、もしくはこれらの複合形での混合燃焼室構造により、一次燃焼室からの燃焼ガス・未燃焼ガス・炎・二次燃焼空気・灰を、渦巻き流を発生させ、そして滞留させることにより、未燃焼ガスと二次燃焼空気とを混合し、高温燃焼が促進され、また、この高温燃焼の中を灰が通過することにより、適度に焼結され飛散の少ない重い灰となるこの様な構造の混合燃焼室をもった請求項1のボイラー。
- 前記混合燃焼室の前記混合燃焼室噴出口から、二次燃焼室へ燃焼火炎と灰が放出されるのにおいて、前記混合燃焼室噴出口に、翼断面形や、らせん状の火炎誘導体を設け、または混合燃焼室噴出口の周囲に火炎誘導カバーを設け、もしくは混合燃焼室噴出口そのものを、1個口だけではなく何個口かに分離形成し、火炎が中央に集束するよう構成された噴出口にして、燃焼火炎のより一層の集束と方向性の安定を図るための設定がなされた混合燃焼室をもった請求項1乃至2のいずれかに記載のボイラー。
- 前記混合燃焼室は、ペレットなどの圧縮成形燃料の酸素要求量の多い燃料の高温混合燃焼に応えるための酸素供給と渦巻き流の促進のために混合燃焼室空気供給管を設けた混合燃焼室をもった請求項1乃至3のいずれかに記載のボイラー。
- 前記二次燃焼室の底面に耐火材を用いて灰の回収が容易になるよう凹面状、または船底状に形成された請求項1乃至4のいずれかに記載のボイラー。
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