JP2548308Y2 - デイスクカートリツジ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えば磁気デイスクカ
ートリツジ、光デイスクカートリツジ、光−磁気デイス
クカートリツジなどのデイスクカートリツジに係り、特
にヘツドアクセス口の開閉を行うシヤツタを備えたデイ
スクカートリツジに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４は、従来の磁気デイスクカートリツ
ジの分解斜視図、図５は、その磁気デイスクカートリツ
ジの一部拡大断面図である。磁気デイスクカートリツジ
は、硬質合成樹脂で成形されたカートリツジケース５１
と、その中に回転自在に収納された磁気デイスク５２
と、前記カートリツジケース５１に摺動可能に支持され
たシヤツタ５３とから主に構成されている。

【０００３】カートリツジケース５１のほぼ中央には円
形の開口５４が形成され、それの近くにヘツド挿入口５
５が設けられている。ヘツド挿入口５５の上を前記シヤ
ツタ５３が摺動するために、ヘツド挿入口５５の付近の
上面が若干低くなつて凹部５６が形成され、さらにこの
凹部５６の前面近くにはシヤツタ５３の摺動方向に沿つ
て伸びたガイド溝５７が設けられている。シヤツタ５３
は、例えばステンレス鋼板などの金属板からなり、側面
形状がコ字をして、ヘツド挿入口５５とほぼ同じ大きさ
をした開口部５８と、それの隣にヘツド挿入口５５を閉
塞する閉塞部６１が形成され、また、切り起こしによつ
て２つの嵌合爪５９が下方に向いて突設されている。

【０００４】この嵌合爪５９は図５に示すように、カー
トリツジケース５１の前記ガイド溝５７内に嵌入される
訳であるが、シヤツタ５３が金属板から作られ、しかも
嵌合爪５９の突出寸法が短いことから、カートリツジケ
ース５１へシヤツタ５３を組み込む際に嵌合爪５９の方
を弾性変形させることはできない。そのため、カートリ
ツジケース５１におけるガイド溝５７の前方に、前記嵌
合爪５９に対応させて薄肉部６０を２個所設け、カート
リツジケース５１へシヤツタ５３を組み込む際、嵌合爪
５９で薄肉部６０を弾性変形させながら、薄肉部６０上
を乗り越えてガイド溝５７に嵌入させる機構を採用して
いた。

【０００５】一方、収納した磁気デイスク５２が外力に
よつて湾曲したりしないように、保護するためにカート
リツジケース５１は硬質合成樹脂で成形されている。そ
のため、嵌合爪５９の摺動時、この嵌合爪５９がガイド
溝５７の側壁と接触していると、経時的にガイド溝５７
の側壁が削りとられてしまうことになる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】従来のデイスクカート
リツジは図５に示すようにガイド溝５７がカートリツジ
ケース５１の表面に対して垂直に形成されているから、
カートリツジケース５１を成形したときの離型性が悪
く、カートリツジケース５１を金型から取り出すときに
細くて機械的強度の弱いガイド溝５７が容易に変形する
ことが多々ある。

【０００７】ガイド溝５７が変形すると、シヤツタ５３
の摺動性が悪く、しかもシヤツタ５３の摺動時に嵌合爪
５９が部分的にガイド溝５７の側壁に接触して切削粉が
発生する。そしてこの切削粉がヘツド挿入口５５からカ
ートリツジケース５１の内部に侵入し、磁気デイスク５
２に付着してデータの記録／再生に支障をきたすなどの
欠点を有している。

【０００８】本考案はこのような従来技術の欠点を解消
し、シヤツタの摺動性が良好で、切削粉による記録／再
生のトラブルなどが発生しない、動作信頼性に優れたデ
イスクカートリツジを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案の第１の手段は、デイスクを回転可能に収納
したカートリッジケースと、そのカートリッジケースの
少なくともヘッドアクセス口を開閉するシヤツタとを備
え、前記カートリッジケースの前方にシヤツタの摺動を
案内するためのガイド溝を形成し、シヤツタに形成され
た嵌合爪をガイド溝に挿入してなるデイスクカートリツ
ジにおいて、 前記ガイド溝の少なくともカートリツジケ
ースの前側端面に近い方の側壁に、開口面が広がる方向
に傾斜がつけられ、このガイド溝の傾斜面と同じ方向に
前記嵌合爪も傾斜しており、 かつ嵌合爪の傾斜角φを前
記ガイド溝の傾斜角θより大きくした（φ＞θ）ことを
特徴とする。 本考案の第２の手段は、前記第１の手段に
おいて、前記嵌合爪の先端のシヤツタ引き抜き方向側の
縁部をエツジ状にしたことを特徴とする。

【００１０】

【作用】本考案は前述のように、ガイド溝の側壁に開口
面が広がる方向に傾斜をつけることにより、カートリツ
ジケースを成形したときの離型性が良好で、カートリツ
ジケースを金型から取り出すときに細くて機械的強度の
弱いガイド溝が変形することがなくなる。 また嵌合爪を
ガイド溝の傾斜面と同じ方向に傾斜させて嵌合爪の傾斜
角φをガイド溝の傾斜角θより大きくした（φ＞θ）こ
とにより、シヤツタ摺動時に例えば弾性付勢手段あるい
はシヤツタ開閉機構の作用でシヤツタが抜ける方向に変
位しても、嵌合爪の傾斜面がガイド溝の傾斜面と面接触
するだけであり、特にガイド溝の側壁を削る可能性の高
い嵌合爪の先端部をガイド溝の側壁から確実に離すこと
ができる。この２つの作用効果により、シヤツタ摺動時
のガイド溝の削れが有効に防止でき、切削粉による記録
／再生のトラブルが解消される。 さらに嵌合爪の先端の
シヤツタ引き抜き方向側の縁部をエツジ状にすれば、シ
ヤツタの抜け止め効果が確実である。通常の取扱状態で
は前述のようにφ＞θの関係から嵌合爪の先端部はガイ
ド溝の側壁から離れているが、例えばデイスクカートリ
ツジが落下してシヤツタがカートリツジケースから引き
抜かれる方向に衝撃力が加わった場合、前記縁部のエツ
ジ効果により縁部がガイド溝の側壁に引っ掛かり、シヤ
ツタの抜け止めが確実である。

【００１１】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づき説明す
る。図１は、デイスクカートリツジの一部拡大断面図、
図２はシヤツタの要部拡大断面図である。図１におい
て、１はカートリツジケース、２はシヤツタ、３はカー
トリツジケースに設けられたガイド溝、４はシヤツタ２
に設けられた嵌合爪である。

【００１２】ガイド溝３の側壁は、僅かではあるが開口
面側が広がるように傾斜がつけられており（角度θ）、
一方、嵌合爪４は、このガイド溝３の側壁の傾斜に沿う
方向の傾斜、言い換えると先端に向かうに従つて逃げる
方向の大きな傾斜がつけられている（角度φ）。

【００１３】ここで角度φと角度θとは、φ＞θとなる
ようにしている。具体的には、カートリツジケース１の
成形時の離型性から、θを５°程度にし、一方、φはシ
ヤツタ２の嵌合強度上、なるべく小さい方が望ましいの
で、６°ないし１２°程度の範囲とする。また、嵌合爪
４の引き抜き方向側先端の縁部４ａをエツジ状に形成し
ている。

【００１４】図２に示すように、縁部４ａは、微視的に
見れば若干の面取り形状とはなつているが、この面取り
を２０μｍ程度に抑えたエツジ状に形成することが望ま
しい。

【００１５】このような構成においては、嵌合爪４はガ
イド溝３の側壁から逃げているので、シヤツタ２の摺動
時に、嵌合爪４でガイド溝３の側壁、言い換えるとカー
トリツジケース１を削り取るおそれがなくなる。また、
落下などによりシヤツタ２に引き抜き方向の衝撃力が加
わつても、図３に示すように嵌合爪４の縁部４ａがエツ
ジ状になつているため、そのエツジ効果によりガイド溝
３の側壁との間で強い抵抗力が発生し、容易にシヤツタ
２が脱落することがない。例えば落下試験において、従
来のものは３０ｃｍ以上の所からデイスクカートリツジ
を落下させるとシヤツタがカートリツジケースから脱落
していたが、本考案のものは１００ｃｍ以上の所から落
下してもシヤツタはカートリツジケースから脱落しない
ことが確認されている。

【００１６】

【考案の効果】本考案は前述のように、ガイド溝の側壁
に開口面が広がる方向に傾斜をつけることにより、カー
トリツジケースを成形したときの離型性が良好で、カー
トリツジケースを金型から取り出すときに細くて機械的
強度の弱いガイド溝が変形することがなくなる。 また嵌
合爪をガイド溝の傾斜面と同じ方向に傾斜させて嵌合爪
の傾斜角φをガイド溝の傾斜角θより大きくした（φ＞
θ）ことにより、シヤツタ摺動時に例えば弾性付勢手段
あるいはシヤツタ開閉機構の作用でシヤツタが抜ける方
向に変位しても、嵌合爪の傾斜面がガイド溝の傾斜面と
面接触するだけであり、特にガイド溝の側壁を削る可能
性の高い嵌合爪の先端部をガイド溝の側壁から確実に離
すことができる。この２つの作用効果により、シヤツタ
摺動時のガイド溝の削れが有効に防止でき、切削粉によ
る記録／再生のトラブルが解消される。 さらに嵌合爪の
先端のシヤツタ引き抜き方向側の縁部をエツジ状にすれ
ば、シヤツタの抜け止め効果が確実である。通常の取扱
状態では前述のようにφ＞θの関係から嵌合爪の先端部
はガイド溝の側壁から離れているが、例えばデイスクカ
ートリツジが落下してシヤツタがカートリツジケースか
ら引き抜かれる方向に衝撃力が加わった場合、前記縁部
のエツジ効果により縁部がガイド溝の側壁に引っ掛か
り、シヤツタの抜け止めが確実である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係るデイスクカートリツジ
の一部拡大断面図である。

【図２】本考案の一実施例に係るデイスクカートリツジ
のシヤツタの要部拡大図である。

【図３】本考案の一実施例に係るデイスクカートリツジ
のシヤツタ縁部のエツジ効果を説明するための一部拡大
断面図である。

【図４】一般的なデイスクカートリツジの分解斜視図で
ある。

【図５】図４に示すデイスクカートリツジの一部拡大断
面図である。

【符号の説明】

１ カートリツジケース ２ シヤツタ ３ ガイド溝 ４ 嵌合爪 ４ａ 縁部

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 デイスクを回転可能に収納したカートリ
   ツジケースと、そのカートリツジケースの少なくともヘ
   ッドアクセス口を開閉するシヤツタとを備え、前記カー
   トリツジケースの前方にシヤツタの摺動を案内するため
   のガイド溝を形成し、シヤツタに形成された嵌合爪をガ
   イド溝に挿入してなるデイスクカートリツジにおいて、 前記ガイド溝の少なくともカートリツジケースの前側端
   面に近い方の側壁に、開口面が広がる方向に傾斜がつけ
   られ、このガイド溝の傾斜面と同じ方向に前記嵌合爪も
   傾斜しており、 かつ嵌合爪の傾斜角φを前記ガイド溝の傾斜角θより大
   きくした（φ＞θ） ことを特徴とするデイスクカートリ
   ツジ。
2. 【請求項２】 請求項１記載において、前記嵌合爪の先
   端のシヤツタ引き抜き方向側の縁部をエツジ状にしたこ
   とを特徴とするデイスクカートリツジ。