JPH0624055Y2 - ディスクカートリッジ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、例えば、磁気ディスクなどの磁気記録媒体
等を内部に有するディスクカートリッジに関する。

〔考案の概要〕

この考案は、ガイド溝に案内されてヘッド挿入用の開口
を開閉するシャッターを備え、このシャッターが不使用
時においては、バネの弾発力によりヘッド挿入用の開口
を塞ぐ状態に自動復帰するように構成されたディスクカ
ートリッジにおいて、シャッターに設けられたガイド用
の突起の先端部の形状を所定のものとすると共に、それ
に応じてガイド用の突起と当接するガイド溝の端部を所
定の形状とすることにより、ガイド用の突起の先端部が
ガイド溝の端部に乗り上げないようにし、シャッターの
脱落を防止するようにしたものである。

〔従来の技術〕

フレシキブルな例えば直径が3.5インチの磁気ディスク
がハードケース内に収納され、この状態で以てディジタ
ルデータを記録再生することができる磁気ディスクカセ
ット（所謂マイクロフロッピーディスク）が知られてい
る。

この磁気ディスクカセットには、磁気ディスクを保護す
るために、シャッターが摺動自在に取り付けられてい
る。磁気ディスクカセットの使用時においては、ディス
クドライブ装置側に配設された部材により、シャッター
が押し開かれ、ケースに設けられたヘッド挿入用の開口
から磁気ディスクが露出する状態とされて使用される。
また、磁気ディスクカセットの不使用時においては、バ
ネ等の弾発力を用いた自動復帰機構により、シャッター
がヘッド挿入用の開口を塞ぐ状態に保持され、ケース内
への異物及び埃の侵入が防止される。

このように磁気ディスクを保護する目的で取り付けられ
たシャッターは、従来、ステンレス等の金属板を折り曲
げ成形して断面コ字状としたもので、ケースに設けられ
たヘッド挿入用の開口に対応した開口を有すると共に、
ガイド用の突起を有し、ケースを挾持するように一側面
に摺動自在に取り付けられる。

しかし、従来の金属製シャッターの場合には、組み立て
時におけるシャッター取り付けの際や、磁気ディスクカ
セットの使用時におけるシャッターの摺動時において、
ケースの縁部やケースに設けられたガイド溝の側面がガ
イド用の突起により削られることがあり、この削れによ
るゴミがケース内に入り込み、磁気ディスクに対する記
録／再生に悪影響を及ぼす恐れがある。

このため、上述した問題を解決するために本願出願人に
より実開昭60-163566号公報に示される考案が先に提案
されている。この実開昭60-163566号公報に開示される
考案は、シャッターに設けられたガイド用の突起のガイ
ド溝の側面と摺接する部分の形状を略々凸曲面状に形成
することで、シャッター摺動時等において発生するケー
スの削れを防止するものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、前述したように不使用時にヘッド挿入用の開
口を塞ぐ状態にシャッターが自動復帰するように構成さ
れた従来の磁気ディスクカセットにおいては、ケース側
のシャッターの取り付け部に、シャッターの移動領域に
対応する形で凹部を形成してこの凹部の段部をストパー
として機能させるか、若しくは、ガイド溝の長さを所定
の値としてガイド溝の端部をストッパーとして機能させ
て、シャッターの摺動範囲を規制するようになされてい
る。

しかしながら、ガイド溝の端部を利用してシャッターの
摺動範囲を規制する方法のみが適用された従来の磁気デ
ィスクカセットは、強い衝撃に弱いもので、例えば、不
用意に磁気ディスクカセットを床等に落としたりする
と、ガイド用の突起がガイド溝の端部を乗り越える形で
シャッターの脱落が発生する問題点があった。

従って、この考案の目的は、強い衝撃等が加えられた場
合においても、シャッターが脱落することがないような
脱落防止構造を有したディスクカートリッジを提供する
ことにある。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案では、ディスク３を内部に収納し、縁部に沿っ
てガイド溝１３が形成されたケース１，２と、ガイド溝
１３により案内される突起２６，２７が設けられ、挿入
方向の一端面にスライドしてケース１，２に設けられた
ヘッド挿入窓８，９を開閉するシャッター１２とを有
し、シャッター１２が閉状態にある時に、バネ３１によ
ってガイド溝１３の端部４１ｂに突起２６が押し付けら
れるディスクカートリッジにおいて、シャッター１２の
突起２６の先端部４１ａがガイド溝１３の端部４１ｂに
乗り上げることを防止する係合部４１を突起２６の先端
部４１ａとケース２のガイド溝１３の端部４１ｂとに設
けられる。

〔作用〕

ガイド用の突起２６とガイド溝１３の端部４１ｂとが当
接する係合部４１の中心となる位置から下側シェル２の
外面に対して垂直となる基準面を想定した場合、この基
準面を越えて互いに突出すると共に、突起２６の先端部
４１ａの突出位置が必ず端部４１ｂの突出位置より下側
シェル２側となるように突起２６の先端部４１ａとガイ
ド溝１３の端部４１ｂとが設けられている。このため、
スプリング３１の弾発力によりスライドするシャッター
１２の突起２６がガイド溝１３の端部４１ｂに当接する
際には、シャッター１２の移動方向が外方に向かないよ
うに規制され、確実にシャッター１２の脱落が防止され
る。

〔実施例〕

以下、この考案の一実施例について図面を参照して説明
する。第２図Ａ及び第２図Ｂは、この考案が適用された
磁気ディスクカセットの全体の外観を示す上面図及び下
面図である。第２図Ａにおいて１で示されるのが上側シ
ェルであり、第２図Ｂにおいて２で示されるのが下側シ
ェルである。

上側シェル１及び下側シェル２の夫々は、例えば、静電
防止剤を含むＡＢＳ樹脂で一体成形されている。上側シ
ェル１及び下側シェル２の夫々の内面には、例えば、磁
気ディスクのドロップアウトや摩耗及び静電気の発生を
防止するためのレーヨン等の不織布からなるライナーが
熱溶着或いは超音波溶着されている。

上側シェル１の外周部と下側シェル２の外周部とが例え
ば超音波溶着により接合され、上側シェル１と下側シェ
ル２とにより磁気ディスクの収納スペースを有したケー
スが形成される。

ケース内に収納される磁気ディスク３としては、例え
ば、円板状の高分子フィルムをベースとしてメッキやス
パッタ等により金属薄膜が磁性層として均一に形成され
たものが用いられ、高密度記録が可能とされている。こ
の磁気ディスク３の中央となる位置には、円形の金属の
センタープレート４が固着されている。センタープレー
ト４の中央部には、略々正方形をなすモータ軸挿入孔５
が形成され、この挿入孔から所定の距離だけ偏倚した位
置に長方形状の位置規制ピン挿入孔６が形成されてい
る。

下側シェル２の中央には、円形の駆動軸挿入用の開口７
が設けられており、この開口７にセンタープレート４が
多少のガタを有する状態で配置されるように磁気ディス
ク３がケース内部に収納される。また、上側シェル１及
び下側シェル２には、矩形状のヘッド挿入用の開口８及
び９が設けられており、この開口８及び９から磁気ディ
スク３が露出される。開口８及び９が設けられている部
分を含む上側シェル１及び下側シェル２の外面に凹部１
０及び１１が形成されており、凹部１０，１１内に断面
コ字状のシャッター１２が摺動自在に取り付けられる。

つまり、下側シェル２の凹部１０の所定位置には、挿入
方向となる一側縁部に沿う形でガイド溝１３が設けられ
ており、このガイド溝１３内をシャッター１２の内側に
突出するように形成された突起２６，２７が案内され
る。尚、このガイド溝の一方の端部が後述するようにシ
ャッター１２の脱落を防止する所定の形状とされてい
る。

ケースの一側縁部に取り付けられるシャッター１２は、
例えば、ステンレス等の金属板を折り曲げ成形して断面
コ字状としたもので、上側シェル１及び上側シェル２に
設けられたヘッド挿入用の開口８及び９に対応した開口
１４及び１５を有すると共に、ガイド用の突起２６，２
７及びスプリング係止用の突起２８を有している。

第３図Ａ〜Ｃは、この考案の一実施例におけるシャッタ
ー１２の形状を示す下面図（Ａ），正面図（Ｂ）及び側
面図（Ｃ）である。

シャッター１２は、第３図に示すように断面コ字状とさ
れ、上面板２１，下面板２２，側面板２３から成るもの
で、上面板２１に開口１４が設けられると共に、下面板
２２に開口１５が設けられている。下面板２２の開口１
５の縁部には、切り起こしのための切欠２４が形成さ
れ、この部分が内側に略々垂直となるように切り起こさ
れてガイド用の一方の突起２６が形成されている。この
突起２６の先端部が後述するようにシャッターの脱落を
防止する所定の形状とされている。また、突起２６に対
応する下面板２２の所定位置には、同様に切り起こしの
ための切欠２５が形成され、この部分が内側に略々垂直
となるように切り起こされてガイド用の他方の突起２７
が形成されている。更に、側面板２３の所定位置には、
切り起こしのための切欠２９が形成され、この部分が内
側に略々垂直となるように切り起こされてフック形状の
スプリング係止用の突起２８が形成されている。

ところで、上側シェル１及び下側シェル２により形成さ
れるケースには、略々Ｖ字状の切欠３７が形成されてお
り、磁気ディスクカセットがディスクドライブ装置に装
着された場合には、この切欠３７にディスクドライブ装
置側のシャッター自動開閉用の部材が入り込み、シャッ
ター１２を使用状態においてロックする。

つまり、磁気ディスクカセットの使用時においては、第
２図Ａ及び第２図Ｂにおいて実線で図示するようにヘッ
ド挿入用のケース側の開口８及び９とシャッター側の開
口１４及び１５とが一致し、磁気ディスク３が外部に露
出する状態とされる。

尚、下側シェル２の一つのコーナー部には、誤消去防止
用のラグが設けられており、ラグを折って取り除けば、
消去できないようになされている。また、下側シェル２
の二つのコーナー部には、磁気ディスクカセットをディ
スクドライブ装置に装着する際の位置決めのために、一
対の位置決め用孔１７，１８が設けられている。この位
置決め用孔１７，１８が設けられていない他の二つのコ
ーナー部が基準面となり、４個のコーナー部においてデ
ィスクカートリッジが基準位置に支持される。この状態
で以て磁気ディスク３が駆動モーターにより回転され、
磁気ディスク３に対して記録及び再生がなされる。

磁気ディスクカセットの不使用時においては、ディスク
ドライブ装置側のシャッター自動開閉用の部材が取り払
われ、第２図Ａ及び第２図Ｂにおいて一点鎖線で示すよ
うに、開口８及び９が閉ざされ、磁気ディスク３の露出
面がシャッター１２で被われる状態とされる。つまり、
磁気ディスク３が外部に露出する使用状態と磁気ディス
ク３の露出面がシャッター１２で被われる不使用状態と
を取り得るようにシャッター１２が摺動する。

第４図は、ディスクカートリッジの不使用状態を示す部
分拡大図である。シャッター１２のスプリング係止用の
突起２８には、例えば、第４図に示すようにスプリング
３１の一端が係止されており、上側シェル１及び下側シ
ェル２により形成された凹部３３には、スプリング３１
の他端が係止されている。このため、スプリング３１の
弾発力により不使用時には、シャッター１２が所定位置
まで自動復帰するようになされている。尚、ケースに
は、シャッターの移動領域に対応する形で凹部１０，１
１が形成されると共に、ガイド溝１３の端部が所定位置
となるように設けられているため、凹部１０，１１の段
部とシャッター１２の縁部とが当接すると共に、ガイド
溝１３の端部とシャッター１２のガイド用の突起２６と
が当接する。このため、凹部１０及び１１の段部及びガ
イド溝１３の端部がストッパーとして機能し、シャッタ
ーの停止位置が規制される。

上述したストッパーとして機能するシャッター１２側の
ガイド用の突起２６とケース側のガイド溝１３の端部の
形状について第１図を参照して詳細に説明する。第１図
Ａは、ケースのＶ字状の切欠３７及びガイド溝１３の端
部近傍の拡大略線図である。また、第１図Ｂは、第１図
Ａにおける−′の位置の断面図であり、第１図Ｃ
は、第１図Ａにおける−′の位置の断面図である。

第１図に示すように、４１で示されるガイド用の突起２
６と下側シェル２のガイド溝１３の端部４１ｂとの当接
面となる係合部の形状が所定の形状とされている。つま
り、係合部４１の中心となる位置から下側シェル２の外
面に対して垂直となる基準面を想定した場合、この基準
面を越えて互いに突出すると共に、突起２６の先端部４
１ａの突出位置が必ず端部４１ｂの突出位置より下側シ
ェル２側となるように突起２６の先端部４１ａとガイド
溝１３の端部４１ｂとが設けられている。

例えば、第１図Ｂ及びＣに示すようにガイド用の突起２
６の先端部４１ａが下側シェル２側に向かう程突出する
ように角度を持った形状とされると共に、下側シェル２
のガイド溝１３の端部４１ｂがシャッター１２の下面板
２２側に向かう程突出するように角度を持った形状とさ
れている。

このため、スプリング３１の弾発力によりスライドする
シャッター１２（第１図Ａにいて二点鎖線で示す）の突
起２６の先端部４１ａがガイド溝１３の端部４１ｂに当
接する際には、シャッター１２の移動方向が外方に向か
ないように規制され、確実にシャッター１２の脱落が防
止される。

尚、この考案の一実施例においては、ガイド用の突起２
６の先端部４１ａ及びガイド溝１３の端部４１ｂの形状
に角度を持たせて互いに突出するようにした場合につい
て説明したが、ガイド溝１３の端部４１ｂに突部を設け
ると共に、端部４１ｂの突部の位置より下側シェル２側
の位置に先端部４１ａの突部を設けるようにしても良
い。

また、この考案の一実施例においては、ガイド用の一方
の突起２６にこの考案を適用した場合について説明した
が、ガイド用の他方の突起２７側にもこの考案を適用
し、シャッター１２を開く方向に力が加えられる際にお
いて発生するシャッターの脱落を防止するようにしても
良い。また、この考案の一実施例においては、１本のガ
イド溝１３内を２個のガイド用の突起２６，２７の両者
が案内される場合について説明したが、ガイド溝を突起
２６，２７の夫々の移動範囲に対応するように別に設
け、夫々の当接部に関してこの考案を適用するようにし
ても良い。つまり、シャッター１２の摺動時にガイド用
の突起と当接してストッパーとして機能する複数部分に
関してこの考案を夫々に適用することができる。

更に、この考案の一実施例においては、ガイド溝１３の
延設方向となる端部にこの考案を適用した場合について
説明したが、更にガイド溝１３の終端周辺の側面にも突
出形状を設け、一実施例で説明した突出形状とされたガ
イド用の突起２６の全体若しくはその一部を突出形状と
された側面の方向に更に折り曲げるようにしても良い。

尚、当然のことながら、磁気ディスクの他に光ディスク
やクリーニングディスク等を収納したディスクカートリ
ッジの場合におても、この考案を容易に適応することが
できる。

〔考案の効果〕

この考案では、ガイド用の突起とガイド溝の端部との係
合部の中心となる位置から下側シェルの外面に対して垂
直となる基準面を想定した場合、この基準面を越えて互
いに突出すると共に、ガイド用の突起の先端部の突出位
置が必ずガイド溝の端部の突出位置より下側シェル側と
なるようにガイド用の突起の先端部及びガイド溝の端部
が設けられている。このため、スプリングの弾発力によ
りスライドするシャッターの突起がガイド溝の端部に当
接する際には、シャッターの移動方向が外方に向かない
ように規制される。

従って、この考案に依れば、確実にシャッターの脱落が
防止され、例えば、不用意にディスクカートリッジを床
等に落としたりして強い衝撃等がシャッターに加えられ
た場合においても、シャッターが脱落することがない。
このため、この考案が適用されたディスクカートリッジ
は、信頼性が高く使い勝手の良いものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ，第１図Ｂ及び第１図Ｃはこの考案の一実施例
の説明に用いる図、第２図Ａ及び第２図Ｂはこの考案が
適用された磁気ディスクカセットの説明に用いる図、第
３図Ａ，第３図Ｂ及び第３図Ｃはこの考案の一実施例に
おけるシャッターの説明に用いる図、第４図はこの考案
が適用された磁気ディスクカセットの不使用状態の説明
に用いる図である。 図面における主要な符号の説明 １：上側シェル、２：下側シェル、 ３：磁気ディスク、 ８，９，１４，１５：ヘッド挿入用の開口、 １２：シャッター、１３：ガイド溝、 ２６，２７：ガイド用の突起、 ４１：係合部、 ４１ａ：ガイド用の突起の先端部、 ４１ｂ：ガイド溝の端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ディスクを内部に収納し、縁部に沿ってガ
   イド溝が形成されたケースと、上記ガイド溝により案内
   される突起が設けられ、挿入方向の一端面にスライドし
   て上記ケースに設けられたヘッド挿入窓を開閉するシャ
   ッターとを有し、上記シャッターが閉状態にある時に、
   バネによって上記ガイド溝の端部に上記突起が押し付け
   られるディスクカートリッジにおいて、 上記シャッターの突起の上記ガイド溝の端部と対向する
   面に設けられた先端部が上記ガイド溝の端部に乗り上げ
   ることを防止する係合部を上記突起の対向面の先端部と
   上記ケースのガイド溝の端部に設けたことを特徴とする
   ディスクカートリッジ。