JP2547425B2 - トナー用樹脂の製造方法 - Google Patents

トナー用樹脂の製造方法

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JP2547425B2 JP62244199A JP24419987A JP2547425B2 JP 2547425 B2 JP2547425 B2 JP 2547425B2 JP 62244199 A JP62244199 A JP 62244199A JP 24419987 A JP24419987 A JP 24419987A JP 2547425 B2 JP2547425 B2 JP 2547425B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電子写真、静電記録、静電印刷などにおける
静電荷像を現像するために用いるトナー用樹脂の製造方
法に関する。
〔従来の技術〕
電子写真においては、近年処理する情報量の増大に伴
い、複写速度はますます増大する傾向にある。このた
め、高速複写時にはトナーが熱定着ロールから受ける熱
量が低速時に比べて小さい上に、複写用紙によって奪わ
れる熱量のために定着ロールの表面温度が著しく低下す
るため、より低熱量で定着でき、かつ当該定着温度にお
いてオフセツト現象を引き起こさない事が必要であり、
鮮明な画像を得るために、低温定着性、耐オフセツト性
のような熱溶融特性、およびトナーの高帯電性に着目
し、樹脂の改良が行われてきた。例えば特公昭55−6895
に記載されている、重量平均分子量/数平均分子量が3.
5〜40、数平均分子量が2,000〜30,000の樹脂を用いて耐
オフセツト性の良好なトナーを提供する方法、特開昭50
−144446に記載されている様な耐ブロツキング性および
耐オフセツト性良好なトナー中に少量のフタル酸ジエス
テル等の可塑剤を添加し、定着性を改良する方法、特開
昭49−101031に記載されている様な架橋された樹脂を用
いる事により定着温度範囲を広くし、比較的高温の定着
温度においてもオフセツト現象を起こさないトナーを用
いる方法が知られている。また、トナーの高帯電性を解
決する手段として、例えば特公昭58−40183に記載され
ているような、樹脂の構成単位として、メタクリル酸等
の脂肪族不飽和カルボン酸を用いる方法、特開昭59−93
457に記載されているような、含金属染料より成る荷電
制御剤をトナー成分として添加する事により高帯電性と
共に荷電安定性を附与する方法がある。
また、特開昭56−16144に記載されているような特定
の分子量の領域に分子量の極大値をもつ樹脂を用いるこ
とにより、定着性と耐衝撃性に優れた磁性トナーを供給
する方法がある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
前述したように複写速度の増大に伴って、熱定着ロー
ルから受ける熱量が低速時に比べて小さい上に、複写用
紙によって奪われる熱量により定着ロールの表面温度が
著しく低下するため、より低熱量で定着させる必要があ
る。ところが、低熱量で溶融させるためには、より低分
子で、かつ、より低ガラス転移温度(以下、Tgと略記す
る)であることが必要であるが、Tgを下げすきると、ブ
ロツキングを起こし、おのずと制約がある。より低分子
の方が溶融時の粘度が急激に低下し、低温での樹脂の流
動性が高くなり、かつ定着性は改善されると考えられる
が、低分子化しすぎるとTgが下がり、ブロツキングの問
題が派生する。
一方、複写速度の増大に伴う複写枚数の増加により画
像が鮮明であり、トナーの紙への定着が完全であると同
時に、複写された画像は最初の1枚目から数万枚に至る
まで、同じ品位であることが期待されている。しかしな
がら、従来のオフセツト性の改良および低温定着性の改
良は、紙ヘトナーが付着した後に発生する問題であり、
重要な条件ではあるが、その前に複写の枚数毎にトナー
が均一に、かつ、一定濃度で紙へ付着する必要があるこ
とについて考慮されていない。また、トナーの帯電性に
ついては、紙へ付着するトナーの量を決定する重要な因
子であり、画像濃度が制御される。しかしながら、例え
ば二成分系現像剤では摩擦帯電はトナーとキヤリヤーと
の摩擦により発生するため、トナーの一部破壊により微
粒の樹脂またはカーボンブラツクの如き、着色剤微粒子
粉末もしくはその凝集体粉末が分離する。該微粒子は、
トナーの粒子の粒子径および粒子の形状、樹脂と着色剤
の構成比、破壊でおこる樹脂の分子の切断による分子
量、等が供給したトナーと異なるために、帯電特性の異
なった挙動を示す。その結果、複写枚数の増加に伴い、
微粒子の飛散が発生し、複写機内部の汚染や、画像の背
景濃度が増大し、複写画像を同じ品位に保つことはでき
ない。
また、該微粒子はキヤリヤーに吸着し、摩擦帯電量が
変化するため、画像濃度が変化し複写の最初から一貫し
て同じ画像濃度を維持することはできない。前述の特公
昭56−16144の方法では、上記トナーの破壊が樹脂の硬
さが不足であることによるとして、分子量105〜2×106
に極大値を持つことを規定しているが、極大値を持つこ
とと硬さにどのような関係があるかはっきりしないのみ
ならず、この分子量領域に極大値があったとしても、そ
れがトナーの破壊防止の解決の決め手とはなっていな
い。
〔問題を解決するための手段〕
本発明者等は、上記の課題が着色剤と樹脂の加熱溶融
混練時の粘度が不足することにより、樹脂中での着色剤
の分散および着色剤の二次凝集体の分散が悪化し、複写
中の衝撃により樹脂と着色剤の界面付近で破壊が起き易
いと考え鋭意検討した結果、樹脂のMzを大きくしかつMz
/Mnを大きくすることにより、複写中のトナーの帯電量
の変化が10%以下になり、複写中に常に一定の品位の画
像が得られると同時に、オフセツト性の大幅な向上がみ
られることを見い出した。
更に、高温で重合した低分子重合体を混合し、脱溶剤
したものは、定着性も大巾に改善されることを見いだし
た。
一般に、上記のような、Mzの大きい高分子重合体と、
低分子重合体とを含む樹脂の製造方法は、溶液重合法に
より溶剤と重合開始剤の存在下において、低温で重合速
度を低下させて重合し、Z平均分子量の大きな高分子重
合体を製造した後、高温で多量の重合開始剤存在下溶液
重合を継続して得られる。しかしこの方法では、低温重
合で十分な量の高分子重合体を得るためには反応に長時
間要し、生産性を損なう。
より好ましい方法としては、ビニル系単量体を60〜14
0℃の温度で高重合率までバルク重合法による重合を行
った後に、溶剤と重合開始剤を添加し、溶液重合法によ
り低分子重合体を共存させる二段重合法が挙げられる。
また高分子の分子量を大きくする目的では、懸濁重合
法や乳化重合法が一般的に用いられる。しかしながら、
重合時に使用する乳化剤や分散剤が、分散媒の水と重合
体粒子の両方に共存するため、乳化剤や分散剤の除去を
十分に行うことが難しく、さらにこれらの不純物の除去
量を一定にすることが難しい。
それ故、トナー結着剤として用いた時には環境湿度の
影響を著しく受け、本発明の目的とする長時間の連続複
写中に帯電量変化を少なくし、複写中に常に一定の品質
を得ることが困難である。
本発明者はさらに検討を進め、バルク重合法と溶液重
合法により、ゲルのような架橋構造重合体を含有せず、
Mz/Mnを大きくする方法について検討した結果、ビニル
系単量体を重合率が30〜90重量%までは60〜140℃の温
度でバルク重合を行い、ついで溶剤と重合開始剤を添加
し、溶液重合により反応を継続する二段重合法によって
得られるZ平均分子量が400,000以上の高分子重合体と
低分子重合体とを溶液状態で混合して得られる樹脂組成
物がかかる目的に好適であることを見出した。
即ち、本発明は、ビニル系単量体を60〜150℃に加熱
して重合率30〜90重量%までバルク重合を行い、次いで
溶媒を加えて反応液を減粘させたのち、60〜150℃で溶
液重合して得られる高分子重合体固形分30〜70重量部
と、スチレン系ビニル単量体を温度190〜230℃溶液状で
重合させて得られる低分子重合体固形分70〜30重量部と
を混合し、脱溶剤させることを特徴とする数平均分子量
(Mn)が2,000〜15,000Z平均分子量(Mz)が400,000以
上でMz/Mnが50〜600であるトナー用樹脂の製造方法であ
る。
本発明におけるビニル系単量体とは、たとえばアクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、
アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シ
クロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステア
リル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フルフリル、ア
クリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ヒドロキ
シエチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ジ
メチルアミノメチルエステル、アクリル酸ジメチルアミ
ノエチルエステル等のアクリル酸エステル類、メタアク
リル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸
プロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸オク
チル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ステア
リル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸
ベンジル、メタアクリル酸フルフリル、メタアクリル酸
テトラヒドロフルフリル、メタアクリル酸ヒドロキシエ
チル、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル、メタアクリ
ル酸ヒドロキシブチル、メタアクリル酸ジメチルアミノ
メチルエステル、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル
エステル等のメタアクリル酸エステル類、ビニルトルエ
ン、α・メチルスチレン、クロルスチレン、スチレン等
の芳香族ビニル単量体、マレイン酸ジブチル、マレイン
酸ジオクチル、フマール酸ジブチル、フマール酸ジオク
チル等の不飽和二塩基酸ジアルキルエステル類、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、アク
リロニトリル、メタアクリロニトリル等の含窒素ビニル
単量体、アクリル酸、メタアクリル酸、ケイヒ酸等の不
飽和カルボン酸類、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
ール酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、マレイン
酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノ
ブチル、マレイン酸モノオクチル、フマール酸モノメチ
ル、フマール酸モノエチル、フマール酸モノブチル、フ
マール酸モノオクチル等の不飽和ジカルボン酸モノエス
テル類、スチレンスルホン酸、アクリルアミド、メタク
リルアミド、N置換アクリルアミド、N置換メタクリル
アミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸等であり、
これらの単量体の少なくとも1種が用いられる。これら
の中で特にアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステ
ル類、スチレン、フマール酸ジアルキルエステル類、ア
クリロニトリル、メタクリル酸、ケイヒ酸、フマール酸
モノエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等
が好ましい。
また、本発明におけるスチレン系ビニル単量体とは、
スチレン、α−メチルスチレン、o,m,pメチルスチレ
ン、ビニルトルエン、クロルスチレン等のスチレン系単
量体を主成分とし、必要に応じて上記ビニル単量体を共
重合させることができる。これらスチレン系ビニル単量
体の中で特にスチレン単独またはスチレンとメタクリル
酸および/またはメタクリル酸メチルを用いることが好
ましい。
本発明では、上記ビニル単量体を用いて高分子重合体
を製造するにあたり、60〜150℃の温度でバルク重合を
行い、その後溶剤と重合開始剤を添加し、溶液重合によ
り、反応を完結させる二段重合法をとるものであるが、
得られる重合体のMzはバルク重合における重合率に大き
く支配される。本発明者らの検討では、60〜80℃で重合
開始剤を微量分割添加してもよいが、長時間かかり生産
性が悪い。反応温度80〜150℃で重合開始剤を用いず、
熱重合することにより、好ましい結果が得られる。
バルク重合における重合率は、通常30〜90重量%、よ
り好ましくは35〜85重量%で良好な結果が得られた。30
重量%未満では十分に大きなMzを得ることができず、90
重量%を越えるとMzの増大は飽和し、生産上は高粘度の
ため取扱いにくくなる。
バルク重合の反応停止は一旦冷却するか、冷溶剤を添
加することによっても達せられる。その後の溶液重合は
溶剤としてはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、オ
ルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、キユメン
等の芳香族炭化水素の中から単独または組み合わせて使
用するが、他の溶剤を選んで分子量の調節を行うことも
可能である。
溶液重合は、通常反応温度80〜150℃で行うが、分子
量の調節のためこの範囲外で行うこともできる。溶液重
合は、溶剤に均一混合した重合開始剤を1〜20時間かけ
て連続的に、または分割で添加して行われるが、分割に
よる添加は重合開始剤濃度の変化が大きく、分子量の再
現性に乏しくなるため、連続添加する方法が好ましい。
使用される重合開始剤は、通常、ラジカル重合開始剤と
して使用可能なものはすべて使用することができ、例え
ば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビ
ス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2′−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2′−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメ
チル−2,2′−アゾビスイソブチレート、1,1′−アゾビ
ス(1−シクロヘキサンカーボニトリル)、2−(カー
バモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2′−アゾビ
ス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フエニルアゾ
−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2′
−アゾビス(2−メチル−プロパン)などのアゾ系開始
剤、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセ
トンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイト
などのケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2−
2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオ
キシケタール類、t−ブチルハイドロパーオキサイド、
クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオ
キサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチ
ルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サン、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロ
ピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキサイド類、イ
ソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイ
ド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ
イド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオ
キサイドなどのジアシルパーオキサイド類、ジ−イソプ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキ
シルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパー
オキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオ
キシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキ
シジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチ
ル)パーオキシカーボネートなどのパーオキシジカーボ
ネート類、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキ
サイドなどのスルフオニルパーオキサイド類、t−ブチ
ルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブ
チレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、ク
ルミパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキ
シ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラ
ウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブ
チルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブ
チルジパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエス
テル類等が例示できるが、その種類、量は反応温度、バ
ルク重合の重合率により適宜選んで使用でき、通常仕込
単量体100重量部当たり0.01〜10重量部使用される。
これまで述べた方法により、溶剤可溶で、かつゲル体
を含まないMzの大きな高分子重合体を製造することが可
能であるが、さらに超高分子量化するには、バルク重合
終了時もしくは、溶液重合時に仕込全単量体100重量部
当たり0.01〜1重量部のジビニル化合物を添加し、反応
することによりジビニル化合物による3次元架橋反応を
伴うことなく、溶剤可溶のままMzを増大できる。ここで
用いられるジビニル化合物は、前記エチレン系不飽和単
量体と共重合可能な化合物が使用可能で、例えばジビニ
ルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジアクリレー
ト、(ポリ)エチレングリコールジメタアクリレート等
が使用できる。使用量は多いほどMzの増大効果が大きい
が、1重量部を越えるとゲル体と思われる不溶解分が生
じ、好ましくない。
さらにMzを増大させる別の手段としては、使用するビ
ニル系単量体100重量部のうち、1〜15重量部のメタク
リル酸を用いることにより達成される。メタクリル酸は
バルク重合で用いる必要があり、メタクリル酸を用いな
いバルク重合終了後にメタクリル酸を追加添加し、溶液
重合を行ってもMzの増大はみられない。また、メタクリ
ル酸以外の例えば、アクリル酸、マレイン酸、マレイン
酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアル
キルエステルでは重合体の不溶化がおこるかまたは効果
がみられず、メタクリル酸であることが必要である。メ
タクリル酸は1〜15重量部使用され、1重量部未満では
Mzの増大の効果が小さく、15重量部を越えて使用する
と、溶剤不溶分の析出が起こり好ましくない。
以上のようにして製造された高分子重合体は、いずれ
もMzは400,000を越えており、トナー製造時の加熱混練
時の粘度は十分なものとなるが、同時に低エネルギー定
着を実現するためには、加熱時に溶融しやすくする必要
がある。本発明者等は、これらの解決が上記方法で得ら
れたMzの大きな高分子量重合体とMnが1,000〜5,000の低
分子量重合体を該混合物のMnが2,000〜10,000で、か
つ、Mz/Mnが50〜600となるように溶液状態で混合するこ
とがより好ましいことを見出した。
本発明における低分子重合体の製造方法は、トナー用
樹脂組成物の低温での熱溶融性を得るために、温度190
〜230℃、溶液状で重合して得られる数平均分子量1,000
〜5,000、ガラス転移温度が40〜75℃である低分子重合
体が好ましく、特に1,500〜2,800であることが好まし
い。重合温度が190℃未満では低分子量の重合体を得る
ことができず、トナーの定着性が悪化して好ましくな
く、230℃を越えると単量体の熱反応物と思われるオリ
ゴマーが比較的多量に副生し、トナーの耐ブロツキング
性が低下して好ましくない。重合温度が190℃未満でも
重合開始剤を多量に用いるとか、溶剤または連鎖移動剤
を多量に用いることにより、低分子量のものが得られる
が、重合開始剤残渣が多量に残ると脱溶剤時に除去でき
にくくなり、摩擦帯電特性がバラツキの原因となり易
く、また溶剤を多量に用いると生産性が大巾に悪化す
る。また、連鎖移動剤を多量に用いると、臭気の問題、
腐蝕の問題等が起こり、好ましくなく、低重合開始剤量
でかつ高温での低分子量体がトナー用樹脂組成物とし
て、電気的に安定なものが得られ、好適である。
本発明における高分子重合体と低分子重合体との混合
比率は固形分として高分子重合体が30〜70重量部と低分
子重合体が70〜30重量部である。高分子の重合体の比率
が30重量部未満にあっては十分に大きなMzを得ることが
できず、着色剤の分散が不十分となり、帯電量の変化が
大きく、と同時にオフセツト性も不十分となる。逆に高
分子の重合体の比率が70重量部より大きい場合は熱溶融
性が悪くなり、定着性が悪化する。また高分子重合体と
低分子重合体の混合方法は、それぞれの重合体が同一ま
たは互いに相溶性のある溶剤に溶解した状態での、例え
ば撹拌等による混合によって達せられる。また、これら
の混合溶液は高温に加熱されたのち真空系にフラツシユ
することによって、溶剤、未反応モノマー、重合開始剤
の残渣等が急激に気化し、発泡して分離する。それと同
時に、更に均質になるよう混合される。
かくして得られた低分子重合体と高分子重合体との重
合体混合物は、低温での熱溶融性を得るためにMnは2,00
0〜15,000であることが必要であり、特に2,000〜10,000
が好ましい。2,000未満では混練時の粘度低下のため着
色剤の分散性が悪化し、15,000を超えると定着性が悪化
する。
また、Z平均分子量はもっとも重要な因子である。即
ちMzは最も良く高分子量側のテーリング部における分子
量の大きさと量を表し、これがトナーの性質に大きな影
響を及ぼす。Mzが大きい程樹脂強度が増大し、さらに熱
混練時の粘度が増大し、着色剤の分散性が改善され、複
写中の帯電量の変化が小さくなり、複写中の画像濃度が
一定で、飛散のトラブルにより画像下地が汚れるいわゆ
るカブリも少ないことが判明した。このような効果を得
るためのMzは400,000特に好ましくは500,000以上であ
る。
また溶融混練時の混練温度で溶融し易くかつ粘度が高
いことも必須要件であり、溶融性が良く溶融粘度を上げ
るため、Mz/Mnは50〜600であり、特に70〜600が好まし
い。このように樹脂として好ましいのは分子量が低分子
からMzを大きくする超高分子領域まで幅広く広がってい
るものであり、Mz/Mnが50未満では熱溶融性が悪化し複
写適性が悉く悪化する。一方、600付近でも特性が向上
していることを考えると、600を超えたものでも同様の
効果があるものと考えられるが製造が困難である。
本発明のトナーは、主に粉末状の乾式トナーでその主
成分である上記重合体混合物は、常温で固体であること
が必要であり、かつ長時間放置によりケーキングを起こ
さないことが必要である。かかる観点より上記の重合体
混合物のガラス転移点は好ましくは40℃以上、更に好ま
しくは50℃以上である。また、低温定着性の観点よりで
きるだけ低温で軟化することが好ましく、この観点より
ガラス転移点は90℃以下、更に80℃以下であることが好
ましい。
本発明の樹脂は必要に応じて本発明の効果を阻害しな
い範囲に於いて、例えばポリ塩化ビニール、ポリ酢酸ビ
ニール、ポリオレフイン、ポリエステル、ポリビニール
ブチラール、ポリウレタン、ポリアミド、ロジン、変性
ロジン、テルペン樹脂、フエノール樹脂、脂肪族炭化水
素樹脂、芳香族石油樹脂、パラフインワツクス、ポリオ
レフインワツクス等を一部使用しても良い。
本発明において使用する着色剤としては、例えばカー
ボンブラツク、アセチレンブラツク、ランプブラツク、
マグネタイト等の黒色顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、ハンザ
イエローG、キノリンイエローレーキ、パーマネントイ
エローNCG、モリブデンオレンジ、バルカンオレンジ、
インダンスレン、ブリリアントオレンジGK、ベンガラ、
ブリリアントカーミン6B、フリザリンレーキ、メチルバ
イオレツトレーキ、フアストバイオレツトB、コバルト
ブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブル
ー、フアーストスカイブルー、ピグメントグリーンB、
マラカイトグレーンレーキ、酸化チタン、亜鉛華等の公
知の有機顔料が挙げられる。これらの添加物の量は通
常、樹脂100重量部に対して5〜250重量部である。
本発明のトナー組成物は、例えばニグロシン、含金属
アゾ染料を始めとする公知の荷電調整剤および顔料分散
剤、オフセツト防止剤等を適宜選択して添加し、公知の
方法でトナーとすることが出来る。即ち、上記各種添加
剤を加えた樹脂混合物は、粉末状でプレミツクスした
後、ホツトロール、バンバリーミキサー、押出機等の混
練機で加熱溶融状態で混練し、冷却後微細粉砕機を用い
て微粉砕し、更に空気式分級器により分級し、通常8〜
20μの範囲の粒子を集めてトナーとする。
〔実 施 例〕
以下、実施例を示し、本発明を更に具体的に説明す
る。なお具体的な説明がない限り、単位は重量部または
重量%である。
またGCPによるZ平均分子量(Mz)、重量平均分子量
(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定は下記の条件に
よって測定した。
G.P.C.装置:JASCO TWINCLE HPLC DETECTOR:SHODEX RI−SE−31 COLUMNE:SHODEX GPCA−80M×2 +KF−802×1 溶 媒:テトラヒドロフラン(THF) 流 速:1.2ml/min 試 料:0.25%THF溶液 実施例 1 窒素置換したフラスコにビニル単量体としてスチレン
72部とアクリル酸ブチル28部を仕込み、内温120℃に昇
温後、同温度に保ち、バルグ重合を10時間行った。この
時の重合率は55%であった。ついで、キシレン30部を加
え、あらかじめ混合溶解しておいたジブチルパーオキサ
イドの0.1部とキシレン50部を130℃に保ちながら8時間
かけて連続添加し、その後1時間反応を継続して重合を
終了した。得られた高分子重合体をA−1とした。
次に、スチレン70部とキシレンとエチルベンゼンの混
合溶媒30部からなる混合溶液にスチレン100モル当たり
0.5モルのジ−t−ブチルパーオキサイドを均一に溶解
したものを、反応器内温210℃、内圧6kg/cm2、排出口温
度100℃の条件を保持しながら、750c.c./hrで連続的に
供給して重合した。
得られた低分子スチレン重合体の重合率は重量で99.5
%であり、その分子量を単分散標準ポリスチレンをスタ
ンダードサンプルとしたゲルバーミエーシヨンクロマト
グラフイーを用いてテトラハイドロフランを溶離液とし
て測定したところ数平均分子量は2,100であった。
また、別途溶媒を除去した固形の重合体(A−2)を
示差走査熱量計を用いてアルミナをリフアレンスとして
測定したTgは70℃であった。
上記の溶媒を除去した低分子スチレン重合体(A−
2)50部と、前記高分子重合体A−1を90部(固形分と
して50部)とを混合し、200℃に加熱したのち、10mmHg
の真空系にフラツシヱさせることにより溶媒を除去し
た。得られたもののMnは2,800、Mzは652,000Mz/Mn=233
であった。またTg=57℃であった。
実施例 2,3. 実施例1において低分子スチレン重合体の重合温度を
190℃および230℃とした以外はまったく実施例1と同様
にして低分子重合体と高分子重合体の混合物を得た。こ
のものの分子量およびTgを表−1に示した。
比較例 1,2. 実施例1において低分子スチレン重合体の重合温度を
170℃および240℃とした以外はまったく実施例1と同様
にして低分子重合体と高分子重合体の混合物を得た。得
られたものの分子量およびTgについて表−1に示した。
実施例 4. キシレン100部をフラスコに仕込み、還流下(約140
℃)でスチレン90部、ブチルアクリレート10部、AIBNを
8部の混合液を10時間かけて連続滴下し、その後2時間
重合を継続して、低分子スチレン系重合体を得た。次い
で溶媒を除去して固形の低分子重合体(B−2)を得
た。
実施例1において、低分子重合体(A−2)のかわり
に上記低分子重合体(B−2)を用いた外は、実施例1
とまったく同様にして低分子重合体と高分子重合体との
混合物を得た。得られたものの分子量及びTgについて表
−1に示した。
比較例 3. 実施例1において低分子スチレン重合体(A−2)を
80部と高分子重合体溶液(A−1)を36部(固形分とし
て20部)とを混合した以外は全く実施例1と同様にして
低分子重合体と高分子重合体との混合物を得た。得られ
たものの分子量およびTgについて表−1に示した。
実施例 5. 実施例1における高分子重合体の製造において、バル
ク重合終了後キシレン30部を加え、あらかじめ混合溶解
しておいたジ−t−ブチルパーオキサイド0.1部、キシ
レン50部に架橋剤としてテトラエチレングリコールジメ
タクリレート0.3部を別途加えた外は実施例1と全く同
様にして高分子重合体(B−1)を得た。あとは実施例
1とまったく同様にして低分子重合体と高分子重合体の
混合物を得た。得られたものの分子量およびTgについて
表−1に示した。
〔発明の効果〕 本発明の実施例によって得られた、樹脂組成物を用い
て、下記の方法でトナーを製造し、市販の複写機を改造
して、トナーとしての評価を行ない結果を表−1に示し
たが、本発明のトナー用樹脂組成物は極めて優れた複写
適性を有することが明らかである。
(トナー製造例) 樹脂100部と着色剤としてカーボンブラツク(MA−10
0:三菱化成製)10部、ポリプロピレンワツクス3部、荷
電調節剤としてスピロンブラツクTRH0.5〜2部をヘンシ
エルミキサーにて混合、2軸押出機140℃(入口)〜150
℃(出口)で溶融混練後、冷却、粗砕、ジエツトミルに
よる微粉砕、風力分級を行って、粒子径を8〜20μm
(平均11.5μm)のトナーを製造した。この後ヘンシエ
ルミキサーにて0.15部のコロイダルシリカを添加し混合
して試験に供した。
荷電調節剤の量はEP870用キヤリヤ95部に対し、トナ
ー5部をVブレンダーにより30分間混合した後のブロー
帯電量が−15μC/gとなるように量を調節した。
(トナーとしての評価) さらに、複写適性はテフロン熱ロールを用いた電子写
真複写機EP870(ミノルタカメラ(株)製)を使用して
下記の条件にて行った。
定着性: コピーしたベタ黒部分と白地の間を消ゴム((株)ト
ンボ鉛筆社製プラスチツク消ゴム″MONO″)により、一
定の力で20回往復させ、ベタ黒部分のトナーの脱落およ
び白地部分への汚れを観察し、◎(全く脱落しない)、
○(良好)、△(やや脱落する)、×(脱落、汚れ多く
不良)で判定した。
下地汚れ: 連続コピーにおける100枚目と10,000枚目の白地部分
を比較し、飛散等の影響により白地部分の汚れがひどく
なっている程度で、○(良)、△(倍率30倍の拡大鏡で
汚れが確認できる)、×(肉眼で汚れが確認できる)で
判定した。
オフセツト性: 定着ロール側にトナーが一部付着し、ロールが一回転
後に更に紙の地肌部分に付着して紙をよごす現象をオフ
セツトと称し、10,000枚の連続コピーの間中この現象を
起こさないものを○とし、起こすものを×とした。
耐ブロツキング性: 耐ブロツキング性は温度55℃で、相対湿度80%の条件
下に8時間放置した後の凝集の程度で判定した。
◎;全く凝集していない。
○;一部凝集しているが簡単にほぐれる。
△;一部団塊化している。
×;全体が団塊化している。
帯電量変化: 連続コピーにおける100枚目と10,000枚目におけるト
リボ帯電量を下記計算式の比率(絶対値)で表し、 この比率が10(%)以内を良好と判定した。
着色剤分散性: 250〜300℃のホツトプレート上にスライドグラスを置
き、少量のトナーをのせ溶融させると同時に上からカバ
ーグラスをのせ、上部から一定圧で60秒圧着し、ホツト
プレート上からはずして空冷する。その後、透過型の光
学顕微鏡により400〜1,000倍で観察し、着色剤の分散性
を判定する。どの視野においても着色剤の未分散体、凝
集体が観察されないものを○とし、未分散体、凝集体が
多く観察されるものを×とした。
ベタ部再現性: 複写開始から100枚目の複写物のベタ黒部分の光沢ム
ラを観察し、ムラの少ないものを○、ムラのやや多いも
のを△、ムラの目立つものを×として判定した。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニル系単量体を60〜150℃に加熱して重
    合率30〜90重量パーセントまでバルク重合を行い、次い
    で溶媒を加えて反応液を減粘させたのち、90〜150℃で
    溶液重合して得られる高分子重合体固形分30〜70重量部
    と、スチレン系ビニル単量体を温度190〜230℃、溶液状
    で重合させて得られる低分子重合体固形分70〜30重量部
    とを混合し、脱溶剤させることを特徴とする数平均分子
    量(Mn)が2,000〜15,000、Z平均分子量(Mz)が400,0
    00以上で、Mz/Mnが50〜600であるトナー用樹脂の製造方
    法。
  2. 【請求項2】低分子重合体と高分子重合体との混合液を
    真空フラツシングにより脱溶媒する特許請求の範囲第1
    項記載の製造方法。
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