JP2547137B2 - リチウム二次電池用正極活物質並にその製造法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質並にその製造法

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JP2547137B2 JP3279050A JP27905091A JP2547137B2 JP 2547137 B2 JP2547137 B2 JP 2547137B2 JP 3279050 A JP3279050 A JP 3279050A JP 27905091 A JP27905091 A JP 27905091A JP 2547137 B2 JP2547137 B2 JP 2547137B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リチウム二次電池用正
極活物質並にその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池用正極活物質として、
種々の金属酸化物や硫化物が着目されているが、そのな
かで得られる電気容量の大きさ(mAh/g)、リチウ
ムと組み合わせた場合の電池電圧の高さ、また特に、そ
の原料の豊富さ、コストの安さという点からMnO
注目され、以前から、実用化に向けて種々の検討がなさ
れている。しかし、このMnOを単独で、リチウム二
次電池用正極活物質として用いた場合、充放電を繰り返
すと早期に結晶構造が破壊され、リチウムイオンの結晶
格子内への出入りに対して、可逆性がなくなり、遂には
容量が得られなくなる。このため、MnO単独での使
用は困難で改善が必要となった。MnOをリチウム二
次電池用正極活物質として改質する方法のひとつとし
て、リチウムをMnO中に含有させ、結晶格子内のリ
チウムイオンを容易に拡散し易いように、直線的に拡が
るトンネルと二次元的に拡がる層をもつMn−Li合成
物が提案された。その代表例は、MnO−30〜50
mol%LiOH・HOであり、これにより、充放電
サイクル特性が改善されることが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、上記のMn
−Li合成物をリチウム二次電池用正極活物質として使
用し、一定電圧範囲内で充放電を繰り返すサイクル試験
を実施した場合、非常に浅い放電(放電終止電圧が2.
5V)においては、長期に亘り、容量低下は起り難い
が、それよりも深い放電、例えば、放電終止電圧が2.
0Vの放電においては、充放電サイクルの早期から容量
低下が大きく、早期に寿命に達してしまうので、リチウ
ム二次電池実用化のための大きな障害となっている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、種々試験研究
の結果、上記従来のMn−Li合成物の上記の充放電サ
イクル特性を改善し、深い放電においても安定した充放
電特性を示し、サイクル寿命を著しく延長し得るリチウ
ム二次電池用正極活物質を提供するもので、マンガン酸
化物にリチウムを含有せしめて成るMn−Li合成物か
ら成るリチウム二次電池用正極活物質において、マンガ
ンの一部を周期表6A族に属するMo,Wから選ばれた
少なくとも1種の元素と同表3B族に属するB,Al,
Ga,Inから選ばれた少なくとも1種の元素で置換し
て成る。更に本発明は、上記の本発明のリチウム二次電
池用正極活物質の製造法を提供するもので、マンガン酸
化物とリチウム原料と周期表6A族に属するMo,Wか
ら選ばれた少なくとも1種の元素原料と同表3B族に属
するB,Al,Ga,Inから選ばれた少なくとも1種
の元素原料とを、目的化学量論量で夫々精秤し、混合し
たものを、加熱拡散処理することを特徴とする。
【0005】
【作用】本発明のMn−Li系合成物は、マンガン酸化
物のマンガンの1部を周期表6A族に属するMo,Wか
ら選んだ少なくとも1種の元素の酸化物と同表3B族に
属するB,Al,Ga,Inから選んだ少なくとも1種
の元素の酸化物との異種の元素の複合酸化物で置換する
ことにより、例えば、図3に明示したように、充放電サ
イクル特性において著しい効果をもたらす。その理由は
明らかでないが、マンガン酸化物のマンガンの1部を、
上記の異種の元素の酸化物で置換して三元複合酸化物が
構成される、例えば、Mn−Mo−Gaから成る三元複
合酸化物に合成され且つLiOH・HOを含有するM
n−Li系合成物は、リチウムイオンが極めて拡散しや
すい結晶構造をとり、又、充放電サイクルの繰り返しに
対しても容易に破壊されず、極めて安定した結晶構造を
とるものと考えられる。この場合、Moの酸化物とGa
の酸化物がMoO及びGaの場合、MnO
対するその夫々の置換量は、(MnO−Xmol%M
oO−Ymol%Ga)−30mol%LiO
H・HOの組成を有するリチウム二次電池用正極活物
質において、0<X≦7.5、0<Y≦7.5、0<X
+Y≦9.5の範囲においてリチウム二次電池の充放電
サイクル特性の向上を確実にもたらす。又、マンガン酸
化物のマンガンの一部をMo元素の酸化物とB元素の酸
化物との異種元素の複合酸化物で置換し本発明のMn−
Li系化合物を得る場合、(MnO−Xmol%Mo
−Ymol%B)−Zmol%LiOH・H
Oの組成を有し、そのX,Y,Zの置換量が夫々0<
X<10、0<Y<10、X+Y≦10、15
0の範囲において、リチウム二次電池の充放電サイクル
特性の向上を確実にもたらす。その理由は明らかでない
が、上記の夫々の組成における夫々の置換量の範囲内
で、リチウムイオンが極めて拡散し易い結晶構造をと
り、又、充放電サイクルの繰り返しに対しても容易に破
壊されず、極めて安定した結晶構造をとるものと考えら
れる。又、本発明の上記の製造法によれば、目的とする
結晶の効果を有する上記の本発明のMn−Li系合成物
から成るリチウム二次電池用正極活物質が得られる。
【0006】
【実施例】次に、本発明の実施例を詳述する。本発明の
Mn−Li系合成物から成るリチウム二次電池用正極活
物質は、代表例として、従来のMnO−30〜50m
ol%LiOH・HOの結晶構造を改善するため、そ
のマンガンの1部を、周期表6A族に属するMo,Wか
ら選んだ少なくとも1種の元素と同表3B族に属する
B,Al,Ga,Inより選んだ少なくとも1種の元素
とで置換して成るものである。例えば、(MnO
2.5mol%MoO−2.5mol%Ga
−30mol%LiOH・HOから成るMn−Li系
合成物とする。次に、この合成物を代表例として本発明
の製造法の1例とこれにより得られたMn−Li系合成
物をリチウム二次電池の正極として使用したときのサイ
クル特性につき、比較例と共に詳述し、その特徴を明ら
かにする。
【0007】上記の目的とするMn−Li合成物、即
ち、リチウム二次電池用正極活物質を製造するべく、次
のような原料を用意する。即ち、マンガン酸化物として
二酸化マンガンと、酸化物、水酸化物又は炭酸化物など
の任意の原料形態で、Mo原料、Ga原料及びLi原料
を夫々用意する。例えば、これらの原料として、MnO
、MoO、Ga、LiOH・HOを原料と
し、上記組成の所定のモル比から成る化合物を得るべ
く、その目的化学量論量のMnO、MoO、Ga
、LiOH・HOを精秤した後、これらの配合物
を、ボールミルで十分に粉砕し、その混合粉を得た。次
に、この混合粉を石英ボートに入れ、大気中で375℃
で48時間、加熱拡散し、本発明のリチウム二次電池用
正極活物質(MnO−2.5mol%MoO−2.
5mol%Ga)−30mol%LiOH・H
Oを得た。このものは、図1示のX線回パターンを示
す合成物であることを確認した。これを合成物Aと称す
る。
【0008】尚、別個に、比較のため、MoOを除い
た目的化学量論量のMnO、Ga、LioH・
Oを精秤した後、前記と同様に処理して、(MnO
−2.5mol%Ga)−30mol%LiO
H・HOから成るMn−Li系合成物を製造した。こ
れを合成物Bと称する。更に比較のため、Ga
除いた目的化学量論量のMnO、MoO、LiOH
・HOを精秤した後、前記の本発明の実施例と同様に
処理して、(MnO−2.5mol%MoO)−3
0mol%LiOH・HOから成るMn−Li系合成
物を製造した。これを合成物Cと称する。更に比較のた
め、Ga及びMoOを除いた目的化学量論量の
MnOとLiOH・HOを精秤し、前記と同様にし
て処理し、MnO−30mol%LiOH・HOか
ら成るMn−Li合成物を製造した。これは、換言すれ
ば、従来のMn−Li系リチウム二次電池用正極活物質
に相当する。これを合成物Dと称する。
【0009】上記のようにして得られた本発明の正極活
物質、即ち、合成物Aを用いて、下記の方法でセルを組
み立てた。該本発明正極活物質、即ち合成物Aにアセチ
レンブラック及びテフロンディスパージョンを夫々常法
に従い適当添加混合し、十分混練し、正極活物質合剤を
調製した後、乾燥、粉砕したものを、ステンレス製のエ
キスパンドメタルを直径36mmに打ち抜いた集電体と
共に直径36mm、厚さ0.4mmのペレット状にプレ
スし、正極を製造した。一方、厚さ0.75mmのリチ
ウムフォイルを直径36mmに打ち抜いて負極を製造
し、前記の正極とセパレータを介して相対向させて、テ
フロン製セル容器内に収納し、該対向両極間の空間部に
は、1Mの過塩素酸リチウムのプロピレンカーボネート
溶液から成る電解液を気液密に注入し、図2示のセルを
構成した。図2において、1はセル容器、2は本発明の
正極活物質、即ち合成物Aを用いた正極、3は負極、4
はセパレータ、5は電解液、6は負極用リード端子、7
は正極用リード端子を示す。同様にして、前記2つの比
較用正極活物質、即ち、合成物B及びC及び従来の正極
活物質、即ち、合成物Dを夫々用いて、前記と同様に正
極を製造し、この正極を用い、上記と同様にして比較用
セルと従来のセルを構成した。
【0010】次に、上記のように構成した4種類の正極
をもつ夫々のセルにつき、次のような充放電サイクル試
験を行った。即ち、各セルにつき、電流密度1.0mA
/cmで、電圧範囲3.8/2.0で充放電を繰
り返した。その結果を図3に示す。同図において、a
は、本発明により得られた上記合成物Aを正極活物質と
して用いた場合のサイクル特性曲線、bは、(MnO
−2.5mol%Ga)−30mol%LiOH
・HOから成る合成物Bを正極活物質として用いた場
合のサイクル特性曲線、cは、(MnO−2.5mo
l%MoO)−30mol%LiOH・HOから成
る合成物Cを正極活物質として用いた場合のサイクル特
性曲線、dは、MnO−30mol%LiOH・H
Oから成る合成物を正極活物質Dとして用いた場合のサ
イクル特性曲線を示す。
【0011】これらサイクル特性曲線から明らかなよう
に、Mnの1部をGaとMoで置換して成る四元複合酸
化物の結晶構造をもつ本発明の正極活物質は、深い放電
にも拘らず、Mo及びGaのいずれも含まない従来の正
極活物質に比し著しく充放電サイクル特性の優れた電池
をもたらすことが分る。又、Mnの1部をGa単独或い
はMo単独で置換せしめて成る複合酸化物の結晶構造を
もつ比較用合成物に比し、サイクル特性において、著し
く長期に亘り高い放電容量を維持することが分る。この
ことは、マンガン酸化物のMnの1部を、GaとMoの
両者で置換することにより、サイクル特性の著しい向上
をもたらす相乗効果があることを実証するものである。
結局、本発明の正極活物質を用いたセルは、充放電サイ
クルの繰り返しでも高い容量を長期に亘り維持し、長期
に亘り安定した充放電特性を示すサイクル寿命の向上し
たリチウム二次電池を構成することが分る。
【0012】上記の本発明の実施例では、上記組成(M
nO−2.5mol%MoO−2.5mol%Ga
)−30mol%LiOH・HOから成る本発
明の正極活物質でその効果を示したが、この組成中のM
oをWに換え且つGaをB,Al,Inのいずれでも上
記と同様の効果をもたらす。尚、この場合のMnO
対する夫々の元素の酸化物の置換量を適当に変えること
ができ、又、LiOH・HOの置換量も適当に変える
ことができ、各元素の酸化物、水酸化物の変態を適宜変
えることができる。
【0013】更に、(MnO−Xmol%MoO
Ymol%Ga)−30mol%LiOH・H
Oから成る組成を有する本発明の活物質において、Mn
に対するMoO及びGaの置換量と、電池
の充放電サイクル特性を検討した。その結果、0<X≦
7.5、0<Y≦7.5、0<X+Y≦9.5の条件を
満足する場合は、これを用いたリチウム二次電池は極め
て安定に作動し、且つその充放電サイクル寿命の向上を
もたらすことが多くの試験研究の結果確認された。上記
の好結果をもたらすその理由は明らかでないが、上記の
組成範囲内で両者を置換した場合、リチウムイオンが極
めて拡散し易い結晶構造をとり、又、充放電サイクルの
繰り返しに対しても容易に破壊されず、極めて安定した
結晶構造をとるものと考えられる。一方、両者の置換量
が、上記の組成範囲を越える場合では、リチウムイオン
が拡散しうる経路を、置換し得ないで残った過剰のM
o、Ga元素などの酸化物が、塞いだ形となり、リチウ
ムイオンの拡散が容易に行われ難くなり、その結果、電
池特性を損なっているものと考えられる。
【0014】以下に、上記のMoOとGaの置
換量を種々変えて製造した比較試験例により上記の特定
の範囲の置換量により有効であることを明らかにする。
【0015】上記の実施例と同様に、MnO、MoO
、Ga、LiOH・HOを原料とし、下記の
夫々の組成の所定のモル比から成る合成物、即ち、リチ
ウム二次電池用活物質を製造するべく、その目的化学量
論量のMnO、MoO、Ga、LiOH・H
Oを精秤した後、これらの配合物を使用し、先の実施
例と同様にして夫々置換量の異なるリチウム二次電池用
正極活物質を得た。即ち、これら配合物を石英ボートに
入れ、大気中で375℃で48時間加熱拡散し、夫々の
リチウム二次電池用正極活物質を得た。その夫々につい
て得られたX線回析パターンより、その夫々は合成物で
あることを確認した。
【0016】即ち、その夫々の合成物E乃至Nの組成は
次の通りである。(MnO−1.0mol%MoO
−1.0mol%Ga)−30mol%LiOH
・HOから成る合成物E、(MnO−5.0mol
%MoO−2.5mol%Ga)−30mol
%LiOH・HOから成る合成物F、(MnO
2.5mol%MoO−5.0mol%Ga
−30mol%LiOH・HOから成る合成物G、
(MnO−7.5mol%MoO−2.0mol%
Ga)−30mol%LiOH・HOから成る
合成物H、(MnO−2.0mol%MoO−7.
5mol%Ga)−30mol%LiOH・H
Oから成る合成物I、(MnO−7.5mol%Mo
−2.5mol%Ga)−30mol%Li
OH・HOから成る合成物J、(MnO−10.0
mol%MoO−2.5mol%Ga)−30
mol%LiOH・HOから成る合成物K、(MnO
−2.5mol%MoO−7.5mol%Ga
)−30mol%LiOH・HOから成る合成物
L、(MnO−5.0mol%MoO−5.0mo
l%Ga)−30mol%LiOH・HOから
成る合成物M及び(MnO−2.5mol%MoO
−10.0mol%Ga)−30mol%LiO
H・HOから成る合成物N。
【0017】上記の夫々の合成物E〜Nを用いて、上記
に詳述した本発明の合成物Aを用いて製造した場合と同
様にして図2示と同様の構成のセルを夫々製造し、その
夫々のセルにつき、先の合成物A,B,C,Dを正極と
してもつ夫々のセルにつき試験したと同様に充放電サイ
クル試験を行った。その結果を図4に示す、同図におい
て、e,f,g,h,i,j,k,l,m及びnは夫々
上記の合成物E,F,G,H,I,J,K,L,M及び
Nのサイクル特性曲線を示す。同図には、図3に示す
a,b,c,dの夫々のサイクル特性曲線を併せて示し
た。
【0018】該図4示の夫々のサイクル特性曲線から明
らかなように、MoO及びGaのMnOに対
し置換すべきモル比の合計量が10mol%を越えると
きは、そのサイクル寿命特性は、MnO単独を含む合
成物Cより劣ることが判る。多くの試験研究の結果、そ
の合計のmol%が9.5mol%以内であれば優れた
サイクル寿命特性をもたらすことが確認された。又、図
4に徴し、MoO 及びGaの夫々のMnO
対する置換量は7.5mol%以下であれば、従来の合
成物DはもとよりGa単独を用いた合成物B及び
MoO単独を用いた合成物Cの充放電サイクル寿命に
比し向上した充放電サイクル寿命の電池をもたらすこと
が判る。
【0019】更に、本発明の上記のMn−Li系合成物
として、マンガン酸化物MnOの一部を周期律表6A
属に属するMo元素の酸化物MoOと同表3B属に属
するB元素の酸化物Bとの異元素の複合酸化物で
置換したものについて、その夫々の置換量とこの夫々の
置換量をもつ合成物を用いて製造した正極を組み込んだ
リチウム二次電池の容量との関係を検討した。その結
果、MnOに対するMoOの置換量をXmol%、
の置換量をYmol%とすると、0<X<1
0、0<Y<10、X+Y<10の範囲において、特に
著しく高い容量を示し、又、電池の充放電サイクル寿命
の著しい向上をもたらすことが判った。
【0020】次にこれを、図5、図6、図7、図8を参
照し乍ら詳述する。MnOに対するMoOとB
の夫々の置換量を図6示のように変えて下記の各種M
n−Li系合成物O〜Yを下記の要領で製造した。即
ち、マンガン酸化物として二酸化マンガンと酸化物、水
酸化物又は炭酸化物などの任意の原料形態で、Mo原
料、B原料及びLi原料を夫々用意する。例えば、これ
らの原料として、MnOMoO 、B、Li
OH・HOを原料とし、MnOに対するB
MoOの置換量(モル比)を色々に変えた、但し、L
iOH・HOの置換量は30mol%の一定した下記
のMn−Li合成物O〜Yを製造するべく、夫々の目的
化学論量のMnOMoO 、B、LiOH・
Oを精秤した後、これらの配合物をボールミルにて
十分に精秤し、その混合粉を夫々得た。次に、その夫々
の混合粉を石英ボートに入れ、大気中で375℃で48
時間、加熱拡散し、下記のリチウム二次電池用正極活物
質を得た。而して、その夫々についてX線回を行い、
合成物であることを確認した。図5は、下記合成物Oの
X線回パターンを示す。夫々の合成物O〜Yの組成
は、下記の通りである (MnO−2.5mol%MoO−2.5mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物O、 (MnO−1.0mol%MoO−1.0mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物P、 (MnO−3.5mol%MoO−3.5mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物Q、 (MnO−1.0mol%MoO−4.0mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物R、 (MnO−4.0mol%MoO−1.0mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物S、 (MnO−4.5mol%MoO−4.5mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物T、 (MnO−1.0mol%MoO−6.0mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物U、 (MnO−6.0mol%MoO−1.0mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物V、 (MnO−6.0mol%MoO−6.0mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物W、 (MnO−3.0mol%MoO−9.0mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物X及び (MnO−9.0mol%MoO−3.0mol%
)−30mol%LiOH・HOから成る合
成物Y。
【0021】このようにして製造したMn−Li合成物
O〜Yの夫々を正極用活物質として用い、下記のように
リチウム二次電池を夫々製造した。即ち、各該合成物に
アセチレンブラック及びテフロンディスパージョンを添
加し、充分混練して正極活物質合剤を調製した後、乾
燥、粉砕したものを、ステンレス製のエキスパンドメタ
ルを直径36mmに打ち抜いた集電体と共に直径36m
m、厚さ0.4mmのペレット状にプレスし、正極を製
造した。一方、厚さ0.75mmのリチウムフォイルを
直径36mmに打ち抜き負極を製造し、前記の正極とセ
パレータを介して相対向させて、テフロン製セル容器内
に収納し、該対向両極間の空間部に、1Mの過塩素酸リ
チウムのプロピレンカーボネート溶液から成る電解液を
気液密に注入し、図2に示すと同様の構成を有するセル
を夫々構成した。
【0022】次に、上記のように構成した11種の合成
物O〜Yを正極に夫々もつ11種のセルにつき、次のよ
うなサイクル試験を行った。即ち、各セルにつき、電流
密度1.0mA/cmで、電圧範囲3.8/2.0
Vで充放電を繰り返した。そのとき得られた各合成物O
〜Yとこれを正極として用いたセルの容量との関係は、
図6、図7、図8に示す通りであった。この結果、合成
物O、即ち(MnO−2.5mol%MoO−2.
5mol%B)−30mol%LiOH・H
の組成をもつ正極活物質を正極としたセルが最大の容量
と最長の充放電サイクル寿命をもつことが判った。而し
て、この合成物Oを用いたときのセル容量を100%と
したとき、合成物P〜Yを夫々用いた夫々のセルの容量
比(%)は、図6及び図7に示す通りであった。即ち、
図6のように、合成物O,P,Q,R,Sを正極とした
場合のセルの容量比は90〜100%の範囲であり、合
成物T,U,Vを正極とした場合のセルの容量比は80
〜90%の範囲、合成物W,X,Yを正極としたセルの
容量比は80%以下であった。又、図8に示すように、
これら合成物O〜Yを正極とした夫々のセルの充放電サ
イクルに対するその容量維持率は、合成物O〜Sは、そ
の寿命曲線Iで示すように、250サイクルでも90%
以上の高容量を維持し、合成物T〜Vも又、その寿命曲
線IIで示すように、200サイクルでも80%以上の
高容量を維持したが、合成物W〜Yは、その寿命曲線I
IIで示すように、150サイクルで80%を維持でき
ないことが判った。
【0023】このように、上記の試験の結果と合成物O
〜Yの組成とを対比し、高容量を得るためには、合成物
O〜Vのように、MnOに対するMoOの置換量
(Xmol%)は、0<X<10、Bの置換量
(Ymol%)は、0<Y<10、の範囲であれば、電
池容量の増大が得られ、MoOの置換量が10mol
以上、Bの置換量が10mol%以上では高容
量が得られないことが判る。又、その他の多くの比較試
験の結果、MoOとBの合計の置換量は、0<
X+Y≦10、即ち、10mol%以下で高容量を維持
することが判った。
【0024】尚、上記の本発明のMn−Li系合成物O
〜Vにおいて、MnOの一部をMoOとB
上記の範囲の置換量で置換した複合酸化物に対し、Li
OH・HOの置換量は、30mol%(Li原子比L
i/Li+Mn+Mo+B=0.30)と一定量を配合
した組成物で試験したが、この置換量を種々に変えてそ
の夫々を正極としたセルを製造し、その容量の変化を調
べた所、図9に示す結果を得た。これから明らかな通
り、LiOH・HOの置換量が30mol%、即ち、
原子比(Li/Li+Mn+Mo+B)0.30である
とき最大のセル容量を示し、容量80%以上の高い容量
を維持するには、LiOH・HOの置換量が15%〜
50%(Li原子比0.15〜0.50)の範囲でなけ
ればならないことが判った。
【0025】かくして、要するに、MnOを主体と
し、これにMoOとBとLiOH・ とを
配合して高いセル容量を与える本発明のリチウム二次電
池用正極活物質の組成は、(MnO−Xmol%Mo
−Ymol%B)−Zmol%LiOH・H
O、但、0<X<10、0<Y<10、X+Y≦1
0、1550であることにより、高容量のリチウ
ム二次電池を確実にもたらすとの結論を得た。尚、各元
素の原料としては、その夫々の酸化物、炭酸塩水酸化物
等の種々の形態のものを用いることができる。
【0026】かゝる特定の置換量をもつ合成物、即ち、
正極活物質によりリチウム二次電池に高容量が得られる
理由は明らかでないが、かゝる範囲内で夫々の元素を置
換した場合、リチウムイオンが極めて拡散しやすい結晶
構造をとり、又、充放電サイクルの繰り返しに対しても
容易に破壊されず、極めて安定した結晶構造をとるもの
と考えられる。一方、上記の各置換量の範囲外である場
合は、特に過剰の場合は、リチウムイオンが拡散し得る
経路を置換し得ないで残った過剰のMo、B元素などの
酸化物が塞いだ形となり、リチウムイオンの拡散が容易
に行われ難くなり、その結果、電池特性を損なうものと
考えられる。
【0027】
【発明の効果】このように本発明によるときは、マンガ
ン酸化物にLiを含有せしめたMn−Li合成物から成
るリチウム二次電池用正極活物質において、そのマンガ
ンの1部を、周期表6A族に属するMo,Wから選ばれ
た少なくとも1種の元素と同表3B族に属するB,A
l,Ga,Inから選ばれた少なくとも1種の元素で置
換せしめて、これらの複合酸化物から成るMn−Li系
合成物をリチウム二次電池用正極活物質としたので、従
来の此種正極活物質に比しリチウム二次電池の充放電サ
イクル特性を著しく向上せしめることができ、長寿命の
電池を提供し得る効果を有する。本発明の上記の正極活
物質としては、そのMn−Li合成物において、そのマ
ンガン酸化物の1部を周期表の前記2つの族に属する夫
々の元素の酸化物で置換して三元複合酸化物で構成され
る結晶構造をもつMn−Li系合成物とすることが、上
記の効果を奏する上で好ましい。又、本発明の上記の正
極活物質は、マンガン酸化物とリチウム原料と周期表6
A族に属するMo,Wの少なくとも1種の元素原料と同
表3B族に夫々属するB,Al,Ga,Inから選んだ
少なくとも1種の元素原料とを、目的化学量論量で夫々
精秤し、混合したものを加熱拡散処理するときは、上記
の本発明の正極活物質が合成される効果を有する。而し
て、上記の本発明の上記正極活物質において、特に、
(MnO−Xmol%MoO−Ymol%Ga
)−30mol%LiOH・HOから成る組成の合
成物を製造する場合、MnOに対するMoO及びG
の置換量を0<X≦7.5、0<Y≦7.5、
0<X+Y≦9.5の条件で配合した夫々のMn−Li
系合成物とするとき、又特に、MnOの一部をMoO
とBで置換したMn−Li合成物を製造する場
合、(MnO−Xmol%MoO−Ymol%B
)−Zmol%LiOH・HOの一般式を有し、
且つ0<X<10、0<Y<10、X+Y≦10、15
50の範囲とするときは、従来のこれら酸化物を
含まないMn−Li合成物を用いる場合に比し、充放電
サイクル寿命を著しく延長した高容量のリチウム二次電
池を確実にもたらす効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のMn−Li系合成物から成るリチウ
ム二次電池用正極活物質の1例のX線回パターンを示
すグラフである。
【図2】 本発明の正極活物質を用いた正極を組み込ま
れたセルの断面図である。
【図3】 本発明の正極活物質を使用したセルとその他
の比較用セルと従来のセルの夫々の充放電サイクル特性
を比較したグラフである。
【図4】 他の比較例の充放電サイクル特性を比較した
図3と同様のグラフである。
【図5】 本発明のMn−Li系合成物から成るリチウ
ム二次電池用正極活物質の他例のX線回パターンを示
すグラフである。
【図6】 MnOに対するMoO置換量及びB
置換量とセル容量との関係を示す比較グラフである。
【図7】 MoO置換量及びB置換量の異なる
夫々のMn−Li合成物と容量との関係を示すグラフで
ある。
【図8】 夫々の合成物を用いたセルの充放電サイクル
時の容量維持特性の比較グラフである。
【図9】 Li原子比(Li/Li+Mn+Mo+B)
とセル容量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2 本発明の正極活物質を使用した正極 a 本発明の正極活物質を使用したセルの寿命曲線 I 本発明のMn−Li系合成物O〜Sの寿命曲線 II 本発明のMn−Li系合成物T〜Vの寿命曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 正夫 東京都日野市旭が丘3丁目3番33号 古 河機械金属株式会社 日野研究所内 (72)発明者 山本 一富 東京都日野市旭が丘3丁目3番33号 古 河機械金属株式会社 日野研究所内

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マンガン酸化物にリチウムを含有せしめ
    て成るMn−Li合成物から成るリチウム二次電池用正
    極活物質において、マンガンの一部を周期表6A族に属
    するMo,Wから選ばれた少なくとも1種の元素と同表
    3B族に属するB,Al,Ga,Inから選ばれた少な
    くとも1種の元素で置換して成るマンガン酸化物を主体
    としたMn−Li系合成物から成るリチウム二次電池用
    正極活物質。
  2. 【請求項2】 マンガン酸化物を主体としたMn−Li
    系合成物は、マンガン酸化物の1部を周期表6A族に属
    するMo,Wから選ばれた少なくとも1種の元素の酸化
    物と同表3B族に属するB,Al,Ga,Inから選ば
    れた少なくとも1種の元素の酸化物とで置換し、且つこ
    れに少量のリチウムを含有して成る請求項1記載のリチ
    ウム二次電池用正極活物質。
  3. 【請求項3】 (MnO−Xmol%MoO−Ym
    ol%Ga)−30mol%LiOH・HOの
    一般式を有し、且つ0<X≦7.5、0<Y≦7.5、
    0<X+Y≦9.5である請求項2記載のリチウム二次
    電池用正極活物質。
  4. 【請求項4】 (HnO−Xmol%MoO−Ym
    ol%B)−Zmol%LiOH・HOの一般
    式を有し、且つ0<X<10、0<Y<10、X十Y≦
    10、1550である請求項2記載のリチウム二
    次電池用正極活物質。
  5. 【請求項5】 マンガン酸化物とリチウム原料と周期表
    6A族に属するMo,Wから選ばれた少なくとも1種の
    元素原料と同表3B族に属するB,Al,Ga,Inか
    ら選ばれた少なくとも1種の元素原料とを、目的化学量
    論量で夫々精秤し、混合したものを、加熱拡散処理する
    ことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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