JP2546902B2 - トラックの舗設方法 - Google Patents

トラックの舗設方法

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JP2546902B2
JP2546902B2 JP1332652A JP33265289A JP2546902B2 JP 2546902 B2 JP2546902 B2 JP 2546902B2 JP 1332652 A JP1332652 A JP 1332652A JP 33265289 A JP33265289 A JP 33265289A JP 2546902 B2 JP2546902 B2 JP 2546902B2
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正義 尾崎
敏治 柴原
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、全天候型の舗設表面を有する競技用トラ
ックの舗設方法に関する、更に、詳細には陸上競技場の
トラック舗設のコースライン部分に良好な透水性が与え
られ、加えてコースラインの部分とトラックコース部分
の結合状態が安定している競技用トラックの舗設方法に
関する。
[従来技術] 従来の全天候型舗設の陸上競技場のトラックはアスフ
ァルトコンクリート、またはセメントコンクリートなど
である基盤の上に、合成樹脂、特にポリウレタン舗設材
を舗設することによって構成されているのであり、その
表面の仕上は粉砕され分級された一定の小粒径の同質舗
設材のチップが表層のポリウレタン塗装材の塗布時に同
時に撒布され、ポリウレタンの硬化とともにチップが表
面に固定されて、余剰の固定されないチップは除去され
る、所謂、トッピング仕上と称されるものとされている
のであって、この仕様のものが公認の陸上競技場の全天
候型の舗装トラックの殆ど全部を占めている。
これら公認のトラックは最大全巾10m、コース数8で
あり、巾1.25mの各レーン両側に巾50mmのラインマーキ
ングがあり、ラインマーキングは通常、トッピング仕上
面の所定の位置に同質系の耐候性の白色塗料が塗布され
ることによって形成されている。
陸上競技会は、公認競技会の場合は勿論、天候状態の
如何に拘らず決行されることを原則とするが、全天候型
陸上競技場のトラック表面には外側コースから内側コー
スへ緩勾配が設けてあるために、大雨量の場合にはコー
ス表面に雨水の滞留と内側コースへの流下が生じる。雨
足が強い場合にはトラック表面の水の滞留と流下は、競
技者にとり甚だ不快不安であり、競技に悪影響が及び、
記録更新など良好な成績を収めることは絶望的となるの
みでなく、最悪の場合は危険な転倒事故も発生する。更
に、内側コースに向う下り勾配があるために、外側コー
スよりも内側コースに雨水が多く停滞する傾向があり、
内側コースの競技者が降雨時は不利となる不公平も生じ
ている。
また、全天候型舗装、特にポリウレタン系弾性舗装の
基盤アスファルトコンクリートの含有水分が毛細管現象
によって常時表層部へ上昇し、日照によるトラックの表
層部の温度上昇により水蒸気化し膨張してガス圧として
作用し、アスファルトコンクリートの熱による軟化と協
同して、その層中の脆弱部に内部破壊を生じさせ、更
に、気密性と弾性に富むポリウレタン層を押上げる、所
謂、膨れ現象を発生させ、競技場のトラックの平坦性維
持を困難としており、競技者と競技場の管理者など関係
者にとって大きい問題となっている。
トラックの基盤としては従来からアスファルトコンク
リートが汎用され、その中でも開粒度アスファルトコン
クリートおよび/または密粒度アスファルトコンクリー
トがよく使用されている。
これらは一定の支持力の保持を必要とするから打設厚
さと展圧密度が大きいことが求められる。
従来使用の運動施設用の基盤アスファルトコンクリー
ト層では、底部の砕石層上に粗密度のアスファルトコン
クリート層40mm、その上方部に密粒度アスファルトコン
クリート層30mmが打設されたものが標準的なものであ
る。
アスファルトコンクリート層は、本来、所定の舗設温
度、適切なアスファルト含量を以て全体が均一に固締さ
れているならば、砕石層内の水分、地下水など下方にあ
る水分が水蒸気となりアスファルトコンクリートを透過
することを妨害するのであり、気密不透過性のものであ
るが、実状は立地条件、施工時気象条件などによる影響
を大きく受けているのであって、期待の通りのアスファ
ルトコンクリート層が形成されている場合が通常は稀で
ある。
従って、これらのアスファルトコンクリート層中に内
包された水分が、表層の全天候型の舗装部を下から押し
上げる膨れ現象の直接的な原因物質となっているのであ
り、夏期には地表面温度が70℃以上にも達するのである
から、アスファルトコンクリート層内の水分は水蒸気化
して、体積が増大しその1mlが1以上の水蒸気になる
こともあり、アスファルトコンクリート層の内包水分の
作用が膨れ現象の最大の原因となっている。
発明者らは、降雨中の競技開催時にもトラックの表面
の排水性が優れており、トラックの表面に各コース別に
雨水の滞留量の相違を生じることもなく、トラック表面
の膨れ発生も防止され、競技者の安全快適な競技に適当
する全天候型トラックの形成方法に関して、検討を行っ
た結果、先に、特願平01−101792(特開平2−282505号
公報)の発明、即ち基盤上に全天候型トラックを造成す
るに当って、コースライン直下となる部分以外のコース
直下となる部分の基盤上に、全天候型のトラックが舗設
された後、コースラインとなる部分が透水性良好な素材
を以て舗設されるか、またはコースの直下となる部分以
外のコースラインの直下となる部分の基盤上に透水性良
好な素材を以てコースライン部分が舗設された後に、コ
ース直下となる部分の基盤上に全天候型とトラックが舗
設されることからなるトラックの舗設方法を提供してい
る。
発明者らは、特願平01−101792の発明の実施に当っ
て、舗設トラックの耐久性と安定性の向上のために、更
に、有効な手段を加えて改良する必要があることを見出
した。
[発明の構成] この発明は、基盤上に全天候型トラックを形成するに
当り、透水性のコースラインの直下となる基盤部分の両
側に一定寸法を以て延伸することとなる巾を有するメッ
シュシートがコースラインの中心線に沿ってコースライ
ンの延長方向に基盤上に敷設された後に、コースライン
直下部分を除きコース直下となる部分の基盤上に、二液
型全天候舗装材が舗設されてトラックコースが形成さ
れ、次いで透水性のコースラインの直下となる部分の基
盤上にコースラインの部分が所望の色彩を有する透水性
の舗設を以て舗設され、トラックコースの相互がメッシ
ュシートとコースライン舗設部を介して連結され、一体
的に構成させられることを包含するトラックの舗設方法
である。
コースライン下方の基盤上にメッシュシートがコース
ラインの中心線に沿いコースラインの延長方向に敷設さ
れたコース部の舗設層とコースライン部舗設層の順序は
逆とされてもよいが、完成後のコースライン部舗設層が
美麗であるためには、先にコース部の舗設層を施工する
ことが安全であり適当する。
この発明のトラックの基盤のアスファルトコンクリー
ト層は、表層の全天候用舗装材と接触する層が従来通り
の密粒度アスファルトコンクリート層とされ、その下方
に開粒度のアスファルトコンクリート層が設けられる二
層構成とされることが好ましい。
この発明のトラックのコースライン直下部分の層の下
方の密粒度アスファルトコンクリート層には、その表面
から巾3〜5mmの開溝が所望本数下方の開粒度アスファ
ルトコンクリート層にまで達するように設備されること
により発明の目的はより効果的に達成される。
この発明においてトラック基盤のアスファルトコンク
リート層の全層が開粒度アスファルトコンクリート層で
あってもよいが、支持力強化の目的と舗設時に表層の全
天候用舗装材が低粘度液状物である場合には開粒度アス
ファルトコンクリート層の空隙部への舗設材の侵入が生
じるので、施工の便宜上、密粒/開粒の2層構成のアス
ファルトコンクリート層を設けて、密粒層に前記の閉溝
を設備する二層構成のアスファルトコンクリート層とす
ることが、実施に当っては適当である。
このような構成とされることにより開粒度アスファル
トコンクリート層がコースライン基盤層の開溝により上
方の大気に連通し、コース表面膨れ防止のための脱気と
降雨下のコース表面の雨水の地中への拡散浸透を促進す
る機能を発揮する。
この発明のコースラインには、耐候性の白色のポリウ
レタン粒が使用されるのであって、これはコースのトッ
ピング用のものと同一の粒径に解砕され同種の一液性ウ
レタンバインダーなどと混練され、所定の均一空隙率を
以て、注型舗設されるのであるために、この発明のコー
スライン表面はコース部分トッピング仕上と全く同様の
仕上状態となるのであり、この発明方法により構成され
るトラックは、従来の全天候型舗装のポリウレタントッ
ピング仕上の第1種陸上競技場のトラックの外観と何ら
異なるところはないのであり、表面の塗装のみのコース
ラインが塗膜の剥離により耐久性が小さいことに対し
て、この発明の方法によるコースラインは本質的に長寿
命である。
この発明の方法によるトラックのコースライン部舗設
層は一定の空隙率を有する透水性の弾性層であるため
に、練習中など競技者はコースラインを踏んだ場合に
は、コース面から受ける反撥弾性比較して若干柔軟であ
ることが感知され、競技ルールによりコースラインを踏
む場合には、失格なるのであるからコースラインを誤っ
て踏むことを避けようとする競技者の意識が増巾される
効果が生じる。
曲線コース部分などでは、必要に応じて、一定空隙率
を与えた上でコースライン舗設部の粒子の硬度を大きく
する施工が行われる。
この発明の方法により構成されるコースライン舗設部
として注型舗設される弾性ゴム粒状物は、耐候性に優
れ、所望の色彩を有して、コース面用のトッピング材料
と同一粒径と弾性率を有するのであり、ポリウレタン、
EPDM、EVA、CRなどの耐候性が優れた弾性ゴム粒状物で
あることが望ましい。
その色彩は多くの場合、競技場細則などにより白色と
される場合が多いが、所望と目的によって他の色彩とさ
れてもよい。
弾性ゴムの粒状物相互を一定空隙率を以て接合するバ
インダーとしては弾性ゴム粒状物と同種の硬化後に弾性
ポリマーを形成する液状バインダーであって、例えば、
一液性湿気硬化型のウレタンバインダー、または二液性
ウレタンエラストマー形成材料の如き常温硬化型の接着
力に優れたものが適当する。
所望によっては、コースライン舗設部の硬度を大きく
して、コース面との識別を強調することが必要な場合に
は他の適当する素材が使用される。
この発明の方法によるコースライン舗設部用として注
型舗設される弾性ゴム粒状物層の空隙率は通常5〜50%
の範囲内にされるが、好ましくは20〜40%の範囲内にさ
れる。
空隙率はゴム粒状物の粒径、嵩比重、施工時の展圧度
などにより定まる。
国内の殆ど全ての全天候型の公認陸上競技場のトラッ
ク、特に国際競技会用の第一種陸上競技場のトラックで
は、液状ポリウレタン現地注型打設がなされており、そ
の表面仕上にウレタンゴムの粒状物によるトッピングが
施されているが、これら以外の第二種以下の陸上競技場
のトラックではスパイクシューズを使用しない一般市民
の利用の場合のゴム底シューズを使用する利用にも配慮
し種々の全天候型の舗装材が新たに開発され、その表面
の仕上も各種のものが応用されるであろうがそのような
場合にも、この発明の施工法による透水性コースライン
はコースライン舗設部として注型、埋設、嵌設などによ
り、各種の透水性素材または成型品を使用することによ
り目的に対応し容易に適用されて実施され得る。
この発明に使用されるメッシュシートの材質は透水性
のコースライン舗設層などの通過水などに対する充分な
耐蝕性と剛性に富むものであるべきであり、例えば、ス
テンレス鋼、亜鉛鍍金鋼、銅アルミニウムなど金属製、
プラスチック製、エンジニアリングプラスチック製のも
のであることが好ましい。メッシュの形状は網目模様の
升目がよいのであり、メッシュサイズは1〜20mm目のも
のが好ましく、特に5〜10mmのものが好適である。メッ
シュを構成する金属製の線体の直径は、0.1〜2.0mm、特
に0.5〜1.0mmのものが好適である。プラスチック製の場
合には金属製の場合よりも、その剛性を考慮して直径を
若干大きくするとが好ましい。
メッシュシートは、必要に応じて、二層以上の多層と
して使用されてもよい。メッシュシートが多層として使
用される場合には、必要に応じてシート相互間に滑動が
生じないための手段が付加される。このための簡便な方
法としてはシート相互の間に粒状の舗設材の薄層が介在
させられることである。
使用されるメッシュシートの巾は1,000mm以下である
が、200〜400mmの範囲内が好ましい。
メッシュシートはトラックの曲線部においては必要に
応じて、適当な寸法形状に切断されて相互が設続させら
れて敷設される。
この発明方法により舗設されたトラックコース特に、
コースライン部分とその近傍部分はコース部分の全天候
ウレタン層と透水性のコースライン舗設層の接合部にお
けるウレタン層の収縮・伸長などその経時的な変化によ
って生じる剥離などの不具合が、介在させられるメッシ
ュシートによる一体化構成により強力に防止される。
この発明の方法によらない場合はコースライン部分と
その近傍に舗設層の浮上が生じてトラックコースの平坦
性を損なう可能性が常時潜在する。
この発明の舗設方法は、屋外設備の全天候型のテニス
コートその他の球技用の施設にも効果的に応用され得
る。
以下、この発明の理解を一層明確化させるために実施
例によって説明するが、この発明の方法はこの実施例に
より制約限定されるものではない。
[実施例] コースの下方となる地盤上に、コースの基盤として、
開粒度(13mmトップ)アスファルトコンクリート層厚さ
70mmが打設された後、2週間以上養生されて安定化され
た。この安定化の期間の経過後、予め測量し決定されて
いるコースライン中心線を中心としてコース基盤上に巾
250mmの長尺ステンレス鋼メッシュシートがコースライ
ン方向に展延敷設された。このメッシュシートは0.5mm
φのSUS304ステンレス鋼線が網目5mmの升目とされたも
のであった。
コースラインの中心線の両側にそれぞれ75mm巾の部分
を残して、それより外方のコース基盤上の部分に基盤処
理層として、MBRラテックス、ポルトランドセメントお
よび水からなる基盤処理安定材が塗布され乾燥させられ
て、基盤処理層の安定化とメッシュシートの仮固定が行
われた。
次いで、コースラインが舗設される巾50mmの部分を除
く両側のメッシュシートがある50mm巾の基盤部分のそれ
ぞれ二液型のウレタン舗装材に等重量部の珪砂6号が混
合されたウレタンモルタルが、メッシュシートに隠蔽さ
れる程度に塗布されてメッシュシートが固定された。
その後、巾50mmのコースライン舗設部となる空間を、
コース舗設部ウレタン弾性層の打設時にウレタン材の流
入から防止して確保するために、巾10mm厚さ50mmの長尺
ポリスチレン発泡体がコースライン舗設部となる空間を
確保し得る両側の所定の位置にそれぞれ貼着されて仮固
定される養生措置が行われた。
その後、コース舗設部弾性層の打設が行われた後、ウ
レタン材がコース補正部の弾性層上に2.5kg/m2の割合を
以て塗布され、ウレタン材が固化しない状態の間に過剰
気味の量の粒径約5mmのウレタンチップが撒布された。
24時間後に、ウレタン材は固化して、余剰分のウレタ
ンチップが回収されてトッピング仕上のトラックコース
が形成された。
次に、コースライン舗設部用の空間を確保した養生用
の長尺ポリスチレン発泡体が取り除かれた後に、粒度5m
mの白色ウレタンチップ63重量部と一液性湿気硬化型ウ
レタンバィンダー18重量部との混練品がコースライン舗
設部となる空間にメッシュシートを通過して透水性の基
盤に達するまで充填され、その頂面がトラックコース頂
面と同一レベルとなるように調整され固化させられて透
水性の白色弾性体からなるコースラインが形成され、全
天候トラックコースの舗設が完了した。
この発明の方法によってメッシュシートが付加されて
いる透水性白色ウレタンコースライン部分とそ近傍のコ
ース部分には、経年変化が生じる兆候が全く認められ
ず、四季を通じて平坦であり透水性も安定したコースラ
イン部分が確保されることとなった。
一方、メッシュシートが使用されていない類似の構成
のトラックコースにおいては三年経過後に白色ウレタン
層の収縮によるコースライン部分の剥離がトラックコー
スの一部に発生した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明により舗設された透水性のトラック
コースのコースライン部分の縦断面図である。 [図中の記号のリスト] 1:ウレタンモルタル層 2:メッシュシート 3:基盤処理層 4:基盤開粒度アスファルトコンクリート層 5:透水性白色ウレタンコースライン部分 6:ウレタン舗装弾性層 7:ウレタン舗装弾性層表面仕上トッピング

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基盤上に全天候型トラックを形成するに当
    って透水性のコースラインの直下となる基盤の部分の両
    側に、一定寸法を以て延伸することとなる巾を有するメ
    ッシュシートがコースラインの中心線に沿いコースライ
    ンの延長方向にトラックコースの基盤上に敷設された
    後、コースライン直下の基盤の部分以外であってコース
    の直下となる基盤上に全天候用の舗装材が舗設されてト
    ラックコースが形成され、次いで、透水性コースライン
    の直下となる基盤上にコースライン用の所望色彩を有す
    る透水性舗装材が舗設されて、トラックコース相互がメ
    ッシュシートとコースライン舗設部を以て連結されて、
    一体的な構成とされることを特徴とするトラックの舗設
    方法。
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