JP2546461B2 - 画質改善装置 - Google Patents

画質改善装置

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JP2546461B2
JP2546461B2 JP3313605A JP31360591A JP2546461B2 JP 2546461 B2 JP2546461 B2 JP 2546461B2 JP 3313605 A JP3313605 A JP 3313605A JP 31360591 A JP31360591 A JP 31360591A JP 2546461 B2 JP2546461 B2 JP 2546461B2
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茂広 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、テレビジョン(TV)
受像機、ヒデオテープレコーダ(VTR )等の各種ビデオ
機器、及び、画像データを扱う各種画像処理装置等に好
適な画質改善装置に関する。そして、この発明は、波形
の変化部即ち波形エッジを急峻化することで画質を改善
するが、観賞者に違和感を与えることなく自然な形で、
再生画像の鮮鋭度及び解像度を改善できる画質改善装置
を提供することを目的としている。
【0002】
【従来の技術】従来、画質改善のために用いられる輪郭
補正では、2次微分処理によって輪郭補正成分を求め、
この補正成分を元の信号に適量付加していた。この方法
による輪郭補正では、輪郭補正成分である2次微分波形
が、元の信号の波形変化部(エッジ部)の中点よりもか
なり外側にピークを持つ波形となる。従って、この2次
微分波形を元の信号に付加すると、プリシュートやオー
バーシュートが発生することがあり、期待する程の画質
改善効果がなく、また、再生画像のエッジ部分に白黒の
縁どりができるなどの不自然な輪郭補正となることがあ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする課題は、元の信号の波形変化部(エッジ部)の中
点位置に、滑らかに波形段差を付加することによるエッ
ジ強調により、プリシュートやオーバーシュートによる
不自然な輪郭補正を防ぎ、観賞者に対して違和感を与え
ることなく、かつ自然な形で鮮鋭度及び解像度を向上さ
せることができると共に、IC化に適した画質改善装置
とするには、どのような手段を講じればよいかという点
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
するために本発明は、入力信号である第1の信号が供給
されて、第2の信号を出力する直交高域濾波器と、前記
第1の信号が供給され、第3の信号を出力する同相高域
濾波器と、前記第2及び第3の信号が供給され、その2
つの信号をベクトル合成することによって得られる振幅
値と位相値とを用いた非線形処理により、前記第3の信
号の波形エッジを急峻化した第4の信号を出力する波形
合成器と、前記第1、第3及び第4の信号が供給され、
前記第1の信号の一部である前記第3の信号を前記第4
の信号と入れ替えることにより、前記第1の信号の波形
エッジが強調された出力信号を得る加減算器とより構成
したことを特徴とする画質改善装置を提供するものであ
る。
【0005】
【実施例】本発明は、特に位相に非線形処理(非線形位
相変換処理)を施すことにより、元の信号の波形変化部
(エッジ部)を急峻化し、画質改善を図ったものであ
る。図1に、この発明の画質改善装置の第1及び第2実
施例(共に、請求項2に対応する非線形処理を用いたも
の)を示す。また、図2及び図5〜図10はその動作説
明図、図3及び図4は波形合成器の具体的な構成例を示
す図である。動作説明図では、便宜上、簡略化した模擬
的な表現法も採用してある。また、具体的回路例として
デジタル回路を挙げる場合でも、その動作説明をわかり
やすくするため、信号波形をアナログ波形として示すも
のとする。
【0006】図1(a)に示す第1実施例において、1
−1は直交高域濾波器、1−2は同相高域濾波器、1−
3は波形合成器、1−4は減算器、そして1−5は加算
器である。これらが本発明の基本構成である。なお、説
明の便宜上、各回路自体の処理時間による信号の遅れ、
及びその遅れを単に補正するためだけに通常用いられる
遅延回路等は、説明上必要な場合を除いて省略するもの
とする。この画質改善装置の扱う入力信号の例として
は、テレビジョンの輝度信号、色信号、RGB信号等を
想定している。従って、上限が4MHz迄の周波数成分
を有する入力信号に対し、以下での処理で信号波形の傾
斜部に非線形処理を施し、周波数帯域4MHzを越える
成分を付加して急峻化することでエッジ強調を行ってい
る。
【0007】まず、本発明の基本動作を説明するため
に、ラインL1から入来する入力信号Saとして、図5
(a)に示すような余弦波の1サイクルの信号を用い
る。これは上限周波数f2(約4MHz)で帯域制限さ
れた輝度信号の一例であり、振幅が1の波形である。横
軸は説明の便宜上、位相θで表しているが、次式
【0008】
【数1】
【0009】と同じ意味である。この時の余弦波の周波
数の値として、とりあえず2MHz程度を考える。入力
信号Saは、まず直交高域濾波器1−1に供給される。
この直交高域濾波器の特性は、は図2(a)及び(c)
に示すような特性である。図2(a)に示す周波数特性
は、虚数部が次式で表され、
【0010】
【数2】
【0011】実数部が0となる。そのインパルス応答は
図2(c)のような微分性の特性であり、信号Saに対
して直交、即ちπ/2の位相差を有している。このよう
な直交高域濾波器1−1を実現するには、アナログ回路
またはディジタル回路による、例えば図2(c)のイン
パルス応答を係数値とする原点対称型のトランスバーサ
ルフィルターなどが用いられる。直交高域濾波器1−1
の出力波形Sbは図5(b)のような正弦波になる。一
方、入力信号Saは、同相高域濾波器1−2にも供給さ
れる。同相高域濾波器の特性は、図2(b)及び(d)
に示すような特性である。図2(b)に示す周波数特性
は、実数部が次式で表され、
【0012】
【数3】
【0013】虚数部は0である。そのインパルス応答は
図2(d)のような高域濾波特性であり、信号Saに対
して同位相である。このような同相高域濾波器1−2を
実現するには、アナログ回路またはディジタル回路によ
り、例えば図2(d)のインパルス応答のように、時間
=0の軸に対称な係数値を持つトランスバーサルフィル
ターなどが用いられる。同相高域濾波器1−2の出力波
形Scは図5(c)のように信号Saと同一の余弦波に
なる。直交高域濾波器1−1と同相高域濾波器1−2と
は、振幅特性G(f)が同一で、その特性は次式のよう
に表され、
【0014】
【数4】
【0015】直交高域濾波器1−1と同相高域濾波器1
−2とは、位相がπ/2異なる、互いに直交関係にある
特性を有する。図2(a)に示す特性は、虚数部に値を
持つ高域濾波器の特性であるので、その特性を有するも
のを直交高域濾波器と呼ぶことにした。また、図2
(b)に示す特性は、実数部に値を持つ高域濾波器の特
性であるので、その特性を有するものを同相高域濾波器
と呼ぶことにした。図2(a),(b)に示す特性を、
f=0〜f1(1.25MHz)の範囲で直線状に値が
大きくなり、f=f1〜f2(4MHz)の範囲で一定
値になるように設定したのは、テレビジョンのVSB
(残留側波帯)伝送特性を考慮したためであるが、結果
的にはこの設定は、本発明には好適であった。ここで
一般的な原点対称型のトランスバーサルフィルタによる
直交高域濾波器1−1の構成例を図18(a)に示す。
直交高域濾波器1−1は、直列接続された遅延時間Tの
2N個の遅延回路p1〜p2Nと、各遅延回路の入出力
信号に重み付けを行う2N+1個の増幅器q−N−qN
(Nは自然数または0)と、重み付けされた各信号を
加算合成する合成器r1とからなっている。遅延回路p
1〜p2Nがデジタル信号処理の場合は、遅延時間Tは
標本化周期となる。また、増幅器q−N−qNの各重み
付け値はA−N−ANである。ラインLaから入来した
信号は、所定の遅延時間が与えられ、重み付けがなされ
(所定倍され)、加算合成されてラインLbから出力さ
れる。前記数2式の特性が得られるようにするために
は、少なくとも重み付け値A0=0,An=−A−n
(n=−N−N)の条件が必要である。図示した直交高
域濾波器1−1のインパルス応答波形図を図18(b)
に示す。インパルス応答波形は原点対称型となってお
り、この濾波器の重み付けの状態をそのまま表わしてい
る。次に、時間=0の軸に対称な係数を有する一般的な
トランスバーサルフィルタによる同相高域濾波器1−2
の構成例を図19(a)に示す。同相高域濾波器1−2
は、直列接続された遅延時間Tの2N個の遅延回路u1
〜u2Nと、各遅延回路の入出力信号に重み付けを行う
2N+1個の増幅器v−N−vNと、重み付けされた各
信号を加算合成する合成器w1とからなっている。遅延
回路u1〜u2Nがデジタル信号処理の場合は、遅延時
間Tは標本化周期となる。また、増幅器v−N〜vNの
各重み付け値はB−N−BNである。ラインLcから入
来した信号は、所定の遅延時間が与えられ、重み付けが
なされ(所定倍され)、加算合成されてラインLdから
出力される。前記数3式の特性が得られるようにするた
めには、少なくとも重み付け値B0=0,Bn=B−n
(n=−N〜N)の条件が必要である。図示した同相高
域濾波器1−2のインパルス応答波形図を図19(b)
に示す。インパルス応答波形は時間=0の軸(時間基準
位置)に対して対称となっており、この濾波器の重み付
けの状態をそのまま表わしている。図1(a)にもどっ
て、次段の波形合成器1−3には、直交高域濾波器1−
1及び同相高域濾波器1−2の各出力信号Sb、Scが
供給される。ここではまず、2つの信号Sb、Scを、
図2(f)に示すように、Sbを直交成分であることか
ら縦軸に、そしてScを同相成分であることから横軸に
配置する。そして、次式に示す直交成分と同相成分との
ベクトル合成により、
【0016】
【数5】
【0017】合成振幅として、2つの信号Sb、Scの
2乗和の平方根Sdが求められる。図5(d)が信号S
dの波形図である。信号Sdはこの例では1であるが、
当然のことながら、負の値にはならない。図2(f)か
ら、合成位相θi も次式、
【0018】
【数6】
【0019】で求められる。位相θi の値は、通常−π
/2〜π/2の範囲で計算される。また、図5の横軸の
θと合成位相θi との極性は逆の関係になる。即ち、θ
i =−θである。次に、この位相θi の絶対値を求める
と、0〜π/2の範囲の値となり、図5(e)のように
なる。さらに、この絶対値化された位相値を、最大値π
/2を基準にα(ここではα=4)乗すると、図5
(f)のように横軸の±π/2の位置にピークが集中す
るような波形になる。横軸の±π/2の位置は、図5
(a)に示す入力信号Saの波形変化部のほぼ中点位置
である。このような非線形処理を行う位相値θi と合成
振幅Sd及び信号Scを用いて、出力Seを得る波形合
成器1−3の動作を式で表すと、次式のように成る。
【0020】
【数7】
【0021】出力Seの波形図を図5(g)に示す。図
に示すように信号Seは、信号Scの立ち上がり及び立
ち下がり部が急峻化された波形である。図5(f)に示
すように、非線形処理による新たな位相値θo は、元の
位相値θi の0付近では、0に近い値の領域が広がり、
元の位相値θi の±π/2付近では、新たな位相値θo
は、急激にπ/2に集中する。従って、図5(g)に示
すように、この新しい位相値θo を基にした信号Se
は、横軸のθが0付近の信号値(この場合は1付近の
値)の領域が広がり、横軸のθが±π/2に近付くにつ
れ、急激に位相値θo が変化しているので、その信号値
も急激に変化する。よって、信号Seは、信号Scの立
ち上がり及び立ち下がり部が急峻化された波形となる
(立ち上がり及び立ち下がり部のほぼ中点の位置の位相
値θi が±π/2である。)。このとき、信号Seの零
クロス点は、信号Scの零クロス点からずれていないの
で、元の信号である信号Scの位相情報(即ち、信号S
aの位相情報)が、非線形処理後も保存される。零クロ
ス点は図5中に丸印で示した。振幅合成器1−3の具体
的な構成法を図3及び図4の例を用いて説明する。ま
ず、図3に波形合成器の基本要素ブロックの構成例をい
くつか示す。図3(a)は合成振幅Sdと合成位相θi
を得るための構成例であり、機能的に4つのブロック
(3−1〜3−4)からなっている。ブロック3−1で
は入力信号Sb,Scから、前記数6の位相角θi を求
め、ブロック3−2で入力信号Sb及び位相角θi から
次式に示すような直交成分の寄与分、
【0022】
【数8】
【0023】を求め、ブロック3−3では入力信号Sc
及び位相角θi から次式に示すような同相成分の寄与
分、
【0024】
【数9】
【0025】を求め、ブロック3−4の加算器で、ブロ
ック3−2,3−3からの信号を加算合成して、数5に
示すような出力Sdを得ている。これらをディジタル回
路で構成する場合は、ブロック3−1〜3−3は、予想
される全ての入力データに対する出力値を、予め計算し
てROMなどに書き込んで置き、これを参照して出力を
得るテーブルルックアップ方式などで実現される。
【0026】図3(b)は合成振幅Sdを得るためのも
う1つの例であるが、機能的に4つのブロックから構成
されている。ブロック3−5,3−6は乗算器であり、
それぞれ入力信号Sb,Scの2乗値Sb2 とSc2
求める。ブロック3−7の加算器でその2乗値は合成さ
れ、ブロック3−8で平方根が求められ、出力としてS
dが得られる。このような構成はディジタル、アナログ
どちらの回路でも実現できるが、ディジタル回路の場合
はブロック3−8はやはりROMなどが使用される。図
3(c)は信号Sdと信号Scとから、位相θi とSc
の極性を表す信号を求める回路構成である。ブロック3
−9では入力される信号SdとScから、次式のように
して、
【0027】
【数10】
【0028】位相θi を求めている。式のカッコの中が
正の値であることから、求められるθi の値はπ/2以
下の正の値である。ブロック3−10では信号Scの
負、零、正の値に対応して、各々−1、0、1のような
極性を表す信号sgn(Sc)を出力する。図4に図3
の構成要素を組み合わせて、波形合成器を構成した2つ
の例を示す。図4(a)は5つのブロックから成ってい
る。ブロック4−1には信号SbとScが入力され、そ
のブロック4−1内は図3(b)のような構成であり、
信号Sdが得られる。ブロック4−2には信号SdとS
cが入力され、そのブロック4−2内は図3(c)のよ
うな構成であり、合成位相θi が得られる。ブロック4
−3にはSdとθi が入力され、次式のような位相に関
する非線形処理が行われる。
【0029】
【数11】
【0030】ブロック4−4は図3のブロック3−10
と同様に、信号Scの極性を表す信号を生成している。
ブロック4−5は乗算器であり、ブロック4−3及び4
−4からの信号の積をとって、信号Seを得ている。図
4(a)の処理を式にまとめると次のようになる。
【0031】
【数12】
【0032】次に、図4(b)に示す波形合成器は、7
つのブロック(4−6〜4−12)から成っている。こ
の中の初めの各ブロック4−6〜4−9は、図3(a)
のブロック3−1〜3−4と同じであり、入力される信
号SbとScとからここで合成振幅Sd及び合成位相θ
i が求められ、ブロック4−10に加えられる。ブロッ
ク4−10ではブロック4−3同様、次式のような非線
形処理が行われる。
【0033】
【数13】
【0034】ブロック4−6からの位相θiの値は−π
/2〜π/2の範囲の値をとりうるので、その絶対値化
の処理が必要になる。ブロック4−11はブロック3−
10と同じものであり、信号Scの極性信号を出力す
る。最後のブロック4−12はブロック4−5と同じ乗
算器であり、ブロック4−10とブロック4−11とか
ら加えられる信号の積をとり、出力Seを得ている。図
4(b)に示す波形合成器の処理を式にまとめると次の
ようになる。
【0035】
【数14】
【0036】このように、ブロック1−3の波形合成器
では、信号SbとScとにより、信号Scの波形変化部
をより急峻化した信号Seをもとめているが、非線形処
理(図4に示すブロック4−3及び4−10での処理)
の中で、実数パラメータαが用いられている。この非線
形処理は位相に対して行われるが、入力位相をθi 出力
位相をθo として、次式のように表される。
【0037】
【数15】
【0038】この式で、パラメータαの値を1、2、
4、8としたときの位相の変化(θiが正の範囲で求め
たもの)を図2(g)に示す。α=1のときはθo =θ
i であり、入力された位相値がそのまま出力される。α
が大きくなるにつれて、出力が出にくくなり(入力位相
をθi が大きくなっても、出力位相θo はなかなか0か
ら大きくならない)、出力位相θoの値はπ/2に集中
してくる。このことは、αが大きくなるにつれて、0位
相領域を広げるような処理をしていることを意味してい
る。即ち、αが大きくなるほど、非線形処理による新た
な位相値θo は、元の位相値θi の0付近では、0に近
い値の領域が広がり、元の位相値θi の±π/2付近で
は、新たな位相値θo は、急激にπ/2に集中すること
を意味している。ここで図1(a)にもどって、波形合
成器1−3からの信号Seと同相高域濾波器1−2から
の信号Scとが供給される次のブロック1−4は、信号
Seから信号Scを減算する働きをする減算器である。
ブロック1−4では、次式のような信号Sgが求められ
る。
【0039】
【数16】
【0040】この信号Sgはエッジ強調成分であり、図
5(h)にその波形を示す。前述の数16からも分かる
ように、この信号Sgは信号SeとScとの差から求め
られており、信号Scの代わりにエッジ強調された信号
Seを入れ換える処理をするために、これらの信号間の
差を求めていることになる。図1(a)の最後のブロッ
ク1−5は加算器であり、次式のように入力信号Saに
エッジ強調信号Sgを加算合成して、出力信号Shを求
めている。
【0041】
【数17】
【0042】図5(i)が出力ラインL2から出力され
るこの信号Shの波形図である。図5(a)に示す本装
置への入力信号Saに比べて信号Shは、波形の変化部
が急峻化されており、エッジ強調がなされている。ま
た、その強調の度合は、特に不自然なプリシュートやオ
ーバーシュートが付加されず、自然な形でかつ滑らかで
あり、この滑らかなエッジ(即ち波形傾斜部)の急峻化
が、本装置の特徴である。図5では信号の位相変化を操
作する様子を理解しやすくするために、横軸を位相値θ
で表してきたが、次に横軸を時間軸とする動作波形図を
用いて各ブロックの動作を見ることにする。図7は入力
信号Saが2MHzの正弦波の例であり、図5を時間軸
上に書き直した例と見てよい。但し、波形合成器1−3
のパラメータαの値は4である。図7(a)〜(g)は
各々以下のような信号である。 (a)入力信号Sa (b)直交高域濾波器1−1の出力信号Sb (c)同相高域濾波器1−2の出力信号Sc (d)波形合成器1−3の中で求められる合成振幅Sd (e)波形合成器1−3の出力信号Se (f)減算器1−4の出力として求められるエッジ強調
信号Sg (h)最終出力信号であるエッジ強調された信号Sh
【0043】図8は入力信号Saがステップ波形の例で
ある。これは上限周波数f2(4MHz)で帯域制限さ
れた輝度信号の例であり、振幅が1から零に変化する波
形部を、周波数0〜4MHzで100%ロールオフ特性
の低域濾波器で処理をして得られる波形である。他の条
件等は図7の場合と同一である。図8(a)〜(g)の
各波形図は図7(a)〜(g)に1対1に対応してい
る。図7及び図8からも明らかなように、最終出力信号
Shは、入力信号Saに比べて大幅に波形エッジが急峻
化されている。
【0044】さらに詳しく、出力波形Shを入力波形S
aと比較すると、出力波形Shは、入力波形Saの波形
変化部(エッジ部)のほぼ中間点に滑らかな波形段差が
あり、波形変化部の傾斜が急峻化されており、的確にエ
ッジ強調された波形となっていることがわかる。出力信
号Shを再生すれば、輪郭補正された画像が得られる。
また、この画質改善装置のエッジ強調処理は、従来の輪
郭補正のようなプリシュート、オーバーシュートなどの
原信号の振幅を越えたエッジ強調処理とならず、原信号
の振幅内のエッジ強調処理である。従って、この画質改
善装置を組込んだ機器を、デジタル回路で構成した場合
でもオーバーフローの問題が発生せず、その機器は、良
好な画質改善が行える。
【0045】こうして、ラインL2から出力される信号
Shは、エッジ強調が行われた結果、新たな側波帯成分
が形成され、入力信号Saが本来有する帯域を越えたス
ペクトルが新たに付加された信号となる。この新たなス
ペクトルの付加は、等価的に、原信号の解像度が向上し
たとの印象を観賞者に与え、画像の鮮鋭度を改善する働
きをしている。なお、信号Shのエッジ部の急峻さ(エ
ッジ強調の度合)は、波形合成器1−3のパラメータα
が固定値であれば、エッジ強調前の元の信号におけるエ
ッジ部が有する周波数特性に依存している。元の信号の
立上がり部及び立下がり部(エッジ部)が、より急峻な
傾斜であれば、強い度合のエッジ強調が行われる。一
方、緩かな傾斜に対しては、弱い度合のエッジ強調が行
われる。さらに、図5に示すように、信号Shの零クロ
ス点(零クロス点は図5中に丸印で示した)は、信号S
aの零クロス点からずれていないので、元の信号Saの
位相情報が、非線形処理後も保存される。
【0046】このように、入力信号に付加されるエッジ
強調成分Sgは、入力信号の周波数特性に依存し、入力
信号と位相情報を含めて完全な相関関係があるので、こ
の画質改善装置は、観賞者に対して違和感を与えること
なく、自然な形で、鮮鋭度及び解像度を向上させること
ができる。
【0047】次に、波形合成器1−3での非線形処理で
使用されるパラメータαの値を変えた時に、波形エッジ
がどのようになるかを2つの例で明らかにする。図9は
図8で使用したステップ波形が、入力信号Saである時
の出力信号Shの波形図である。図9(a)〜(d)で
はαの値を次のように設定して出力信号Shを求めてい
る。 (a)α=1の時のSh (b)α=2の時のSh (c)α=4の時のSh (d)α=8の時のSh 図10は図7と同じ周波数2MHzの正弦波を入力信号
Saとした時の出力信号Shの波形図である。図10
(a)〜(d)でのαの値は、各々図9(a)〜(d)
に対応して設定してある。
【0048】図9と図10から明らかなように、α=1
の時はエッジ強調処理は行われないが、αが1より大き
くなるにつれて、エッジ強調の度合が進み、ある程度以
上の値ではエッジ強調効果は飽和することが分かる。経
験上ではα=2〜4ぐらいのところが適当だと思われる
が、好みに合わせてαの値を調節し、エッジ強調の度合
いを最適化することができる。
【0049】このようなエッジ強調の度合調節は、2つ
の高域濾波器1−1,1−2の出力Sb,Scの信号レ
ベルを同時に変え、等価的に信号Sgの大きさをかえる
ことによっても可能である。また、図6及び次式に示す
ような、
【0050】
【数18】
【0051】特性の異なる何種類かの高域濾波器を切り
替えて使用することにより、エッジ強調成分の周波数特
性を変えて、設定の最適化を図ることも可能である。数
18に記載の高域濾波器(1)〜(4)は、直交及び同
相濾波器の4つの組み合わせ例を示すものである。何れ
にしても、目的に合わせた最適な周波数特性を選ぶこと
が大切である。以上のように、パラメータαの値や高域
濾波器の特性を変化させることにより、前述したエッジ
強調前の元の信号におけるエッジ部が有する周波数特性
に依存するエッジ強調の度合いとは別に、エッジ強調の
度合いを調整できる。
【0052】図1(b)に第2実施例を示す。この実施
例は低い標本化周波数で標本化された入力信号に対して
も位相ずれを防止でき、デジタル回路構成に好適なもの
である。同図のブロック1−1〜1−5は、図1(a)
に示す同一ブロック番号のものと全く同じ働きをしてい
る。第2実施例で新たに付け加えられているのは、位相
調整器1−6、増幅器1−7、高域濾波器1−8、そし
て加算器1−9である。この付加ブロックに関しては、
本発明者による特許願(整理番号H03000791 ,出願日平
成3年9月30日の画質改善装置)の第22図の説明に
述べられているので、詳細な説明は省略するが、概略を
述べると以下のようになる。増幅器1−7は波形エッジ
強調信号Sgの値を増幅率β(≧1)で増幅して、出力
Siを得、この増幅率βの値を可変とし、最適なエッジ
強調効果の設定を行う目的のものであり、
【0053】高域濾波器1−8は図2(e)に示すよう
に、入力信号Saの周波数成分の高域、及び入力信号の
含有周波数帯域外の周波数成分(>f2)を信号Shか
ら抽出しこれをγ(≧0)倍して再度エッジ強調成分を
得ている。そして、そのエッジ強調成分を、加算器1−
9で信号Shに加算合成して、ラインL3から得られる
出力信号Skに、さらにエッジ強調効果を持たせる働き
をさせるためのものである。
【0054】ブロック1−7〜1−9のような機能が必
要になるのは、波形合成器の非線形処理をあまり強く行
えない場合、例えば扱う信号が標本化され、離散化され
ているような場合である。特に、標本化周波数を余り高
い値にできない時に起こりがちな、非線形処理による位
相シフトをある程度の範囲内に押え込みたいようなとき
に有効であり、波形合成器の機能を補助する目的で用い
ることができる。
【0055】位相調整器1−6は、まず、前述のように
信号が標本化され、離散化されている場合に起こる非線
形処理による位相シフトの現象に対して、同相成分Sc
の零クロス点を求める。次に、この零クロス点に近い順
にピックアップした複数個の標本値と、これに時間的に
対応する波形合成器1−3の出力Seの複数個の標本値
を用いて、前者の複数個の標本値の振幅比率を後者の複
数個の標本値に反映させて再合成することで、零クロス
点の情報を保存し、位相シフトを軽減することができ
る。このような処理を行うことで、標本化周波数の値を
通常より低い値に設定することが可能になる。このよう
に、信号が標本化され、回路をディジタルで構成するよ
うな場合に、ブロック1−6〜1−9が有効に機能する
ことになる。もちろんこの実施例も、第1実施例と同様
の効果を有する。
【0056】次に、第3実施例について説明する。全体
のブロック構成は図1(a)に示す第1実施例と同一で
あるので、図は省略する。第3実施例は、請求項3に対
応し、前述の第1,第2実施例との相違点は、波形合成
器1−3での非線形処理の方法である。第1,第2実施
例では、図2(g)に示すように、位相の非線形処理を
入力位相θi =0から連続的に行っている。これに対し
て、第3実施例では、図11(f)に示すように、入力
位相θi が所定値までは出力位相θo =0とし、入力位
相θi が所定値以上となると、その入力位相θi の値に
応じた出力位相θo とする非線形処理である。
【0057】第3実施例の動作を非線形処理を中心にし
て、図11〜図17と共に説明する。ラインL1から入
来する入力信号Saの一例として、図13(a)に示す
ような余弦波の1サイクルを用いる。これは上限周波数
f2(約4MHz)で帯域制限された輝度信号の一例で
あり、振幅が1の波形である。横軸は説明の便宜上、数
1に示す位相θで表している。
【0058】直交高域濾波器1−1,同相高域濾波器1
−2の特性として、図6(a),(b)に示す特性を用
いる。即ち、直交高域濾波器1−1の特性は、図11
(a)及び(c)に示すような特性であり、同相高域濾
波器1−2の特性は、図11(b)及び(d)に示すよ
うな特性である。直交高域濾波器1−1の出力波形Sb
は、濾波器のゲインとのかねあいから、図13(b)の
ように振幅が0.5の正弦波になる。同相高域濾波器1
−2の出力波形Scは、図13(c)のように信号Sa
と同形で振幅が0.5の余弦波になる。波形合成器1−
3は、信号Sb,Scとから第1実施例と同様に合成振
幅Sdを求めている。波形合成器1−3で求める合成位
相θi は、図11(e)から、次式となる。
【0059】
【数19】
【0060】位相θi の値は、通常−π/2〜π/2の
範囲で計算され、図13(e)のようになる。横軸のθ
と、θi の極性は逆の関係になっている。さらに、この
合成位相値θi の絶対値が0からαπ/2(但し、0≦
α<1)までを0、απ/2からπ/2までを入力位相
値に応じて直線状の特性となる様にすると、図13
(f)のように横軸π/2にピークが集中するような位
相波形になる。このような位相の非線形処理を伴う波形
合成器1−3の動作を、合成位相値θi 、合成振幅Sd
などを用いた式で表すと、次式のようになり、出力Se
が求められる。
【0061】
【数20】
【0062】出力Seの波形図を図13(g)に示す。
図のように信号Seは、信号Scの立ち上がり及び立ち
下がり部が急峻化された波形である。
【0063】図13(f)に示すように、非線形処理に
よる新たな位相値θは、元の位相値θiの0から所定
値までは、位相値θ=0の領域が広がり、元の位相値
θiの±π/2付近では、新たな位相値θは、急激に
±π/2に集中する。従って、図13(g)に示すよう
に、この新しい位相値θを基にした信号Seは、信号
Scの横軸θが0の信号値(この場合は0.5)の領域
が広がる。そして、横軸θが±π/2に近付くにつれ、
急激に位相値θは変化しているので、信号Seの信号
値も急激に変化する。よって、信号Seは、信号Scの
立ち上がり及び立ち下がり部が急峻化された波形となる
(立ち上がり及び立ち下がり部のほぼ中点の位置の位相
値θiが±π/2である。)。このとき、信号Seの零
クロス点は、信号Scの零クロス点からずれていないの
で、元の信号である信号Scの位相情報(即ち、信号S
aの位相情報)が、非線形処理後も保存される。零クロ
ス点は図13中に丸印で示した。
【0064】この波形合成器の具体的な構成法を、図1
2の例を用いて説明する。なお、図12の符号と、図3
及び図4の符号とは、同一の符号でも同一のブロックを
意味するものではない。図12は波形合成器の構成例で
ある。図12は機能的に5つのブロック(3−1〜3−
5)からなっている。ブロック3−1では入力信号Sb
及びScから、数19の位相角θiを求め、ブロック3
−2では入力信号Sb及び位相角θiから次式に示すよ
うな直交成分の寄与分、
【0065】
【数21】
【0066】を求めている。ブロック3−3では入力信
号Sc及び位相角θiから次式に示すような同相成分の
寄与分
【0067】
【数22】
【0068】を求めている。ブロック3−4の加算器で
ブロック3−2,3−3からの信号を加算合成して、数
5のような出力Sdを得ている。次のブロック3−5に
は、信号Scと、ブロック3−1からの位相値θi と、
ブロック3−4からの合成振幅値Sdとが供給され、数
20のような演算を行い出力Seが求められる。これら
をディジタル回路で構成する場合は、ブロック3−1〜
3−3及び3−5は、予想される全ての入力データに対
する出力値を、予め計算してROMなどに書き込んで置
き、これを参照して出力を得るテ−ブルルックアップ方
式などで実現できる。ブロック3−4はよく知られた汎
用回路で作れる。
【0069】このように、波形合成器1−3では、信号
SbとScとにより、数20のような処理を行い、信号
Scの波形変化部をより急峻化した信号Seを求めてい
る。位相に対して行われる非線形処理(ブロック3−
5)の中では、実数パラメータαが用いられている。入
力位相をθi 、出力位相をθo とすると、位相の非線形
処理は次式で表される。
【0070】
【数23】
【0071】この式で、パラメータαの値を0、0.2
5、0.5、0.75としたときの位相の非線形変化の
様子を図11(f)に示す。このようにα=0の時はθ
o =θi で入力された位相値がそのまま出力されるが、
αが大きくなるにつれて、出力がでにくくなり、出力は
π/2に集中してくる。このことは、αが大きくなるに
つれて、0位相領域を広げるような処理をしていること
を意味している。即ち、αが大きくなるほど、非線形処
理による新たな位相値θo は、位相値0となる領域が広
がり、元の位相値θi の±π/2付近では、新たな位相
値θo は、急激に±π/2に集中することを意味してい
る。
【0072】ここで図1にもどって、波形合成器1−3
からの信号Seと同相高域濾波器1−2からの信号Sc
が供給される減算器1−4は、第1実施例と同様にして
エッジ強調成分Sgを求めている。図13(h)はエッ
ジ強調成分となるSgの波形図である。数16からも分
かるように、この信号SgはSeとScの差から求めら
れており、信号Scの代わりにエッジ強調された信号S
eを入れ換える処理をするために、これらの信号間の差
を求めていることになる。次のブロック1−5は加算器
であり、第1実施例と同様に入力信号Saにエッジ強調
信号Sgを加算合成し、出力信号Shを求めている。図
13(i)が出力ラインL2から求められる信号Shの
波形図である。信号Shは、図13(a)の入力信号S
aに比べて波形の変化部が急峻化されており、エッジ強
調の効果が見られる。さらに、その強調の度合も特に不
自然なプリシュートやオーバーシュートが付く訳でもな
く、自然な形でかつ滑らかにエッジ即ち波形傾斜部が急
峻化しているのが特徴である。また、図13に示すよう
に、信号Shの零クロス点(零クロス点は図13中に丸
印で示した)は、信号Saの零クロス点からずれていな
いので、元の信号Saの位相情報が、非線形処理後も保
存されている。
【0073】図13では、信号の位相変化を操作する様
子を理解しやすくするために、横軸を位相値θで表して
きたが、次に横軸を時間軸とする波形図で動作説明を行
なう。図14は入力信号Saがステップ波形の場合の出
力信号Shの例である。信号Saは上限周波数f2(4
MHz)で帯域制限された輝度信号の例であり、その信
号の振幅が1から零に変化する波形部を、周波数0〜4
MHzで100%ロールオフ特性の低域濾波器で処理を
してエッジ強調処理を行なって得られる信号波形Shを
図示している。図14(a)〜(d)の違いは、波形合
成器1−3のパラメータαの値であり、以下のような設
定のもとに信号Shを得ている。 (a)α=0 (b)α=0.25 (c)α=0.5 (d)α=0.75 図14(a)は波形合成器1−3の非線形処理の機能を
止めた場合であり、これに比較してαの値を大きくして
いくにつれ、立ち下がり波形部が急峻化していることが
分かる。
【0074】図15は入力信号Saがパルス波形の場合
の処理例である。信号Saは上限周波数f2(4MH
z)で帯域制限された2Tパルスの例である。4つの波
形の違いは、図14同様パラメータαの値であり、図1
5(a)〜(d)は図14(a)〜(d)に一対一に対
応している。図16は入力信号Saが2MHzの正弦波
の場合の処理例である。図16(a)〜(d)も図14
(a)〜(d)に一対一に対応しており、パラメータα
の値を0〜0.75の範囲で変えたときのShの出力例
である。図15及び図16においても、図14と同様、
αの値を大きくしていくにつれ、立ち下がり波形部がよ
り急峻化する。本発明者は、経験上ではα=0.5ぐら
いのところが適当な値だと考えるが、各自の好みに合わ
せてαの値を調節し、エッジ強調の度合いを各使用者に
おける最適なものとすることができる。
【0075】図17はパラメータαの値を0.5に固定
し、正弦波である入力信号Saの周波数fの値を、1M
Hz〜3.58MHz(3.58MHz=色副搬送周波数fsc )
の範囲で変えたときの、出力信号Shの波形を示したも
のである。 (a)f=1MHz 、α=0.5 (b)f=2MHz 、α=0.5 (c)f=3MHz 、α=0.5 (d)f=3.58MHz、α=0.5 このように、周波数fの値が大きくなるに伴い、エッジ
部の急峻化の度合が進んでくる。これは同相及び直交高
域濾波器1−2,1−1の周波数特性が、図11
(a)、(b)のように直線状に大きくなっていること
に基づいている。
【0076】前述の波形合成器1−3では図11
(f)、または数23のような位相に対する非線形処理
を行い、零位相の領域を広げ、位相変化を±π/2の軸
に集中させるような変換を行って、エッジ強調を図って
いるが、これと同様の効果をもたらす他の例を図11
(g)及び(h)に示す。図11(g)では、位相θo
を位相θi の絶対値がαπ/2(但し、0≦α<1)ま
でを零とし、それ以上のθi に対してはπ/2まで正弦
2乗カ−ブの特性となるものとしている。
【0077】また、図11(h)は同様の主旨である
が、数個所の各設定点の間を直線近似で結ぶことによっ
て作られた位相変換特性である。これらの特性を実現す
る回路を、前述の波形合成器の非線形位相変換器として
使用すれば、本発明の目的が達せられる。同図(g),
(h)に示したカーブは、αを同じ値にして図11
(f)のカーブと比べると、零位相に近い領域が延びて
いる(即ち、位相θi を大きくしていっても位相θo が
なかなか大きくならない)ので、それだけ位相θo のπ
/2への集中が進み、同図(g),(h)による非線形
処理では、エッジ強調の度合が強く現われることにな
る。
【0078】非線形処理をディジタル回路で行う場合に
問題になることは、標本化周波数にもよるが、波形の零
クロスのずれ、即ち位相歪が起こりがちになることであ
る。この実施例では、直交及び同相高域濾波器からの信
号の合成振幅値と合成位相値を併用しているので、位相
歪は少ない。しかしながら、パラメータαの値を大きく
していくと、位相歪現象をどうしても避けることが出来
なくなる。この種の位相歪を回避するためには、第2実
施例で説明したように位相調整器を用いればよい。この
第3実施例も、当然第1実施例と同様の効果を有する。
【0079】以上のように、本発明によるエッジ強調処
理は、位相情報を含めて入力信号と完全な相関関係があ
り、かつ自然な形で滑らかにエッジ強調成分が付加され
るので、この画質改善装置は、観賞者に対して違和感を
与えることなく、自然な形で、鮮鋭度及び解像度の向上
感を抱かせることができる。
【0080】また、図示した各実施例は、周知の回路で
市販のIC等を用いて簡単に構成できるので、装置全体
は低コストで実現できる。さらに、上記実施例では、入
力信号例として、テレビジョンの輝度信号を用いたが、
本発明の画質改善装置は色信号やRGB信号などにも適
用できる。また、ディジタル化された画像データに対し
ても、本発明と等価な輪郭補正処理、エッジ強調処理
が、コンピュータを使用したソフトウェア処理によって
実現でき、本発明は、画像データのソフトウェアによる
加工処理にも応用できることになる。さらにまた、本発
明は、一般のデジタル伝送通信系の波形劣化を改善する
ことにも有効である。
【0081】
【発明の効果】以上の通り本発明の画質改善装置は、以
下の効果を有する。 (イ)エッジ強調を、入力信号の傾斜部分の中点に波形
段差を的確に付加することにより行い、その結果、入力
信号の有する周波数帯域外の周波数成分が付加された出
力信号が得られ、輪郭が強調される。 (ロ)従来の輪郭補正のようなプリシュート、オーバー
シュートなどの原信号の振幅を越えたエッジ強調となら
ず、原信号の振幅内のエッジ強調処理である。従って、
この画質改善装置を組込んだ機器を、デジタル回路で構
成した場合でもオーバーフローの問題が発生せず、その
機器は、良好な画質改善が行える。 (ハ)入力信号に対するエッジ強調の度合は、入力信号
の含有周波数に依存し、さらに、非線形処理にもかかわ
らず、エッジ強調の度合は、入力信号と位相情報を含め
て完全な相関関係がある。また、このエッジ強調成分は
波形変化部を滑らかに急峻化させる。従って、この画質
改善装置は観賞者に対して違和感を与えることなく、自
然な形で鮮鋭度及び解像度の向上感を抱かせることがで
きる。 (ニ)非線形処理にもかかわらず元の信号の位相情報が
保存されるなど、ディジタル回路で構成しやすくするた
めの工夫が盛り込まれており、この画質改善装置は、デ
ィジタル回路構成にも好適である。 (ホ)波形合成器の非線形処理のパラメータを調整する
ことにより、エッジ強調の度合いを、前記(ハ)におけ
るエッジ強調の度合いとは別に調整できる。従って、観
賞者は、自分の好みに合わせて、エッジ強調の度合いを
調整することにより、多様な画質が得られると共に、そ
の中から最適な画質を設定できる。 (ヘ)本発明の画質改善装置における各構成要素は、市
販のIC等の汎用部品を用いて、簡単な回路構成で実現
できる。よって、この画質改善装置は、低コストで容易
に製造でき、幅広い用途を有しているので工業上有効、
有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のブロック構成図である。
【図2】第1実施例の動作説明図である。
【図3】第1実施例の波形合成器の具体的な構成要素の
例を示す図である。
【図4】第1実施例の波形合成器の具体的な構成例を示
す図である。
【図5】第1実施例の動作説明図である。
【図6】第1実施例の動作説明図である。
【図7】第1実施例の動作説明図である。
【図8】第1実施例の動作説明図である。
【図9】第1実施例の動作説明図である。
【図10】第1実施例の動作説明図である。
【図11】第3実施例の動作説明図である。
【図12】第3実施例の波形合成器の具体的な構成例を
示す図である。
【図13】第3実施例の動作説明図である。
【図14】第3実施例の動作説明図である。
【図15】第3実施例の動作説明図である。
【図16】第3実施例の動作説明図である。
【図17】第3実施例の動作説明図である。
【図18】直交高域濾波器を説明するための図である。
【図19】同相高域濾波器を説明するための図である。
【符号の説明】
1−1 直交高域濾波器 1−2 同相高域濾波器 1−3 波形合成器 1−4 減算器 1−5 加算器

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力信号である第1の信号が供給されて、
    虚数部がI(f)=jf/fo(但し、foは第1の信
    号の上限を定める帯域制限周波数)となり、実数部が0
    となる周波数特性に従って前記第1の信号を処理した
    2の信号を出力する直交高域濾波器と、 前記第1の信号が供給され、実数部がR(f)=|f/
    fo|となり、虚数部が0となる周波数特性に従って前
    記第1の信号を処理した第3の信号を出力する同相高域
    濾波器と、 前記第2及び第3の信号が供給され、この2つの信号の
    ベクトル合成によって振幅値と位相値(θi)とを求
    め、前記位相値に非線形処理を施し、前記非線形処理を
    行った位相値(θo)と前記振幅値(Sd)と前記第3
    の信号の極性(sgn(Sc) )とを用いて、下記式
    により前記第3の信号の波形エッジを急峻化した第4の
    信号(Se)を出力する波形合成器と、 Se=sgn(Sc)Sd cos(θo) 前記第1、第3及び第4の信号が供給され、前記第1の
    信号から前記第3の信号を減算すると共に前記第4の信
    号を加算する演算を行い、前記第1の信号の波形エッジ
    が強調された出力信号を得る加減算器とより構成したこ
    とを特徴とする画質改善装置。
  2. 【請求項2】前記波形合成器は、 π/2以下の正の値として前記位相値(θi)を求める
    回路と、 π/2を基準にそれより小さな前記位相値に対して、パ
    ラメータαを用いてより小さな値となる非線形位相変換
    処理を行い、新たな位相値(θo)を求める回路と、 この新たな位相値(θo)と、前記振幅値(Sd)と、
    前記第3の信号の極性(sgn(Sc) )とを用い
    て、下記式により前記第4の信号(Se)を得る回路と
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の画質改善装
    置。Se=sgn(Sc)Sd cos(θo)
  3. 【請求項3】前記波形合成器は、 −π/2以上でπ/2以下の値として前記位相値(θ
    i)を求める回路と、 この前記位相値の絶対値を入力とし、この入力が所定の
    値までは出力値を零、それ以上の値に対しては、パラメ
    ータαを用いて入力値に応じた出力値が得られるような
    非線形位相変換処理を行い、零位相の領域を広げた新た
    な位相値(θo)を求める回路と、 この新たな位相値(θo)と、前記振幅値(Sd)と、
    前記第3の信号の極性(sgn(Sc) )とを用い
    て、下記式により前記第4の信号(Se)を得る回路と
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の画質改善装
    置。Se=sgn(Sc)Sd cos(θo) 但し、θo=0のときSe=0
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