JP2546463B2 - 波形補正装置 - Google Patents
波形補正装置Info
- Publication number
- JP2546463B2 JP2546463B2 JP3360616A JP36061691A JP2546463B2 JP 2546463 B2 JP2546463 B2 JP 2546463B2 JP 3360616 A JP3360616 A JP 3360616A JP 36061691 A JP36061691 A JP 36061691A JP 2546463 B2 JP2546463 B2 JP 2546463B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- signal
- waveform
- pass filter
- phase
- value
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Picture Signal Circuits (AREA)
- Television Signal Processing For Recording (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、テレビジョン(TV)
受像機、ヒデオテープレコーダ(VTR )等の各種ビデオ
機器、及び、画像データを扱う各種画像処理装置等に好
適な波形補正装置に関する。そして、この発明は、波形
の変化部即ち波形エッジを急峻化することで画質を改善
するが、観賞者に違和感を与えることなく自然な形で、
再生画像の鮮鋭度及び解像度を改善できる波形補正装置
を提供することを目的としている。
受像機、ヒデオテープレコーダ(VTR )等の各種ビデオ
機器、及び、画像データを扱う各種画像処理装置等に好
適な波形補正装置に関する。そして、この発明は、波形
の変化部即ち波形エッジを急峻化することで画質を改善
するが、観賞者に違和感を与えることなく自然な形で、
再生画像の鮮鋭度及び解像度を改善できる波形補正装置
を提供することを目的としている。
【0002】
【従来の技術】従来、画質改善のために用いられる輪郭
補正では、2次微分処理によって輪郭補正成分を求め、
この補正成分を元の信号に適量付加していた。この方法
による輪郭補正では、輪郭補正成分である2次微分波形
が、元の信号の波形変化部(エッジ部)の中点よりもか
なり外側にピークを持つ波形となる。従って、この2次
微分波形を元の信号に付加すると、プリシュートやオー
バーシュートが発生することがあり、期待する程の画質
改善効果がなく、また、再生画像のエッジ部分に白黒の
縁どりができるなどの不自然な輪郭補正となることがあ
った。
補正では、2次微分処理によって輪郭補正成分を求め、
この補正成分を元の信号に適量付加していた。この方法
による輪郭補正では、輪郭補正成分である2次微分波形
が、元の信号の波形変化部(エッジ部)の中点よりもか
なり外側にピークを持つ波形となる。従って、この2次
微分波形を元の信号に付加すると、プリシュートやオー
バーシュートが発生することがあり、期待する程の画質
改善効果がなく、また、再生画像のエッジ部分に白黒の
縁どりができるなどの不自然な輪郭補正となることがあ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする課題は、元の信号の波形変化部、即ちエッジ部の
略中点位置にできるだけ滑らかなスロープで波形を急峻
化するための信号成分を付加することでエッジ強調を行
い、過度のプリシュートやオーバーシュートによる不自
然な輪郭補正を防ぎ、観賞者に対して違和感を与えるこ
となく、かつ自然な形で最適な鮮鋭度及び解像度を向上
させることができると共に、IC化に適した波形補正装
置とするには、どのような手段を講じればよいかという
点にある。
とする課題は、元の信号の波形変化部、即ちエッジ部の
略中点位置にできるだけ滑らかなスロープで波形を急峻
化するための信号成分を付加することでエッジ強調を行
い、過度のプリシュートやオーバーシュートによる不自
然な輪郭補正を防ぎ、観賞者に対して違和感を与えるこ
となく、かつ自然な形で最適な鮮鋭度及び解像度を向上
させることができると共に、IC化に適した波形補正装
置とするには、どのような手段を講じればよいかという
点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
するために本発明は、入力信号である第1の信号が供給
されて、第2の信号を出力する直交高域濾波器と、前記
第1の信号が供給され、第3の信号を出力する同相高域
濾波器と、前記第2及び第3の信号が供給され、この2
つの信号のベクトル合成によって得られる振幅値と位相
値とを用いて非線形処理を行い、前記第3の信号の波形
エッジを急峻化した第4の信号を出力する波形合成器
と、前記第1、第3及び第4の信号が供給され、前記第
1の信号の一部である前記第3の信号を前記第4の信号
と入れ替えることにより、前記第1の信号の波形エッジ
が強調された出力信号を得る加減算器とより構成し、前
記直交高域濾波器と、前記同相高域濾波器とは、それぞ
れの高域濾波器の低域遮断周波数を設定するパラメータ
を調整する制御入力が供給され、前記波形合成器は、非
線形処理のパラメータを調整する制御入力が供給される
ことを特徴とする波形補正装置を提供するものである。
するために本発明は、入力信号である第1の信号が供給
されて、第2の信号を出力する直交高域濾波器と、前記
第1の信号が供給され、第3の信号を出力する同相高域
濾波器と、前記第2及び第3の信号が供給され、この2
つの信号のベクトル合成によって得られる振幅値と位相
値とを用いて非線形処理を行い、前記第3の信号の波形
エッジを急峻化した第4の信号を出力する波形合成器
と、前記第1、第3及び第4の信号が供給され、前記第
1の信号の一部である前記第3の信号を前記第4の信号
と入れ替えることにより、前記第1の信号の波形エッジ
が強調された出力信号を得る加減算器とより構成し、前
記直交高域濾波器と、前記同相高域濾波器とは、それぞ
れの高域濾波器の低域遮断周波数を設定するパラメータ
を調整する制御入力が供給され、前記波形合成器は、非
線形処理のパラメータを調整する制御入力が供給される
ことを特徴とする波形補正装置を提供するものである。
【0005】
【実施例】図1に、この発明の波形補正装置の一実施例
を示す。また、図2に、波形合成器及び高域濾波器の構
成例を示し、図3〜図8に動作説明図を示す。動作説明
図では、便宜上、簡略化した模擬的な表現法も採用して
ある。また、具体的回路例としてデジタル回路を挙げる
場合でも、その動作説明をわかりやすくするため、その
回路の信号波形をアナログ波形として示すものとする。
を示す。また、図2に、波形合成器及び高域濾波器の構
成例を示し、図3〜図8に動作説明図を示す。動作説明
図では、便宜上、簡略化した模擬的な表現法も採用して
ある。また、具体的回路例としてデジタル回路を挙げる
場合でも、その動作説明をわかりやすくするため、その
回路の信号波形をアナログ波形として示すものとする。
【0006】図1は本発明の実施例であるが、この図で
1−1は直交高域濾波器、1−2は同相高域濾波器、1
−3は波形合成器、1−4は減算器そして1−5は加算
器である。なお、説明の便宜上、各回路自体の処理時間
による信号の遅れ、及びその遅れを単に補正するためだ
けに通常用いられる遅延回路等は、説明上必要な場合を
除いて省略するものとする。
1−1は直交高域濾波器、1−2は同相高域濾波器、1
−3は波形合成器、1−4は減算器そして1−5は加算
器である。なお、説明の便宜上、各回路自体の処理時間
による信号の遅れ、及びその遅れを単に補正するためだ
けに通常用いられる遅延回路等は、説明上必要な場合を
除いて省略するものとする。
【0007】この波形補正装置の扱う入力信号の例とし
ては、テレビジョンの輝度信号、色信号、RGB信号等
を想定している。従って、上限が4MHz迄の周波数成
分を有する入力信号に対し、以下での処理により信号波
形の傾斜部に非線形処理を施し、周波数帯域4MHzを
越える成分を付加して傾斜部を急峻化することでエッジ
強調を行っている。
ては、テレビジョンの輝度信号、色信号、RGB信号等
を想定している。従って、上限が4MHz迄の周波数成
分を有する入力信号に対し、以下での処理により信号波
形の傾斜部に非線形処理を施し、周波数帯域4MHzを
越える成分を付加して傾斜部を急峻化することでエッジ
強調を行っている。
【0008】まず、ラインL1から入来する入力信号S
aが、図6(a)に示すようなステップ信号の場合につ
いて説明する。これは上限周波数f2(約4MHz)で
帯域制限された輝度信号の例であり、振幅が1の立ち下
がり部に0〜4MHzで100%ロールオフ特性の低域
濾波器を通すことによって得られる波形である。この波
形の傾斜部は約2MHzの余弦波状になっている。入力
信号Saは、まず直交高域濾波器1−1に供給される。
この直交高域濾波器の周波数特性は虚数部が次式で表わ
され、
aが、図6(a)に示すようなステップ信号の場合につ
いて説明する。これは上限周波数f2(約4MHz)で
帯域制限された輝度信号の例であり、振幅が1の立ち下
がり部に0〜4MHzで100%ロールオフ特性の低域
濾波器を通すことによって得られる波形である。この波
形の傾斜部は約2MHzの余弦波状になっている。入力
信号Saは、まず直交高域濾波器1−1に供給される。
この直交高域濾波器の周波数特性は虚数部が次式で表わ
され、
【0009】
【数1】
【0010】実数部が0であるような微分性の特性であ
る。数1のパラメータβは、濾波器の低域遮断周波数を
調整するものであり、ラインL3から制御入力(β)と
して入力される値で0〜1の範囲の値である。図3
(a)はβが1の時の周波数特性であり、図3(e)が
そのインパルス応答である。図3(c)はβが0.25
の時の周波数特性であり(f1= βf2)、図3(g)がそ
のインパルス応答である。インパルス応答は、信号Sa
に対して直交、即ちπ/2の位相差を有している。この
直交高域濾波器を実現するのには、アナログ回路または
ディジタル回路による、例えば図3(e)のインパルス
応答を係数値とする原点対称型のトランスバーサルフィ
ルタなどが用いられる。直交高域濾波器1−1の出力波
形Sbは、図6(b)に示すような波形となる。一方、
入力信号Saは、同相高域濾波器1−2にも供給され
る。同相高域濾波器の周波数特性は、実数部が次式で表
わされ、
る。数1のパラメータβは、濾波器の低域遮断周波数を
調整するものであり、ラインL3から制御入力(β)と
して入力される値で0〜1の範囲の値である。図3
(a)はβが1の時の周波数特性であり、図3(e)が
そのインパルス応答である。図3(c)はβが0.25
の時の周波数特性であり(f1= βf2)、図3(g)がそ
のインパルス応答である。インパルス応答は、信号Sa
に対して直交、即ちπ/2の位相差を有している。この
直交高域濾波器を実現するのには、アナログ回路または
ディジタル回路による、例えば図3(e)のインパルス
応答を係数値とする原点対称型のトランスバーサルフィ
ルタなどが用いられる。直交高域濾波器1−1の出力波
形Sbは、図6(b)に示すような波形となる。一方、
入力信号Saは、同相高域濾波器1−2にも供給され
る。同相高域濾波器の周波数特性は、実数部が次式で表
わされ、
【0011】
【数2】
【0012】虚数部が0であるような高域濾波特性であ
る。図3(b)はパラメータβが1の時の周波数特性で
あり、図3(f)がそのインパルス応答である。図3
(d)はβが0.25の時の周波数特性であり(f1=βf
2)、図3(h)がそのインパルス応答である。インパ
ルス応答は、信号Saに対して同位相である。このよう
な同相高域濾波器を実現するには、アナログ回路または
ディジタル回路による、例えば図3(f)のインパルス
応答のような、時間=0の軸に対称な係数値を持つトラ
ンスバーサルフィルタなどが用いられる。同相高域濾波
器の出力波形Scは、図6(c)に示すような波形とな
る。直交高域濾波器1−1と同相高域濾波器1−2と
は、振幅特性G(f)が同一で次式のように表され、
る。図3(b)はパラメータβが1の時の周波数特性で
あり、図3(f)がそのインパルス応答である。図3
(d)はβが0.25の時の周波数特性であり(f1=βf
2)、図3(h)がそのインパルス応答である。インパ
ルス応答は、信号Saに対して同位相である。このよう
な同相高域濾波器を実現するには、アナログ回路または
ディジタル回路による、例えば図3(f)のインパルス
応答のような、時間=0の軸に対称な係数値を持つトラ
ンスバーサルフィルタなどが用いられる。同相高域濾波
器の出力波形Scは、図6(c)に示すような波形とな
る。直交高域濾波器1−1と同相高域濾波器1−2と
は、振幅特性G(f)が同一で次式のように表され、
【0013】
【数3】
【0014】その周波数特性は前述したように位相差が
π/2で、直交関係となっている。数1に示す特性は、
虚数部に値を持つ高域濾波器の特性であるので、その特
性を有するものを直交高域濾波器と呼び、数2に示す特
性は、実数部に値を持つ高域濾波器の特性であるので、
その特性を有するものを同相高域濾波器と呼ぶことにし
た。2つの濾波器の周波数特性を、周波数の絶対値が0
〜βf2の範囲で直線状に変化するようにし、βf2〜f2の
間で一定値となるようにし、f2以上で0となるようにし
たのは、テレビジョンの伝送特性と微分性の高域濾波特
性を考慮したためである。
π/2で、直交関係となっている。数1に示す特性は、
虚数部に値を持つ高域濾波器の特性であるので、その特
性を有するものを直交高域濾波器と呼び、数2に示す特
性は、実数部に値を持つ高域濾波器の特性であるので、
その特性を有するものを同相高域濾波器と呼ぶことにし
た。2つの濾波器の周波数特性を、周波数の絶対値が0
〜βf2の範囲で直線状に変化するようにし、βf2〜f2の
間で一定値となるようにし、f2以上で0となるようにし
たのは、テレビジョンの伝送特性と微分性の高域濾波特
性を考慮したためである。
【0015】本実施例では、数1〜数3におけるパラメ
ータβを、ラインL3を介して各々の高域濾波器1−
1、1−2に加えられる制御入力(β)により、0〜1
の範囲で調整できるようにしている。パラメータβの値
を調整することにより、本装置は、最適なエッジ強調処
理を行うことを主眼としている。こうしたエッジ強調に
よる画質改善効果の善し悪しを最終的に判断するのは、
画面に映し出された映像を見る人それぞれであり、個人
差がある。よって、効果の善し悪しは、見る人それぞれ
の異なる好みによって決められるものと考える。こうし
た観点から、エッジ強調効果を変えられるパラメータと
して、高域濾波器1−1、1−2の低域遮断周波数を特
定できるβを選定した。ここで、低域遮断周波数fcを
次式で定義しておくことにする。
ータβを、ラインL3を介して各々の高域濾波器1−
1、1−2に加えられる制御入力(β)により、0〜1
の範囲で調整できるようにしている。パラメータβの値
を調整することにより、本装置は、最適なエッジ強調処
理を行うことを主眼としている。こうしたエッジ強調に
よる画質改善効果の善し悪しを最終的に判断するのは、
画面に映し出された映像を見る人それぞれであり、個人
差がある。よって、効果の善し悪しは、見る人それぞれ
の異なる好みによって決められるものと考える。こうし
た観点から、エッジ強調効果を変えられるパラメータと
して、高域濾波器1−1、1−2の低域遮断周波数を特
定できるβを選定した。ここで、低域遮断周波数fcを
次式で定義しておくことにする。
【0016】
【数4】
【0017】低域遮断周波数fcは図3(a)及び
(b)における直線傾斜部の中央部、即ちf=βf2に
おける振幅値の−6dBの振幅値を与える周波数であ
る。これらの図ではβ=1であるので、fc=2MHz
である。パラメータβの値を変えることによる効果の違
いについては、後ほど説明することにする。図2(c)
に直交高域濾波器及び同相高域濾波器の具体的な構成例
として、非巡回型のトランスバーサルフィルタの回路例
を示す。同図において、ブロックT0 〜TN-1 は単位時
間(例えば70ns)ずつ信号を遅延させる遅延回路、
ブロックM0 〜MN は乗算器、ブロックC0 〜CN は係
数記憶回路(ラッチ回路)、ブロックR0 〜RN は記憶
回路(ラッチ回路)、ブロック2−12は係数値記憶回
路、ブロック2−13は加算合成回路である。
(b)における直線傾斜部の中央部、即ちf=βf2に
おける振幅値の−6dBの振幅値を与える周波数であ
る。これらの図ではβ=1であるので、fc=2MHz
である。パラメータβの値を変えることによる効果の違
いについては、後ほど説明することにする。図2(c)
に直交高域濾波器及び同相高域濾波器の具体的な構成例
として、非巡回型のトランスバーサルフィルタの回路例
を示す。同図において、ブロックT0 〜TN-1 は単位時
間(例えば70ns)ずつ信号を遅延させる遅延回路、
ブロックM0 〜MN は乗算器、ブロックC0 〜CN は係
数記憶回路(ラッチ回路)、ブロックR0 〜RN は記憶
回路(ラッチ回路)、ブロック2−12は係数値記憶回
路、ブロック2−13は加算合成回路である。
【0018】ラインL1から供給される入力信号Sa
は、遅延回路TN-1 〜T0 で単位時間ずつ遅延されて出
力される。信号Sa、及び単位時間ずつ遅延した信号
は、各々対応する乗算器MN 〜M0 に供給され、係数記
憶回路CN 〜C0 からの係数値と乗算される。各乗算器
MN 〜M0 からの信号はブロック2−13で加算合成さ
れて、直交高域濾波器1−1の場合は出力信号Sb、同
相高域濾波器1−2の場合は出力信号Scとなる。一
方、ラインL3を介して供給される制御信号により、係
数値記憶回路2−12にパラメータβが設定される。こ
のブロックはROMなどで構成された記憶回路であり、
予め各乗算器MN 〜M0 で使用する予定の係数値を何種
類かテーブル形式で記憶しておき、必要な時にパラメー
タβに応じて(N+1)個の係数値をシリアルに出力す
るようになっている。係数値記憶回路2−12の出力
は、次段の記憶回路RN 〜R0 に順次書き込まれる。
(N+1)個の係数値が記憶回路RN 〜R0 に間違いな
く転送された後、記憶回路RN 〜R0 に記憶された各係
数値が、次段の係数記憶回路CN 〜C0 に同時に転送さ
れ記憶される。このようにして設定された係数値に基づ
き前記の乗算処理が行われ、入力信号Saに対してフィ
ルタリングされた出力信号Sb(または出力信号Sc)
が得られる。出力信号にSbを出すか、Scを出すかは
(直交高域濾波器として構成するか、同相高域濾波器と
して構成するかは)、設定される係数値で決まる。ま
た、このフィルタは、パラメータβに応じて特性の少し
ずつ異なる種々の出力信号を取り出すことができる。
は、遅延回路TN-1 〜T0 で単位時間ずつ遅延されて出
力される。信号Sa、及び単位時間ずつ遅延した信号
は、各々対応する乗算器MN 〜M0 に供給され、係数記
憶回路CN 〜C0 からの係数値と乗算される。各乗算器
MN 〜M0 からの信号はブロック2−13で加算合成さ
れて、直交高域濾波器1−1の場合は出力信号Sb、同
相高域濾波器1−2の場合は出力信号Scとなる。一
方、ラインL3を介して供給される制御信号により、係
数値記憶回路2−12にパラメータβが設定される。こ
のブロックはROMなどで構成された記憶回路であり、
予め各乗算器MN 〜M0 で使用する予定の係数値を何種
類かテーブル形式で記憶しておき、必要な時にパラメー
タβに応じて(N+1)個の係数値をシリアルに出力す
るようになっている。係数値記憶回路2−12の出力
は、次段の記憶回路RN 〜R0 に順次書き込まれる。
(N+1)個の係数値が記憶回路RN 〜R0 に間違いな
く転送された後、記憶回路RN 〜R0 に記憶された各係
数値が、次段の係数記憶回路CN 〜C0 に同時に転送さ
れ記憶される。このようにして設定された係数値に基づ
き前記の乗算処理が行われ、入力信号Saに対してフィ
ルタリングされた出力信号Sb(または出力信号Sc)
が得られる。出力信号にSbを出すか、Scを出すかは
(直交高域濾波器として構成するか、同相高域濾波器と
して構成するかは)、設定される係数値で決まる。ま
た、このフィルタは、パラメータβに応じて特性の少し
ずつ異なる種々の出力信号を取り出すことができる。
【0019】図1にもどって、波形合成器1−3には直
交高域濾波器1−1及び同相高域濾波器1−2の各出力
信号Sb、Scが供給される。これらの信号は位相差が
π/2であり、また、信号Sbが直交成分であることか
ら信号Sbを縦軸に、信号Scが同相成分であることか
ら信号Scを横軸に配置して図示すると、図5(a)の
ようになる。従って、直交成分と同相成分とのベクトル
合成によって、次式のような、
交高域濾波器1−1及び同相高域濾波器1−2の各出力
信号Sb、Scが供給される。これらの信号は位相差が
π/2であり、また、信号Sbが直交成分であることか
ら信号Sbを縦軸に、信号Scが同相成分であることか
ら信号Scを横軸に配置して図示すると、図5(a)の
ようになる。従って、直交成分と同相成分とのベクトル
合成によって、次式のような、
【0020】
【数5】
【0021】2つの信号Sb、Scの2乗和の平方根か
ら、合成振幅Sdが求められる。信号Sdは当然のこと
ながら、負の値にはならない。同図から、合成位相θi
は次式、
ら、合成振幅Sdが求められる。信号Sdは当然のこと
ながら、負の値にはならない。同図から、合成位相θi
は次式、
【0022】
【数6】
【0023】で求められる。位相θi の値は、通常−π
/2〜π/2の範囲で計算される。これらの合成振幅S
d及び合成位相θi などを用いて非線形処理(非線形位
相変換処理)を行うと、信号Scの波形変化部を急峻化
した信号Seが求められる。この非線形処理による波形
の急峻化に関しては、本発明者による平成3年特許願第
313605号(整理番号:H03000870 ,名称:画質改善装
置,出願日:平成3年10月31日)に説明してある
(例えば段落番号0021)ので、ここでは詳細な説明
は省略する。
/2〜π/2の範囲で計算される。これらの合成振幅S
d及び合成位相θi などを用いて非線形処理(非線形位
相変換処理)を行うと、信号Scの波形変化部を急峻化
した信号Seが求められる。この非線形処理による波形
の急峻化に関しては、本発明者による平成3年特許願第
313605号(整理番号:H03000870 ,名称:画質改善装
置,出願日:平成3年10月31日)に説明してある
(例えば段落番号0021)ので、ここでは詳細な説明
は省略する。
【0024】図5(c)〜(f)に示すのは、合成位相
θi に非線形処理を施した例である。図5(b)は非線
形処理をしないで、そのまま合成位相θi を出力した例
である。これらの図では、位相値を0〜π/2の範囲で
図示してあるが、−π/2〜0の範囲ではこれと原点
(θi =0)対称の波形になる。図5(b)〜(f)に
示す位相の非線形処理関係を次式に示す。
θi に非線形処理を施した例である。図5(b)は非線
形処理をしないで、そのまま合成位相θi を出力した例
である。これらの図では、位相値を0〜π/2の範囲で
図示してあるが、−π/2〜0の範囲ではこれと原点
(θi =0)対称の波形になる。図5(b)〜(f)に
示す位相の非線形処理関係を次式に示す。
【0025】
【数7】
【0026】いずれの処理も横軸π/2にピークが集中
するような位相波形に変換されている。このような非線
形位相変換処理後の出力位相θo を用いて、波形合成器
1−3の出力信号Seが次式のように求められる。
するような位相波形に変換されている。このような非線
形位相変換処理後の出力位相θo を用いて、波形合成器
1−3の出力信号Seが次式のように求められる。
【0027】
【数8】
【0028】一例として、非線形位相変換処理を図5
(c)(数7も参照のこと)のように行った時の信号S
eの波形図を図6(d)に示す。図のように信号Se
は、信号Saの立ち下がり部、即ち信号Scの零をよぎ
る波形変化部が急峻化された波形である。また、信号S
eの零クロス点(図中に丸印で図示)は、信号Scの零
クロス点からずれていないので、元の信号である信号S
cの位相情報(即ち、信号Saの位相情報)が、非線形
処理後も保存される。この時の非線形位相変換処理のパ
ラメータαは、ラインL4を介して加えられる制御入力
(α)によって設定される。図6(d)に示す信号Se
を求める際にはα=8としている。
(c)(数7も参照のこと)のように行った時の信号S
eの波形図を図6(d)に示す。図のように信号Se
は、信号Saの立ち下がり部、即ち信号Scの零をよぎ
る波形変化部が急峻化された波形である。また、信号S
eの零クロス点(図中に丸印で図示)は、信号Scの零
クロス点からずれていないので、元の信号である信号S
cの位相情報(即ち、信号Saの位相情報)が、非線形
処理後も保存される。この時の非線形位相変換処理のパ
ラメータαは、ラインL4を介して加えられる制御入力
(α)によって設定される。図6(d)に示す信号Se
を求める際にはα=8としている。
【0029】振幅合成器1−3の具体的な構成例を2
つ、図2(a),(b)に示す。図2(a)は波形合成
器の第1の構成例であり、機能的に5つのブロック(2
−1〜2−5)から成っている。ブロック2−1では入
力信号Sb及びScから、数6の位相角θi を求め、ブ
ロック2−2で入力信号Sb及び位相角θi から次式に
示すような直交成分の寄与分、
つ、図2(a),(b)に示す。図2(a)は波形合成
器の第1の構成例であり、機能的に5つのブロック(2
−1〜2−5)から成っている。ブロック2−1では入
力信号Sb及びScから、数6の位相角θi を求め、ブ
ロック2−2で入力信号Sb及び位相角θi から次式に
示すような直交成分の寄与分、
【0030】
【数9】
【0031】を求めている。ブロック2−3では、入力
信号Sc及び位相角θi から次式に示すような同相成分
の寄与分、
信号Sc及び位相角θi から次式に示すような同相成分
の寄与分、
【0032】
【数10】
【0033】を求め、ブロック2−4の加算器でブロッ
ク2−2及び2−3からの信号を加算合成して、数5の
ような合成振幅値Sdを得ている。次のブロック2−5
には、信号Scとブロック2−1からの位相値θi とブ
ロック2−4からの合成振幅値Sdとが供給され、数7
及び数8の様な演算を行い出力Seが求められる。ブロ
ック2−5にラインL4を介して加えられる制御入力
(α)によって、非線形位相変換処理のパラメータαが
設定される。
ク2−2及び2−3からの信号を加算合成して、数5の
ような合成振幅値Sdを得ている。次のブロック2−5
には、信号Scとブロック2−1からの位相値θi とブ
ロック2−4からの合成振幅値Sdとが供給され、数7
及び数8の様な演算を行い出力Seが求められる。ブロ
ック2−5にラインL4を介して加えられる制御入力
(α)によって、非線形位相変換処理のパラメータαが
設定される。
【0034】これらをディジタル回路で構成する場合
は、ブロック2−1〜2−3,2−5は、予想される全
ての入力データに対する出力値を、予め計算してROM
などに書き込んで置き、これを参照して出力を得るテー
ブルルックアップ方式などを用いる。ブロック2−4は
よく知られた汎用回路で作成できる。図2(b)は波形
合成器1−3のもう1つの構成例であり、6つの機能ブ
ロック(2−6〜2−11)から成っている。ブロック
2−6,2−7は乗算器として機能しており、各々入力
される信号Sb,Scが2乗されたSb2 及びSc2 を
出力する。ブロック2−8は加算器であり、Sb2 とS
c2 の和即ちSd2 を得る。ブロック2−9は入力の平
方根を求めるブロックであり、数5に示す合成振幅Sd
を求めている。ブロック2−10では、入力される信号
Sdと信号Sbとの比のsin-1から、次式のようにし
て、
は、ブロック2−1〜2−3,2−5は、予想される全
ての入力データに対する出力値を、予め計算してROM
などに書き込んで置き、これを参照して出力を得るテー
ブルルックアップ方式などを用いる。ブロック2−4は
よく知られた汎用回路で作成できる。図2(b)は波形
合成器1−3のもう1つの構成例であり、6つの機能ブ
ロック(2−6〜2−11)から成っている。ブロック
2−6,2−7は乗算器として機能しており、各々入力
される信号Sb,Scが2乗されたSb2 及びSc2 を
出力する。ブロック2−8は加算器であり、Sb2 とS
c2 の和即ちSd2 を得る。ブロック2−9は入力の平
方根を求めるブロックであり、数5に示す合成振幅Sd
を求めている。ブロック2−10では、入力される信号
Sdと信号Sbとの比のsin-1から、次式のようにし
て、
【0035】
【数11】 θi=sin−1(Sb/Sd) 但し、|θi|≦π/2
【0036】位相角θi を求めている。この時のθi は
数6と同様、−π/2〜π/2の範囲の値である。ブロ
ック2−11には、信号Scとブロック2−9からの合
成振幅Sdとブロック2−10からの合成位相θi が供
給され、数7及び数8に基づき信号Seが求められる。
数6と同様、−π/2〜π/2の範囲の値である。ブロ
ック2−11には、信号Scとブロック2−9からの合
成振幅Sdとブロック2−10からの合成位相θi が供
給され、数7及び数8に基づき信号Seが求められる。
【0037】図2(b)に示す波形合成器をディジタル
回路で構成する場合は、図2(a)と同じように、ブロ
ック2−6,2−7及び2−9〜2−11には予想され
る全ての入力データに対する出力値を、予め計算してR
OMなどに書き込んで置き、これを参照して出力を得る
テーブルルックアップ方式などを用いる。ブロック2−
6、2−7は乗算器を用いてもよい。また、ブロック2
−8は汎用の加算器でよい。このように、波形合成器1
−3では、信号Sbと信号Scとにより、数7及び数8
に示す非線形処理を行い、信号Scの波形変化部をより
急峻化した信号Seを求めている。
回路で構成する場合は、図2(a)と同じように、ブロ
ック2−6,2−7及び2−9〜2−11には予想され
る全ての入力データに対する出力値を、予め計算してR
OMなどに書き込んで置き、これを参照して出力を得る
テーブルルックアップ方式などを用いる。ブロック2−
6、2−7は乗算器を用いてもよい。また、ブロック2
−8は汎用の加算器でよい。このように、波形合成器1
−3では、信号Sbと信号Scとにより、数7及び数8
に示す非線形処理を行い、信号Scの波形変化部をより
急峻化した信号Seを求めている。
【0038】ここで図1にもどって、波形合成器1−3
からの信号Seと同相高域濾波器1−2からの信号Sc
とが供給される次のブロック1−4は、信号Seから信
号Scを減算する働きをする減算器であり、次式のよう
な信号Sg(エッジ強調成分)を求めている。
からの信号Seと同相高域濾波器1−2からの信号Sc
とが供給される次のブロック1−4は、信号Seから信
号Scを減算する働きをする減算器であり、次式のよう
な信号Sg(エッジ強調成分)を求めている。
【0039】
【数12】
【0040】図6(e)はエッジ強調成分となる信号S
gの波形図である。数12からも分かるように、この信
号Sgは信号SeとScとの差から求められており、信
号Scの代わりにエッジ強調された信号Seを入れ換え
る処理をするために、これらの信号間の差を求めている
ことになる。図1の最後のブロック1−5は加算器であ
り、次式のように入力信号Saにエッジ強調成分Sgを
加算合成して、出力信号Shを求めている。
gの波形図である。数12からも分かるように、この信
号Sgは信号SeとScとの差から求められており、信
号Scの代わりにエッジ強調された信号Seを入れ換え
る処理をするために、これらの信号間の差を求めている
ことになる。図1の最後のブロック1−5は加算器であ
り、次式のように入力信号Saにエッジ強調成分Sgを
加算合成して、出力信号Shを求めている。
【0041】
【数13】
【0042】図6(f)が出力ラインL2から出力され
るこの実施例装置の出力信号Shの波形図である。図6
(a)に示す本装置への入力信号Saに比べて信号Sh
は、波形の変化部が急峻化されており、エッジ強調がな
されている。また、その強調の度合は、特に不自然なプ
リシュートやオーバーシュートが付加されず、自然な形
でかつ滑らかである。このエッジ(即ち波形傾斜部)の
滑らかな急峻化が本装置の特徴である。
るこの実施例装置の出力信号Shの波形図である。図6
(a)に示す本装置への入力信号Saに比べて信号Sh
は、波形の変化部が急峻化されており、エッジ強調がな
されている。また、その強調の度合は、特に不自然なプ
リシュートやオーバーシュートが付加されず、自然な形
でかつ滑らかである。このエッジ(即ち波形傾斜部)の
滑らかな急峻化が本装置の特徴である。
【0043】さらに詳しく、出力波形Shを入力波形S
aと比較すると、出力波形Shは、入力波形Saの波形
変化部(エッジ部)のほぼ中間点に滑らかな波形段差が
あり、波形変化部の傾斜が急峻化されており、的確にエ
ッジ強調された波形となっていることがわかる。出力信
号Shを再生すれば、輪郭補正された画像が得られる。
また、この波形補正装置のエッジ強調処理は、従来の輪
郭補正のようなプリシュート、オーバーシュートなどの
原信号の振幅を越えたエッジ強調処理とならず、原信号
の振幅内のエッジ強調処理である。従って、この波形補
正装置を組込んだ機器を、デジタル回路で構成した場合
でもオーバーフローの問題が発生せず、その機器は、良
好な画質改善が行える。
aと比較すると、出力波形Shは、入力波形Saの波形
変化部(エッジ部)のほぼ中間点に滑らかな波形段差が
あり、波形変化部の傾斜が急峻化されており、的確にエ
ッジ強調された波形となっていることがわかる。出力信
号Shを再生すれば、輪郭補正された画像が得られる。
また、この波形補正装置のエッジ強調処理は、従来の輪
郭補正のようなプリシュート、オーバーシュートなどの
原信号の振幅を越えたエッジ強調処理とならず、原信号
の振幅内のエッジ強調処理である。従って、この波形補
正装置を組込んだ機器を、デジタル回路で構成した場合
でもオーバーフローの問題が発生せず、その機器は、良
好な画質改善が行える。
【0044】こうして、ラインL2から出力される信号
Shは、エッジ強調が行われた結果、新たな側波帯成分
が形成され、入力信号Saが本来有する帯域を越えたス
ペクトルが新たに付加された信号となる。この新たなス
ペクトルの付加は、等価的に、原信号の解像度が向上し
たとの印象を観賞者に与え、画像の鮮鋭度を改善する働
きをしている。
Shは、エッジ強調が行われた結果、新たな側波帯成分
が形成され、入力信号Saが本来有する帯域を越えたス
ペクトルが新たに付加された信号となる。この新たなス
ペクトルの付加は、等価的に、原信号の解像度が向上し
たとの印象を観賞者に与え、画像の鮮鋭度を改善する働
きをしている。
【0045】なお、信号Shのエッジ部の急峻さ(エッ
ジ強調の度合)は、波形合成器1−3のパラメータαが
固定値であれば、エッジ強調前の元の信号におけるエッ
ジ部が有する周波数特性に依存している。元の信号の立
上がり部及び立下がり部(エッジ部)が、より急峻な傾
斜であれば、強い度合のエッジ強調が行われる。一方、
緩かな傾斜に対しては、弱い度合のエッジ強調が行われ
る。さらに、図6に示すように、出力信号Shの波形変
化部の中点(中点は図6中に丸印で示した)は、入力信
号Saの波形変化部の中点からずれていないので、元の
信号Saの位相情報が、非線形処理後も保存される。
ジ強調の度合)は、波形合成器1−3のパラメータαが
固定値であれば、エッジ強調前の元の信号におけるエッ
ジ部が有する周波数特性に依存している。元の信号の立
上がり部及び立下がり部(エッジ部)が、より急峻な傾
斜であれば、強い度合のエッジ強調が行われる。一方、
緩かな傾斜に対しては、弱い度合のエッジ強調が行われ
る。さらに、図6に示すように、出力信号Shの波形変
化部の中点(中点は図6中に丸印で示した)は、入力信
号Saの波形変化部の中点からずれていないので、元の
信号Saの位相情報が、非線形処理後も保存される。
【0046】このように、入力信号に付加されるエッジ
強調成分Sgは、入力信号の周波数特性に依存し、入力
信号と位相情報を含めて完全な相関関係があるので、こ
の波形補正装置は、観賞者に対して違和感を与えること
なく、自然な形で、鮮鋭度及び解像度を向上させること
ができる。
強調成分Sgは、入力信号の周波数特性に依存し、入力
信号と位相情報を含めて完全な相関関係があるので、こ
の波形補正装置は、観賞者に対して違和感を与えること
なく、自然な形で、鮮鋭度及び解像度を向上させること
ができる。
【0047】次に、ラインL3から供給される制御入力
(β)によって設定される高域濾波器の特性例を図4に
示す。図4(A)はブロック1−1の直交高域濾波器の
特性例、図4(B)はブロック1−2の同相高域濾波器
の特性例である。図4(A),(B)中の各特性
(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ次式で表さ
れる。
(β)によって設定される高域濾波器の特性例を図4に
示す。図4(A)はブロック1−1の直交高域濾波器の
特性例、図4(B)はブロック1−2の同相高域濾波器
の特性例である。図4(A),(B)中の各特性
(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ次式で表さ
れる。
【0048】
【数14】
【0049】特性(a)は、図3(a)と図3(b)と
に示した特性のペアに相当し、β=1である。特性
(d)は図3(c)と図3(d)とに示した特性のペア
に相当し、β=0.25である。特性(a),(d)の
インパルス応答(図3(e)〜(h))で比較すると、
β=1よりもβ=0.25の方が波形のピーク値が大き
いことが分かる。このことはβを小さくしていくにつれ
て、即ち低域遮断周波数fc(=βf2/2)を低い方
にもってくるにつれて、エッジ強調の度合いが強くなっ
てくることを意味している。図7は非線形処理のパラメ
ータαを固定し(α=8)、2つの高域濾波器のパラメ
ータβを変えたときに、出力信号Shがどのように変化
するかを求めたものである。各パラメータの設定値は次
式のようになっている。
に示した特性のペアに相当し、β=1である。特性
(d)は図3(c)と図3(d)とに示した特性のペア
に相当し、β=0.25である。特性(a),(d)の
インパルス応答(図3(e)〜(h))で比較すると、
β=1よりもβ=0.25の方が波形のピーク値が大き
いことが分かる。このことはβを小さくしていくにつれ
て、即ち低域遮断周波数fc(=βf2/2)を低い方
にもってくるにつれて、エッジ強調の度合いが強くなっ
てくることを意味している。図7は非線形処理のパラメ
ータαを固定し(α=8)、2つの高域濾波器のパラメ
ータβを変えたときに、出力信号Shがどのように変化
するかを求めたものである。各パラメータの設定値は次
式のようになっている。
【0050】
【数15】
【0051】図7から分かることは、βを小さくしfc
が小さくなってくると、波形変化部の急峻化が進み、β
=0.25ぐらいになると、プリシュート及びオーバー
シュートが発生するようになることである。βの値をい
ろいろ変えて調べてみると、β=0.4前後のところ
が、プリシュート(オーバーシュート)を発生させずに
急峻化できるぎりぎりのところである。図8では、パラ
メータβ=0.4に固定したままで、非線形処理のパラ
メータαを変えた場合に、出力信号Shがどのように変
化するかを示している。各パラメータの設定値は次式の
ようになっている。
が小さくなってくると、波形変化部の急峻化が進み、β
=0.25ぐらいになると、プリシュート及びオーバー
シュートが発生するようになることである。βの値をい
ろいろ変えて調べてみると、β=0.4前後のところ
が、プリシュート(オーバーシュート)を発生させずに
急峻化できるぎりぎりのところである。図8では、パラ
メータβ=0.4に固定したままで、非線形処理のパラ
メータαを変えた場合に、出力信号Shがどのように変
化するかを示している。各パラメータの設定値は次式の
ようになっている。
【0052】
【数16】
【0053】明らかに、αが大きくなるにつれて、波形
変化部の急峻化が進んでいる。以上のように、パラメー
タα、βを調節することにより、波形の急峻化の度合い
を調整できるが、特にβの設定によって、プリシュート
(オーバーシュート)量を加減することができる。勿
論、ここでいうプリシュート(オーバーシュト)の大き
さは、従来技術のときに比較すれば、はるかに小さい値
ではある。波形的には図8(d)、即ちβ=0.4(α
=8の時)ぐらいが適当であるように見えるが、最終的
には映像信号を画像として見る人の好みによってβの値
は決められる。従って、ある程度βの調整可能範囲に幅
を持たせておき(0≦β≦1)、最適な設定ができるよ
うにしておくことが大切である。
変化部の急峻化が進んでいる。以上のように、パラメー
タα、βを調節することにより、波形の急峻化の度合い
を調整できるが、特にβの設定によって、プリシュート
(オーバーシュート)量を加減することができる。勿
論、ここでいうプリシュート(オーバーシュト)の大き
さは、従来技術のときに比較すれば、はるかに小さい値
ではある。波形的には図8(d)、即ちβ=0.4(α
=8の時)ぐらいが適当であるように見えるが、最終的
には映像信号を画像として見る人の好みによってβの値
は決められる。従って、ある程度βの調整可能範囲に幅
を持たせておき(0≦β≦1)、最適な設定ができるよ
うにしておくことが大切である。
【0054】さて、非線形処理をディジタル回路で行う
場合に問題になることは、標本化周波数にもよるが、波
形の零クロスのずれ、即ち位相歪が起こりがちになるこ
とである(標本化周波数が低いほど位相歪が起こりやす
い)。本発明では、直交及び同相高域濾波器からの信号
の合成振幅値Sdと合成位相値θi を併用しているの
で、位相情報の保存性がよく、比較的こうした歪は少な
い方である。しかしながら、パラメータαの値を大きく
していくと、やはりこうした現象を避けることが出来な
くなる。この種の位相歪を回避するためのには、本発明
者による平成3年特許願第278299号の図22に示す位相
調整器を用いればよい(位相歪回避動作の説明はここで
は省略する)。この技術を本実施例に併用することで、
標本化周波数が通常よりも低い値の場合でも、エッジ強
調処理時の位相歪による弊害を取り除くことができる。
場合に問題になることは、標本化周波数にもよるが、波
形の零クロスのずれ、即ち位相歪が起こりがちになるこ
とである(標本化周波数が低いほど位相歪が起こりやす
い)。本発明では、直交及び同相高域濾波器からの信号
の合成振幅値Sdと合成位相値θi を併用しているの
で、位相情報の保存性がよく、比較的こうした歪は少な
い方である。しかしながら、パラメータαの値を大きく
していくと、やはりこうした現象を避けることが出来な
くなる。この種の位相歪を回避するためのには、本発明
者による平成3年特許願第278299号の図22に示す位相
調整器を用いればよい(位相歪回避動作の説明はここで
は省略する)。この技術を本実施例に併用することで、
標本化周波数が通常よりも低い値の場合でも、エッジ強
調処理時の位相歪による弊害を取り除くことができる。
【0055】以上のように、本発明によるエッジ強調処
理は、位相情報も含めて入力信号と完全な相関関係があ
り、かつ自然な形で滑らかに最適なエッジ強調成分が付
加されるので、この波形補正装置は、観賞者に対して違
和感を与えることなく、自然な形で、鮮鋭度及び解像度
の向上感を抱かせることができる。
理は、位相情報も含めて入力信号と完全な相関関係があ
り、かつ自然な形で滑らかに最適なエッジ強調成分が付
加されるので、この波形補正装置は、観賞者に対して違
和感を与えることなく、自然な形で、鮮鋭度及び解像度
の向上感を抱かせることができる。
【0056】また、図示した実施例の各ブロックは、市
販のIC等を用いて簡単に構成できるので、装置全体は
低コストで実現できる。さらに、上記実施例では、入力
信号例として、テレビジョンの輝度信号を用いたが、本
発明の波形補正装置は色信号やRGB信号などにも適用
できる。また、ディジタル化された画像データに対して
も、本発明と等価な輪郭補正処理、エッジ強調処理が、
コンピュータを使用したソフトウェア処理によって実現
でき、本発明は、画像データのソフトウェアによる加工
処理にも応用できることになる。さらにまた、本発明
は、一般のデジタル伝送通信系の波形劣化を改善するこ
とにも有効である。
販のIC等を用いて簡単に構成できるので、装置全体は
低コストで実現できる。さらに、上記実施例では、入力
信号例として、テレビジョンの輝度信号を用いたが、本
発明の波形補正装置は色信号やRGB信号などにも適用
できる。また、ディジタル化された画像データに対して
も、本発明と等価な輪郭補正処理、エッジ強調処理が、
コンピュータを使用したソフトウェア処理によって実現
でき、本発明は、画像データのソフトウェアによる加工
処理にも応用できることになる。さらにまた、本発明
は、一般のデジタル伝送通信系の波形劣化を改善するこ
とにも有効である。
【0057】
【発明の効果】以上の通り本発明の波形補正装置は、以
下の効果を有する。 (イ)エッジ強調を、入力信号の傾斜部分の略中点位置
に波形段差を適格に付加することにより行い、その結
果、入力信号の有する周波数帯域外の周波数成分が付加
された出力信号が得られ、輪郭が強調される。 (ロ)従来の輪郭補正のようなプリシュート、オーバー
シュートなどの原信号の振幅を越えたエッジ強調に対
し、原信号の振幅内の振幅変化に極力押え込むことがで
きるエッジ強調処理である。従って、この波形補正装置
を組込んだ機器を、デジタル回路で構成した場合でもオ
ーバーフローの問題が発生せず、その機器は、良好な画
質改善が行える。
下の効果を有する。 (イ)エッジ強調を、入力信号の傾斜部分の略中点位置
に波形段差を適格に付加することにより行い、その結
果、入力信号の有する周波数帯域外の周波数成分が付加
された出力信号が得られ、輪郭が強調される。 (ロ)従来の輪郭補正のようなプリシュート、オーバー
シュートなどの原信号の振幅を越えたエッジ強調に対
し、原信号の振幅内の振幅変化に極力押え込むことがで
きるエッジ強調処理である。従って、この波形補正装置
を組込んだ機器を、デジタル回路で構成した場合でもオ
ーバーフローの問題が発生せず、その機器は、良好な画
質改善が行える。
【0058】(ハ)入力信号に対するエッジ強調の度合
は、入力信号の含有周波数に依存し、振幅情報と位相情
報を含めて入力信号と完全な相関関係がある。また、こ
のエッジ強調成分は波形変化部を滑らかに急峻化させ
る。従って、エッジ強調処理後の画質は観賞者に対して
違和感を与えることがなく、この波形補正装置は自然な
形で鮮鋭度及び解像度の向上感を抱かせることができ
る。 (ニ)互いに直交関係にある同相高域濾波器及び直交高
域濾波器からの信号により得られる合成振幅及び合成位
相を用いた非線形処理によるエッジ強調処理であるの
で、非線形処理にも関わらず、原信号の位相情報の保存
性がよく、本装置をディジタル回路で構成する場合で
も、前記(ハ)で述べた効果が十分に発揮される。
は、入力信号の含有周波数に依存し、振幅情報と位相情
報を含めて入力信号と完全な相関関係がある。また、こ
のエッジ強調成分は波形変化部を滑らかに急峻化させ
る。従って、エッジ強調処理後の画質は観賞者に対して
違和感を与えることがなく、この波形補正装置は自然な
形で鮮鋭度及び解像度の向上感を抱かせることができ
る。 (ニ)互いに直交関係にある同相高域濾波器及び直交高
域濾波器からの信号により得られる合成振幅及び合成位
相を用いた非線形処理によるエッジ強調処理であるの
で、非線形処理にも関わらず、原信号の位相情報の保存
性がよく、本装置をディジタル回路で構成する場合で
も、前記(ハ)で述べた効果が十分に発揮される。
【0059】(ヘ)波形合成器での非線形処理のパラメ
ータばかりでなく、同相高域濾波器及び直交高域濾波器
の低域遮断周波数を決定するパラメータを可変としたこ
とにより、波形合成器での非線形処理をより効果的に機
能させるような各パラメータの設定が可能になると共
に、より細かくエッジ強調の度合いを調整できる。従っ
て、本装置は、観賞者それぞれの好みに合わせたエッジ
強調の設定ができるなど、使用目的に合わせたエッジ強
調の最適化が可能である。 (ト)本発明の波形補正装置における各構成要素は、市
販のIC等の汎用部品を用いて、簡単な回路構成で実現
できる。よって、この波形補正装置は、低コストで容易
に製造でき、幅広い用途を有しているので工業上有効、
有益である。
ータばかりでなく、同相高域濾波器及び直交高域濾波器
の低域遮断周波数を決定するパラメータを可変としたこ
とにより、波形合成器での非線形処理をより効果的に機
能させるような各パラメータの設定が可能になると共
に、より細かくエッジ強調の度合いを調整できる。従っ
て、本装置は、観賞者それぞれの好みに合わせたエッジ
強調の設定ができるなど、使用目的に合わせたエッジ強
調の最適化が可能である。 (ト)本発明の波形補正装置における各構成要素は、市
販のIC等の汎用部品を用いて、簡単な回路構成で実現
できる。よって、この波形補正装置は、低コストで容易
に製造でき、幅広い用途を有しているので工業上有効、
有益である。
【図1】本発明の一実施例のブロック構成図である。
【図2】実施例の波形合成器及び高域濾波器の具体的な
構成例を示す図である。
構成例を示す図である。
【図3】実施例の動作説明図である。
【図4】実施例の動作説明図である。
【図5】実施例の動作説明図である。
【図6】実施例の動作説明図である。
【図7】実施例の動作説明図である。
【図8】実施例の動作説明図である。
1−1 直交高域濾波器 1−2 同相高域濾波器 1−3 波形合成器 1−4 減算器 1−5 加算器
Claims (1)
- 【請求項1】入力信号である第1の信号が供給されて、
虚数部がI(f)=jf/fo(但し、foは第1の信
号の上限を定める帯域制限周波数)となり、実数部が0
となる周波数特性に従って前記第1の信号を処理した第
2の信号を出力する直交高域濾波器と、 前記第1の信号が供給され、実数部がR(f)=|f/
fo|となり、虚数部が0となる周波数特性に従って前
記第1の信号を処理した第3の信号を出力する同相高域
濾波器と、 前記第2及び第3の信号が供給され、この2つの信号の
ベクトル合成によって振幅値と位相値とを求め、前記位
相値に非線形処理を施し、前記非線形処理を行った位相
値(θo)と前記振幅値(Sd)と前記第3の信号の極
性(sgn(Sc))とを用いて、下記式により前記第
3の信号の波形エッジを急峻化した第4の信号(Se)
を出力する波形合成器と、 Se=sgn(Sc)Sd cos(|θo|) 前記第1、第3及び第4の信号が供給され、前記第1の
信号から前記第3の信号を減算すると共に前記第4の信
号を加算する演算を行い、前記第1の信号の波形エッジ
が強調された出力信号を得る加減算器とより構成し、 前記直交高域濾波器と、前記同相高域濾波器とは、それ
ぞれの高域濾波器の低域遮断周波数を設定するパラメー
タを調整する制御入力が供給され、 前記波形合成器は、非線形処理のパラメータを調整する
制御入力が供給されることを特徴とする波形補正装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3360616A JP2546463B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 波形補正装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3360616A JP2546463B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 波形補正装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05183777A JPH05183777A (ja) | 1993-07-23 |
JP2546463B2 true JP2546463B2 (ja) | 1996-10-23 |
Family
ID=18470176
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3360616A Expired - Lifetime JP2546463B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 波形補正装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2546463B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0818932B1 (en) * | 1996-07-09 | 1999-11-10 | STMicroelectronics S.r.l. | Circuit for enhancing chrominance transitions in real-time video reception |
-
1991
- 1991-12-27 JP JP3360616A patent/JP2546463B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05183777A (ja) | 1993-07-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2546463B2 (ja) | 波形補正装置 | |
US5262978A (en) | Image enhancement system | |
JP3298162B2 (ja) | 輪郭補正装置 | |
JPH08139969A (ja) | 輪郭補正回路 | |
JP2546457B2 (ja) | 画質改善装置 | |
JP2755084B2 (ja) | 画質改善装置 | |
JPH06205244A (ja) | 波形補正装置 | |
JP2546461B2 (ja) | 画質改善装置 | |
JP2605490B2 (ja) | 画質改善装置 | |
JPH0316078B2 (ja) | ||
JP2530249B2 (ja) | 画質改善装置 | |
JP2546446B2 (ja) | 画質改善装置 | |
JPH0738781A (ja) | 画質改善装置 | |
JPS6216064B2 (ja) | ||
JP2546447B2 (ja) | 画質改善装置 | |
JPS59131271A (ja) | 輪郭補正回路 | |
JPH0614216A (ja) | 画質改善装置 | |
JP2570001B2 (ja) | 画質改善装置 | |
JP2516088B2 (ja) | 色信号補償装置 | |
JPH0774986A (ja) | 波形補正装置 | |
KR940008203Y1 (ko) | 색신호 보상 장치(An apparatus for compensation a color signal) | |
JPH05207336A (ja) | 波形補正装置 | |
JPH0746446A (ja) | 画質改善装置 | |
EP0497532B1 (en) | Image enhancement system | |
JPH08307733A (ja) | 波形エッジ急峻化装置 |