JP2545833Y2 - 床面洗浄機用給水調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、走行しながら床面を回
転ブラシでブラシ洗浄する床面洗浄機（スクラバー）の
技術分野で利用されるものであって、具体的には、床面
洗浄機に使用して好適な洗剤液又は洗浄水（以下単に洗
浄液と云う）の給水調整装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】洗浄液を回転ブラシに給水（散布）しな
がら床面の洗浄を行う床面洗浄機では、例えば、実願昭
６０−１１４４６７号（実開昭６２−２３６６３号公
報）に見られるように、給水管の途中に洗浄液の流量を
調節する推量調節バルブと、洗浄液の供給を車体の走行
に合せ自動的にオン・オフする自動開閉弁を取付け、車
体が走行を始めると調節した一定流量の洗浄液を回転ブ
ラシに供給し、車体の走行を停止すると、自動開閉弁を
閉じて洗浄液の供給を停止するように構成されている。

【０００３】しかし、この様に流量調節バルブと自動開
閉弁を別々に設けると、設置スペースとか組立工数、並
びに、全体のコストに影響を及ぼすため、そこで、例え
ば図４に示したような流量調節機能と開閉機能を兼ねた
備えた電磁開閉弁を給水管の途中に取付けることによっ
て、流量の調節と弁の開閉を１台の電磁開閉弁で賄うこ
とが考えられた。

【０００４】即ち、図４に於いてＡは洗浄液を供給する
供給管（図示せず）の途中に取付けた電磁開閉弁で、Ａ
ａとＡｂはその入口と出口を示し、Ｂはソレノイド、Ｃ
はプランジャ、ＣａはプランジャＣの先端に取付けたシ
ール、ＳはプランジャＣを常時押し下げる方向に弾発す
る戻しバネ、Ｄはストッパ、ＥはストッパＤを移動調節
するナットであって、図示の状態でソレノイドＢがオン
（励磁）すると、プランジャＣが戻しバネＳの弾性に抗
して上方に吸引されるから、シールＣａが弁口Ｔを開い
て洗浄液の流通を可能にする仕組に成っており、更に、
洗浄液の流量は、ナットＥでストッパＤを上下に移動し
てプランジャＣのストロークを調節することによって、
自由に加減調節できる仕組に成っている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】所が、上述した構造の
電磁開閉弁Ａは、入口Ａａから出口Ａｂに至る流路が図
示の如く略逆Ｕ字状に狭く迂回しており、更に、この迂
回した流路の途中にプランジャＣの戻しバネＳが設けら
れているため、洗浄液に入っているゴミがこれ等狭い流
路の途中とか戻しバネＳの部分に引掛って詰ってしま
い、適正な流量を得られなくなったり、最悪の場合は洗
浄液の給水が停止されてしまうとか、戻しバネＳによる
プランジャＣの戻し作用に影響が及んで、ソレノイドＢ
をオフにしても弁口Ｔが確実に閉塞されず、水漏れが発
生してしまうと云った各種の問題を備えていた。

【０００６】加えて、上述した構造の電磁開閉弁Ａの場
合は、スパナ等の道具類を用いてその都度ナットＥを回
転操作しないと洗浄液の流量が調節できないため、流量
の調節作業が非常に面倒であって、運転走行中に床面の
汚れ具合等によって洗浄液の流量を加減調節しようとし
ても、走行を停止しない限り調節できない問題もあっ
た。

【０００７】従って本考案の技術的課題は、ゴミ等を流
路の途中とか戻しバネ等に引掛けて詰らせることなく、
洗浄液を回転ブラシに対して設定した一定の流量で常時
適正に給水できると共に、洗浄液の流量調節を運転走行
中でも手元できわめて容易に操作できるようにすること
である。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の技術的課題を解決
するために本考案で講じた手段は以下の如くである。車
体が走行すると回転ブラシが回転し、且つ、洗浄液用の
電磁開閉弁が開いて洗浄液を上記の回転ブラシに給水
し、床面を洗浄するように構成した床面洗浄機に於い
て、 （１） 上記の電磁開閉弁を入口と出口が弁室に対して
直角に曲がったアングル構造と成し、この弁室の内部に
は、ソレノイドがオンすると戻しバネの弾発力に抗して
吸引作動されて先端側に取付けた弁体が上記の入口を開
放するプランジャを取付けること。 （２） 該プランジャの吸引作動通路上にプランジャの
作動を制止するストッパを取付けて、このストッパの位
置を調整用レバーの回動操作に従って移動調節自在に構
成すること。 （３） ソレノイドがオフになった時にプランジャを弁
体が入口を閉じる位置に押し戻すバネを、上記のプラン
ジャを支持する支持ガイドによって仕切られた弁室の外
部に取付けること。

【０００９】

【作用】上記の手段は以下の如く作用する。 上記（１）の要素は、洗浄液の流路を入口から出口
に向けて直角に曲がるアングル構造にして、この入口部
分をソレノイドのオン・オフと戻しバネの弾発作用によ
って進退作動するプランジャによって開閉するようにし
たため、入口から出口に至る流路を可及的に短くしてゴ
ミの引掛りとか詰りを防止し、洗浄液の給水を常に円滑
に開閉することを可能にする。

【００１０】 上記（２）の要素は、調整用レバーを
操作してストッパの位置を任意の位置に移動することに
より、ソレノイドによるプランジャの吸引移動を任意の
位置で制止して、洗浄液の流量を自由に加減調節できる
ため、運転走行中でも洗浄液の給水量を手元操作によっ
て簡単に調節することを可能にする。

【００１１】 上記（３）の要素は、プランジャを戻
す戻しバネを弁室の外、即ち、洗浄液の流路の外側に設
けたため、洗浄液に入っているゴミがこの戻しバネに引
掛ることがなく、弁体による入口の開閉を常に正確に行
うことを可能にする。以上の如くであるから、上記の手
段によって上述した技術的課題を解決して、前記従来の
技術の問題点を解消することができる。

【００１２】

【実施例】以下に、上述した本考案に係る床面洗浄機用
給水調整装置の好適な実施例を添付した図面と共に詳細
に説明する。図１は本考案に係る給水調整装置を取付け
た床面洗浄機の一例を示した一部断面側面図であって、
図中、１は床面洗浄機の機体で、２は機体１を載せた台
車、３と４はモータ又はエンジン３Ｔによって駆動回転
される駆動車輪と自在キャスタである。また、５と６は
台車２の前後に取付けた前部ケース体と後部ケース体で
あって、前部ケース体５の内部には減速機付きのブラシ
用モータ７と、電源用のバッテリ８と、上記のモータ又
はエンジン３Ｔが収められている。

【００１３】また、９は上記のモータ７によって回転さ
れる洗浄用の回転ブラシであって、１０は前部ケース体
５の上面部に取外し自在に設けた洗浄液Ｓ用のタンク、
１１と１２はこのタンク１０内の洗浄液Ｓを回転ブラシ
９側に給水する給水パイプとホースを示し、これ等給水
パイプ１１とホース１２の間に後述する電磁開閉弁１３
が取付けられている。

【００１４】更に、図１に於いて１５は前部ケース体５
の上面部に取外し自在に設けた汚水タンクで、１６は上
述した洗浄液タンク１０とこの汚水タンク１５の上面側
を覆う開閉自在な上蓋を示す。また、１７と１８はこの
上蓋１６内に設けた排気通路と吸水通路であって、各通
路１７，１８の先端口１７ａと１８ａが上記汚水タンク
１５側に連通され、更に排気通路１７は排気ホース１７
ｂを介して後部ケース６内に設けたブロアー１９に接続
され、吸水通路１８は吸水ホース１８ｂを介して汚水吸
上げ用のスキージ２０に接続されていて、ブロアー１９
を吸引運転すると、汚水タンク１５を通して吸水ホース
１８ｂからスキージ２０に吸引作用が及んで、回転ブラ
シ９による洗浄後の汚水Ｔが吸水ホース１８ｂと吸水通
路１８を通って汚水タンク１５に吸水される仕組に成っ
ている。

【００１５】更に図１に於いて、１４は後部ケース６の
上面部に設けた操作盤で、２１は運転用ハンドル、２２
は操作盤１４に設けた運転用メインスイッチであって、
図示した床面洗浄機は、運転用メインスイッチ２２をオ
ンした後、操作盤１４に設けたその他の各種手動スイッ
チ（図示せず）を操作することにより、駆動車輪３を駆
動して走行しながら回転ブラシ９を回転し、且つ、この
回転ブラシ９の部分に洗浄液Ｓを給水して床面の洗浄を
行う一方、洗浄後の汚水Ｔをスキージ２０から汚水タン
ク１５内に回収する仕組に成っているが、次に、以上の
如く構成した床面洗浄機の洗浄液用供給パイプ１１とホ
ース１２の間に接続して使用される電磁開閉弁１３の構
成を、図２と図３の記載に従って説明する。

【００１６】図２は電磁開閉弁１３が閉じている状態
を、また、図３は開いている状態を示した断面図であっ
て、これ等の図面に於いて、３０はアングル構造に構成
した弁本体（弁箱）であって、３０ａと３０ｂは弁室３
０ｃに対して直角に曲がった位置に開口した入口と出口
を示し、入口３０ａには上述した給水パイプ１１が、ま
た、出口３０ｂには給水ホース１２が接続される。

【００１７】３１は弁室３０ｃの内部に横方向に作動自
在に取付けたプランジャであって、このプランジャ３１
の一端には上記入口３０ａを開閉する弁体３１ａが取付
けられ、他端部３１ｂには可動コア３４が取付けられて
いる。また、３２と３３は弁本体３０内に取付けたプラ
ンジャ３１用の支持ガイドであって、この一方の支持ガ
イド３２によって仕切られた弁室３０ｃの外側には、プ
ランジャ３１を入口３０ａの方向に常時弾発して、図２
の如く入口３０ａを弁体３１ａで閉塞する戻しバネ３１
Ｓが、両端をプランジャ３１の段部３１ｃと他方の支持
ガイド３３の間に押接させて取付けられている。

【００１８】更に図中、３５は内部に上述した可動コア
３４を移動自在に挿入したソレノイドであって、このソ
レノイド３５は運転用メインスイッチ２２をオンして床
面洗浄機が走行を開始すると、励磁して可動コア３４、
及び、プランジャ３１を戻しバネ３１Ｓの弾発力に抗し
て図面上右方向に吸引移動し、図３の如く入口３０ａを
弁体３１ａが開いて洗浄液Ｓを入口３０ａから出口３０
ｂに通す仕組に成っている。

【００１９】また、１３ａは上述した弁本体３０とソレ
ノイド３５から成る電磁開閉弁１３の全体を機体フレー
ム（図示せず）側に固定する取付板であって、１３ａは
図面上その右方向に突出させた取付アームを示す。３６
は上記可動コア３４の吸引作動通路上に移動自在に取付
けたストッパで、１３ｂはこのストッパ３６を移動自在
に嵌込んだ筒型ガイドである。

【００２０】３７は一端３７ａを上述したストッパ３６
に取付け、他端３７ｂを図１の如く機体１の操作部に軸
２３ａを用いて回動操作自在に取付けた調整用レバー２
３の回動片２３ｂに取付けたワイヤーであって、ワイヤ
ー３７としては力を支えることができる単芯構造のもの
が使用され、調整用レバー２３を回動操作すると、ワイ
ヤー３７がストッパ３６を軸線方向に移動する仕組に成
っている。また、図中３８はワイヤー３７を収めたチュ
ーブで、１ａは機体１側の固定板である。

【００２１】本考案に係る床面洗浄機用給水調整装置は
以上述べた如き構成であるから、図２の電磁開閉弁１３
が閉じた状態で床面洗浄機の走行が開始されると、ソレ
ノイド３５がオン（励磁）して可動コア３４を吸引する
から、プランジャ３１が戻しバネ３１Ｓを圧縮しながら
図面上右方向に移動し、弁体３１ａが図２の仮想線の位
置に移動して入口３０ａを開くため、洗浄液タンク１０
内の洗浄液Ｓを電磁開閉弁１３を通して給水ホース１２
より回転ブラシ９に給水して、床面を洗浄することがで
きる。

【００２２】また、上記プランジャ３１の吸引移動は可
動コア３４の先端３４ａがストッパ３６の先端面に当っ
た位置で停止され、この停止位置によって洗浄液Ｓの流
量が決定される。即ち、図２は調整用レバー２３を“Ｍ
ＩＮ”の目盛に合せて流量を最少に絞った状態が示され
ているが、この流量を増加する場合には調整用レバー２
３を“ＭＡＸ”の目盛に向けて図面上時計回転方向に回
動操作すれば、ストッパ３６がワイヤー３７によって図
面上右方向に移動されるから、プランジャ３１をその分
右方向に大きく吸引移動することができ、従って、図３
のように弁体３１ａが入口３０ａを大きく開いて流量を
増加することができる。

【００２３】更に、上述した調整用レバー２３はその取
付軸２３ａの部分にカラーと波座金を入れて回動位置を
自己保持できるように構成されているため、単芯のワイ
ヤー３７がストッパ３６を移動位置に保持して、再び通
電（運転）した時に流量を始めに調整した状態に自動的
に戻して、通電の度に再調整する手間を省略することが
できる。

【００２４】

【考案の効果】本考案に係る床面洗浄機用給水調整装置
は以上述べた如くであって、電磁開閉弁の入口と出口が
アングル状に構成されて流路が短く、また、プランジャ
の戻しバネも弁室の外側に設けられているため、ゴミが
流路途中に引掛って詰る心配がなく、回転ブラシに対し
て洗浄液を正しく給水して優れた洗浄効果を発揮できる
と共に、洗浄液の流量も調整用レバーを用いて手元で操
作できるため、運転中でも床面の汚れ具合等によって洗
浄液の供給量をコントロールして、能率的且つ経済的に
洗浄できる利点も発揮できるものであって、各種床面洗
浄機に実施してその実用的価値は洵に高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る給水調整装置を備えた床面洗浄機
の内部構造を示した側断面図である。

【図２】本考案を構成する電磁開閉弁が閉じている状態
を示した構成図である。

【図３】本考案を構成する電磁開閉弁が開いている状態
を示した構成図である。

【図４】従来の電磁開閉弁の断面図である。

【符号の説明】

１ 床面洗浄機の機体 ９ 回転ブラシ １０ 洗浄液用タンク １１ 給水パイプ １２ 給水ホース １３ 電磁開閉弁 ２３ 調整用レバー ３０ 弁本体 ３０ａ 入口 ３０ｂ 出口 ３０ｃ 弁室 ３１ プランジャ ３１ａ 弁体 ３１Ｓ 戻しバネ ３２ 支持ガイド ３４ 可動コア ３５ ソレノイド ３６ ストッパ ３７ ワイヤー

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体が走行すると回転ブラシが回転し、
   且つ、洗浄液用の電磁開閉弁が開いて洗浄液を上記の回
   転ブラシに給水し、床面を洗浄するように構成した床面
   洗浄機に於いて、上記の電磁開閉弁を入口と出口が弁室
   に対して直角に曲がったアングル構造と成し、この弁室
   の内部には、ソレノイドがオンすると戻しバネの弾発力
   に抗して吸引作動されて先端側に取付けた弁体が上記の
   入口を開放するプランジャを取付けると共に、該プラン
   ジャの吸引作動通路上にプランジャの作動を制止するス
   トッパを取付けて、このストッパの位置を調整用レバー
   の回動操作に従って移動調節自在に構成したことを特徴
   とする床面洗浄機用給水調整装置。
2. 【請求項２】 ソレノイドがオフになった時にプランジ
   ャを弁体が入口を閉じる位置に押し戻すバネを、上記の
   プランジャを支持する支持ガイドによって仕切られた弁
   室の外部に取付けたことを特徴とする請求項１記載の床
   面洗浄機用給水調整装置。